JPH1196897A - 光電陰極及びそれを用いた電子管 - Google Patents

光電陰極及びそれを用いた電子管

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JPH1196897A
JPH1196897A JP25883397A JP25883397A JPH1196897A JP H1196897 A JPH1196897 A JP H1196897A JP 25883397 A JP25883397 A JP 25883397A JP 25883397 A JP25883397 A JP 25883397A JP H1196897 A JPH1196897 A JP H1196897A
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photocathode
light
semiconductor substrate
electron
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JP25883397A
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Minoru Aragaki
実 新垣
Minoru Hagino
實 萩野
Hirobumi Suga
博文 菅
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Hamamatsu Photonics KK
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Hamamatsu Photonics KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長波長まで高い光電変換量子効率を有する光
電陰極およびこれを備える電子管を提供することを目的
とする。 【解決手段】 光電陰極11の基本的な構造は、半導体
基板であるGaAs基板1、Tl0.5Ga0.5P光吸収層
2、及びCsO表面層3から構成されている。ここで、
GaAs基板1は1×1019cm-3のキャリヤ濃度にp
型ドープされている。このGaAs基板1上に、5×1
18cm-3のキャリヤ濃度にp型ドープされたTl0.5
Ga0.5P光吸収層2が約3μmの厚さでエピタキシャ
ル成長により形成されている。GaAs基板1とTl
0.5Ga0.5P光吸収層2の界面の格子定数はほぼ一致し
ている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光電陰極及びそれ
を用いた電子管、特に、被検出光を吸収して光電子を励
起し、これを真空中へ放出する光電陰極であって、赤外
領域に感度を有する光電陰極及びそれを用いた電子管に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、GaAs,GaPなどのIII
−V族化合物半導体の表面に、表面仕事関数を低下させ
るためにCs又はCsO又はCsFなどのアルカリ金属
化合物からなる表面層を塗布した、いわゆる負の電子親
和力光電陰極が知られている。このような光電陰極は、
用いる半導体のエネルギーギャップに対応した波長まで
の被検出光を吸収できるが、エネルギーギャップが小さ
くなるに従って、負の電子親和力が達成され難くなるた
め、実用上吸収できる被検出光は、波長1μm程度まで
が限界であった。
【0003】そこで、さらに長波長領域に感度を有する
光電陰極として、半導体に外部より電界を与え、被検出
光により伝導帯に励起された光電子を加速し、より高い
エネルギー帯へ遷移させた後に真空中へ放出させる遷移
電子型光電陰極が知られている。これは、例えばR.
L.Bellが発明した米国特許3,954,143号
に開示されたものがある。
【0004】図10は、この遷移電子型光電陰極を示す
概略断面図である。図において、半導体基板61上に
は、被検出光を吸収するための光吸収層62及び励起さ
れた光電子を真空中へ放出させるための電子放出層63
が積層されている。さらに、電子放出層63の表面に
は、50〜100Åの厚さの薄膜ショットキ電極64が
形成されている。半導体基板61の裏面に形成されたオ
ーミック電極8と、この薄膜ショットキ電極64との間
に、電源65によりバイアス電圧が印加される。
【0005】このように構成された遷移電子型の光電陰
極60では、電圧印加により、薄膜ショットキ電極64
の側から光吸収層62に向けて空乏層が延び、光電陰極
60内に所定の電界が形成される。この電界により、被
検出光の入射によって発生した光電子が加速され、真空
中へ放出される。なお、薄膜ショットキ電極64をフォ
トリソグラフィー技術を用いてパターン状に形成し、よ
り高い再現性を達成した遷移電子型光電陰極が、特表平
5−504652号公報、特開平4−269419号公
報に開示されている。
【0006】ところで、この種の遷移電子型光電陰極で
は、図11に示すように、InP半導体基板61上に格
子不整を緩和させるために、InAs0.510.49からな
る傾斜組成層66を形成し、この傾斜組成層66上にI
0.77Ga0.23Asを用いた光吸収層67を形成した例
がある。このような構成とすることによって、最も長波
長の感度として、波長2.1μmまでの光電子放出が報
告されている。(Appl.Phys.Lett.36
(1980)639)。しかしながら、この波長2.1
μmまでの光電子放出が観測された遷移電子型光電陰極
における光電変換量子効率は、0.2%と非常に小さ
く、また室温では光電子放出は観測されず、150Kと
いう低温においてのみ光電子放出が観測されたものであ
った。
【0007】この低い光電変換量子効率の原因は、半導
体基板61であるInPと、光吸収層67のIn0.77
0.23As、あるいは傾斜組成層66のInAs0.51
0.49との間の格子不整合による結晶欠陥の導入に起因し
