JPS6131157Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は内燃機関用分配型燃料噴射ポンプに関
するものである。

従来の分配型燃料噴射ポンプは例えばフライウ
エイトの作用で噴射量制御部材を制御するもので
は、フライウエイトによるストロークが機構的に
制限されるため、仮りに始動時の増量にストロー
クを大きくあてると、無負荷最大回転にて無噴射
が得られないことになる。また、一般に回転数の
上昇に相応して噴射時期制御部材を進角方向に動
かすため、始動進角は得られない。そこで本出願
人により第１図ないし第３図に示す分配型燃料噴
射ポンプが提案されている（未公知）。同図にお
いて燃料は燃料タンク１から機関駆動される駆動
軸２によつて駆動されるベーンポンプ３にて吸入
加圧され、ポンプハウジング４内の吸込み空間５
へ供給される。そして、圧力制御弁６により吸込
み空間５の内部圧力が周知の如く機関回転数に関
連して制御されるので、回転数の上昇につれて内
部圧力が増加する。

ポンプハウジング４に取付けたバレル７にはポ
ンプ兼分配用プランジヤ８が装置され、このプラ
ンジヤ８は後述する手段により往復動と同時に回
転する。即ち、駆動軸２とプランジヤ８の端部に
固定したカムデイスク９とをドライビングデイス
ク（図には示されていない）を介して回転方向に
連結し、カムデイスク９に形成した機関の気筒数
に対応する山を有するカム面を固定的なローラホ
ルダ１０に保持されれたローラ１１にプランジヤ
スプリング（図示省略）により押付けることによ
り、プランジヤ８に燃料の吸入圧送のための往復
動と、分配のための回転とを同時に行なわせてい
る。

プランジヤ８が吸入行程（第１図で下動）にあ
る場合は、吸込み空間５の燃料がポンプハウジン
グ４内の通路１２及びバレル内通路１３からプラ
ンジヤ８の頭部外周面に設けた複数の縦溝１４の
１つを経てプランジヤ室１５に供給される。プラ
ンジヤ８が圧送行程（上動）に移行すると、バレ
ル内通路１３と縦溝１４とが切離され、プランジ
ヤ室１５の燃料は圧縮され、プランジヤ８内の縦
孔１６からプランジヤ８の分配縦溝１７を介して
バレル内通路１８に至り、デリバリバルブ１９を
備えた吐出導管２０を経てノズル２１から気筒内
へ噴射される。

又、プランジヤ８の吸込み空間５側に突出する
部分には、コントロールスリーブ２２が摺動自由
に嵌装してあり、プランジヤ８のカツトオフポー
ト２３がコントロールスリーブ２２の上縁から外
れて吸込み空間５に開口すると、燃料が吸込み空
間５に流出するので、吐出導管２０側への送出は
停止され、噴射終りとなる。従つてコントロール
スリーブ２２の位置調整によつて噴射終りが変わ
り、即ち噴射量の増減を制御できる。

このため、コントロールスリーブ２２の切欠き
２２ａには支軸２４に回転自在に枢支されたレバ
ー２５の一端の球状頭部２５ａが係合しており、
このレバー２５によつてコントロールスリーブ２
２の位置調整が行なわれる。レバー２５は他端側
においてテンシヨンレバー２６と弾性的に係合
し、テンシヨンレバー２６には調整スプリング２
７が負荷されている。又レバー２５には遠心調速
機スリーブ２８の作用端が対向しており、この調
速機スリーブ２８は摺動軸２９上をフライウエイ
ト３０によつて軸方向に移動される。フライウエ
イト３０はポケツト部材３１に装置されており、
該ポケツト部材３１は歯車３２に固定されてい
る。歯車３２は駆動軸２に固定された駆動歯車３
３によつて駆動される。従つてポケツト部材３１
によりフライウエイト３０は回転数に相応して半
径方向で外方に運動せしめられ、このときスリー
ブ２８を持ち上げて、回転数に関連する遠心力を
レバー２５に伝達する。即ち、回転数の上昇に伴
い、レバー２５を支軸２４回りに第１図で時計方
向に回動してコントロールスリーブ２２を下動せ
しめ、噴射量を減少させるわけである。

