JPH1178515A - 車両用窓材およびその製造方法 - Google Patents

車両用窓材およびその製造方法

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JPH1178515A
JPH1178515A JP24725697A JP24725697A JPH1178515A JP H1178515 A JPH1178515 A JP H1178515A JP 24725697 A JP24725697 A JP 24725697A JP 24725697 A JP24725697 A JP 24725697A JP H1178515 A JPH1178515 A JP H1178515A
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layer
resin plate
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meth
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JP24725697A
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Satoshi Kondo
聡 近藤
Toshihiko Higuchi
俊彦 樋口
Takashi Shibuya
崇 澁谷
Hirotsugu Yamamoto
博嗣 山本
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AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】透明樹脂板上に非常に高度な耐摩耗性を発現す
る硬化物層を形成した車両用窓材を提供する。 【解決手段】透明樹脂板10上に紫外線硬化性被覆組成
物から形成された硬化物からなる内層12とその内層1
2に接したポリシラザンに由来するシリカからなる最外
層11とが形成されてなる車両用窓材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透明樹脂板を用い
た車両用窓材およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車等の車両の窓開口部には、ガラス
板が配されて窓材を形成している。近年、自動車等の車
両の軽量化のために、窓材にガラス板の代わりに透明樹
脂板を用いることが提案されている。とりわけ芳香族ポ
リカーボネート系の透明樹脂板は、耐破壊性、透明性、
軽量性、易加工性などに優れるので、車両用窓材として
は有望な材料である。
【0003】一方、車両は屋外に晒されるため、車両用
窓材には種々の外的要因に対する耐久性が要求される。
特に、車両洗浄時に代表されるように、車両用窓材に
は、その表面に種々の擦れ等の外力が加わる。そのた
め、車両用窓材には高い耐磨耗性能が求められる。透明
樹脂板は、ガラス板の代わりに使用するにはその表面の
硬度が充分ではなく、傷つきやすく磨耗しやすいことか
ら透明性が損なわれやすい。このため、車両用窓材とし
て透明樹脂板を用いるには限界があった。
【0004】そこで、車両窓用として提案されている透
明樹脂板には、通常耐磨耗性のハードコート層が透明樹
脂板の表面に積層されている。これによって、ある程度
の耐磨耗性を有する窓材が得られる。ところで、通常車
両用窓材は湾曲形状を呈しているため、透明樹脂板は曲
げ加工されることが多い。そのために、透明樹脂板に積
層されるハードコート層は、上記の曲げ加工に耐えうる
材料から形成することが求められる。このように、車両
用の透明樹脂板を用いた窓材には、耐磨耗性や曲げ加工
容易性等の厳しい制約が課せられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来、芳香族ポリカー
ボネート系の透明樹脂板の耐擦傷性や耐磨耗性を改良す
るために多くの試みがなされてきた。最も一般的な方法
の一つに分子中にアクリロイル基等の重合性官能基を2
個以上有する重合硬化性化合物を樹脂板に塗布し、熱ま
たは紫外線等の活性エネルギー線により硬化させ、耐擦
傷性に優れた透明硬化物層を有する樹脂板を得る方法が
ある。この方法は、被覆用の組成物も比較的安定で、特
に紫外線硬化が可能であるため生産性に優れ、樹脂板を
曲げ加工する場合でも硬化被膜にクラックが発生するこ
とがなく表面の耐擦傷性や耐磨耗性を改善できる。しか
し、硬化被膜が有機物のみからなるため表面の耐擦傷性
の発現レベルには限界がある。
【0006】一方、より高い表面硬度を基材に付与させ
るための方法として、金属アルコキシドを樹脂板に塗布
し熱により硬化させる方法がある。金属アルコキシドと
してはケイ素系の化合物が広く用いられており、耐磨耗
性に優れた硬化被膜を形成できる。しかし、硬化被膜と
基材との密着性に乏しいため、硬化被膜の剥離やクラッ
クを生じやすい等の欠点があった。
【0007】これらの技術の欠点を改良する方法とし
て、アクリロイル基を有する化合物とコロイド状シリカ
の混合物を樹脂板に塗布し、紫外線等の活性エネルギー
線により硬化させ、耐擦傷性に優れた透明硬化物層を形
成する方法(特開昭61−181809)がある。コロ
イド状シリカと重合硬化性化合物との併用により、かな
り高い表面硬度と生産性を両立させうる。しかし、まだ
その表面耐擦傷性の発現レベルにおいて先の金属アルコ
キシドを基材に塗布し熱により硬化させる方法には劣っ
ていた。
【0008】また、前記ケイ素系金属アルコキシド化合
物の代わりにポリシラザンを用いる、すなわち、ポリシ
ラザンを基材に塗布し熱等により硬化させる方法も知ら
れている(特開平8−143689)。ポリシラザンは
酸素の存在下で縮合反応や酸化反応が起こり、窒素原子
を含むこともあるシリカ(二酸化ケイ素)に変化すると
考えられており、最終的には実質的に窒素原子を含まな
いシリカの被膜が形成される。ポリシラザンに由来する
シリカの被膜は高い表面硬度を有する。しかし、この被
膜は金属アルコキシドによる場合と同様に被膜と樹脂板
との密着性に乏しいため、被膜の剥離やクラックを生じ
やすい等の欠点がある。
【0009】さらに、プラスチックフィルム上に保護被
膜を形成し、その表面にポリシラザン溶液を塗工してシ
リカの表面層を形成する方法(特開平9−39161)
も提案されている。保護被膜はプラスチックフィルムが
ポリシラザン溶液の溶媒に侵されることを防ぐために設
けられている。
【0010】ポリシラザン等から形成されるシリカの層
の表面は耐磨耗性を有することが知られている。しか
し、本発明者はこのシリカ層の表面の耐磨耗性や耐擦傷
性などの表面特性はその下層の材質により変化すること
を見いだした。この原因はシリカ層とその下層との密着
性やその下層のシリカ層に接する表面の耐磨耗性に影響
されることにあると考えられる。
【0011】このように、従来から透明樹脂板に課せら
れる耐磨耗性や易加工性等の要求に応えるために、透明
樹脂板表面に積層される種々のハードコート層が提案さ
れているが、未だに車両用途に求められる性能を備えた
窓材は知られていない。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者はより高い表面
特性のシリカ層表面を与える下層の材質について検討し
た結果、特定の材質と表面特性を有する下層の材料を見
いだした。この下層の材料はシリカ層と高い密着性を有
し、透明樹脂板とも充分な密着性を有するものである。
すなわち、最外層は無機物の被膜であるにもかかわら
ず、内層に対して、および結果的に透明樹脂板に対し
て、充分密着し、ガラスと同等ないしそれに近い表面耐
磨耗性を有した透明硬化物層を有する透明合成樹脂成形
品を見いだした。本発明はこの成形品を用いた車両用窓
材およびその製造方法にかかわる下記発明である。
【0013】透明樹脂板と、該透明樹脂板に積層された
第1のハードコート層とを有し、第1のハードコート層
が2層以上の透明硬化物層から形成され、該2層以上の
透明硬化物層のうち、最外層がポリシラザンを含む被覆
組成物の硬化物であるシリカ層であり、最外層に接する
内層が耐摩耗性の層である車両用窓材。
【0014】透明樹脂板と、該透明樹脂板に積層された
第1のハードコート層とを有する車両用窓材において、
第1のハードコート層は2層以上の透明硬化物層から形
成されていて、該2層以上の透明硬化物層のうち最外層
に接する内層が活性エネルギー線硬化性の重合性官能基
を2個以上有する多官能性化合物(a)を含む被覆組成
物(A)の硬化物である耐摩耗性の層であり、最外層が
実質的に有機基を含まないシリカを形成しうる被覆組成
物(B)の硬化物であるシリカ層であることを特徴とす
る車両用窓材。
【0015】透明樹脂板と、該透明樹脂板の両面にそれ
ぞれ積層された第1および第2のハードコート層とを有
する車両用窓材において、第1のハードコート層は2層
以上の透明硬化物層から形成され、該2層以上の透明硬
化物層のうち、最外層に接する内層が、JIS−R32
12で定める耐摩耗試験の供試体回転回数を100回と
した場合における、内層を形成した透明樹脂板の内層側
の面の摩耗後の曇価(%)と摩耗前の曇価(%)との差
が15(%)以下である耐摩耗性を有し、車両用窓材に
おける第1のハードコート層側の面がJIS−R321
2に定める耐磨耗試験による摩耗後の曇価(%)と摩耗
前の曇価(%)との差が10(%)以下の耐磨耗性を有
することを特徴とする車両用窓材。
【0016】活性エネルギー線硬化性の重合性官能基を
2個以上有する多官能性化合物(a)を含む被覆組成物
(A)の未硬化物、部分硬化物ないし硬化物の層を透明
樹脂板に形成し、その層の表面に実質的に有機基を含ま
ないシリカを形成しうる被覆組成物(B)の未硬化物な
いし部分硬化物の層を形成した後、これらの層が形成さ
れた透明樹脂板を加熱して曲げ加工し、次いで被覆組成
物(B)の未硬化物ないし部分硬化物を、および被覆組
成物(A)の未硬化物や部分硬化物が存在する場合はそ
れを、硬化させ、最外層に被覆組成物(B)の硬化物
を、最外層に接する内層に被覆組成物(A)の硬化物で
ある耐摩耗性の層を、形成して、2層以上の透明硬化物
層から形成されたハードコート層を透明樹脂板に積層す
る、湾曲形状を呈する車両用窓材の製造方法。
【0017】本発明における第1のハードコート層(以
下、単に第1のコート層という)は2層以上の透明硬化
物層からなり、シリカの被膜である最外層が相対的に柔
らかい透明樹脂板に直接積層されているのではなく、耐
摩耗性の高い硬い透明硬化物の内層上に積層されてい
る。このため窓材に対して傷を付けようとして加えられ
た外力による最外層の変位が小さくなることで、通常の
無機質被膜が与える表面特性以上の表面特性が得られる
と考えられる。
【0018】本発明において、第1のコート層のうちの
最外層の厚さは0.05〜10μmであることが好まし
く、また、最外層に接する内層の厚さは1〜50μmで
あることが好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づき本発明をさら
に詳細に説明する。図1は、本発明の車両用窓材の一例
を示す概略断面図である。透明樹脂板10の両面には、
それぞれ第1のコート層1および第2のハードコート層
(以下、単に第2のコート層という)2が積層されてい
る。このうち、第1のコート層1は、最外層を形成する
透明硬化物層(以下、単に外層という)11と外層11
に直接接する透明硬化物層(以下、単に内層という)1
2との2層の透明硬化物層からなる。
【0020】なお、透明樹脂板(以下、単に樹脂板とい