ている。従って、InPを半導体基板61として用い、
InxGa1-xAsを光吸収層67として用いる場合、両
者の格子整合条件を満たすためには、その組成はIn
0.53Ga0.47Asが最もエネルギーギャップの小さなも
のとなり、波長1.7μmまでがこの種の遷移電子型光
電陰極の実用的な限界波長となるという欠点を有してい
た。
【0008】さらに長波長に感度を有する光電陰極を実
現するため、図12に示すようなGaAs基板71上
に、GaAs基板71と格子整合するGaAs/A1G
aAs半導体多層膜からなる多重量子井戸を光吸収層7
2とした光電陰極70が、特開平5−234501号公
報に示されている。
【0009】図において、GaAs基板71上に形成さ
れた光吸収層72上には、コンタクト層73、ショット
キ電極73が形成されており、ショットキ電極73間に
はCsxy膜3が形成されている。この場合には、光吸
収層72は従来のようにバンド間ではなく、GaAs/
A1GaAs多重量子井戸内に形成されるサブバンド間
で行われる。従って、GaAs/A1GaAs多重量子
井戸の膜厚、組成などを調整することにより、任意の長
波長域まで感度を有する光電陰極が実現される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな多重量子井戸内に形成されるサブバンド間の光吸収
を利用した光電陰極70は、従来のバンド間の光吸収を
利用したものと比較し、被検出光の吸収効率が低いとい
う欠点があった。従って、光電陰極の光電変換量子効率
も非常に小さなものであった。このため、今だに波長
1.7μmより長波長の赤外領域に感度を有する光電陰
極は実用化されていないという問題点があった。
【0011】そこで本発明は、以上のような従来の問題
点を解決するためになされたもので、In及びP又はG
a及びAsを主成分とするIII−V族化合物半導体基
板と、これに格子整合する組成のTl、Ga及びPを主
成分とするIII−V族化合物半導体又はその混晶から
なる光吸収層を用いることにより、長波長まで高い光電
変換量子効率を有する光電陰極およびこれを備える電子
管を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に記載
の発明は、In及びP又はGa及びAsを主成分とする
第1導電型のIII−V族化合物からなる半導体基板
と、半導体基板上に形成され、(1)Tl、(2)In
及びGaの少なくとも一方、並びに(3)P及びAsの
少なくとも一方を主成分とする第1導電型のIII−V
族化合物半導体又はその混晶からなり、被検出光を吸収
して光電子を励起する光吸収層と、光吸収層上に形成さ
れアルカリ金属又はその酸化物又はそのフッ化物からな
り、光吸収層の表面の仕事関数を低下させる表面層とを
備えたことを特徴とする光電陰極である。
【0013】請求項2に記載の発明は、光吸収層の格子
定数と半導体基板の格子定数との差は、半導体基板の格
子定数に対して1%以下であることを特徴とする。
【0014】請求項3に記載の発明は、In及びP又は
Ga及びAsを主成分とする第1導電型のIII−V族
化合物からなる半導体基板と、半導体基板上に形成さ
れ、(1)Tl、(2)In及びGaの少なくとも一
方、並びに(3)P及びAsの少なくとも一方を主成分
とする第1導電型のIII−V族化合物半導体又はその
混晶からなり、被検出光を吸収して光電子を励起する光
吸収層と、光吸収層上に形成されIn及びPを主成分と
するIII−V族化合物半導体からなる電子放出層と、
電子放出層上に形成されアルカリ金属又はその酸化物又
はそのフッ化物からなり、電子放出層の表面の仕事関数
を低下させる表面層と、電子放出層上に形成されバイア
ス電圧を印加する電極とを備えた光電陰極であって、電
極は電子放出層とショットキ接合していることを特徴と
する。
【0015】請求項4に記載の発明は、半導体基板のエ
ネルギーギャップは、光吸収層のエネルギーギャップよ
りも大きく、且つ電子放出層のエネルギーギャップは、
光吸収層のエネルギーギャップよりも大きいことを特徴
とする。
【0016】請求項5に記載の発明は、光吸収層の格子
定数と半導体基板の格子定数との差、及び光吸収層の格
子定数と電子放出層の格子定数との差は、それぞれ半導
体基板の格子定数に対して1%以下であることを特徴と
する。
【0017】請求項6に記載の発明は、半導体基板のキ
ャリヤ濃度は1×1018cm-3より大きく、光吸収層の
キャリヤ濃度は1×1017cm-3より小さく、電子放出
層のキャリヤ濃度は1×1017cm-3より小さいことを
特徴とする。
【0018】請求項7に記載の発明は、In及びP又は
Ga及びAsを主成分とする第1導電型のIII−V族
化合物からなる半導体基板と、半導体基板上に形成さ
れ、(1)Tl、(2)In及びGaの少なくとも一
方、並びに(3)P及びAsの少なくとも一方を主成分
とする第1導電型のIII−V族化合物半導体又はその
混晶からなり、被検出光を吸収して光電子を励起する光
吸収層と、光吸収層上に形成されIn及びPを主成分と
する第1導電型のIII−V族化合物半導体からなる電
子放出層と、電子放出層上に形成されアルカリ金属又は
その酸化物又はそのフッ化物からなり、電子放出層の表
面の仕事関数を低下させる表面層と、電子放出層の表面
がほぼ均一に露出するパターン状に形成され、In及び
Pを主成分とする第2導電型のIII−V族化合物半導
体からなるコンタクト層と、コンタクト層上に形成され
バイアス電圧を印加する電極とを備えた光電陰極であっ
て、電極は、コンタクト層とオーミック接合しているこ
とを特徴とする。
【0019】請求項8に記載の発明は、半導体基板のエ
ネルギーギャップは光吸収層のエネルギーギャップより
も大きく、且つ電子放出層のエネルギーギャップは光吸
収層のエネルギーギャップよりも大きく、且つコンタク
ト層のエネルギーギャップは光吸収層のエネルギーギャ
ップよりも大きいことを特徴とする。
