JPS5835822B2 - ねじ切削用タップ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、ねじ切削用のねじれみぞタップおよびテーパ
ねじ用タップの改良に関し、ねじ山の二番取り角を前側
（タップ先端側、リーディング側）と後側（タップ元側
、トレーリング側）で相違させたことを特徴とするもの
で、その目的とするところは、従来のタップよりも仕上
面がよく、高精度のめねじが得られ、耐久性の高いタッ
プを提供しようとするものである。

タップによるめねじの切削は食付き部の円錐上にらせん
状に並んだ切刃によって行なわれる。

タップの回転につれて食付き部の不完金山が次々に食い
込んで行く。

この状態を３枚刃、食付き部の長さ２，５山のタップを
例にとり各切刃みぞごとに分割して説明したのが第１図
である。

食付き部の各切刃の１刃１刃はねじ山としては不完全で
あるが、各切刃は分担して切削を行ない、食付き郡全体
で完全なねじ山を形成する。

このときのある１刃を拡大して第２図に示す。

切削作用は主として切刃の頂部、即ち食付き勾配面イで
行なうが、一部は両フランクの頂部口およびハでも行な
う。

進み方向に向って前側フランクの一部口および後側フラ
ンクの一部ハも被加工物に切込み、切削作用を行なう切
刃の働きを行なっている。

食付き部の外周刃は切削作用を営むため二番取りを施す
。

即ち接線方向に逃げ角を与えることによって摩擦を少な
くシ、切れ味をよくし、発熱を減少させ、耐久性と仕上
面粗度を向上させる。

一般にこの逃げ角は３〜８度である。食付き部にある不
完全ねじ山のフランクの一部（口およびハ）は切削作用
を営むため、食付き部の外周刃と同様に摩擦を少なくシ
、切れ味をよくするために二番取りを施すことが有効で
ある。

ねじ山フランク部に二番取りを施したタップは切れ味は
良好であるが、反面タップの完全ねじ山部は切削作用を
営まず、既に形成されためねじとかみ合って正しいピッ
チでタップを前進させるガイドの役目をしているため、
刃先から刃裏にかけて二番取りを施すことはランド部の
被加工物への接触を少なくし、抵抗を少なくすることで
あり、ガイドの役目が不充分となり、被刀ロエ物への食
込みやおどりを生じ、タップの回転あるいは送りが不安
定となり、めねじの拡大や、やせ現象を生じ易く、めね
じ精度が低下する欠点がある。

タップのねじ山フランクはこの様に切削作用とガイド作
用との２つの機能を満たす必要がある。

タップランド部のねじ山フランクに施される二番取りの
代表的なものを第３図のａ 、ｂ、ｃに示す。

ａは同心形で二番取りを施さないもの、ｂは刃先に同心
部（マージン部）を残して刃裏側のみに偏心二番取りを
施したもの、Ｃは刃先から二番取りを施したもの、尚、
ねじ山フランク部の二番取り角度は５分〜１度が一般で
ある。

