JPH1189927A - 人工肛門バッグ用フィルム - Google Patents

人工肛門バッグ用フィルム

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JPH1189927A
JPH1189927A JP9258160A JP25816097A JPH1189927A JP H1189927 A JPH1189927 A JP H1189927A JP 9258160 A JP9258160 A JP 9258160A JP 25816097 A JP25816097 A JP 25816097A JP H1189927 A JPH1189927 A JP H1189927A
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暢宏 秦
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 エチレン含量20〜60モル%、ケン化度9
0%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体60〜
99重量%および(メタ)アクリル酸含量1〜30重量
%のエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体40〜1重
量%からなり、エチレン−ビニルアルコール共重合体の
マトリックス中にエチレン−(メタ)アクリル酸共重合
体粒子が分散している樹脂組成物を中間層とし、熱可塑
性樹脂からなる内外層を有する人工肛門バッグ用フィル
ム。 【効果】 本発明の人工肛門バッグは、臭気バリヤー性
が良好な上、柔軟性があり、また耐ピンホール性が優れ
ているため、良好な装着感を実現する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、人工肛門から排出され
る汚物処理用バッグに用いられる、柔軟性および臭気バ
リア性に優れるフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、人工肛門バッグ用フィルムとして
は、低密度ポリエチレン、軟質ポリ塩化ビニルなどの単
層フィルムが用いられてきた。しかし、ポリエチレン、
軟質塩化ビニルなどの単層フィルムでは臭気バリアー性
が十分ではなく、装着中に内容物の臭気が外部に漏れ、
本人に不快感を与える。このため内容物の臭気を外部に
漏らさない臭気バリアー性のあるフィルムが望まれてい
る。
【0003】しかし、臭気バリアー層として、ポリ塩化
ビニリデン系樹脂または、エチレン−酢酸ビニル共重合
体ケン化物(以下EVOHと記す)を使用した多層フィ
ルムは臭気バリアー性は十分満足されるレベルである
が、フィルムが固くなり、フィルムが肌に触れたときに
不快感を与えたり、装着中のフィルムの屈曲、擦過によ
り音が発生し、他人にバックを身につけていることがわ
かるなどの問題が発生する。このため、ポリ塩化ビニリ
デン系樹脂を臭気バリアー層として用いる時は、通常塩
化ビニリデンと共重合させる塩化ビニル、アクリロニト
リル、アクリル酸エステル、アクリル酸等の共重合比を
調整することによって柔軟性を付与したり、更に可塑剤
を添加する場合もある。
【0004】また、表面樹脂層には塩素化ポリエチレン
をブレンドしたり、またはエチレン−アクリル酸共重合
体、エチレン−メタクリル酸共重合体などの柔軟な樹脂
を用いる必要がある。(特表昭57−501631号、
特開昭60−137368号)。
【0005】臭気バリアー層としてEVOHを用いる場
合はエチレン−酢酸ビニル共重合体部分ケン化物をブレ
ンドし、表面層にエチレン−アクリル酸共重合体、エチ
レン−メタクリル酸共重合体などの柔軟な樹脂を用いた
三層共押出多層フィルムを用いる方法(実開昭60−1
75248号)が知られている。また、特公昭51−4
1157号、特公昭57−14382号にはEVOHに
エチレン系共重合樹脂をブレンドすることによりEVO
Hにポリオレフィンとの共押出接着性が付与され、さら
に耐落下衝撃性が改善されることが記載されているが、
人工肛門用バッグフィルムとして有用であることは記載
されていない。
【0006】ポリ塩化ビニリデン系樹脂は熱安定性の面
から溶融製膜するのに特殊な装置や技術が必要であり、
また人工肛門バッグ用フィルムとして用いるには、前記
特表昭57−501631号、特開昭60−13736
8号に見られるような共重合や可塑剤のブレンドあるい
は特殊な樹脂の組み合わせで多層フィルムを得る必要が
ある。これらの構成のフィルムは製造上の問題があるた
めか、柔軟性が不足なためかは不明であるが現在市販さ
れている人工肛門バッグには当該組成の多層フィルムは
使用されていない。
【0007】現在、臭気バリアー性の高い人工肛門バッ
グ用フィルムにはポリエチレンあるいはエチレン−酢酸
ビニル共重合体を内外層とし、ポリ塩化ビニリデン系樹
脂を中間層とする多層フィルムが使用されているが、柔
軟性、装着感などが十分満足されていない。一方、EV
OHを臭気バリアー材として使用することも考えられる
が、実際これを使用して人工肛門バッグを作製すると、
装着感、ノイズ性が極めて悪く実用に耐え難いものであ
った。
【0008】この問題を解決するために、実開昭60−
175248号に記載されているようにEVOHにエチ
レン−酢酸ビニル共重合体部分ケン化物をブレンドする
方法、あるいは特開昭64−70665号に記載されて
いるようにEVOHに酢酸ビニル、アクリル酸エステル
あるいはメタクリル酸エステルを含有するエチレン系共
重合体をブレンドする方法も提案されているが、EVO
H単独で用いる場合に比べれば柔軟性はある程度改善さ
れものの、人工肛門バッグ用フィルムとしては満足でき
る柔軟性は無く、装着感も劣り、柔軟性を高めるため
に、エチレン−酢酸ビニル共重合体部分ケン化物のブレ
ンド率を増加させると臭気バリアー性が不足し、実用的
な段階に達していない。こうしてEVOHを臭気バリア
ー材として用いた人工肛門バッグは実用化されていない
のが現状であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、人工
肛門バッグの防臭性を高めるためのバリア材としてはポ
リ塩化ビニリデン系、EVOH系ともに、臭気バリアー
性と柔軟性が両立していないのが現状である。本発明の
