JPS606571Y2 - エンジンの潤滑油圧送ポンプの取付装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、２サイクルエンジンの分離潤滑、または４サ
イクルエンジンの強制潤滑などに使用する潤滑油圧送ポ
ンプへの伝動装置に関し、クランク軸が右回転するエン
ジンでも、左回転するエンジンでも、同じ伝動部品と同
じポンプを使って、ポンプを正転駆動できるようにする
ことにより、部品の共通による生産コストの低減を図る
ことを目的とする。

エンジンには、使用目的によりクランク軸が右回転する
ものと左回転するものとがある。

この場合、同じ潤滑油圧送ポンプを同じ伝動部品で駆動
しようとすると、そのポンプが右回転エンジンで正転す
る場合、左回転エンジンで逆転することになり、潤滑油
を圧送できなくなる。

このため、従来では、上記の左回転エンジンの場合、ポ
ンプを正転させるために、回転方向の異なるポンプを使
用するか、ポンプへの伝動機構中に逆転伝動装置を介装
するかしており、エンジンの製造コストが高くついてい
た。

本考案は、上記欠点を解消するために、ポンプをエンジ
ンの回転軸に伝動させる部品としてウオーム伝動機構を
用い、その主動ウオームに対して従動ウオームギアを、
例えば上から咬合せれば正転伝動になり、下から咬合せ
れば逆転伝動になるというウオーム機構の特殊な性質を
利用してウオームギアをウオームに逆転伝動状に咬合せ
るだけで上記の左回転エンジンの場合でも回転方向の異
なるポンプを使用したり、逆転伝動装置を介装したりし
なくても済むようにしたものである。

以下、本考案の実施例を図面に基き説明する。

第１図は強制空冷縦形２サイクルエンジンの縦断正面図
を示し、このエンジンＥは、クランク軸を枢支するクラ
ンクケース２の上部にピストン３を上下摺動自在に収容
するシリンダ４を鋳込んだシリンダブロック５を載置固
定した周知構造の２サイクルエンジンであり、このピス
トン３とシリンダ４間、クランク軸１とフンロッド６間
、及びクランク軸１とクランクケース２間の各潤滑部Ｒ
の潤滑方式は潤滑油をポンプＰで各潤滑部Ｒに圧送する
、いわゆる分離潤滑方式がとられている。

即ち、クランクケース２の後側壁２ａに突出するクラン
ク軸１に固着したウオーム７に回転取出装置８をそのウ
オームギア９が咬合う状態に固定し、ウオームギア９の
出力軸端部９ａに潤滑油圧送ポンプＰの入力軸１０が嵌
合するように潤滑油圧送ポンプＰの本体１１を回転取出
装置８のケース本体１２に取付けである。

この回転取出装置８にはウオーム伝動機構Ｗが設けてあ
り、これは第２図及び第３図に示すように、クランク軸
１にウオーム７を固着するとともに、このウオーム７に
咬合うウオームギア９とからなる。

回転取出装置８は前記のウオーム伝動機構Ｗの周囲を覆
う状態にケース本体１２を形成し、このケース本体１２
には上部と下部とに、その底部がウオームギア９の軸枢
支穴１３を有するウオームギア挿入穴１４が設けである
。

このようにしたケース本体１２のウオームギア挿入穴１
４の開口１５側からウオームギア９を挿入し、この出力
軸９ｂを軸枢支穴１３に枢支させた後、出力軸９ｂの他
端部９ａをベアリング１６でウオームギア挿入穴１４の
開口部１５に支持させて、ストップリング１７でベアリ
ング１６をウオームギア挿入穴１４に固定する。

そしてケース本体１２より突出した出力軸９ｂの端部の
スプライン部１８に潤滑油圧送ポンプＰの入力軸１０の
スプライン孔１９を嵌合させてた後、潤滑油圧送ポンプ
Ｐの本体１１をケース本体１２のポンプ取付面１２ａに
ビス２５止めして潤滑油圧送ポンプＰの取付けを終る。

潤滑油圧送ポンプＰは第４図に示すようにポンプケーシ
ング１１の内部にギア２０を二つ並べて構成したギアポ
ンプであり、ギア２０の中央には前記の出力軸９ｂのス
プライン部１Ｂが嵌合するスプライン孔１９が設けであ
る。

