JPS6130748Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は垂直方向と水平方向とを同時にプレス
加工する交差プレス加工装置の改良に関するもの
である。

従来、被加工物を垂直方向と水平方向の２方向
のプレス加工を同時に行う場合には第１図に示す
ように、被加工物１の垂直方向のリストライク加
工は、下型ホルダ２に固定したポンチ３と上型ホ
ルダ４に固定したセクシヨナルダイ５で行い、水
平方向の孔あけ加工は下型ホルダ２に横方向に移
動可能に取付けたカムスライド６の先端に固定し
たピアスポンチ７で行うようになし、該カムスラ
イド６の前進は、前記上型ホルダ４の下面に固設
したカム８の傾斜面８ａを該カムスライド６の後
部に形成した傾斜面６ａに当接させ、上型ホルダ
４の下降時、すなわち、リストライク加工時に、
該カムスライド６をリターンスプリング９のばね
力に抗して前進させ、ピアスポンチ７により孔あ
け加工を行つていた。１０は被加工物を固定する
パツドである。したがつて、この方法によれば垂
直方向のリストライク加工と水平方向の孔あけ加
工の動きが同時であるため、セクシヨナルダイ５
とピアスポンチ７の交差する箇所においては、該
動きを阻止しないように第２図に示すようにピア
スポンチ７の進入する部分のセクシヨナルダイ５
に切欠５ａを設けなければならず、このため、該
切欠５ａ部分のリストライク加工ができないとい
う問題があり、したがつて、精度を必要とする被
加工物１の加工には使用することができず、この
場合にはリストライク加工と孔あけ加工の加工工
程を分けて行わなければならないという煩わしさ
があり、かつ、上型ホルダ４を操作した後、カム
スライド６を操作しなければならないため、その
ための装置も必要とする等構造も複雑なものとな
る等の問題があつた。

そこで本考案は上記従来の問題点を鑑みてなさ
れたものであつて、垂直方向の加工と水平方向の
加工とが交差するプレス加工の場合においても、
１工程で同時にプレス加工することができ、しか
も、垂直方向のプレス加工、例えばリストライク
加工が全面的にでき、プレス精度を向上させるこ
とができるようにしたものである。

そのために本考案では該交差プレス加工装置
を、下型ホルダと上型ホルダを有し、下型ホルダ
上には、上部に傾斜面を有するカムが固定され、
かつ、ポンチが垂直方向に移動可能にクツシヨン
材で弾持され、該クツシヨン材は被加工物を垂直
方向にプレス加工する加圧力に抗しうるバネ力を
有し、さらに、前記ポンチの側部にはカムスライ
ドが横方向に移動可能に取付けられ、該カムスラ
イドの上部には略水平な上部摺動面が形成され、
又、前記上型ホルダの下面には、該上型ホルダの
下降時、前記カムスライドの上部摺動面に当接
し、該カムスライドを押し下げ、かつ、該カムス
ライドの横方向の移動を許容するカムスライド押
えと、前記ポンチに置かれた被加工物を垂直方向
にプレス加工するセクシヨナルダイとが固定され
ていると共に、 前記カムスライドの前記ポンチ側には、垂直方
向にプレス加工される被加工物の垂直部分を加工
する加工工具が取付けられ、又、他側には該カム
スライドの上下動にともない前記カムの傾斜面を
摺動して横方向に案内される傾斜面が形成され、
さらに、そして、該カムスライドはリターンスプ
リングによりポンチから離れる方向に付勢され、
又、前記加工工具は前記セクシヨナルダイに明け
られた貫通孔に挿通可能に形成され、さらに、前
記カムスライドとカムの傾斜面は、上型ホルダの
下降時、カムスライド押えがカムスライドに当接
し始めた後、前記加工工具が前記貫通孔に没し、
又、ポンチが下型ホルダに当接したとき、前記加
工工具が前記貫通孔から突出するように形成され
ている構造とすることにより所期の目的を達成す
るようにしたものである。