目的は、上記の様な臭気バリアー性と柔軟性にすぐれた
人工肛門バッグを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的は、エチレン含
量20〜60モル%、ケン化度90%以上のエチレン−
ビニルアルコール共重合体60〜99重量%および(メ
タ)アクリル酸含量1〜30重量%のエチレン−(メ
タ)アクリル酸共重合体40〜1重量%からなり、エチ
レン−ビニルアルコール共重合体のマトリックス中にエ
チレン−(メタ)アクリル酸共重合体粒子が分散してい
る樹脂組成物を中間層とし、熱可塑性樹脂からなる内外
層を有する人工肛門バッグ用フィルムを提供することに
よって達成される。
【0011】このとき、エチレン−ビニルアルコール共
重合体が、エチレン含量の異なる2種類のエチレン−ビ
ニルアルコール共重合体(a)および(b)の混合物か
らなり、(a)のエチレン含量が20〜45モル%、
(b)のエチレン含量が45〜65モル%、(a)と
(b)のエチレン含量の差が8モル%以上であり、かつ
その配合重量比{(a)/(b)}が2/1〜50/1
であることによって、本発明の目的はより効果的に達成
される。
【0012】また、エチレン−ビニルアルコール共重合
体のMFR(Ma)とエチレン−(メタ)アクリル酸共
重合体のMFR(Mb)の比(Ma/Mb)が0.1〜
5.0であること、あるいは樹脂組成物が可塑剤を2〜
15重量%含むことも好適である。
【0013】さらに、エチレン−ビニルアルコール共重
合体のマトリックス中に分散しているエチレン−(メ
タ)アクリル酸共重合体粒子がフィルム面に平行な一軸
方向に引き延ばされた円柱状の形状で分散しており、そ
の一軸方向に垂直な面で切断したときの粒子断面の平均
径が0.2〜1.3μmであることも好適である。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明のEVOHは、エチレンと
ビニルエステルからなる共重合体をアルカリ触媒等を用
いてケン化して得られる。ビニルエステルとしては酢酸
ビニルが代表的なものとしてあげられるが、その他の脂
肪酸ビニルエステル(プロピオン酸ビニル、ピバリン酸
ビニルなど)も使用できる。
【0015】本発明におけるEVOHのエチレン含量は
20〜60モル%であり、好適には25〜50モル%、
より好適には25〜45モル%である。なおここで、E
VOHがエチレン含量の異なる2種類以上のEVOHの
配合物からなる場合には、配合重量比から算出される平
均値をエチレン含量とする。エチレン含量が20モル%
未満では、高湿度下でのガスバリア性が低下し溶融成形
性も悪化する。また60モル%を越えると十分なガスバ
リア性が得られない。
【0016】また、本発明のEVOHのビニルエステル
成分のケン化度は90%以上であり、好適には95%以
上、より好適には98%以上である。なおここで、EV
OHがケン化度の異なる2種類以上のEVOHの配合物
からなる場合には、配合重量比から算出される平均値を
ケン化度とする。ケン化度が90モル%未満では、高湿
度時のガスバリア性が低下するだけでなく、EVOHの
熱安定性が悪化し、成形物にゲルが発生しやすくなる。
【0017】またEVOHには、本発明の目的が阻害さ
れない範囲で他の単量体を少量共重合することもでき
る。共重合できる単量体の例としては、プロピレン、ブ
テン、イソブテン、4−メチルペンテン−1、ヘキセ
ン、オクテンなどのα−オレフィン、イタコン酸、メタ
クリル酸、アクリル酸、無水マレイン酸などの不飽和カ
ルボン酸、その塩、その部分または完全エステル、その
ニトリル、そのアミド、その無水物、ビニルトリメトキ
シシランなどのビニルシラン系化合物、不飽和スルホン
酸、その塩、アルキルチオール類、ビニルピロリドンな
どがあげられる。
【0018】なかでも、EVOHに共重合成分としてビ
ニルシラン化合物0.0002〜0.2モル%を含有す
る場合は、共押し出しする際の基材樹脂との溶融粘性の
整合性が改善され、均質な共押し出し多層パイプの製造
が可能なだけでなく、EVOH同士をブレンドに使用す
る際の分散性が改善され成形性などの改善の面でも有効
である。ここで、ビニルシラン系化合物としては、例え
ば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシ
ラン、ビニルトリ(β−メトキシ−エトキシ)シラン、
γ−メタクリルオキシプロピルメトキシシラン等が挙げ
られる。なかでも、ビニルトリメトキシシラン、ビニル
トリエトキシシランが好適に用いられる。
【0019】本発明のEVOH中のリン化合物濃度は、
リン元素重量換算で1〜200ppm、好適には2〜1
50ppm、最適には5〜100ppmの範囲であるこ
とが成形性や熱安定性の点から好ましい。
【0020】さらにナトリウムイオン、カリウムイオ
ン、リチウムイオンなどのアルカリ金属イオンを金属重
量換算でEVOHに対し10〜500ppm含有させる
ことも本発明の効果を増進させ、層間接着性や相溶性の
改善のために効果的である。アルカリ金属化合物として
は、一価金属の脂肪族カルボン酸塩、芳香族カルボン酸
塩、リン酸塩、金属錯体等があげられ、具体的には、酢
酸ナトリウム、酢酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン
酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カ
リウム、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩等があげ
られ、好適には、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、リン
酸ナトリウムがあげられる。
【0021】また、本発明に用いるEVOHの好適なメ
ルトフローレート(MFR)(210℃、2160g荷
重下で測定した値)は、好適には0.1〜50g/10
分、最適には0.5〜20g/10分である。本発明に
おいてEVOHは、エチレン含有量および/またはケン
化度の異なる1種あるいはそれ以上のEVOHをブレン
ドして用いる事がより好適な場合もある。
【0022】本発明で用いるEVOHとしては、エチレ
ン含量および/またはケン化度の異なる2種以上のEV
OHをブレンドして用いる事が好適である。特に、EV
OHが、エチレン含量の異なる2種類のEVOH(a)
