JPS581377Y2 - 車両用終駆動機の潤滑装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、車両用終駆動機の潤滑装置に係り、特に、ト
ランスアクスルケース内に設けた隔壁にて車体の前後方
向に軸架したドライブピニオンシャフトの前方に該ドラ
イブピニオンシャフトのビニオンと噛合するリングギヤ
を一体的に設けたディファレンシャルギヤユニットを配
設し、該ディファレンシャルギヤユニットの両端を前記
ケースの両側壁に設けた左右一対の軸受により軸支し、
これら各軸受の外方にて前記ディファレンシャルギヤユ
ニットにより駆動される駆動軸と前記ケースの各側壁間
に環状のオイルシールを介装し、かつ前記各軸受と前記
側壁の間に前記駆動軸方向の間隙を調整するシムプレー
トを介在させてなり、前進駆動時に前記リングギヤが前
記ケース内に貯えた潤滑油を前記隔壁に向けて掻き上げ
るようにした車両用終駆動機に採用するに適した潤滑装
置に関する。

しかして、上記した車両用終駆動機においては、前記両
軸受、前記オイルシールの前記駆動軸との摺接部、並び
に前記ディファレンシャルギヤユニットの各部等への潤
滑油供給が主として前記リングギヤの潤滑油攪拌作用に
よってなされるようにしである。

しかしながら、上記したリングギヤの潤滑油攪拌時には
リングギヤによって攪拌された潤滑油の大部分がリング
ギヤに沿って流動するため、上述した各部位には潤滑油
が適切に供給されず、潤滑油不足による不具合（例えば
、前記オイルシールの摩耗、面あれ、焼け、鳴き等）が
生じるおそれがある。

本考案はかかる不具合を解消しようとするもので、以下
にその一実施例を図面について説明する。

第１図は本考案を実施した終部動機、並ひにクラツチ装
置１２及び歯車変速装置３０を主体とする動力伝達装置
を備えてなる自動車１０の前部を示しており、この自動
車１０に搭載したエンジン１１の後端下部には終駆動機
、並びに動力伝達装置を収容するケーシング２０が固着
されている。

なお、第１図に示したシフト装置１４は歯車変速装置３
０の切換操作をなすためのもので、シフトレバ−１４ａ
、連結杆１４ｂ及びシフトフォーク（図示せず）を具備
している。

ケーシング２０は、第１図及び第２図にて示したように
、トランスアクスルケース２１．トランスミッションケ
ース２２及びインタミゾイエイトプレート２３を具備し
ている。

トランスアクスルケース２１はその上部にてクラッチ装
置１２を収容し、かつその下部にて終駆動機の構成部材
であるファイナルドライブキット４０及びディファレン
シャルギヤユニット１３を収容しており、その前端には
カバー２４が固着されている。

トランスミッションケース２２はインクミゾイエイトプ
レート２３を介してトランスアクスルケース２１の後端
に固着されており、その内部にはクラッチ装置１２及び
ファイナルドライブキット４０に接続した歯車変速装置
３０が収容されている。

なお、このトランスミッションケース２２の後端にはエ
クステンションハウジング２５が固着されている。

歯車変速装置３０は、クラッチ装置１２の出力軸である
クラッチシャツＮ ２ａの下方に配置したアイドラシャ
フト３１と、このアイドラシャフト３１の下方に配置し
たアウトプットシャフト３２と、このアウトプットシャ
フト３２の側方にアウトプットシャフト３２と略同−地
上高にて平行に配置したカウンタシャフト３３（但し、
第２図においては、各変速ギヤの噛合状態を図示する都
合上、アウトプットシャフト３２の下方に図示した。

）を具備している。なお、クラッチシャフト１２ａはイ
ンタミゾイエイトプレート２３及びトランスミッション
ケース２２に一対の軸受Ｂ１゜Ｂ２を介して回転自在に
軸支されている。

