JPH1180562A - 高減衰材料組成物 - Google Patents

高減衰材料組成物

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JPH1180562A
JPH1180562A JP26099797A JP26099797A JPH1180562A JP H1180562 A JPH1180562 A JP H1180562A JP 26099797 A JP26099797 A JP 26099797A JP 26099797 A JP26099797 A JP 26099797A JP H1180562 A JPH1180562 A JP H1180562A
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武史 野村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ベースポリマー材料に配合される誘電体物質の
材料基材表面へのブリード現象を抑制し、良好な損失正
接(tanδ)特性を維持しつつ、経時変化による減衰
性能の劣化を防止することにより、長期間にわたって安
定した減衰性能を維持することができる高減衰材料組成
物を提供すること。 【解決手段】塩素化ポリエチレン100重量%と、平均
炭素数が20〜50である塩素化パラフィン10〜15
0重量%とを配合し、更に、N,N−ジシクロヘキシル
ベンゾチアジル−2−スルフェンアミドを20〜60重
量%配合して混練し、熱プレス機により所定の型枠内で
100〜200℃の温度条件で、10分間程度加熱し成
形する。ちなみに、配合した塩素化パラフィンにより、
N,N−ジシクロヘキシルベンゾチアジル−2−スルフ
ェンアミドの配合量を少なくできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高減衰材料組成物
に関し、さらに詳しくは、音響ルームの遮音壁、建築構
造体の遮音間仕切、車両の防音壁等に適用される振動や
騒音を吸収する制振材・防音材としての高減衰材料組成
物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種の高減衰材料組成物としての高分
子系材料は、典型的な粘弾性挙動を呈するものであり、
その材料微小部が何等かの原因で振動すると、夫々の材
料微小部に、複素正弦歪(ε*)が発生し、これにより
複素正弦応力(σ*)が発生する。複素弾性係数
(E*)は、次式に示したように、これらの比をとった
ものである。 複素弾性係数(E*)=複素正弦応力
(σ*)/複素正弦歪(ε*
【0003】この複素弾性係数 (E*)の実数部は、材
料の弾性的な性質に係る貯蔵弾性係数(E’)と定義さ
れ、その虚数部は、材料の粘性的な性質に係る損失弾性
係数(E”)と定義される。損失正接(tanδ)は、
次式に示したように、これらの比をとったものである。 損失正接(tanδ)=損失弾性係数(E”)/貯蔵弾
性係数(E’)
【0004】この損失正接(tanδ)は、防音・制振
特性を決定する因子の一つであり、この値が高いほど力
学的エネルギーを電気あるいは熱エネルギーとして吸収
・放出して、優れた吸音性や制振性等の機械特性を示す
ことが知られている。高減衰材料組成物の損失正接(t
anδ)として求められる値は、0.5以上、望ましく
は、1.0以上である。ちなみに、系全体の損失係数
(η)もまた、上述した損失正接(tanδ)と同じ
く、防音・制振特性を決定する因子の一つとして挙げら
れ、この値が高いほど優れた制振性を示すことが知られ
ている。高減衰材料組成物の損失係数(η)として求め
られる値は、0.1以上である。
【0005】更に、より優れた防音・制振特性を得るた
めには、固体伝播音にあっては振動する物体からの放射
音を抑制することにより高い損失正接(tanδ)を実
現すればよく、気体伝播音にあっては低周波数領域で発
生する音を吸収することにより、10-6程度の歪に対し
て応答可能な薄膜材料を用いればよいことが見い出され
ている。
【0006】そこで、本出願人は、上記した要求特性を
満たす高い損失正接(tanδ)を示す高減衰材料組成
物として、特願平9−123387号において、誘電体
物質を所定の体積比でベースポリマー材料に分散させ、
これに熱処理工程及び成形工程等を施して得られる材料
を提案している。この高減衰材料組成物を構成する誘電
体物質として、加硫促進剤であるN,N−ジシクロヘキ
シルベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(三新化学
(株)製:商品名「サンセラーDZ」)を採用し、ベー
スポリマー材料として、塩素化ポリエチレン(昭和電工
(株)製:商品名「エラスレン401A」)を採用して
いる。
【0007】更にまた、本出願人は、この改良技術とし
て、特願平9−137665号において、上記した誘電
体物質とベースポリマー材料との混合物にフタル酸ジオ
クチルあるいはリン酸トリクレシル等の添加剤を加える
ことにより、広い温度範囲において高い損失正接(ta
nδ)を実現することができる材料を提案している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特願平
9−123387号及び特願平9−137665号にお
いて開示している、誘電体物質としてN,N−ジシクロ
ヘキシルベンゾチアジル−2−スルフェンアミドを用
い、ベースポリマー材料として塩素化ポリエチレンを用
いた高減衰材料組成物は、その損失正接(tanδ)が
経時的に変化する。
