JPS6133517Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は金属の焼入れ、焼戻し、焼ならし、焼
結及びろう付等の熱処理のための金属加熱装置や
該熱処理炉の炉内加熱装置とか、金属の浸炭、窒
化、浸硫、浸ホウ等の熱処理を行うための予熱装
置とか、加熱装置の腐蝕性ガスに対する保護装置
及び保護ガスの予熱装置、等の如き雰囲気炉とか
真空炉で用いる電熱装置に関するものである。

従来この種電熱装置の一例を示する、第１図に
示す如く、炉体ａに気密に取り付けたヒータノズ
ルｂの内部に、金属製のラジアントチユーブｃを
挿入し、該ラジアントチユーブｃの中に、Ni−
Cr鋼を使用してなるヒータｄを挿入し、且つ上
記ヒータノズルｂ及びラジアントチユーブｃの上
端を大気に出した構成とし、炉内に設置される処
理品ｅの熱処理に際して炉内を加熱できるように
してある。ｆはガスの流れを案内すると共にヒー
タｄからの直熱を緩和するためのマツフル、ｇは
ガス循環フアン、ｈはフアン駆動用の電動機、ｉ
は真空排ガスポンプに通じているガスの排出口で
ある。

上記従来方式では、処理品ｅをたとえば真空加
熱等をする目的で炉内を真空にする場合におい
て、炉内を真空にしても、ラジアントチユーブｃ
内への給気、排気の手段がないので、ラジアント
チユーブｃ内は真空にならず、又、炉内に給気し
ても、ラジアントチユーブ内へは給気されない構
成となつているため、次のような欠点がある。

ヒータｄ及びラジアントチユーブｃのほとん
どが金属製であるため、腐食性雰囲気によりラ
ジアントチユーブｃの損耗が激しく寿命が低下
し、特に、高温浸炭性雰囲気ガス熱処理に不適
である。又、寿命が短いため、連続操作業時間
が短く、コストアツプとなる。

ヒータｄが金属製である、高温が得られず、
炉温を高くできず、高温操業による操業時間の
短縮ができない。

真空炉においては、ヒータ端子の炉体貫通部
が昇温し、真空シールが不能となるため、端子
部を水冷等に冷却することが必要となり、メイ
ンテナンス性が悪く、コストアツプにもなる。

ラジアントチユーブｃ内へのガス給気、排気
装置として何も設けられていないので、ラジア
ントチユーブｃ内は常時大気圧相当の圧力とな
つている。そのため、炉内を真空にした場合の
ラジアントチユーブｃは特に昇温時において、
耐圧強度が得られない。したがつて、真空熱処
理炉や真空浸炭炉等のように炉内を減圧して使
用する炉には使用することができない。すなわ
ち、ラジアントチユーブの厚みを増して高温下
の耐圧強度を得るには非常にコストアツプとな
るため、実用化されていない。

本考案はかかる従来の欠点に鑑み、近年ますま
す要求されつつある高温熱処理炉へ即応させるこ
と、腐食性ガスよりヒータ部を保護して寿命延長
を図ること、加熱装置に高価な特殊金属を使用し
ないようにしてコストダウンを図ること、冷ガス
を直接炉内へ導入せず、炉内温度分布の向上を図
ること、ヒータ端子部の水冷等による冷却を不要
とし、冷ガスの予熱に使用して省エネルギー化を
図ること、等を目的としてなしたものである。

以下、図面にもとずき本考案の実施例を説明す
る。

第２図は本考案の電熱装置を冷却装置がない真
空熱処理又は雰囲ガス熱処理の場合の炉に適用し
た場合を示す。

炉体１にヒータノズル２を気密状態で一体的に
取り付け、該ヒータノズル２の内部に、両端が開
放しているセラミツク製の円筒型ラジアントチユ
ーブ３に挿入させ、且つ該ラジアントチユーブ３
の中に、グラフアイト等による非金属のヒータ４
を入れ、上記ヒータ４は、気密シールフランジ５
を介して炉外のヒータ端子６へ導かれるようにす
ると共に、ラジアントチユーブ３内に、ヒータ４
の両端部位置にセラミツクフアイバー製等の通気
性の断熱材７を入れて、該ラジアントチユーブ３
とヒータ４との間に介在させる。又、上記ヒータ
ノズル２には、給排気ノズル８を設け、該ノズル
２を図示しない真空排気ポンプ及び不活性ガスの
給気装置への管路９及び１０に自動切替弁１１を
介して接続し、ラジアントチユーブ３内へ給気で
きたり、あるいは真空にできるようにする。