アイドラシャフト３１はインタミゾイエイトプレート２
３及びトランスミッションケース２２に一対の軸受Ｂ３
及びＢ４を介して回転自在に軸支されており、その外周
に一体的に形成したアイドラギヤ３１ａにはクラッチシ
ャツＮ２ａと一体的なドライビングギヤ１２ｂが上方か
ら常時噛合している。

またこのアイドラシャフト３１にはリバースドライビン
グギヤ３１ｂがアイドラギヤ３１ａとともに一体成形さ
れている。

アウトプットシャフト３２はインクミゾイエイトプレー
ト２３及びトランスミッションケース２２に一対の軸受
Ｂ、及びＢ６を介して回転自在に軸支されており、その
先端はスプライン継手４９を介してファイナルドライブ
キット４０のドライブピニオンシャフト４１に連結され
ている。

また、このアウトプットシャフト３２上には、第１速ギ
ヤ３２ａ〜第４速ギヤ３２ｄが回転自在に組付けられ、
かつシンクロナイザ装置３２ｅ 、３２ｆがスプライン
結合されている。

なお、シンクロナイザ装置３２ｆのスリーブ外周には図
示しないリバースアイドラギヤを介してリバースドライ
ビングギヤ３１ｂと選択的に噛合するリバースギヤ３２
３２ｇが一体的に形成されている。

カウンタシャフト３３はインクミゾイエイトプレート２
３及びトランスミッションケース２２に一対の軸受Ｂ７
及びＢ８を介して回転自在に軸支されており、その外周
には上述したアウトプットシャフト３２の第１速ギヤ３
２２〜第４速ギヤ３２ｄと常時噛合する第１速ギヤ３３
２〜第４速ギヤ３３ｄが一体的に形成されている。

ファイナルドライブキット４０は、第３図にて明瞭に示
したように、ビニオン４１ａを有するドライブピニオン
シャフト４１とこのドライブピニオンシャフト４１の前
方に配置したリングギヤ４２からなり、歯車変速装置３
０のアウトプットシャフト３２とディファレンシャルギ
ヤユニット１３を動力伝達可能に接続している。

ドライブピニオンシャフト４１は車体の前後方向に配置
され、トランスアクスルケース２１に設けた隔壁２１ａ
の上部にて前後一対の円錐コロ軸受４３，４４により回
転自在に軸支されている。

リングギヤ４２はドライブピニオンシャフト４１の車両
前進方向に向かって右側にてディファレンシャルギヤユ
ニット１３のケース１３ａにボルト４５〜４５により固
着されており、その後端にてドライブピニオンシャフト
４１の先端に設けたビニオン４１ａに噛合している。

ディファレンシャルギヤユニット１３は、第３図及び第
４図にて示したように、ケース１３２の両側端部１３Ｒ
，１３Ｌ外周にて左右一対の円錐コロ軸受７１．７２及
び環状のシムプレート７３゜７４を介してトランスアク
スルケース２１及びベアリングキャップ７５．７６から
なるキャリヤに回転自在に軸支され、かつケース１３ａ
の両側端部１３Ｒ，１３Ｌ内周にて両前車軸１５Ｒ，１
５Ｌをそれぞれ回転可能に軸支している。

シトプレー）７３．７４は両円錐コロ軸受７１，７２に
適切な軸方向の荷重を付与するとともにリングギヤ４２
とピニオン４１ａ間のバックラッシュを適切に設定する
機能を有している。

前車軸１５Ｒ２１５Ｌは各内端にてディファレンシャル
ギヤユニット１３のかさ歯車１３ｂ 、 １３ｃにそれ
ぞれスプライン結合され、環状のオイルシール７７゜７
８を介してトランスアクスルケース２１外にそれぞれ延
出している。

また、この前車軸１５Ｒ２１５Ｌは各外端にて公知の別
々の懸架装置（図示しない）によって支持された左右の
車輪１６Ｒ２１６Ｌに自在継手（図示しない）を介して
それぞれ連結されている。

