JPS6123392B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】

本発明は、スクリユー圧縮機、より詳しくは、
平行な二軸に設けた一対をなすねじ溝を有する雄
ロータと雌ロータがケーシング内で互いに噛合し
て反対方向に回転し、ケーシング内壁と前記雌雄
ロータのねじ溝と雌雄ロータ両端に設けた端壁と
で形成されるチユーブ状のロータ室作用空間が、
雌雄ロータが回転するに従い軸方向へ移動して増
加または減少し、一方の端壁に設けた吸入口から
気体を吸い込み、圧縮し、該圧縮した気体を他方
の端壁に設けた吐出口から吐出すると共に前記ロ
ータ室作用空間、及び雌雄ロータの両軸端のジヤ
ーナル軸受及び又はスラスト軸受を有する軸受部
に潤滑油を噴射、供給して各部の密封、冷却、潤
滑等の作用を行わしめる型式のスクリユー圧縮機
における前記軸受部への潤滑油の供給手段に関す
る。

【従来技術及び問題点】

従来この種スクリユー圧縮機における各ロータ
軸端の軸受部への給油は、吐出口に接続されたレ
シーバタンクおよび該レシーバタンクに内蔵のオ
イルセパレータで分離した油を、冷却した後、オ
イルポンプを介して加圧し強制的にケーシングに
設けた軸受部に至る通路から給油する等の手段に
より行われていた。この軸受に給油された油は、
該軸受部の密封、潤滑、冷却作用後、前記圧縮機
のロータ室作用空間へ回収され圧縮機より圧縮気
体とともに吐出され再度レシーバタンクおよびオ
イルセパレータにより分離されて再循環使用され
るが、従来第１図イ及びロに示すように圧縮機の
吐出側軸受部ではロータの軸端１をスラスト軸受
２に、ロータのジヤーナル部３をジヤーナル軸受
４（あるいは軸受装置）に軸承し、前記ジヤーナ
ル軸受４に至る給油通路６を端壁７内に穿設し、
前記通路６とジヤーナル軸受４の給油口８を連通
し、一方ジヤーナル軸受４はその内周面に幅方向
の数条の油溜り９を設け、この油溜り９にそれぞ
れオリフイス１０を、ロータ室作用空間と軸方向
の反対方向（図面右方向）に穿設して構成されて
おり、潤滑油は、オイルポンプより通路６及び給
油口８を介してジヤーナル軸受４の油溜り９に至
り、オリフイス１０を通過して、ジヤーナル軸受
４の潤滑、冷却及び密封等の作用の後、スラスト
軸受２へ流入し、該スラスト軸受２の潤滑等が行
われるようになつていた。 また圧縮機吸入側ではロータ軸部は第１図イ，
ロに示されているジヤーナル軸受と同様のジヤー
ナル軸受で軸支され、該ジヤーナル軸受への給油
は、吐出側と同様に行われ、吸入側軸受部の潤
滑、冷却、密封が行われていた。 しかしながら、この従来の軸受手段ではジヤー
ナル部３の作用空間側の圧力がジヤーナル部の半
径方向において反作用空間側の圧力に比べて高い
ためジヤーナル部３の半径方向作用空間側には油
が十分に供給されず軸受部の該部分が焼付くこと
があつた。特に圧縮機吐出側の軸受部では同図、
ハに示すようにジヤーナル軸受４に軸支されるロ
ータ軸すなわち、ジヤーナル部３は吐出側の作用
気体の圧縮圧力によるラジアル荷重で、吸入側
（第１図の上方）に持ち上げられるためジヤーナ
ル部の吐出側（第１図の下方）と軸受内周面との
間隙は大きくなるが、該ジヤーナル部下方は吐出
側のロータ室作用空間の作用気体圧力が作用する
ため圧力が高く、軸受部との圧力差が少ないため
充分な給油が出来ず、一方該ジヤーナル部の上方
では、吸入側のロータ室作用空間の作用気体圧力
が作用するため軸受部との圧力差は十分にあるが
軸受内周面とジヤーナル部との間隙が極めて小さ
くなるためやはり充分な給油が出来なくなること
があり、同様にジヤーナル軸受の焼付きを生ずる
ことがあつた。 特開昭50−77909号は、吐出側の軸受メタルま
たは該部のロータ軸部に、潤滑油に粘性ポンプ作
用を与えるスパイラル状の溝を形成することによ
り、潤滑油のポンプを省略して前記軸受への潤滑
油の供給及びロータ端部における吐出ガスのシー
ル作用を行わせる手段を開示しているが、この手
段では、吐出側のシール作用はともかく、軸受メ
タルの反ロータ方向に並設されるスラスト軸受へ
の給油が行われないほか、吸入側における以下の
問題を解決することが出来ない。 すなわち、圧縮機吸入側軸受部ではロータの軸
部はジヤーナル軸受に軸支され、該ジヤーナル軸
受への給油は吐出側と同様に行われるが該ジヤー
ナル軸受に給油されるオイルポンプにより加圧さ
れた油の一部が前記油溜りから、ジヤーナル軸受
内周面とジヤーナル部の間隙で、作用空間側の間
隙を通つてロータ室作用空間の吸入側に流入し、
これが圧縮機の有効吸入量の低下を起こし、性能
を高めることのできない一つの原因となつてい
た。特に作用気体としてフロンガスなどの冷媒を
用いる冷凍機の場合は、レシーバタンク内の加圧
された状態で油中に大量の冷媒ガスが溶解し、該
油が圧縮機の吸入側に流入することによつて圧力
が低下し、油中に溶けた大量の冷媒ガスが気化
し、これにより圧縮機の有効吸入量が大幅に低下
していた。このため軸受部よりロータ室作用空間
の吸入終了位置に至る通路を端壁及びケーシング
に設け軸受部へ供給された油の回収を企図したも
のがあるが構造が複雑となるほか、前述ロータ軸
へのラジアル荷重が作用する状態における軸受部
に対する充分な給油が行えず、該軸受部の焼付を
防止できないという欠点を残すものであつた。