【0020】請求項9に記載の発明は、光吸収層の格子
定数と半導体基板の格子定数との差、及び光吸収層の格
子定数と電子放出層の格子定数との差は、それぞれ半導
体基板の格子定数に対して1%以下であることを特徴と
する。
【0021】請求項10に記載の発明は、半導体基板の
キャリヤ濃度は1×1018cm-3より大きく、光吸収層
のキャリヤ濃度は1×1017cm-3より小さく、電子放
出層のキャリヤ濃度は1×1017cm-3より小さく、コ
ンタクト層のキャリヤ濃度は1×1018cm-3より大き
いことを特徴とする。
【0022】請求項11に記載の発明は、被検出光が入
射する入射窓を有し、内部が真空に保持された真空容器
と、入射窓に臨んで真空容器内に収容された請求項1〜
10のいずれか1項に記載された光電陰極と、真空容器
内に収容され、光電陰極に対して正の電位に保持された
陽極部とを備えたことを特徴とする電子管である。
【0023】請求項12に記載の発明は、真空容器内に
収容され、光電陰極からの光電子を二次電子増倍する電
子増倍部をさらに備えたことを特徴とする。本発明によ
れば、InP又はGaAsを基板とし、その上に例えば
TlInGaP又はTlInGaPAsの混晶を光吸収
層として形成することにより、基板と格子整合を保った
ままエネルギーギャップを広い範囲で調整することが可
能となり、長波長側の限界波長を任意に調整することが
できる。さらに、本発明に係る前記光電陰極を用いた電
子管は、光電陰極からの光電子信号を電気信号に変換す
ることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】図1は、Tl、In、Ga、P及
びAsを主成分とするIII−V族化合物半導体又はそ
の混晶のエネルギーギャップ(バンドギャップエネルギ
ー)と、格子定数との関係を示したものである。この関
係は、AsahiらがJpn.J.App1.Phy
s.Vol.35(1996)L877において報告さ
れたものである。なお、図中、太い実線は直接遷移、破
線は間接遷移、細い実線は格子整合をそれぞれ示す。
【0025】この図から明らかなように、GaAsと格
子整合させる場合にはエネルギーギャップが1eV〜
1.8eV,InPと格子整合させる場合にはエネルギ
ーギャップが0eV〜1.3eVの間で調整可能であ
る。これは被検出光の吸収波長に換算すると、それぞれ
GaAsと格子整合させる場合には0.65μm〜1.
24μm、InPと格子整合させる場合には0.92μ
m〜10μm以上までに対応する。
【0026】次に、本発明の第1の実施形態による光電
陰極について、図2に基づいて説明する。本実施形態に
よる光電陰極11の基本的な構造は、半導体基板である
GaAs基板1、Tl0.5Ga0.5P光吸収層2、及びC
sO表面層3から構成されている。ここで、GaAs基
板1は1×1019cm-3のキャリヤ濃度にp型ドープさ
れている。このGaAs基板1上に、5×1018cm-3
のキャリヤ濃度にp型ドープされたTl0.5Ga0.5P光
吸収層2が約3μmの厚さでエピタキシャル成長により
形成されている。
【0027】もし、GaAs基板1とTl0.5Ga0.5
光吸収層2の界面に欠陥が多数存在すると、Tl0.5
0.5P光吸収層2内で励起された光電子はこの界面で
再結合されてしまうので、光電陰極11の効率は著しく
低下してしまう。従って、GaAs基板1とTl0.5
0.5P光吸収層2の界面の格子定数はほぼ一致してい
ることが望ましい。好適には、Tl0.5Ga0.5P光吸収
層2の格子定数とGaAs基板1の格子定数との差は、
GaAs基板1の格子定数に対して1%以下であること
が望ましい。
【0028】Tl0.5Ga0.5P光吸収層2は紫外領域か
ら波長約1.2μmまでの近赤外領域の被検出光を吸収
することができる。なお本実施形態では分子線エピタキ
シャル法(MBE)を用いてTl0.5Ga0.5P光吸収層
2をエピタキシャル成長させたが、所望の特性のエピタ
キシャル層が得られるのであれば、その方法を問うもの
ではなく、有機金属化学気相成長法(MOCVD)など
を用いても構わないことは勿論である。
【0029】次に、Tl0.5Ga0.5P光吸収層2を形成
したGaAs基板1を光電管(図示しない)に設置して
真空排気し、真空中で加熱して表面を清浄化した後、C
sとO2を交互供給することによりCsO表面層3を形
成することによって、表面仕事関数を低下させ負の電子
親和力を有する光電陰極11を作製した。なお、図2は
光電陰極11の概略図であり、例えば、Tl0.5Ga0.5
P光吸収層2はGaAs基板1に比較すると図示できな
い程薄いが、図2ではこれらの寸法は拡大されて描かれ
ている。また、本願の他の図についても同様である。
【0030】次に、この第1の実施形態による光電陰極
11の動作について、図2をもとに説明する。被検出光
は図2に示すようにTl0.5Ga0.5P光吸収層2側から
入射し、Tl0.5Ga0.5P光吸収層2内で吸収され、光
電子が励起される。励起された光電子は主として拡散に
よりTl0.5Ga0.5P光吸収層2の表面まで移動する。
この時、Tl0.5Ga0.5P光吸収層2はGaAs基板1
と格子整合しており結晶欠陥が非常に少なく高品質であ
るため、光電子は再結合することなくTl0.5Ga0.5
光吸収層2の表面まで効率良く到達することができる。
Tl0.5Ga0. 5P光吸収層2の表面まで到達した光電子
は、CsO表面層3によって仕事関数が低下された表面
から真空中へ放出される。
【0031】図3は、本発明の第1の実施形態による光
電陰極11における分光感度特性として、光電変換量子
効率と波長との関係を概略的に示したものである。図3
から明らかなように、光電陰極11は紫外領域から波長
約1.2μmまでの近赤外領域で高い光電変換量子効率
を示した。短波長側の限界波長は0.3μmであるが、
これは用いる光電管の入射窓の光透過特性に依存する。
また、長波長側の限界波長は約1.2μmでこれはTl