オイルシール７７．７８は、円錐コロ軸受７１，７２の
外方にてトランスアクスルケース２１に組付けられ、そ
の内周にて前車軸１５Ｒ，１５Ｌの外周に摺接している
。

なお、ケーシング２０の底部には所要量の潤滑油が貯え
てあり、この潤滑油は第２図にて示したように隔壁２１
ａによって区画された前方の室Ｒ１と後方の室Ｒ２間を
連通孔２１ｂを通して互に連通ずる構成となっている。

また前方の室Ｒ１内においては、リングギヤ４２の下部
が潤滑油中に浸漬している。

（第２図及び第４図中には静止時における潤滑油の液面
が一点鎖線にて示しである。

）しかして、本実施例においては、トランスアクスルケ
ース２１におけるオイルシール組付部２１ Ｒ，２１Ｌ
の先端内壁に切欠２１ｒ、２１１が略水平に設けられ、
これら各切欠２１ｒ、２１１と各ベアリングキャップ７
５．７６の外側面によって各シムプレー）７３．７４と
各オイルシール７７．７８間にそれぞれ形成される空所
Ｒ３，Ｒ４をケーシング２０の前方の室Ｒ１に連通させ
る連通孔Ｈ１，Ｈ２が形成されている。

また、第６図にて拡大して示したように、各シムプレー
ト７３゜７４の内径が各円錐コロ軸受７１，７２におけ
るアウターレース７１ ａ 、７２ａの内径より小さく
インナーレース７１ｂ、７２ｂの内径よりわずかに大き
くしである。

また、本実施例においては、トランスアクスルケース２
１の前方開口端を覆蓋するカバー２４の内壁には左右一
対の案内壁２４Ｒ，２４Ｌが一体的に突設されている。

第５図の図示左方の案内壁２４Ｒはリングギヤ４２の車
両前進方向に向かって右側に位置し右方に向かって下方
に傾斜している。

またこの案内壁２４Ｅ（の右端部は略水平とされ、右端
は切欠２１ｒの前端下部に位置するトランスアクスルケ
ース２１に当接し連通孔Ｈ１に連続する誘導路を形成し
ている。

図示右方の案内壁２４Ｌはリングギヤ４２の車両前進方
向に向かって左側に位置し左方に向かって下方に傾斜し
ている。

またこの案内壁２４Ｌの左端部は略水平とされ、左端は
切欠２１１の前端下部に位置するトランスアクスルケー
ス２１に当接し連通孔Ｈ２に連続する誘導路を形成して
いる。

なお、本実施例においては、各ベアリングキャップ７５
．７６と各案内壁２４Ｆｔ、２４Ｌ間の間隙を小さくす
べく、各ベアリングキャップ７５゜７６の中央部の肉厚
が部分的に厚くしである。

上記した間隙は潤滑油の落下通路となるため、ベアリン
グキャップ７５．７６及びカバー２４の製作性及び組付
性に支障をきたさない限り小さくすることが望ましい。

このように構成した本実施例においては、車両前進時、
リングギヤ４２及びディファレンシャルギヤユニット１
３によって前方の室Ｒ１内の潤滑油が攪拌され掻き上げ
られて、その一部が周囲に飛散し前方の室Ｒ１内に露呈
する各ギヤの噛合部及び軸支部等を潤滑するとともに、
残部がリングギヤ４２に沿って流動する。

このリングギヤ４２に沿って流動する潤滑油の一部は遠
心力によって外方へ飛散し、直接両案内壁２４Ｒ，２４
Ｌの各内端部上に当り受は止められるとともに、カバー
２４の内壁に沿って流下して両案内壁２４Ｒ２２４Ｌの
各内端部上に受は止められる。

これらの潤滑油は各案内壁２４Ｒ，２４Ｌに誘導されそ
れぞれ外側に向けて流下し、各案内壁２４ Ｒ，２４Ｌ
の外端から各連通孔Ｈ１，Ｈ２を通って各室Ｒ３゜Ｒ４
内に流入する。