１２は処理品、１３はガス循環フアン、１４は
フアン１３の駆動用電動機、１５はガスの流れを
案内すると共にヒータからの直熱を緩和するため
のマツフルである。

本考案の電熱装置は、上記構成としてあるの
で、図示の如き真空処理炉に処理品１２の加熱装
置として用いた場合、次のような運転を行う。

真空加熱等の目的で炉内を真空にする場合は、
炉内を真空引きするが、この場合同時に給排気ノ
ズル８よりラジアントチユーブ３内を真空引き
し、ラジアントチユーブ３内には可及的速かに微
量の残留ガスがないようにする。これにより高真
空の炉に適用が可能になる。

一方、炉内に給気する場合には、同時に給排気
ノズル８よりラジアントチユーブ３内へ窒素ガス
等の不活性ガスを導入させる。ラジアントチユー
ブ３内には先端部（下端部）にも断熱材７がある
が、この断熱材７は通気性であるため、上記ラジ
アントチユーブ３内に導入された不活性ガスは、
ヒータ４で予熱されて断熱材７を通しラジアント
チユーブ３下部より炉内へ少しずつ流出させられ
る。これにより炉内ガスがラジアントチユーブ３
内に侵入するのを防止する作用が行われ、酸化、
浸炭等の腐食性雰囲気からヒータ４を保護するこ
とができる。この際、ラジアントチユーブ３内に
流し込むガスの量は、ラジアントチユーブ３の先
端より流出するガスの流速が炉内ガスの拡散速度
よりも速くなるような条件となる流量とする。

本考案においては、炉内を真空にするときはラ
ジアントチユーブ３内も真空にし、炉内に給気す
るときはラジアントチユーブ３内にも不活性ガス
を導入させることから、前記以外に更に炉内とラ
ジアントチユーブ３内との間に常時圧力差が生じ
ないため、ラジアントチユーブ３自体の保護も図
られている。

なお、本考案の装置は第２図に示す炉のみなら
ず、冷却装置を炉内に設けている炉の場合でも同
様に適用できること、又、加熱装置としてでなく
予熱装置としても適用できるものである。

以上述べた如く、本考案の装置によれば下記の
如き優れた効果を奏し得る。

(i) ラジアントチユーブ内への腐食性ガスの侵入
を防止できてヒータが保護されているので寿命
の大幅な延長が図れる。

(ii) ヒータを非金属製とし、ラジアントチユーブ
をセラミツク製としているので、従来の金属製
では得られない高温が得られ、炉温を高くでき
て高温操業が可能となり、操業時間の短縮と性
能アツプが図れる。

(iii) 上記(i)のラジアントチユーブへの腐食性ガス
の侵入防止と上記(ii)の高温操業が得られること
から、近年の高温化熱処理の要求に即応でき
る。

(iv) ラジアントチユーブ内を給排気できるので、
ラジアントチユーブ内ガスを交換できて常に新
しい不活性ガスでヒータを保護できると共に、
ラジアントチユーブ内と炉内の圧力差がない状
態にできるためにラジアントチユーブの保護が
図れ、寿命延長が図れる。

(v) ラジアントチユーブへ導入される不活性ガス
はヒータで予熱されるので、温度分布が向上
し、同時に、ラジアントチユーブへ導入される
冷えた不活性ガスによりヒータ端子部の気密シ
ール材や絶縁材は冷却されるので、ヒータ端子
部への別途冷却装置も不溶にでき、又気密シー
ルや絶縁部の構造が簡単に済む等対熱保護や部
材寿命の向上が図れると共に熱回収になる、更
に真空熱処理炉と雰囲気ガス熱処理炉のいずれ
にも使用できること、等の操業上の効果があ
る。

(vi) ヒータやラジアントチユーブに廉価な材料を
使用しており、且つラジアントチユーブの損耗
による取替えが少なくなることから、コストダ
ウンが図れる。

(vii) 炉内とラジアントチユーブ内を同時に真空引
きすることが出来るので短時間でガス置換出来
ると共に、消費するガスは炉内容積の一回分で
良く従来の1/7〜1/10で済む。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の一例を示す断熱図、第２図は本
考案の装置の一実施例図である。 １……炉内、２……ヒータノズル、３……ラジ
アントチユーブ、４……ヒータ、５……気密シー
ルフランジ、６……ヒータ端子、７……断熱材、
８……給排気ノズル、１１……自動切替弁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 給排気ノズルを有するヒータノズルを炉体に気
   密に設け、真空排気ポンプへの管路及び不活性ガ
   スの給気装置への管路を、自動切替弁を介して該
   給排気ノズルに接続し、該ヒータノズルの内側に
   両端が開放しているセラミツク製のラジアントチ
   ユーブを挿入し、該ラジアントチユーブの中に挿
   入した非金属性のヒータを、外気に対し真空シー
   ルされたヒータ端子に接続し、且つ少なくとも上
   記ラジアントチユーブの先端部に、該ラジアント
   チユーブ内で上記ヒータにより予熱された不活性
   ガスを炉内に導入する通気性の断熱材を充填させ
   たことを特徴とする高温熱処理炉用電熱装置。