JPS6041237B2 - スクロ−ル型流体装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は容積式流体装置、特に一対のうず巻体を互いに
角度をずらせてかみ合せ、かつ相対的な円軌道運動を加
え、両うず巻体間に形成される密閉空間を低圧領域より
高圧領域に移動させることにより流体を圧縮するように
したスクロール型流体装置に関するものである。

このようなスクロール型流体装置は、米国特許第８０１
１８２言明細書等によって開示され、その動作原理は良
く知られている。

ところでこのようなスクロール型流体装置は、両うず巻
体間に形成される流体ポケットの移動による容積の変化
によって流体の圧縮を行なっている。

この流体ポケットは、両うず巻体の接線方向の接触と各
うず巻体の軸方向端面と他方の側板の表面との接触によ
って両うず巻体闇に形成され、接線方向の接触部は一方
のスクロール部材の円軌道運動によって摺動しながら移
動することとなる。従って流体圧縮を確実に行なうため
には、摺動接触部のシールが確実に行なわれる必要があ
る。

このため各うず巻体の軸端面にシール部材（以下チップ
シールと呼ぶ）を配設し、そのチップシールを対向する
スクロール部材の側板に押圧するようにした構造が米国
特許第３９９４６３６号に開示されている。このような
チップシールを用いた構造にあっては、チップシールと
側板の間の摺動による側板の摩耗が問題となる場合があ
り、このためうず巻体壁間に側板を覆うように耐摩耗性
を有する板を配設することによって摩耗を防ぐ構成が知
られている。ここで一方のスクロール部材の側板の中央
部には、流体ポケット内の流体を排出するた夕めに貫通
孔が穿設されており、この貫通孔は一般にドリルあるい
はエンドミルによって形成されるため第１図に示すよう
なうず巻体の内端壁面に沿った円形状となり、この貫通
孔Ａに対向する耐摩稀性板２３′にも同形状の通気孔２
３１′を穿設して流体ポケットと外部流体回路を蓮通さ
せていた。このような構造を圧縮機として用いると、側
板１５１′に穿設した貫通孔Ａの占有領域が第２図に示
すように広くなるため、貫通孔Ａを穿設したスクロール
部村１５′と対向するスクロール部材のうず巻体１６２
′の内端が貫通孔Ａの一部に対向する位置に達する時期
が早くなり「 これによりうず巻体の中央部に形成され
る高圧流体ポケット内の高圧流体が完全に排出される以
前に中間圧力にある隣接の流体ポケットＢに逆流するタ
イミングが早くなるため、再膨張する残留流体が増加し
圧縮動力損失が大きくなる欠陥を有するものであった。

また第３図に示すようにうず巻体中央部のシ−ル性を向
上させるためチップシール２８′をうず巻体１６２′の
最内端付近まで延在させる構成とすると、貫通孔Ａがう
ず巻体１５２′の内端に穿設されているため、チップシ
ール２０′と貫通孔Ａが干渉してチップシール２０′が
損傷してしまうので、チップシール２０′の配談位置が
限られてしまうという欠陥を有するものであった。した
がって本発明の目的は〜貫通孔をうず巻体に一部食い込
ませ、圧力損失を増大させることなく再膨張容積を減少
させたスクロール型流体装置の提供にある。さらに本発
明の他の目的は、うず巻体の中央端部を所定の強度度に
保ちつつ上言己目的を達成することにある。

また本発明は、上記各自的を達成するばかりか、製造も
容易なスクロール型流体装置の提供を目的とする。本発
明によれば、第１の板体の一面上に第１のうず巻体を配
設した固定スクロール部材と、同様に第２の板体の一面
上に第２のうず巻体を配設し３た可動スクロール部材の
両うず巻体を互に角度をずらせ、かつ両うず巻体側壁が
接触するように配設し、固定スクロール部村を円軌道上
を公転運動させて両うず者体間に形成される密閉された
流体ポケットを中央部に向けて移動させることによつ字
て流体ポケット内の容積を徐徐に減少させるスクロール
型流体装置において、上記固定スクロール部材は、上言
己第２のうず巻体の中央端部の内壁に形成され、上記第
１のうず巻体の中央端の移動時の包絡線に多くとも一致
するまで出張った出張り部と、上記第２のうず巻体の中
央端近傍の内壁面の上記第２の板体に隣接した位置に形
成された凹部と、上記第２の板体の上記凹部に対応した
位置に形成された貫通孔とを有し、上記凹部と上記貫通
孔とで圧縮流体のための吐出孔を形成していることを特
徴とするスクロール型流体装置が得られる。

