JPS6113305Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は防湿、防水性にすぐれ、基体に対して
接着性がすぐれ、かつ硬質合成樹脂発泡断熱板製
造時に使用し易く、製造された断熱板の反りも少
ない硬質合成樹脂発泡断熱板用表面材に関する。

従来より、硬質合成樹脂発泡体を芯材として使
用した硬質合成樹脂発泡断熱板は、軽量でかつ高
強度、高断熱を有するが故に幅広く使用されつつ
ある。

しかしながら、芯材として使用する硬質合成樹
脂発泡体はそれ自体僅かではあるが吸湿性、透湿
性があるので合成樹脂発泡断熱板を構成させる場
合には、防湿、防水層を形成する必要があつた。
従来はこの防湿、防水層を主としてポリオレフイ
ン系合成樹脂フイルムで形成しており、このポリ
オレフイン系合成樹脂フイルムで形成される防
湿、防水層は、芯材である硬質合成樹脂発泡体の
吸湿、透湿を有効に防ぐものではあるが、反面表
面が吸湿せず、不活性であるため接着剤、特にセ
メント系接着剤、石膏系接着剤、水ガラス系接着
剤等の水溶媒型接着剤による合成樹脂発泡断熱板
同志の貼り合せや、他の建築材料及び建物躯体と
の接着が不可能であり、又、コンクリート打設時
に、コンクリートと一体接着させることも下可能
であつた。それ故、従来の防湿、防水層を設けた
硬質合成樹脂発泡断熱板はその使用用途に大きな
制限を受けるものであつた。

この従来の硬質合成樹脂発泡断熱板の防湿、防
水性表面材の有する欠点を改善する目的で実開昭
54−171493号に開示されているように、石綿紙と
可撓性シートとを接着剤で貼着し、該可撓性シー
ト表面に防湿性合成樹脂フイルムを接着積層して
なる表面材が開発された。

しかしながら、実開昭54−171493号に開示され
た表面材は石綿紙と防湿性合成樹脂フイルムとの
間に、クラフト紙が補強材として介在するので表
面材の引張強度は高く、長尺の表面材を引張りな
がら、該表面材上に発泡性合成樹脂原料を塗布
し、発泡させつつ表面材を貼着した断熱板を得る
のに好適である反面、クラフト紙は吸湿性を有す
るので石綿紙を通して吸湿した水分により、クラ
フト紙が寸法変化を起こしたり、クラフト紙のと
ころから層間剥離を起こす等の大きな欠点があつ
た。

またこのような層間剥離の欠点を解消させるた
めにクラフト紙を使用せず石綿紙と防湿性合成樹
脂フイルムのみを接着積層させた表面材も使用さ
れたが、補強材がないため引張強度が小さく、断
熱板の連続製造には不適であつた。さらに石綿紙
の代りに不織布を接合層として使用し、クラフト
紙、防湿性合成樹脂フイルムを順次接着積層した
表面材も使用されたが、引張強度は高くて断熱板
の連続製造には耐える反面、やはりクラフト紙の
ところから吸湿、吸水により層間剥離を起こす大
きな欠点があつた。

本考案はこれら従来の硬質合成樹脂発泡断熱板
用表面材の有する欠点を全部解消したもので、防
湿、防水性にすぐれるだけでなく、反りがなく、
コンクリート、モルタル、プラスターなどに対し
ても接着性がすぐれ、かつ引張強度が高くて硬質
合成樹脂発泡断熱板の連続製造に際して好適な表
面材を提供するものである。

すなわち本考案の硬質合成樹脂発泡断熱板用表
面材１は、表面材上に硬質合成樹脂発泡体用原料
を塗布し、発泡させつつ硬質合成樹脂発泡断熱板
を連続的に製造するに際し使用する表面材におい
て、石綿50％以上を含有する石綿紙の片面に不織
布全体を埋没させた防湿性合成樹脂フイルムを接
着積層してなるものである。石綿紙２は目付量80
ｇ／m³以上の軽量のものでよく、パルプ含有量は
10％以下のものが好ましい。パルプ含有量が10％
を越えた合には、コンクリートやモルタル、プラ
スターなどを石綿紙２側に塗り付けたり、水溶媒
型接着剤を使用した場合湿分を吸湿し易く伸縮が
発生し、断熱板の表面材として使用すると断熱板
の反りの原因となり好ましくない。また目付量が
80ｇ／m²未満の場合には石綿紙の強度が弱く加工
工程で切断したり、断熱板の反りが発生する場合
があるので好ましくない。強度を向上させ、反り
を少なくするためには目付量100ｇ／m³以上のも
のが好ましい。