および(b)の混合物からなり、(a)のエチレン含量
が20〜45モル%、(b)のエチレン含量が45〜6
5モル%、(a)と(b)のエチレン含量の差が8モル
%以上であり、かつその配合重量比{(a)/(b)}
が2/1〜50/1であることが、良好なガスバリア性
と柔軟性の両立のために好ましい。
【0023】このとき、EVOH(a)のエチレン含量
は20〜45モル%であることが好ましい。より好適に
は25〜42モル%であり、さらに好適には30〜40
モル%である。EVOH(a)のエチレン含量が20モ
ル%未満では、柔軟性が悪化し、45モル%を超えると
ガスバリア性が低下する。
【0024】また、 EVOH(b)のエチレン含量は
45〜65モル%であることが好ましい。より好適には
47〜62モル%であり、さらに好適には50〜60モ
ル%である。EVOH(b)のエチレン含量がかかる範
囲にあることで、柔軟性が十分に改善される。
【0025】さらに、 EVOH(a)と(b)のエチ
レン含量の差は8モル%以上であることが好ましい。よ
り好適には12モル%以上であり、さらに好適には15
モル%以上である。EVOH(a)のエチレン含量の差
が8モル%未満では、柔軟性の改善効果が小さい。
【0026】またEVOH(a)および(b)の配合重
量比{(a)/(b)}が2/1〜50/1であること
が好ましい。より好適には3/1〜40/1であり、さ
らに好適には4/1〜30/1である。配合重量比が2
/1未満では、ガスバリア性が低下し、50/1を超え
ると柔軟性の改善効果が小さい。
【0027】本発明で用いられるエチレン−(メタ)ア
クリル酸共重合体とは、エチレンを主成分としアクリル
酸またはメタクリル酸を共重合した重合体のことをい
う。本発明においては共重合体中のカルボキシル基がナ
トリウムや亜鉛などの金属の塩の形で存在している、い
わゆるアイオノマーを含むものではない。かかるアイオ
ノマーを用いた場合に本願発明の目的が達成されないこ
とは、理由は明らかでないが、後述する比較例に示した
とおりである。
【0028】エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体中
の(メタ)アクリル酸含量は、1〜30重量%であり、
好適には2〜25重量%であり、より好適には3〜20
重量%である。(メタ)アクリル酸含量が1重量%未満
である場合は樹脂粒子の分散が不良となり、剛性が高く
なり屈曲によりピンホールを生じやすい。また30重量
%を超える場合には臭気バリア性が不足する。
【0029】また、本発明に用いるエチレン−(メタ)
アクリル酸共重合体の好適なメルトフローレート(MF
R)(210℃、2160g荷重下で測定した値)は、
好適には0.1〜80g/10分、最適には0.5〜5
0g/10分である。本発明においてエチレン−(メ
タ)アクリル酸共重合体は、(メタ)アクリル酸含量お
よび/またはMFRの異なる2種あるいはそれ以上のエ
チレン−(メタ)アクリル酸共重合体をブレンドして用
いることもできる。
【0030】本発明の樹脂組成物におけるEVOHの含
有量は60〜99重量%、好ましくは70〜97重量
%、より好ましくは80〜95重量%である。またエチ
レン−(メタ)アクリル酸共重合体の含有量は1〜40
重量%、好ましくは3〜30重量%、さらに好ましくは
5〜20重量%である。エチレン−(メタ)アクリル酸
共重合体の配合比が1重量%より少ない場合には、屈曲
による、音の発生、クラック、装着時の不快感を生じる
問題がある。また、エチレン−(メタ)アクリル酸共重
合体の配合比が40重量%より多い場合には、臭気バリ
ア性が著しく低下する。
【0031】本発明の樹脂組成物は、EVOHのマトリ
ックス中にエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体粒子
が分散しているものである。かかる分散形態を有するこ
とで、良好なガスバリア性、力学特性を保有することが
できる。エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体のマト
リックス中にEVOHが分散していたり、双方の樹脂が
連続状につながっているような形態の時には臭気バリア
性の低下が著しい。
【0032】本発明に用いるEVOHとエチレン−(メ
タ)アクリル酸共重合体のメルトフローレート(MF
R)(210℃、2160g荷重下で測定した値)比と
しては、EVOHのMFR(Ma)とエチレン−(メ
タ)アクリル酸共重合体のMFR(Mb)の比(Ma/
Mb)が0.1〜5.0であることが好ましく、より好
適には0.15〜3.0、最適には0.2〜2.0であ
る。かかる範囲のMFRの比の樹脂を組み合わせること
によって、良好に分散され、本発明の目的を達成するこ
とができる。
【0033】本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を
増進させ、また溶融安定性等を改善するためにハイドロ
タルサイト系化合物、ヒンダードフェノール系、ヒンダ
ードアミン系熱安定剤、高級脂肪族カルボン酸の金属塩
(たとえば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マ
グネシウム等)の一種または二種以上を樹脂組成物に対
し0.01〜1重量%添加することは好適である。
【0034】また本発明の樹脂組成物に可塑剤を2〜1
5重量%添加することは、柔軟性の向上と屈曲時の音の
発生の防止の点から好ましい。添加する可塑剤の種類は
特に限定されるものではなく、高級脂肪族アルコール、
グリセリン、グリコール等に代表されるアルコール類;
高級脂肪族カルボン酸に代表されるカルボン酸類;脂肪
族アルコールのフタル酸エステルで代表される芳香族エ
ステル類;多価アルコールと高級脂肪酸からなるエステ
ルを代表とする脂肪族エステル類;芳香族アルコールあ
るいは脂肪族アルコールのリン酸エステルに代表される
リン酸エステル類等各種の可塑剤を用いることができ
る。
【0035】なかでも好適なものとして、多価アルコー
ル(2価、3価あるいはそれ以上の多価アルコール)と
高級脂肪酸(炭素数8以上、好適には8〜30の高級脂
肪酸)とのモノエステル、ジエステル、あるいはそれ以
上の多価エステルが挙げられる。その例として、ステア
リン酸エステルとしてはグリセリンモノステアレート、