【0009】この経時変化は、高減衰材料組成物の配合
成分がそのまま結晶化することにより起こるほか、この
配合成分が減衰材料基材の表面に染み出し(ブリード)
て、これが更に結晶化を起こすことにより起こるもので
ある。これにより、高減衰材料組成物の損失正接(ta
nδ)は低下し、その減衰性能も劣化する。したがっ
て、耐用寿命を長く持たせることが必要な場合には、上
述した高減衰材料組成物では所期する性能が得られない
ことになる。
【0010】図3は、この高減衰材料組成物の損失正接
(tanδ)を、プレス直後とプレスしてから2週間を
経過した時とで比較して示したものであるが、この図に
示したように、2週間という短期間であっても、0℃〜
30℃の温度範囲で損失正接(tanδ)がかなりの割
合で減少している。特に、ピーク付近における2週間を
経過した時点での損失正接(tanδ)は、プレス直後
の損失正接(tanδ)の約2/3にまで低下してい
る。
【0011】そこで、この経時変化の原因になっている
配合成分を特定するために、次のようにして結晶データ
を収集した。まず、経時変化を起こした高減衰材料組成
物について100℃前後の温度で加熱処理を施してお
く。そして、熱処理前後のサンプルを走査型電子顕微鏡
で観察し、観察された熱処理前後のサンプルの顕微鏡写
真を撮影する。熱処理前後のサンプルの顕微鏡写真の図
示はここでは省略するが、それによれば、熱処理前のサ
ンプルには経時変化によって形成された多くの結晶が見
られたのに対し、熱処理後のサンプルではその結晶が消
失していた。
【0012】次に、熱処理前後のサンプルの密度を測定
したところ、熱処理前のサンプルの密度が1.166g
/cm3、熱処理後のサンプルの密度が1.163g/
cm3であった。これにより、熱処理後のサンプルの密
度は、熱処理前のサンプルの密度に較べて低下している
ことがわかる。これは、加熱処理により結晶のパッキン
グ構造が崩壊したことによるものと推察される。
【0013】そこで、結晶のパッキング構造の崩壊を裏
付けるために、熱処理前後のサンプルについて示差走査
熱分析(DSC)を行った。このときの分析条件は、加
熱速度が15.0℃/minである。またこの分析に
は、アルミニウムセルを用い、50ml/minの窒素
ガス雰囲気下で行った。図4にこの示差走査熱分析結果
を示すが、この図では、横軸に環境温度を、縦軸にヒー
ター発熱量をとっている。
【0014】熱処理前後のサンプルの温度特性を比較す
ると、熱処理前のサンプルは、約84℃付近で結晶の融
点であると認められる熱吸収ピークを示すが、熱処理後
のサンプルは、結晶の融点であると認められる熱吸収ピ
ークが存在せず、その温度特性が0℃〜140℃にかけ
て直線的に増加するだけである。熱吸収ピークは、結晶
の存在を裏付けるものであることから、熱処理前には存
在していた結晶が熱処理によって消失したことが判明し
た。
【0015】次に、結晶成長を引き起こす配合成分を特
定した。これについて、図5及び図6を参照して説明す
る。まず、図5は、熱処理前後のサンプルの歪み量と弾
性率(貯蔵弾性係数)E’の関係を比較して示したもの
であり、横軸に歪(μm)をとり、縦軸に弾性率E’
(×107dyn/cm2)をとっている。この図によれ
ば、5μm〜100μm程度の歪に対し、熱処理後のサ
ンプルの弾性率は、熱処理前のサンプルの弾性率の約3
/4〜3/5程度になっており、熱処理により弾性率が
低下している。
【0016】図6は、熱処理前後のサンプルの歪み量と
損失正接(tanδ)との関係を比較して示したもので
あり、横軸に歪(μm)をとり、縦軸に損失正接(ta
nδ)をとっている。この図によれば、5μm〜200
μm程度の歪に対して、熱処理によりサンプルの損失正
接(tanδ)が回復している。
【0017】以上のことから、一旦形成された結晶は、
熱処理によって溶けてその弾性率E’が下がり、これに
よりその損失正接(tanδ)が増加するものであるこ
とが推察される。
【0018】配合成分として用いた加硫促進剤(N,N
−ジシクロヘキシルベンゾチアジル−2−スルフェンア
ミド)は、一般的に遅効性の加硫促進剤として用いら
れ、この場合においては、塩素化ポリエチレンの極性側
鎖と可逆的なインターラクションを形成する減衰性添加
剤として使用されている。したがって、損失正接(ta
nδ)の経時変化は、ベースポリマー材料中の加硫促進
剤の結晶成長、あるいは、材料基材表面にブリードした
加硫促進剤の結晶成長によるものと推察される。
【0019】ちなみに損失正接(tanδ)の要求特性
は、上述したように、0.5程度であり、図3に示した
従来のものは、約10℃〜約35℃の温度範囲において
この要求特性を満たしている。しかしながら、約10℃
以下の温度範囲においては、損失正接(tanδ)の値
がきわめて低い。したがって、約10℃以下の温度環境
で使用する場合には、所期する減衰特性が得られないこ
とになる。
【0020】本発明の解決しようとする課題は、ベース
ポリマー材料に配合される誘電体物質の材料基材表面へ
のブリード現象を抑制し、良好な損失正接(tanδ)
特性を維持しつつ、経時変化による減衰性能の劣化を防
止することにより、長期間にわたって安定した減衰性能
を維持することができる高減衰材料組成物を提供するこ
とにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に本発明の高減衰材料組成物は、極性側鎖を有するベー
スポリマー材料に塩素化パラフィンを配合してなること
を要旨とするものである。
【0022】本発明の別の高減衰材料組成物は、極性側