う)と内層との間には、内層または外層と同種または異
種の透明硬化物層や他の透明合成樹脂からなる、第3の
層が存在していてもよい。たとえば、熱可塑性アクリル
樹脂などの熱可塑性樹脂の層や接着剤層が存在していて
もよい。
【0021】内層12は充分な耐摩耗性を有する。この
内層は、JIS−R3212における耐摩耗性試験と同
じ要領であって、供試体(この場合は内層が露出した積
層体)の回転回数100回後の曇価(%)と摩耗試験前
の曇価(%)との差が15(%)以下の耐摩耗性を有す
ることが好ましい。耐摩耗性試験は、樹脂板(必ずしも
樹脂板であることを要しない)に内層を形成する透明硬
化物層を積層した供試体を用いて行いうる。なお、本発
明において、耐摩耗性を、JIS−R3212における
耐摩耗性試験と同じ要領であって、供試体の回転回数を
100回、500回または1000回(1000回の場
合はJIS−R3212の規定とまったく同じ)として
測定される摩耗後の曇値(%)から摩耗前の曇値(%)
を引いた値(%)で表わす。以下、供試体の耐摩耗性
を、この摩耗後の曇値(%)から摩耗前の曇値(%)を
引いた「値(%)」で表わす。
【0022】本発明の車両用窓材自体はこの硬化物の層
の上に外層が形成されているので、この車両用窓材自体
を内層の耐摩耗性試験に供することは困難である。内層
のより好ましい耐摩耗性は、供試体の回転回数100回
で10%以下、特に5%以下、のものである。
【0023】上記の充分な耐摩耗性を有する内層12を
得るための具体的例示をすると、被覆組成物(A)の硬
化物の層を内層12に用いることがあげられる。被覆組
成物(A)の硬化物の層は、外層11と高い密着性を有
する。また、樹脂板10とも高い密着性を有する。内層
と樹脂板との間に第3の層が存在する場合、第3の層は
内層および樹脂板に対し充分な密着性を有することが好
ましい。
【0024】密着性と耐摩耗性の高い内層を得るため
に、活性エネルギー線硬化性の被覆組成物(A)として
多官能性化合物(a)を用いる。さらに高い耐摩耗性の
硬化物を得るために特定の多官能性化合物(a)を用い
ることが好ましい。好ましい特定の多官能性化合物
(a)については好ましい多官能性化合物(a)として
後述する。また、同様に高い耐摩耗性の硬化物を形成す
るために、被覆組成物(A)に平均粒径200nm以下
のコロイド状シリカを配合してコロイド状シリカを含む
硬化物を形成することも好ましい。なお、多官能性化合
物(a)を活性エネルギー線(特に紫外線)で効率よく
硬化させるために、通常、被覆組成物(A)は光重合開
始剤を含む。
【0025】被覆組成物(A)における活性エネルギー
線硬化性の重合性官能基を2個以上有する多官能性化合
物(a)は、1種類の多官能性化合物であってもよく、
また複数種類の化合物を用いてもよい。複数の場合、同
一範疇の異なる化合物であってもよく、範疇の異なる化
合物であってもよい。たとえば、それぞれがアクリルウ
レタンである異なる化合物の組み合わせであってもよ
く、一方がアクリルウレタン、他方がウレタン結合を有
しないアクリル酸エステル化合物である組み合わせであ
ってもよい。
【0026】本明細書では、アクリロイル基およびメタ
クリロイル基を総称して(メタ)アクリロイル基とい
う。(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリル
酸、(メタ)アクリレート等も表現も同様とする。
【0027】多官能性化合物(a)における活性エネル
ギー線硬化性の重合性官能基としては、(メタ)アクリ
ロイル基、ビニル基、アリル基などのα,β−不飽和基
やそれを有する基であり、(メタ)アクリロイル基また
は(メタ)アクリロイルオキシ基であることが好まし
い。さらにそのうちでも紫外線によってより重合しやす
いアクリロイル基またはアクリロイルオキシ基が好まし
い。なお、この多官能性化合物(a)は1分子中に2種
以上の重合性官能基を合計2個以上有する化合物であっ
てもよく、また同じ重合性官能基を合計2個以上有する
化合物であってもよい。多官能性化合物(a)1分子中
における重合性官能基の数は2個以上であり、その上限
は特に限定されない。通常は2〜50個が適当であり、
特に3〜30個が好ましい。
【0028】多官能性化合物(a)として好ましい化合
物は(メタ)アクリロイル基を2個以上有する化合物で
ある。そのうちでも(メタ)アクリロイルオキシ基を2
個以上有する化合物、すなわち多価アルコールなどの2
個以上の水酸基を有する化合物と(メタ)アクリル酸と
のポリエステル、が好ましい。
【0029】被覆組成物(A)において、多官能性化合
物(a)として2種以上の多官能性化合物(a)が含ま
れていてもよい。また、多官能性化合物(a)ととも
に、活性エネルギー線によって重合しうる重合性官能基
を1個有する単官能性化合物が含まれていてもよい。こ
の単官能性化合物としては(メタ)アクリロイル基を有
する化合物が好ましく、特にアクリロイル基を有する化
合物が好ましい。
【0030】被覆組成物(A)においてこの単官能性化
合物を使用する場合、多官能性化合物(a)とこの単官
能性化合物との合計に対するこの単官能性化合物の割合
は、特に限定されないが0〜60重量%が適当である。
単官能性化合物の割合が多すぎると硬化塗膜の硬さが低
下し耐磨耗性が不充分となるおそれがある。多官能性化
合物(a)とこの単官能性化合物との合計に対する単官
能性化合物のより好ましい割合は0〜30重量%であ
る。
【0031】多官能性化合物(a)としては、重合性官
能基以外に種々の官能基や結合を有する化合物であって
もよい。たとえば、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン
原子、ウレタン結合、エーテル結合、エステル結合、チ
オエーテル結合、アミド結合、ジオルガノシロキサン結
合などを有していてもよい。特に、ウレタン結合を有す
る(メタ)アクリロイル基含有化合物(いわゆるアクリ
ルウレタン)とウレタン結合を有しない(メタ)アクリ
ル酸エステル化合物が好ましい。以下これら2種の多官
能性化合物(a)について説明する。
【0032】ウレタン結合を有する(メタ)アクリロイ
ル基含有化合物(以下アクリルウレタンという)には、
たとえば以下のものなどがある。 (1)(メタ)アクリロイル基と水酸基を有する化合物
(X1)と2個以上のイソシアネート基を有する化合物
(以下ポリイソシアネートという)との反応生成物。 (2)化合物(X1)と2個以上の水酸基を有する化合
物(X2)とポリイソシアネートとの反応生成物。 (3)(メタ)アクリロイル基とイソシアネートを有す
る化合物(X3)と化合物(X2)との反応生成物。
【0033】これらの反応生成物においては、イソシア
ネート基が存在しないことが好ましい。しかし、水酸基
は存在してもよい。したがって、これらの反応生成物の
製造においては、全反応原料の水酸基の合計モル数はイ
ソシアネート基の合計モル数と等しいかそれより多いこ
とが好ましい。
【0034】化合物(X1)としては、(メタ)アクリ
ロイル基と水酸基をそれぞれ1個ずつ有する化合物であ
ってもよく、(メタ)アクリロイル基2個以上と水酸基
1個を有する化合物、(メタ)アクリロイル基1個と水
酸基2個以上を有する化合物、(メタ)アクリロイル基
と水酸基をそれぞれ2個以上有する化合物であってもよ
い。具体例として、上記順に、たとえば、2−ヒドロキ
シエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパ
ンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモ
ノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メ
タ)アクリレートなどがある。これらは2個以上の水酸
基を有する化合物と(メタ)アクリル酸とのモノエステ
ルまたは1個以上の水酸基を残したポリエステルであ
る。
【0035】さらに化合物(X1)としては、エポキシ
基を1個以上有する化合物と(メタ)アクリル酸との開
環反応生成物であってもよい。エポキシ基と(メタ)ア
クリル酸との反応によりエポキシ基が開環してエステル
結合が生じるとともに水酸基が生じ、(メタ)アクリロ
イル基と水酸基を有する化合物となる。またエポキシ基
を1個以上有する化合物のエポキシ基を開環させて水酸
基含有化合物としそれを(メタ)アクリル酸エステルに
変換することもできる。
【0036】エポキシ基を1個以上有する化合物として
は、いわゆるエポキシ樹脂と呼ばれているポリエポキシ
ドが好ましい。ポリエポキシドとしては、たとえば多価
フェノール類−ポリグリシジルエーテル(たとえばビス
フェノールA−ジグリシジルエーテル)などのグリシジ
ル基を2個以上有する化合物や脂環族エポキシ化合物が
好ましい。さらに、エポキシ基を有する(メタ)アクリ
レートと水酸基やカルボキシル基を有する化合物との反
応生成物も化合物(X1)として使用できる。エポキシ
基を有する(メタ)アクリレートとしては、たとえばグ
リシジル(メタ)アクリレートがある。
【0037】化合物(X1)の上記以外の具体例として
は、たとえば以下の化合物がある。2−ヒドロキシプロ
ピル(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオール
モノ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモ
ノ(メタ)アクリレート、2−ブテン−1,4−ジオー
ルモノ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオー
ルモノ(メタ)アクリレート、グリシドールジ(メタ)
アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アク
リレート、ジペンタエリスリトールモノ(ないしペン
タ)(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモ
ノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモ
ノ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA−ジグリシ
ジルエーテルと(メタ)アクリル酸との反応生成物。
【0038】ポリイソシアネートとしては、通常の単量
体状のポリイソシアネートでもよく、ポリイソシアネー
トの多量体や変性体またはイソシアネート基含有ウレタ
ンプレポリマーなどのプレポリマー状の化合物であって
もよい。多量体としては3量体(イソシアヌレート変性
体)、2量体、カルボジイミド変性体などがあり、変性
体としてはトリメチロールプロパン等の多価アルコール
で変性して得られるウレタン変性体、ビュレット変性
体、アロハネート変性体、ウレア変性体などがある。プ
レポリマー状のものの例としては、後述ポリエーテルポ
リオールやポリエステルポリオールなどのポリオールと
ポリイソシアネートとを反応させて得られるイソシアネ
ート基含有ウレタンプレポリマーなどがある。これらポ
リイソシアネートは2種以上併用して使用できる。
【0039】具体的な単量体状のポリイソシアネートと
しては、たとえば、以下のポリイソシアネートがある
([ ]内は略称)。2,6−トリレンジイソシアネー
ト、2,4−トリレンジイソシアネート、メチレンビス
(4−フェニルイソシアネート)[MDI]、1,5−
ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネー
