JPS5939871B2 - 高周波加熱装置用ドアシ−ル装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は高周波加熱装置用のドアシール装置に関するも
のである。

高周波加熱装置たとえば電子レンジでは、電波漏洩防止
装置として従来からいろいろな装置が提案され、かつ実
用化されているが、それらは構造が複雑で高価であつた
。

すなわち、第１図に従来の電子レンジの全体断面図を示
し、第２図にそのドア構造部分の拡大図を示す。これら
の図面において、ドア後板５と加熱室フランジ部２とが
金属平面接触するように設計されていて、まずこの部分
で電波漏洩が生じないようにしていた。ところが、加工
上完全な平面を作り出すことが不可能なこともあつて、
一様な平面接触を行なわせることができず、したがつて
この部分から電波が漏洩していた。従来はこれに対して
更にドア後板５とドア前板４とでチョーク溝６（開口部
７からの深さが概略１／４波長）を形成して、電波の漏
洩防止対策を行なつていたが、これでもなお不完全であ
つたため、加熱室１から見てチョーク溝６の外側にサッ
シ部８を形成してこれに電波吸収性を有するフェライト
ゴム９等を取り付けなければならなかつた。ところが、
このフェライトゴム等は一般に高価な上にその電波吸収
特性のために、過大な電波漏洩があつたときには異常発
熱を起してしまい、時には発火してしまうこともあり、
安全性に難があつた。

本発明の目的は、上記したような従来技術の欠点を取り
除き、安価にしかも安全性にすぐれたドアシール装置を
提供することにある。

本発明では、漏洩電波が使用電波の概略１／２波長未満
の伝送幅を有する金属導波管内を通過するときに自由空
間を通る時に比べて位相遅れが生じることに着目し、ド
アとそれに対向する加熱室フランジ部の少なくとも一方
に溝部を設けてその中に上記した導波管に類似した連続
に折り曲げた導体板を設置し、折り曲げ導体板内を通過
しない漏洩電波と折り曲げ導体板内を通過する漏洩電波
を合成することによつて、両漏洩電波を打ち消し合せて
減衰効果をあげている。

また、折り曲げ導体板をドア周辺部の溝内に設置すると
きに、波形板とドア後板の距離ａと波形板とドア前板枠
の距離Ｉをａ＞ａ’に取り、減衰効果を持たせて上記目
的を達成している。以下本発明を実施例により詳細に説
明する。

第３図に本発明の１実施例であるドア周辺部の拡大断面
図を示す。ドア３には溝部６を設け、その溝部６に連続
的に折り曲げた導体板（以下これを波形板１０と略称す
る）を設置する。この波形板１０の折り曲げ長１２は使
用電波の波長の概略１／２未満にしている。加熱室１か
らドア３とそれに対向する加熱室フランジ部２の間隙を
通つて外部へ漏洩しようとする電波は、ドア３に設けた
溝部６の深さと幅及びその溝内に設けた波形板１０の形
状で決まるインピーダンスを適当に選ぶことにより、漏
洩しにくくすることができる。さらに漏洩する電波は、
波形板１０の中を伝送する電波とそれ以外を伝送する電
波に分割される。このうち波形板１０の中を伝送する電
波は、まわりが金属壁であることとその伝送幅が概略１
／２波長未満であるために、適当な減衰を受け、かつ導
波管等でよく知られているように、自由空間中の電波に
比べて位相が遅れる。ところが、この波形板１０の中を
通過せずに加熱室フランジ部２と波形板１０の間隙を通
過する電波はほぼ自由空間波長で進行するので、波形板
１０を通過した電波と合成された時は両電波間には位相
のずれが生じており、漏洩しようとする電波は大幅に減
衰する。この位相差は波形板１０の折り曲げ長１２、高
さ１３、および幅１４に依存するので、これらを適当に
選ぶことにより、大幅な減衰効果をあげることが可能と
なつた。さらに、波形板１０を溝内に設置する位置につ
いて、ドア上下辺部においては、波形板１０とドア後板
端の距離Ａｌ５と波形板とドア前板枠の距離ａ′１６の
関係は、ａ＞ｌとし、同様にドア左右辺部についても、
波形板とドア後板の距離Ｂｌ７と波形板とドア前板枠と
の距離ｂ′１８の関係は、ｂ＞ｄ＞Ｏとする。上記の条
件が生れた背景を以下に述べる。第７図は、ドア周辺の
溝内に設置する波形板の位置と漏洩電波量についての実
験結果である。

