JPS6123241Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は風向調整装置に係り、特に車両内空気
吹出口等において、風向を調整するための２組の
羽根の角度を、一つのノブによる手動操作にて上
下又は左右の所望の角度にそれぞれ設定するとと
もに、自動的にも上下又は左右に首振り操作を支
障なく実施し得るようにした風向調整装置に関す
るものである。

従来より、自動車等の空気調和装置の吹出口な
どにおいて風向を自動的に変える風向調整装置
は、略直交するように配置された２組の複数枚の
羽根と、それら各組の羽根をそれぞれ連動し得る
ように回動可能に連結する連結部材とを含み、モ
ータ等の駆動系によつて上下または左右に羽根の
首振り操作を実施し得るものである。

即ち、第１図に示されるように、自動車の空気
調和装置２の枠体であるハウジング４の前方開口
部には、数枚の横に長い羽根６が互に平行にその
両端部の枢軸８にてそれぞれ枢支されている。ま
た、同じく縦に長い数枚の羽根１０がその両端部
の枢軸１２にてそれぞれハウジング４に枢支され
ている。更に、羽根６，１０は両端部におけるそ
れぞれ別の枢軸１３，１４にてそれぞれ一本の連
結桿１５，１６により所定間隔に枢着されてい
る。

また、駆動用のモータ１８の軸に固定のクラン
ク２０に立設されたクランクピン２２がアーム２
４の長手方向に直角な長孔２６に係合しており、
該アーム２４はモータ１８の回転によつてその長
手方向に往復動を与えられるようになつている。
そして、アーム２４にはまた、長手方向の長孔２
８が形成されており、連結桿１６に立設された弾
性を有する係合部材３０が長孔２８に弾性的に接
合することにより、連結桿１６とアーム２４とは
通常は一体となつているが、所定の大きさ以上の
力が長孔２８方向に作用すれば、両者間には辷り
が生じ、係合が解除されるようになつている。

このような装置では、モータ１８が回転すれば
アーム２４は連結桿１６を往復動せしめるので、
縦の羽根１０は枢軸１２回りに往復回動させられ
る。なお、通常手動とされる横の羽根８について
も必要に応じて縦の羽根１０と全く同様の駆動装
置及び連結手段によつて、同様の往復回動が為さ
れ得るのである。

ところで、このようなモータ等の駆動装置によ
つて羽根を連続的、自動的に往復回動せしめる代
りに、例えば車内の特定の対象に向けて風向を固
定したい場合など、モータ等を使用せずして手動
にて羽根の所定の角度に設定することを必要とす
る場合がある。

このような場合には、ハウジング４の前面の羽
根は直接手による角度調整も可能であるが、奥の
方にある羽根は指が入り難くて調整が困難であ
る。従つて、ハウジング４の下部若しくは側部に
特別な機構をもつノブをそれぞれ設けて、別々に
これらを操作して角度調整を行なうなどが必要と
されたのである。しかも、この手動の装置が駆動
装置を用いた自動往復回動時における大きな抵抗
となつて装置の作動を阻害し、または装置の破損
の原因となるなどの虞があつたのである。

本考案は、かかる事情に鑑みて為されたもので
あつて、風向調整装置の２組の羽根の手動による
角度調整を一つのノブを用いて実施し得るととも
に、該羽根の自動的な往復回動時には該手動の角
度調整装置が何等支障となることのないようにし
た風向調整装置を提供することを目的とするもの
である。

そして、かかる目的を達成するために、本考案
は、所定の風が吹き出されるべきハウジングの開
口部内に、互に平行に且つそれぞれ左右方向に回
動可能に設けられた複数枚の第一の羽根と該第一
の羽根の前方若しくは後方に位置して互に平行に
且つ上下方向に回動可能に設けられた複数枚の第
二の羽根とを有し、これら複数枚の第一及び第二
の羽根をそれぞれ連動して回動せしめて所定の方
向に風を吹き出させるようにした風向調整装置に
おいて、該第一及び第二の羽根のうち前方に配置
されたものの１枚に対してその長手方向に移動可
能に手動ノブを取り付けると共に、該手動ノブの
後端部分に、前記後方に配置される羽根の前端部
分を収容し且つ回動によつて該前端部分が干渉し
ない大きさの凹部を設けたことを特徴とするもの
である。

かくして、かくの如き本考案に従えば、単一の
ノブを手動にて操作することによつて第一、第二
の羽根をいずれも所望の角度に設定し得るのみな
らず、後方の羽根を自動的に往復回動せしめる場
合にも、前方の羽根に取り付けた手動ノブがその
回動運動の支障となることがなく、更には必要に
応じて第一、第二の羽根を自動的に往復回動せし
める場合にも同様であつて、それ故に故障の低
減、耐久性の向上が達成され得ることとなつたの
である。

しかも、本装置は、構造が極めて簡単で、構成
部材数も少数で、設置に場所をとらず、且つその
操作も容易である等の優れた効果をも奏するもの
である。

以下、本考案の実施例を、図面に基づいて更に
詳細に説明することとする。なお、第２図におい
て第１図と同一の番号を付した部材は第１図にお
ける部材と同様な機能を有するため詳細な説明は
省略する。

先ず、第２図に示される風向調整装置である自
動車の空気調和装置４０において、数枚の横に長
い羽根６（第二の羽根）とその後方に数枚の縦に
長い羽根１０（第一の羽根）がハウジング４の前
方開口部に枢支されており、モータ１８の回転に
より往復動を与えられるアーム２４は、従来のよ
うに連結桿１６と弾性的に接続され、そして該連
結桿１６は縦の羽根１０を枢支してこれを往復回
動せしめ得るようになつている。なお、連結桿１
６とアーム２４とは通常は一体となつているが、
所定の大きさ以上の力が作用すれば、両者間に辷
りが生じ、その係合が解除されるようになつてい
る。また、通常は手動とされる横の羽根８につい
ても、必要に応じて縦の羽根１０と全く同様の駆
動装置及び連結手段によつて往復回動が為される
ことは前述の第１図の場合と同様である。