0.5Ga0.5P光吸収層2のエネルギーギャップに対応す
る。
【0032】なお、図2に示した第1の本実施形態で
は、被測定光の入射する面と電子の放出される面が同一
の、いわゆる反射型光電陰極を例に説明したが、本発明
はこれに限られるものではなく、被測定光の入射する面
と電子の放出される面が異なる、いわゆる透過型光電陰
極にも適用可能であることは勿論である。但し、この場
合にはGaAs基板1で0.9μm以下の被測定光が吸
収されるので、図3に破線で示したように感度波長領域
は0.9μm〜約1.2μmまでの領域のみとなる。
【0033】また、本実施形態では、GaAs基板1に
格子整合する三元混晶Tl0.5Ga0 .5P光吸収層2を例
に説明したが、図1から明らかなように、光吸収層をT
l、In及びGaの少なくとも一方、並びにP及びAs
の少なくとも一方を主成分とする第1導電型のIII−
V族化合物半導体又はその混晶から構成することによ
り、四元混晶、五元混晶が可能である。このような組成
を採用することにより、格子整合させたまま感度波長領
域を任意に調節することが可能である。また、各元素の
組成比も適宜調整することができる。
【0034】次に、本発明の第2の実施形態による光電
陰極について、図4に基づいて説明する。本実施形態に
よる光電陰極16の基本的な構造は、InP基板4、T
0. 45In0.5Ga0.05P光吸収層5、InP電子放出
層6、ショットキ電極7、CsO表面層3から構成され
ている。ここで、InP基板4は1×1019cm-3のキ
ャリヤ濃度にp型ドープされている。InP基板4上に
1×1016cm-3のキャリヤ濃度にp型ドープされたT
0.45In0.5Ga0.05P光吸収層5を約3μmの厚さ
にエピタキシャル成長させ、その上にさらに1×1016
cm-3のキャリヤ濃度にp型ドープされたInP電子放
出層6を0.5μmの厚さに成長させて形成した。
【0035】なお、好適には、InP基板4のキャリヤ
濃度は1×1018cm-3より大きく、Tl0.45In0.5
Ga0.05P光吸収層5のキャリヤ濃度は1×1017cm
-3より小さく、InP電子放出層6のキャリヤ濃度は1
×1017cm-3より小さいことが望ましい。
【0036】p型Tl0.45In0.5Ga0.05P光吸収層
5は、InP基板4、InP電子放出層6と格子整合す
るよう組成を調整され、またそのときのエネルギーギャ
ップは約0.6eVであった。さらに、InP電子放出
層6にはAlを蒸着し、その後フォトリソグラフィーに
よりショットキ電極7をメッシュパターン状に形成し
た。InP基板4の裏面には、AuGe/Ni/Auに
よりオーミック電極8を蒸着した。次に、このInP基
板4を光電管(図示しない)に設置して真空排気し、真
空中で加熱して表面を清浄化した後、CsとO2を交互
供給することによりCsO表面層3を形成することによ
って、表面仕事関数を低下させ負の電子親和力を有する
光電陰極16を作製した。
【0037】もし、InP基板4とTl0.45In0.5
0.05P光吸収層5の界面、あるいはTl0.45In0.5
Ga0.05P光吸収層5とInP電子放出層6の間に欠陥
が多数存在すると、Tl0.45In0.5Ga0.05P光吸収
層5内で励起された光電子はこれら界面で再結合されて
しまうので、光電陰極16の効率は著しく低下してしま
う。従って、InP基板4とTl0.45In0.5Ga0.05
P光吸収層5、並びにTl0.45In0.5Ga0.05P光吸
収層5とInP電子放出層6の格子定数は、ほぼ一致し
ていることが望ましい。
【0038】好適には、Tl0.45In0.5Ga0.05P光
吸収層5の格子定数とInP基板4の格子定数との差、
及びTl0.45In0.5Ga0.05P光吸収層5の格子定数
とInP電子放出層6の格子定数との差は、それぞれI
nP基板4の格子定数に対して1%以下であることが望
ましい。
【0039】次に、この第2の実施形態による光電陰極
16の動作について、図4に基づいて説明する。被検出
光は図4に示すようにInP電子放出層6側から入射
し、InP電子放出層6を透過して、Tl0.45In0.5
Ga0.05P光吸収層5内で吸収され、光電子が励起され
る。励起された光電子は、バイアス電圧の印加によって
形成された電界により加速され、InP電子放出層6の
表面まで移動する。
【0040】この時、Tl0.45In0.5Ga0.05P光吸
収層5はInP基板4と格子整合しているので、結晶欠
陥が非常に少なく高品質であること、また同様に、Tl
0.45In0.5Ga0.05P光吸収層5はInP電子放出層
6とも格子整合しているので、界面での欠陥密度が非常
に小さいため、光電子は再結合することなくInP電子
放出層6の表面まで効率良く到達することができる。I
nP電子放出層6の表面まで到達した光電子は、CsO
表面層3によって仕事関数が低下された表面から真空中
へ放出される。
【0041】図5は、本発明の第2の実施形態による光
電陰極16における分光感度特性として、光電変換量子
効率と波長との関係を概略的に示したものである。第2
の実施形態による光電陰極16のショットキ電極7とオ
ーミック電極8との間に所定のバイアス電圧を印加し、
光電子放出特性を測定した。その結果、光電陰極16は
紫外領域から波長約2μmまでの近赤外領域で高い光電
変換量子効率を示した。短波長側の限界波長は0.3μ
mであるが、これは用いる光電管の入射窓の光透過特性
に依存する。また、長波長側の限界波長は約2μmであ
り、これはTl0.45In0.5Ga0.05P光吸収層5のエ
ネルギーギャップに依存する。
【0042】なお、本実施形態では被測定光の入射する
面と電子の放出される面が同一の、いわゆる反射型光電
陰極を例に説明したが、本願はこれに限られるものでは
なく、被測定光の入射する面と電子の放出される面が異
なる、いわゆる透過型光電陰極にも適用可能であること
は勿論である。但し、この場合にはInP基板4で0.