鎖を有するベースポリマー材料にスルフェンアミド系誘
電体物質を配合し、更に、塩素化パラフィンを配合して
なることを要旨とするものである。
【0023】この場合に、極性側鎖を有する「ベースポ
リマー材料」としては、塩素化ポリエチレン系材料、ニ
トリルブタジエンゴム、クロロプレンゴム等のゴム材料
若しくは塩化ビニル系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチ
レン系エラストマー、ハロゲン化ポリマーが好適なもの
として挙げられる。
【0024】また、「塩素化パラフィン」としては、平
均分子量が300〜1500、平均炭素数が20〜50
であり、かつ、塩素化量が20〜70重量%であるもの
が好適なものとして挙げられる。塩素化パラフィンは、
平均分子量が300より小さい、あるいは、平均炭素数
が20より小さいと、ブリード現象が起こり易くなり、
一方、平均分子量が1500より大きい、あるいは、平
均炭素数が50より大きいと、可塑剤としての効果が小
さくなる。すなわち、塩素化パラフィンの添加量が少な
いと良好なtanδが維持されず、多すぎると成形品の
強度が得られない。
【0025】すなわち、塩素化パラフィンを適量配合す
れば、その可塑剤としての作用により、混練材料の加工
性が改善されるとともに、減衰材料基材の表面改質剤と
しての作用により、減衰材料基材の表面に光沢を持たせ
ることができ、さらに、金型離型性を改善することがで
きる。
【0026】更に、「塩素化量」は、20〜70重量%
であることが望ましい。塩素化パラフィンは、塩素化量
がこの範囲内にあれば、ベースポリマー材料との相溶性
が良く、一方、塩素化量が20重量%より小さい、ある
いは、塩素化量が70重量%より大きいと、ベースポリ
マー材料との相溶性が良くない。
【0027】更にまた、「スルフェンアミド系誘電体物
質」としては、N,N−ジシクロヘキシルベンゾチアジ
ル−2−スルフェンアミド、N−tert−ブチルベン
ゾチアジル−2−スルフェンアミド、N−オキシジエチ
レンベンゾチアジル−2−スルフェンアミドより選ばれ
た少なくとも1種又は2種以上のスルフェンアミド系誘
電体物質が好適なものとして挙げられる。
【0028】上記構成を有する高減衰材料組成物によれ
ば、極性側鎖を有するベースポリマー材料の鎖状分子間
に塩素化パラフィンにより結ばれた可逆的なインターラ
クションが形成されると同時に、極性側鎖を有するベー
スポリマー材料の鎖状分子間にスルフェンアミド系誘電
体物質により結ばれた可逆的なインターラクションが形
成されるので、高減衰機能が発現され、かつ、各配合成
分の結晶化や配合した誘電体物質の材料基材表面へのブ
リード現象が抑制されることになる。これにより、本発
明に係る高減衰材料組成物は、損失正接(tanδ)の
経時変化が抑制されるため、長期間にわたって優れた吸
音性や耐振性能等の機械特性を呈し、良好な減衰性能を
維持することができる。
【0029】本発明の別の高減衰材料組成物は、極性側
鎖を有するベースポリマー材料に液状ゴム材料を配合し
てなることを要旨とするものである。更に、本発明の別
の高減衰材料組成物は、極性側鎖を有するベースポリマ
ー材料にスルフェンアミド系誘電体物質を配合し、更
に、液状ゴム材料を配合してなることを要旨とするもの
である。この場合に、極性側鎖を有するベースポリマー
材料及びスルフェンアミド系誘電体物質としては、上記
したものと同一のものが好適なものとして挙げられる。
【0030】また、「液状ゴム材料」としては、平均分
子量が1000〜10000程度の液状クロロプレンゴ
ムの他、液状スチレン−ブタジエンゴム、液状アクリロ
ニトリル・ブタジエンゴム、液状ポリグリコール、液状
フッ素ゴムが好適なものとして挙げられ、この場合に、
液状ゴム材料の配合量は、5〜80重量%であることが
望ましい。液状ゴム材料は、平均分子量が1000より
小さいと、ブリード現象が起こり易く、また粘度が落ち
るため加工し難く、一方、平均分子量が10000より
大きいと、オリゴマーとしての性質が失われる。また、
成形加工前の混練材料は、液状ゴム材料の配合量が5重
量%より小さい、あるいは、80重量%より大きいと、
加工性が著しく悪くなる。
【0031】上記構成を有する高減衰材料組成物によれ
ば、極性側鎖を有するベースポリマー材料の鎖状分子間
に、平均分子量が1000〜10000程度の液状クロ
ロプレンゴムにより結ばれた可逆的なインターラクショ
ンが形成されると同時に、極性側鎖を有するベースポリ
マー材料の鎖状分子間にスルフェンアミド系誘電体物質
若しくは液状クロロプレンゴムにより結ばれた可逆的な
インターラクションが形成されるので、高減衰機能が発
現され、かつ、各配合成分の結晶化や配合した誘電体物
質の材料基材表面へのブリード現象が抑制されることに
なる。これにより、本発明に係る高減衰材料組成物は、
損失正接(tanδ)の経時変化が抑制されるため、長
期間にわたって優れた吸音性や耐振性能等の機械特性を
呈し、良好な減衰性能を維持することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を詳細に説
明する。なお、以下の説明において「重量%」とは、ベ
ースポリマー材料100重量%に対する配合成分あるい
は添加剤の重量%を意味するものである。
【0033】初めに表1は、二成分系高減衰材料組成物
に係り、ベースポリマー材料として塩素化ポリエチレン
(以下単に、「CPE材料」とする)を用い、これに誘
電体物質として塩素化パラフィンを配合した本発明品
(実施例1〜3)の材料組成及び損失係数(tanδ)