グリセリンモノ12−ヒドロキシステアレート、グリセ
リンジステアレート、ジグリセリンモノステアレート、
テトラグリセリンモノステアレート;ラウリン酸エステ
ルとしてはグリセリンモノラウレート、ジグリセリンモ
ノラウレート、テトラグリセリンモノラウレートなどが
例示される。それ以外の脂肪族エステルとしてはポリプ
ロピレンアジペート、ジイソデシルアジペート、ビス
(2−メチルヘキシル)アジペート、ジカプリルアジペ
ート、ジイソオクチルアジペート、オクチルデシルアジ
ペート、イソオクチルイソデシルアジペート、ジブチル
フマレート、ジオクチルフマレート、トリエチルシトレ
ート、アセチルトリエチルシトレート、トリブチルシト
レート、アセチルトリブチルシトレートなどを挙げるこ
とができる。
【0036】好ましい可塑剤の添加量は、2〜15重量
%であり、より好適には4〜10重量%である。可塑剤
の量がかかる範囲より多すぎる場合にはガスバリア性が
低下し、少なすぎる場合には柔軟性の改善効果が充分で
ない。
【0037】また、本発明の樹脂組成物に必要に応じて
各種の添加剤を配合することもできる。このような添加
剤の例としては、酸化防止剤、可塑剤、熱安定剤、紫外
線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤、フィラー、ある
いは他の高分子化合物を挙げることができ、これらを本
発明の作用効果が阻害されない範囲でブレンドすること
ができる。添加剤の具体的な例としては次のようなもの
が挙げられる。
【0038】酸化防止剤:2,5−ジ−t−ブチルハイ
ドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾー
ル、4,4’−チオビス−(6−t−ブチルフェノー
ル)、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−
t−ブチルフェノール)、オクタデシル−3−(3’,
5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プ
ロピオネート、4,4’−チオビス−(6−t−ブチル
フェノール)等。
【0039】紫外線吸収剤:エチレン−2−シアノ−
3,3’−ジフェニルアクリレート、2−(2’−ヒド
ロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、
2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベン
ゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチ
ルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロ
キシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)5−
クロロベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−メト
キシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メ
トキシベンゾフェノン等。
【0040】可塑剤:フタル酸ジメチル、フタル酸ジエ
チル、フタル酸ジオクチル、ワックス、流動パラフィ
ン、リン酸エステル等。 帯電防止剤:ペンタエリスリットモノステアレート、ソ
ルビタンモノパルミテート、硫酸化ポリオレフィン類、
ポリエチレンオキシド、カーボワックス等。 滑剤:エチレンビスステアロイルアミド、ブチルステア
レート等。 着色剤:カーボンブラック、フタロシアニン、キナクリ
ドン、インドリン、アゾ系顔料、ベンガラ等。 充填剤:グラスファイバー、アスベスト、バラストナイ
ト、ケイ酸カルシウム等。
【0041】また、他の多くの高分子化合物を本発明の
作用効果が阻害されない程度にブレンドすることもでき
る。
【0042】上記フィルムにおける樹脂組成物層の各樹
脂の分散状態は、EVOHのマトリックス中に分散して
いるエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体粒子がフィ
ルム面に平行な一軸方向に引き延ばされた円柱状に分散
分散されていることが好ましい。ここで、一軸方向とは
フィルムの押出方向のことである。このとき、その軸方
向に垂直な面で切断したときの粒子断面の平均径が0.
2〜1.2μmであることが好ましく、0.3〜1.0
μmであることがより好ましい。かかる粒子断面の平均
径が1.2μmより大きい場合には、組成物中での不均
一な分散が発生しやすく、フィルム屈曲時にクラックを
生じるとともに臭気バリア性が低下する。また粒子断面
の平均径が0.2μm未満の場合、分散粒子を含有する
効果が組成物の耐屈曲性に生かされない。
【0043】本発明でいう粒子断面の平均径の測定方法
としては、以下の手順が示される。まず、フィルムの押
出方向と垂直な面のサンプルの破断面を走査型電子顕微
鏡、あるいは透過型電子顕微鏡観察等によって撮影す
る。続いてこれら電子顕微鏡観察等によって得られた写
真を画像処理によりその輪郭を特定し、特定された粒子
の輪郭の長径および短径の平均の値をその粒子の径と
し、得られた各粒子の径の平均値を粒子断面の平均径と
して求めた。
【0044】このような分散形態を得るために、本発明
における混練操作は重要である。高度な分散を有する組
成物を得るための混練機としては、連続式インテンシブ
ミキサー、ニーディングタイプ二軸押出機(同方向、あ
るいは異方向)などの連続型混練機が最適であるが、バ
ンバリーミキサー、インテンシブミキサー、加圧ニーダ
ーなどのバッチ型混練機を用いることもできる。また別
の連続混練装置としては石臼のような摩砕機構を有する
回転円板を使用したもの、たとえば(株)KCK製のK
CK混練押出機を用いることもできる。混練機として通
常に使用されるもののなかには、一軸押出機に混練部
(ダルメージ、CTM等)を設けたもの、あるいはブラ
ベンダーミキサーなどの簡易型の混練機もあげることが
できる。
【0045】この中で、本発明の目的に最も好ましいも
のとしては連続式インテンシブミキサーを挙げることが
できる。市販されている機種としてはFarrel社製
FCM、(株)日本製鋼所製CIMあるいは(株)神戸
製鋼所製KCM、LCMあるいはACM等がある。実際