これら各室Ｒ３，Ｒ４内に流入した潤滑油はオイルシー
ル７７．７８の車軸摺接部を潤滑し、かつ各円錐コロ軸
受７１，７２及びディファレンシャルギヤケース１３ａ
の各車軸軸支部（すなわち、ケース１３ａの各外端部１
３Ｒ２１３Ｌ内孔）を潤滑しながら通過して、前方の室
Ｒ１内に流下する。

しかして、本実施例においては、各室Ｒ３，Ｒ，内に流
入した潤滑油が各シムプレー）７３．７４によって各円
錐コロ軸受７１゜７２への流動を一部規制され貯められ
るため、各オイルシール７７．７８の車軸摺接部は確実
に潤滑油中に浸漬することとなり、各オイルシール７７
．７８の摩耗、面あれ、焼け、鳴き等の不具合が適確に
防がれる。

また、車両後進時には、リングギヤ４２が逆転するため
、リングギヤ４２に沿って流動する潤滑油が両案内壁２
４Ｒ，２４Ｌの各内端部上に直接当らなくなるが、この
ときにもカバー２４の内壁に付着し流下する潤滑油の一
部が、上述した車両前進時と同様にして、各室ＦＬ３．
Ｒ４内に誘導されかつ貯められ、各オイルシール７７
．７８の車軸摺接部、各円錐コロ軸受７１，７２及びデ
ィファレンシャルギヤケース１３ａの各車軸軸支部を潤
滑する。

なお、上記実施例においては、本考案の実施に際して、
各シムプレー）７３．７４の内径を単に各軸受７１，７
２におけるアウターレース７１ａ。

７２ａの内径より小さくした例について説明したが、第
７図及び第８図にて示したようにして実施することも可
能である。

第７図に示したシムプレー）１７３においては、シムプ
レート１７３の一部に内方に延出する突起１７３ａが形
成されており、この突起１７３ａにて各軸受７１，７２
に向けて流れる潤滑油の一部が規制される。

第８図に示したシムプレート２７３は、２枚のシムプレ
ー）２７３Ａ、２７３Ｂからなり、左方のシムプレー）
２７３Ａの内径が小さくしである。

これにより、上記実施例と同様に各軸受７１．７２に向
けて流れる潤滑油の一部が規制される。

なお、突起１７３ａの内径及びシムプレー）２７３Ａの
内径は各軸受７１．７２におけるアウターレース７１ａ
、７２ａの内径より小さくしであることは勿論のことで
ある。

また、上記各シムプレート７３ 、７４ 、１７３ 。

２７３においては、シムプレート７３，７４、突起１７
３ａ、シムプレー）２７３Ａの内径全周をアウターレー
ス７１ａ、７２ａの内径より小さくした例について説明
したが、本考案の実施に際しては、各オイルシール７７
．７Ｂにおける車軸摺動部の一部が潤滑油中に浸漬すれ
ば所期の目的が達成されるため、第９図にて示したよう
に、シムプレー）３７３の内径の下部３７３ａをアウタ
ーレース７１ａ、７２ａの内径より小さくして実施する
ことも可能である。

更に、本考案は、上記実施例にて例示した型式の終駆動
機（独立懸架装置により支持した車輪に連結される駆動
軸を備える終駆動機）を装備してなる車両には全て実施
できるものであり、その適用対象は上記実施例のごとき
フロントエンジン・フロントドライブ型式の自動車に限
定されるものではない。

以上要するに、本考案においては、上記実施例にて例示
したごとく、各軸受７１．７２とオイルシール７７．７
８の間に前方に開口する連通孔Ｈ１，Ｈ２を設け、かつ
デ１ファレンシャルギャユニット１３．リングギヤ４２
等を収容するケース２１の前方開口端を覆蓋するカバー
２４の内壁にリングギヤ４２の前方両側に位置して上方
から各連通孔Ｈ１，Ｈ２に近接する位置まで傾斜して延
在し上方から流下する潤滑油を受ける一対の案内壁２４
Ｌ、２４Ｒを一体成形し、更に、シムプレート７３，７
４の少なくとも下方の内径を軸受７１゜７２のアウター
レースの内径より小さくしたことにその構成上の特徴が
ある。