このような構成において、横の羽根６と縦の羽
根１０のうち前方に配置された横の羽根６の１枚
に対して、その長手方向に移動可能に手動ノブ４
２が取付けられている。即ち、手動ノブ４２に設
けられた貫通孔４４には横の羽根６が挿通され、
手動ノブ４２は横の羽根６に沿つて摺動し得て、
任意の位置で保持され、且つこの手動ノブ４２を
指にて回動させることによつて横の羽根６を枢軸
８回りに所定角度回動させることができるように
構成されている。

また、手動ノブ４２の後端部分、即ち後方に位
置する縦の羽根１０に近い端部には、Ｕ字形の凹
部４６が形成されている。そして、この凹部４６
は縦の羽根１０の前端部分４８を収容し得る深さ
Ｄを有し、且つ前端部分４８の回動幅Ａよりも大
きな幅Ｂを有している。従つて、該凹部４６は前
端部分４８の回動によつて該前端部分４８が干渉
しないようになつている。換言すれば、第４図に
示されるように、連結桿１６が右方の限度まで移
動した実線の羽根１０の位置と、左方の限度まで
移動した点線の羽根１０の位置との間で羽根１０
が回動するとき、先端部分４８は所定位置の手動
ノブ４２に干渉することはないのである。また、
手動ノブ４２が横の羽根６と共に枢軸８の回りに
回動する場合においても、全く同様に前述の先端
部分４８との干渉が起きることはないのである。

一方、所定角度に羽根角度を設定する場合に
は、第５図に示されるように、手動ノブ４２を横
の羽根６に沿つてスライドさせ、係合部材３０を
弾性力に抗して辷らせて、縦の羽根１０の角度を
所望の角度となすことができ、更にこの状態から
横の羽根６を枢軸８のまわりに所定角度回動させ
ることも容易に可能である。

次に、第５図の状態から自動的な回動運動に移
行する場合には、手動ノブ４２は実線位置より点
線位置まで縦の羽根１０の先端部分４８によつて
当初において移動させられた後では、その位置に
保持されるのであり、この位置ではその後の回動
運動において最早縦の羽根１０との干渉が起きる
ことはないのである。

このように、単一の手動ノブ４２を横の羽根６
に沿つて移動させるか、または枢軸８の回りに回
動させることによつて、縦の羽根１０または横の
羽根６をそれぞれ所望の角度に設定することが可
能となるのであり、また後方の羽根１０を自動的
に往復回動させる場合にも、当初手動ノブ４２が
所定位置まで移動させられた後は、手動ノブ４２
が回動運動の支障となることはなく、回動する羽
根１０との干渉も生起しないので、風向を左右に
誘導する首振り操作を極めて円滑に実施し得て、
故障の低減、耐久性の向上を達成せしめ得るので
ある。そして、本装置は、構造が簡単で、構成部
材数も少数で、設置に場所をとらず、且つその操
作も容易な空気調和装置４０を提供し得ることと
なつたのである。

なお、上述の実施例においては、自動車の空気
調和装置について説明したのであるが、本考案は
何等これに限定されるものではなく、所定の風が
吹き出されるべき風向調整装置にして、それぞれ
複数枚の互に平行な第一の羽根と第二の羽根とを
それぞれ連動して回動せしめて所定の方向に風を
吹き出させるようにしたものであればよい。

また、横の羽根６を前方に、縦の羽根１０を後
方に配置した例を示したが、縦の羽根を前方に、
横の羽根を後方に配置してもよいのであり、この
場合、手動ノブ４２は前方の縦の羽根に設置する
ことは勿論である。

その他、本考案には、その趣旨を逸脱しない限
りにおいて当業者の知識に基づいて種々なる変
更、修正等を加え得ること、また言うまでもない
ところである。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の風向調整装置の要部斜視図であ
り、第２図は本考案にかかる風向調整装置の一実
施例を示す第１図に相当する図面、第３図はその
要部平面図である。第４図は縦の羽根角度の両限
度と手動ノブの関係を示す平面図、第５図は手動
ノブ４２による縦の羽根１０の角度操作及び縦の
羽根１０の自動的回動運動による手動ノブ４２の
移動状況を示す平面図である。 ４：ハウジング、６：横の羽根、１０：縦の羽
根、４０：空気調和装置、４２：手動ノブ、４
６：凹部、４８：前端部分。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 所定の風が吹き出されるべきハウジングの開口
   部内に、互に平行に且つそれぞれ左右方向に回動
   可能に設けられた複数枚の第一の羽根と該第一の
   羽根の前方若しくは後方に位置して互に平行に且
   つ上下方向に回動可能に設けられた複数枚の第二
   の羽根とを有し、これら複数枚の第一及び第二の
   羽根をそれぞれ連動して回動せしめて所定の方向
   に風を吹き出させるようにした風向調整装置にお
   いて、 該第一及び第二の羽根のうち前方に配置された
   ものの１枚に対してその長手方向に移動可能に手
   動ノブを取り付けると共に、該手動ノブの後端部
   分に、前記後方に配置される羽根の前端部分を収
   容し且つ回動によつて該前端部分が干渉しない大
   きさの凹部を設けたことを特徴とする風向調整装
   置。