JPS6023326Y2 - 糸加工用ノズル - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、マルチフィラメント糸をテクスチュアード加
工するのに用いられる糸加工用ノズルに係り、特に少な
くとも１本以上の好ましくは２本以上のマルチフィラメ
ント糸にループや絡み効率良く均一に付与するのに好適
な糸加工用ノズルに関する。

従来、マルチフィラメント糸にループや絡みを付与する
装置としては、すでに特公昭３５−１６７３号公報等に
見られるようにエア又は圧縮できる流体の流れを、制限
された空間から迅速に噴出して流体撹乱区域を作り、処
理すべきマルチフィラメント糸をこの流れの中に給送し
て個々のフィラメントに開繊し、ループや絡みを付与す
る糸加工用ノズルが広く知られている。

さらに該糸加工用ノズルの基本的構造に改良を加え、マ
ルチフィラメント糸にループや絡みをより高速に且つ経
済的に付与する糸加工用ノズルも種々提案されている。

しかし、これら従来の糸加工用ノズルによると、高速加
工時に消費される流体の流量も多く、また得られた糸に
糸軸方向に張力がかけられると、ループや絡みが弱いた
めに形成されたループや絡みが解けやすくなるなどの欠
点が生じ、嵩高に富む糸を効率良く製造することは困難
であった。

本考案は、従来の糸加工用ノズルと異なり、マルチフィ
ラメント糸に効率良く強固にループや絡みを高速に付与
するのに好適な糸加工用ノズルを提供することを目的と
する。

本考案は、かかる目的を遠戚するため次のような構成を
有する。

すなわち、本考案は、互いに微少間隙を設けて同心的に
配された２つの円錐形側面によって形成される空間、該
空間の底部に開口した少なくとも１個の流体噴入孔、糸
出口側の前記円錐形側面の頂部に開口する糸出口通路及
び糸入口側の前記円錐形側面の頂部に開口する糸入口通
路１６を含んで構成された糸加工用ノズルにおいて、前
記糸入口通路は分割されておらず、しかも前記円錐形側
面の中心軸に対して偏心した唯一の紋り部１９が前記糸
入口通路１６の先端に円筒状の空間２０を残して該糸入
口通路内に設けられたことを特徴とする糸加工用ノズル
である。

以下に図面に示す実施例に基づいて本考案を説明する。

第１図は、本考案に係る糸加工用ノズルの縦断面図であ
る。

図においてハウジング１は、その中心を貫通する孔２を
有する。

ハウジング１には圧縮流体を孔２に導びくための少なく
とも１個の流体噴入孔３が設けられている。

流体噴入孔３には図示しない高圧流体供給源に接続され
たパイプ４が螺着されている。

ハウジング１の孔２の糸出口側に嵌合される部材７の中
心部には糸出口通路５が設けられ、糸出口通路５は、そ
の糸入口側において細い円筒形の狭溢部２７を有して糸
入口側の円錐形側面に開口し、他方糸出口側に向って（
図に向って左側方向に）徐々に拡大している。

その拡がり角度αは４〜１０°が好ましい。

糸出口通路５の形状としては図のものに限定されないが
、図のものが好ましい。

けだし、ガイド８から噴出する流速を大きくして得られ
る糸にループが安定して固定するようにするためである
。

糸出口通路５の糸出口端にはマルチフィラメント糸によ
る摩耗を防ぐために、図に示す如くセラミック等の耐摩
耗性の材料で形成されたガイド８を設けるのが好ましい
。

同様の理由から狭溢部２７もマルチフィラメント糸によ
る摩耗を防ぐように硬化処理を施すか他の耐摩耗性材料
で置換せしめるのが好ましい。

部材７の周辺部９の内側にはネジ１０が設けられ、ネジ
１０はハウジング１の周辺に設けられたネジ１１と螺着
している。

１２は部材７を調整位置に固定するためのストップリン
グである。

１３，２１はリングシールで流体の逃出を阻止するもの
である。

なお、図では部材７は周辺部９と一体で成形されている
が、別設これに固定されない。

また、周辺部９を省略して部材７の孔２に嵌合する部分
を孔２に螺着する構造にしてもよい。

ニードル部１４は、孔２の中に密着して挿入され、又は
螺着して挿入され、その先端は糸入口側の円錐形側面１
３をなしている。

円錐形側面６，１５が互いに微少間隙を設けて同心的に
配置され、空間２２が形成される。

ニードル部１４はハウジング１と一体に成形してもよい
。

糸入口通路１６は、ニードル部１４の中心部に設けられ
、その先端に空間２０及び紋り部１９を有する。

なお、糸入口通路１６は実昭開５５−１２０７８汚公報
に示されるものとは異なり、分割されていない。

円筒状の空間２０及びその前方（空間２２の一部）には
渦流が形成されるが、特に円筒状の空間２０には第２図
に示すごとく大部分の渦流が形成される。

流体噴入孔３から流体が高速で空間２２に噴入されると
、２つの渦流２５．２６が形成されるが、空間２２に噴
入する流体の速度が流体噴入孔側とその反対側とで異な
り、図の如く流体噴入孔３が１個上部に設けられている
場合には空間２０に形成される渦流のうち上部の渦流２
６の方が下部の渦流２５に比して大きくなり１、従って
その境界の部分は流体噴入孔３と反対側に偏る。