測定結果と、同じくベースポリマー材料としてCPE材
料を用い、これにスルフェンアミド系誘電体物質として
加硫促進剤であるN,N−ジシクロヘキシルベンゾチア
ジル−2−スルフェンアミド(以下単に、「DZ材料」
とする)を配合した比較品(比較例1〜4)の材料組成
及びその経時変化の測定結果とを対比して示したもので
ある。
【0034】
【表1】
【0035】本発明品(実施例1〜3)は、ベースポリ
マー材料としてのCPE材料に、昭和電工(株)製の
「エラスレン401A」(商品名)を用い、誘電体物質
としての塩素化パラフィンに、東ソー(株)製の「トヨ
パラックス」(商品名)を用いたものである。この本発
明品(実施例1〜3)は、ベースポリマー材料であるC
PE材料100重量%に対して、塩素化パラフィンを、
それぞれ、30重量%、50重量%、100重量%配合
して混練したものを、熱プレス機により所定の型枠内
で、100〜200℃の温度条件で10分程度、加熱成
形したものである。温度条件としては、塩素化ポリエチ
レンの融点以上を選択している。また、塩素化パラフィ
ンは、その平均分子量が570、平均炭素数が25、塩
素化量が40重量%であり、CPE材料との相溶性が良
い配合量を選択したものである。
【0036】一方、比較品(比較例1〜4)は、ベース
ポリマー材料としてのCPE材料に、昭和電工(株)製
の「エラスレン401A」(商品名)を用い、誘電体物
質としてのDZ材料に、三新化学工業(株)製の「サン
セラーDZ」(商品名)を用いたものである。この比較
品(比較例1〜4)は、ベースポリマー材料であるCP
E材料100重量%に対してDZ材料を、それぞれ、2
0重量%、40重量%、60重量%、100重量%配合
して混練したものを、熱プレス機により所定の型枠内
で、100〜200℃の温度条件で10分程度、加熱成
形したものである。温度条件としては、DZ材料の融点
以上を選択している。
【0037】次に、本発明品(実施例1〜3)の経時変
化前後の損失正接tanδ(以下単に「tanδ」とす
る)を、株式会社レオロジ社製のスペクトロメータを用
い、歪を10μm(一定)、周波数を15Hz(一定)
として測定した。そして、測定した経時変化前後のta
nδから、各実施例のtanδ低下率(%)を、「ta
nδ低下率(%)=((プレス直後のtanδ − プ
レス後一ヶ月経過時のtanδ)/プレス直後のtan
δ)×100」なる式により求めている。tanδ低下
率(%)(以下単に「低下率」とする)は、各実施例の
経時変化の有無及びその程度を示し、その値が小さい
程、経時変化が少なくプレス直後の減衰性能を維持して
いることを示す。すなわち、低下率は、その値が大きい
ほど、経時変化による減衰性能の劣化が激しいことを示
す。
【0038】次に、tanδ測定結果について説明す
る。表1に示したように、プレス直後において、比較品
(比較例1〜4)のtanδは、本発明品(実施例1〜
3)のtanδよりも比較的高い値を示す。そして、比
較品のtanδは、DZ材料の配合量を増やすにつれて
高くなる傾向がある。しかし、プレス後一ヶ月経過した
時点での比較品のtanδは、経時変化により低下して
おり、その低下率は、30%前後と非常に高い。
【0039】これに対し、プレス直後での本発明品(実
施例1〜3)のtanδは、比較品(比較例1〜4)の
tanδより低いが、いずれも要求特性(tanδ≧
0.5、望ましくは、tanδ≧1.0)を充分に満た
すうえ、プレス後一ヶ月経過した時点でのtanδの経
時変化による低下が少なく、その低下率は、いずれも数
%以下と非常に小さい。この低下率と塩素化パラフィン
の配合量との関係であるが、その配合量を増やすほど、
若干ではあるがその低下率が大きくなる傾向にある。し
かし、塩素化パラフィンの配合量を増やした方が、プレ
ス直後でのtanδが高くなるうえ、プレス後一ヶ月経
過した時点でのtanδも実質的に高くなる傾向にあ
る。このことから、良好なtanδの発現には、ある程
度の範囲で、塩素化パラフィンの配合量を多めにとるの
がよいと推察される。
【0040】以上説明したように、DZ材料に代えて塩
素化パラフィンを配合することは、tanδの経時変化
による大幅な低下を抑制する上できわめて有効であるこ
とが判明した。塩素化パラフィンを配合成分として用い
れば、CPE材料の極性側鎖に塩素化パラフィンが反応
し、CPE材料の鎖状分子間に塩素化パラフィンにより
結ばれた可逆的なインターラクションが形成されるた
め、高減衰機能が付与されることになる。また、tan
δの経時変化が抑制されるのは、この可逆的なインター
ラクションによって、配合成分の結晶化やブリード現象
が抑制されるからであると推察される。
【0041】以上説明したことから、本発明品(実施例
1〜3)は、そのtanδ及びtanδ低下率(%)が
要求特性を満たしたことから、いずれもきわめて良好
(◎印)と評価された。
【0042】ちなみに、図1は、本発明品(実施例1,
2)及びCPE材料単独品のtanδの温度特性を比較
して示したものである。tanδの要求特性が一般的に
0.5であることを考慮すれば、CPE材料単独品は、
約8℃〜30℃において、良好なtanδを示している
が、それでもピーク値が約16℃付近で0.998と、
若干低めである。これに対し、本発明品は、約−15℃
〜15℃付近のやや低めの温度環境で良好なtanδを
示すうえ、約−10℃〜8℃付近においては、tanδ
が1.0を超えることになる。したがって、この温度範
囲では、通常より高い減衰特性が要求される環境下で使
用しても所期する減衰特性が得られることになる。した
がって、本発明品は、比較的低温域(−10℃〜10℃
