JPS6125917B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は動揺板すなわち斜板がすきま容積を変
えるように駆動軸軸線に沿つて前後に動かされる
形式の回転動揺板すなわち回転斜板圧縮機に関す
る。斜板圧縮機において、斜板がシリンダブロツ
クから離されると、上死点位置におけるピストン
の先端と弁板との間のすきま容積は増加する。す
き間容積が増加すると、ピストンが吸入ストロー
クで始動するとき、吐出し圧力に加圧された多量
の加圧ガスがシリンダ内に残され圧縮機の吐出し
量は減少する。このシリンダ内に残された加圧ガ
スはピストンが吸入ストロークで移動するとき膨
張される。したがつてすき間容積が増加すると再
膨張されるガスの容積も増加する。吐出し量の減
少による損失は主に流量損失であり、圧縮力のほ
とんどは再膨張する間に回復される。

1975年１月21日に発行された米国特許第
3861829号に、駆動軸軸線に関する動揺板の傾斜
を変えるためにクランクケース圧力が制御される
圧縮機が示されている。この特許において、動揺
板（wobble plate）は、最小容積位置においてす
きま容積がほぼ零になるように軸線から隔てられ
た点で枢動される。

フランス特許第1045463号において、斜板が駆
動軸軸線の前後に動かされる液圧圧縮機が示され
ている。斜板の位置は液圧シリンダ装置およびば
ねに抗して反作用する作動ピストンに作用する吐
出し圧力によつて制御される。

1962年１月16日に発行された米国特許第
3016837号において、吐出し容積がピストンを囲
んでいる一連のスリーブを動かすことによつて変
えられ得る形式の斜板液圧ポンプが示されてい
る。

本発明は、前述の米国特許第3861829号の特徴
を有するがその圧縮機の構造およびそのための制
御機構に関して非常に簡単にされた可変容積斜板
圧縮機に関する。前記米国特許第3861829号の圧
縮機において、斜板は駆動ライン軸線に直角の位
置（無ストローク位置）から斜板か直交面にある
角度で傾斜されている他の位置（全ストローク位
置）まで動くことができるように枢着されてい
る。この米国特許の圧縮機の制御はクランクケー
ス内の圧力を変えることによつて達成され、その
圧力は、加圧ガスがピストンリングのところで漏
れることにより生起される。斜板の位置はそこに
作用する全ての力の合力によつて決定される。一
組の力は、各ピストンの下側に作用するクランク
ケース圧力によつて生起され、その結果単にクラ
ンクケース圧力を変えることによつて全ストロー
ク位置と無ストローク位置との間の斜板の中間位
置を取ることができる。

本発明において、斜板は駆動軸軸線に関して固
定した角度で保持されるが、斜板全体が軸方向に
動かされる。すなわち軸線に沿つて二つの固定位
置の間で浮動する。これは最小容量位置において
かなりのすき間容積が存在するようにピストンの
上死点位置を動かす効果を有する。蒸気は圧縮工
程中なお圧縮されるが圧縮された蒸気の流量はか
なり減少される。圧縮に関連した仕事はピストン
の吸入工程における蒸気の再膨張中に回復され
る。

本発明の圧縮機は前述の米国特許の圧縮機より
もコスト上の利点を有するが、圧縮機はほぼ零容
量では動作され得ない。しかしながら、約100％
から15％の容量の範囲で運転されるように設計さ
れ、もし15％より小さい容量が要求されるとき、
このような条件の下での圧縮機の運転を停止する
ためにクラツチが使用される。

以下図面を参照して本発明の実施例について設
明する。

第１図において、ほぼベル形をしていて１２に
おいて大きな開口端を有するハウジングすなわち
ケーシング１０を有する圧縮機が示され、その開
口端は（以下で述べる油分配通路を除いて）弁板
１４およびヘツド部材１６によつて閉じられてい
る。圧縮機の反対端（第１図において右端）にお
いて貫通する穴１８およびシール組立体２２用の
スペースを与える軸方向に伸びるボス２０を有し
ている。ハウジング１０はこのようにクランクケ
ース１１と呼ばれる密閉された容積を包囲してい
る。