その境界の部分が最も開繊撹乱能を有する。

円筒状の空間２０の深さＩは、かかる渦流の形成に大き
く寄与するので、糸入口通路１６の内径の１７３〜２倍
にするのが好ましい。

そして絞り部１９の絞り孔１９′は、流体噴入孔３と反
対側に偏って設けられ、糸径路を確実に前記境界の部分
に沿わせる機能を有する。

円錐形側面６，１５の中心と紋り孔１９′の中心との偏
心距離βは糸入口通路１６の内径の０．０２〜０．４倍
に、また絞り孔１９′の内径は糸入口通路１６の内径の
０．２〜０．８倍にするのが、開繊撹乱能を高める上で
好ましい。

なお、空間２２を通る流体の速度の差は図示の如く一方
向のみからの流体噴入により生ずるが、この速度の差を
大きくするためには第２図に示す如く一方向にのみ流体
通路２９を有するリング２８をニードル部１４の先端に
取り付けたり、又は流体噴入孔３を円錐形側面６，１５
の方向に向う如く傾斜せしめれば良い。

次に本考案の作用を説明する。

１本以上のマルチフィラメント糸（図示せず）は、右端
のガイド１７から糸入口通路１６にオーバーフィード状
態で供給され、絞り部１９に至り円錐形側面６，１５の
中心とは偏心して円筒状の空間２０に導びかれる。

この際に絞り部１９を出た１本以上のマルチフィラメン
ト糸は瞬間的に開繊され、撹乱され、したがって個々の
フィラメント間にずれが生じてループが形成され、絡み
あった糸が糸出口通路５をへて外に導かれる。

ここで、第１図の本考案の糸加工用ノズルと先端に空間
２０を有しないノズル（他の条件は同一）とを夫々用い
て第３図の装置で空気圧を種々変えて加工した後、引続
いて１０％引張ったときの張力σ１ｏを市販の張力テス
ターで測定した。

各ノズルは第１０−ラと第２０−ラ間に設けた。

この結果を第４図に示した。この図から明らかなように
本考案の糸加工用ノズルを用いたときの方が張力σ□。

が大きく、従って斑の少ない均斉かつ強力なループ等が
形成されているということができる。

なお図で○印は本考案のノズルを・印は空間２０を有し
ないノズルを示す。

試験条件は次の通りである。試験条件 素材：ポリエステルマルチフィラメント糸（１５関／４
８ｆ） 加工速度： ４００ｍ／ｒｒｖｎ （第２０−ラ）■−
Ｖ オーバーフィード：千２５％（」■１ｘｌＱＱ）なお、
σ１ｏは第２０−ラ〜第３０−ラ間で１０％引Ｖ−■ 張った場合（？ｘ Ｉ ＱＱ）の糸張力とあられす。

Ｖ□、Ｖ２．Ｖ３は第１０−ラＲ１、第２０−ラＲ２、
第３０−ラＲ３の表面速度をあられす。

本考案は、このように、流体撹乱能の最もすぐれた境界
にマルチフィラメント糸を導ひき、斑の少ない、均斉か
つ強固なループをもつ加工糸を少ない流体流量にて高速
で加工しうるという顕著な効果を奏するのである。

【図面の簡単な説明】

図は本考案に係り、第１図は本考案に係る糸加工用ノズ
ルの縦断面図であり、第２図はニードル部付近の拡大縦
断面図である。 第３図は試験装置の略側面図、第４図は糸の張力σ１ｏ
と空気圧との関係を示すグラフである。 ３・・・・・・流体噴入孔、６・・・・・・糸出口側の
円錐形側面、１５・・・・・・糸入口側の円錐形側面、
１６・・・・・・糸入口通路、１９・・・・・・絞り部
。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 互いに微少間隔を設けて同心的に配された２つの円錐形
   側面によって形成される空間、該空間の底部に開口した
   少なくとも１個の流体噴入孔、糸出口側の前記円錐形側
   面の頂部に開口する糸出口通路及び糸入口側の前記円錐
   形側面の頂部に開口する糸入口通路を含んで構成された
   糸加工用ノズルにおいて、前記糸入口通路は分割されて
   おらず、しかも前記円錐形側面の中心軸に対して偏心し
   た唯一の紋り部１９が前記糸入口通路１６の先端に円筒
   状の空間２０を有して該糸入口通路内に設けられたこと
   を特徴とする糸加工用ノズル。