ト、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイ
ソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、トラ
ンス−シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キ
シリレンジイソシアネート[XDI]、水添XDI、水
添MDI、リジンジイソシアネート、テトラメチルキシ
レンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイ
ソシアネート、リジントリイソシアネート、1,6,1
1−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシ
アネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,
3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロ
ヘプタントリイソシアネート。
【0040】ポリイソシアネートとしては特に無黄変性
ポリイソシアネート(芳香核に直接結合したイソシアネ
ート基を有しないポリイソシアネート)が好ましい。具
体的にはヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族
ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなど
の脂環族ポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネ
ートなどの芳香族ポリイソシアネートがある。上記のよ
うにこれらポリイソシアネートの多量体や変性体等も好
ましい。
【0041】化合物(X2)としては、多価アルコール
や多価アルコールに比較して高分子量のポリオールなど
がある。多価アルコールとしては、2〜20個の水酸基
を有する多価アルコールが好ましく、特に2〜15個の
水酸基を有する多価アルコールが好ましい。多価アルコ
ールは脂肪族の多価アルコールであってもよく、脂環族
多価アルコールや芳香核を有する多価アルコールであっ
てもよい。
【0042】芳香核を有する多価アルコールとしてはた
とえば多価フェノール類のアルキレンオキシド付加物や
多価フェノール類−ポリグリシジルエーテルなどの芳香
核を有するポリエポキシドの開環物などがある。高分子
量のポリオールとしてはポリエーテルポリオール、ポリ
エステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオー
ル、ポリカーボネートポリオールなどがある。また、ポ
リオールとして水酸基含有ビニルポリマーをも使用でき
る。これら多価アルコールやポリオールは2種以上併用
できる。
【0043】多価アルコールの具体例としてはたとえば
以下の多価アルコールがある。エチレングリコール、
1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオ
ール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコー
ル、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコー
ル、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオー
ル、シクロヘキサンジオール、ジメチロールシクロヘキ
サン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエ
リスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエ
リスリトール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシ
アヌレート、トリス(2−ヒドロキシプロピル)イソシ
アヌレート、3,9−ビス(ヒドロキシメチル)−2,
4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカ
ン、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチル
エチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ
[5.5]ウンデカン、ビスフェノールA−ジグリシジ
ルエーテルの開環物、ビニルシクロヘキセンジオキシド
の開環物。
【0044】ポリオールの具体例としてはたとえば以下
のポリオールがある。ポリエチレングリコール、ポリプ
ロピレングリコール、ビスフェノールA−アルキレンオ
キシド付加物、ポリテトラメチレングリコール等のポリ
エーテルポリオール。ポリブタジエンジオール、水添ポ
リブタジエンジオール等の脂肪族ポリオール。ポリε−
カプロラクトンポリオール。アジピン酸、セバシン酸、
フタル酸、マレイン酸、フマル酸、アゼライン酸、グル
タル酸等の多塩基酸と上記多価アルコールとの反応で得
られるポリエステルポリオール。1,6−ヘキサンジオ
ールとホスゲンの反応で得られるポリカーボネートジオ
ール。
【0045】水酸基含有ビニルポリマーとしてはたとえ
ばアリルアルコール、ビニルアルコール、ヒドロキシア
ルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキル(メタ)ア
クリレートなどの水酸基含有単量体とオレフィンなどの
水酸基不含単量体との共重合体がある。
【0046】化合物(X3)としては、2−イソシアネ
ートエチル(メタ)アクリレート、メタクリロイルイソ
シアネート、3−または4−イソプロペニル−α,α−
ジメチルベンジルイソシアネートなどがある。
【0047】次に、ウレタン結合を有しない(メタ)ア
クリル酸エステル化合物について説明する。多官能性化
合物(a)として好ましいウレタン結合を有しない(メ
タ)アクリル酸エステル化合物としては、化合物(X
2)と同様の2個以上の水酸基を有する化合物と(メ
タ)アクリル酸とのポリエステルが好ましい。2個以上
の水酸基を有する化合物としては前記多価アルコールや
ポリオールが好ましい。さらに、2個以上のエポキシ基
を有する化合物と(メタ)アクリル酸との反応生成物で
ある(メタ)アクリル酸エステル化合物も好ましい。
【0048】2個以上のエポキシ基を有する化合物とし
てはエポキシ樹脂と呼ばれているポリエポキシドがあ
る。たとえば、グリシジルエーテル型ポリエポキシド、
脂環型ポリエポキシドなどのエポキシ樹脂として市販さ
れているものを使用できる。
【0049】具体的にはたとえば以下のようなポリエポ
キシドがある。ビスフェノールA−ジグリシジルエーテ
ル、ビスフェノールF−ジグリシジルエーテル、テトラ
ブロモビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、グリ
セリントリグリシジルエーテル、ノボラックポリグリシ
ジルエーテル、ビニルシクロヘキセンジオキシド、ジシ
クロペンタジエンジオキシド。
【0050】ウレタン結合を含まない多官能性化合物
(a)の具体例としてはたとえば以下のような化合物が
ある。以下の脂肪族多価アルコールの(メタ)アクリレ
ート。1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレー
ト、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、
1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、炭
素数14〜15の長鎖脂肪族ジオールのジ(メタ)アク
リレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレ
ート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジ
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロ
ールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メ
タ)アクリレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリ
レート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレ
ート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリ
レート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレー
ト、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレー
ト、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレー
ト、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレー
ト、ネオペンチルグリコールとトリメチロールプロパン
との縮合物からなるジオールのジ(メタ)アクリレー
ト。
【0051】以下の芳香核またはトリアジン環を有する
多価アルコールや多価フェノールの(メタ)アクリレー
ト。トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)
イソシアヌレート、ビス(2−(メタ)アクリロイルオ
キシエチル)−2−ヒドロキシエチルイソシアヌレー
ト、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシプロピ
ル)イソシアヌレート、ビス(2−(メタ)アクリロイ
ルオキシエチル)ビスフェノールA、ビス(2−(メ
タ)アクリロイルオキシエチル)ビスフェノールS、ビ
ス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ビスフェ
ノールF、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエ
チル)イソシアヌレート、ビスフェノールAジメタクリ
レート。
【0052】以下の水酸基含有化合物−アルキレンオキ
シド付加物の(メタ)アクリレート、水酸基含有化合物
−カプロラクトン付加物の(メタ)アクリレート、ポリ
オキシアルキレンポリオールの(メタ)アクリレート。
ただし、EOはエチレンオキシド、POはプロピレンオ
キシドを表し、[ ]内はポリオキシアルキレンポリオ
ールの分子量を表す。トリメチロールプロパン−EO付
加物のトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロ
パン−PO付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリエ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリス
リトール−カプロラクトン付加物のヘキサ(メタ)アク
リレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌ
レート−カプロラクトン付加物のトリ(メタ)アクリレ
ート、ポリエチレングリコール[200〜1000]ジ
(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール[2
00〜1000]ジ(メタ)アクリレート、トリス(2
