JPS6135039Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は新規な構造を有し、繊維充填率に対す
るタバコ煙中の有害成分の除去効率が高く、かつ
香喫味成分の通過特性が良好なタバコフイルター
用プラグを作るのに有用なエアージエツトに関す
るものである。

近年タバコの喫煙による健康阻害の問題が大き
な社会問題となつてきており、健康阻害を起しに
くいタバコの開発が要望されている。この観点よ
り最も有効な方法としてフイルター付きタバコの
開発が鋭意進められており、可成りの程度にその
目的を達成してきている。ところが喫煙時に於け
るタバコの煙中の有害成分の除去効率を高めるに
はフイルタープラグ中へのフイルター素材の充填
率を高めなければならず充填率を高めた結果プラ
グコストは増加し、タバコの煙中の香喫味成分を
も高率で除去し、喫煙による満足感を低下させる
ことになつた。

そこで本考案者等は、タバコの煙中に含まれる
タールなどの有害成分の除去効率が高く、ニコチ
ンなどの香喫味成分の通過性の高いフイルタープ
ラグを開発することを目的として検討し第２図に
示す如く、フイルタープラグ〔〕の外周にフイ
ルター素材が、フイルタープラグの長手方向に折
りたたまれた構造の外層４をフイルタープラグの
外周の半分以上、とくにフイルタープラグの巻上
げ方向の上面側を主体として形成せしめその内部
にフイルター素材がプラグの巻上方向に対する垂
直断面に於てある角度αを持つた褶曲状に配列さ
れた繊維集合体５よりなるものが従来開発されて
きたフイルタープラグに比べその目的を効率よく
達成しうるものであることを見出し、先に特許出
願等を行つたのであるが、このような特異な構造
を有するフイルタープラグを効率よく作るための
装置についてさらに検討した結果本考案を完成し
た。

本考案の要旨とするところは、内径５〜20mm又
は内部断面積0.2〜３cm²の嘴状部を備えたフイル
タープラグ製造用エアージエツトにおいて、該嘴
状部に該嘴状部の出口端から２〜20mmの範囲に内
径0.5〜2.0mmの小孔を３〜32個設けたことを特徴
とするフイルタープラグ製造用エアージエツトに
ある。

本考案のエアージエツトをフイルタープラグマ
シンの巻上部に取付けてフイルタープラグを巻上
げる場合の略断面図を第３図に、その拡大図を第
４図に小孔近傍の外観図を第５図に示した。第３
図に於て６は開繊されたトウであり、このトウは
トランペツト１によつて集束され、エアージエツ
トの７より吹込まれた圧縮空気によつてエアージ
エツトの嘴状部２に押し込まれる。続いてこのト
ウは圧縮空気によつてトング８へ押し込まれるこ
とによつて、その進行方向に対し、垂直方向に折
りたたまれる。トウをトング８に押し込んだ圧縮
空気は、トング８と嘴状部２とによつて作られた
隙間及び嘴状部２に設けられた小孔１１より９の
方向へ吹き出る。この時圧縮空気は折りたたまれ
たトウの外層部を、嘴状部２の出口においては、
第４図１０に示す如くプラグ巻上方向と逆の方向
にプラグ巻上方向とほぼ平行になるように外側に
押出し、嘴状部２に設けられた小孔１１では、第
５図４′に示す如く嘴状部２の外側に押出す。続
いてこれらの折りたたまれた構造の繊維群は、フ
イルター素材のプラグマシンへの巻上げの進行に
従つて巻管部の中へと引張り込まれていく。また
プラグマシンのプラグ巻上げ方向とほぼ垂直に折
りたたまれたトウ５′は静止したトング８と移動
するガニチヤーテープ１２との間でずり剪断が与
えられ、この結果繊維集合体の内部層にプラグ巻
上方向垂直断面において角度αを有する褶曲状物
を形成しながらライスペーパー１３によつて巻上
げられ第２図に示す如き構造のフイルタープラグ
とすることができるのである。第３図中１４はコ
ネクター、１５はＯリング、１６はガニチヤー、
１７はカバーレール、１９はブラケツトである。

本考案のエアージエツトの嘴状部のトウが通る
内側の形状が円形であれば、その径は５〜20mmの
範囲であることが必要であり、その他の形状であ
ればその内部断面積は0.2〜３cm²の範囲であるこ
とが必要である。内径が５mm未満のもの、又は内
部断面積が0.2cm²未満のものではトータルデニー
ルが5000デニール以上のトウをトング内に押し込
むことが困難であり、例え押し込めたとしても、
高圧の圧縮空気が必要になり又巻上効率も低下す
る。一方内径が20mmを越えるもの又は内部断面積
が３cm²を越えるものでは圧縮空気の消費量が増加
すると共に第２図４で示す折りたたみ構造外層部
の形成性が低下する傾向が認められるので好まし
くない。

エアージエツトの嘴状部２に設ける小孔は、該
嘴状部の出口端から２〜20mmの範囲であり、内径
が0.5〜2.0mmの範囲であり、個数が３〜32個の範
囲であることが必要である。これらの小孔が無い
場合、又あつても内径が0.5mm未満あれば、折り
たたみ繊維層４が粗く、褶曲繊維集合体５の褶曲
構造のバラツキが大きく、最終製品としてのフイ
ルタープラグの通気抵抗等のバラツキも大きくな
り好ましくない。嘴状部の出口端から小孔までの
距離が２mm以下の場合は、嘴状部の出口で外側に
押出された繊維１０と、小孔から外側に引張り出
された繊維４′が絡み合い、小孔の数が32個を越
える場合も同様に小孔から外側に引張り出された
繊維４′同志が絡み合い、小孔を閉塞してしまう
ので好ましくない。小孔の数が３個未満であると
円周方向での品質のバラツキが大きくなるので、
これも好ましくない。又出口端から小孔までの距
離が20mmを越え、又は内径が20mmを越えるとトウ
の押し込み能力が不足するのでこれも好ましくな
い。これらの範囲内においては、トータルデニー
ルが5000デニール以上、35000デニール以下のト
ウを使用する場合、各々適正な値が存在し、安定
して第２図に示す如きフイルタープラグを巻上げ
ることができる。

本考案のエアージエツトを用いて作られた第１
図に示す如き構造を有するフイルタープラグは従
来開発されてきたプレーン型フイルターに比べ、
プラグ一本当りの繊維充填率は同一通気抵抗を有
するフイルターで約85〜95％の繊維充填率のもの
で十分となるため軽くかつ経済的なフイルターで
あると共に、タールなどの有害成分の除去効率が
高いにもかかわらずニコチンなどの香喫味成分の
通過性が大きいという、従来のプレーンフイルタ
ーとは異なつた好しい特性を有するフイルタープ
ラグを作ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のエアージエツトの一例の断面
図、第３図は本考案のエアージエツトを用いてフ
イルタープラグを作る際の断面部分図を、第２図
は本考案のエアージエツトを用いて作つたフイル
タープラグの側断面を、第４図は第３図の部分Ａ
の拡大図を、第５図は本考案のエアージエツトを
用いてフイルタープラグを作る際の嘴状部小孔近
傍の外観図を示したものである。 ２……嘴状部、１１……小孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 内径５〜20mm又は内部断面積0.2〜３cm²の嘴状
   部を備えたフイルタープラグ製造用エアージエツ
   トにおいて、該嘴状部に該嘴状部の出口端から２
   〜20mmの範囲に、内径0.5〜2.0mmの小孔を３〜32
   個設けたことを特徴とするフイルタープラグ製造
   用エアージエツト。