JPS5893857A - 耐熱亀裂性及び耐割損性に優れた鉄道車輪 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、耐熱亀裂性及び。耐割損性に優れた鉄道車
輪に関するものである。

一般に、鉄道用車輪に要求される性能は大きく２つに分
けられると之が知られている。その１つは強度及び耐摩
耗性であシ、もう１つは耐熱亀裂性及び耐割損性である
。しかしながら、これら２つの性能は鋼にとって互いに
相反する特性に基づくものであシ、同時に両方を満足す
るものを得墓どとが困難とされていた。

そこで、従来、鉄道車輛用鋼としては、車輪に必要な強
度及び耐摩耗性に重点を置いたＪＩＳ・Ｅ５４０２（鉄
道車輛用炭素鋼一体圧延車輪）があり、これは第１表に
示す通シの化学成分をもつものであシ、熱亀裂性や靭性
に対する考慮はほとんど払われていなかった。

第　　　１　　　表 ところが、近年、鉄道輸送の高速化、大荷重化が急速に
進行してきたことにともなって、車輪の割損事故が増加
する傾向にある。車輪割損は、板部破壊とともに、他の
如何なる車輛損傷よシも重大事故に結びつく可能性が大
きく、万全の防止対策を施さねばならないことはいうま
でもないことである。このようなことから、強度及び耐
摩耗性を有することはもちろん、優れた耐割損性をも併
せ持つ車輪の開発が緊急を要する課題として取り上げら
れ、種々の方面からの検討がなされるように゛なってき
た。

通常、車輪の割損は、苛酷なブレーキ操作による負荷に
よって車輪の踏面に微細な熱亀裂が発生し、踏面ブレー
キの繰返し負荷によシその中の１つあるいはそれ以上の
亀裂が生長して行き、ついでその熱亀裂がある限界長さ
に達した瞬間に生ずる急速破壊へ至るという３段階よシ
成るものである。

本発明者等は、上述のような問題点をふまえ、車輪割損
を防止するには上記３つの段階のそれぞれに対して抵抗
性の高い車輪を開発する必要があるとの観点に立って、
強度及び耐摩耗性を有するとともに、耐熱亀裂性及び耐
割損性にも優れた特性を発揮する車輪を製造すべく、数
多くの実験を基礎とした研究を行なった。ところで、割
損発生の第１段階である熱亀裂発生に対しては、現在、
小型試験片による適当な評価方法が無いとされているこ
とから、本発明者等は、実物車輪を製作し、これを実際
の走行状態が再現できるとされているブレーキ台による
試験に供しながら研究を行なった。また、第３段階であ
る急速破壊への移行に関しては、ＡＳＴＭ（米国試験協
会）の規定する破壊靭性試験によって評価しながら研究
を重ねた。

そして、これら各種の研究の結果、本発明者等は、以下
（ａ）〜（ｅ）に示す如き知見を得るに至ったのである
。すなわち、 ａ）現行材に比べて、０℃における破壊靭性値が２倍以
上の値を示し、かつブレーキ試験台による実体車輪の実
走行模擬試験で割損を生じないような鋼材の車輪であれ
ば、高速化及び大荷重化の進んだ今日の鉄道車輛用車輪
として実際に使用しても、割損事故をほぼ完全に防止す
ることができること。つまシ、破壊靭性値を２倍にする
ということは、同一応力下で４倍の亀裂長さに耐え得る
ことを意味し、従来鋼では２０１１Ｌ程度の亀裂が限界
長さであったことを考慮すると、８０關程度の亀裂長さ
に耐えることになシ、これは車輪のリム厚にほぼ等しく
、実際上はほとんど割損しないことを意味するものであ
る。

ｂ）耐熱亀裂性及び耐割損性は、いずれも車輪を構成す
る鋼の化学成分及びその組織に依存するものであるが、
特にＣ含有量に大きく影響され、上記特性を高めるため
にはＣを多量に含有することのないようにすべきである
こと。

Ｃ）熱亀裂の発生を抑えるには、加熱・冷却に対して車
輪の組織が安定であることが望ましく、この意味からは
フェライト・パーライト組織及びベイナイト組織のもの
が適しているが、低炭素のフェライト・パーライト組織
では車輪として必要な強度を得ることができず、低炭素
鋼であっても上記両特性を満足するためにはベイナイト
、を主体とした組織が最も良好な結果を生ずること。