95μm以下の被測定光が吸収されるので、図5に破線
で示すように感度波長領域は0.95μm〜約2μmま
での領域のみとなる。また、本実施形態では、InP基
板4に格子整合する光吸収層をTlGaInP四元混晶
のエネルギーギャップが0.6eVのものを例に説明し
たが、光吸収層はこれに限られるものではなく格子整合
を保ったまま任意のエネルギーギャップに調整可能であ
る。
【0043】なお、好適には、InP基板4のエネルギ
ーギャップは、Tl0.45In0.5Ga0.05P光吸収層5
のエネルギーギャップよりも大きく、且つInP電子放
出層6のエネルギーギャップは、Tl0.45In0.5Ga
0.05P光吸収層5のエネルギーギャップよりも大きいこ
とが望ましい。
【0044】次に、本発明の第3の実施形態による光電
陰極について、図6に基づいて説明する。本実施形態に
よる光電陰極20の基本的な構造は、InP基板4、T
0. 45In0.5Ga0.05P光吸収層5、InP電子放出
層6、InPコンタクト層9、オーミック電極10及び
CsO表面層3から構成されている。ここで、InP基
板4は1×1019cm-3のキャリヤ濃度にp型ドープさ
れている。このInP基板4上に1×1016cm-3のキ
ャリヤ濃度にp型ドープされたTl0.45In0. 5Ga
0.05P光吸収層5が約3μmの厚さでエピタキシャル成
長させ、の上にさらに1×1016cm-3のキャリヤ濃度
にp型ドープされたInP電子放出層6を0.5μmの
厚さに成長させて形成した。
【0045】なお、好適には、InP基板4のキャリヤ
濃度は1×1018cm-3より大きく、Tl0.45In0.5
Ga0.05P光吸収層5のキャリヤ濃度は1×1017cm
-3より小さく、InP電子放出層6のキャリヤ濃度は、
1×1017cm-3より小さく、前記コンタクト層のキャ
リヤ濃度は1×1018cm-3より大きいことが望まし
い。
【0046】また、InP電子放出層6上に1×1018
cm-3のキャリヤ濃度にn型ドープされたInPコンタ
クト層9を成長させた。さらに、InPコンタクト層9
にはAuZnによりオーミック電極10を蒸着し、その
後フォトリソグラフィーとドライエッチングによりIn
Pコンタクト層9とオーミック電極10をメッシュパタ
ーン状に形成した。InP基板4の裏面には、AuGe
/Ni/Auによりオーミック電極8を蒸着した。
【0047】次に、このように作製したInP基板4等
を光電管に設置して真空排気し、真空中で加熱して表面
を清浄化した後、CsとO2を交互供給することにより
CsO表面層3を形成することによって、表面仕事関数
を低下させ負の電子親和力を有する光電陰極20を作製
した。
【0048】もし、InP基板4とTl0.45In0.5
0.05P光吸収層5の界面、あるいはTl0.45In0.5
Ga0.05P光吸収層5とInP電子放出層6の間に欠陥
が多数存在すると、Tl0.45In0.5Ga0.05P光吸収
属5内で励起された光電子はこれら界面で再結合されて
しまうので、光電陰極20の効率は著しく低下してしま
う。従って、InP基板4とTl0.45In0.5Ga0.05
P光吸収層5、並びにTl0.45In0.5Ga0.05P光吸
収層5とInP電子放出層6の格子定数はほぼ一致して
いることが望ましい。
【0049】好適には、Tl0.45In0.5Ga0.05P光
吸収層5の格子定数とInP基板4の格子定数との差、
及びTl0.45In0.5Ga0.05P光吸収層5の格子定数
とInP電子放出層6の格子定数との差は、それぞれI
nP基板4の格子定数に対して1%以下であることが望
ましい。
【0050】次に、この第3の実施形態の光電陰極20
の動作について、図6に基づいて説明する。被検出光は
図6に示すようにInP電子放出層6側から入射し、I
nP電子放出層6を透過して、Tl0.45In0.5Ga
0.05P光吸収層5内で吸収され、光電子が励起される。
励起された光電子は、バイアス電圧の印加によって形成
された電界により加速され、InP電子放出層6の表面
まで移動する。
【0051】この時、Tl0.45In0.5Ga0.05P光吸
収層5はInP基板4と格子整合しているので、結晶欠
陥が非常に少なく高品質であること、また同様に、Tl
0.45In0.5Ga0.05P光吸収層5はInP電子放出層
6とも格子整合しており界面での欠陥密度が非常に小さ
いので、光電子は再結合することなくInP電子放出層
6の表面まで効率良く到達することができる。InP電
子放出層6の表面まで到達した光電子は、CsO表面層
3によって仕事関数が低下された表面から真空中へ放出
される。
【0052】このようにして作製した第3の実施形態に
よる光電陰極20のオーミック電極10とオーミック電
極8との間に所定のバイアス電圧を印加し、光電子放出
特性を測定した。その結果、紫外領域から波長約2μm
までの近赤外領域で高い光電変換量子効率を示した。な
お、第3の実施形態による光電陰極20の分光感度特性
は、第2の実施形態による光電陰極16のものとほぼ同
様であった。
【0053】なお、本実施形態では、被測定光の入射す
る面と電子の放出される面が同一の、いわゆる反射型光
電陰極を例に説明したが、本願はこれに限られるもので
はなく、被測定光の入射する面と電子の放出される面が
異なる、いわゆる透過型光電陰極にも適用可能であるこ
とはもちろんである。但し、この場合にはInP基板4
で0.95μm以下の被測定光が吸収されるので、感度
