JPS6136938Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本案は高電圧回路用の電圧分圧器に係り、特に
系統の波形観測に用いる分圧器および直流計器用
変圧器などの分圧器として必要な特性、すなわ
ち、電圧分担が均一であること、抵抗値の経年変
化が少ないこと、振動（輸送、地震）などの外力
に対して十分な機械的強度を有することなどを満
足する分圧器に関するものである。

高電圧直流送電線路においては、系統制御のた
め交流および直流線路の転流波形を観測すること
が行なわれる。このためその検出端となる電圧計
測用分圧器には、波形の忠実な再現のための周波
数応答、制御のための分圧比の精度の向上が求め
られる。分圧器そのものは第１図に示すように回
路電圧E₁（通常数百kV）の値を分圧抵抗R₁，
R₂、分圧用コンデンサC₁，C₂の組み合せによつ
て、計測器回路（シンクロスコープなど）の入力
電圧（通常100V程度）を得られるようにするも
のである。分圧比の精度は、周波数０〜数百ｋHz
まで指定分圧比の±１〜３％というような例があ
り、耐用年数も20〜30年の連続使用に支障ないこ
とが要求されるので、全体を機械的に竪ろうな機
器としなければならない。また、直流電圧の測定
には第４図に示す直流計器用変圧器が使用される
が、これは高電圧線路に抵抗値の大きな直列抵抗
を並列に接続し、それに流れる小電流を増巾部へ
入力して、電流に置き換えて高電圧の直流を測定
するものである。直流回路の制御、保護および計
測用に用いるため、許容誤差±1.0％以内という
ような高精度のものが要求される。

従来、このような分圧器には第２図に示すよう
に、抵抗材料の紛末にカーボンなどの導電材料の
紛末を混合し、ヘリカル形状に焼成したものを抵
抗体３、としてこれを絶縁筒２を芯に複数挿入
し、接続金具４で直列接続して必要抵抗値を得る
とともに、両端に端子１，６を設けたものが使用
された。抵抗体の途中からは必要に応じて分圧タ
ツプ５が引を出される。

このような抵抗体を分圧器として使用するに
は、つぎのような欠点があつた。

(1)抵抗体が有機物を含む焼成品なので、通電使
用時の経年変化が大きい。(2)標準寸法外の特注品
のため高価格、長納期となる。(3)抵抗体の断面積
と巻きつけ径の製造限界があり、分圧比E₂／E₁
の小さなものではそれに見合つたタツプの引き出
しが困難となる。などの欠点があつた。

本案は従来例における上記欠点を改善し、構造
が簡単で、高電圧線路用として、電圧分担が均一
で、機械的にも竪ろうな分圧器を提供することを
目的とするもので、無機物を抵抗体材料とする焼
付皮膜抵抗器を複数個組み合せるようにしたこと
を特徴としている。

以下本案の実施具体例につき第４図〜第９図を
もとに説明する。同一部品には同一符号を記して
記述する。

第４図は本案の分圧器を波形観測用の分圧器へ
組込んだ一実施例を示す。

分圧器は、ベース２３の上において抵抗器Ａの
外周にコンデンサC₁１７、碍管１６を同心配置
し、上部のタンク９とともに一体構造として絶縁
油１５を封入したもので、上部タンク９の上部に
は絶縁油の膨張収縮による体積変化を吸収するた
めに、窒素ガスを封入されている。コンデンサ
C₁はFRTなどの絶縁筒２０の上に、絶縁紙とア
ルミ箔の電極１８を交互に巻回し、これらの電極
で構成される直列静電容量値が所定の分圧コンデ
ンサの静電容量C₁に一致するとともに、電極の
配置は、第４図に示すように上下に直列接続され
る抵抗体の各段の電位分担が均一になるようその
直径と長さが決められている。したがつて各電極
および抵抗体の等電位線３２は第４図で点線で示
すように、均等な分布を示すこととなるので、線
路からのサージ電圧に対する絶縁強度の向上がは
かられている。

コンデンサ１７は、支持金具２１により、ベー
ス２３に固定され、上部リード線４０で、抵抗器
Ａの上部リード線３９へ、下部リード線３８で抵
抗器Ａのタツプリード線へと接続され、二次端子
２５によつて外部へ引き出される。抵抗器Ａの下
部リード線３６は二次端子２６へ接続されて外部
へ引き出される。

抵抗器Ａの上部リード３９およびコンデンサ１
７の上部リード４０は、端子８により上部端子へ
接続され、上部端子７により線路との接続を行な
う。

抵抗器Ａの上部には、上部金具４５が設けら
れ、支持板１１、ナツト１０、によりばね１２を
圧縮してその反力により、抵抗器Ａを支持してい
る。これにより、抵抗器Ａと碍管１６間の熱伸び
差を吸収するという効果が得られる。

