JPH1199424A - 工作機械の主軸ヘッド支持構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ワークの加工時における主軸ヘッドの振れを
抑制して加工精度を向上することができるとともに、主
軸ヘッドの小型化及び高速移動を行うことができる工作
機械の主軸ヘッド支持構造を提供する。 【解決手段】 第２サドル１７の水平支持部１７ｃに直
動ガイドレール２０を敷設し、このレール２０にスライ
ド部材２１を介して第３サドル２２をＺ軸（前後）方向
の移動可能に支持する。このサドル２２の前端面に主軸
２４を連結し、該主軸２４を前記第２サドル１７の垂直
支持部１７ａに嵌合した静圧軸受２５に支持する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、工作機械の主軸
ヘッド支持構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の横型の工作機械は、ベッドに対し
左右方向及び前後方向に移動する移動コラムを装着し、
この移動コラムに主軸ヘッドを上下方向に移動可能に装
着し、主軸ヘッドに取り付けた加工具によりワークを加
工する構成が一般的であった。この横型の工作機械は、
移動コラムの重量が重く、その左右方向及び前後方向へ
の移動速度を速くすることが困難であった。又、加工の
推進力を得るため、移動コラムの剛性を高める必要があ
り、移動コラムが大型になり、高速で移動するには不利
な構成であった。

【０００３】そこで、ベッドに固定コラムを立設し、前
記コラムの前面に第１のサドルを左右方向に移動可能に
装着し、前記第１のサドルの前面に第２のサドルを上下
方向に移動可能に装着し、この第２のサドルに主軸ヘッ
ドを前後方向に移動可能に装着した横型の工作機械が提
案された。この工作機械にはコラムとともに主軸ヘッド
を前後方向に移動することはないので、コラムが小型化
されるとともに主軸ヘッドの前後方向への高速移動を行
うことができる。

【０００４】上記の横型の工作機械において、加工具を
把持する主軸ヘッドを支持する構造として次の二つのタ
イプがある。第１のタイプは、前記第２のサドルの上面
に一対の直動ガイドレールやスライド機構を前後方向に
敷設し、直動ガイドレールやスライド機構にスライドブ
ロックを介して、主軸ヘッドを支持するものである。

【０００５】第２のタイプは、第２のサドルの上面に筒
状の静圧軸受を前後方向に設置し、この静圧軸受に主軸
を貫通し、前記静圧軸受の後端部に支持筒を連結して、
該支持筒の後端部に設けたモータにより送りねじを回転
させて、主軸に固定したナットを前記送りねじにより作
動して主軸を前後方向の移動可能にしている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところが、第１のタイ
プは、主軸がワークに接近する場合の主軸先端部の移動
量（加工ストローク）を長くする必要があることから、
剛性を大きくすることができなかった。このため、加工
具にその軸心と直交する方向への振れが生じて加工精度
を向上することができないという問題があった。この問
題を解決しようとすると、主軸ヘッド自身の剛性を向上
し、直動ガイドレールやスライド機構を堅固にする必要
があり、主軸ヘッド支持構造が大型化し高速移動ができ
ないという問題があった。

【０００７】第２のタイプは、静圧軸受の長さが主軸ヘ
ッドの前後方向へのストローク長だけ必要であり、摺動
抵抗が大きく動力損失が大きくなり主軸の高速移動が難
しいという問題があった。加えて、主軸ヘッドを駆動す
る機構が該主軸ヘッドの後方に位置するので、軸方向の
寸法が大きくなり主軸ヘッドが大型・大重量化するとい
う問題もあった。加えて、主軸の回り止め専用の機構を
設ける必要があり、その周り止めの精度を出すのが難し
く、回り止めのガタツキ分主軸が捻れて加工精度が低下
するという問題もあった。

【０００８】この発明は、このような従来の技術に存在
する問題点に着目してなされたものであって、その目的
は、ワークの加工時における主軸ヘッドの振れや捻れを
抑制して加工精度を向上することができるとともに、主
軸ヘッドの高速移動及び小型化を図ることができる工作
機械の主軸ヘッド支持構造を提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】請求項１記載の発明は、
上記目的を達成するために、ベッドに固定コラムを立設
し、前記コラムの前面に第１のサドルを左右方向に移動
可能に装着し、前記第１のサドルの前面に第１のサドル
の移動方向と直交する上下方向に第２のサドルを移動可
能に装着し、前記第２のサドルに主軸ヘッドを前後方向
に移動可能に装着し、前記主軸ヘッドの主軸によって、
ワークを加工する工具を装着した工作機械において、前
記第２のサドルに直動ガイドレールを介して前記主軸ヘ
ッドを構成する第３のサドルを前後方向に移動可能に支
持し、第３のサドルの前面には主軸を連結し、該主軸の
外周面を前記第２のサドルに対し静圧軸受により前後方
向に移動可能に支持するという手段をとっている。