波長領域は0.95μm〜約2μmまでの領域のみとな
る。また本実施形態では、InP基板4に格子整合する
光吸収層をTlGalnP四元混晶のエネルギーギャッ
プが0.6eVのものを例に説明したが、光吸収層はこ
れに限られるものではなく格子整合を保ったまま任意の
エネルギーギャップに調整可能である。
【0054】好適には、InP基板4のエネルギーギャ
ップはTl0.45In0.5Ga0.05P光吸収層5のエネル
ギーギャップよりも大きく、InP電子放出層6のエネ
ルギーギャップはTl0.45In0.5Ga0.05P光吸収層
5のエネルギーギャップよりも大きく、且つInPコン
タクト層9のエネルギーギャップはTl0.45In0.5
0.05P光吸収層5のエネルギーギャップよりも大きい
ことが望ましい。
【0055】次に、本発明の第4の実施形態による光電
陰極11を備えた電子管について、図7に基づいて説明
する。図7は、本発明の第4の実施形態による光電陰極
を備えた、サイドオン型の光電子増倍管100を上面か
ら見た状態を示す平断面図である。図において、被検出
光の入射窓17aが設けられた円筒形状ガラス製の真空
容器であるバルブ17の内部は真空排気されており、こ
のバルブ17内に図2に示した光電陰極11が被検出光
の入射角度に対してやや斜めに設置されている。
【0056】また、光電陰極11から放出された光電子
を2次電子増倍する電子増倍部である第1ダイノード1
2、第2ダイノード13、第3ダイノード14等複数の
ダイノードもバルブ17の内部に設置されている。ま
た、バルブ17内には複数のダイノードによって最終的
に2次電子増倍された電子を収集するための陽極15も
設置されている。さらに、図には示さないが、光電陰極
11に対して第1ダイノード12、第2ダイノード1
3、第3ダイノード14等のダイノード及び陽極15に
それぞれ所定の正の電圧を印加する電源が設けられてい
る。
【0057】次に、図7に示した光電子増倍管100の
動作について説明する。被検出光hνはバルブ17の入
射窓17aを通して光電陰極11に入射し、光電子を励
起し再び真空中へ放出する。光電陰極11から真空中へ
放出された光電子は、光電陰極11に対して約100V
程度の正の電圧が印加された第1ダイノード12へ加速
されて入射し、入射した光電子に対して数倍の数の2次
電子を生成し再び真空中へ放出する。第1ダイノード1
2から真空中へ放出された光電子は、第1ダイノード1
2に対して約100V程度の正の電圧が印加された第2
ダイノード13へ加速されて入射し、入射した電子に対
してさらに数倍の数の2次電子を生成し再び真空中へ放
出する。これらの2次電子増倍を10回程度繰り返すこ
とにより、最終的に陽極15では光電陰極11から放出
された光電子の100万倍程度の電子が収集され、信号
電流となって検出される。
【0058】本発明による光電陰極11は、従来の光電
陰極よりも高い光電変換量子効率を有しているので、本
発明による光電陰極11を備えた光電子増倍管100
も、従来の光電子増倍管に比較してより高い検出感度が
得られる。
【0059】次に、本発明の第5の実施形態による光電
陰極16を備えた電子管について、図8に基づいて説明
する。図8は、本発明の第5の実施形態による光電陰極
16を備えた、ヘッドオン型の光電子増倍管200を示
す概略断面図である。図において、被検出光の入射窓1
7aが設けられた円筒形状ガラス製のバルブ17の内部
は真空排気されており、このバルブ17内に図4に示し
た光電陰極20が、入射窓17a上に設置されている。
また、光電陰極20から放出された光電子を2次電子増
倍するための第1ダイノード12、第2ダイノード1
3、第3ダイノード14等複数のダイノードもバルブ1
7の内部に設置されている。また、バルブ17内には複
数のダイノードによって最終的に2次電子増倍された電
子を収集するための陽極15も設置されている。さら
に、図には示さないが、光電陰極16に対して第1ダイ
ノード12、第2ダイノード13、第3ダイノード14
等のダイノード及び陽極15には、それぞれ所定の正の
電圧を印加する電源も設けられている。
【0060】次に、図8に示した光電子増倍管200の
動作について説明する。被検出光hνはバルブ17の入
射窓17aを通して光電陰極20の裏面から入射し、光
電陰極20内で光電子を励起し光電陰極20の表面側か
ら再び真空中へ放出する。光電陰極20から真空中へ放
出された光電子は、光電陰極20に対して約100V程
度の正の電圧が印加された第1ダイノード12へ加速さ
れて入射し、入射した光電子に対して数倍の数の2次電
子を生成し再び真空中へ放出する。第1ダイノード12
から真空中へ放出された光電子は、第1ダイノード12
に対して約100V程度の正の電圧が印加された第2ダ
イノード13へ加速されて入射し、入射した電子に対し
てさらに数倍の数の2次電子を生成し再び真空中へ放出
する。
【0061】これらの2次電子増倍を10回程度繰り返
すことにより、最終的に陽極15では光電陰極20から
放出された光電子の100万倍程度の電子が収集され、
信号電流となって検出される。本発明による光電陰極2
0は、従来の光電陰極よりも高い光電変換量子効率を有
しているので、光電陰極20を備えた光電子増倍管も、
従来の光電子増倍管に比較してより高い検出感度を有す
る。
【0062】次に、本発明の第6の実施形態による光電
陰極20を備えた電子管について、図9に基づいて説明
する。図9は、本発明の第6の実施形態による画像増強