これにより本考案においては、案内壁２４Ｌ、２４Ｒに
よって受は止められた潤滑油をデイファレンシャルギャ
ユ、ニット１３の両軸支部の内部（すなわち、室Ｒ３Ｊ
Ｒ４）に確実に誘導することができて、潤滑油不足に
よる不具合を未然に防止することができ、また案内壁２
４Ｌ、２４Ｒはカバー２４の補強リブとしての役目をも
果し、カバー２４の強度を高めることができる。

また、本考案においては、案内壁２４Ｌ、２４Ｒの下端
をカバー２４のトランスアクスルケース２１への取付端
面を基準にして各連通孔Ｈ１，Ｈ２の開口に可能なかぎ
り近接して配置することができ、上述した潤滑油の誘導
をより一層適確にすることができる。

更に本考案においては、各シムプレート７３．７４の下
部に各軸受７１．７２とオイルシール７７．７８間に流
入した潤滑油を貯めて各オイルシール７７．７８の車軸
摺接部を適確に潤滑することができ、各オイルシール７
７．７８の摩耗、面あれ、焼け、鳴き等を完全に防止す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案を実施した動力伝達装置を備えてなる自
動車の前部概略側面図、第２図は第１図にて示したケー
シング内の拡大構成図、第３図は第２図の要部拡大横断
平面図、第４図はカバーを外した状態における正面図、
第５図はカバーの正面図である。 第６図は本考案の要部拡大断面図、第７９図〜第９図は
本考案の主要部を構成するシムプレートの変形例を示す
図であって、第７図は縦断面図、第８図は下部縦断面図
、第９図は正面図である。 符号の説明、１３・・・・・・ディファレンシャルギヤ
ユニット、１３ａ・・・・・・ケース、１３ｂ、１３ｃ
・・・・・・かさ歯車、１５Ｒ，１５Ｌ・・・・・・前
車軸（駆動軸）１６Ｒ，１６Ｌ・・・・・・車輪、２０
・・・・・・ケーシング、２１・・・・・・トランスア
クスルケース、２４・・・・・・カバー、２４Ｌ、２４
Ｒ・・・・・・案内壁、４０・・・・・・ファイナルド
ライブキット、４１・・・・・・ドライブピニオンシャ
フト、４１ａ・・・・・・ドライブピニオン、４２・・
・・・・リングギヤ、７１，７２・・・・・・円錐コロ
軸受、７３．７４・・・・・・シムプレート、７７．７
８・・・・・・オイルシール、Ｈｌ、Ｈ２・・・・・・
連通孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. トランスアクスルケース内に設けた隔壁にて車体の前後
   方向に軸架したドライブピニオンシャフトの前方に該ド
   ライブピニオンシャフトのピニオンと噛合するリングギ
   ヤを一体的に設けたディファレンシャルギヤユニットを
   配設し、該ディファレンシャルギヤユニットの両端を前
   記ケースの両側壁に設けた左右一対の軸受により軸支し
   、これう各軸受の外方にて前記ディファレンシャルギヤ
   ユニットにより駆動される駆動軸と前記ケースの各側壁
   間に環状のオイルシールを介装し、かつ前記各軸受と前
   記側壁の間に前記駆動軸方向の間隙を調整するシムプレ
   ートを介在させてなり、前進駆動時に前記リンクギヤが
   前記ケース内に貯えた潤滑油を前記隔壁に向けて掻き上
   げるようにした車両用終駆動機において、前記各軸受と
   前記オイルシールの間に前方に開口する一対の連通孔を
   設け、かつ前記ケースの前方開口端を覆蓋するカバーの
   内壁に前記リングギヤの前方両側に位置して上方から前
   記各連通孔に近接する位置まで傾斜して延在し上方から
   流下する潤滑油を受ける一対の案内壁を一体成形し、更
   に前記シムプレートの少なくとも下方の内径を前記軸受
   のアラクーレースの内径より小さくしたことを特徴とす
   る潤滑装置。