又本発明の波形板を設けたドアシールと性能比較のため
、第２図に示した従来のチヨーク構造のドアシールの特
性も併せて掲げた。第７図で、横軸はドア後板とオーブ
ンフランジの間隙、縦軸は漏洩電波量である。特性曲線
１９は、従来のチヨーク構造ドアシールの漏洩電波量特
性である。

又特性曲線２０，２１，２２は、第３図に示した波形板
のドアシールの漏洩電波量特性である。この図において
チヨーク構造と波形板のドアシールの特性を比較すると
、波形板のドアシールの方が漏洩電波の防止効果が多大
であることが判る。高周波加熱装置の漏洩電波量の法規
制値は、卜゛アを閉めた時、而買舖以下で、マグネトロ
ン発振停止装置が動作する直前の最大の位置までドアを
開いて固定した時、５晶▼？以下である。

法規制値に対してチヨーク構造の場合は、ドアとドア後
板との間隙が２ｍｍ以下でなければならないが、波形板
のドアシールは、３〜４ｍｍの間隙まで余裕がある。従
つて量産性の向上が図れる。次に波形板の溝内への設置
位置と漏洩電波量について述べる。ここで使用した波形
板の寸法は、第４図において高さ１３が２７ｍｍ１折り
曲げ長さ１２が１５ｍｍ１幅１４が１０ｍｍである。

第７図の特性曲線２０は、第６図において、ａｌ二ｂ′
二１２．５ｍ１Ｌ．．ａ＝ｂ：ー７．５ｍｍの場合であ
り、特性曲線２１は、ａ′＝ｂ′＝Ａｂ＝１０ｍｍの時
すなわち溝部の中心線上に波形板を設置した場合である
。そして特性曲線２２は、ａ′＝ｂ′＝７．５ｍｍ１ａ
＝ｂ＝１２．５ｍｍ１の場合である。この３ケの漏洩曲
線をみると、明らかに波形板を溝内の外側に設置固定す
る方が漏洩電波量は減少することがわかる。これは、溝
内の波形板の位置が漏洩防止効果に対して依存している
ということであるが、それは波形板を通過する電波の位
相が相殺し合う条件となつているためと言える。

又波形板を設置した空洞は、プラスチツクカバ一１１で
おおう構造とする。このようなドアシール装置にするこ
とにより、従来使用していたフエライトゴムを除去する
ことが可能となり、安価でかつ安全性にすぐれたドアシ
ール装置を得ることができた。

以上詳述したように本発明によれば、良好な電波漏洩防
止性能を有し、かつ安価に製造でき、安全性にすぐれた
ドアシール装置を得ることができ電子レンジやその他の
高周波加熱装置に使用して大きな効果を得ることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の高周波加熱装置の断面図、第２図はその
装置のドア周辺部の拡大断面図、第３図は本発明の１実
施例を示したドア周辺部の拡大断面図、第４図は実施例
に使用する波形板の斜視図第５図はドア溝部における波
形板の設置図、第６図は第５図の部分拡大図である。 第７図は波形板の設置される位置と漏洩電波量の関係を
示す特性図である。２・・・・・・加熱室フランジ部、 ３・・・・・・ドア、 ４・・・・・・ ドア前板、５・・・・・・ドア後板、６・・・・・・溝
部、１０・・・・・・波形板。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 高周波加熱装置のドア周辺部からの電波漏洩を防止
   するためドアとそれに対向する加熱室壁面の少なくとも
   一方に溝部を設け、その溝部の長手方向に使用電波の概
   略１／２波長未満の折り曲げ長さで波形状に折り曲げた
   金属板を設置し、その設置位置が溝部の開口部の幅の中
   心よりドア外側方向に固定することを特徴とする高周波
   加熱装置用ドアシール装置。