−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート−カプロラクト
ン付加物のトリ(メタ)アクリレート。
【0053】下記(メタ)アクリロイル基を有するカル
ボン酸エステルやリン酸エステル。ビス(アクリロイル
オキシネオペンチルグリコール)アジペート、ヒドロキ
シピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルのジ(メ
タ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチル
グリコールエステル−カプロラクトン付加物のジ(メ
タ)アクリレート、ビス(2−(メタ)アクリロイルオ
キシエチル)ホスフェート、トリス(2−(メタ)アク
リロイルオキシエチル)ホスフェート。
【0054】下記ポリエポキシドの(メタ)アクリル酸
付加物(ただし、ポリエポキシドのエポキシ基1個あた
り1分子の(メタ)アクリル酸が付加したもの)、およ
びグリシジル(メタ)アクリレートと多価アルコールも
しくは多価カルボン酸との反応生成物(ただし、多価ア
ルコール等の1分子あたりグリシジル(メタ)アクリレ
ート2分子以上反応したもの)。ビスフェノールA−ジ
グリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物、ビニ
ルシクロヘキセンジオキシド−(メタ)アクリル酸付加
物、ジシクロペンタジエンジオキシド−(メタ)アクリ
ル酸付加物、グリシジル(メタ)アクリレートとエチレ
ングリコールの反応生成物、グリシジル(メタ)アクリ
レートとプロピレングリコールの反応生成物、グリシジ
ル(メタ)アクリレートとジエチレングリコールの反応
生成物、グリシジル(メタ)アクリレートと1,6−ヘ
キサンジオールの反応生成物、グリシジル(メタ)アク
リレートとグリセロールの反応生成物、グリシジル(メ
タ)アクリレートとトリメチロールプロパンの反応生成
物、グリシジル(メタ)アクリレートとフタル酸の反応
生成物。
【0055】上記のような(メタ)アクリレート類でか
つ未反応の水酸基を有している化合物のアルキルエーテ
ル化物、アルケニルエーテル化物、カルボン酸エステル
化物など(以下、変性物ともいう)で、下記のような化
合物。アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メ
タ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトー
ルテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタ
エリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ビニルシク
ロヘキセンジオキシド−(メタ)アクリル酸付加物のア
リルエーテル化物、ビニルシクロヘキセンジオキシド−
(メタ)アクリル酸付加物のメチルエーテル化物、ステ
アリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレ
ート。
【0056】多官能性化合物(a)としては、被覆組成
物(A)の硬化物が充分な耐摩耗性を発揮しうるため
に、少なくともその一部(好ましくは30重量%以上)
が3官能以上の多官能性化合物(a)からなることが好
ましい。好ましくはその50重量%以上が3官能以上の
多官能性化合物(a)からなる。また、具体的な好まし
い多官能性化合物(a)は下記のアクリルウレタンとウ
レタン結合を有しない多官能性化合物(a)である。
【0057】アクリルウレタンの場合、ペンタエリスリ
トールやその多量体であるポリペンタエリスリトールと
ポリイソシアネートとヒドロキシアルキル(メタ)アク
リレート)の反応生成物であるアクリルウレタン、また
はペンタエリスリトールやポリペンタエリスリトールの
水酸基含有ポリ(メタ)アクリレートとポリイソシアネ
ートとの反応生成物であるアクリルウレタンであって3
官能以上(好ましくは4〜20官能)の化合物が好まし
い。
【0058】ウレタン結合を有しない多官能性化合物
(a)としては、ペンタエリスリトール系ポリ(メタ)
アクリレートとイソシアヌレート系ポリ(メタ)アクリ
レートが好ましい。ペンタエリスリトール系ポリ(メ
タ)アクリレートとは、ペンタエリスリトールやポリペ
ンタエリスリトールと(メタ)アクリル酸とのポリエス
テル(好ましくは4〜20官能のもの)をいう。イソシ
アヌレート系ポリ(メタ)アクリレートとは、トリス
(ヒドロキシアルキル)イソシアヌレートまたはその1
モルに1〜6モルのカプロラクトンやアルキレンオキシ
ドを付加して得られる付加物と(メタ)アクリル酸との
ポリエステル(2〜3官能のもの)をいう。
【0059】これら好ましい多官能性化合物(a)と他
の2官能以上の多官能性化合物(a)(特に多価アルコ
ールのポリ(メタ)アクリレート)とを併用することも
好ましい。これら好ましい多官能性化合物(a)は全多
官能性化合物(a)に対して30重量%以上、特に50
重量%以上が好ましい。
【0060】多官能性化合物(a)とともに使用できる
単官能性化合物としては、たとえば分子中に1個の(メ
タ)アクリロイル基を有する化合物が好ましい。そのよ
うな単官能性化合物は、水酸基、エポキシ基などの官能
基を有していてもよい。好ましい単官能性化合物は(メ
タ)アクリル酸エステル、すなわち(メタ)アクリレー
トである。
【0061】具体的な単官能性化合物としてはたとえば
以下の化合物がある。メチル(メタ)アクリレート、エ
チル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレー
ト、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メ
タ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリ
レート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル
(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリ
レート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、
2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシ
ジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル
(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレー
ト、1,4−ブチレングリコールモノ(メタ)アクリレ
ート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル
グリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物。
【0062】内層の耐摩耗性や硬度を高める意味で、組
成物(A)は有効量の平均粒径200nm以下のコロイ
ド状シリカを含むことができる。コロイド状シリカの平
均粒径は1〜100nmであることが好ましく、特に1
〜50nmが好ましい。コロイド状シリカはまた下記表
面修飾されたコロイド状シリカであることが、コロイド
状シリカの分散安定性およびコロイド状シリカと多官能
性化合物(a)との密着性向上の面で好ましい。
【0063】これらコロイド状シリカを使用する場合、
その使用する効果を充分発揮するためにはコロイド状シ
リカの量は、内層の硬化性成分(多官能性化合物(a)
と単多官能性化合物(a)の合計)100重量部に対し
て5重量部以上が適当であり、10重量部以上が好まし
い。この量が少ない場合には充分な耐摩耗性が得られ難
い。また多すぎると被膜に曇り(ヘーズ)が発生しやす
くなり、また得られた車両用窓材を熱曲げ加工などの2
次加工を行う場合にはクラックが生じやすくなるなどの
問題を生じやすくなる。したがって、内層におけるコロ
イド状シリカ量の上限は硬化性成分100重量部に対し
て300重量部であることが好ましい。より好ましいコ
ロイド状シリカの量は硬化性成分100重量部に対して
50〜250重量部である。
【0064】コロイド状シリカとしては表面未修飾のコ
ロイド状シリカを使用できるが、好ましくは表面修飾さ
れたコロイド状シリカを使用する。表面修飾されたコロ
イド状シリカの使用は組成物中のコロイド状シリカの分
散安定性を向上させる。修飾によってコロイド状シリカ
微粒子の平均粒径は実質的に変化しないか多少大きくな
ると考えられるが、得られる修飾コロイド状シリカの平
均粒径は上記範囲のものであると考えられる。以下表面
修飾されたコロイド状シリカ(以下単に修飾コロイド状
シリカという)について説明する。
【0065】修飾コロイド状シリカの原料となる未修飾
のコロイド状シリカは酸性または塩基性の分散体形態で
入手できる。いずれの形態でも使用できるが、塩基性コ
ロイド状シリカを使用する場合は内層の硬化組成物がゲ
ル化しないように、またシリカがコロイド分散系から沈
殿しないように、有機酸の添加のような手段によって分
散体を酸性にすることが好ましい。
【0066】コロイド状シリカの分散媒としては種々の
分散媒が知られており、原料コロイド状シリカの分散媒
は特に限定されない。必要により分散媒を変えて修飾を
行うことができ、また修飾後に分散媒を変えることもで
きる。修飾コロイド状シリカの分散媒はそのまま樹脂板
に直接接する内層の硬化組成物の媒体(溶媒)とするこ
とが好ましい。樹脂板に直接接する内層の硬化組成物の
媒体としては、乾燥性などの面から比較的低沸点の溶
媒、すなわち通常の塗料用溶媒、であることが好まし
い。
【0067】製造の容易さなどの理由により、原料コロ
イド状シリカの分散媒、修飾コロイド状シリカの分散媒
および内層の硬化組成物の媒体はすべて同一の媒体(溶
媒)であることが好ましい。このような媒体としては、
塗料用溶媒として広く使用されているような有機媒体が
好ましい。
【0068】分散媒としては、たとえば以下のような分
散媒を使用できる。水。メタノール、エタノール、イソ
プロパノール、n−ブタノール、2−メチルプロパノー
ル、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エ
チレングリコールのような低級アルコール類。メチルセ
ロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセ
ロソルブ類。ジメチルアセトアミド、トルエン、キシレ
ン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトンな
ど。
【0069】前記のように分散媒としては有機分散媒が
好ましく、上記有機分散媒のうちではさらにアルコール
類およびセロソルブ類が好ましい。なお、コロイド状シ
リカとそれを分散させている分散媒との一体物をコロイ
ド状シリカ分散液という。
【0070】コロイド状シリカの修飾は加水分解性ケイ
素基または水酸基が結合したケイ素基を有する化合物
(以下これらを修飾剤という)を用いて行うことが好ま
しい。加水分解性ケイ素基の加水分解によってシラノー
ル基が生じ、これらシラノール基がコロイド状シリカ表
面に存在すると考えられるシラノール基と反応して結合
し、修飾剤がコロイド状シリカ表面に結合すると考えら
れる。修飾剤は2種以上を併用してもよい。また後述の
ように互いに反応性の反応性官能基を有する修飾剤2種
をあらかじめ反応させて得られる反応生成物を修飾剤と
して用いることもできる。
【0071】修飾剤は2個以上の加水分解性ケイ素基や