不織布３は目付量50ｇ／m²以下の軽量で粗目の
ものが良く、防湿性合成樹脂フイルム４が充分に
不織布３の目に食い込み、不織布３が該フイルム
４中に埋没一体化した状態にし易い。不織布３は
合成繊維不織布またはガラス、合成繊維混抄不織
布が使用できる。

防湿性合成樹脂フイルム４としてはポリエチレ
ンフイルム、ポリプロピレンフイルム、ポリ塩化
ビニリデンフイルム、ポリエステルフイルムなど
防湿性を有するものであれば何でも使用できる。
なかでも合成樹脂発泡体と接着性が良好なポリエ
チレンフイルムが好ましい。防湿性合成樹脂フイ
ルム４の厚さは15〜80μｍ、好ましくは25〜40μ
ｍである。

防湿性合成樹脂フイルム４と不織布３は、不織
布３が実質的に防湿性合成樹脂フイルム４中に埋
没状態に一体化されていることが必要である。防
湿性合成樹脂フイルム４の断熱板の硬質合成樹脂
発泡芯材５と接する面は不織布３が露出してな
く、合成樹脂面であるが、この面上に発泡性合成
樹脂原料を塗布した際、塗布の均一性やしみこみ
防止上好ましく、また湿分に対する透過抵抗値も
高くなるが、若干不織布３が露出しても実質的に
は殆ど変りがなく、実用に供せる。

本考案の表面材１は、第４図に示すように長尺
の石綿紙２を移動させながら、その表面上にエク
ストルーダー６から押し出した軟化合成樹脂フイ
ルム４を当接し、さらに不織布３を該合成樹脂フ
イルム４上に当接してこれらを圧着することによ
り、不織布３は軟化合成樹脂フイルム４中に埋め
込まれ、軟化合成樹脂フイルム４は石綿紙２と一
体に接着積層される。また第５図に示すように石
綿紙２上に不織布３を当接し、その上に軟化合成
樹脂フイルム４を当接し、圧着することによつて
も同一構造の表面材が得られる。又、より高い防
湿効果を得るために予じめ石綿紙の不織布と防湿
層を積層する面に一層ポリエチレン等の防湿層を
設けておいてもよい。このようにすれば本考案の
表面材１は容易に得られるが、これらの製造方法
によつて得られた表面材１に限定されるものでは
ない。

本考案の表面材１は、その防湿性合成樹脂フイ
ルム４側に発泡性合成樹脂原料を塗布し、発泡さ
せて硬質合成樹脂発泡芯材５を形成させるもので
あるが、このような硬質合成樹脂発泡芯材５とし
ては、硬質ウレタン発泡体、硬質イソシアヌレー
ト発泡体、硬質エポキシ発泡体、フエノール発泡
体、尿素樹脂発泡体などが使用できる。

本考案の表面材１を使用する硬質合成樹脂発泡
断熱板は第２図に示すように硬質合成樹脂発泡芯
材５の片側表面に本考案の表面材１を接着積層
し、他側表面には用途に応じた適宜表面材７を接
着積層しても使用できる。適宜表面材７としては
石膏ボード、石綿スレート板、硅酸カルシウム
板、パーライト板のほか鉄板やアルミニウム板等
の金属板などの無機質板やプラスチツクを素材と
する壁紙、繊維を素材とする壁紙の他、木板、レ
ザー、各種の布帛等一般に使用されている装飾シ
ートが使用できる。第２図に示した使用例の場
合、硬質合成樹脂発泡断熱板の表面材１側に建物
の壁や天井、床を構成すべきコンクリートを直接
打込み、コンクリートの硬化によつて建物躯体表
面に接着することができる。あるいは建物躯体表
面にセメント塗りをし、このセメント上に当接し
て、セメントの硬化によつて接着することもでき
る。もちろんプレキヤストコンクリートや合板、
下地板などのあらかじめ形成された建物躯体表面
に通常使用される接着材を使用して接着すること
もできる。上記の場合適宜表面材７がそのまま建
物の内装となるものである。