ｄ）そこで、車輪を構成する鋼の低炭素化を主体として
、これによって低下する強度の補償を、ｃｒ及びＭＯ元
素の添加によって達成するとともに、その組織をベイナ
イトを主体とした組織とすれば、引張シ強さが８０ｋｇ
ｆ／−以上の強度を有するとともに、優れた耐熱亀裂性
及び耐割損性を有する鉄道車輪が得られること。

ｅ）上記ｄ）項に示した鋼に、さらにＮｉ及びＢの１種
以上を添加することによシ、靭性や焼入れ性の向上が実
現でき、耐割損性や強度がよシ向上した車輪が得られる
こと。

したがって、この発明は上記知見に基いてなされたもの
であって、鉄道車輪を、 Ｃ：　０．１０〜０．３０チ（以下チは重量％とする）
、３１Ｈ０，２０〜０１３０％。

、％ｎ：　０．５５〜Ｌ、ｌ　Ｏ％、 Ｃｒ：０，５０〜１．２０％、 Ｍｏ：　０．２０〜０．５０　％、 ｓｏｌ、　Ａｉ　：　０．０２０〜０．０　’Ｉ　０％
、Ｐ　：　０．０３チ以下、 ３：０．０３％以下、 を含有するとともに、さらに必要に応じて、Ｎｉ：２％
以下、 ３３　：　２０　ｐｐｍ以下。

の１ｆ１！以上を含有し、 Ｆｅ及び不可避不純物：残シ、 から成る成分組成を有する鋼で構成し、かつ少なくとも
車輪踏面表層部がベイナイトを主体とする組織を有する
ことに特徴を有するものである。

なお、鉄道車輪の製造に際しては、熱間加工によシ車輪
の形状に成形した後、車輪踏面に水を噴射して焼入れし
、焼戻し処理を施す工程がとられるが、この発明の鉄道
車輪における踏面表層部とは、前記の焼入れ効果が及ぶ
範囲をいい、その組織は、焼入れ、焼戻し処理によシ主
としてベイナイト組織から成シ、その他少量のフェライ
ト、パーライト組織を含むものである。

ついで、この発明の鉄道車輪において、これを構成する
化学成分の組成範囲を上述のように限定した理由を説明
する。

ａ）　　Ｃ Ｃ成分には、車輪の連続冷却によってベイナイト組織を
生成させて強度を付与する作用があるが、その含有量が
０．１０％未満では前記作用に所望の効果が得られず、
一方、０．３０’％を越えて含有させると耐熱亀裂性及
び耐割損性を低下するようになることから、その含有量
を０．１０〜０．３０％と限定した。

ｂ）　　Ｓｉ ＄１１分は脱酸剤として必要な元素であるが、その含有
量が０．２０％未満ではその十分な効果を得ることがで
きず、一方、０．３０％を越えて含有せしめると耐熱亀
裂性を低下するようになることから、その含有量を０．
２０−０．３０％と限定した。

ｃ）　　Ｍｎ Ｍｎ成分は、脱酸・脱硫効果を有するとともＫ、焼入れ
性を向上して強度を確保するために必要な元素であフ、
その含有量が０．５５％未満ではその十分な効果を得る
ことができず、一方、１．１０％を越えて含有せしめる
と加工性を害するようになることから、その含有量を０
．５５〜１．１０％と限定した。ベイナイトの生成とい
う点から考慮すれば、Ｃ含有量が０．１５％前後では１
％Ｍｎ程度、Ｃ含有量が０．２５％前後では０．６％Ｍ
ｎ程度が好ましい。

ｄ）　　Ｃｒ ｃｒ酸成分は、車輪の強度向上、連続冷却によるベイナ
イト組織の生成のための作用を有するが、その含有量が
０．５０％未満では前記作用に十分な効果が得られず、
一方、１．２０％を越えて含有させると安定したベイナ
イト組織が得られなくなることから、その含有量を０．
５０．１．２０％と限定した。

