JPS595654Y2 - ラツクアンドピニオン式ステアリングギア装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は自動車等の車輌のステアリングシステムに於る
ラツクアンドピニオン式ステアリングギア装置に係る。

車輌用ステアリングシステムに於るステアリングギア装
置の一つとして、ギアボックス内にてステアリングギア
シャフト先端のピニオンにラツクバーのラックが噛合さ
れ、前記ステアリングシャフトの回転により前記ラツク
バーをその軸線方向に駆動する様構或され、前記ラツク
バーの前記ピニオンと噛合う部分と反対側には前記ギア
ボックス内に形或されたシリンダボア内に摺動可能に収
められたピストン状のラックガイド要素がその一端部に
て摺動接触し、前記ギアボックスに固定されたカバー要
素と前記ラックガイド要素の間に圧縮コイルばねが弾装
されている如きラックアンドピニオン式ステアリングギ
ア装置が知られている。

かかる構造のラックアンドピニオン式ステアリングギア
装置に於では、前記シリンダボア内にて前記ラックガイ
ド要素がスティックを生じる事なく常に確実に摺動可能
に維持される為には、当然の事ながら該シリンダボアと
ラックガイド要素の間には加工誤差を考慮して或るかな
りのクリアランスが設けられていなければならず、又前
記ラックガイド要素による前記ラツクバーの支持に適度
の可撓性を与える為に、該ラックガイド要素の端部と前
記カバー要素の間にも或る程度のクリアランスが設けら
れていなければならない。

ところで、従来、かかる構或を有するラックアンドピニ
オン式ステアリングギア装置を装備した車輌が悪路や段
差を有する路面にて低速走行されると、ギアボックスの
中からコトコトという金属打接音が発生するという問題
があった。

この金属打接音は、ラックガイド要素の端面とこれに対
向するカバー要素の端面との間の衝撃的直接接触により
生ずる音と、シリンダボアの内周面とラックガイド要素
の外周面との間の衝撃的直接接触によって生ずる音とを
含んでいる。

このうちラックガイド要素の端面とこれに対向するカバ
ー要素の端面との間の衝撃的直接接触により生ずる金属
打接音については、カバー要素とラックガイド要素との
間にプラスチック、ゴム等の緩衝部材を設けることによ
りこれを防止する構造が本件出願人と同一の出願人の出
願による実願昭５２−１０５９５６号に於て提案されて
いる。

またシリンダボアの内周面とラックガイド要素の外周面
との間の衝撃的直接接触にょろり発生する金属打接音に
ついては、シリンダボアの内周面とラックガイド要素の
外周面との間にプラスチック、ゴム等の緩衝部材を設け
ることによりこれを防止する構造が本件出願人と同一の
出願人の出願に係る特願昭５３−１４０２１１号に於で
提案されている。

更にまた、シリンダボアの内周面とラックガイド要素の
外周面との間の衝撃的直接接触によって金属音が発生す
ることについては、ラックガイド要素をその軸線とラツ
クバーの軸線とを含む一つの平面に沿って二分割し、ラ
ツクバーに当接するラックガイド要素の端部が円弧状に
形或されていることによってラックガイド要素がラツク
バーへ向けて押付けられるとき前記円弧面による分力作
用によつあ二分割されたラックガイド要素の各半片を互
に離れる方向へ駆動し、これらの半片４シリンダボアの
内周面に対し押付けることによって常時ラックガイド要
素の外周面をシリンダボアの内周面に接触せしめ、これ
によって両者間に衝撃的直接接触が生ずることを防止す
ることが実願昭４９−１５０６０３号（実開昭５１−７
６３２６号）に於て提案されている。

本考案は、ギアボックス内にてステアリングシャフト先
端のピニオンにラツクバーのラックが噛合され前記ステ
アリングシャフトの回転により前記ラツクバーをその軸
線方向に駆動するよう構或され、前記ラツクバーの前記
ピニオンと噛合う部分と反対の側には前記ギアボックス
内に形或されたシリンダボア内に摺動可能に収められた
ピストン状のラックガイド要素がその一端部にて摺動接
触し、前記ギアボックスに固定されたカバー要素と前記
ラックガイド要素との間に圧縮コイルばねが弾装されて
いる如きラックアンドピニオン式ステアリングギア装置
に於て、前記ラックガイド要素と前記カバー要素との間
の衝撃的直接接触による騒音の発生と前記シリンダボア
の内周面と前記ラックガイド要素の外周面との間の衝撃
的直接接触による騒音の発生の両者を同時に且確実に阻
止することのできる改良された騒音防止構造を備えたラ
ックアンドピニオン式ステアリングギア装置を提供する
ことを目的としている。

かかる目的は、本願考案によれば、上記の如き、基本構
或を有するラックアンドピニオン式ステアリングギア装
置に於で、前記ラックガイド要素はその軸線と前記ラツ
クバーの軸線とを含む一つの平面に沿って二分割され且
その分割境界部にＶ字型斜面部を有し、前記ラックガイ
ド要素と前記力バー要素の間には前記Ｖ字型斜面部に対
応するＶ字型楔部を有するリング要素が介装され、更に
前記Ｖ字型斜面部と前記Ｖ字型楔部の間にはクッション
シ一トが介装されることによって達威される。

以下の添付の図を参照して本考案を実施例について詳細
に説明する。

添付の第１図は本発明によるラックアンドピニオン式ス
テアリングギア装置の一つの実施例を示す断面図である
。

図に於て、１はステアリングギア装置のハウジングを構
或するギアボックスであり、該ギアボックス内にはステ
アリングメインシャフト２の先端部に設けられたピニオ
ン３がその両端に形或された軸受レース部４、ボール５
、ギアボックス１内に装着された軸受レースリング６よ
り戒る球軸受構造によってその軸線の周りに回動可能に
支持されている。

