JPS5925080Y2 - セミトロイダル形電磁偏向ヨ−ク - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は電磁偏向ヨーク、特に整列電子銃（以下これ
をインライン電子銃と銃と称す）とストライプ状蛍光面
とを有するカラー受像管に使用されるセミトロイダル形
電磁偏向ヨークの改良に関するものである。

一般にカラー受像管としては、赤、緑および青色用の各
電子銃単体を３角形の各頂点に夫々配置したテ゛ルタ形
カラー受像管、あるいは上記各電子銃単体を一列配置し
た、いわゆるインライン形カラー受像管が知られている
。

そしてこれらのカラー受像管はほぼコサイン巻きされた
均一磁界を持つ偏向ヨークと、この偏向ヨークによって
生じる集束ずれを補正する前置偏向装置（以下これを集
束用コンバーゼンス装置という）とを組合せて使用する
方法が普通であったが、上記偏向ヨークと集束用コンバ
ーゼンス装置との組合せは、電子ビームの偏向および集
束が極めて複雑であり、かつ高価となる不都合がある。

しかるに、インライン形カラー受像管においては不均一
磁界を持つ偏向ヨークを使用すれば集束の問題が簡単に
なり、上述の不都合が解悄されることは周知の通りであ
る。

即ち、水平巻線で糸巻磁界（以下これをピン磁界と称す
）を発生すると共に、垂直巻線で樽形磁界（以下これを
バレル磁界と称す）を発生して最適不均一磁界を作る偏
向ヨークを使用することにより、放物線エラーがなく、
サイズの補正を加えるだけで良好な３個のラスターが実
現できることは周知である。

ここで上記３個のラスターとはサイドビームが作る合致
した２つのラスターと、中央ビームが作る１つのラスタ
ーであり、これらのラスターサイズ合せは集束用コンバ
ーゼンス装置に単に鋸歯状波電流を流すか、あるいはイ
ンライン電子銃の構造を工夫して、上記偏向ヨークの後
部漏洩磁束を利用することにより補正が可能であり、一
般には後者のインライン電子銃で補正している。

第１図に上述の従来のセミトロイダル形偏向ヨークのイ
ンライン形カラー受像管への使用状態を示す。

図むこおいて、１はインライン形カラー受像管の管体で
あり、パネル部１ａと、ファンネル部１ｂと、ネック部
ＩＣとから構成されている。

２はパネル部１ａの内面に形成されたストライプ状の蛍
光面であり、互いに平行な青色螢光体列２Ｂと、赤色蛍
光体列２Ｒと、緑色蛍光体列２Ｇとからなる一組をパネ
ル部１ａの水平方向に繰返し配設して形成されている。

３は蛍光面２がら所定の距離を持って配置されるスロッ
ト形シャドウマスクであり、蛍光面２の各色蛍光体列２
Ｂ、２Ｒ。

２Ｇの一組に対応して、その長径方向に一直線上に一定
間隔で配列された多数の長孔３ａを有し、インライン形
カラー受像管の色選択の働きをするものである。

４はネック部１Ｃ内に収容されたインライン電子銃であ
り、各色蛍光体列２Ｂ、２Ｒ。

２Ｇと直交する同一平面上に、蛍光面２側がら見て左か
ら順に青色用電子銃４Ｂ、赤色用電子銃４Ｒ１および緑
色用電子銃４Ｇが所定間隔に一列配置されている。

なお、上記インライン電子銃４は中央の赤色用電子銃４
Ｒが管軸Ｚ上に位置するように配置されている。

５はネック部１Ｃに装着されたセミトロイダル形電磁偏
向ヨークであり、その詳細を第２図ａに示す、第２図ａ
において、６は空中円錐台形のボビン、７は鞍型巻きに
巻回された一対のコイル７ａ、７ｂからなる水平巻線で
あり、ボビン６の内周面に沿って配置される。

８はトロイダル巻きに巻回された一対のコイル８ａ、８
ｂからなる垂直巻線であり、ボビン６の外周面に沿って
配置される。

なお、上記水平巻線７および垂直巻線８は夫々の軸心Ｚ
１□およびＺＶが互いに合致するように組立られており
、又、ネック部１Ｃに装着する際は上記各軸心Ｚ１□、
Ｚｖが管軸Ｚに合致するように取り付けられる。

このような構成のセミトロイダル形電磁偏向ヨーク５を
動作させた場合、インライン電子銃４の配置された平面
に平行な軸をＸ軸、これに垂直な方向の軸をＹ軸とする
と、第２図すに示すように水平巻線７によってＹ軸方向
のピン磁界９が形成されると共に、垂直巻線８によって
Ｘ軸方向のバレル磁界１０が形成されて、インライン電
子銃４から発射された３ビームＢ、 Ｒ，Ｇに対して
軸対称な所望の不均一磁界が形成される。

従って前述の如くインライン電子銃４から発射された３
ビームＢ、 Ｒ，Ｇが放物線エラーを発生することな
く偏向、集束されるので、蛍光面２の全面に亘ってコン
バーゼンスエラーのない画面が実現される。