にはこれらの混練機の下に一軸押出機を有する、混練と
押出ペレット化を同時に実施する装置を採用するのが好
ましい。また、ニーディングディスクあるいは混練用ロ
ータを有する二軸混練押出機、例えば(株)日本製鋼所
製のTEX、Werner&Pfleiderer社の
ZSK、東芝機械(株)製のTEM、池貝鉄工(株)製
のPCM等も本発明の混練の目的に用いられる。
【0046】これらの連続型混練機を用いるにあたって
は、ロータ、ディスクの形状が重要な役割を果たす。特
にミキシングチャンバとローターチップあるいはディス
クチップとの隙間(チップクリアランス)は重要であ
り、狭すぎても広すぎても本発明の良好な分散性を有す
る組成物は得られない。チップクリアランスとしては1
〜5mmが最適である。
【0047】また、本発明の良好な分散性を有する組成
物を得るためには混練機の比エネルギーとして0.1k
Wh/kg以上、望ましくは0.2〜0.8kWh/k
gで混練することが最良であることが判明した。比エネ
ルギーは混練に使用されるエネルギー(消費電力量;k
W)を1時間あたりの混練処理量(kg)で除して求め
られるものであり、その単位はkWh/kgである。比
エネルギーが通常の混練で採用される値より高い値で混
練することが本発明の組成物を得るためには必要であ
り、比エネルギー0.1kWh/kg以上とするために
は、単に混練機の回転数をあげるだけでは不十分で、混
練中の組成物をジャケットなどにより冷却して温度を下
げ、粘度を上昇させることが好ましい。粘度を低くした
状態で混練したのでは本発明の目的とする組成物を得る
ことは難しい。したがって、混練温度は混練部の出口の
排出樹脂温度でEVOHの融点〜融点+40℃の範囲で
あることが効果的である。
【0048】また、混練機のローターの回転数は100
〜1200rpm、望ましくは150〜1000rp
m、さらに望ましくは200〜800rpmの範囲が採
用される。混練機チャンバー内径(D)は30mm以
上、望ましくは50〜400mmの範囲のものが挙げら
れる。混練機のチャンバー長さ(L)との比L/Dは4
〜30が好適である。また混練機はひとつでもよいし、
また2以上を連結して用いることもできる。
【0049】混練時間は長い方が良い結果を得られる
が、EVOHの熱劣化変質あるいは経済性の点から10
〜600秒、好適には15〜200秒の範囲であり、最
適には15〜150秒である。
【0050】本発明の人工肛門バッグ用フィルムは、上
記樹脂組成物よりなる層を中間層とし、熱可塑性樹脂か
らなる内外層を有するものである。
【0051】樹脂組成物層の両側に内外層を有すること
が好ましいのは、樹脂組成物層を物理的に保護し、強度
等を改善することができるのと同時に、樹脂組成物層が
吸湿してガスバリア性が低下するのを防ぐこともできる
からである。また、内外層として用いることのできる樹
脂は特に限定されるものではなく、ポリオレフィン系樹
脂、ポリアミド系樹脂、飽和ポリエステル系樹脂(ポリ
エチレンテレフタレート等)、ポリ塩化ビニル系樹脂、
ポリ塩化ビニリデン系樹脂等があげられ、適当に選択で
きる。
【0052】また上記内外層の少なくとも片方がヒート
シール可能な熱可塑性樹脂層であるのが好ましい。これ
は、ヒートシール操作によって人工肛門バッグを容易に
製造できるからである。
【0053】かかるヒートシール性を有する内外層に用
いられる樹脂としては、樹脂組成物層中に用いられるE
VOH樹脂の融点よりも低い融点あるいは軟化点を有す
る樹脂が好ましく、特にポリオレフィン系樹脂が好まし
い。用いられるポリオレフィン系樹脂としては、高密度
もしくは低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブ
テン−1などの単独重合体、およびエチレン、プロピレ
ン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メ
チル−1−ペンテンなどから選ばれたα−オレフィン同
士の共重合体あるいはα−オレフィンと他の共重合体成
分との共重合体があげられる。これらα−オレフィン以
外の共重合成分としては、ジオレフィン、N−ビニルカ
ルバゾール、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニ
ル、スチレン、アクリロニトリル、ビニルエーテル、な
どのビニル化合物、マレイン酸、アクリル酸、メタクリ
ル酸、エタクリル酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽
和カルボン酸、そのエステルおよびその酸無水物あるい
はこれらにヒドロキシル基またはエポキシ基を付加した
ものなどがあげられる。例えばグラフト可能なモノマー
とポリオレフィンとの共重合体やα−オレフィン/α,
β−不飽和カルボン酸共重合体とイオン性金属化合物と
の反応物であるアイオノマー樹脂などの各種の共重合体
などを用いることもできる。なかでも好適なものとし
て、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポ
リエチレン(LLDPE)が好適である。これらのポリ
オレフィン系樹脂はそれぞれ単独で用いることもできる
し、また2種以上を混合して用いることもできる。
【0054】また、樹脂組成物層と内外層との間の接着
性を確保するために接着性樹脂層を設けることもでき
る。接着性樹脂層に使用される樹脂は特に限定されるも
のではないが、ポリウレタン系、ポリエステル系一液型
あるいは二液型硬化性接着剤、不飽和カルボン酸または
その無水物(無水マレイン酸など)をオレフィン系重合
体または共重合体に共重合またはグラフト変性したもの
(カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂)が、好適に用い
られる。このような接着性樹脂層を設けることにより、
層間接着性の優れた人工肛門バッグ用フィルムを得るこ
とができる。
【0055】これらのうちでも、接着性樹脂がカルボン
酸変性ポリオレフィン樹脂であることが、EVOHを含
む樹脂組成物層あるいは共重合ポリプロピレンとの接着
性、あるいはスクラップ回収時の相溶性の観点からより
好ましい。かかるカルボン酸変性ポリエチレン系樹脂の
例としては、ポリエチレン{低密度ポリエチレン(LD
PE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超
