JPS598577B2 - 傾斜弁型マスタシリンダ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、車両等に装着されるクラッチ用或はブレーキ
用の傾斜弁型マスタシリンダに関するものである。

従来、この種の傾斜弁型マスタシリンダは、シリンダ孔
を穿設したシリンダ本体と、前記シリンダ孔に摺動自在
に嵌挿して液圧発生室を区画する作動ピストンと、前記
液圧発生室に連通して前記シリンダ本体に設けた凹所と
、該凹所に螺嵌して弁室な区画するための蓋部材と、作
動液用のリザーバ内に前記弁室な連通ずる前記蓋部材に
設けた通路と、前記弁室に配設し前記作動ピストンに係
合して前記リザーバ内と前記液圧発生室とを連通ずる傾
斜弁とを備えている。

ところが、このような傾斜弁型マスタシリンダでは、液
圧発生室に発生した高圧が弁室内にも伝達されてくるた
め、蓋部材と凹所内壁との間に液圧発生室の高圧を密封
し得る密封部材を配置する必要がある。

他方、弁室内の高圧に充分に対抗する締付け力で蓋部材
な凹所に螺嵌しているため、上記密封部材がゴム製であ
るから蓋部材のねじ込みによりねじれた状態で固定され
、密封性能が著しく低下し、かつまた、長期にわたって
密封性能の維持が困難であるという問題がある。

本発明は、上述の問題に鑑みて成され、弁室の高圧を長
期Ｋわたって確実に封密できるようにした傾斜弁型マス
タシリンダを提供することを目的とする。

この目的は本発明によれば、シリンダ孔を穿設したシリ
ンダ本体と、前記シリンダ孔に摺動自在に嵌挿して液圧
発生室を区画する作動ピストンと、前記液圧発生室に連
通して前記シリンダ本体に設けた段付凹所と、該凹所に
螺嵌して弁室な区画するための蓋部材と、作動液用のリ
ザーバ内に前記弁室な連通ずる前記蓋部材に設けた通路
と、前記弁室に配設し前記作動ピストンに係合して前記
リザーバ内と前記液圧発生室とを連通ずる傾斜弁装置と
を備えた傾斜弁型マスタシリンダにおいて、前記蓋部材
と前記段付凹所の段部との間に、回転止めて施して前記
弁室を区画し、前記傾斜弁装置によって開閉可能な貫通
孔を有する支持部材を挾持するとともに、この支持部材
と前記段付凹所の段部との間に前記液圧発生室に発生す
る高圧を密封し得るゴム製の、かつ同心的に一体的な外
側環状部と内側環状部とから成る密封部材の前記外側環
状部を配置し、前記外側環状部の低圧側で前記支持部材
の下端面と前記シリンダ本体の段付凹所の段部とが隙間
なく当接するようにし、前記内側環状部を前記傾斜弁装
置の弁座としたことを特徴とする傾斜弁型マスタシリン
ダ、によって達成される。

以下、図面の実施例により本発明の傾斜弁型マスタシリ
ンダについて詳説する。

第１図は、本発明の一実施例であるブレーキ用の傾斜弁
型タンデムマスタシリンダの断面側面図、第２図は、第
１図における■−■線の断面図、及び第３図は本実施例
に適用される密封部材の斜視図である。

第１図において、傾斜弁型タンデムマスタシリンダは全
体を１で示され、このマスクシリンダ１は、シリンダ孔
２を穿設したシリンダ本体３を有し、シリンダ孔２には
、リテーナ４及びばね５を備えた遊動ピストン６と、リ
テーナ１及びボルト７により予負荷を与えられたばね９
を備えた主ピストン１０とが各々摺動自在に嵌合して、
液圧発生室１１，１２を各々区画している。

１３，１４，１５はリツプシールで、各ピストンとシリ
ンダ孔２内面との間を密封し、１６はリツプシール１５
のバックアップリングである。

シリンダ孔２の右方開目端部には主ピストン１０が当接
可能なコップ形状のストツパ１７が取付げられている。

ストツパ１７の底部には中心開口が形成され、この中心
開口を通って図示しないプッシュロツドが主ピストン１
０に設けた凹所に嵌合する。

公知のように、やはり図示しないブレーキペダルを踏む
ことにより、プッシュロツドを介して主ピストン１０及
び遊動ピストン６は図において左方へと摺動させられる
。

なお、各液圧発生室１１，１２は前後輪に設けたブレー
キ装置のホイールシリンダ（図示せず）に公知の配管方
式で連絡している。

シリンダ本体３には、開口１８．１９を介して各液圧発
生室１１，１２に連通する段付形状の凹所２０，２１を
形成したボス部２２，２３が設けられている。

各凹所２０，２１の中径部分２０ａ，２１ａには中心孔
２４，２５を有する支持部材２６ ．２７が各々嵌合し
ており、第２図で明示されるようにこの支持部材２６，
２７０外周の一部には上下方向に延びる突起２８，２９
が設けてあるとｋもに、凹所２０ ，２１の中径孔部分
２０ａ，２１ａの内周面には突起２８．２９が嵌合する
上下方向に延びる溝３０，３１が設げられている。