なお、第２図すの磁界分布図は単純にモデル化して示し
ているが、実際の偏向ヨーク５においては、特に水平巻
線７の鞍型巻きに巻回された各コイル７ａ、７ｂによっ
て、管軸Ｚ方向の位置に応じて磁界分布を変化せしめ、
画面コーナ一部に放物線エラーが生じないような磁界を
実現させている。

ところが上述のようなセミトロイダル形電磁偏向ヨーク
５をインライン形カラー受像管と組合せて使用する場合
は、水平巻線７および垂直巻線８の各軸心ＺＨ９Ｚｖが
管軸Ｚに一致していないと、大きなコンバーゼンスエラ
ーを発生する。

特に上記軸合せは集束用コンバーゼンス装置を全く設け
ないか、あるいは簡単化でる程精度が要求される。

上記コンバーゼンスエラーは偏向ヨーク５の水平巻線７
および垂直巻線８の各軸心ＺＨ９ＺＶが一致している場
合は、上記偏向ヨーク５を移動させて上記各軸Ｚ、ＺＩ
（、Ｚｖを完全に一致させるように補正すればよいが、
偏向ヨーク５の製造工程において、水平巻線７および垂
直巻線８の各軸心Ｚ１□およびＺｖを機械的に完全に合
致させることは非常に困難であり、上記両軸ＺＨ９ｚｖ
が相互に偏心した偏向ヨーク５が混在することは避は難
い。

従ってこのような偏心した偏向ヨーク５を使用した場合
は、コンバーゼンスエラーを補正することができない。

即ち、例えば垂直巻線８の軸心Ｚｖが水平巻線７の軸重
Ｚ、□に対してＹ軸上＋Ｙ方向に偏心した偏向ヨーク５
を、上記水平巻線７の軸心ＺＨが管軸Ｚに合致するよう
にネック部１Ｃに装着した場合は、第３図ａに示すよう
にバレル磁界１０の磁軸が＋Ｙ方向に変位するため３ビ
ームＢ、 Ｒ，Ｇに対して非軸対称なアンバランスな不
均一磁界が形成される。

このため、３ビームＢ、 Ｒ，Ｇの画面上方向、即ち
下方向への偏向時は、上記各ビームＢ。

Ｒ，Ｇの通過磁界の積分量がバレル不足気味となり、又
、画面下方向、即ち−Ｙ方向への偏向時はバレル過多と
なるので、第３図すに示すように画面上下方向のクロス
状態のコンバーゼンスエラーが発生する。

一方、上述の如く偏心した偏向ヨーク５を垂直巻線８の
軸心Ｚｖが管軸Ｚに合致するように装着した場合は、ピ
ン磁界９の磁軸の軸心が一方向に変位するため同様に３
ビームＢ、 Ｒ。

Ｇに対して非軸対称な不均一磁界が形成される。

そしてこの場合は３ビームＢ、 Ｒ，Ｇの画面左右、即
ちＸ軸方向の偏向スタート時点で、両サイドビームＢ、
Ｇに対して夫々正負反対のＹ軸方向の偏向力が加わる
ため、第３図Ｃに示すように画面左右方向のクロス状態
のコンバーゼンスエラーが発生する。

ところで、第３図Ｃに示す左右方向のクロス状態のコン
バーゼンスエラーについては、第４図に示すように水平
巻線７の一対のコイル７ａ、７ｂ間に直列に差動コイル
１１を挿入接続し、上記各コイル７ａ、７ｂにアンバラ
ンス電流を流すことによって、クロス状態のコンバーゼ
ンスエラーを補正する方法がある。

ところが、このような差動コイル１１による補正方法は
、偏向ヨーク５の機構形態が複雑となるため実用困難で
あり、又、コスト的にも高価となる不都合がある。

この考案はこのような点に鑑みてなされたもので、水平
巻線と垂直巻線の各軸心が相互に偏心した場合でも、簡
単にコンバーゼンスエラーを補正し得るようにしたセミ
トロイダル形電磁偏向ヨークを提供するものである。

以下この考案の一実施例を第５図および第６図を参照し
て詳細に説明する。

今、例えば垂直巻線８の軸心ＺＶと水平巻線７の軸心Ｚ
１□とがＹ軸上で相互に偏心した偏向ヨーク５を、上記
水平巻線７の軸心ＺＨが管軸Ｚに合致すると共に、上記
垂直巻線８の軸心ＺｖがＹ軸上＋Ｙ方向に偏心するよう
に管体１のネック部１Ｃに装着したとすると、第６図α
に破線で示すようにバレル磁界１０が＋Ｙ方向に変位し
てアンバランスな不均一磁界が形成されるため、第３図
すに示すような画面上下方向のクロス状態のコンバーゼ
ンスエラーが発生することは前述の通りである。

そこで、このようなコンバーゼンスエラーが発生した場
合は、第５図に示すように偏向ヨーク５の裏蓋６ａの＋
Ｙ方向の適当な位置に、ミスコンバーゼンス補正用の磁
性体片１２を貼付する。