程度)での使用に適したものといえる。
【0043】次に、表2は、三成分系高減衰材料組成物
に係り、ベースポリマー材料として上記した実施例で用
いたCPE材料を用い、これに上記した比較例で示した
DZ材料を配合し、更に、同じく上記した実施例で用い
た塩素化パラフィンを配合した本発明品(実施例4〜1
0)の材料組成及びその経時変化の測定結果を示したも
のである。
【0044】
【表2】
【0045】この本発明品(実施例4〜10)は、ベー
スポリマー材料であるCPE材料100重量%に対して
DZ材料を、実施例4,6,9については20重量%、
実施例5,7,10については40重量%、実施例8に
ついては60重量%配合し、更に、CPE材料を、実施
例4,5については30重量%、実施例6〜8について
は50重量%、実施例9,10については100重量%
配合して混練したものを、熱プレス機により所定の型枠
内で、100〜200℃の温度条件で10分程度、加熱
成形したものである。温度条件としては、DZ材料の融
点以上を選択している。
【0046】次に、本発明品(実施例4〜10)の経時
変化前後のtanδを、上記した実施例1〜3の経時変
化前後のtanδを測定した手順で測定し、その低下率
を求めた。以下、この結果について説明する。
【0047】まず、DZ材料の配合量が同じである本発
明品と比較品、すなわち、実施例4,6,9と比較例1
(あるいは実施例5,7,10と比較例2、あるいは実
施例8と比較例3)とを比較すると、表1及び表2に示
したように、経時変化前後での本発明品のtanδは、
いずれも比較品のtanδよりも高い値である。したが
って、塩素化パラフィンを適量配合すれば、tanδが
高くなる。このtanδと塩素化パラフィンの配合量と
の関係であるが、実施例4,6,9(あるいは、実施例
5,7,10)のtanδの測定結果によれば、DZ材
料の配合量を一定にして、塩素化パラフィンの配合量を
増加させていくと、tanδは、それにつれて高くな
る。
【0048】また、本発明品(実施例4〜10)のta
nδは、塩素化パラフィンを多めに配合した実施例9,
10を除き、比較品に比べて経時変化による低下が少な
く、プレス後一ヶ月経過した時点でも、十数%の低下を
示したに過ぎない。この低下率と塩素化パラフィンの配
合量との関係であるが、その配合量を増やすほど、その
低下率が大きくなる傾向にある。例えば、実施例9,1
0は、その低下率が20%を超え、やや好ましくない。
しかし、ある程度の範囲内では、塩素化パラフィンの配
合量を増やした方が、プレス直後のtanδが高くなる
うえ、プレス後一ヶ月経過した時点での実質的なtan
δも高くなる傾向にある。したがって、本実施例によれ
ば、tanδが高く、かつ、その低下率もそれほど大き
くないものとして、実施例7,8あたりが挙げられよ
う。
【0049】また、プレス直後において同程度のtan
δを示す本発明品と比較品、例えば、実施例6と比較例
2の比較によれば、プレス直後での本発明品のtanδ
は、比較品のtanδよりも低いが、比較品の低下率が
34.1%と大きいため、プレス後一ヶ月を経過した時
点での本発明品のtanδは、比較品のtanδよりも
高くなっている。それにもかからわず、高いtanδの
発現に寄与するDZ材料の配合量は、本発明品の方が比
較品よりも少ない。
【0050】このことから、従来、CPE材料にDZ材
料を配合していた二成分系で、tanδを高くするため
にDZ材料を多めに配合していた分、これに代えて、塩
素化パラフィンを適量配合すれば、tanδが高くなる
うえ、その低下率も小さくなることがわかる。したがっ
て、DZ材料を配合すべき場合に、塩素化パラフィンを
適量配合すれば、ブリード現象の原因になるDZ材料の
配合量を少なめにすることができる。実施例6の低下率
が小さいのは、塩素化パラフィンの配合により、tan
δ及びその低下率が改善されたのと、DZ材料のブリー
ド現象が抑制されたことによるものと推察される。
【0051】次に、DZ材料の配合量と塩素化パラフィ
ンの配合量との関係についてであるが、塩素化パラフィ
ンをDZ材料より多めにした実施例4,6,7は、低下
率が15%台と低く、塩素化パラフィンをDZ材料より
少なめにした実施例5,8は、低下率が10%台後半
と、わずかではあるが低下率が高くなっている。一方、
実施例9,10のように、塩素化パラフィンを多めにし
すぎると、低下率が大きくなってしまう。したがって、
DZ材料と塩素化パラフィンの配合量の関係は、同等程
度が望ましいといえよう。
【0052】以上説明したことから、本発明品(実施例
4〜8)は、そのtanδ及びtanδ低下率(%)が
要求特性を満たしたことから、いずれもきわめて良好
(◎印)と評価され、本発明品(実施例9,10)は、
低下率が若干大きいことから、それぞれ、良好(○
印)、やや不良(△印)と評価された。
【0053】ちなみに、図2は、実施例2,6,7及び
比較例1,2のtanδの温度特性を比較して示したも
のである。この図に示したように、塩素化パラフィンを
50重量%配合したものは、−10℃〜10℃程度の比
較的低温域において、良好なtanδ(≧1.0)を発
現し、そのピーク値が高い。したがって、この温度範囲
では、通常より高い減衰特性が要求される環境下で使用
しても所期する減衰特性が得られることになる。
【0054】次に、表3は、二成分系及び三成分系の高
減衰材料組成物に係り、ベースポリマー材料としてニト
リルブタジエンゴム(以下単に、「NBR材料」とす
る)若しくはクロロプレンゴム(以下単に、「CR材
料」とする)を用いたものである。本発明品(実施例1