管300を示す要部概略断面図である。本実施形態によ
る画像増強管300は、光電陰極20、マイクロチャン
ネルプレート(MCP)21及び入力側及び出力側の電
極22,23からなる増倍部、蛍光面32及び電極33
及びファイバプレート34からなる陽極部、及びこれら
を真空中に保持するための真空容器50から構成されて
いる。なお、光電陰極20の前面には、入射窓17aが
設置されている。
【0063】入射光子により光電子が励起され増倍され
る過程は、前述の光電子増倍管の場合とまったく同様で
あるので省略する。MCP21の出力面から出力された
光電子eは、MCP21に対してさらに正の電圧を印加
された蛍光面32に加速されて入射し、発光する。従っ
て、このような画像増強管300では、光電陰極20の
光子の入射位値に対応した蛍光面32が発光するので、
1次元又は2次元の位置検出あるいは画像化が可能とな
る。発光はファイバプレート34を通して確認すること
ができ、特に低照度下での位置検出あるいは画像化に適
している。また、本実施形態による画像増強管300で
は光電陰極20の構造を調整することにより、波長0.
95μmの近赤外領域から10μm以上の遠赤外領域ま
で任意の波長範囲において、高感度な位置検出型の光検
出器が実現できる。
【0064】なお、前述した電子管の実施形態では光電
子増倍管、画像増強管の2種類について説明したが、本
発明はこれらの電子管に限られるものではなく、例え
ば、光電子増倍管の増倍部に半導体のダイオードを用い
た電子打ち込み型の光電子増倍管や、光電子増倍管の増
倍部に半導体のマルチチャンネル型のダイオードを用い
た位置検出型光電子増倍管や、画像増強管のマイクロチ
ャンネルプレートと蛍光体の代わりに裏面照射型電荷結
合素子(CCD)を用いた画像増強管などに適用可能で
あることは勿論である。
【0065】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
In及びP又はGa及びAsを主成分とする第1導電型
のIII−V族化合物半導体基板と、半導体基板上に形
成され、Tl、In及びGaの少なくとも一方、並びに
P及びAsの少なくとも一方を主成分とする第1導電型
のIII−V族化合物半導体又はその混晶からなり、被
検出光を吸収して光電子を励起する光吸収層と、光吸収
層上に形成されアルカリ金属又はその酸化物又はそのフ
ッ化物からなり、光吸収層の表面の仕事関数を低下させ
る表面層とを備えたので、半導体基板との格子整合を保
ったまま、エネルギーギャップを広い範囲で調整するこ
とが可能となり、長波長側の限界波長を10μm以上ま
で、任意に調整することができる高性能な光電陰極を提
供することが可能となる。従って、本発明の光電陰極を
備える電子管、例えば光電子増倍管あるいは画像増強管
も任意の波長範囲において高感度を有することが可能と
なり、応用範囲が飛躍的に拡大されるという効果を奏す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】Tl、In、Ga、P及びAsを主成分とする
III−V族化合物半導体又はその混晶のエネルギーギ
ャップ(バンドギャップエネルギー)と格子定数との関
係を示した線図である。
【図2】本発明の第1の実施形態による光電陰極を示す
概略断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態による光電陰極におけ
る光電変換量子効率と波長との関係を概略的に示す線図
である。
【図4】本発明の第2の実施形態による光電陰極を示す
概略断面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態による光電陰極におけ
る光電変換量子効率と波長との関係を概略的に示す線図
である。
【図6】本発明の第3の実施形態による光電陰極を示す
概略断面図である。
【図7】本発明の第4の実施形態による光電陰極を備え
た電子管である光電子増倍管を上面から見た平断面図で
ある。
【図8】本発明の第5の実施形態による光電陰極を備え
た電子管である光電子増倍管を示す概略断面図である。
【図9】本発明の第6の実施形態による光電陰極を備え
た電子管である画像増強管を示す要部概略断面図であ
る。
【図10】従来の光電陰極を示す概略断面図である。
【図11】従来の他の光電陰極を示す概略断面図であ
る。
【図12】従来のさらに他の光電陰極を示す概略断面図
である。
【符号の説明】
1…GaAs基板、2…Tl0.5Ga0.5P光吸収層、3
…CsO表面層、4…InP基板、5…Tl0.45In
0.5Ga0.05P光吸収層、6…InP電子放出層、7…
ショットキ電極、8…オーミック電極、9…InPコン
タクト層、10…オーミック電極、11,16,20…
光電陰極、12…第1ダイノード、13…第2ダイノー
ド、14…第3ダイノード、15…陽極、17…バル
ブ、17a…入射窓、21…MCP、22,23,33
…電極、32…蛍光面、34…ファイバプレート、50
…真空容器、100,200…光電子増倍管、300…
画像増強管。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 In及びP又はGa及びAsを主成分と
    する第1導電型のIII−V族化合物からなる半導体基
    板と、 前記半導体基板上に形成され、Tl、In及びGaの少
    なくとも一方、並びにP及びAsの少なくとも一方を主
    成分とする第1導電型のIII−V族化合物半導体又は