ピニオン３には同じくギアボックス１によつあその軸線
方向に摺動可能に支持されたラックパー７がそのラック
歯８の部分にて噛合っており、ステアリングメインシャ
フト２が回転される事によって該ラツクバーはその軸線
方向に駆動される様になっている。

ラックパー７のラック歯８と反対の側ににギアボックス
内に形或されたシリンダボア９内に摺動可能に収められ
たピストン状のラックガイド要素１０が円弧状に形或さ
れたその一端部にて摺動可能に係合している。

ラックガイド要素１０の他端はシリンダボア９の外端部
に形或されたねじ部１１に対応するねじ部１２にてねじ
込まれたカバー要素１３によってその間に介装された圧
縮コイルばね１４を介して支持されている。

ラックガイド要素１０はその軸線を含む平面に沿ってラ
ックガイド要素半片１０ ａ及び１０ｂに二分割されて
おり、その分割境界部には、第２図により良く示されて
いる如く、■字形の斜面部１５を備えている。

この部分ではラックガイド要素１０は圧縮コイルばね１
４を受ける為の窪み１６が形威されることによって環状
に構或されているので、■字形斜面部１５はラックガイ
ド要素の直径方向に対向して二ケ所に形或される。

ラックガイド要素１０とカバー要素１３の間には前記Ｖ
字形斜面部１５に対応する■字形楔部１７を有するリン
グ要素１８が介装されている。

■字形楔部１７も又、ニケ所のＶ字形斜面部１５に対応
して、リング要素１Ｂの直径方向に対向する二ケ所に設
けられている。

第１図に示す如く、リング要素１８の■字形楔部１７は
ラックガイド要素１０のＶ字形斜面部１５内に係合され
ているが、これら両者間にはゴム、プラスチック等の緩
衝性を有する材料よりなるクッションシ一ト１９が介装
されている。

かかる構或によれば、ラックガイド要素１０を構或する
二つのラックガイド要素半片１０ ａ及び１０ｂは■字
形斜面部１５とＶ字形楔部１７との楔保合によってその
外周面がシリンダボア９の壁面に密着した状態に保持さ
れるので、車輌が悪路や段差を有する路面を走行してい
るとき、これに衝撃力が作用しても、ラックガイド要素
とシリンダボアの間に衝撃的接触が生ずる恐れはなく、
又それに起因する金属打接音が生ずる恐れはない。

又ラツクガイド要素の半片１０ａ及び１０ ｂは何れも
それがカバー要素１３へ向けて軸線方向に移動すること
に関しクッションシ一ト１９を介して緩衝的に支持され
ており、従ってこれに軸線方向の衝撃力が作用しても、
ラックガイド要素とカバー要素或は金属にて作られたリ
ング要素１Ｂの間に衝撃的直接接触が生じ金属打接音が
生ずる危険はない。

かくして、本考案によれば、ラックガイド要素とシリン
ダボアの間の衝撃的直接接触及びラックガイド要素とカ
バー要素の間の衝撃的直接接触の何れもが有効に回避さ
れ、これらの衝撃的直接接触に起因する金属打接者の発
生が有効に防止されることが理解されよう。

以上に於ては本考案を一つの実施例について詳細に説明
したが、かかる実施例について本考案の範囲内にて種々
の修正が可能であることは当業者にとって明らかで゛あ
ろう。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案によるラックアンドピニオン式ステアリ
ングギア装置の一つの実施例を示す断面図、第２図は第
１図に示すラックアンドピニオン式ステアリングギア装
置に組込まれているラックガイド要素及びこれに関連す
る部材を取出して示す拡大斜視図である。 １・・・ギアボックス、２・・・ステアリングシャフト
、３・・・ピニオン、４・・・軸受レース部、５・・・
ボール、６・・・軸受レースリング、７・・・ラツクバ
ー、８・・・ラック歯、９・・・シリンダボア、１０・
・・ラックガイド要素、１０ ａ， １０ ｂ・・・ラ
ックガイド要素半片、１１．１２・・・ねじ部、１３・
・・カバー要素、１４・・・圧縮コイルばね、１５・・
・■字形斜面部、１６・・・窪み、１７・・・Ｖ字形楔
部、１Ｂ・・・環状要素、１９・・・クッションシ一ト
。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ギアボックス内にてステアリングシャフト先端のピニオ
   ンにラツクバーのラックが噛合され前記ステアリングシ
   ャフトの回転により前記ラツクバーをその軸線方向に駆
   動するよう構或され、前記ラツクバーの前記ピニオンと
   噛合う部分と反対の側には前記ギアボックス内に形或さ
   れたシリンダボア内に摺動可能に収められたピストン状
   のラックガイド要素がその一端部にて摺動接触し、前記
   ギアボックスに固定されたカバー要素と前記ラックガイ
   ド要素との間に圧縮コイルばねが弾装されている如きラ
   ックアンドピニオン式ステアリングギア装置に於で、前
   記ラックガイド要素はその軸線と前記ラツクバーの軸線
   とを含む一つの平面に沿って二分割され且その分割境界
   部にＶ字型斜面部を有し、前記ラックガイド要素と前記
   カバー要素の間には前記Ｖ字型斜面部に対応するＶ字型
   楔部を有するリング要素が介装され、更に前記Ｖ字型斜
   面部と前記Ｖ字型楔部の間にはクッションシ一トが介装
   されていることを特徴とするラックアンドピニオン式ス
   テアリングギア装置。