JPS6027705B2 - 摩擦材用基材 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、自動車等のブレーキラィニング，クラッチフ
ェーシング等に使用される非石綿系摩擦材用基村に関す
るものである。

さらに群しくは、ジャダー特性、摩耗特性および回転破
壊強度が著しく改良された摩擦材を提供し得る非石綿系
摩擦材用基材に関するものである。

従来この様な用途に対しては、石綿を王とした摩擦材用
基材が使用されていたが、石綿による環境汚染，石綿資
源の枯渇，石綿価格の高騰等により、石綿を含まない摩
擦材用基材が要求されるようになってきた。

このため石綿を含まない摩擦材用基村や摩擦材が種々検
討されている。例えば、石綿細の代りにガラス繊維を含
む摩擦材用基材（実開昭５５−１１１９７８号公報、実
関昭５６一１０３０９１号公報）又は摩擦材（椿関昭５
１一５４１４４号公報、特開昭５６−１６７９３４号公
報、特開昭５７−３８２８号公報）が提案されている。
これらの摩擦材用基材又は摩擦材は、これまでのところ
、主としてゴムを含むいわゆるセミモールド法によりク
ラッチフェーシングに用いられている。この理由の一つ
として、特開昭５６一１２９２８５号公報の考え方があ
る。すなわち、石綿系摩擦材では、ブレーキラィニング
やクラッチフェーシングのように柔軟性を要求する場合
において、石綿の欧構造によって柔軟性を確保できるが
、ガラス繊維を含む非石綿系摩擦材では石綿のように柔
軟性がなく、他の方法で柔軟性を与える必要がある。そ
の手段としてゴム結合剤が必要となるという考え方であ
る。しかし、近年車繭の大型、高速化、交通渋帯化等に
伴い、その使用条件も過酷となっていることから、摩擦
材の要求される特性も、ますます厳しいものになってお
り、ゴムを含むセミモールド系の摩擦材では、耐熱特性
、回転破壊強度等の要求特性を満足させるのに限界が生
じてきた。このため、レジン等で成形されるスペシャル
ゥーブン系による摩擦材が必要とされてきているのが現
状である。スペシャルウーブン系の摩擦材ではブレーキ
ライニングやクラッチフェーシングに柔軟性をもたせる
ため、従来のガラスロービング、ガラスヤーン、テープ
およびクロスにはない柔軟構造をもつ嵩高加工した基材
、例えば（実開昭５５−１１１９７８号公報）が提案さ
れている。しかし、これらのガラス繊維およびガラス繊
維を含む基村を使用して、スペシャルウーブン系の摩擦
材は、従来の石綿系の摩擦材に比較して摩擦係数が高く
、ジャダー特性や摩耗特性が悪いという欠点があった。
本発明者らは、これらの問題を改良すべく鋭意検討した
結果、少なくとも連続したガラス繊維を用いた嵩高加工
糸を含む紐に摩擦調整剤を付着又は分散させた摩擦材用
基材によって、ジャダー特性、摩耗特性および回転破壊
強度の陵れた摩擦材が得られることを見し、出して本発
明に到達した。

本発明は少なくとも連続したガラス繊維を用いた嵩高加
工糸を含む細に摩擦調整剤を付着又は分散せしめてなる
摩擦材用基材に関する。本発明において嵩高加工糸とは
、通常のガラスロービング、ガラスャーン等に比較して
重量あたりの容積が大きな紐状物をいうが、この紐状物
としては連続ガラス繊維をエアーノズル等を用いて嵩高
加工を施したものが使用される。

嵩高加工法としては、公知のいずれの方法も採用でき特
に制限はない。混合系の紐状物は嵩高加工時混合しても
よく、また撚糸等の後工程で混合してもよいが、均一性
から前者が望ましい。ガラス繊維の種類は、Ｅガラス、
Ａガラス、Ｃガラス、Ｓガラス、Ｇガラス等が使用され
特に制限はない。また、ガラス繊維とともに使用し得る
他の繊維は、有機繊維、ガラス繊維以外の無機繊維等が
あり、必要に応じて金属線も含まれる。有機繊維として
は、綿、し−ョン、芳香族ポリアミド、ィミド繊維、カ
ィノール繊維等が使用でき、ガラス繊維以外の無機繊維
としてはカーボン繊維、セラミック繊維等が使用できる
。また金属線は、防錆対策に使用されることがあり、真
鈴線、亜鉛線、線、アルミニウム線等が使用できる。本
発明に使用される摩擦調整剤としては、カシューダスト
、カーボン粉、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、珪藻士
、金属酸化物（酸化鉄、酸化鉛、酸化クロム）、金属硫
化物（酸化鉛、硫化モリブデン）等いわゆる摩擦調整剤
といわれるものはすべて使用できるが、カシューダスト
、カーボン粉、硫化バリウムを使用すればその効果に於
いて著しく好ましい。

これらの摩擦調整剤は紐に単独又は混ぜ合わせて加えて
も良く制限はない。紐に分散させる摩擦調整剤の割合は
内割りで３〜５０重量％の範囲が好ましく、さらに好ま
しくは５〜３の重量％の範囲である。摩擦調整の割合が
３重量％未満であると本発明の目的であるジャダー特性
や耐摩耗性の改良が不十分である。また５の重量％を越
えると、回転破壊強度等の機械強度が低いことおよび基
村から摩擦調整剤の脱落が激しいことの理由で、紐に分
散させる摩擦調整剤の割合は、摩擦材用基材に対して内
割りで３〜５の重量％の範囲が適当である。嵩高加工糸
を含む紐に摩擦調整剤を付着又は分散せしめる手段は、
粉末等の場合には、ふりかけ法、流動浸糟法等により繊
維に摩擦調整剤を抱き込ませたり、適当なバインダーと
混入して紐に浸透固定することができる。