【目的】

本願発明の目的は、上述従来技術の欠点を解消
し軸受部全般への充分な給油を行つて該軸受部の
潤滑、冷却密封を効果的に行いロータ軸受部の焼
付きを防止すると共に、吸入側作用気体温度より
高温の前記潤滑油の吸入側への流入による吸入側
作用気体の膨張による効率低下や、前記高圧の潤
滑油が低圧の吸入口に流入することによる冷媒気
化で生じる吸入側の有効吸入量の低下をも防ぐこ
とが出来る高性能なスクリユー圧縮機を提供する
ことにある。

【構成】

本発明は上記目的を達成するため、各ロータを
軸承するジヤーナル軸受の内周面幅方向に油溜り
を設け、該油溜りの反ロータ方向へオリフイスを
それぞれ設けると共に、吸入側のジヤーナル軸受
の油溜りに吸入終了直後のロータ室作用空間に連
通するオリフイスを、一方、吐出側のジヤーナル
軸受の油溜りに吐出側のロータ室作用空間に連通
するオリフイスをそれぞれ設けたことを特徴とす
る。

【作用】

前記ジヤーナル軸受の内周面幅方向に設けた油
溜りに注入され、ロータ軸の回転と共に、他の油
溜りないしは溝部にも流入した潤滑油は、オリフ
イスを介してロータ軸の反作用空間側へ、また他
のオリフイスを介してロータ軸の吐出側の作用空
間及び吸入終了直後のロータ室作用空間へ送られ
る。従つてジヤーナル軸受全域へ充分給油され、
該部の潤滑、冷却、密封を行なうと共に、反作用
空間側のオリフイスを介しスラスト軸受へ供給又
は流入した一部の潤滑油は、該部の潤滑等を行
い、適宜端壁に設けた通路よりロータ室作用空間
へ回収される。 以下本発明が実施例を示す図面にもとずき詳細
に説明される。