以下、本発明を実施例を示す図面を参照して説０明する
。

第４図は本発明の−実施例を用いたカークーラ用圧縮機
の縦断面図で、圧縮機１‘まフロントエンドプレート１
１とこれに設置されたカップ状部分１２とから成る圧縮
機ハウジング１０を有している。

フロントエンドプレート１１は、中央部に中心孔を有し
、該中心孔内にボールベアリング１３を配設することに
よ，って中心孔を貫通する主軸１４を回転自在に支承し
ている。また圧縮機ハウジング１０内には、固定スクロ
ール部材１５と可動スクロール部材１６とが配設されて
いる。

ここで、固定スクロール部材１５は側板１５１とその一
面上に設けたうず巻体１５２及び該うず巻体１５２を固
着した面とは反対側の側板上に設けた脚部１５３とより
構成され「該脚部１５３をカップ状部分１２の外方より
カップ状部分を貫通して螺合する複数のボルト１７によ
って、カップ状部分１２の底部１２１上に固定する。な
お、カップ状部分１２内に固定された固定スクロール部
材１５の側板１５１は、その外側面とカップ状部分１２
の内壁間をシールすることによってカップ状部分１２の
内部空間を吸入室１８と吐出室１９とに仕切っている。
側板１５１の中央部には流体ポケット内の圧縮された流
体を吐出室１９へ吐出させる貫通孔１５４を穿設してい
る。

可動スクロール部材１６は側板１６１とその−面上に設
けたうず巻体１６２とより構成され、該うず巻体１６２
は「前述した固定スクロール部村１５のうず巻体竃５２
に対してｉ８０ｏの角度ずれをもってかみ合わされてい
る。

また可動スクロール部材１６は駆動機構及び回転阻止機
構と連結されていて、主軸１４の回転によって所定の円
軌道上を公転運動を行ない、流体の圧縮を行なうことと
なる。ここでｔ両スクロール部材１５，１６のうず巻体
１５２，１６２の軸万向端面には溝が設けられ、その中
に各々うず巻状のチップシール２０が鉄入されており、
これによりうず巻体端面と該うず巻体と対向する側板間
のシールを行なっている。なお、可動スクロール部村の
駆動機構及び回転阻止機構は種々の公知の機構にて実施
され得るため、ここでの詳細な説明は省略する。

このよな構成の圧縮機にあっては、主軸１４の回転に伴
って可動スクロール部材１６が所定の円軌道上を公転運
動を行なうと、両うず巻体間の線接触部がうず巻体表面
に沿って中心方向へ移動し、この結果流体ポケットが容
積を減少しながらうず巻体の中心方向へ移動する。

従って、外部流体回路からケーシング１０上の吸入ボー
ト２１を通って吸入室１８へ流入した流体は、両うず巻
体の外終端部から取り込まれ、圧縮された流体は両うず
巻体の中央部の流体ポケットから固定スクロール部材１
５の側板１５１に穿設した貫通孔ｉ５４を通って吐出室
１９へ吐出され、そこからケーシング１０上の吐出ボー
ト２２を介して外部流体回路へ流出することとなる。と
ころで、上述した動作のうちうず巻体の藤方向端面に設
けられたチップシール２川ま、対向する他方のスクロー
ル部材の側板表面と互いに摺動接触する。

この時チップシール２川ま両側の流体ポケット間の圧力
差によって側板に押しつけられるため、スクロール部材
の側板材質がアルミニウムのような軽合金である場合長
時間の運転によって側板に摩耗を起すこととなる。そこ
でこの摩耗防止するため、両スクロール部材の側坂上に
、第５図に示すようにうず巻体壁間を覆うような耐摩耗
性板２３を配設している。なお固定スクロール部材１５
の側板１５１上に配設される耐摩耗性板２３は、該側板
１５１の中央部に穿設して貫通孔１５４と対向する部分
に通気部２３１を形成している。ここで、該耐摩耗性板
２３は、第６図および第７図に示すように側板１５１に
穿設した貫通孔１５４の一部を覆うような形状としてい
る。