ここで、前記レバー２５の支軸２４は、不動の
固定軸３４に回転自在に枢支されたコレクタレバ
ー３５の一端に保持されており、コレクタレバー
３５は一端にてスプリング３６に付勢されると共
に、他端には偏心カム３７が係合している。この
偏心カム３７の操作軸３８のハウジング４から外
方に突出した部分にはレバー３９が軸着してあ
り、レバー３９の操作によつて偏心カム３７を介
しコレクタレバー３５を姿勢変化させることがで
きるようにしてある。

一方、前記ローラホルダ１０はハウジング４内
に駆動軸２と同心に回転可能に設けられ、このロ
ーラホルダ１０には一端がピストン４２に回動可
能に嵌挿された回転体４０に係合したロツド４１
が固定されている。ピストン４２の各端にはスプ
リング４３を収納した室４４及び吸込み空間５内
の油圧が作用する圧油室４５があり、スプリング
４３の力と油圧との関連においてピストン４２の
位置、従つてロツド４１を介してのローラホルダ
１０の円周方向位置が決定されるようになつてい
る。そして、このローラホルダ１０の円周方向位
置の変化により、ローラ１１とカムデイスク９の
カム面との接触位置が変わり、駆動軸２の周方向
の位相と前記接触位置、従つてプランジヤ８の作
動位置との相対的な変化が生じ、駆動軸２の回転
に対し噴射時期を変化させることができる。尚、
この場合は油圧によりピストン４２がスプリング
４３に抗して第２図で上方に移動したとき、ロー
ラホルダ１０が時計方向に回動されて噴射時期が
進角する。

ここで、ローラホルダ１０には偏心カム４６も
係合し、この偏心カム４６の操作軸４７のハウジ
ング４から突出した部分にはレバー４８が軸着し
てあり、レバー４８の操作によつて偏心カム４６
を介してローラホルダ１０を姿勢変化させること
ができるようにしてある。

前記した噴射量増量用の偏心カム３７のレバー
３９と、噴射時期進角用の偏心カム４６のレバー
４８とはワイヤ４９に連結され、このワイヤ４９
は運転席まで延設されて操作ロツド５０に連結し
てある。

従つて、始動時に操作ロツド５０を引くことに
より、ワイヤ４９を介してレバー３９を第１図で
時計方向に、レバー４８を反時計方向に、同時に
操作することができる。レバー３９が時計方向に
操作されることにより、偏心カム３７によつてコ
レクタレバー３５はスプリング３６に抗して固定
軸３４周りを第１図で反時計方向に回動される。
このため、支軸２４の位置が変わり、レバー２５
によつてコントロールスリーブ２２を上動させる
ので、噴射量が増大する。また、レバー４８が反
時計方向に操作されることにより、偏心カム４６
がローラホルダ１０に係合し、ローラホルダ１０
はスプリング４３に抗して第２図で時計方向に回
動され、噴射時期は進められる。

このように始動時ポンプ停止時において、操作
ロツド５０を手動操作するのみで噴射量を増大さ
せると同時に噴射時期を進角させることができ、
操作ロツド５０を戻せば通常の運転状態に戻すこ
とができる。そして、戻つた状態では、偏心カム
４６に対応するローラホルダ１０の切欠き１０ａ
の一方の側の遊びによつて前記したピストン４２
によるローラホルダ１０の回動を妨げることはな
い。

しかしながら以上の構成によれば、手動で操作
ロツド５０を引いてレバー４８を反時計方向に回
動する際ロツド５０に反力が作用する第４図ａに
示すように噴射ポンプ始動以後はローラホルダ１
０の係合部分の摩擦抵抗の減少およびピストン４
２の動作でローラホルダ１０に噴射時期の進角方
向力が作用するので、反力は小さいのであるが、
停止時にはローラホルダ１０を進角方向に回動す
るための抵抗力が大きく、反力は第４図ｂに示す
ように大きい。このために、エンジン停止時に噴
射時期進角を目的として操作ロツド５０を引いて
この大きな反力を超えるだけの力を操作ロツド５
０に加えなければならないのであるが、操作者が
操作ロツド５０に牽引力を加えても、この牽引力
が反力を超えるまで操作ロツド５０は全く移動せ
ず、このため操作者の腕に負担を憶え、また牽引
力が反力を超えると操作ロツド５０が急激に移動
するので腕にシヨツクを憶える。

従つて、本考案の目的は噴射時期制御部材を進
角方向に牽引するスプリング部材を設けて操作ロ
ツドを容易に操作できるようにするものであり、
以下実施例を用いて詳細に説明する。