1〜12)は、ベースポリマー材料としてのNBR材料
に日本ゼオン(株)製の「ニポールDN−101L」
(商品名)を用い、本発明品(実施例13〜14)は、
ベースポリマー材料としてのCR材料に昭和電工(株)
・デュポン(株)製の「クロロプレンW」(商品名)を
用いている。配合成分として用いた塩素化パラフィン及
びDZ材料は、上記した実施例1〜10と同一のもので
ある。
【0055】
【表3】
【0056】本発明品(実施例11)は、NBR材料1
00重量%に対して、塩素化パラフィンを30重量%配
合し、本発明品(実施例12)は、同じくNBR材料1
00重量%に対して、DZ材料を20重量%配合したも
のに、更に、塩素化パラフィンを30重量%配合してお
り、いずれも、上記した工程により加熱成形したもので
ある。また、本発明品(実施例13)は、CR材料10
0重量%に対して、塩素化パラフィンを30重量%配合
し、本発明品(実施例14)は、同じくCR材料100
重量%に対して、DZ材料を20重量%配合したもの
に、更に、塩素化パラフィンを30重量%配合してお
り、やはり、上記した工程により加熱成形したものであ
る。なお、採用した温度条件は、100〜200℃×1
0分である。
【0057】そして、上記した手順により、本発明品
(実施例11〜14)の経時変化前後のtanδを測定
し、その低下率を求めたところ、表1及び表3に示した
ように、経時変化前後での本発明品(実施例11〜1
4)のtanδは、比較品(比較例1〜4)のtanδ
よりも非常に高く、その低下率もきわめて小さくなっ
た。したがって、ベースポリマー材料として、上記した
CPEに代えて、NBR材料あるいはCR材料を用いて
も、tanδ及びその低下率を改善するうえで、有効で
あることがわかる。
【0058】また、本発明品どうし、例えば、塩素化パ
ラフィンの配合量が同じである実施例11と実施例1と
を比較すると、経時変化前後での実施例11のtanδ
は、実施例1のtanδよりもきわめて高い。このとき
に実施例11の低下率は、実施例1の低下率よりも大き
くなったものの、その値は、十数%であり、要求特性を
十分に満たしている。また、塩素化パラフィン及びDZ
材料の配合量が同じである実施例12と実施例4とを比
較すると、やはり、経時変化前後での実施例12のta
nδは、実施例4のtanδよりもきわめて高い。しか
も、実施例12の低下率は、実施例4の低下率とほとん
ど同じである。以上のことから、ベースポリマー材料と
してのNBR材料は、特に、高いtanδを発現するの
に効果的であるといえる。
【0059】同様に、塩素化パラフィンの配合量が同じ
である実施例13と実施例1とを比較すると、経時変化
前後での実施例13のtanδは、実施例1のtanδ
よりもきわめて高いうえ、実施例13の低下率は、実施
例1の低下率よりも小さい。このことは、塩素化パラフ
ィン及びDZ材料の配合量が同じである実施例14と実
施例4とを比較しても同じである。以上のことから、ベ
ースポリマー材料としてのCR材料は、特に、高いta
nδを発現するのに効果的であるうえ、その低下率を抑
制するのにも効果的であるといえる。
【0060】以上説明したように、ベースポリマー材料
として、CPE材料に代えて、NBR材料あるいはCR
材料を用いれば、tanδが高くなる。これは、形成さ
れる可逆的なインターラクションがより強固なものにな
り、機械特性そのものが改善されたためと推察される。
更に、配合成分の結晶化やブリード現象も上記した実施
例と同様に抑制されると推察され、これにより、tan
δの経時変化も抑制されることになる。
【0061】以上説明したことから、本発明品(実施例
11〜14)は、そのtanδ及びtanδ低下率
(%)が要求特性を満たしたことから、いずれもきわめ
て良好(◎印)と評価された。
【0062】次に、表4は、二成分系及び三成分系の高
減衰材料組成物に係り、ベースポリマー材料として上記
したものと同じCPE材料を用い、配合成分としての液
状クロロプレンゴム(以下単に、「LCR材料」とす
る)に電気化学工業(株)製の商品名「デンカLCR
X−100」を用い、誘電体物質として、やはり上記し
たものと同じDZ材料を用いた本発明品(実施例15〜
20)の材料組成及びtanδ測定結果を示したもので
ある。
【0063】
【表4】
【0064】本発明品(実施例15,16)は、ベース
ポリマー材料であるCPE材料100重量%に対して、
LCR材料を、それぞれ、30重量%、50重量%配合
し、本発明品(実施例17〜20)は、同じくCPE1
00重量%に対して、DZ材料を、実施例17,19に
ついては20重量%、実施例18,20については40
重量%配合し、更に、LCR材料を、実施例17,18
については30重量%、実施例19,20については5
0重量%配合しており、いずれも、上記した工程により
加熱成形したものである。なお、採用した温度条件は、
170℃×10分である。
【0065】そして、上記した手順により、本発明品
(実施例15〜20)の経時変化前後のtanδを測定
し、その低下率を求めたところ、表1及び表4に示した
ように、経時変化前後での本発明品(実施例15〜2
0)のtanδは、比較品(実施例1〜4)のtanδ
よりも比較的低いが、いずれも要求特性(tanδ≧
0.5、望ましくは、tanδ≧1.0)を充分に満た
すうえ、プレス後一ヶ月経過した時点でのtanδの経
時変化による低下が少なく、特に、本発明品(実施例1
5〜17)の低下率は、数%以下と非常に小さい。
【0066】また、本発明品どうし、例えば、二成分か
らなる実施例15と実施例16、あるいは、DZ材料の