【００１０】請求項２記載の発明は、請求項１におい
て、ベッドに固定コラムを立設し、前記ベッド及びコラ
ムに上下一対のＸ軸レールを敷設し、Ｘ軸レールに沿っ
て第１のサドルを左右方向に移動可能に装着し、前記第
１のサドルの前面には左右一対のＹ軸レールを敷設し、
Ｙ軸レールに沿って第２のサドルを上下方向の移動可能
に装着し、前記第２のサドルの水平支持部には、複数の
直動ガイドレールを前後方向に平行に敷設し、直動ガイ
ドレールに沿って第３のサドルを前後方向に移動可能に
装着し、第３のサドルの前面には主軸を前後方向に連結
し、この主軸の外周面を前記第２のサドルの垂直支持部
に主軸ヘッドの移動ストロークの２分の１より短い静圧
軸受により支持している。

【００１１】請求項３記載の発明においては、請求項１
又は２において、前記第３のサドルと主軸を一体に構成
している。請求項４記載の発明においては、請求項１〜
３のいずれかにおいて、前記第３のサドルを前後方向に
移動する機構を、前記第２のサドルの水平支持部に設け
たモータと、該モータにより回転される送りねじと、該
送りねじに嵌合され、かつ、前記第３のサドルに固着さ
れたナットとにより構成している。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、この発明を具体化した一実
施形態を図面に従って説明する。図２，３に示すよう
に、ベッド１１の上面にはコラム１２が立設され、その
コラム１２の上部前面（図２，３において左側）及びベ
ッド１１の上面には、Ｘ軸レール１３，１３がＸ軸（左
右）方向に敷設されている。前記両Ｘ軸レール１３，１
３には縦長四角枠状をなす第１サドル１４がＸ軸移動装
置１５によりＸ軸方向の往復動可能に装着されている。
このＸ軸移動装置１５は図２に示すようにベッド１１に
固定されたモータ（図示せず）と、該モータにより所定
位置で回転される送りねじ１５ａと、該送りねじ１５ａ
に嵌合され、かつ前記第１サドル１４に固定されたナッ
ト１５ｂとにより構成されている。

【００１３】図３に示すように、前記第１サドル１４の
左右両側の柱状部１４ａ，１４ａの前面には、Ｙ軸レー
ル１６，１６がＹ軸（上下）方向に平行に取り付けら
れ、両Ｙ軸レール１６，１６には第２サドル１７がＹ軸
移動装置１８によりＹ軸（上下）方向の往復動可能に装
着されている。この第２サドル１７には主軸ヘッド１９
が装着されている。前記Ｙ軸移動装置１８はモータ１８
ａと、該モータ１８ａにより所定位置で回転される送り
ねじ１８ｂと、該送りねじ１８ｂに嵌合され、かつ前記
第２サドル１７に固定されたナット（図示略）とにより
構成されている。

【００１４】前記第２サドル１７は前記Ｙ軸レール１
６，１６により案内移動される垂直支持部１７ａと、該
支持部１７ａの後面上側部に一体に形成された底部を開
放した筒状の遮蔽筒１７ｂと、該遮蔽筒１７ｂの下端縁
に取り付けられた水平支持部１７ｃとにより構成されて
いる。この第２サドル１７に対する主軸ヘッド１９の支
持構造を以下に説明する。

【００１５】図１及び図５に示すように、第２サドル１
７の水平支持部１７ｃの上面には、左右一対の直動ガイ
ドレール２０がＺ軸（前後）方向に平行にボルトにより
固定されている。この両ガイドレール２０，２０には図
１に示すようにスライド部材２１を介して主軸ヘッド１
９を構成する第３サドル２２が支持されている。この第
３サドル２２は図４に示すようにＺ軸駆動装置２３によ
りＺ軸方向に往復動される。

【００１６】前記第３サドル２２の前端面には円筒状の
主軸２４が連結固定され、この主軸２４は第２サドル１
７の垂直支持部１７ａの上部に嵌合固定した静圧軸受２
５によりＺ軸方向の往復動可能に支持されている。前記
主軸２４の内部には図示しないが、加工具を把持するた
めの把持機構及び加工具を回転するためのモータが収容
されている。