支持部材２６ ，２７は突起２８ ，２９と溝３０，３
１との係合により凹所２０ ，２１に対して回転止メを
施されている。

こうした支持部材２６，２７は、凹所２０，２１の大径
孔部分２０ｂ，２ｌｂに螺嵌した六角穴付きで円柱形状
を呈する蓋部材３２，３３により、蓋部材３２，３３と
凹所２０，２１の段部端面との間に堅固に固定されてお
り、凹所２０，２１の小径部分２０Ｃ，２１ｃに弁室３
４ ，３５を各々区画している。

蓋部材３２，３３には支持部材２６，２７の中心孔２４
，２５と連通する通路３６，３７が形成されている。

支持部材２６，２７の下面側には、第３図で明示される
ような環状のゴム製の密封部材４２．４３が設けられて
いる。

すなわち密封部材４２，４３は支持部材２５ ，２７の
中心孔２４，２５の開口を囲む第１環状部３８．３９と
、この第１環状部３８ ．３９と同心的に一体的に形成
された大径の第２環状部４０，４１とから成っている。

支持部材２６ ，２７０下面には以上のような密封部材
４２．４３を嵌合される溝が形成されており、蓋部材３
２，３３の螺合により第１図で示されるように密封部材
４２ ，４３０第２環状部４０，４１は、支持部材２６
，２７と凹所２０，２１の段部端面との間に挾圧されて
いる。

他方、弁室３４，３５内には、傾斜弁装置４４，４５が
配設されており、傾斜弁装置４４，４５は、リテーナ４
，７に係合可能な弁要素４６．４７と、ピストン６，１
０を作動させたときに弁要素４６，４７が着座する上記
密封部材４２，４３の第１環状部分３８ ．３９と、上
記弁要素４６．４７を着座するように付勢する弱い弁ば
ね４Ｂ，４９とから構成されている。

前述した蓋部材３２．３３の上部外周には略円筒状を呈
する取付具ｓｏ，ｓｉが螺嵌しており、この取付具ｓｏ
，ｓｉのフランジ部５２，５３が作動液用のリザーバ５
４の底部壁に係合することによりリザーバ５４がシリン
ダ本体３に対して取付けられている。

リザーバ５４の底部壁の下面側には環状突起５５，５６
が設けられており、この環状突起５５，５５と取付具５
０，５１との間に形成される環状空間には、シリンダ本
体３とリザーバ５４との間の密封を行なう密封部材５７
，５８が各々配設されている。

なお、取付具５０，５１の下端及びリザーバ５４の下面
の一部は、ボス部２２，２３０上端面に当接することに
より、環状突起５５，５６とボス部２２，２３０上端面
との間には若干の隙間が生じている。

上述した蓋部材３２，３３及び取付具５０，５１の螺着
は、蓋部材３２，３３は、その頂部に形成された六角穴
を利用し、取付具ｓｏ，ｓｉは、その上部の切欠き５９
．６０を利用し、適当な工具を用いて行なう。

リザーバ５４には，底部壁中央から上方に向って延びた
垂直部分に、リードスイッチ６１を内設した保持筒６２
がリザーバ５４の外部側から嵌着されており、また、リ
ザーバ５４内部には、リードスイッチ６１を開閉する磁
石付きフロート６３が配置されていると瓦ともに、フロ
ート６３の上下動を案内する垂直方向に延びた突起６４
と、作動液補給の最高液面位置の表示６５とを内部に設
けたストレーナ６６が配置されている。

ストレーナ６６は上記したリザーバ５４の垂直部分の上
端と、リサーバ５４の開口端に嵌着したキャップ６７の
ゴム製ダイヤフラム６８との間に挾圧されており、スト
レーナ６６の上下動は防止されている。