二次端子２５と２６の間には、分圧用コンデン
サC₂，２４が接続されて、第１図に示した分圧
回路を構成する。つぎに抵抗器Ａの詳細構造につ
いて記述する。第９図は抵抗器Ａの接続を示すも
ので、単位抵抗体１９を電流容量に応じて複数個
並列接続し、それを必要抵抗値を得るよう複数個
直列接続する。直列接続の段数は、単位抵抗体１
９の耐電圧を堪案して決定される。単位抵抗体１
９を並列接続するについては、各段の単位抵抗体
１９の抵抗値のばらつきによる電流の不均等から
くる特定抵抗体の過負荷を防止するため、各単位
抵抗体間は同一長さ、断面積の均圧線３３で各段
ごとに接続する。単位抵抗体１９は、無機絶縁物
（ガラスなど）と導電性微粒子（金属紛など）を
混合し、高温度で焼き付けしたもので、従来例の
ように有機絶縁物によるものとちがい、使用によ
る劣化、抵抗値の変化は極めて小さく、高精度の
ものを標準市販品として購入使用が可能である。
この単位抵抗体１９にはリード線３１が設けられ
ており、第６図のように、FRPなどの電気的機
械的強度の大きな絶縁板４２に設けた穴に、各段
の左右の単位抵抗体１９を挿入し、圧着端子３５
で接続する。絶縁板４２は、全体を円筒状に構成
するため、複数個に分割し、第７図のように各段
の内側シールド１３に取付ボルト２８で固定す
る。従つて抵抗器Ａは金属製の円環状内側シール
ド１３をFRPの絶縁板４２で連結した一体の構
造物に組立てられる。

各段の単位抵抗体１９の接続部での電界の集中
と乱れを緩和するため、外側にも外側シールド１
４を設ける。内外のシールド１３，１４には金属
面の露出を避けるため、絶縁被覆を施される。第
５図は各段の接続部の詳細構造を示す。環状の内
側シールドリング１３には、タツプ穴を設けた突
起が全周に設けられており、単位抵抗体１９のリ
ード線３１を挿入して、おのおの長手方向に圧着
端子３５で接続した絶縁板４２がこのタツプ穴へ
取付ボルト２８によつて固定される。圧着端子４
６により均圧線３３を相互に接続し、各絶縁板の
単位抵抗体を並列接続する。内側シールド１３に
は、外側シールド１４を固定するためのアーム３
０を設け、取付ボルト２９、ナツト４３で固定す
る。したがつて、均圧線３３のたるみ、圧着端子
の突起、各単位抵抗体の接続部はすべてこの内外
のシールドリング内にて処理されるため、接続部
は全く電気的な弱点とならないという効果をもつ
ている。

本案は上記のようにして組立てられるため次の
ような効果を有する。

(1) 抵抗体は無機物を主体とする安定したものを
使用するため、経年変化による抵抗値の変化が
少なく、高精度の分圧比が得られる。

(2) 上記抵抗体は標準市販品を組合せ使用するた
め、低価格、短納期の購入および組立ができ
る。

(3) 容量に応じて抵抗体の組み合せ数を変更する
のみで、高電圧用分圧器を容易に製作できる。

(4) シールドにより接続部は電気的な弱点となら
ないように工夫してあるから、高電圧分圧器と
しての絶縁性能が安定している。

(5) 抵抗器ＡとコンデンサC₁を同一碍管内に収
納してあるので、50％の小形、軽量化が可能と
なる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本案の高電圧回路用分圧器の接続図、
第２図は従来例の分圧抵抗器の構成図、第３図は
本案の直流計器用変圧器への適用例を示す接続
図、第４図および第５図はそれぞれ本案の分圧抵
抗器の縦断面図および横断面図、第６図は側面
図、第７図は斜視図、第８図は取付部縦断面図、
第９図は結線図である。 １３……内側シールド、１４……外側シール
ド、１７……コンデンサ、１８……電極、１９…
…単位抵抗体、２８……取付ボルト、３１……リ
ード線、３３……均圧線、３５……圧着端子、４
２……絶縁板、４４……取付穴。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 絶縁筒の外周に絶縁紙と電極箔を交互に巻回
   し、電極箔はその直径が内側から外側に向うにつ
   れて漸増するとともに配置位置が上下方向に相互
   にずれるように巻回して形成したコンデンサを、
   前記絶縁筒の内径よりやや小さ目の抵抗体の中間
   部に設けた分圧タツプと電極箔最外層を接続し、
   該コンデンサによつて均等に分圧された電位を内
   部の抵抗体各部に強制的に賦与するよう一体に構
   成し、碍管中に絶縁媒体とともに収納して密閉し
   たことを特徴とする高電圧回路用分圧器。