【００１７】前記Ｚ軸駆動装置２３は、前記第２サドル
１７の水平支持部１７ｃの後端部に固定したＺ軸駆動モ
ータ２７と、このモータ２７により回動される送りねじ
２８と、前記送りねじ２８に嵌合され、かつ、前記第３
サドル２２の下面に固定されたナット２９とにより構成
されている。

【００１８】次に、前記のように構成した工作機械につ
いてその動作を説明する。この実施形態の工作機械によ
りワークを加工する場合、図２において、主軸２４の先
端に図示しないドリルなどの加工具を装着する。一方、
ベッド１１の前方に装着された図示しないワーク把持機
構によりワークを把持する。そして、このワークに対し
所望する位置に穿孔加工を施す場合には、Ｘ軸移動装置
１５を作動して第１サドル１４をＸ軸方向に移動して、
主軸ヘッド１９のドリルをホームポジションからＸ軸方
向に所定距離移動する。同様にして、Ｙ軸移動装置１８
を作動して第２サドル１７をＹ軸方向に移動して、主軸
ヘッド１９をホームポジションからＹ軸方向に所定距離
移動する。

【００１９】このようにして、主軸２４のＸ軸及びＹ軸
の座標が決定された後、主軸２４に把持したドリルを回
転し、Ｚ軸移動装置２３を作動して第３サドル２２及び
主軸２４をＺ軸方向に前進して、主軸２４に把持された
ドリルをＺ軸方向に所定距離移動する。すると、ワーク
がドリルにより穿孔加工される。

【００２０】次に、前記実施形態から把握される作用、
効果を構成とともに列記する。 ・前記実施形態では、第２サドル１７の水平支持部１７
ｃに直動ガイドレール２０を敷設し、このレール２０に
第３サドル２２をＺ軸（前後）方向の移動可能に支持す
る。このサドル２２の前端面に主軸２４を連結し、該主
軸２４を前記第２サドル１７の垂直支持部１７ａに嵌合
した静圧軸受２５に支持した。このため、直動ガイド方
式の利点と、静圧軸受方式の利点をともに発揮して、主
軸２４の前後方向の寸法を短くすることができる。すな
わち、図１に示すように主軸２４が最大長さＬ１だけ突
出された状態において、静圧軸受２５に支持される主軸
２４の長さＬ２は、該主軸２４の移動ストロークの２分
の１以下としている。そして、直動ガイドレール２０に
より支持された第３サドル２２の長さＬ３分短くなり、
摺動抵抗が減少する。

【００２１】又、第３サドル２２を駆動するＺ軸移動装
置２３は、第３サドル２２の下側においてＺ軸方向に該
サドル２２とＺ軸方向にラップするように配置すること
ができるので、その分だけ主軸ヘッド１９と、それを駆
動するＺ軸移動装置２３のＺ軸方向の長さを短くするこ
とができる。

【００２２】・前記実施形態では、主軸ヘッド１９を支
持する第２サドル１７がＬ字形であるので、主軸ヘッド
１９が第３サドル２２と静圧軸受２５とにより安定して
支持され、ワークの加工作業において、主軸２４の支持
剛性が高められ、主軸２４の振動が抑制され、加工精度
を向上することができる。

【００２３】・前記実施形態では、第３サドル２２が主
軸２４の周り止め機構を兼用しているので、周り止め機
構専用の機構を設ける必要がなく、主軸２４のガタツキ
を防止して加工精度を向上することができる。

【００２４】なお、この発明は前記実施形態の構成に限
定されるものではなく、例えば、以下のように具体化す
ることも可能である。 ・図６に示すように、第３サドル２２と主軸２４を同一
の材料により一体に形成すること。この場合には、組み
付け寸法精度を向上することができる。

【００２５】・図７に示すように、直動ガイドレール２
０，２０を第３サドル２２の中心軸線Ｏを挟むようにし
て配置し、コ字状のスライド部材２１をレール２０に嵌
合すること。この場合には、第３サドル２２のＺ軸方向
と直交する方向への振動を寄り確実に防止して第３サド
ル２２を安定して支持することができる。

【００２６】・前記実施形態では、第１サドル１４をＸ
軸方向に、第２サドル１７をＹ軸方向に移動可能に支持
したが、これを逆にすること。前記実施形態により把握
される請求項１〜４以外の技術思想について以下に記載
する。