駆動軸２４がボス２０に取り付けられたシール
板２６を通して伸びかつプーリ或は直結駆動装置
（図示されていない）のように駆動装置に取り付
けられるようになつている。自動車に使用する場
合、圧縮機は通常エンジン室内の補助駆動プーリ
の一つからＶベルトによつて駆動される。しかし
ながら、ある使用例においてはクラツチ部材を使
用して或は使用しないで直結駆動が望まれる。

駆動軸２４は、スラスト軸受組立体３０および
ラジアル軸受組立体３２と係合する軸受フランジ
２８が一端に形成され、そのラジアル軸受はケー
シング１０に形成された開口内に支持されてい
る。３４に示されている駆動軸の他端はシリンダ
ブロツク３８に形成された端ぐり３６内に支持さ
れていて、そのシリンダブロツクは左端において
ケーシング１０内に支持されている。ラジアル軸
受４０は駆動軸の端部を支持するように端ぐり３
６内に受けられている。

カム部材４２はボールスプライン装置を介して
駆動軸によつて駆動され、そのボールスプライン
装置において、一連の円周方向に隔てられたボー
ル要素４４（第３図）は、駆動軸２４の外面およ
びカム部材４２を貫通している穴４６の内面の形
成された対応する溝４５，４７に配列されてい
る。これによりトルクは駆動軸からカム部材に伝
えられ、かつカム部材は駆動軸上で軸方向に浮動
できる。半径方向に穴を有するスリーブ３７はボ
ールを適切に隔てかつ駆動軸２４の外径（OD）
と穴４６の内径（ID）との間の環状空間の外に
移動するのを防止する。カム部材のスリーブ部分
５５に支持されたスラスト軸受４１はカム部材が
左端位置（第１図で見て）に動いたとき、シリン
ダブロツクの中央部分と係合する。

円筒状プランジヤ４８は、駆動軸２４内の軸方
向穴４９内で摺動可能である。横ピン５１がプラ
ンジヤに固定されかつ駆動軸２４の対向する溝孔
５３（一方のみ示されている）を通して伸びてお
り、かつカム部材の円筒上スリーブ部分５５に重
なつている。ばね５７がプランジヤ４８と穴４９
の盲端５９との間に配設されそれによつてカム部
材を左（第１図で見て）に偏倚している。

カム部材４２には斜板５０が取り付けられ、そ
の斜板は、前スラスト軸受組立体５２、後スラス
ト軸受組成体５４およびラジアル軸受組立体５６
を備えている３組の軸受によつて支持されてい
る。カム部材４２の前部に案内されている均合リ
ング５８はねじ４３（第３図）によつてそのカム
部材に固定されている。前スラスト軸受組立体は
釣合リングと斜板５０との間にはさまれている。
斜板５０はボール部材６０によつて回転しないよ
う止められていて、そのボール部材はケーシング
の下部分近くで部材６３および６４によつて与え
られた軌道内で移動可能な一対のパツドすなわち
スリツパ６２（第３図）の間で留められている。
この装置はその垂直軸線と水平軸線との間の斜板
の自由度を許容するが、斜板がケーシングに関し
て回転するのを阻止する。一方、斜板をカム部材
上に支持する軸受組立体５２，５４および５６
は、カム部材が斜板に関して自由に回転できるよ
うにする。このように、カム部材は斜板の動揺運
動すなわち垂下運動を生起させる。斜板はボール
部材を通りかつそのボール部材６０を固定してい
るピン６１の軸線の回りで枢動し、かつ部材６３
および６４によつて与えられる軌動内で円弧通路
を前後に揺動する。

斜板５０はピストン７０を駆動するようになつ
ていて、そのピストンはガス作用空間７１に通さ
れたガス又は蒸気を圧縮するためにシリンダブロ
ツク３８に形成されたシリンダ７２内で往復動可
能である。連接棒７６は斜板の対応するソケツト
７８内に受けられている第１のボール端７７と、
ピストン７０の基部の対応するソケツト８２内に
収容された第２のボール端８０とが形成されてい
る。