以上のように構成される傾斜弁型タンデムマスタシリン
ダ１０作用について説明する。

ブレーキがかけられていない状態では、各ピストン６，
１０はばね５，９の復元力により付勢されて図示される
ような復帰位置にある。

すなわち、この状態では、主ピストン１０の右端はスト
ッパ１７に当接しかつリテーナ７が弁要素４７に係合し
て傾斜弁装置４５を開弁させており、遊動ピストン６の
右端がリテーナ７に当接しかつリテーナ４が弁要素４６
に係合して傾斜弁装置４４を開弁させている。

各傾斜弁装置４４，４５が開弁していることにより、弁
室３４ ，３５、中心孔２４，２５、通路３６ ，３７
を順次介して、シリンダ孔２内の各液圧発生室ＩＬ１２
はリザーバ５４内部に各々連通しており、ブレーキ配管
系内も無圧となっている。

このような状態で、運転手がブレーキをかけるために図
示しないブレーキペダルを踏み込むと、凹所６９に嵌合
するプッシュロツドに押圧されて主ピストン１０及び遊
動ピストン６が左方κ移動し、その結果としてほｙ同時
にリテーナ７と弁要素４７との係合及びリテーナ４と弁
要素４６との係合が外れ、各弁要素４６，４７が弁ばね
４８，４９の復元力により密封部材４２，４３の第１環
状部３８．３９に着座し、各傾斜弁疎置４４，４５が閉
弁する。

こうして谷液圧発生室１１，１２内が昇圧され始め、ブ
レーキペダルを更に踏み込むにつれて谷液圧発生室１１
．１２内の圧力が上昇してくる。

このとき，各液圧発生室ＩＬ１２内の圧力は、車輪のホ
イールシリンダに伝達されて車両にブレーキがか〜ると
〜もに、開口１８．１９を介して弁室３４，３５にも伝
達される。

弁室３４，３５に伝達された圧力は、弁要素４６，４７
に作用して、これを密封部材４２ ，４３０第１環状部
３８，３９に押圧させるので、その着座力は増大すると
ともに、第２環状部４０．４１にも作用してこれを変形
させる。

ところが、第２環状部４０．４１はその取付けの際にね
じられることなく配設されており、更に、支持部材２６
，２７が蓋部材３２，３３の螺合によりこれと凹所２
０，２１の段部端面との間に挾持されて、支持部材２６
，２７の下端面と凹所２０，２１の段部端面との間に隙
間が生じておらず、特に、第２環状部４０，４１の低圧
側には隙間が生じていないため、第２環状部４０．４１
が隙間内へと変形することなく喰われによる損傷が発生
しない。

従って第２環状部４０，４１に高圧が作用しても、確実
にかつ長期にわたって密封性能を高く維持できる。

自動車に充分なブレーキがか一り、運転手がブレーキペ
ダルから足を外すと、各ピストン６，１０は、ばね５，
９の復元力により復帰位置に戻ろうとし、各液圧発生室
１１，１２内に負圧が生じる。

このとき、弁要素４６，４７は、液圧発生室１１ ．１
２側の圧力がリザーバ５４内部の圧力（大気圧）より小
さ《なることにより、第１環状部３８．３９から離座し
て、リザーバ５４内部から各液圧発生室ＩＬ１２に作動
液が流入する。

これにより、各ピストン６，１０は完全に復帰して、リ
テーナ４，７が弁要素４６．４７に各々係合し、傾斜弁
装置４４．４５を完全に開弁ずる。

その後、ホイールシリンダ側から作動液が戻ってくると
、余分な作動液はリザーバ５４内部に戻され、ブレーキ
作動は完全に終了する。

こうした一連の作動において、密封部材４２，４３を取
付けた支持部材２６ ．２７は回転止めを施して凹所２
０，２１の中径孔部分２０ａ，２１ａに嵌合しているた
め、蓋部材３２，３３を凹所２０，２１にねじ込み支持
部材２６ ．２７を固定する際に、密封部材４２，４３
のどの部分もねじられた状態で配置されることがないの
で、密封性能は高く繊持でき長期間にわたって信頼でき
る。

更に、支持部材２６ ．２７は、蓋部材３２，３３を凹
所２０，２１に螺嵌して蓋部材３２，３３と凹所２０，
２１の段部端面との間に挾持するようにし、かつ蓋部材
３２ ．３３はその外周の全域にねじを形成しているた
め、支持部材２６，２７と凹所２０，２１の段部端面の
間に、特に、密封部材４２，４３の第２環状部４０．４
１の低圧側の部位に隙間が生じないように支持部材２６
２７を固定できる。