配合量が同じである三成分からなる実施例17と実施例
19(あるいは実施例18と実施例20)とを比較する
と、LCR材料の配合量を増加させると、tanδが高
くなることがわかる。また、LCR材料を配合した本発
明品(実施例15〜20)と塩素化パラフィンを配合し
た本発明品(実施例1〜14)とを比較すると、LCR
材料を配合した本発明品のtanδは、塩素化パラフィ
ンを配合した本発明品のtanδよりも比較的低いが、
低下率は、比較的抑制されているといえる。
【0067】以上説明したように、塩素化パラフィンに
代えてLCR材料を用いれば、tanδの経時変化によ
る大幅な低下を抑制する上で有効であるといえる。これ
は、LCR材料を配合成分として用いれば、CPE材料
の極性側鎖にLCR材料が反応して、CPE材料の鎖状
分子間に可逆的なインターラクションが形成されること
による。tanδの経時変化が抑制されるのは、これに
よって、配合成分の結晶化やブリード現象が抑制される
からであると推察される。
【0068】以上説明したことから、本発明品(実施例
15〜19)は、そのtanδ及びtanδ低下率
(%)が要求特性を満たしたことから、いずれもきわめ
て良好(◎印)と評価され、本発明品(実施例20)
は、低下率が若干大きいことから良好(○印)と評価さ
れた。
【0069】以上、本実施例を順番に説明したが、要す
るに、二成分系の高減衰材料組成物、すなわち、ベース
ポリマー材料であるCPE材料と第二成分としての塩素
化パラフィンを配合したものは、経時変化が少なく、長
期間にわたって安定したtanδを呈するものとなる
が、これは、主成分となるCPE材料の分子鎖中で、配
合した塩素化パラフィンにより、分子間のインターラク
ションが促進され、これにより、高減衰機能が付与され
たことによると推察される。
【0070】さらにまた、三成分系の高減衰材料組成
物、すなわち、ポリマー材料としてCPE材料を配合
し、スルフェンアミド系誘電体物質としてDZ材料を配
合し、さらに第三成分として塩素化パラフィンを配合し
たものは、経時変化が少なく、長期間にわたって安定し
たtanδを呈するものとなるが、これは、主成分とな
るCPE材料の分子鎖中で、DZ材料及び塩素化パラフ
ィンにより、分子間のインターラクションが促進され、
DZ材料の結晶化及びそのブリード現象が抑制されたこ
とによると推察される。
【0071】なお、上記実施例において使用した塩素化
パラフィンは、可塑剤としての作用もあるため、得られ
る材料の加工性が改善される。また、減衰材料基材の表
面に光沢をもたせる等、表面改質にも効果的である。さ
らに、金型離型性も改善されることになる。
【0072】本発明は、上記した実施例に何等限定され
るものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々
の改変が可能である。例えば、CPE材料(NBR材料
あるいはCR材料)に代えて、クロロスルフォン化ポリ
エチレン、エピクロルヒドリンゴム、エピクロルヒドリ
ン−エチレンオキシドゴム、塩素化天然ゴム、ニトリル
・塩化ビニルブレンドゴム、フッ化シリコーンゴム、フ
ッ化ビニリデン等のゴム材料を適用することができるほ
か、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、フッ素ゴム系
熱可塑性エラストマー、CPE材料系熱可塑性エラスト
マー等のエラストマー材料、ハロゲン化ポリマーを適用
してもよい。
【0073】さらに、DZ材料に代えて、N−tert
−ブチルベンゾチアジル−2−スルフェンアミド、N−
オキシジエチレンベンゾチアジル−2−スルフェンアミ
ド等を適用することができる。
【0074】
【発明の効果】本発明の高減衰材料組成物によれば、極
性側鎖を有するポリマー材料に塩素化パラフィンを配合
し、あるいは、極性側鎖を有するポリマー材料にスルフ
ェンアミド系誘電体物質を配合し、更に、塩素化パラフ
ィンを配合したものであるから、可逆的なインターラク
ションが形成される。したがって、高いtanδが発現
され、かつ、誘電体物質の減衰材料基材へのブリード現
象や配合成分の経時的な結晶化が抑制されることにな
る。これにより、本発明の高減衰材料組成物は、優れた
吸音性や耐振動性等の機械特性を示し、長期間にわたっ
て安定した減衰性能を発揮することができる。
【0075】さらに、本発明の他の高減衰材料組成物で
ある極性側鎖を有するポリマー材料に液状クロロプレン
ゴム材料を配合し、あるいは、極性側鎖を有するポリマ
ー材料にスルフェンアミド系誘電体物質を配合し、更
に、液状クロロプレンゴムを配合したものによっても、
同様に、可逆的なインターラクションが形成され、ta
nδの経時変化が抑制され、長期間にわたって安定した
減衰性能を発揮することができる。このような高減衰材
料組成物は、音響ルームの遮音壁、建築構造体の遮音間
仕切、車両の防音壁等、幅広い分野に適用することがで
き、一般公衆への幅広い普及が望まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る高減衰材料組成物(C
PE+塩素化パラフィン)と従来の高減衰材料組成物の
プレス直後のサンプルのtanδを比較して示した図で
ある。
【図2】同じく本発明の一実施例に係る高減衰材料組成
物(CPE+DZ+塩素化パラフィン)のプレス直後の
サンプルのtanδと従来の高減衰材料組成物のプレス
直後のサンプルのtanδとを比較して示した図であ
る。
【図3】従来一般的に知られる高減衰材料組成物のサン
プルのtanδの環境温度特性をプレス直後とプレス後