従来のねじ山フランク部の二番取りは前後側フランクが
同形であり、かつ同一角度である。

ａ、ｂ、ｃはタップの寸法および被剛材質を考慮して選
定する。

ストレートねじでストレートみぞのタップでは従来の二
番取りで特に問題はない。

ところが、第４図に示す様なねじれみぞタップの場合に
はすくい面が軸と平行な平面上になく、交叉しており、
前側フランクと後側フランクの横すくい角が同一でない
。

右ねじて右ねじれみぞのタップに例を取れば第５図に示
すように前側フランクの横すくい角はプラスになり、後
側フランクの横すくい角はマイナスになる。

このため、前側フランクの切れ味はよく、仕上面もよい
が、後側フランクの切れ味は悪く、仕上面も悪くなる。

ねじ山フランクに二番取りを施せば、切れ味はよくなり
、仕上面もよくなるが、一方ガイドの働きが弱められ、
めねじ拡大を生じ易くなる。

右ねじて右ねじれみぞのタップは切屑を後方に押出す。

その反力でタップを前進させるため正しいピッチ以上に
送られ、過切削し易い。

この進み過ぎを防ぐための充分なガイドが必要であり、
そのためには第３図ａに示す二番取りの施してないもの
が望ましい。

前側のフランクはガイドのために同心形ａとし、後側フ
ランクは切れ味と仕上面のために刃先から二番取りを施
した形Ｃが望ましいことになる。

従来のタップは前後のフランクが同形に二番取りされて
おり、この両方の要求を満足することができない。

本発明は、 １、右ねじで右ねじれみぞのタップは前側フランクを同
心形ａとし、後側フランクを刃先から二番取りした形Ｃ
とする。

２、右ねじで左ねじれみぞのタップは前側フランクをＣ
形とし、後側フランクをａ形とする。

３、左ねじで左ねじれみぞのタップは前側フランクをａ
形とし、後側フランクをＣ形とする。

４、左ねじて右ねじれみそのタップは前側フランクをＣ
形とし、後側フランクをａ形とする。

上記１．の右ねじで右ねじれみぞのタップで切削性能を
試１験した結果を次の第１表に示す。

第６図は、こ＼で用いた試験タップのねじＩＪ ＩＪ−
ブの形状を示す説明図である。

本発明のものは、切れ味、めねじ精度、仕上面共に良好
である。

テーパねじ用タップは完全ねじ山部でも切削を行なうた
め、ねじ山フランクに普通１〜３度の二番取りが施され
ているが、第８図の完全山部分にかかる切削抵抗の説明
図に示す如く後側フランク二にかかる抵抗と前側フラン
クホおよびへにかかる抵抗が異る。

二とホが等しく、への部分にかかる抵抗１が前側フラン
クに余分にかかり、その軸方向分力またけタップを後方
へ押す力として作用する。

即ち、自進力が弱く、大きな送り推力を加えないと正し
いピッチで送られない。

本発明のテーパねじ用タップはストレートみぞの場合で
も前側フランクの二番取り角を後側フランクの二番取り
角よりも大きくすることにより前側フランク切刃面の切
れ味が向上し、小さな送り推力で正しいピッチの送りが
可能となる。

前側フランクの二番取り角は後側フランクの二番取り角
の１．５〜３培が適当である。

１．５＠より小さいとその効果が少く、３倍以上では進
み過ぎによる山やせが生じ易くなる。

本発明のテーパねじ用タップは切れ味がよく、また無理
な抵抗がかからないため、耐久性もすぐれ、かつ、山や
せのない正しいピッチのテーパねじを容易に安定して加
工することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はタップ食付き部の各切刃の切削分担を示す説明
図。 第２図は第１図のある１刃の拡大図。第３図はタップラ
ンド部のねし山フランクに施される二番取りの種類を示
す断面図であり、ａは同心形、ｂはマージン付き二番取
り形、Ｃは刃先から二番取りした形。 第４図は右ねじ右ねじれみぞタップの正面図。 第５図は第４図のある１刃の拡大図、第６図は第１表の
試験に用いたタップのねじＩＪ ＩＪ−ブの形状を示す
説明図、第７図はテーパねじ用タップの一例を示す正面
図、第８図は第７図のＩの部分拡大図で切削抵抗のかか
り方を示す説明図である。 イ・・・・・・食付き勾配面、口、ハ・・・・・・フラ
ンク切刃面、二・・・・・・後側フランク切刃面、ホ、
へ・・・・・・前側フランク切刃面、１・・・・・・切
削抵抗、２・・・・・・軸方向分力、３・・・・・・半
径方向分力。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ねじ山の両側フランクの二番取り角度を相違させた
   ことを特徴とし、 ａ）、ねじれみぞタップにおいては、軸に平行な横すく
   い角が負になる側のねじ山フランクに二番取りを施し、
   正側のねじ山フランクには二番取りを施さないようにし
   、 ｂ）、テーパねじ用タップにおいては、前側フランクの
   二番取り角を後側フランクの二番取り角よりも犬とした
   ねじ切削用タップ。