ｅ）　　Ｍ。

Ｍｏ成分にも、車輪の強度向上や連続冷却によるベイナ
イト組織生成の作用を有するが、その含有量が０．２０
％未満では前記作用に十分な効果が得られず、一方、０
．５０％を越えて含有させると安定したベイナイト組織
が得られなくなることがら、ソ（Ｄ含有量ｆ　０．２０
〜０．５０　％と限定した。

ｆ）　　’ｓｏＬ、ＡＩ Ｍ成分ば脱酸剤として作用し、靭性向上効果を有する元
素であるが、固溶Ｍ量が０．０２０未満ではその十分な
効果が得られず、一方、Ｏ，Ｏ’７０％を越えて含有さ
せても前記効果にそれ以上の向上がみられす、また非金
属介在物が増カルで逆に靭性を低下するようになること
から、その含有量を０．０２０〜０．０７０チと限定し
た。

ｇ）Ｐ、及びＳ Ｐ及び８分は、車輪の靭性確保の点からは少な−いほど
好ましいが、脱燐、脱酸の際の経済性を考慮して、その
含有量を０．０３％以下と限定した。

ｈ）　　Ｎｉ Ｎｉ成分には、車輪の靭性を向上する作用があることか
ら、必要に応じて添加することが好ましい元素であるが
、その含有量が２％を越えると焼入れ性を向上し過ぎて
、加工性及び耐割損性に悪影響金与えるようになること
から、その含有量を２−以下と限定した。

ｉ）　　Ｂ Ｂ成分は、焼入れ性を調整するために必要に応じて添加
することが好ましい元素であるが、２０ｐｐｍを越えそ
添加してもその効果にそれ以上の向上が認められず、逆
に非金属介在物の増加を招くようになることがら、その
含有量を２０１）Ｉ）ｍ以下と限定した。

この発明の車輪を得るためＫは、上記のような組成成分
を有する鋼を、ベイナイト組織とし、引張強さが８０　
ｋｇｆ　／ｍｄ以上となるように焼戻し温度を設定して
熱処理すれば良いのである。

つぎＫ、この発明の車輪を実施例にょ〕比較例と対比し
ながら説明する。

まず、第２表に示す通シの化学成分を有する鋼を溶表し
、これを鍛錬比：約８チで熱間鍛造し、ついで本発明鋼
１〜５に対しては、９００℃、水冷の焼入れ処理を施し
た後、本発明鋼１．２は５５０℃で、本発明鋼３．４は
５７５℃で、本発明鋼５は６ｏｏ℃でそれぞれ焼戻し処
理を施してベイナイト組織とし、比較鋼６及び７につい
ては、踏面焼入れ焼戻しによる微細なフェライト・パー
ライト組織となる熱処理を施して試供材とした。

なお、比較鋼６は米国鉄道協会で規定したものであシ、
比較鋼７はＪ工ｓで規定したものである。

特に、比較鋼６は、現在使用されている車輪鋼の中では
最も靭性に優れたものといわれているものである。

このようにして得られた各試供材について機械的性質を
測定した結果も第２表に併せて示した。

ついで、本発明鋼ｌ〜５、及び比較鋼６〜グについて破
壊靭性値の測定を行なった。試験はＡＳＴＭ−Ｅ３９９
に準じて、１インチＣＴ試験片（厚さが２５．４１１の
コンパクトテンション試験片）によシ行なった。このせ
験によって得られた結果も、第２表に併せて示した。第
２表に示した破壊靭性値の結果からは、本発明鋼の破壊
靭性値は０℃においていずれも５２７〜６４８　ｋｇｆ
　／＠Ｈ”と、比較鋼の１３２〜１９８　ｋｇｆ／ｍｍ
３／２の２．７〜３．３倍になっていることがわかる。

これは、許容亀裂長さにして１．７倍に相当し、実際上
、車輪に亀裂があっても急速破壊に至らないと考えられ
る値である。

つぎに、本発明鋼ｌ、３．及び４．並びに比較鋼６〜７
によって作った実体車輪によるブレーキ試験を行なった
。この試験は、実際と同じ車輪及びブレーキシューを用
いてブレーキ試験を行なうもので、はぼ実車走行状態を
再現するものであ、る。

この実施例においては、輪重１４．９）ン、車輪初速度
’７０　ｍｐｈの条件で車輪を回転させ、停止ブレーキ
を桶返し与えて、割損に至るまでのブレーキ回数を計っ
た。この結果も第２表に併せて示した。