2週間を経過した時点とで比較して示した図である。
【図4】従来一般的に知られる高減衰材料組成物のサン
プルの熱処理前後の熱分析解析データを比較して示した
図である。
【図5】従来一般的に知られる高減衰材料組成物のサン
プルの熱処理前後の歪量と弾性率との関係を比較して示
した図である。
【図6】従来一般的に知られる高減衰材料組成物のサン
プルの熱処理前後の歪量とtanδとの関係を比較して
示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 27/04 C08L 27/04 27/12 27/12 C09K 3/00 C09K 3/00 P F16F 15/08 F16F 15/08 D

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 極性側鎖を有するベースポリマー材料に
    塩素化パラフィンを配合してなることを特徴とする高減
    衰材料組成物。
  2. 【請求項2】 極性側鎖を有するベースポリマー材料に
    スルフェンアミド系誘電体物質を配合し、更に、塩素化
    パラフィンを配合してなることを特徴とする高減衰材料
    組成物。
  3. 【請求項3】 前記塩素化パラフィンは、平均分子量が
    300〜1500、平均炭素数が20〜50であり、か
    つ、塩素化量が20〜70重量%であることを特徴とす
    る請求項1又は2に記載される高減衰材料組成物。
  4. 【請求項4】 前記ベースポリマー材料は、塩素化ポリ
    エチレン系材料、ニトリルブタジエンゴム、クロロプレ
    ンゴム等のゴム材料若しくは塩化ビニル系、フッ素ゴム
    系、塩素化ポリエチレン系エラストマー、ハロゲン化ポ
    リマーより選ばれた少なくとも1種又は2種以上のベー
    スポリマー材料からなることを特徴とする請求項1、2
    又は3に記載される高減衰材料組成物。
  5. 【請求項5】 前記スルフェンアミド系誘電体物質は、
    N,N−ジシクロヘキシルベンゾチアジル−2−スルフ
    ェンアミド、N−tert−ブチルベンゾチアジル−2
    −スルフェンアミド、N−オキシジエチレンベンゾチア
    ジル−2−スルフェンアミドより選ばれた少なくとも1
    種又は2種以上のスルフェンアミド系誘電体物質からな
    ることを特徴とする請求項2、3又は4に記載される高
    減衰材料組成物。
  6. 【請求項6】 極性側鎖を有するベースポリマー材料に
    液状ゴム材料を配合してなることを特徴とする高減衰材
    料組成物。
  7. 【請求項7】 極性側鎖を有するベースポリマー材料に
    スルフェンアミド系誘電体物質を配合し、更に、液状ゴ
    ム材料を配合してなることを特徴とする高減衰材料組成
    物。
  8. 【請求項8】 前記液状ゴム材料は、平均分子量が10
    00〜10000、配合量が5〜80重量%であること
    を特徴とする請求項6又は7に記載される高減衰材料組
    成物。
  9. 【請求項9】 前記液状ゴム材料は、液状クロロプレン
    ゴム、液状スチレン−ブタジエンゴム、液状アクリロニ
    トリル・ブタジエンゴム、液状ポリグリコール、液状フ
    ッ素ゴムより選ばれた少なくとも1種又は2種以上の液
    状ゴム材料からなることを特徴とする請求項6、7又は
    8に記載される高減衰材料組成物。
  10. 【請求項10】 前記ベースポリマー材料は、塩素化ポ
    リエチレン系材料、ニトリルブタジエンゴム、クロロプ
    レンゴム等のゴム材料若しくは塩化ビニル系、フッ素ゴ
    ム系、塩素化ポリエチレン系エラストマー、ハロゲン化
    ポリマーより選ばれた少なくとも1種又は2種以上のベ
    ースポリマー材料からなることを特徴とする請求項6、
    7、8又は9に記載される高減衰材料組成物。
  11. 【請求項11】 前記スルフェンアミド系誘電体物質
    は、N,N−ジシクロヘキシルベンゾチアジル−2−ス
    ルフェンアミド、N−tert−ブチルベンゾチアジル
    −2−スルフェンアミド、N−オキシジエチレンベンゾ
    チアジル−2−スルフェンアミドより選ばれた1種又は
    2種以上のスルフェンアミド系誘電体物質からなること
    を特徴とする請求項7、8、9又は10に記載される高
    減衰材料組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2001079376A1 (fr) * 2000-04-14 2001-10-25 Sekisui Chemical Co., Ltd. Composition de resine pour materiau amortissant les vibrations, materiau anti-vibratoire, et elements insonorisants
JP2010285601A (ja) * 2009-06-04 2010-12-24 Armacell Enterprise Gmbh 防火性弾性発泡体材料
CN109401138A (zh) * 2018-10-24 2019-03-01 山西新华化工有限责任公司 多元共混橡胶涂覆织物的胶布材料
CN115368650A (zh) * 2021-05-17 2022-11-22 天津市橡胶工业研究所有限公司 耐高温、耐油柔性橡胶隔声材料及制备方法

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