そして、エンジンＥのクランク軸１が第２図仮想線で示
すように左回転するとウオーム７で回転させられるウオ
ームギア９の出力軸９ｂは右回転し、潤滑油圧送ポンプ
Ｐは潤滑油タンク２１から、潤滑油供給管２２を通じて
潤滑油を吸い込み、第４図の矢印で示すように流れ、潤
滑油圧送管２３でエンジンＥの各潤滑部Ｒに潤滑油を圧
送する。

エンジンＥの回転方向が右回転するものである場合、潤
滑油圧送ポンプＰをケース本体１２の下部のポンプ取付
面１２ｂに潤滑油圧送ポンプＰが前述の潤滑油圧送ポン
プＰと同様の手順で取付けられる。

すると、クランク軸１が第２図仮想線の矢印Ｂで示すよ
うに回転し、ピニオンギア９及び出力軸９ｂは右回転す
るので潤滑油圧送ポンプＰ内の潤滑油の流れは前述と同
じように流れる。

尚図中符号２４は、下部のピニオンギア挿入穴１４の開
口を塞ぐ蓋である。

また、第４図中、仮想線図で示すように、エンジンＥの
回転方向によって潤滑油圧送ポンプＰを横へずらせて取
り付はピニオンギア９の回転軸端のスプライン部１８と
これに咬合うギア２０からもう一方のギア２０にスプラ
イン部１８を嵌合させかえることによっても同一回転方
向の潤滑油圧送ポンプＰをエンジン回転方向の異なるエ
ンジンＥに共用することも考えられる。

第５図に示すものは、ピニオンギア９の出力軸９ｂの両
端にスプライン部１８を設は潤滑油圧送ポンプ９をエン
ジンＥの回転方向に応じて、いずれか一方のスプライン
部１８に挿し替えて他方の取付面１２ｂに固着するよう
にしたものである。

このようにした場合、回転取出装置８のケース本体１２
を小形に形成することができる。

本考案は以上に述べたように構威し、作用するのでエン
ジンの回転方向が異なる場合でも、同じ伝動部品と同じ
ポンプを使用することができ、部品の共通による生産コ
ストの低減が図れる。

しかも、エンジンの回転方向にかかわらず、伝動部品及
びポンプが一種類で共用できるので組付間違がない。

また、以上の効果を奏するための構造も、回転軸に設け
たウオームに対してウオームギアの咬合位置を変更させ
られるようにするだけの簡単な構造で安価に実施するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図は強制空冷縦形２
サイクルエンジンの縦断正面図、第２図は第１図■−■
線断面図、第３図は要部拡大図、第４図は第２図ＩＶ−
ＩＶ線断面図、第５図は別実施例を示す第２図相当図で
ある。 Ｐ・・・・・・潤滑油圧送ポンプ、Ｅ・・・・・・エン
ジン、Ｒ・・・・・・Ｅの各潤滑部、Ｗ・・・・・・ウ
オーム伝動機構、１・・・・・・クランク軸、７・・・
・・・ウオーム、９・・・・・・ウオームギア、１２・
・・・・・ケース壁、１４・・・・・・組込穴。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ エンジンＥの各潤滑部Ｒに潤滑油を圧送する潤滑油
   圧送ポンプＰをエンジンＥの回転軸１にウオーム伝動機
   構Ｗを介して連動連結し、ウオーム伝動機構Ｗを覆うケ
   ース壁１２にウオームギア９の組込穴１４を２種明け、
   回転軸１に設けたウオーム７にウオームギア９を、一方
   の組込穴１４から挿入して咬合せる場合と、他方の組込
   穴１４から挿入して咬合せる場合とでは、回転軸１から
   ポンプＰへの伝導の回転方向が互いに異るように構成し
   た事を特徴とするエンジンの潤滑油圧送ポンプの取付装
   置。 ２ 実用新案登録請求の範囲第１項に記載したエンジン
   の潤滑油圧送ポンプの取付装置において、エンジンＥが
   分離潤滑式２サイクルエンジンであるもの