低密度ポリエチレン(VLDPE)}、ポリプロピレ
ン、共重合ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重
合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル(メチル
エステル、またはエチルエステル)共重合体等をカルボ
ン酸変性したものが挙げられる。
【0056】本発明の人工肛門バッグ用フィルムの具体
的構成例は、樹脂組成物層をB、熱可塑性樹脂層をTと
したときに、T/B/T、T/B/T/B、T/B/T
/B/T等の構成が挙げられる。このとき、熱可塑性樹
脂層のTの一層または全層がヒートシール性を有するこ
とが好ましく、これらの層間に接着性樹脂層を介在させ
てもよい。
【0057】また、本発明の人工肛門バッグ用フィルム
を構成する樹脂組成物層、内外層あるいは接着性樹脂層
の少なくとも一層に脱臭剤を配合してもよい。かかる脱
臭剤の配合により、臭気バリア性が改善される。
【0058】配合される脱臭剤は、各種悪臭成分、例え
ばアンモニア、アミン、硫化水素、メルカプタン、スル
フィドに対し脱臭効果のある物質であり、その種類は特
に制限されるものではないが、有機酸類、鉄(II)化
合物、亜鉛化合物、アルミニウム化合物、ケイ素化合
物、鉄(II)化合物−有機酸組成物が挙げられる。こ
れらの脱臭剤は単独で用いることもできるし、複数種の
混合物として用いることもできる。
【0059】かかる人工肛門バッグ用フィルムの厚み構
成は特に限定されるものではないが、全体厚みが80〜
200μmであることが好ましく、より好ましくは10
0〜150μmである。全体厚みが200μmを超える
場合には、フィルム全体の剛性が高く、柔軟性が低下す
るとともに、必要以上に容器の重量が大きくなり、コス
トの点から好ましくない。また全体厚みが80μm未満
では、力学的強度が低くて破れやすく、しかもその部分
の樹脂組成物層にピンホールが発生しやすいので臭気バ
リア性が悪化する。
【0060】また、樹脂組成物層の厚みは5〜35μm
であることが好ましく、より好ましくは10〜25μm
である。樹脂組成物層の厚みが35μmを超える場合に
はコストが上昇する上に屈曲によりピンホールが発生し
やすく好ましくない。逆に樹脂組成物層の厚みが5μm
以下では、バリア性が著しく低下するので好ましくな
い。
【0061】本発明の人工肛門バッグ用フィルムを得る
方法は、特に限定されるものではないが、一般のポリオ
レフィン等の分野において実施されている成形方法、例
えばTダイ成形、インフレーション成形、共押出成形、
ドライラミネート成形等を採用することができ、特に共
押出成形が好適である。
【0062】以上のような人工肛門バッグ用フィルムを
用いて袋状に加工することで、柔軟性および臭気バリア
性に優れる人工肛門バッグを製造することができる。
【0063】
【実施例】以下実施例により本発明をさらに説明する。
実施例によって得られたフィルムの評価は、以下の方法
に従って行った。
【0064】・フィルム中の分散粒子の粒子断面の平均
径フィルムの押出方向と垂直な面のサンプルの破断面を
走査型電子顕微鏡で観察し、倍率3000〜20000
倍の写真撮影を行った。得られた写真中の分散粒子断面
をケイオー電子工業製画像計測ツールシステムASPE
CTを用いてその輪郭を特定し、特定された粒子の輪郭
の長径および短径の平均の値をその粒子の径とし、得ら
れた各粒子の径の値の平均値を粒子断面の平均径として
求めた。測定する分散粒子の数は30個以上になるよう
にした。分散粒子の観察に際しては、配合樹脂の種類に
より観察が困難な場合には必要に応じて、ペレット破断
面をミクロトームで平滑にしたり、分散粒子をキシレン
等により溶解して分散粒子の溶解後の痕跡を観察する方
法を採用したりした。
【0065】・酸素透過量 積層フィルムを20℃−85%RHに湿度調整した後、
バリア測定装置(モダンコントロール社製、OX−TR
AN−10/50A)にて、底部の積層フィルムの酸素
透過量を測定した。
【0066】・耐ピンホール性 ゲルボフレックステスター(理学工業(株)製)を用い
て測定した。ゲルボフレックステスターとは、12in
×8inの試料片を直径3.5inの円筒状となし、両
端を把持し、初期把持間隔7in、最大屈曲時の把持間
隔1in、ストロークの最初の3.5inで、440℃
の角度のひねりを加え、その後の2.5inは直線水平
動である動作のくり返し往復動を40回/分の速さで2
0℃、相対湿度65%の条件下に行うものであり、耐ピ
ンホール性とは、ゲルボフレックステスターにより1個
のピンホールが発生するまでの往復回数を示す。
【0067】・臭気バリア性、柔軟性、装着感、ノイズ
性 140mm×300mmの多層フィルム2枚を重ねて、
140mmの一辺と300mmの二辺を幅5mmで袋状
に熱シールし、人工肛門バッグに近い形態で行った。臭
気バリア性の評価は20℃、相対湿度65%にコントロ
ールした部屋で袋の中に臭気物質として1gのスカトー
ルを入れ、熱シールにより袋を密閉した後、内容量50
0mlの広口ビンに袋を入れ栓をし24時間放置した後
の広口ビン内の臭気を官能検査により5点法にて評価し
た。また、柔軟性、装着感、ノイズ性は実際に袋を腹部
に装着し、以下のように5点法で評価した。 臭気バリア性:全く臭はない(5点)〜やや臭う(3
点)〜臭う(1点) 柔軟性:極めてしなやか(5点)〜しなやか(3点)〜
固い(1点) 装着感:違和感小(5点)〜やや違和感あり(3点)〜
気持ち悪い(1点) ノイズ:ほとんどなし(5点)〜する(3点)〜非常に
大きい(1点)
【0068】
【実施例】次に、本発明を、合成例、実施例、及び比較
例にてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例に
限定されるものではない。
【0069】実施例1 酢酸ナトリウムをナトリウム元素の重量換算で65pp
m、リン化合物をリン酸塩の形でリン原子当たりの重量
で100ppm含有するEVOH{エチレン量32モル
%、ケン化度99.6%、MFR=3.1g/10分
(210℃、2160g荷重)}90重量%と、エチレ
ン−メタクリル酸共重合体(以下EMAAと略する)
{メタクリル酸(MAA)含有量:9重量%、三井デュ
ポンケミカル「ニュクレル0903HC、MFR=5.