弁板１４は、第２図に最もよく示されているよ
うに、複数の、各シリンダに対して１つの吐出し
ポート９０が設けられその吐出しポートはフラツ
パ型吐出し弁９２（一つの典型的な弁が示されて
いる）によつて被われている。各シリンダに隣接
してグループになつて配列された一連の吸入ポー
ト９４は吸入弁９６によつて被われている。弁板
の一部は一つの吸入弁９６を示すために取り除か
れて示され、その吸入弁は弁板１４の下側とシリ
ンダブロツクの上面との間で固定されている。ヘ
ツド部材１６はリブ１００が形成され、そのリブ
はヘツドを全ての吸入ポート９４と連通している
第１の内側室１０２と吐出しポート９０と連通し
ている第２の外側室１０４とに分割しているヘツ
ド部材１６の周壁１７によつて包囲された空間を
介して連続する壁を提供する。吸入弁を示すため
に取り除かれた第２図の部分において、リブ１０
０は１０１で示される破線の通路に従う。

吸入ガスは通路１０６を介して吸入管取付け具
１０８から室１０２に通されかつこのようにして
各吸入ポート９４と連通している。一方室１０４
と連通している吐出しポート９０は吐出しガスが
通路１１０を介して吐出し管取付け具１１２に流
れるようにする。

油しや断部材３１が弁板１４の表面と密封係合
して軸２４と共に回転する。傾斜穴３３は、油が
吐出し空間１０４からクランクケースに戻るのを
許容するように穴３５と間欠的に整列する。

圧縮機の容量制御は、吐出し圧力における流体
をクランクケース１１内に選択的に流すことによ
つて或はガスをクランクケースの外に流して吸入
区域内に逃がすことによつて達成される。第２図
から第４図において、圧縮機ケーシング１０の一
側部に沿つて形成された室１１４があり、その室
は吸入圧力を受けるガス充満密封ベロー１２０を
受けるようになつている。ベロー１２０には、隔
てられたランド部分１２５ａ，１２５ｂと中間溝
１２６を有するスプール１２４を備えた弁組立体
１２２が設けられている。スプール１２４は盲穴
１２８内で移動可能になつており、その盲穴に
は、ケーシングの通路１３４，１３６（第２図）
を介して吐出し圧力および吸入圧力をそれぞれ連
通する隔てられた溝１３０，１３２が形成されて
いる。スプール１２４は一端においてベロー１２
０と係合し他端においてばね１３８と係合する。
前記ばねは圧縮されていてスプールを左に（第４
図で見て）偏倚している。通常１４０および横穴
１４１はランド１２５ａと１２５ｂとの間の環状
スペースを、スプールの右端においてばね１３８
を収容している室１４３と連通している。室１４
２は通路１４４を介してクランクケース１１と連
通している。

前述からわかるように、中にベロー１２０が置
かれている室１１４は吸入室１０２と連通しかつ
したがつて常時吸入圧力で囲まれている。吐出し
圧力は溝１３０において得られ、一方吸入圧力は
溝１３２において得られる。もし吸入圧力が増加
しかつそれによつて以下で説明する吸入圧力と蒸
発器の釣合圧力との関係により追加の容量の必要
性を示すと、増加された圧力がベローの長さを縮
めるようにそのベローに作用する。圧縮機冷却サ
イクル中のあらゆる点における吸入圧力は蒸発器
内の圧力によつて決定され、その圧力は膨張され
た蒸気が圧縮される割合と同様に液体冷媒が蒸発
する割合に依存している。蒸気器内の釣合圧力は
凝縮された流体の蒸発率および圧縮機が蒸発器か
らガスを吸入する割合に依存している。通常の冷
却サイクルにおいて、上昇された圧縮機における
冷媒蒸気は凝縮器に通され、そこで冷却され液体
に凝縮される。高圧の液体冷媒は熱膨張弁を通し
て流れる。減圧された流体は熱膨張弁から蒸発器
に流れ、そこで蒸発しかつ蒸発器を通過する空気
から熱を奪う。蒸発器を通る空気の温度が上昇す
ると空気を冷却するために多量の冷媒流体を蒸発
器に送る。それ故より多くの蒸気が同じ容積に対
して供給され、それによつて蒸気圧力を上昇し、
結果的に蒸発器圧力とほぼ同じ吸入圧力を増加す
る。すなわち吸入圧力の増大は冷却の必要性の増
大および圧縮の負荷の増大を示す。弁スプール１
２４は、吐出し圧力におけるガスが溝１３０から
溝１２６および横穴１４１内にかつそれから通路
１４０、室１４２および通路１４４を介してクラ
ンクケース１１内に流れるように、ばね１３８の
力の下で左に動く、クランクケース内の加圧は、
ピストンの下側（第１図で右側）に作用する追加
の力により斜板組立体全体を駆動軸軸線上で左に
摺動させる（ばね５７によつて助けられて）。そ
れから釣合い点になり、そこにおいて、吸入圧力
は充分になりかつ斜板はこの点で安定する。