このため貫通孔１５４は耐摩耗性板２３の通気部２３１
と蓮適する部分のみで流体ポケットと運通し、貫通孔１
５４の全ての開□が流体ポケットと運遍することはでき
なくなる。このような構成を用いると、耐摩耗性板２３
によって貫通孔１５４の一部が覆われているためチップ
シール２０が貫通孔１５４にはみだしても損傷を受ける
ことがなく、また可動スクロール部材１６のうず巻体１
６１内様部が吐出室１９と蓮適する貫通孔１５４と対向
するタイミングが遅くなるため、中間圧力の流体ポケッ
トへ逆流する高圧流体ポケット部の残留流体量が小さく
なる。

このため圧縮動力損失を減少させることが可能となる。
また耐摩耗性板２３に穿設した通気部２３１‘こ接触す
ろうず巻体の部分は内端部付近に限られてくるので、チ
ップシール２０を該通気部２３１と接触しないような構
成をとってもうず巻体の内端部まで延在させることがで
き、高圧流体ポケット部のシール性を向上できることに
なる。

なお、耐摩耗性板２３によって覆われている部分の貫通
孔ｉ５４部には高圧流体が残留することとなるため、こ
のスペースが再膨張容量となり圧縮動力損失を増加させ
ることとなる。

この問題を解消するには、耐摩耗性板２３で覆われる貫
通孔１５４の部分である空間部を、耐摩耗性板２３の背
面に設けた適当な充填部材によって埋めればよい。ここ
で充填部材は、耐摩耗性板２３の背面に溶接等により一
体に固着しておくことにより、簡単に組付けできる。さ
らに貫通孔１５４の形成に当り、固定スクロール部村ｉ
５のうず巻体１５２の中央端部の内壁面に予め出張り部
１５５を一体に設けておく。

この出張り部１５５は大きくとも、可動スクロール部材
１６のうず巻体１６２の中央端の移動時の包絡線に一致
する程度とする。そして貫通孔１５４はその一部がうず
巻体１５２の中央端部に食い込むように形成しｔその上
、うず巻体１５２の壁面夕の一部にも貫通孔１５４の食
い込んだ部分と同形状の凹部１５６を形成する。このよ
うな貫通孔１５４および凹部１５６は、中央部の流体ポ
ケットの高圧流体のための吐出孔を構成するものであり
、うず巻体１５２の中央端近傍の内壁面に対応０する位
置において、側板１５１の反対面からうず巻体１５２に
かけてドリル等にて穴明け作業を施すことにより簡単に
形成できる。第８図は固定スクロール部村のうず巻体１
５２の中央端部の形状の一例を示している。

このうず巻体１５２はＮ／Ｃフライス盤で加工されたも
のである。この場合、使用した工具の半径ｒｔはうず巻
間隔の１／２に選んでいる。即ち、うず者体１５２のピ
ッチをｐ、壁厚をｔとすると「 ｒｔ＝（ｐ−ｔ）／２
に設定する。これによればうず巻体１５２の内外壁面を
同時に加工することができる。そしてうず巻体１５２の
中央端内壁部は、可動スクロール部材のうず巻体１６２
の中央機が軌道半径ｒＭで旋回するときの包絡線、即ち
半径ｒ。ｒの円弧および半径（ｒｔ−ｒ。ｒ）の円弧を
連結した曲線に沿って形成する。第９図は固定スクロー
ル部材のうず巻体１５２の中央端部の形状の他側を示し
ている。

このうず巻体３５２もＮ／Ｃフライス盤で加工されたも
のである。この場合、使用した工具の半径ｒｔは、うず
巻の創成円半径ｒｇの２倍、即ちｒｔ＝公ｇに選んでい
る。そしてうず巻体１５２の中央端内壁部は、第８図の
場合と同様に、半径ｒ。ｒの円弧および半径（ｒｔ−ｒ
ｍ）の円弧を連結した曲線に沿って形成する。これによ
れば出張り部１５５は第８図の場合よりも大きくなる。
即ち工具の半径ｒｔは、Ｘｇ≦ｒｔ≦（ｐ−ｔ）／２に
選ばれる。