第５図、第６図は本考案による分配型燃料噴射
ポンプの一実施例を示す簡略構成図であり、同図
において４７は前述の偏心カム４６を有する操作
軸であり、ハウジング４に固定された軸受５１で
回動自在に保持され、この操作軸４７の突出部に
は、端部に操作軸４７の延長方向に突出するスト
ツパ５２を有するレバー５６が固定され、また操
作軸４７の小径部分には筒体５３が回動自在に嵌
装され、この筒体５３にレバー５４が固定され、
このレバー５４の端部に前述の操作部材としての
ワイヤ４９が接続される。上記レバー５４は、上
記操作軸４７に対し回動自在に設けられた回動部
材として作用する。上記レバー５４は図示しない
ストツパで第６図の時計方向の回動が図示位置で
規制されている。軸４７の突出部の外周側には弾
性部材としてのコイルばね５５が装着され、この
ばね５５の一端はレバー５４に接続され、その他
端はレバー５６に接続され、レバー５４がストツ
パ５２に圧接する方向のスプリング力を与えてい
る。

以上の構成によれば、操作ロツド５０を引いて
ワイヤ４９を牽引すると、コイルばね５５を介し
てレバー５６に回動力が加えられ操作軸４７が回
動され、ローラホルダ１０が進角方向に回動す
る。この場合、機関始動前に第４図ｃの反力に相
当する力で操作ロツド５０を引くと、この力でま
ずコイルばね５５が撓むので操作ロツド５０は移
動する。次にで機関を始動すると前述のように反
力は第４図ａに減少するのでレバー５６はコイル
ばね５５に貯えられた力で回動することになり、
これによりローラホルダ１０が進角方向に回動す
る。このため操作者の腕にかかる牽引時の負担、
シヨツクを軽減できる。

なお、本考案においては、第７図に示すように
ワイヤ４９にばね６０を挿入接続して、コイルば
ね５５と同様な機能を与えるようにしてもよい。

以上説明したように、本考案によれば、少なく
とも内燃機関用分配型燃料噴射ポンプにおけるロ
ーラホルダ等の噴射時期制御部材に連動して、そ
の手動操作により上記部材を進角方向に制御する
操作ロツド５０等の操作機構を具備し、上記操作
機構と噴射時期制御部材との連動系路に弾性材を
介挿したので、操作者の操作時の負担を軽減でき
る。従つてガソリン車におけるキーの差し込み前
に行うチヨーーク操作と同様な感覚が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る分配型燃料噴射ポンプを
説明するための縦断面図、第２図は第１図の−
矢視断面図、第３図は第２図の−矢視断面
図、第４図は操作ロツドに作用する反力の変化状
態を示す図、第５図、第６図は本考案による分配
型燃料噴射ポンプの一実施例を示す要部断面図及
び平面図、第７図は他の実施例を示す図である。 ２……駆動軸、４……ポンプハウジング、８…
…プランジヤ、９……カムデイスク、１０……ロ
ーラホルダ、２２……コントロールスリーブ、２
３……カツトオフポート、２５……レバー、３５
……コレクタレバー、３７，４６……偏心カム、
４８……レバー、４９……ワイヤ、５０……操作
ロツド、５１……軸受け、５２……ストツパ、５
３……筒体、５４，５６……レバー、５５……コ
イルばね。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 ローラホルダを回動させる操作軸と、該操作軸
   を回動操作する操作機構を備え、該操作機構を手
   動操作することにより、上記操作軸を介して上記
   ローラホルダを回動させ、もつて、燃料噴射時期
   を進角方向に制御するようにした分配型燃料噴射
   ポンプにおいて、 上記操作機構は、手動操作される操作部材と、
   該操作部材に連結され、且つ上記操作軸に対し回
   動自在に設けられた回動部材と、一側が上記操作
   軸側に取付けられ、他側が上記回動部材に取付け
   られ、且つ上記操作部材の手動操作の操作量に一
   致した量だけ当該操作方向とは反対向きの弾発力
   が蓄えられる弾性部材とから構成し、上記ローラ
   ホルダの負荷抵抗の減少時、上記弾性部材の弾発
   力により上記操作軸を回動させて燃料噴射時期を
   進角方向へ制御するようにしたことを特徴とする
   分配型燃料噴射ポンプ。