摩擦調整剤をバインダーで固定する場合、使用するバイ
ンダーは熱可塑性がなく低温で分解しないものが望まし
い。実施例 １９〃ｍのガラスフィラメント８００本を
接着力の弱い表面処理剤で集東して得られた太さ１３５
テックスの連続ガラスストランド５本と、太さ５５テッ
クスの連続レーヨン糸５本とを引揃えて高速空気流体中
に導入し、フィラメント状に開綾交絡させ嵩高加工紐を
作成した。

その後この嵩高加工紐にカシューダストを内割りで２５
重量％加えて２回／２５肌でＺ撚りした。このときの嵩
高加工紐の太さは１２５０テツクスであった。次に、Ｚ
撚りした嵩高加工細３本と真鈴線（直径０．６肋）１本
とを合わせて１．８回／２５側でＳ撚りし、４１６０テ
ックスの摩擦材用基材を作成した。

実施例 ２カシューダスト量を内割りで１５重量％加え
た以外は実施例１と同様な方法で摩擦材用基材を作成し
た。実施例 ３ カシュューダスト量を内割りで１の重量％加えた以外は
実施例１と同様な方法で摩擦材用基材を作成した。

得られた摩擦材用基村の太さは３６４０テックスであっ
た。実施例 ４カシューダストの代りにカーボン粉を内
割りで３重量％加えた以外は実施例１と同様な方法で摩
擦材用基材を作成した。

得られた摩擦材用基材の太さは３３３０テツクスであっ
た。実施例 ５ カシューダストの代りに硫酸バリウムを内割りで１５重
量％加えた以外は実施例１と同様な方法で摩擦材用基材
を作成した。

得られた摩擦材用基材の太さは３７７５テツクスであっ
た。実施例 ６ 実施例１のフィラメント状に開綾交絡させた嵩高加工紐
にカシューダスト／カーボン粉の重量比を１０／１にし
た摩擦調整剤を内割りで１５重量％加えて３回／２５柳
でＺ撚りした。

次に、このＺ撚りした嵩高加工細３本と真鋼線（直径０
．１６肌）１本とを合わせて２．５回／２５側でＳ撚り
し３８１０テックスの摩擦材用基材を作成した。

比較例９ムｍのガラスフィラメント８００本を接着力の
弱い表面処理で集東して得られた太さ１３５テックスの
連続ガラスストランド５本と太さ５５テツクスの連続レ
ーヨン糸５本とを引揃えて高速空気流体中に導入しフィ
ラメント状に開綾交絡させ嵩高加工紐を作成した。その
後この嵩高加工紐を２回／２５柵でＺ撚りした。この時
の嵩高加工紐の太さは１０２０テツクスであった。次に
、この嵩高加工紐３本と真鋼線（直径０．１６側）１本
とを合わせて１．８回／２５帆でＳ撚りし、３２８０テ
ックスの摩擦材用基材を作成した。

次に、比較例および各実施例で作成した摩擦材用基材を
不揮発分２０％のメタノール可溶フェノールワニスの入
った容器中を５秒通過させ、さらに１００００の乾燥機
を通した後、恒温恒湿槽で２日間熟成させた。次に、ワ
ニスを合浸した摩擦材用基材を１００℃に加熱してある
タブレット成形機に巻き取り、加圧してタブレットとし
た。

さらにこのタブレットを温度１５５〜１６０００の範囲
、圧力１５０ｋ９／めで８分間加圧成形し、続いてこの
成形物を２００℃で４時間アフターキュアーした後、研
磨、孔加工してクラッチフェーシングを作成した。この
様にして得られたクラッチフェーシングの特性を第１表
に示す。第１表 なお摩擦係数および摩耗量については定速式摩擦試験機
にて側定した。

試験条件は下記の通りである。試験条件 試験片中心と回転軸中心との距離：０．１８ｈデイスク
：ＦＣ２５回転速度：５０仇ｐｍ（回転） 試験片：２５側×２５肋×厚さ３．５肌→２個面 圧：
５ｋｇｆ／の摩擦方向：フェーシングの摩擦方向 また耐ジャダー性についてはスカイライン車（日産自動
車畑製）にクラッチフェーシングを装着し、車体の前後
の振動を加速度計で側定した。

試験の結果、摩擦係数、摩耗量および耐ジャダー性につ
いては比較例と各実施例とにおいて明らかに差があるこ
とが確認された。本発明をクラッチフヱーシングに適用
した場合について説明したが、ディスクパッド、ブレー
キラィニング等の摩擦材についても同様の効果が得られ
る。

本発明になる摩擦材用基材は少なくとも連続したガラス
繊維を用いた嵩高加工糸を含む紐に摩擦調整剤を付着又
は分散せしめるので、ジャダー特性、摩耗特性および回
転破壊強度の優れた摩擦材を提供する摩擦材用基村を得
ることができる。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 少なくとも連続したガラス繊維を用いた嵩高加工糸
   を含む紐に摩擦調整剤を付着又は分散せしめてなる摩擦
   材用基材。 ２ 摩擦調整剤の量が嵩高加工紐に対して３〜５０重量
   ％である特許請求の範囲第１項記載の摩擦材用基材。 ３ 摩擦調整剤がカシユーダストである特許請求の範囲
   第１項又は第２項記載の摩擦材用基材。 ４ 摩擦調整剤が少なくともカシユーダストを構成成分
   とする混合物である特許請求の範囲第１項又は第２項記
   載の摩擦材用基材。 ５ 摩擦調整剤がカーボン粉である特許請求の範囲第１
   項又は第２項記載の摩擦材用基材。 ６ 摩擦調整剤が硫酸バリウムである特許請求の範囲第
   １項又は第２項記載の摩擦材用基材。