また内装仕上げをコンクリート、セメント、プ
ラスターなどの硬化性無機物で行なう場合には、
第３図に示すように硬質合成樹脂発泡芯材５の両
側表面に本考案の表面材１を石綿紙２を外側にし
て接着積層した断熱板が好適である。前例と同様
に建物躯体に断熱板を接着したのち、建物内側に
あらわれている表面材１上に硬化性無機物を塗
り、表面仕上げをすることができる。

本考案の表面材は特に引張強度が高いのが特徴
である。石綿紙２の片側表面に接着した防湿性合
成樹脂フイルム中に埋没一体化された不織布が有
効な補強効果を有するからである。またこのため
外部からの熱、湿分などの影響による表面材の寸
法変化が小さく、寸法安定性が良い。

従つて本考案の表面材は長尺の表面材を引張り
ながら移動させ、表面材上に発泡性合成樹脂原料
を塗布し、発泡させて連続的に硬質合成樹脂発泡
断熱板を製造するのにきわめて好適であり、製造
中表面材が切断することもなく効率良く製造がで
き、また表面材を引張つても伸びないので、表面
材が接着積層された断熱板の表面材には製造過程
の引張りによる伸びの残有復元力がなく、かつ寸
法安定性も良いので、断熱板はきわめて反りにく
くなるものである。

また本考案の表面材は石綿紙と不織布を埋没し
た防湿性合成樹脂フイルムとの２層の接着積層材
であり、クラフト紙が介在しないので吸湿により
層間剥離を起すこともない。

以上のように本考案の表面材は、これを使用し
て硬質合成樹脂発泡断熱板を製造するに際しては
扱い易く効率良く製造ができ、これを使用した硬
質合成樹脂発泡断熱板は反りにくく、コンクリー
ト、モルタル、プラスターなどときわめて接着性
が良好であるなど実効のあるものである。

〔実施例〕

石綿74％、パルプ10％含有する目付量100ｇ／
m²の石綿紙と、スパンボンド法によつて得た目付
量25ｇ／m²のポリエステル不織布およびポリエチ
レンの30μ厚さの押出しラミネーシヨンによつ
て、第４図または第５図に示す方法によつて接着
積層させ表面材を得た。不織布はポリエチレンフ
イルムの中に充分埋没状態に一体化されていた。
この表面材の引張強度は7.8Kg／15mm幅、透湿度
は0.9ｇ／m²hrであり、引張り連続製造に充分耐
えるものであつた。

〔比較例〕

石綿76％、パルプ５％含有する目付量180ｇ／
m²の石綿紙の片側表面にポリエチレンを押出しラ
ミネーシヨンにて30μ厚さで接着積層し、表面材
を得た。この表面材の引張強度は4.3Kg／15mm
幅、透湿度は0.4ｇ／m²hrであり、このものを用
いて断熱板の引張り連続製造を行なつたところ非
常に切断し易く、上下面材のテンシヨン調整で製
品の反りを矯正する範囲が狭く、安定した反りの
ない製品を得るのが困難であつた。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案表面材の横断面図、第２図、第
３図は表面材を使用した断熱板の説明図、第４
図、第５図は表面材の製造説明図である。 １……表面材、２……石綿紙、３……不織布、
４……防湿性合成樹脂フイルム、５……硬質合成
樹脂発泡芯材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 表面材上に硬質合成樹脂発泡体用原料を塗布
   し、発泡させつつ硬質合成樹脂発泡断熱板を連続
   的に製造するに際し使用する表面材において、石
   綿50％以上を含有する石綿紙の片面に不織布全体
   を埋没させた防湿性合成樹脂フイルムを接着積層
   してなる硬質合成樹脂発泡断熱板用表面材。