なお可動スクロール部材のうず巻体１６２は、固定スク
ロ−ル部材のうず巻体１５２の出張り部１５５がない形
状、つまり鎖線に沿って削除した形状に作る。第翼０図
はスクロール型圧縮機の圧縮サイクルを示すもので、第
２図で示す固定スクロール部材と可動スクロール部材の
各々の中央端部によって囲まれて形成される中央室Ｃに
おける残留容積０の時は理想圧縮カーブであるＣ−Ｅの
線で表わされる。

第１図に示す従来の固定スクロール部村中央部の構成で
は中央室Ｃの圧ガスが次に進行してくる圧縮室に流れ込
むので該圧縮室の圧力を高めるため、Ｃ−〇−Ｅ′の圧
縮カーブとなり、Ｃ−Ｄ′一Ｅ′−Ｅからなる斜線部に
対応する圧縮動力損失を生じていたが、第６図乃至第９
図を用いて説明した本発明の構成にあっては、中央室と
次の圧縮室の蓬適するクランク角がＣからＣ′へと大き
くなり中央室の残留容積を減少させることができるので
「流れ込む高圧ガスの豊が少なく、圧縮カーブがＣ′−
Ｄ″−Ｅ″となり、Ｃ′−Ｄ″−Ｅ″−Ｅからなる斜線
部の圧縮動力損失となるため、圧縮動力損失を低減させ
ることができる。以上実施例を用いて説明したように、
本発明によれば、流体ポケットの圧縮流体を吐出室に流
出させるための中央部の吐出孔がうず巻体に一部食い込
んだ状態で形成されているため、圧力損失を増大させる
ことなく再膨張容積を減少させることができししかもそ
のうず巻体の中央端部の内壁には出張り部が設けられて
いるので「所定の強度を十分に保つことができ、その上
製造も容易なスクロール型流体圧縮装置が得られる。

図面の髄単な説鯛 第１図は従来の貫通孔の穿談位置と耐摩耗性板の通気孔
との位鷹関係を示す説明図、第２図は中央に移動してゆ
く圧縮室と貫通孔（吐出ボート）の関係を示す説明図、
第３図は第２図のｍ−ｍ線の中央部分縦断面図、第亀図
は本発明の一実施例を示すスクロ−ル型流体装置の縦断
面図、第５図は耐摩耗性板の組付状態を示す説明図、第
６図は固定スクロール部材の中央部拡大説明図、第７図
は第６図の肌一肌線に沿った断面図、第８図は固定スク
ロール部村のうず巻体の中央端部の形状の一例を示す説
明図、第９図は同じく他例を示す説明図、第１０図は圧
縮機の圧縮サイクルを説明するための図である。

１５・・・固定スクロール部材、１５４・・・貫通孔、
１５５・・・出張り部、１５６・・・凹部、１６…可動
スクロール部材、２０・・・チップシール、２３・・・
耐摩耗性板、２３１・・・通気部「 ２４・・・充填部
村。

第１図第２図 鷺３図 第４図 第５図 結了図 第６図 箱８図 第９図 精１０図

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 第１の板体の一面上に第１のうず巻体を配設した固
   定スクロール部材と、同様に第２の板体の一面上に第２
   のうず巻体を配設した可動スクロール部材の両うず巻体
   を互に角度をずらせ、かつ両うず巻体側壁が接触するよ
   うに配設し、固定スクロール部材を円軌道上を公転運動
   させて両うず巻体間に形成される密閉された流体ポケツ
   トを中央部に向けて移動させることによつて流体ポケツ
   ト内の容積を徐々に減少させるスクロール型流体装置に
   おいて、上記固定スクロール部材は、上記第２のうず巻
   体の中央端部の内壁に形成され、上記第１のうず巻体の
   中央端の移動時の包絡線に多くとも一致するまで出張つ
   た出張り部と、上記第２のうず巻体の中央端近傍の内壁
   面の上記第２の板体に隣接した位置に形成された凹部と
   、上記第２の板体の上記凹部に対応した位置に形成され
   た貫通孔とを有し、上記凹部と上記貫通孔とで圧縮流体
   のための吐出孔を形成していることを特徴とするスクロ
   ール型流体装置。