第２表に示したブレーキ試験結果からは、比較鋼で構成
された車輪が各々５２４回及び１２５０回で割損したの
に対して、本発明鋼で構成された車輪は２０００回の繰
返しブレーキによっても割損せず、その安全性が実証さ
れた。

上述のように、この発明によれば、優れた強度及び耐摩
耗性を有するとともに、耐熱亀裂性及び耐割損性にも著
しく優れている鉄道車輪を、格別な設備を要することな
く、コスト安く得ることができ、高速化及び大荷重化と
いう現在の鉄道輸送の傾向に対処し得るものであるなど
、工業上、そして社会上有用な効果がもたらされるので
ある。

出願人　　住友金属工業株式会社 代理人　　富　　１）　和　　夫

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. （１）　　Ｃ：０．１０〜０．３０％。 Ｓｉ：　０．２０−％−０，３０％　。 Ｍｎ：　０．５５〜１．１０　％、 Ｃｒ：　０．５０〜１．２０　％　。 Ｍｏ：　０．２０〜０．５０　％　。 ５ｏｔ−ＡＮ　：　０．０２０〜０．０７０％、　　　
   −Ｐ：０．０３−以下、 Ｓ：０．０３％以下、 Ｆｅ及び不可避不純物：残り、 （以上重量％）からなる成分組成を有し、かつ少なくと
   も車輪踏面表層部がベイナイトを主体とした組織を有し
   ていることを特徴とする耐熱亀裂性及び耐割損性に優れ
   た鉄道車輪。
2. （２）　　Ｃ：０．１０〜０．３０％。 Ｓｉ：０．２０〜０．３０％、 Ｍｎ：　０．５５〜１．１０％、 Ｃｒ：　０．５０〜１．２０　％、 Ｍｏ：　０．２０〜０．５０　％。 ｓｏＬ、　Ａｔ：　０．０２０〜０．０７０％、ｐ：ｏ
   、０３％以下、 ｓ：ｏ、ｏｓ％以下、 を含有するとともに、さらに、 Ｎｉ：２％以下、 を含有し、 Ｆｅ及び不可避不純物：残シ、 （以上重量％）からなる成分組成を有し、かつ少なくと
   も車輪踏面表層部がベイナイトを主体とした組織を有し
   ていることを特徴′とする耐熱亀裂性及び耐割損性に優
   れた鉄道車輪。
3. （３）　　Ｃ：　０．１０〜０．３０％。 ３ｉ：０．２０〜０．３０％、 Ｍｎ　：　０．５５〜１．１０％、 Ｃｒ　：　　０．５０〜１．２　０　％、Ｍｏ　：　　
   ０．２０〜０．５０　％、ｓｏｂ、　Ｍ：　０．０２０
   〜０．０７０％、ｐ：ｏ、０３％以下、 ３：０．０３−以下、 を含有するとともに、さらに、 ｆ３　：　２０　ｐｐｍ以下、 を含有し、 Ｆｅ及び不可避不純物：残シ、 （以上重量％）からなるに分組成を有し、かつ少なくと
   も車輪踏面表層部がベイナイトを主体とした組織を有し
   ていることを特徴とする耐熱亀裂性及び耐割損性に優れ
   た鉄道車輪。
4. （４）　　Ｃ：　０．１０〜０．３０％、Ｓｉ：０．２
   ０〜０．３０％、 Ｍｎ：　０．５５〜１．１０％、 Ｃｒ　：　０．５０〜−Ｌ　２０チ、 Ｍｏ：　　０．２０〜０．５　０　％、８０６Ｍ：０．
   ０２０〜０．０７０％、ｐ二〇、０３−以下、 ３：０．０３チ以下、 を含有するとともに、さらに、 Ｎ１：２％以下、 Ｂ　：　２０　ｐｐｍ以下、 を含有し、 Ｆｅ及び不可避不純物：残フ、 （以上重量％）からなる成分組成を有し、かつ少なくと
   も車輪踏面表層部がベイナイトを主体とした組織を有し
   ていることを特徴とする耐熱亀裂性及び耐割損性に優れ
   た鉄道車輪。