シラノール基を有していてもよく、また加水分解性ケイ
素基を有する化合物の部分加水分解縮合物やシラノール
基を有する化合物の部分縮合物であってもよい。好まし
くは1個の加水分解性ケイ素基を有する化合物を修飾剤
として使用する(修飾処理過程で部分加水分解縮合物が
生じてもよい)。また、修飾剤はケイ素原子に結合した
有機基を有し、その有機基の1個以上は反応性官能基を
有する有機基であることが好ましい。
【0072】好ましい修飾剤は下記式1で表される化合
物である。 Y3-n −SiR1 n2 ・・・式1 ただし、Yは加水分解性基、R1 は反応性官能基を有し
ない1価の有機基、R2 は反応性官能基を有する1価の
有機基、nは0、1または2を表す。
【0073】Yで表される加水分解性基としては、たと
えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシロキシ基、ア
ミド基、アミノ基、アミノキシ基、ケトキシメート基な
どがあり、特にアルコキシ基が好ましい。アルコキシ基
としては、炭素数4以下のアルコキシ基が好ましく、特
にメトキシ基とエトキシ基が好ましい。nは0または1
であることが好ましい。また、式1と同様に表されかつ
そのYが水酸基である化合物は上記シラノール基を有す
る化合物の例である。
【0074】R1 で表される反応性官能基を有しない1
価の有機基としては、アルキル基、アリール基、アラル
キル基などの炭素数18以下の炭化水素基が好ましい。
この炭化水素基としては、炭素数8以下の炭化水素基、
特に炭素数4以下のアルキル基が好ましい。R1 として
は特にメチル基とエチル基が好ましい。なお、ここにお
ける1価の有機基とは炭素原子によってケイ素原子に結
合する有機基をいう(R2 においても同じ)。
【0075】R2 で表される反応性官能基を有する1価
の有機基としては、反応性官能基を有するアルキル基、
アリール基、アラルキル基などの炭素数18以下の炭化
水素基が好ましい。この有機基には2以上の反応性官能
基を有していてもよい。反応性官能基としては、アミノ
基、メルカプト基、エポキシ基、イソシアネート基、重
合性不飽和基などがある。重合性不飽和基としてはR2
そのものであってもよく(たとえばビニル基)、(メ
タ)アクリロイルオキシ基やビニルオキシ基などの有機
基と結合してR2 となる重合性不飽和基であってもよ
い。またアミノ基としては1級、2級のいずれのアミノ
基であってもよく、2級アミノ基の場合その窒素原子に
結合した有機基はアルキル基、アミノアルキル基、アリ
ール基など(特に炭素数4以下のアルキル基、炭素数4
以下のアミノアルキル基およびフェニル基)が好まし
い。
【0076】好ましい反応性官能基はアミノ基、メルカ
プト基、エポキシ基および(メタ)アクリロイルオキシ
基である。反応性官能基が結合する有機基としては、反
応性官能基を除いて炭素数8以下のアルキレン基やフェ
ニレン基が好ましく、特に炭素数2〜4のアルキレン基
(とりわけポリメチレン基)が好ましい。具体的な修飾
剤としては反応性官能基の種類によって分けると、たと
えば以下のような化合物がある。
【0077】(メタ)アクリロイルオキシ基含有シラン
類;γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメト
キシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピル
トリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシ
プロピルメチルジメトキシシランなど。
【0078】アミノ基含有シラン類;γ−アミノプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキ
シシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラ
ン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルト
リメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−ア
ミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミ
ノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、
γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−(N−
ビニルベンジル−β−アミノエチル)−γ−アミノプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメ
トキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリ
メトキシシランなど。
【0079】メルカプト基含有シラン類;γ−メルカプ
トプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピ
ルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチル
ジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエ
トキシシランなど。エポキシ基含有シラン類;γ−グリ
シドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキ
シプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシ
プロピルトリエトキシシランなど。イソシアネート基含
有シラン類;γ−イソシアネートプロピルトリメトキシ
シラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラ
ンなど。
【0080】互いに反応性の反応性官能基を有する修飾
剤2種をあらかじめ反応させて得られる反応生成物とし
ては、たとえば、アミノ基含有シラン類とエポキシ基含
有シラン類との反応生成物、アミノ基含有シラン類と
(メタ)アクリロイルオキシ基含有シラン類との反応生
成物、エポキシ基含有シラン類とメルカプト基含有シラ
ン類との反応生成物、メルカプト基含有シラン類同士2
分子の反応生成物などがある。
【0081】コロイド状シリカの修飾は通常、加水分解
性基を有する修飾剤をコロイド状シリカに接触させて加
水分解することにより行う。たとえば、コロイド状シリ
カ分散液に修飾剤を添加し、コロイド状シリカ分散液中
で修飾剤を加水分解することによって修飾できる。この
場合、修飾剤の加水分解物はコロイド状シリカの微粒子
表面に化学的にまたは物理的に結合し、その表面を修飾
すると考えられる。特にコロイド状シリカ表面には通常
シラノール基が存在することより、このシラノール基が
修飾剤の加水分解で生成するシラノール基と縮合して修
飾剤の加水分解残基が結合した表面が生成すると考えら
れる。また、加水分解物自身の縮合反応が進んだものが
同様に表面に結合する場合もあると考えられる。また、
本発明においては修飾剤をある程度加水分解を行った後
にコロイド状シリカ分散液に添加して修飾を行うことも
できる。
【0082】コロイド状シリカの表面を加水分解性基を
有する修飾剤で修飾する場合、修飾剤をコロイド状シリ
カ分散液に添加混合して、系中の水または新たに加える
水により加水分解することにより、この加水分解物で表
面が修飾された修飾コロイド状シリカが得られる。修飾
剤の加水分解反応、およびコロイド状シリカ表面のシラ
ノール基と修飾剤またはその部分加水分解縮合物との反
応を効果的に促進するために触媒を存在させることが好
ましい。シラノール基を有する修飾剤で修飾する場合も
シラノール基同士の反応を促進するために触媒を存在さ
せることが好ましい。
【0083】この触媒としては、酸やアルカリがある。
好ましくは無機酸および有機酸から選ばれる酸を使用す
る。無機酸としては、たとえば塩酸、フッ化水素酸、臭
化水素酸等のハロゲン化水素酸や硫酸、硝酸、リン酸等
を使用できる。有機酸としては、ギ酸、酢酸、シュウ
酸、(メタ)アクリル酸等を使用できる。
【0084】加水分解反応を均一に進行せしめるために
通常溶媒中で反応が行われる。通常この溶媒は原料コロ
イド状シリカ分散液の分散媒である。しかし、この分散
媒以外の溶媒やこの分散媒と他の溶媒の混合溶媒であっ
てもよい。この溶媒の条件としては、修飾剤を溶解し、
水および触媒との相溶性があり、加えてコロイド状シリ
カの凝集を起こしにくいものであることが好ましい。
【0085】具体的には、水;メタノール、エタノー
ル、イソプロパノール、n−ブタノールのような低級ア
ルコール類;アセトン、メチルイソブチルケトン、メチ
ルエチルケトンのようなケトン類、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサンのようなエーテル類、メチルセロソル
ブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソル
ブ類;ジメチルアセトアミド等を挙げうる。
【0086】これらの溶媒は先に述べたコロイド状シリ
カの分散媒をそのまま用いてもよく、分散媒以外の溶媒
に置換して用いてもよい。また分散液にその分散媒以外
の溶媒を必要な量新たに加えて用いてもよい。反応温度
としては室温から用いる溶媒の沸点までの間が好まし
く、反応時間は温度にもよるが0.5〜24時間の範囲
が好ましい。
【0087】コロイド状シリカの修飾において、修飾剤
の使用量は特に限定されないが、コロイド状シリカ(分
散液中の固形分)100重量部に対し、修飾剤1〜10
0重量部が適当である。修飾剤の量が1重量部未満では
表面修飾の効果が得られにくい。また、100重量部超
では未反応の修飾剤やコロイド状シリカ表面に担持され
ていない修飾剤の加水分解物〜縮合物が多量に生じ、透
明被覆層の硬化組成物の硬化の際それらが連鎖移動剤と
して働いたり、硬化後の被膜の可塑剤として働き、硬化
被膜の硬度を低下させるおそれが生じる。
【0088】前記のように多官能性化合物(a)を硬化
させるために、通常、被覆組成物(A)は光重合開始剤
を含む。光重合開始剤としては、公知または周知のもの
を使用できる。特に入手容易な市販のものが好ましい。
内層において複数の光重合開始剤を使用してもよい。光
重合開始剤としては、アリールケトン系光重合開始剤
(たとえば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ア
ルキルアミノベンゾフェノン類、ベンジル類、ベンゾイ
ン類、ベンゾインエーテル類、ベンジルジメチルケター
ル類、ベンゾイルベンゾエート類、α−アシロキシムエ
ステル類など)、含硫黄系光重合開始剤(たとえば、ス
ルフィド類、チオキサントン類など)、アシルホスフィ
ンオキシド系光重合開始剤、その他の光重合開始剤があ
る。特に、アシルホスフィンオキシド系光重合開始剤の
使用が好ましい。また、光重合開始剤はアミン類などの
光増感剤と組み合わせて使用することもできる。具体的
な光重合開始剤としては、たとえば以下のような化合物
がある。
【0089】4−フェノキシジクロロアセトフェノン、
4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、4−t−ブ
チル−トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフ
ェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプ
ロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)
−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1
−(4−ドデシルフェニル)−2−メチルプロパン−1
−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル
(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロ
キシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−
{4−(メチルチオ)フェニル}−2−モルホリノプロ
パン−1−オン。
【0090】ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチル
エーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソ
プロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベ
ンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン、ベンゾイル
安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベ
ンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化
ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベ
ンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラキス(t−
ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、9,1
0−フェナントレンキノン、カンファーキノン、ジベン
ゾスベロン、2−エチルアントラキノン、4’,4”−
ジエチルイソフタロフェノン、α−アシロキシムエステ
ル、メチルフェニルグリオキシレート。
【0091】4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニル
スルフィド、チオキサントン、2−クロルチオキサント
ン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオ
キサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジ
クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサント
ン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン。2,4,
6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシ
ド、ベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,6
−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、
ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−
トリメチルペンチルホスフィンオキシド。
【0092】被覆組成物(A)における光重合開始剤の
量は硬化性成分(多官能性化合物(a)と単官能性化合
物の合計)100重量部に対して0.01〜20重量
部、特に0.1〜10重量部が好ましい。
【0093】被覆組成物(A)は上記基本的成分以外に
溶剤や種々の配合剤を含みうる。溶剤は通常必須の成分
であり、多官能性化合物(a)が特に低粘度の液体でな
いかぎり溶剤が使用される。溶剤としては、多官能性化
合物(a)を硬化成分とする被覆用組成物に通常使用さ
れる溶剤を使用できる。また原料コロイド状シリカの分
散媒をそのまま溶剤としても使用できる。さらに樹脂板
の種類により適切な溶剤を選択して用いることが好まし
い。
【0094】溶剤の量は必要とする組成物の粘度、目的
とする硬化被膜の厚さ、乾燥温度条件などにより適宜変
更できる。通常は組成物中の硬化性成分に対して100
倍重量以下、好ましくは0.1〜50倍重量用いる。溶
剤としてはたとえば前記コロイド状シリカの修飾するた
めの加水分解に用いる溶媒として挙げた、低級アルコー
ル類、ケトン類、エーテル類、セロソルブ類などの溶剤
がある。そのほか、酢酸n−ブチル、ジエチレングリコ
ールモノアセテートなどのエステル類、ハロゲン化炭化
水素類、炭化水素類などがある。耐溶剤性の低い芳香族
ポリカーボネート樹脂の被覆には低級アルコール類、セ
ロソルブ類、エステル類、それらの混合物などが適当で
ある。
【0095】被覆組成物(A)には、必要に応じて紫外
線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、熱重合防止剤などの
安定剤、レベリング剤、消泡剤、増粘剤、沈降防止剤、
顔料、分散剤、帯電防止剤、防曇剤などの界面活性剤
類、酸、アルカリおよび塩類などから選ばれる硬化触媒
等を適宜配合して用いてもよい。
【0096】被覆組成物(A)には、特に、紫外線吸収
剤や光安定剤を配合することが好ましい。紫外線吸収剤
としては合成樹脂用紫外線吸収剤として通常使用されて
いるようなベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾ
フェノン系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤な
どが好ましい。光安定剤としては同様に合成樹脂用光安
定剤として通常使用されているようなヒンダードアミン
系光安定剤(2,2,4,4−テトラアルキルピペリジ
ン誘導体など)が好ましい。
【0097】このような被覆組成物(A)を硬化させる
活性エネルギー線としては特に紫外線が好ましい。しか
し、紫外線に限定されず、電子線やその他の活性エネル
ギー線を使用できる。紫外線源としてはキセノンラン
プ、パルスキセノンランプ、低圧水銀灯、高圧水銀灯、
超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク
灯、タングステンランプ等が使用できる。
【0098】被覆組成物(A)を用いて形成される硬化
物の層の厚さは1〜50μmであることが好ましい。こ
の層厚が50μm超では、活性エネルギー線による硬化
が不充分になり樹脂板との密着性が損なわれやすく好ま
しくない。また、1μm未満では、この層の耐摩耗性が
不充分となるおそれがあり、またこの層の上の外層の耐
摩耗性や耐擦傷性が充分発現できないおそれがある。よ
り好ましい層厚は2〜30μmである。
【0099】車両用の窓材として高い耐摩耗性を得るた
めの外層を形成するものとして、実質的に有機基を含ま
ないシリカの層を形成しうる被覆組成物(B)の硬化物
であるシリカ層があげられる。被覆組成物(B)は、シ
リカを形成しうる可溶性化合物と通常は溶剤とを含む。
実質的に有機基を含まないシリカを形成しうる可溶性化
合物としては、4官能性の加水分解性シラン化合物やそ
の部分加水分解縮合物、およびポリシラザンなどがあ
る。4官能性の加水分解性シラン化合物やその部分加水
分解縮合物としては、たとえばテトラアルコキシシラン
やその部分加水分解縮合物がある。しかし好ましくはポ
リシラザンが用いられる。ポリシラザンはより緻密な構
造のシリカを形成することより、より表面特性の優れた
外層が得られる。
【0100】ポリシラザンとしては実質的に有機基を含
まないポリシラザン(ペルヒドロポリシラザン)、アル
コキシ基などの加水分解性基がケイ素原子に結合したポ
リシラザン、窒素原子にアルキル基などの有機基が結合
しているポリシラザンなどがある。このようなポリシラ
ザンはたとえ有機基を有していても硬化の際の加水分解
反応により実質的に有機基を含まないシリカは形成され
る。特にペルヒドロポリシラザンはその焼成温度の低さ
および焼成後の硬化被膜の緻密さの点で好ましい。な
お、ポリシラザンが充分に硬化した硬化物は窒素原子を
ほとんど含まないシリカとなる。
【0101】ポリシラザンとしては、鎖状、環状もしく
は架橋構造を有する重合体、または分子内にこれらの複
数の構造の混合物からなる。ポリシラザンの分子量とし
ては数平均分子量で200〜5万であるものが好まし
い。数平均分子量が200未満では焼成しても均一な硬
化被膜が得られにくい。また、数平均分子量が5万超で
は溶剤に溶解しがたくなり、また被覆組成物(B)が粘
調になるおそれがあることより、好ましくない。
【0102】ポリシラザンを溶解する溶剤としては脂肪
族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化
水素溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒、脂肪族エーテル、
脂環式エーテル等のエーテル類が使用できる。具体的に
は、ペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、メチルペンタ
ン、ヘプタン、イソヘプタン、オクタン、イソオクタ
ン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘ
キサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、
キシレン、エチルベンゼン等の炭化水素、塩化メチレ
ン、クロロホルム、四塩化炭素、ブロモホルム、塩化エ
チレン、塩化エチリデン、トリクロロエタン、テトラク
ロロエタン等のハロゲン化炭化水素、エチルエーテル、
イソプロピルエーテル、エチルブチルエーテル、ブチル
エーテル、ジオキサン、ジメチルジオキサン、テトラヒ
ドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル類などが
ある。
【0103】こられの溶剤を使用する場合、ポリシラザ
ンの溶解度や溶剤の蒸発速度を調節するために複数の種
類の溶剤を混合してもよい。溶剤の使用量は採用される
塗工方法およびポリシラザンの構造や平均分子量などに
よって異なるが、固形分濃度で0.5〜80重量%の範
囲で調製することが好ましい。
【0104】ポリシラザンを硬化させてシリカとするた
めには通常焼成と呼ばれる加熱が必要である。しかし、
本発明においては樹脂板が合成樹脂であるので、その焼
成温度は制限される。すなわち、樹脂板の耐熱温度以上
に加熱して硬化させることは困難である。一般的に被覆
組成物(A)の硬化物の耐熱性は樹脂板のそれよりも高
い。しかし場合によってはこの硬化物の耐熱性が樹脂板
の耐熱性よりも低い場合があり、その場合はこの硬化物
の耐熱温度よりも低い温度でポリシラザンを硬化させる
必要が生じることもある。したがって、本発明において
芳香族ポリカーボネート樹脂などの通常の合成樹脂から
なる樹脂板を用いる場合にはは、ポリシラザンの焼成生
温度は180℃以下とすることが好ましい。
【0105】ポリシラザンの焼成生温度を低下させるた
めに通常は触媒が使用される。触媒の種類や量により低
温で焼成でき、場合によっては室温での硬化が可能とな
る。また、焼成を行う雰囲気としては空気中などの酸素
の存在する雰囲気であることが好ましい。ポリシラザン
の焼成によりその窒素原子が酸素原子に置換しシリカが
生成する。充分な酸素の存在する雰囲気中で焼成するこ
とにより緻密なシリカの層が形成される。
【0106】触媒としては、より低温でポリシラザンを