【実施例】

第２図ないし第５図において、油冷式スクリユ
ー圧縮機３０は、潤滑油噴射口３１をケーシング
３２に有し、ケーシング３２内の圧縮工程中の作
用空間に多量の油を噴射注入して圧縮中に発生す
る熱を奪い等温圧縮に近づけ、雌雄ロータ３３，
３４のスクリユー部３５，３８間、該両ロータ３
３，３４とケーシング３２内壁間のギヤツプを油
でシールして圧縮作用気体の漏れを減少させ潤滑
を行うことにより両ロータ軸間にタイミングギヤ
を設けずに直接雌雄ロータ３３，３４をかみあわ
せ回転可能に構成される。周知のように、雄ロー
タ３３は、スクリユー凸条を有するスクリユー部
３５、該スクリユー部と一体の軸部すなわちジヤ
ーナル部３６及び原動機に連結される軸端３７か
ら成り、雌ロータ３４はスクリユー凹条を有する
スクリユー部３８と該スクリユー部と一体の軸部
すなわちジヤーナル部３９及び軸端３７とから成
る。前記各ロータ３３，３４のスクリユー部３
５，３８はケーシング３２内のロータ室４０に収
納され各ロータ両端のジヤーナル部３６，３９を
ケーシング３２に連接した端壁４１に設けたジヤ
ーナル軸受５０にそれぞれ軸承する。尚、５５は
スラスト軸受で、吐出側の各軸端３７，３７を軸
支し、作用気体を軸方向一端側から吸入し、圧縮
して軸方向他端側へ吐出するため前記軸方向両端
側において圧力差が生じ、該圧力差で、各ロータ
全体に作用するスラスト荷重をうける。端壁４１
には注入口５３が設けてあり注入口５３は端壁内
の通路５２を介して前記ジヤーナル軸受５０の給
油口５１に臨まされ、潤滑油を注入口５３よりケ
ーシングあるいは端壁内の通路５２を経て前記ジ
ヤーナル軸受５０へ供給する。通路５２は前記軸
端３７に連通する図示せざるオイルポンプ及びレ
シーバタンクに配管接続している。 第５図イは（吐出側）ジヤーナル軸受部５０の
拡大断面図である。同図において５１は前記潤滑
油の給油口で、ジヤーナル軸受５０の内周面幅方
向に設けた数条の溝状油溜り５４の一に臨まさ
れ、前記数条の油溜り５４にはスクリユーロータ
側に向かつて同図ロに示すようにオリフイス５７
が、反スクリユーロータ側に向かつてオリフイス
６２が設けられている。 前記オリフイス５７は、これをロータ室４０内
の両スクリユーロータ３３，３４で形成される作
用空間の吸入終了直後又は吐出側及び吸入側のロ
ータ室作用空間に至るよう設けられ、またオリフ
イス６２をスラスト軸受５５を収容する端壁４１
の空間５８に至るよう設けられる。ここで、オリ
フイス５７を吐出側及び吸入側のロータ室作用空
間に至るように設けた場合の前記ジヤーナル軸受
への給油圧力について言及すれば、吐出側にオリ
フイスを連通する場合では、少なくとも吐出圧力
と同じかこれよりも高い圧力をもつて前記ジヤー
ナル軸受５０へ給油する必要があり、吸入側へオ
リフイスを連通する場合は、該吸入側圧力よりも
高い圧力をもつて給油すれば良い。ジヤーナル軸
受５０とジヤーナル部３６，３９との間には回転
許容範囲のわずかな間隙を有するが、該間隙を介
して、潤滑油の給油圧と端壁４１側の空間５８
（第２図）の圧力差によりスラスト軸受５５へも
給油が可能となる。尚、前記空間５８は圧縮機の
ロータ室作用空間に配管、接続され、前記スラス
ト軸受５５を潤滑した油は圧縮機内に回収され循
環使用される。第５図ハは他の実施例におけるジ
ヤーナル軸受の部分断面を示し、ジヤーナル軸受
５０は公知のラビリンス形シール部としての溝５
６を、ジヤーナル軸受の内周に備え、オリフイス
５７は溝部５６より作用空間側方向へ連設されて
いる。油溜り５４よりロータ軸の回転に従がい溝
部５６へ流入した潤滑油は前記溝部５６に連通す
るオリフイス５７へと侵入する。 尚、前記スラスト軸受５５には別途端板に設け
た図示せざる通路から給油することも出来る。 また付言するに、本発明において、ジヤーナル
軸受は、これを他の軸受装置をもつて代用するこ
とも実施に応じて任意である。 次に作用につき説明する。 第２図及び第５図において、今、雄ロータ３３
の軸端３７を適宜駆動機構により回転駆動せしめ
ると、雄ロータ３３と雌ロータ３４のスクリユー
部３５，３８がそれぞれ噛合し、雄ロータ３３と
共に雌ロータ３４も互いに反対方向へと回転す
る。両スクリユーロータ３３，３４の回転によ
り、吸入口６０より作用気体を吸入しスクリユー
部３５，３８のかみあいにより形成されるロータ
室作用空間に閉じ込められ、順次圧縮され、吐出
口６１より吐出される。この間、ロータ室作用空
間内にはケーシングに設けた噴射口３１より潤滑
油が噴射され前述のごとく、各部の密封、冷却、
潤滑等の作用の後、吐出口より圧縮気体と共にオ
イルセパレーターを内蔵するレシーバタンクへ送
り込まれる。 一方、前記ジヤーナル軸受には、潤滑油が図示
せざるオイルポンプにより加圧され、注入口５３
から通路５２を経て供給され、該潤滑油は、給油
口５１より前記ジヤーナル軸受５０の内周面幅方
向に設けた油溜り５４に注入され、ロータ軸３６
の回転と共に、他の油溜り乃至ラビリンス形ジヤ
ーナル軸受のシール部としての溝５６に流入し、
オリフイス６２を介してロータ軸３６の反作用空
間側へ給油され、またオリフイス５７を介してロ
ータ軸３６の作用空間側へも充分給油され、従つ
てジヤーナル軸受５０全域へ給油され、該部の潤
滑、冷却、密封作用を行なうと共に、オリフイス
５７を介しロータ室４０内の吐出側作用空間およ
び吸入終了直後のロータ室作用空間へ送られる。
又オリフイス６２を介しスラスト軸受５５へ供給
又は流入した一部の潤滑油は、該部の潤滑等を行
い、適宜端壁に設けた通路よりロータ室作用空間
へ回収される。

