JPS583944Y2 - フライホイ−ル - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案はたとえばレシプロケーテイングエンジン等に
用いられるフライホイールに関する。

クランクシャフトに直結される通常のフライホイールに
おいては、エンジンの回転変動を吸収する目的上、フラ
イホイール本体を太きくシ、回転軸１わりの慣性モーメ
ントを稼いているため、これと直角軸１わりの慣性モー
メントも大きい。

このため、フライホイール本体の芯部の剛性増大にも特
に注意が払われない結果、クランク・フライホイール系
の共振が実用回転上限近傍に存在する。

すなわち、第１図のグラフにち・いて、２点鎖線で示す
ように、エンジン回転数の上昇に伴って振動振幅が増大
し、共振点ａが実用回転域上限に存在する。

したがって、フライホイールは回転しながら振動する結
果ジャイロモーメントを生じ、エンジン本体に振動が発
生しそれが車体に伝達されて車室内振動、騒音の原因と
なる。

一方、フライホイールは本来、エンジンの回転速度変動
を吸収・平滑化する目的で設けられる訳であり、その意
味では、慣性モーメントが大きい方が秀れているのであ
るが、これが大きいことは上述の如く誘起されるジャイ
ロモーメントを増大せしめるのみならず、エンジンの加
速性能を悪化させるため一概に大きく出来ず、速度変動
が充分平滑化されない一１ｘ駆動系に伝達されるのが普
通である。

この様な回転速度変動によって駆動系が捩り共振を発生
し、それが車体に伝達され、車室内振動騒音の原因とな
る。

この考案は上記事情に着目してなされたもので、その目
的とするところは、捩り振動低減機能を付与する弾性部
材によって結合剛性を低下させたフライホイール本体の
側面に内周縁が固定され本体の回転方向には高剛性でそ
れ以外の方向に対しては低剛性の結合ディスクを設け、
この結合ディスクの外周縁に慣性リングを固定し、共振
周波数を実用回転以下に低下させ、ジャイロモーメント
に起因するエンジン振動を低減させることにより、車室
内の振動・騒音を低減することができるフライホイール
を提供しようとするものである。

以下、この考案を図面に示す一実施例にもとすいて説明
する。

第２図および第３図中１はフライホル本体で、これは／
・ブ２、弾性部材３およびクラッチ形成リング４とから
構成されている。

すなわち、・・ブ２は中央部付近は肉厚に、外周部付近
は肉薄に形成されていて、この中央部−側には凹陥部５
が設けられている。

そして、との凹陥部５にはクランクシャフト６の端部に
嵌合され、このハブ２とクランクシャフト６とは複数本
の取付ボルト７・・・によって固着されている。

さらに、この・・ブ２の外周縁には等間隔に複数の突起
８・・・が設けられていて、上記弾性部材３はこれら突
起８・・・と噛合するように内周縁に凹部９・・・を有
している。

また、この弾性部材３はたとえばゴム材料によって全体
としてリング状に形成され、・・ブ２に対して接着され
ている。

そして、この弾性部材３の外周縁には同じく凹部と凸部
との噛み合せによりクラッチ形成リング４が接着固定さ
れ、このクラッチ形成リング４のさらに外周縁にはリン
グギヤ１０が嵌着されている。

したがって、クラッチ形ｆｆリング４は弾性部材３によ
ってあらゆる方向に剛性は低下するが、その低下量はク
ランクシャフト６の直角曲げ方向には後述する慣性リン
グ１５の振動数的に同条件にするとともに回転方向にも
最適な振動特性を得るべくコントロールされる。

このように形成されたフライホイール本体１のクランク
シャフト６と反対側にはクラッチ構成部材１１およびこ
れを覆うクラッチカバー１２が設けられている。

さらにフライホイール本体１のクランクシャフト６側に
は円板状をなすばね鋼板からなり、フライホイール本体
１の回転方向には高剛性で、それ以外の方向に対しては
低剛性の結合ディスク１３が位置されている。

そして、この結合ディスク１３の内周縁部は固定具たと
えば複数本のリベット１４・・・によってフライホイー
ル本体１のハブ２に固着され、この結合ディスク１３の
外周縁の自由端はフライホイール本体１と平行に外周部
捷で延長している。

