JPS5918829Y2 - ケ−ブル線路 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はケーブル線路、特に、床または壁の貫通孔にケ
ーブルを挿通して形成されるケーブル線路に関するもの
である。

近時、建築物の大型化が進み、多数の人々がこれらを利
用しているが、これらの建築物には何れも防火のための
防火壁が建築物の各所に設けられ、発生、した火災の局
所化をはかり、大災害の発生を防止している。

しかし、現実の火災においては、防火壁の使用にもかか
わらず、発火場所と異なる階床または防火壁によって遮
断された場所に延焼または煙害等がおこることがある。

これらの原因となるものの一つに、これら建築物に配設
されているケーブル線路がある。

すなわち、建築物の高層化および高層化にともない照明
、通信、空調、輸送用等各種電気設備が建築物内に多数
設置されているため、建築物には多数のケーブルが床を
通して上下、壁を通してその両側に張りめぐらされてい
る。

これらのケーブルは、例えば、床を通して配線する場合
には、床に設けられている貫通孔、壁を通した配線の場
合には、壁に設けられた貫通孔を通して配線されること
になる。

しかし、普通は第１図に示すように、例えば、床１にあ
けられた貫通孔２をケーブル３を通しただけのものが多
く、従って、下の階で火災が発生し、ケーブル３に引火
した場合は、火はケーブル３をったって延焼し上の階に
広がり、がっ、ケーブル３と床１との間隙を通して煙が
上の階に流入することになる。

このような点を防ぐ意味で第２図に示す如く、ケーブル
３の保持孔を有する鉄板４を床に乗せたものもある。

しかし、このようなケーブル線路もケーブル３に引火し
た場合には、ケーブル３の延焼の防止はむずかしく、特
に、鉄板４が高温になって変形すると、床１またはケー
ブル３との間に間隙が出来て、ケーブル３の延焼のみな
らず、煙の流通を許すことになる。

また、鉄板４を用いる場合には、鉄板４の加工あるいは
現場における取付工事も必づしも容易でない。

本考案は、ケーブル延焼防止および煙の流出阻止可能な
ケーブル線路の提供することを目的とするもので、床ま
たは壁の貫通孔にケーブルを挿通して構成されるケーブ
ル線路において、ケーブルと床または壁との間隙に不燃
性流動物質の充填された不燃性容器を介挿し、ケーブル
の保持孔を有し耐火材よりなる保持部材によって床また
は壁の両面において保持したことを特徴とするものであ
る。

以下、実施例について説明する。

第３図において、１は床、３はケーブル、５１および５
２は硅酸カルシウムのような耐火材よりなる耐火ボード
で保持部材を構成する。

６は中心部にケーブル挿通用の筒状部６１を有する不燃
性の袋であり、ガラスクロスのような無機質材料又は銅
板のような金属材料から戊る。

７は流動性物質よりなる不燃性物質であり、具体的材料
名は後記する。

８は不燃性の袋６をケーブル３に固定するバインダーで
ある。

このような構造を有するケーブル線路は、先づケーブル
の床１の貫通する部分に第４図に示す不燃性の袋６のケ
ーブル挿通用の筒状部６１中にケーブル３を通し、バイ
ンダー８で袋６をケーブル３に固定し、袋６の外周部６
２は床１のコンクリートに固定する。

また、袋６が下にたれ下がらないように中心にケーブル
３の挿入孔の設けられている耐火ボード５２を床１の下
面に固定し、袋の下部を支持させる。

ついで袋６に流動性物質よりなる不燃性物質７を充填し
、ケーブル３および床１の側面に密着させ、ついで沖心
に挿通孔のある耐火ボード５１により蓋をほどこし、袋
６を耐火ボード５１で゛固定する。

なお、第５図は他の実施例の要部を示すもので、第４図
の実施例の袋の代りに用いられるドーナツ形の不燃性チ
ューブ９を示すもので、このチューブに設けられている
注入口９１より流動性物質７を注入した後、ケーブル３
と床１の貫通孔の側面との間隙に挿入するものであって
、この場合には床の場合のみならず壁に用いても流動性
物質がしばれることはなく、圧力をかけて注入する場合
にはより高い密着力が得られる。

以上の実施例において、用いられる流動性物質には砂等
の如き粒体物質、水等の液体、常温で液体で高温で硬化
する物質例えば水ガラス等が用いられ、特に常温で液体
で高温で硬化する物質を用いる場合は、注入時は液体で
あるので注入は容易であり、火災で高温となると硬質し
てケーブルと床とに密着するので特に効果的である。

このようなケーブル線路は火災が発生し、ケーブル３に
延焼して来た場合不燃性袋６、不燃性物質７、耐火ボー
ド５１および５２により熱および延焼を防止でき、かつ
袋６がケーブル３および床１のケーブル貫通孔側面に密
着するので煙の流出をも阻止できる。

従って、このケーブル線路は、熱の伝導、ケーブルの延
焼が防止でき、これと同時に煙の流出阻止が可能であり
、使用する不燃性材料に無機質あるいは金属を用いるこ
とによりケーブルに対してのみならず火災時においても
その特性に変化をきたさない。

さらに作業にも特に熟練を必要とせず、また作業者によ
るバラツキも少なく、現場合せも容易であり、信頼性が
高い。

ケーブル増設時等の解体再処理が容易である。

以上の如く、本考案ケーブル線路は、ケーブル延焼防止
および煙の流出阻止を可能とするものであって、工業的
効果の大なるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は従来のケーブル線路の断面図、第
３図は本考案ケーブル線路の一実施例の断面図、第４図
は第３図の要部の斜視図、第５図は本考案ケーブル線路
の他の実施例の要部斜視図である。 図において１は床、３はケーブル、５１および５２は耐
火ボード、６は不燃性の袋、７は流動性物質よりなる不
燃性物質、９は不燃性チューブである。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 床または壁の貫通孔にケーブルを挿通して構成され
   るケーブル線路において、前記ケーブルと前記床または
   壁との間隙に、不燃性流動物質の充填された柔軟性物質
   よりなる不燃性容器を介挿し、前記ケーブルの保持孔を
   有し耐火材よりなる保持部材によって、前記床または壁
   の両面において保持したことを特徴とするケーブル線路
   。 ２ 前記不燃性容器が中央部に前記ケーブルの挿通孔を
   有する袋状体よりなり、前記中央挿通孔の端部でケーブ
   ルに固定し、外周縁部で壁面に固定された実用新案登録
   請求の範囲第１項記載のケーブル線路。 ３ 前記不燃性容器が前記不燃性流動物質の注入れたド
   ーナツ状容器である実用新案登録請求の範囲第１項記載
   のケーブル線路。