以下、本考案を第３図乃至第５図に示す実施例
に随つて説明する。

Ａは被加工物Ｂを垂直方向と水平方向の２方向
からプレス加工する交差プレス加工装置であつ
て、下型ホルダａと上型ホルダｂとから構成さ
れ、下型ホルダａの上にはポンチ１１が垂直方向
に移動可能に取付けられ、クツシヨン材であるク
ツシヨンピン１２及びクツシヨンスプリング１３
のバネ力により上方に付勢されている。そして、
被加工物Ｂを垂直方向のプレス加工が略完了した
位置で、第５図に示すように下型ホルダａとの間
に隙間ｌが出きるようになされている。その付勢
力は被加工物Ｂを垂直方向のプレス加工に要する
加圧力に耐えて前記隙間ｌを確保できるだけのバ
ネ力を有している。

尚、実施例では、クツシヨンピン１２及びクツ
シヨンスプリング１３の双方でポンチ１１を上方
に付勢するようにしたが、被加工物Ｂを垂直方向
のプレス加工に要する加圧力に耐えて前記隙間ｌ
を確保できるだけのバネ力を有しているものであ
れば、そのいずれか一方のみでよい。

前記ポンチ１１の側部にはスライドロツド１４
の一端が固着され、該スライドロツド１４にはカ
ムスライド１５が移動可能に取付けられ、該スラ
イドロツド１４に介装されたリターンスプリング
１６により外方（第３図左方）に付勢されるよう
になされている。

前記カムスライド１５の前記ポンチ１１側には
横方向の加工工具となるピアスポンチ１７が突設
され、又、該カムスライド１５の他側は下方には
摺動面となる傾斜面１５ａが、形成され、さら
に、該カムスライド１５の上部には上部摺動面１
５ｂが形成されている。

前記カムスライド１５と対向する下型ホルダａ
上にはカム１８が固定されている。該カム１８に
は、前記カムスライド１５の傾斜面１５ａと接合
する傾斜面１８ａが形成されている。

尚、第４図において、符号１９は前記カムスラ
イド１５を移動可能に押えるギブプレートであ
る。

上型ホルダｂの下面には、前記ポンチ１１とで
被加工物Ｂの垂直方向の加工（例えばリストライ
ク加工）を行うセクシヨナルダイ２０と、前記カ
ムスライド１５の上部摺動面１５ｂに当接するカ
ムスライド押え２１が固定され、かつ、前記セク
シヨナルダイ２０の内側（第３図右側）の上型ホ
ルダの下面凹部には被加工物Ｂを押えるパツド２
２がパツドスプリング２３を介して取付けられ、
前記セクシヨナルダイ２０の前記ピアスポンチ１
７と対応する部分には該ピアスポンチ１７が貫通
する貫通孔２０ａが穿設されている。

前記ポンチ１１には、ピアスポンチ１７の逃げ
孔１１ａが穿設されている。そして、前記上型ホ
ルダｂは前記クツシヨンピン１２及びクツシヨン
スプリング１３のバネ力を上回る加圧力でポンチ
１１及びカムスライド１５を押下げ可能に作動す
る。今、上記交差プレス加工装置Ａにより被加工
物Ｂのプレス加工を行うには、先ず被加工物Ｂを
ポンチ１１の所定の位置にセツトする。

尚、このセツト位置では、ポンチ１１と下型ホ
ルダａとの隙間は、前記隙間ｌと被加工物Ｂを垂
直方向のプレス加工ストロークとの和より大きく
しておく。

そして、このセツト位置から、上型ホルダｂを
降ろす。これにより先ずパツド２２により被加工
物Ｂが押えられ、次にセクシヨナルダイ２０とポ
ンチ１１とで被加工物Ｂを挟込むようにして垂直
方向のプレス加工を行う。該加工はカムスライド
押え２１がカムスライド１５の上部摺動面１５ｂ
に当接した時略完了するようになされている。こ
のとき、クツシヨンピン１２及びクツシヨンスプ
リング１３は、被加工物Ｂをプレス加工するに必
要な加圧力に抗しつつ、上型ホルダｂのストロー
ク又は加圧力による分、撓みあるいは下方移動し
て、ポンチ１１と下型ホルダａとは隙間ｌを確保
している。（第５図参照） さらに、上型ホルダｂが下降して行くと、該上
型ホルダｂの加圧力により、クツシヨンピン１２
のバネ力に抗してポンチ１１も下降し始めると共
に、カムスライド１５の傾斜面１５ａがカム１８
の傾斜面１８ａを摺動してリターンスプリング１
６のバネ力に抗して該カムスライド１５も内側に
移動し始め、これに伴いピアスポンチ１７も内側
に移動し、ポンチ１１が下型ホルダａの上面に当
接して、上型ホルダｂの作動が停止した時には、
ピアスポンチ１７の先端はセクシヨナルダイ２０
の貫通孔２０ａを通過して被加工物Ｂの水平方向
のプレス加工（この実施例では孔あけ加工）の作
業が完了する。（第３図参照） 尚、上記実施例では水平方向のプレス加工をピ
アスポンチによる孔あけ加工の場合で説明した
が、これに限ることなく水平方向（横方向）の成
形加工にも応用することができる。