7g/10分(210℃、2160g荷重)}10重量
%とをドライブレンドした後、ニーディングディスクを
有する30mmφの2軸押出機(日本製鋼所製TEX3
0:L/D=30)を用いてシリンダー温度をフィード
下部を190℃、混練部及びノズル付近を210℃に設
定し、押出機のローターの回転数は610rpm、フィ
ーダーのモーター回転数250rpmで、溶融混練しペ
レット化を行った。この時の押出量が1時間当たり20
kgでシリンダー内部の樹脂圧力は20kg/cm2
あった。このときの比エネルギーは0.6kWh/kg
であった。
【0070】さらに、このペレタイズされた樹脂組成物
樹脂組成物層とし、直鎖状低密度ポリエチレン(LLD
PE){MFR=2.1g/10分(210℃、216
0g荷重)、三井石油化学製「ウルトゼックス3520
L」}をヒートシール層とし、無水マレイン酸変性ポリ
エチレン{MFR=3.3g/10分(210℃、21
60g荷重)、三井石油化学製「アドマーSF60
0」}を接着剤(AD)層とし、T型ダイを備えた共押
出機にて3種5層(LLDPE/AD/樹脂組成物層/
AD/LLDPE=30μ/10μ/20μ/10μ/
30μ)で全体厚みが100μmの多層フィルムを得
た。樹脂組成物層中の分散樹脂粒子断面平均径、酸素透
過量および耐ピンホール性を評価した。また、得られた
フィルムから袋を作成し臭気透過性、柔軟性、装着感、
ノイズ性について評価した。結果を表1および表2に示
す。
【0071】比較例1 実施例1において、樹脂組成物層のかわりに実施例1で
用いたのと同じEVOH樹脂を単独で用いた以外は、実
施例1に同様にしてサンプルを作製し試験をおこなっ
た。評価結果は表1および表2にまとめて示す。
【0072】実施例2、3、比較例2 実施例1において使用したものと同じEVOHとEMA
Aを用い、その混合比をEVOH95重量%、EMAA
5重量%(実施例2)、EVOH80重量%、EMAA
20重量%(実施例3)、EVOH50重量%、EMA
A50重量%(比較例2)に変更した以外は、実施例1
に同様にしてサンプルを作製し試験をおこなった。評価
結果は表1および表2にまとめて示す。
【0073】実施例4、5 実施例1において使用したEVOHをエチレン含量の異
なるEVOH{エチレン含量27モル%、ケン化度9
9.6%、MFR=3.9g/10分(210℃、21
60g荷重)}(実施例4)、{エチレン含量44モル
%、ケン化度99.7%、MFR=3.5g/10分
(210℃、2160g荷重)}(実施例5) に変更
した以外は実施例1に同様にしてサンプルを作製し試験
をおこなった。評価結果は表1および表2にまとめて示
す。
【0074】実施例6〜9 実施例1において使用したEVOH90重量%の代わり
に、以下に示す割合で配合した2種類のEVOHを用い
た以外は実施例1に同様にしてサンプルを作製し試験を
おこなった。評価結果は表1および表2にまとめて示
す。 実施例6;エチレン含量32モル%、ケン化度99.6
%、MFR=3.1g/10分(210℃、2160g
荷重)のEVOH85重量部 エチレン含量51モル%、ケン化度96%、MFR=1
5.1g/10分(210℃、2160g荷重)のEV
OH5重量部 実施例7;エチレン含量38モル%、ケン化度99.7
%、MFR=3.8g/10分(210℃、2160g
荷重)のEVOH85重量部 エチレン含量51モル%、ケン化度96%、MFR=1
5.1g/10分(210℃、2160g荷重)のEV
OH5重量部 実施例8;エチレン含量38モル%、ケン化度99.7
%、MFR=3.8g/10分(210℃、2160g
荷重)のEVOH85重量部 エチレン含量44モル%、ケン化度99.7%、MFR
=3.5g/10分(210℃、2160g荷重)のE
VOH5重量部 実施例9;エチレン含量32モル%、ケン化度99.6
%、MFR=3.1g/10分(210℃、2160g
荷重)のEVOH50重量部 エチレン含量51モル%、ケン化度96%、MFR=1
5.1g/10分(210℃、2160g荷重)のEV
OH40重量部
【0075】実施例10〜12、比較例3〜8 実施例1において用いたEMAA{メタクリル酸含有
量:9重量%、三井デュポンケミカル「ニュクレル09
03HC、MFR=5.7g/10分(210℃、21
60g荷重)}のかわりに、以下に示す樹脂を用いた以
外は実施例1に同様にしてサンプルを作製し試験をおこ
なった。評価結果は表1および表2にまとめて示す。 実施例10;EMAA{メタクリル酸含有量:4重量
%、三井デュポンケミカル「ニュクレルAN4214
C」、MFR=12.2g/10分(210℃、216
0g荷重)} 実施例11;EMAA{メタクリル酸含有量;12重量
%、三井デュポンケミカル「ニュクレル1207C」、
MFR=13.4g/10分(210℃、2160g荷
重)} 実施例12;エチレン−アクリル酸共重合体(以下EA
Aと略する){アクリル酸(AA)含有量:9.0重量
%、ダウケミカル「プリマコール1430、MFR=
8.7g/10分(210℃、2160g荷重)} 比較例3;エチレンーメチルメタクリレート共重合体
{メチルメタアクリル酸(MMA)含有量:18重量
%、住友化学「アクリフトWH303、MFR=12.