吸入圧力の減圧は、前述とは逆の理由により圧
縮機の容量を減少することの必要性を示す。この
場合、蒸発器を通る空気の温度が下がると空気を
冷却するためにより少ない流体が要求され、これ
によりより少ない流体が蒸発しかつ少量のガスが
吸入室に供給され、このガスは減圧下にある。そ
れ故、吸入ガスの減圧は要求の減少、必要な圧縮
機の容量の減少を示す。低い吸入圧力はベロー１
２０を膨張させ、スプール１２０を右に動かす。
これによりガスをクランクケース１１から次のル
ートすなわち通路１４４、室１４２、通路１４
０、溝１２６、溝１３２および通路１３６を介し
て吸入室１３６へ流す通路が開かれる。クランク
ケース内の圧力が減少すると、ピストン７０の下
側の力は解放されかつ斜板は右に（ばね５７の力
に抗して）浮動し、力が釣合い点において釣り合
うまですきま容積を増大しかつ圧縮機の容量を減
少する。

この発明は特定の実施例について記載されて来
たが、この発明の範囲をこれのみに限るものでは
ない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の原理にしたがつてつくられた
斜板圧縮機の断面図、第２図は弁板の一部を除去
した第１図の線２−２に沿つた断面図、第３図は
第１図の線３−３に沿つた断面図、第４図はハウ
ジングの一側部に位置決めされた容量制御弁組立
体の部分断面図である。 １０：ハウジング、１１：クランクケース、１
４：弁板組立体、２４：駆動軸、３８：シリンダ
ブロツク、４２：カム部材、５０：斜板、５８：
釣合リング、７０：ピストン、７１：作用スペー
ス、１１４：室、１２０：ベロー、１２２：弁組
立体、１２４：スプール。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 中の流体を圧縮するように吸入ポートおよび
   吐出しポートを協働するピストンを各々が有する
   複数のガス作用空間を限定する装置と、駆動軸
   と、前記駆動軸によつて駆動されかつ前記駆動軸
   に関して固定された角度位置を有するカム機構
   と、前記カム機構に取り付けられた斜板と、斜板
   の回転は阻止するが斜板の回転が駆動軸の軸線の
   回りで前記斜板に垂下運動を与えるように二つの
   直角の軸線の回りで制限された回転を許容するよ
   うに斜板を固定するための装置と、前記ピストン
   を前記斜板に接続するための装置と、前記カム機
   構および斜板が前記ピストンが最小の空間容積を
   有する第１の位置および前記ピストンが最大の空
   間容積を有する第２の位置から軸方向に可動であ
   るように前記カム機構および斜板を前記駆動軸に
   取り付ける装置と、ハウジング内の流体圧が前記
   ピストンの下側に加えられて前記斜板を最小すき
   ま容積位置に偏倚する力が生起させるように前記
   斜板を包囲している流体密封ハウジングと、前記
   カム機構および前記斜板を前記駆動軸上で前後に
   浮動させるように前記ピストンの各々の下側に加
   えられる圧力を変えるための装置と、圧縮機の要
   求容量に応じて前記圧力を制御するための装置
   と、を備え、この浮動させるための装置が前記ハ
   ウジングの内側すなわち閉じたクランクケースを
   吐出圧力におけるガス源と接続している通路を有
   している圧縮機。 ２ 吸入圧力が前記要求容積を示すのに使用され
   る特許請求の範囲第１項に記載の圧縮機。 ３ 前記閉じられたクランクケース内の流体圧を
   変えるための前記装置が、吸入圧内が減じたとき
   吸入するように前記クランクケースから流体圧を
   逃しかつ吸入圧力が増加したとき前記クランクケ
   ース内に吐出圧力を送るように吸入圧力に応じて
   動作可能な弁を備えている特許請求の範囲第２項
   に記載の圧縮機。