従って密封部材４２．４３の第２環状部４０．４１が高
圧を受けて変形しても，隙間による喰われなどが発生せ
ず耐久性に秀れた密封を行なうことができる。

また、リザーバ５４は、ボス部２２，２３の凹所２０，
２１に螺着した蓋部材３２ ．３３に取付具５０．５１
を螺着させることによりシリンダ本体３に対１て取付け
ているため、リザーバ５４の取付けも確実であり、かつ
また堅固に行なえる。

なおまた、蓋部材３２ ．３３に螺着した取付具ｓｏ，
ｓｉはその下端がボス部２２，２３０上端部に当接して
いるため、蓋部材３２，３３に対するロックナットの作
用を有し、蓋部材３２，３３の螺嵌が経時使用に伴って
ゆるむことがな《、第２環状部４０．４’ｆによる密封
の信頼性をより向上させている。

以上述べた如く、本発明によれば、傾斜弁型マスタシリ
ンダにおける弁室の高圧を長期にわたって確実に密封で
きるという効果が得られる。

勿論、本発明は以上の実施例に限定されることなく、本
発明の技術的思想に基いて種々の変形が可能である。

例えば上述の実施例では、シリンダ本体３にリザーバ５
４を直接取付けた例を示しているが、リザーバ別体型の
傾斜弁型マスタシリンダにおいても同様の効果を奏する
ものである。

この場合、例えばリザーバに接続される導管をシリンダ
本体に結合させるための二ツプルを上記実施例の取付具
ｓｏ，ｓｉにより、シリンダ本体に固定させるようにす
ればよい。

また上述の実施例では、支持部材２６，２７の回転止め
は、突起２８ ，２９と溝３０，３１とで行なわれてい
るが、例えば、支持部材２６，２７と凹所２０，２１の
両者の断面形状を四角形、だ円形に形成するか、或は支
持部材２６ ，２７と凹所２０，２１の両者に溝を形成
し両者の溝にピン等を嵌合するなど種々の手段で行なえ
るものである。

また、以上の実施例ではタンデムマスタシリンダについ
て説明したが、本発明は勿論シングルマスクシリンダに
も適用可能である。

以上述べたように、本発明の傾斜弁型マスタシリンダに
よれば、弁室の高圧を密封するゴム製の密封部材は同心
的に一体的な外側環状部と内側環状部とから成るが、蓋
部材の螺嵌時に両環状部がねじれることな《正しく配置
されることができ、また外側環状部が過剰に圧縮される
ことなく、低圧側に喰われることも防止される。

従って長期にわたって良好な密封性能を維持することが
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の一実施例であるブレーキ用傾斜弁型
タンデムマスタシリンダの断面側面図、第２図は、第１
図の■−■線方向の断面図及び第３図をζこの実施例に
適用される密封部分の拡大斜視図であり、第１図におい
てはＩ−Ｉ線方向の断面図で示されている。 なお図において、２０，２１・・・・・・凹所、２６，
２７゜゜゜゜゜゜支持部材、２８ ，２９・・・・・・
突起、３０，３１・・・・・・溝、３２，３３・・・・
・・蓋部材、３４，３５・・・・・・弁室、４２，４３
・・・・・・密封部材、４４ ， ４５・・・・・・傾
斜弁装置。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ シリンダ孔を穿設したシリンダ本体と、前記シリン
   ダ孔に摺動自在に嵌挿して液圧発生室を区画する作動ピ
   ストンと、前記液圧発生室に連通して前記シリンダ本体
   に設けた段付凹所と、該凹所に螺嵌して弁室を区画する
   ための蓋部材と、作動液用のリザーバ内に前記弁室を連
   通ずる前記蓋部材に設けた通路と、前記弁室に配設し前
   記作動ピストンに係合して前記リザーバ内と前記液圧発
   生室とを連通ずる傾斜弁装置とを備えた傾斜弁型マスタ
   シリンダにおいて、前記蓋部材と前記段付凹所の段部と
   の間に、回転止めを施して前記弁室を区画し、前記傾斜
   弁装置によって開閉可能な貫通孔を有する支持部材を挾
   持するとともに、この支持部材と前記段付凹所の段部と
   の間に前記液圧発生室に発生する高圧を密封し得るゴム
   製へかつ同心的に一体的な外側環状部と内側環状部とか
   ら成る密封部材の前記外側環状部を配置し、前記外側環
   状部の低圧側で前記支持部材の下端面と前記シリンダ本
   体の段付凹所の段部とが隙間なく当接するようにし、前
   記内側環状部を前記傾斜弁装置の弁座としたことを特徴
   とする傾斜弁型マスタシリンダ。