【００２７】第３サドル２２はその中心軸線Ｏを挟むよ
うにして、両側に位置する直動ガイドレール２０，２０
及びコ字状のスライド部材２１によりＺ軸方向の移動可
能に支持されている請求項１〜４のいずれかに記載の工
作機械の主軸ヘッド支持構造。

【００２８】この場合には、第３サドル２２をワークの
加工時に安定して支持することができる。この明細書に
おいて、直動ガイドレールとは、前記実施形態の横断面
が四角形のガイドレール２０，２０の他に、横断面が円
形のガイドレール、アリ溝状のものも含むものとする。
又、３本以上のガイドレールを使用してもよい。

【００２９】この明細書において、静圧軸受とは、円筒
状に形成された筒内に油圧、エア圧などの流体圧を付与
して主軸２４の外周面に静圧を付与することができる構
造のものを意味する。

【００３０】

【発明の効果】以上説明したように、請求項１，２，４
記載の発明は、加工時における主軸ヘッドの振れを抑制
して加工精度を向上することができるとともに、主軸ヘ
ッドの小型化及び高速移動を行うことができるという優
れた効果を奏する。

【００３１】請求項３記載の発明は、請求項１記載の発
明の効果に加えて、組み付け精度を向上することができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】 この発明を具体化した一実施形態を示す要部
断面図。

【図２】 工作機械の縦断面図。

【図３】 工作機械の分解斜視図。

【図４】 主軸ヘッドが退避した状態を示す要部の断面
図。

【図５】 第２サドルに対する主軸ヘッドの支持構造を
示す横断面図。

【図６】 この発明の別の実施形態を示す要部のみの正
面図。

【図７】 この発明の別の実施形態を示す要部のみの断
面図。

【符号の説明】

１１…ベッド、１２…コラム、１３…Ｘ軸レール、１４
…第１サドル、１５…Ｘ軸移動装置、１６…Ｙ軸レー
ル、１７…第２サドル、１７ａ…垂直支持部、１７ｃ…
水平支持部、１８…Ｙ軸移動装置、１９…主軸ヘッド、
２０…直動ガイドレール、２２…第３サドル、２３…Ｚ
軸移動装置、２４…主軸、２５…静圧軸受。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ベッドに固定コラムを立設し、前記コラ
   ムの前面に第１のサドルを左右方向に移動可能に装着
   し、前記第１のサドルの前面に第１のサドルの移動方向
   と直交する上下方向に第２のサドルを移動可能に装着
   し、前記第２のサドルに主軸ヘッドを前後方向に移動可
   能に装着し、前記主軸ヘッドの主軸によって、ワークを
   加工する工具を装着した工作機械において、 前記第２のサドルに直動ガイドレールを介して前記主軸
   ヘッドを構成する第３のサドルを前後方向に移動可能に
   支持し、第３のサドルの前面には主軸を連結し、該主軸
   の外周面を前記第２のサドルに対し静圧軸受により前後
   方向に移動可能に支持した工作機械の主軸ヘッド支持構
   造。
2. 【請求項２】 ベッドに固定コラムを立設し、前記ベッ
   ド及びコラムに上下一対のＸ軸レールを敷設し、Ｘ軸レ
   ールに沿って第１のサドルを左右方向に移動可能に装着
   し、前記第１のサドルの前面には左右一対のＹ軸レール
   を敷設し、Ｙ軸レールに沿って第２のサドルを上下方向
   の移動可能に装着し、前記第２のサドルの水平支持部に
   は、複数の直動ガイドレールを前後方向に平行に敷設
   し、直動ガイドレールに沿って第３のサドルを前後方向
   に移動可能に装着し、第３のサドルの前面には主軸を前
   後方向に連結し、この主軸の外周面を前記第２のサドル
   の垂直支持部に主軸ヘッドの移動ストロークの２分の１
   より短い静圧軸受により支持した請求項１に記載の工作
   機械の主軸ヘッド支持構造。
3. 【請求項３】 前記第３のサドルと主軸は一体に構成さ
   れている請求項１又は２に記載の工作機械の主軸ヘッド
   支持構造。
4. 【請求項４】 前記第３のサドルを前後方向に移動する
   機構は、前記第２のサドルの水平支持部に設けたモータ
   と、該モータにより回転される送りねじと、該送りねじ
   に嵌合され、かつ、前記第３のサドルに固着されたナッ
   トとにより構成されている請求項１〜３のいずれかに記
   載の工作機械の主軸ヘッド支持構造。