【効果】

本発明は以上のように、前記各ロータを軸承す
るジヤーナル軸受に給油して、前記各ジヤーナル
軸受の潤滑等を行うスクリユー圧縮機において、
前記各ジヤーナル軸受の内周面幅方向に油溜りを
設け、該油溜りの反ロータ方向へオリフイスをそ
れぞれ設けると共に、吸入側のジヤーナル軸受の
油溜りに吸入終了直後のロータ室作用空間に連通
するオリフイスを、一方、吐出側のジヤーナル軸
受の油溜りに吐出側のロータ室作用空間に連通す
るオリフイスをそれぞれ設けた簡単な構成によ
り、ジヤーナル軸受全域へ充分給油でき、軸受部
の焼付きを防止し、該部の潤滑、密封、冷却効果
が得られ、さらに、ロータ室作用空間の所望位置
に潤滑油を回収して、ロータ室内各部の潤滑、冷
却、密封作用を助長する。すなわち、第１図ハに
示すラジアル荷重状態でのジヤーナル部外周とジ
ヤーナル軸受内周面間の同図上方間隙への充分な
給油が可能となり、また、オリフイスを吸入終了
位置のロータ室作用空間に連通する位置に設ける
ことによつて、特に作用気体としてフロンガスな
どの冷媒を用いる冷凍機の場合に、吸入側作用気
体温度より高温の前記潤滑油の吸入側への流入に
よる吸入側作用気体の膨張による効率低下や、レ
シーバタンク内の加圧された状態で潤滑油中に大
量の冷媒ガスが溶解し、高圧の潤滑油が低圧の吸
入口に流入することにより油中に溶けた大量の冷
媒ガスの気化、膨張で生じる吸入側の有効吸入量
の低下をも防ぎ潤滑油を含む膨張した作用気体を
再度圧縮しなければならないという従来機におけ
る多大の無駄を省き、圧縮機の容積効率の改善、
動力損失の抑制を図ることができ、またオリフイ
スを吐出側のロータ室作用空間に連設し、同図下
方間隙へロータ室作用空間内の高圧に抗して充分
な給油が行える等極めて高性能の冷凍機用、ある
いは空気圧縮用スクリユー圧縮機を提供すること
が可能となり、実用上経済上の効果大なるもので
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のジヤーナル軸受部を示し、同図
イは要部断面図、ロはジヤーナル軸受の展開図、
ハはジヤーナル軸受及びロータ軸の断面図を示
す。第２図〜第５図は本発明の実施例を示すもの
で、第２図は第３図の−線に沿つた断面図、
第３図は第２図−線に沿つた断面図、第４図
は第３図の−線に沿つた断面図、第５図イは
要部拡大断面図、ロはジヤーナル軸受の展開図で
ある。同図ハは、ラビリンス形ジヤーナル軸受に
おける実施例を示す断面図である。 ３０……スクリユー圧縮機、３１……噴射口、
３２……ケーシング、３３，３４……ロータ、３
５，３８……スクリユー部、３６，３９……軸
部、４０……ロータ室、４１……端壁、５０……
ジヤーナル軸受、５１……給油口、５２……通
路、５４……油溜り、５５……スラスト軸受、５
６……溝部、５７……オリフイス、６０……吸入
口、６１……吐出口、６２……オリフイス。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 平行な二軸に設けた一対をなすねじ溝を有す
   る雄ロータと雌ロータがケーシング内で互いに噛
   合して反対方向に回転し、ケーシング内壁と前記
   雌雄ロータのねじ溝と雌雄ロータの両端に設けた
   端壁とで形成されるチユーブ状のロータ室作用空
   間が、雌雄ロータが回転するに従い軸方向へ移動
   して増加また減少し、一方の端壁に設けた吸入口
   から気体を吸入し、圧縮して、他方の端壁に設け
   た吐出口から吐出し、前記ロータ室作用空間に噴
   射口から油を供給し潤滑、冷却、密封を行うと共
   に、前記各ロータを軸承するジヤーナル軸受に給
   油して、前記各ジヤーナル軸受の潤滑等を行うス
   クリユー圧縮機において、前記各ジヤーナル軸受
   の内周面幅方向に油溜りを設け、該油溜りの反ロ
   ータ方向へオリフイスをそれぞれ設けると共に、
   吸入側のジヤーナル軸受の油溜りに吸入終了直後
   のロータ室作用空間に連通するオリフイスを、一
   方、吐出側のジヤーナル軸受の油溜りに吐出側の
   ロータ室作用空間に連通するオリフイスをそれぞ
   れ設けたことを特徴とするスクリユー圧縮機。