    その混晶からなり、被検出光を吸収して光電子を励起す
    る光吸収層と、 前記光吸収層上に形成されアルカリ金属又はその酸化物
    又はそのフッ化物からなり、前記光吸収層の表面の仕事
    関数を低下させる表面層とを備えたことを特徴とする光
    電陰極。
  2. 【請求項2】 前記光吸収層の格子定数と前記半導体基
    板の格子定数との差は、前記半導体基板の格子定数に対
    して1%以下であることを特徴とする請求項1に記載の
    光電陰極。
  3. 【請求項3】 In及びP又はGa及びAsを主成分と
    する第1導電型のIII−V族化合物からなる半導体基
    板と、 前記半導体基板上に形成され、Tl、In及びGaの少
    なくとも一方、並びにP及びAsの少なくとも一方を主
    成分とする第1導電型のIII−V族化合物半導体又は
    その混晶からなり、被検出光を吸収して光電子を励起す
    る光吸収層と、 前記光吸収層上に形成されIn及びPを主成分とするI
    II−V族化合物半導体からなる電子放出層と、 前記電子放出層上に形成されアルカリ金属又はその酸化
    物又はそのフッ化物からなり、前記電子放出層の表面の
    仕事関数を低下させる表面層と、 前記電子放出層上に形成されバイアス電圧を印加する電
    極とを備えた光電陰極であって、 前記電極は前記電子放出層とショットキ接合しているこ
    とを特徴とする光電陰極。
  4. 【請求項4】 前記半導体基板のエネルギーギャップ
    は、前記光吸収層のエネルギーギャップよりも大きく、
    且つ前記電子放出層のエネルギーギャップは、前記光吸
    収層のエネルギーギャップよりも大きいことを特徴とす
    る請求項3に記載の光電陰極。
  5. 【請求項5】 前記光吸収層の格子定数と前記半導体基
    板の格子定数との差、及び前記光吸収層の格子定数と前
    記電子放出層の格子定数との差は、それぞれ前記半導体
    基板の格子定数に対して1%以下であることを特徴とす
    る請求項3に記載の光電陰極。
  6. 【請求項6】 前記半導体基板のキャリヤ濃度は1×1
    18cm-3より大きく、前記光吸収層のキャリヤ濃度は
    1×1017cm-3より小さく、前記電子放出層のキャリ
    ヤ濃度は1×1017cm-3より小さいことを特徴とする
    請求項3に記載の光電陰極。
  7. 【請求項7】 In及びP又はGa及びAsを主成分と
    する第1導電型のIII−V族化合物からなる半導体基
    板と、 前記半導体基板上に形成され、Tl、In及びGaの少
    なくとも一方、並びにP及びAsの少なくとも一方を主
    成分とする第1導電型のIII−V族化合物半導体又は
    その混晶からなり、被検出光を吸収して光電子を励起す
    る光吸収層と、 前記光吸収層上に形成されIn及びPを主成分とする第
    1導電型のIII−V族化合物半導体からなる電子放出
    層と、 前記電子放出層上に形成されアルカリ金属又はその酸化
    物又はそのフッ化物からなり、前記電子放出層の表面の
    仕事関数を低下させる表面層と、 前記電子放出層の表面がほぼ均一に露出するパターン状
    に形成され、In及びPを主成分とする第2導電型のI
    II−V族化合物半導体からなるコンタクト層と、 前記コンタクト層上に形成されバイアス電圧を印加する
    電極とを備えた光電陰極であって、 前記電極は、前記コンタクト層とオーミック接合してい
    ることを特徴とする光電陰極。
  8. 【請求項8】 前記半導体基板のエネルギーギャップは
    前記光吸収層のエネルギーギャップよりも大きく、且つ
    前記電子放出層のエネルギーギャップは前記光吸収層の
    エネルギーギャップよりも大きく、且つ前記コンタクト
    層のエネルギーギャップは前記光吸収層のエネルギーギ
    ャップよりも大きいことを特徴とする請求項6記載の光
    電陰極。
  9. 【請求項9】 前記光吸収層の格子定数と前記半導体基
    板の格子定数との差、及び前記光吸収層の格子定数と前
    記電子放出層の格子定数との差は、それぞれ前記半導体
    基板の格子定数に対して1%以下であることを特徴とす
    る請求項3に記載の光電陰極。
  10. 【請求項10】 前記半導体基板のキャリヤ濃度は1×
    1018cm-3より大きく、前記光吸収層のキャリヤ濃度
    は1×1017cm-3より小さく、前記電子放出層のキャ
    リヤ濃度は1×1017cm-3より小さく、前記コンタク
    ト層のキャリヤ濃度は1×1018cm-3より大きいこと
    を特徴とする請求項7に記載の光電陰極。
  11. 【請求項11】 被検出光が入射する入射窓を有し、内
    部が真空に保持された真空容器と、 前記入射窓に臨んで前記真空容器内に収容された請求項
    1〜10のいずれか1項に記載された光電陰極と、 前記真空容器内に収容され、前記光電陰極に対して正の
    電位に保持された陽極部とを備えたことを特徴とする電
    子管。
  12. 【請求項12】 前記真空容器内に収容され、前記光電
    陰極からの光電子を二次電子増倍する電子増倍部をさら
    に備えたことを特徴とする請求項11に記載の電子管。
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