JPS6039024B2 - 真空蒸着用フイルム - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、表面が平滑で、かつ真空蒸着膜付着強度の大
きい真空蒸着フィルムに関する。

ポリエステルフィルムは耐熱性が良好なこと、機械強度
が大きいこと、真空蒸着膜付着強度が比較的大きいこと
などから、鉄系、ニッケル系、コバルト系等の強磁性蒸
着薄膜をその表面に形成させて磁気記録媒体を得たり、
アルミニウム、銀、金等の蒸着薄膜を形成させて金糸、
銀糸等を得ることができるが、本来ポリエステル自体の
滑性が劣るため、フィルム製造時に重合触媒残燈あるい
は添加微粒子をフィルム表面に突出させることにより表
面滑性を得ている。

このような表面組面化の手段においては、表面状態を高
精度で制御することは困難であり、ビデオ用磁気テープ
のような高度の平滑性とそれに加えて微細な表面凹凸性
が要求される場合には、ポリエステルフィルムのみでは
充分望ましい特性が得られない場合があり、その際には
ポリエステルフィルム表面に他の樹脂層を形成させ、そ
の表面を制御する手段が検討されている。ただ、その際
形成される樹脂層のポリエステルフィルムに対する密着
性、樹脂層と蒸着膜との密着性、樹脂層の耐熱性、機械
的強度等が問題となり、これらすべて満足する樹脂層が
得られ難かった。本発明者は、１このような樹脂層形成
材料を種々検討した結果、ルイス酸により反応重合させ
た紫外線硬化ヱポキシ樹脂層がこの目的に最適であるこ
とを見出した。

すなわち本発明は、ポリエステルフィルムの表面に紫外
線硬化ェポキシ樹脂簿層が形成されていることを特徴と
する真空蒸着用フィルムに関する。なお、本発明におい
て真空蒸着という藷は、真空（低圧）中で各種材料を蒸
気の状態から基板となるフィルムを析出させることを意
味し、したがって狭義の真空蒸着以外に、イオンプレー
ティング、スパッタリング等も含むものである。

上記の紫外線硬化ェポキシ樹脂とは、紫外線照射により
イオン重合させられたェポキシ樹脂組成物のことで、た
とれば、ェポキシプレポリマーおよびヱポキシモノマー
混合ワニスと紫外線照射によりルイス酸を生じる性質を
有するハロゲン化物錆体の芳香族ジアゾニウム塩触媒溶
液とを混合したのち紫外線照射重合して得られるェボキ
シ樹脂組成物がこれに該当し、上記ワニスと触媒溶液は
旭電化工業■殿からウルトラセットなる商品名で市販さ
れているものである。

なお、このものに必要に応じて、酸化防化剤、熱安定剤
、重合速度調節剤、帯電防止剤、レベリング剤、滑剤等
の各種添加剤を加えることができる。重合前のェボキシ
組成物は、室温の低粘度の液状であり、そのままで市販
の工業用塗布装置を用いて１〜５仏程度の厚さに容易に
塗布することができる。さらに膿厚を下げる場合には溶
剤で希釈して塗布したのち溶剤を蒸発除去し、そののち
重合を行なえばよい。本発明の最大の効果は、この紫外
線重合ェポキシ樹脂層の蒸着膜付着強度が非常に大きい
ことである。この理由は明らかでないが、この材質にお
ける紫外線重合特有のものと考えられる。ポリエステル
フィルムにおいても写真用に製造されたものであると表
面平滑性が大幅に改善されている。しかしこのような平
滑化ポリエステルフィルムにおいては蒸着膜付着強度は
小さく、セロテープによる剥離テストにおいて容易に剥
離を生じるが、このェポキシ樹脂層においてはかなり高
度に平滑化した状態においても、その上に形成した蒸着
膜がセロテープ剥離テストに耐えるほどである。本発明
の第二の効果は、ポリエステルフィルムに対するェポキ
シ樹脂層の付着強度が大きいことである。紫外線硬化ェ
ポキシ樹脂層の厚さは、下地となるポリエステルフィル
ムの厚さ、蒸着物の材質、最終目的物の特性等を考慮し
て適宜決められるが付着強度の改善のみであれば、０．
１山程度でもその目的が達せられる。また、下地となる
ポリエステルフィルムの表面あらさがＲａ＝０．７〜１
．０と大きく、この片面のみを鏡面化する場合において
は４〜８仏以上の膜厚が必要となる。以下に本発明の実
施例を示す。

実施例 １ 厚さ２５仏の写真用ポリエステルフィルム表面に、ェポ
キシワニス（Ｂ６１３６Ｊ、旭電化工業■製）１００重
量部に対し、硬化触媒（ＰＳ−３３旭電化工業■製）３
重量部を添加した液をグラビアコーターにて厚さ約３仏
の厚さに塗布し、出力８０Ｗ／弧の紫外線ランプにて１
秒間照射し重合を行ない、ェポキシ樹脂薄層を形成させ
た。

その表面に真空蒸着（真空度：１×１０‐５Ｔｏｒｒ）
によって金属コバルト薄膜（厚さ約０．１仏）を形成さ
せた。このものの外観は鏡面光沢を示しており、セ。テ
ープ剥離テストにより葵着膜の剥離はみられなかった。
また、この試料を約１０％引張ったところ、樹脂層に引
張方向と直角方向に伸びた多数の亀裂を生じたが、樹脂
層上の葵着膜の剥落はみられず、またポリエステルフィ
ルムと樹脂層との間の剥離も生じなかった。比較例 実施例１において樹脂層形成を除外し、ポリエステルフ
ィルム上に直接コバルト蒸着膜を同じ条件で形成させた
。

このものの表面も鏡面光沢を有していたが、セロテープ
剥離テストの結果、蒸着膜の剥離がみられた。実施例
２ 実施例１においてェポキシ樹脂液をァセトン溶剤にて１
０ぴ音もこ希釈したものを用いたところ硬化後ェポキシ
樹脂層厚さが約０．１仏の薄層となった。

このものに実施例１と同様コバルト薄膜を形成させたの
ち、セロテープテストを行なったや、蒸着膜の剥離はみ
られず、また１０％引張により蒸篭膜に無数の亀裂を生
じたが、蒸着膜のポリエステルフィルムからの剥落はみ
られなかった。なお、上言己実施例においては、ポリエ
ステルフィルムとして写真用の表面平滑なものを使用し
たが、これはこのものがポリエステルフィルム中でェポ
キシ樹脂薄層との付着強度が最も小さいと考えられたた
め行なったのであり、実際には、さらに表面相度が大き
くその改善が困難なテンシラィズドポリェステルフィル
ムに適用するのが実用上効果的である。以上から明らか
なように本発明の真空蒸着用フィルムは、表面性および
蒸着膜付着性に優れているため、薄膜型磁気テープ用基
板として非常に適したものであり、さらに装飾、包装等
の蒸着品の基板フィルムとしても利用度の高いものであ
る。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ポリエステルフイルムの表面に、紫外線硬化エポキ
   シ樹脂薄層を形成したことを特徴とする真空蒸着用フイ
   ルム。