硬化させうる触媒を用いることが好ましい。そのような
触媒としては、たとえば、金、銀、パラジウム、白金、
ニッケルなどの金属の微粒子からなる金属触媒がある。
これらの金属微粒子の粒径は0.1μmより小さいこと
が好ましく、さらに硬化物の透明性を確保するためには
0.05μmより小さいことが好ましい。加えて、粒径
が小さくなるに従い比表面積が増大し触媒能が増大する
ことより触媒性能向上の面でもより小さい粒径の触媒を
使用することが好ましい。触媒の配合量としてはポリシ
ラザン100重量部に対して0.01〜10重量部、よ
り好ましくは0.05〜5重量部である。配合量が0.
01重量部未満では充分な触媒効果が期待できず、10
重量部超では触媒同士の凝集が起こりやすくなり、透明
性を損なうおそれがある。
【0107】また、被覆組成物(B)には必要に応じて
紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤などの安定剤、レ
ベリング剤、消泡剤、増粘剤、沈降防止剤、顔料、分散
剤、帯電防止剤、防曇剤などの界面活性剤類を適宜配合
して用いてもよい。なお、以下でポリシラザンとは特に
言及しない限りペルヒドロポリシラザンをいう。
【0108】被覆組成物(B)を用いて形成される硬化
物の層の厚さは0.05〜10μmであることが好まし
い。この外層の層厚が10μm超では、耐擦傷性などの
表面特性のそれ以上の向上が期待できないうえ、層が脆
くなり被覆成形品のわずかな変形によってもこの層にク
ラックなどが生じやすくなる。また、0.05μm未満
では、この外層の耐摩耗性や耐擦傷性が充分発現できな
いおそれがある。より好ましい層厚は0.1〜3μmで
ある。
【0109】上記のような2種類の被覆組成物(A)、
(B)を用いて形成される2層の透明な硬化物の層を形
成する方法としては通常の被覆手法を採用できる。たと
えば、樹脂板上にまず被覆組成物(A)を塗工して硬化
させ、次にその硬化物の表面に被覆組成物(B)を塗工
して硬化させることにより目的とする車両用窓材が得ら
れる。
【0110】これら被覆組成物を塗工する手段としては
特に制限されず、公知または周知の方法を採用できる。
たとえば、ディッピング法、フローコート法、スプレー
法、バーコート法、グラビアコート法、ロールコート
法、ブレードコート法、エアーナイフコート法、スピン
コート法、スリットコート法、マイクログラビアコート
法等の方法を採用できる。塗工後被覆組成物が溶剤を含
んでいる場合は乾燥して溶剤を除き、次いで、被覆組成
物(A)を用いた層の場合は紫外線等を照射して硬化さ
せ、被覆組成物(B)を用いた層の場合は加熱してまた
は室温に放置して硬化させる。
【0111】被覆組成物(A)の硬化と被覆組成物
(B)の塗工〜硬化との組み合わせ(タイミング)とし
ては以下の3つ方法が挙げられる。 1)被覆組成物(A)を塗工した後に充分な量の活性エ
ネルギー線を照射して充分に硬化を終了させた後、組成
物(B)をその上に塗工する方法(前記した方法)。
【0112】2)被覆組成物(A)を塗工して被覆組成
物(A)の未硬化物の層を形成した後、その未硬化物層
の上に被覆組成物(B)塗工して被覆組成物(B)の未
硬化物の層を形成し、その後に充分な量の活性エネルギ
ー線を照射して被覆組成物(A)の未硬化物の硬化を終
了させる方法。この場合被覆組成物(B)の未硬化物は
被覆組成物(A)の未硬化物とほぼ同時に硬化するか、
被覆組成物(A)の未硬化物の硬化後加熱等により硬化
される。
【0113】3)被覆組成物(A)を塗工した後に指触
乾燥状態になる最低限の活性エネルギー線(通常約30
0mJ/cm2 までの照射量)を一旦照射して被覆組成
物(A)の部分硬化物の層を形成した後、その部分硬化
物層の上に被覆組成物(B)塗工して被覆組成物(B)
の未硬化物の層を形成し、その後に充分な量の活性エネ
ルギー線を照射して被覆組成物(A)の未硬化物の硬化
を終了させる方法。被覆組成物(B)の未硬化物の硬化
は上記2)の場合と同様である。
【0114】2つの硬化物層の層間密着力を上げるため
には、上記2)または3)の方法がより好ましい。ただ
し、2)の方法の場合は、被覆組成物(B)を塗工する
方法としてディッピング法を用いると被覆組成物(A)
の未硬化物の成分が被覆組成物(B)のディッピング液
を汚染するおそれがあるため、このようなディッピング
法による塗工は適さないなどの制約がある。
【0115】車両用窓材は通常湾曲形状を呈している。
曲げ加工された本発明の車両用窓材を製造する場合、曲
げ加工された樹脂板を用いて本発明の車両用窓材となし
うる。しかし、曲げ加工された樹脂板を用いる場合は塗
工〜硬化による各層の形成が困難となることが少なくな
い。一方、本発明者らの従来からの検討によれば、被覆
組成物(A)の硬化物の層が形成された樹脂板は熱曲げ
加工等により曲げ加工ができる。しかし、被覆組成物
(B)の硬化物の層が形成された場合はその硬化物が硬
いことより曲げ加工は困難である。
【0116】本発明者は、被覆組成物(B)の未硬化物
や部分硬化物の層であれば、そのような層を有する樹脂
板(被覆組成物(A)の硬化物の層を有する)を曲げ加
工できることを見いだした。また、前記2)や3)の方
法のように被覆組成物(A)の未硬化物や部分硬化物の
層の上に被覆組成物(B)の未硬化物や部分硬化物の層
を形成した状態で曲げ加工することもできる。曲げ加工
した後ないし曲げ加工とほぼ同時に被覆組成物(B)の
未硬化物や部分硬化物を硬化させることにより、目的と
する曲げ加工された被覆成形品が得られる。曲げ加工は
通常加熱状態で加工を行う。したがって、曲げ加工のた
めの加熱によって被覆組成物(B)の未硬化物や部分硬
化物が硬化するが、通常は曲げ加工に要する時間に比較
して被覆組成物(B)の未硬化物や部分硬化物の硬化に
要する時間が長いことから、被覆組成物(B)の硬化に
よって曲げ加工が困難になるおそれは少ない。
【0117】したがって、本発明の曲げ加工された窓材
は、樹脂板上に被覆組成物(A)の未硬化物、部分硬化
物ないし硬化物の層およびその層の表面に被覆組成物
(B)の未硬化物ないし部分硬化物の層を形成した後、
これらの層を有する樹脂板を曲げ加工し、次いで被覆組
成物(B)の未硬化物ないし部分硬化物を、および被覆
組成物(A)の未硬化物や部分硬化物が存在する場合は
それを、硬化させることにより、製造できる。
【0118】具体的には、たとえば、被覆組成物(B)
の未硬化物や部分硬化物の層を形成した後、樹脂板の熱
軟化温度に5分間程度加熱し、続いて曲げ加工を施す。
その後樹脂板の熱軟化温度よりも低くかつ被覆組成物
(B)の未硬化物や部分硬化物が硬化しうる温度に保持
して硬化を行うことにより、本発明の曲げ加工された窓
材が得られる。このような方法により、被覆組成物
(B)が充分に硬化する前に樹脂板が変形し、その後硬
いシリカの層が形成されるためにこのシリカ層にクラッ
ク等の不具合が生じることがない。
【0119】本発明における樹脂板の材料としては各種
透明合成樹脂を使用しうる。たとえば、芳香族ポリカー
ボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂(アクリ
ル樹脂)、ポリスチレン樹脂などの透明合成樹脂を樹脂
板の材料として使用しうる。特に芳香族ポリカーボネー
ト樹脂からなる樹脂板が好ましい。樹脂板の厚さは、窓
材の適合部位に応じて適宜決定されるが、通常1〜10
0mmである。
【0120】車両用窓材には、特に車外側から擦れ等の
外力が加わる。そのため、本発明の窓材は、第1のコー
ト層が設けられた側の面が車外側に配されるように、車
体に取り付けられることが好ましい。この場合、本発明
の窓材における第1のコート層側の耐磨耗性が、JIS
−R3212に定める耐磨耗試験(供試体回転回数10
00回)で10%以下であることが好ましい。特に、車
両の前方サイド窓に本発明の窓材を取り付ける場合、運
転者の視界を確保するために耐摩耗性が4%以下である
ことが好ましい。
【0121】擦れ等の外力は窓材の車内側面にも加わる
ため、本発明の窓材は図1に示すように第2のコート層
が樹脂板に設けられたものであることが好ましい。図1
における第2のコート層2は、第1のコート層1と同じ
組成物が硬化した透明硬化物層が同じ積層構成で形成さ
れたものでも、第1のコート層と同種であって異なる組
成物が硬化した透明硬化物層が同じ積層構成で形成され
たものでもよい。さらに、第1のコート層とは異なる積
層構成、異なる従来から知られている材料を用いたコー
ト層でもよい。
【0122】第2のコート層を、第1のコート層と異な
る従来から知られている材料を用いたコート層で形成す
る場合には、たとえば次のような場合がある。一般に、
車両用窓材は、フロント窓、サイド窓、リヤ窓等の固定
窓と、ドア窓のように摺動する摺動窓とがある。固定窓
は、ウレタン系等の接着剤を介して車体に接着固定され
るため、樹脂板に設けられるコート層は、車体への接着
固定力が充分に得られるものを選ぶ必要がある。本発明
における第1のコート層は、その外層が完全に硬化して
いれば石英ガラスの表面と同等の表面性能が得られるの
で、車体への接着固定力を充分に発現させうる。
【0123】一方、車体への接着力に優れたコート層と
しては、従来からアクリル系のコート層が知られてい
る。そのため、特に高い車体との接着力を得るために、
第2のコート層として従来から知られているアクリル系
のコート層等の、第1のコート層と異なるものを用いる
こともできる。
【0124】第2のコート層に第1のコート層と異なる
ものを用いる場合、樹脂板への塗工工程数が増加する、
本発明の窓材を曲げ加工するために必要な工程数が増加
する、第1のコート層に比べて若干耐磨耗性に劣る、等
のことが発生する。特に、車両用の窓材は湾曲形状を呈
することが多いので、曲げ加工に適した材料を用いる本
発明の窓材は有効である。そのため、第2のコート層を
第1のコート層と同種の透明硬化物から形成することは
好ましい。
【0125】さらに、摺動窓に用いられる窓材は、車体
の窓開口部周縁部に設けられたランチャンネルやベルト
ラインモールに当接しながら開閉する。したがって、本
発明の窓材を摺動窓に用いる場合等、樹脂板の両面を高
い耐摩耗性を有するものにするためには、第2のコート
層を第1のコート層と同種の透明硬化物から形成するこ
とは特に好ましい。
【0126】なお、第2のコート層を第1のコート層と
は異種のものから形成する場合、これらの層が設けられ
る樹脂板の曲げ加工はたとえば以下のように行われる。
すなわち、上記のように被覆組成物(B)の未硬化物や
部分硬化物の層を形成した後、樹脂板の熱軟化温度に加
熱するにあたり、加熱前に第2のコート層を形成してお
き、熱曲げ加工を施す。この場合、第1のコート層の被
覆組成物(B)の硬化物のように曲げ加工時にクラック
等が発生するものではなく、曲げ加工しやすい材料を第
2のコート層形成材料に用いることが求められる。この
ような第2のコート層は、曲げ加工しやすい分第1のコ
ート層に比べて耐磨耗性に劣る可能性がある。第2のコ
ート層側を擦れ等の外力の発生しにくい車内側に配する
ものであれば、第2のコート層に第1のコート層に比べ
て耐磨耗性に劣るものを用いても、本発明の窓材は充分
車両窓用途に適用できる。
【0127】ところで、車両用の窓材としては、従来か
ら2枚以上のガラス板を中間膜を介して接合させた合わ
せガラスが知られている。この合わせガラスのガラス板
の一方に、本発明におけるハードコート付き樹脂板を用
いることもできる。この場合、樹脂板の一方の面はガラ
ス板面に対向配置されて露出しないため、第2のコート