さらに、この結合ディスク１３の外周縁に位置するフラ
イホイール本体１側にはフライホイール慣性モーメント
とフライホイール本体１およびクラッチ構成部材１１な
どで得られる慣性モーメントとの差に等しい慣性モーメ
ントを有する慣性リング１５が複数本のリベット１４・
・・によって固着されている。

そして、この慣性リング１５の側面に設けられた段部１
６はフライホイール本体１のクラッチ形成リング４に設
けた段部１７と微少間隙を介して対向している。

このように構成されたフライホイールは結合剛性を低下
させることによって共振周波数を第１図の実線で示すよ
うに実用回転以下に低下させることができ、ジャイロモ
ーメントに起因するエンジン振動を低減できる。

さらに、この考案は捩り振動的には第４図で示すように
一つの振動系をなす。

ここで、慣性モーメント■Ａ（慣性リング）、ＩＢ（ク
ラッチ形成リング＋クラッチ機構慣性モーメントなど）
捩りばね、ｋ（弾性部材による捩りばね定数）の値を適
切に選択することによってエンジンの回転速度変動の伝
達を低減できる。

すなわち、慣性リング■Ａは回転方向にクランクシャフ
トと一体に（剛に）とりつけられ、通常用いられるフラ
イホールと捷った〈同様の機能を果す。

したがって、これは大きければ大きい程クランクシャフ
トの回転速度変動そのものを低減させることができ、振
動特性的に伝達力を低減せしめるというこの考案の機構
上は主要なメンバではない。

しかしながら、エンジンの回転そのものを滑らかにする
ことはもとより必要であり、それに要する慣性モーメン
ト■Ａは取付けねばならないが、この取付けが回転軸直
角方向の曲げ方向にも剛性が高い場合には、これの振動
によってジャイロモーメントが誘起され、エンジン振動
が発生する。

そのため回転方向にのみ剛に結合することによって回転
変速度変動を平滑化する機能を果たさせ、曲り方向には
剛性を低下させることによって固有振動数を実用上問題
とならない回転域１で低下させていることが特徴である
。

なお、このように構成されたフライホイールにおいて第
５図で示すようにクラッチの操作荷重Ｗが負荷される場
合、弾性部材３の軸方向剛性が低いためクランクシャフ
ト６に対しクラッチ機構が相対的に変化し、クラッチの
切れなどに問題を起こすことがある。

この場合、ハブ２に弾性部材３と間隙δを介して対向す
るストッパ１８を設け、クラッチの操作荷重による変位
を一定値以内に抑えることもできる。

この考案は以上説明したように、クランクシャフトに固
着されるハブの外周に捩り振動低減機能を付与する弾性
部材を介してクラッチ形成リングを固着して構成したフ
ライホイール本体に回転方向には高剛性の結合ディスク
を設け、この結合ディスクの外周縁に慣性リングを固定
したから、共振周波数を実用回転以下に低下させること
ができ、ジャイロモーメントに起因するエンジン振動を
低減することができるとともにエンジン特有な回転速度
変動の伝達をともに低減することによって自動車車室内
振動、騒音を低減することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来とこの考案とのクランク・フライホイール
系共振発生状態を示すグラフ図、第２図はこの考案の一
実施例を示す一部断面した側面図、第３図は同じくフラ
イホイール本体の正面図、第４図は同じく捩り振動系を
説明するための概略的構成図、第５図はこの考案の他の
実施例を示す一部断面した側面図である。 １・・・フライホイー／？、’ｌ・・・ハフ、３・・・
弾性部材、４・・・クラッチ形成リング、６・・・クラ
ンクシャフト、１３・・・結合ディスク、１５・・・慣
性リング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. クランクシャフトに固着されるノ・プの外周に捩り振動
   低減機能を付与すく弾性部材を介してクラッチ形成リン
   グを固着して構成したフライホイール本体と、この本体
   の側面に内周縁が固定化され水損の回転方向には高剛性
   で、それ以外の方向に対しては低剛性の結合ディスクと
   、この結合ディスクの外周縁に固定され上記本体ととも
   に回転する慣性リングとを具備したことを特徴とするフ
   ライホイール。