JPS5841316B2 - 鉄素地への耐蝕非粘着性塗膜の形成法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は鉄素地表面に耐蝕非粘着性塗膜を形成する方法
に関する。

従来、鉄素地に弗素樹脂塗膜を形成するに当っては、そ
の上に直接弗素樹脂を塗布、焼付けて行っているが、こ
の場合弗素樹脂が多孔質のものであるが故に耐蝕性が向
上されず、鉄素地の腐蝕が容易に進行してひいては塗膜
剥離を来す原因ともなっていた。

そのため、従来は家庭用厨房器具等にこの種樹脂加工を
利用する場合にあっては、鉄素材は用いず、専らアルミ
ニウムのような耐蝕素材を代替的に使用しているのが実
情である。

しかして、本発明はかかる困難性を克服解消して、鉄素
地へのこの種耐蝕非粘着性塗膜の形成を確実容易ならし
める新規な形成方法を提供する目的でなされたものであ
り、その特徴とする処は、鉄素地にホウロウ皮膜を形成
する工程と、該ホウロウ皮膜表面を粗面化する工程と、
該粗面化されたホウロウ皮膜表面に高純度アルミニウム
を熔射しアルミニウム皮膜を形成する工程と、該アルミ
ニウム皮膜表面に弗素樹脂を塗布、焼成する工程とから
なる点にある。

すなわち、鉄素地にホウロウ皮膜を形成することは従来
より広〈実施されているが、このホウロウ表面にあるい
は更に粗面化したホウロウ表面に弗素樹脂を塗布、焼成
しても、ホウロウと弗素樹脂間の接着強度が低く容易に
剥離して実使用に供し得ない問題が残り、本発明はかか
る問題を防止する見地から、更にホウロウと密着性の良
いアルミニウム皮膜を媒体として弗素樹脂を塗布焼成す
ることを特徴とするものである。

以下本発明をその工程順に詳しく説明する。

第１工程 目的物品の鉄素地にホウロウ皮膜を形成する。

この際のホウロウ施工法には別設特色なく、既知の手段
がそのまま適用され、乾式法、湿式法の種別を問わない
。

なお、ホウロウの膜厚は１５〜２００μの程度が適当で
ある。

すなわち、上記下限以下の厚みでは、次工程において表
面を粗面化する際鉄素地が露出して耐蝕性が損なわれる
おそれを生じるためであり、一方上記上限以上では、ホ
ウロウ皮膜にクラックを起生ずるおそれが生じるためで
ある。

第２工程 ホウロウ表面をその密着性を高めるべ（ブラスト等の適
宜手段によって粗面化する。

この際の表面粗さは８〜１５μの程度が適当である。

第３工程 上記粗面化されたホウロウ皮膜表面に、高純度アルミニ
ウムを熔射して：膜厚１０〜５０μの程度好ましくは２
０μ前後のアルミニウム皮膜を形成する。

この際、溶射には耐蝕性を確保する見地より純度の高い
ものを使用する必要があり、望ましくは純度９９％以上
のアルミニウムを使用する。

第４工程 上記アルミニウム皮膜の表面に、ポリテトラフルオルエ
チレン〔ＣＦ２０Ｆ２ 〕ｎ（テフロン：Ｄｕ Ｐｏｎ
ｔ社商品名）等の弗素樹脂を塗布、焼成して、所期目的
とする耐蝕非粘着性塗膜を形成する。

以上のような工程によって得られる鉄素地塗膜形成品の
構造を示せば、添付図の通りであって、図中１は鉄素地
、２はホウロウ皮膜、３はアルミニウム皮膜を示し、４
はその上の耐蝕非粘着性塗膜を示している。

次に本発明の具体的な１実施例を挙げ、その塗膜特性を
比較例と共に掲げる。

以上に述べた如く、本発明の耐蝕非粘着性塗膜形成法に
従えば、鉄素地にホウロウ皮膜を形成しその表面な粗面
化すると共に、特に高純度アルミニウム溶射皮膜層を介
して弗素樹脂を塗布、焼成せしめるようにしたことによ
って、実使用に供しても容易に剥離したりブリスターを
発生することのない接着強度並びに密着性に優れた塗膜
を鉄素地に形成することができる。

従って、本発明によれば家庭用厨房器具類な始めとして
、鉄素地にこの種塗膜を形成することが求められる広汎
な用途物品にその利用を可能ならしめ、その工業的に資
する価値は大なるものがある。

【図面の簡単な説明】

添付図は本法に係る鉄素地塗膜形成品の構造を示す断面
図である。 １・・・・・・鉄素地、２・・・・・・ホウロウ皮膜、
３・・・・・・アルミニウム皮膜、４・・・・・・弗素
樹脂塗膜。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 鉄素地にホウロウ皮膜を形成する工程と、該ホウロ
   ウ皮膜表面を粗面化する工程と、該粗面化されたホウロ
   ウ皮膜表面に高純度アルミニウムを熔射しアルミニウム
   皮膜を形成する工程と、該アルミニウム皮膜表面に弗素
   樹脂を塗布、焼成する工程とからなることを特徴とする
   鉄素地への耐蝕非粘着性塗膜の形成法。