1g/10分(210℃、2160g荷重)} 比較例4;無水マレイン酸変性ポリエチレン{MFR=
3.6g/10分(210℃、2160g荷重)、三井
石油化学製「アドマーNF500」} 比較例5;アイオノマー{三井デュポンケミカル「ハイ
ミラン1652、MFR=7.6g/10分(210
℃、2160g荷重)} 比較例6;LDPE{三井石油化学製「ミラソンB32
4、MFR=3.4g/10分(210℃、2160g
荷重)} 比較例7;ナイロン{ナイロン6(PA−6){MFR
=7.2g/10分(230℃、2160g荷重)、宇
部興産製「UBEナイロン1022B」} 比較例8;エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物{東
ソー製「メルセンH6051」、エチレン含量89モル
%、ケン化度97%、MFR=12.1g/10分(2
30℃、2160g荷重)}
【0076】実施例13〜16 以下に示すEVOHとエチレン−(メタ)アクリル酸共
重合体を組み合わせて用いた以外は実施例1と同様にし
てサンプルを作製し試験をおこなった。このとき、用い
るEVOHとエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体の
MFRを変更することで、その比MFR(A)/MFR
(B)を調整した。評価結果は表1および表2にまとめ
て示す。 実施例13 EVOH{エチレン含量32モル%、ケン化度99.6
%、MFR=1.2g/10分(210℃、2160g
荷重)}、EMAA{メタクリル酸含有量:9重量%、
三井デュポンケミカル「ニュクレルNC0908H
G」、MFR=15.3g/10分(210℃、216
0g荷重)} 実施例14 EVOH{エチレン含量32モル%、ケン化度99.6
%、MFR=33.0g/10分(210℃、2160
g荷重)}、EMAA{メタクリル酸含有量:9重量
%、三井デュポンケミカル「ニュクレル0903HC、
MFR=5.7g/10分(210℃、2160g荷
重)} 実施例15 EVOH{エチレン含量32モル%、ケン化度99.6
%、MFR=1.2g/10分(210℃、2160g
荷重)}、EAA{アクリル酸含有量:9重量%、ダウ
ケミカル「プリマコール3440」、MFR=18.0
g/10分(210℃、2160g荷重)} 実施例16 EVOH{エチレン含量32モル%、ケン化度99.6
%、MFR=33.0g/10分(210℃、2160
g荷重)}、EAA{アクリル酸含有量:9重量%、ダ
ウケミカル「プリマコール1420」、MFR=5.6
g/10分(210℃、2160g荷重)}
【0077】実施例17 実施例1において、EVOHとEMAAの溶融混練を2
軸押出し機を用いる替わりに、1軸押出し機(プラコー
製GT−40−A:L/D=26、フルフライトタイプ
スクリュー使用)を用いてシリンダー温度をフィード下
部で190℃、混練部及びノズル付近で210℃に設定
し、押出機のローターの回転数は1500rpmで、溶
融混練しペレット化を行い、この時の押出量が1時間当
たり20kgでシリンダー内部の樹脂圧力は8kg/c
2で、このときの比エネルギーは0.1KWh/Kg
であった以外は、実施例1に同様にしてサンプルを作製
し試験をおこなった。評価結果は表1および表2にまと
めて示す。
【0078】実施例18 スクリューをフルフライトタイプスクリューから、先端
に混練部を有したタイプのスクリューに交換した以外は
実施例17と同様にしてサンプルを作製し試験をおこな
った。このとき、シリンダー内部の樹脂圧力は10kg
/cm2で、このときの比エネルギーは0.15KWh
/Kgであった。評価結果は表1および表2にまとめて
示す。
【0079】実施例19 実施例1において使用したものと同じEVOHとEMA
Aを用い、それらの混合比も同様とし、これに、可塑剤
としてグリセリンモノステアレートを8重量%添加変更
した以外は、実施例1に同様にしてサンプルを作製し試
験をおこなった。評価結果は表1および表2にまとめて
示す。
【0080】実施例20 実施例6において使用したものと同じ2種類のEVOH
とEMAAを用い、それらの混合比も同様とし、これ
に、可塑剤としてグリセリンモノステアレートを8重量
%添加変更した以外は、実施例1に同様にしてサンプル
を作製し試験をおこなった。評価結果は表1および表2
にまとめて示す。
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】
【0083】
【発明の効果】以上のように、本発明の人工肛門バッグ
は、臭気バリヤー性が良好な上、柔軟性があり、また耐
ピンホール性が優れているため、良好な装着感を実現す
るものである。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレン含量20〜60モル%、ケン化
    度90%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体6
    0〜99重量%および(メタ)アクリル酸含量1〜30
    重量%のエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体40〜
    1重量%からなり、エチレン−ビニルアルコール共重合
    体のマトリックス中にエチレン−(メタ)アクリル酸共
    重合体粒子が分散している樹脂組成物を中間層とし、熱
    可塑性樹脂からなる内外層を有する人工肛門バッグ用フ
    ィルム。
  2. 【請求項2】 エチレン−ビニルアルコール共重合体
    が、エチレン含量の異なる2種類のエチレン−ビニルア
    ルコール共重合体(a)および(b)の混合物からな
    り、(a)のエチレン含量が20〜45モル%、(b)
    のエチレン含量が45〜65モル%、(a)と(b)の
    エチレン含量の差が8モル%以上であり、かつその配合
    重量比{(a)/(b)}が2/1〜50/1である請
    求項1記載の人工肛門バッグ用フィルム。
  3. 【請求項3】 エチレン−ビニルアルコール共重合体の
    MFR(Ma)とエチレン−(メタ)アクリル酸共重合
    体のMFR(Mb)の比(Ma/Mb)が0.1〜5.
    0である請求項1または2に記載の人工肛門バッグ用フ
    ィルム。
  4. 【請求項4】 エチレン−ビニルアルコール共重合体の
    マトリックス中に分散しているエチレン−(メタ)アク
    リル酸共重合体粒子がフィルム面に平行な一軸方向に引
    き延ばされた円柱状の形状で分散しており、その一軸方
    向に垂直な面で切断したときの粒子断面の平均径が0.
    2〜1.3μmである請求項1ないし3のいずれかに記
    載の人工肛門バッグ用フィルム。
  5. 【請求項5】 樹脂組成物が可塑剤を2〜15重量%含
    む請求項1ないし4のいずれかに記載の人工肛門バッグ
    用フィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002347188A (ja) * 2001-05-17 2002-12-04 Hollister Inc ポリアミド混合物の障壁層を有する無塩素多層薄膜およびその薄膜から形成した造孔術用袋
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JP2022501211A (ja) * 2018-08-31 2022-01-06 ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー 臭気管理オストミーフィルム

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