すると、管軸Ｚ上における裏蓋６ａ近辺のバレル磁界１
０のフラックス（ｆｌｕｘ）が磁性体片１２方向に引張
られることになるので、等価的には第６図ａに実線で示
すようにバレル磁界１０の磁軸の軸心が−Ｙ方向に移動
して、ピン磁界９の軸心ＺＨおよび管軸Ｚと合致するこ
とになる。

従って、前述の如くインライン電子銃４から発射された
３ビームＢ、 Ｒ，Ｇが放物線エラーを発生すること
なく偏向、集束されるので、蛍光面２の全面に亘ってコ
ンバーゼンスエラーのない画面が実現される。

なお、上記磁例を示す斜視図付位置および大きさ等はコ
ンバーゼンスエラーの発生状況に応じて適宜選択される
ものである。

ところで、磁性体片１２を裏蓋６ａへ貼付すれば、ピン
磁界９への不必要な影響発生が懸念されるが、第６図す
の偏向ヨーク後端開口部図からも明らかな如く、一般に
鞍型巻きされた水平巻線７の後部漏洩磁束の磁束経路は
小さく、トロイダル巻きされた垂直巻線８の磁束経路は
前者に比して大きいので、第６図ａに示すようにピン磁
界９の磁極外に上記磁性体片１２を設けることにより、
上述のようなピン磁界９への悪影響を阻止することがで
きる。

以上の説明は垂直巻線８の軸心ＺＶが＋Ｙ方向に偏心し
た場合の例であったが、−Ｙ方向の偏心の場合は、磁性
体片１２をＹ方向に設けることにより同様に補正が可能
である。

又、Ｘ軸方向の偏心の場合はピン磁界９への影響が比較
的生じやすいので、２つの磁性体片１２をバランスよく
、できるだけ管軸Ｚより離して設けることにより補正す
ることができるが、その取付位置に精度が要求されるの
で、本考案は特に水平、垂直両巻線７，８のＹ軸方向へ
の偏心の場合により効果を発揮する。

なお、以上の実施例においては、自己集束性を持つセミ
トロイダル形電磁偏向ヨークを例にとって説明したが、
一般のインライン電子銃およびストライプ状蛍光面を有
するカラー受像管に使用するセミトロイダル形電磁偏向
ヨークにも本考案は適用で゛きる。

以上述べたようにこの考案によれば、鞍型巻きに巻回さ
れてピン磁界を形成する第１の巻線と、トロイダル巻き
に巻回されてバレル磁界を形成する第２の巻線とを有す
るセミトロイダル形電磁偏向ヨークにおいて、上記第１
および第２の巻線の各軸心の相互偏心に起因する上記ピ
ン磁界とバレル磁界の磁軸の軸心のずれを補正する磁性
体片を付加するようにしたので、水平および垂直巻線の
各軸心が機構的に偏心したセミトロイダル形電磁偏向ヨ
ークをインライン形カラー受信管に装着した場合でも、
簡単に上記インライン形カラー受像管のコンバーゼンス
エラーの発生を抑制することができる。

また、従来装置のように差動コイルを用いることなく、
磁性体片で上記偏心を補正し得るようにしたので、簡単
な構造で、かつ安価に構成することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は通常のセミトロイダル形電磁偏向ヨークのイン
ライン形カラー受像管への使用状態を示す斜視図、第２
図ａは通常のセミトロイダル形電磁偏向ヨークを示す分
解斜視図、第２図すは上記偏向ヨークの磁界分布図、第
３図ａは上記偏向ヨークの水平および垂直巻線の各軸心
が相互に偏心した場合の磁界分布図、第３図すおよびＣ
はコンバーゼンスエラーの発生状況を模式的に示す図、
第４図は従来のコンバーゼンスエラー補正手段の一例を
示す回路図、第５図はこの考案の一実施例を示す斜視図
、第６図はこの考案の作用を説明するかめの図で、ａは
磁界分布図、ｂは上記偏向ヨークの後端開口部図である
。 図において、５はセミトロイダル形電磁偏向ヨーク、７
は水平巻線、８は垂直巻線、９はピン磁界、１０はバレ
ル磁界、１２は磁性体片である。 なお、図中同一符号は夫々同一または相当部分を示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. インライン電子銃とストライプ状蛍光面とを有するカラ
   ー受像管に使用されるセミトロイダル形電磁偏向ヨータ
   クにおいて、鞍型巻きに巻回されてピン磁界を形成する
   第１の巻線と、トロイダル巻きに巻回されてバレル磁界
   を形成する第２の巻線と、この第２の巻線の後部漏洩フ
   ラックス内に配置され上記第２の巻線によるバレル磁界
   を変位させ、上記ピン磁界とバレル磁界の各磁軸の軸心
   のずれを補正する磁性体片とを備えたことを特徴とする
   セミトロイダル形電磁偏向ヨーク。