以上述べたように本考案によれば、垂直方向の
プレス加工と水平方向のプレス加工とを、そのタ
イミングをずらして１工程中で行えるようになし
たので、セクシヨナルダイのピアスポンチ等の水
平方向のプレス加工をする加工工具と交差する部
分に切欠きを設ける必要がなく、単に該加工工具
の先端部が通過する貫通孔を穿設するだけでよい
ので、垂直方向のプレス加工が完全に行え、精度
も向上させることができるため、従来のように２
工程に分けて作業する必要がなくなり、作業能率
を向上させることができた。

又、本考案の実施例によればポンチはクツシヨ
ンスプリングによつても上方に付勢されているた
め、型保管時等クツシヨンピンを外しても、上型
ホルダを持上げればポンチも上がるので、カムス
ライドはリターンスプリングのバネ力によりカム
の傾斜面を摺動してせり上り、外方に移動するた
め、ピアスポンチ等の加工工具を破損させること
がない等の効果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の交差プレス加工装置による被加
工物のプレス加工完了時の状態を示す要部側断面
図、第２図は第１図の−線部分拡大断面図、
第３図は本考案の交差プレス加工装置による被加
工物の水平方向のプレス加工完了時の状態を示す
側断面図、第４図は第３図の−線部分断面
図、第５図は本考案の交差プレス加工装置による
垂直方向のプレス加工の略完了時点での状態を示
す要部側断面図である。 Ａは交差プレス加工装置、ａは下型ホルダ、ｂ
は上型ホルダ、１１はポンチ、１２はクツシヨン
ピン、１３はクツシヨンスプリング、１５はカム
スライド、１７は加工工具であるピアスポンチ、
１８はカム、２０はセクシヨナルダイ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 下型ホルダと上型ホルダを有し、下型ホルダ上
   には、上部に傾斜面を有するカムが固定され、か
   つ、ポンチが垂直方向に移動可能にクツシヨン材
   で弾持され、該クツシヨン材は被加工物を垂直方
   向にプレス加工する加圧力に抗しうるバネ力を有
   し、前記ポンチの側部にはカムスライドが横方向
   に移動可能に取付けられ、該カムスライドの上部
   には略水平な上部摺動面が形成され、又、前記上
   型ホルダの下面には、該上型ホルダの下降時、前
   記カムスライドの上部摺動面に当接し、該カムス
   ライドを押し下げ、かつ、該カムスライドの横方
   向の移動を許容するカムスライド押えと、前記ポ
   ンチに置かれた被加工物を垂直方向にプレス加工
   するセクシヨナルダイとが固定されていると共
   に、 前記カムスライドの前記ポンチ側には、垂直方
   向にプレス加工される被加工物の垂直部分を加工
   する加工工具が取付けられ、他側には該カムスラ
   イドの上下動にともない前記カムの傾斜面を摺動
   して横方向に案内される傾斜面が形成され、該カ
   ムスライドはリターンスプリングによりポンチか
   ら離れる方向に付勢され、かつ、前記加工工具は
   前記セクシヨナルダイに明けられた貫通孔に挿通
   可能に形成され、さらに、前記カムスライドとカ
   ムの傾斜面は、上型ホルダの下降時、カムスライ
   ド押えがカムスライドに当接し始めた後、前記加
   工工具が前記貫通孔に没し、ポンチが下型ホルダ
   に当接したとき、前記加工工具が前記貫通孔から
   突出するように形成されていることを特徴とする
   交差プレス加工装置。