層を設けなくてもよい。また、中間膜との接着性に鑑み
て、ハードコートの層に限らず適宜の層を、第2のコー
ト層の代わりに設けることもできる。さらに、2枚以上
の樹脂板を中間膜または中間接着層を介して積層した合
わせ樹脂板に、本発明におけるハードコート層付き樹脂
板を用いることもできる。この場合、合わせ樹脂板の車
外側面に第1のコート層が配されるように、本発明の車
両用窓材が構成されることは好ましい。
【0128】本発明の窓材には、車体への接着固定のた
めの接着剤を車外側から隠蔽するために窓材の周縁部に
設けられる暗色着色層や、窓材の所定箇所に設けられる
線状のアンテナ導体や熱線導体等を備えることができ
る。具体的には、内層と樹脂板との間、樹脂板と第2の
コート層との間、第2のコート層上等に、暗色塗料を塗
工する、セラミック導体プリントを施す等によって、設
けうる。窓材を構成する各層を形成する組成物自身に着
色剤を添加しておき、窓材自身を着色透明窓にすること
もできる。第1のコート層と樹脂板との間に形成しうる
第3の層を用いて、これらの着色、導体プリント等を本
発明の窓材に設けることもできる。
【0129】
【実施例】以下、本発明を合成例(例1〜5)、実施例
(例6〜16)、比較例(例17〜20)に基づき説明
するが、本発明はこれらに限定されない。例6〜15、
18〜20についての各種物性の測定および評価は以下
に示す方法で行い、その結果を表1に示した。なお、表
1には通常の車両窓用ガラス板を使用した物性の測定お
よび評価の結果をあわせて示す。
【0130】[初期曇価、耐磨耗性]JIS−R321
2における耐磨耗試験法により、2つのCS−10F磨
耗輪にそれぞれ500gの重りを組み合わせ500回転
と1000回転させたときの曇価をヘーズメータにて測
定し、耐磨耗性を評価した。曇価(ヘーズ)の測定は磨
耗サイクル軌道の4カ所で行い、平均値を算出した。
【0131】また、外層を形成する前の内層の耐磨耗試
験は、樹脂板に硬化性被覆組成物(A)を塗工し充分硬
化させたサンプルを用いて、上記と同じ方法で耐磨耗試
験前曇価と100回転させた後の曇価とを測定して耐磨
耗性を評価した。
【0132】[密着性]サンプルを剃刀の刃で1mm間
隔で縦横それぞれ11本の切れ目を付け、100個の碁
盤目を作る。そして、市販のセロハンテープをよく密着
させた後、90度手前方向に急激にはがした際の、被膜
が剥離せずに残存した碁盤目の数(m)をm/100で
表す。
【0133】[耐候性]サンシャインウエザーメータを
用いてブラックパネル温度63℃で、降雨12分、乾燥
48分のサイクルで3000時間暴露後、外観の評価を
行った。
【0134】[例1]エチルセロソルブ分散型コロイド
状シリカ(シリカ含量30重量%、平均粒径11nm)
100重量部に3−メルカプトプロピルトリメトキシシ
ラン5重量部と0.1N塩酸3.0重量部を加え、10
0℃にて6時間加熱撹拌した後12時間室温下で熟成す
ることにより、メルカプトシラン修飾コロイド状シリカ
分散液を得た。
【0135】[例2]3−メルカプトプロピルトリメト
キシシラン5重量部の代わりにγ−アクリロイルオキシ
プロピルトリメトキシシラン5重量部を用いた以外は例
1と同じにして、アクリルシラン修飾コロイド状シリカ
分散液を得た。
【0136】[例3]3−メルカプトプロピルトリメト
キシシラン5重量部の代わりにN−フェニル−3−アミ
ノプロピルトリメトキシシラン5重量部を用いた以外は
例1と同じにして、アミノシラン修飾コロイド状シリカ
分散液を得た。
【0137】[例4]3−メルカプトプロピルトリメト
キシシラン5重量部の代わりに3−グリシドキシプロピ
ルトリメトキシシラン5重量部を用いた以外は例1と同
じにして、エポキシシラン修飾コロイド状シリカ分散液
を得た。
【0138】[例5]エチルセロソルブ分散型コロイド
状シリカの代わりにイソプロパノール分散型コロイド状
シリカ(シリカ含量30重量%、平均粒径11nm)1
00重量部を用い、反応温度を83℃にした他は例1と
同じにして、メルカプトシラン修飾コロイド状シリカ分
散液を得た。
【0139】[例6]撹拌機および冷却管を装着した1
00mLの4つ口フラスコに、イソプロパノール15
g、酢酸ブチル15g、エチルセロソルブ7.5g、
2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィ
ンオキシド150mg、2−(3,5−ジ−t−アミル
−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール100
0mg、およびビス(1−オクチルオキシ−2,2,
6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート
200mgを加え溶解させ、続いて水酸基を有するジペ
ンタエリスリトールポリアクリレートと部分ヌレート化
ヘキサメチレンジイソシアネートの反応生成物であるウ
レタンアクリレート(1分子あたり平均15個のアクリ
ロイル基を含有)10.0gを加え常温で1時間撹拌し
て被覆用組成物(以下、塗工液1という)を得た。
【0140】厚さ3mmの透明な芳香族ポリカーボネー
ト樹脂板(150mm×300mm)にバーコータを用
いてこの塗工液1を塗工(ウエット厚み16μm)し
て、80℃の熱風循環オーブン中で5分間保持した。こ
れを空気雰囲気中、高圧水銀灯を用いて3000mJ/
cm2 (波長300〜390nm領域の紫外線積算エネ
ルギー量)の紫外線を照射し、膜厚5μmの内層を形成
した。
【0141】次に、この上にさらに低温硬化性のペルヒ
ドロポリシラザンのキシレン溶液(固形20重量%、東
燃株式会社製、商品名L110)(以下、塗工液2とい
う)をもう一度バーコータを用いて塗工(ウェット厚み
6μm)して、80℃の熱風循環オーブン中で10分間
保持し、続いて100℃の熱風循環オーブン中で120
分間保持することで充分に硬化した外層を得た。そし
て、IR分析により外層が完全なシリカ被膜になってい
ることを確認した。こうして芳香族ポリカーボネート樹
脂板上に総膜厚6.2μmの第1のコート層を形成し
た。このサンプルを用いて各種物性の測定および評価を
行った。
【0142】一方、上記塗工液1を用いて充分硬化させ
た内層を形成した芳香族ポリカーボネート樹脂板の別の
サンプルについて、内層表面の耐磨耗性を評価した。1
00回転後の耐磨耗性は2.8%であった。
【0143】[例7]例6におけるサンプル調製方法を
以下のように変更した。塗工液1を塗工後、80℃の熱
風循環オーブン中で5分間保持し、これを空気雰囲気
中、高圧水銀灯を用いて150mJ/cm2 (波長30
0〜390nm領域の紫外線積算エネルギー量)の紫外
線を照射し、膜厚5μmの部分硬化物層を形成した。そ
して、この上に塗工液2をもう一度バーコータを用いて
塗工(ウェット厚み6μm)して、80℃の熱風循環オ
ーブン中で10分間保持した後、これを空気雰囲気中、
高圧水銀灯を用いて3000mJ/cm2 (波長300
〜390nm領域の紫外線積算エネルギー量)の紫外線
を照射した。最後に本サンプルを100℃の熱風循環オ
ーブン中で120分間保持した後に各種物性の測定およ
び評価を行った。
【0144】[例8]例7におけるサンプル調製方法を
以下のように変更した。最後に100℃の熱風循環オー
ブン中で120分間保持する代わりに、室温下で1日養
生し、各種物性の測定を行った。
【0145】[例9]例6におけるサンプル調製方法を
以下のように変更した。塗工液1を塗工後、80℃の熱
風循環オーブン中で5分間保持し、続いて、この上に塗
工液2をもう一度バーコータを用いて塗工(ウェット厚
み6μm)して、80℃の熱風循環オーブン中で10分
間保持した後、これを空気雰囲気中、高圧水銀灯を用い
て3000mJ/cm2 (波長300〜390nm領域
の紫外線積算エネルギー量)の紫外線を照射した。最後
に本サンプルを100℃の熱風循環オーブン中で120
分間保持した後に各種物性の測定および評価を行った。
【0146】[例10]撹拌機および冷却管を装着した
100mLの4つ口フラスコに、イソプロパノール15
g、酢酸ブチル15g、2,4,6−トリメチルベンゾ
イルジフェニルホスフィンオキシド150mg、2−
(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)
ベンゾトリアゾール1000mg、およびビス(1−オ
クチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピ
ペリジニル)セバケート200mgを加えて溶解させ、
続いてトリス(2−アクリロイルオシエチル)イソシア
ヌレート10.0gを加え常温で1時間撹拌した。続い
て、例1で合成したメルカプトシラン修飾コロイド状シ
リカ分散液30.3gを加えさらに室温で15分撹拌し
て被覆用組成物(以下、塗工液3という)を得た。
【0147】次に、厚さ3mmの透明な芳香族ポリカー
ボネート樹脂板(150mm×300mm)にバーコー
タを用いてこの塗工液3を塗工(ウェット厚み16μ
m)して、80℃の熱風循環オーブン中で5分間保持し
た。これを空気雰囲気中、高圧水銀灯を用いて150m
J/cm2 (波長300〜390nm領域の紫外線積算
エネルギー量)の紫外線を照射し、膜厚5μmの部分硬
化物層を形成した。そして、この上に塗工液2をもう一
度バーコータを用いて塗工(ウェット厚み6μm)し
て、80℃の熱風循環オーブン中で10分間保持した
後、これを空気雰囲気中、高圧水銀灯を用いて3000
mJ/cm2 (波長300〜390nm領域の紫外線積
算エネルギー量)の紫外線を照射した。最後に本サンプ
ルを100℃の熱風循環オーブン中で120分間保持し
た後に各種物性の測定および評価を行った。
【0148】一方、上記塗工液3を用いて充分に硬化さ
せた内層を形成した芳香族ポリカーボネート樹脂板のサ
ンプルについて、その透明硬化物層表面の耐磨耗性を評
価した。100回転後の耐磨耗性は0.9%であった。
【0149】[例11]例10におけるサンプル調製方
法を以下のように変更した。最後に100℃の熱風循環
オーブン中で120分間保持する代わりに、室温下で1
日養生し、各種物性の測定を行った。
【0150】[例12]例1で合成したメルカプトシラ
ン修飾コロイド状シリカ分散液30.3gの代わりに例
2で合成したアクリルシラン修飾コロイド状シリカ分散
液30.3gを用いた以外は例10と同じにして、この
サンプルを用いて各種物性の測定および評価を行った。
なお、このアクリルシラン修飾コロイド状シリカ分散液
を用いた塗工液を用いて充分に硬化させた内層の100
回転後の耐磨耗性は1.1%であった。
【0151】[例13]例1で合成したメルカプトシラ
ン修飾コロイド状シリカ分散液30.3gの代わりに例
3で合成したアミノシラン修飾コロイド状シリカ分散液
30.3gを用いた以外は例10と同じにして、このサ
ンプルを用いて各種物性の測定および評価を行った。な
お、このアミノシラン修飾コロイド状シリカ分散液を用
いた塗工液を用いて充分に硬化させた内層の100回転
後の耐磨耗性は1.3%であった。
【0152】[例14]例1で合成したメルカプトシラ
ン修飾コロイド状シリカ分散液30.3gの代わりに例
4で合成したエポキシシラン修飾コロイド状シリカ分散
液30.3gを用いた以外は例10と同じにして、この
サンプルを用いて各種物性の測定および評価を行った。
なお、このエポキシシラン修飾コロイド状シリカ分散液
を用いた塗工液を用いて充分に硬化させた内層の100
回転後の耐磨耗性は1.2%であった。
【0153】[例15]例1で合成したメルカプトシラ
ン修飾コロイド状シリカ分散液30.3gの代わりに例
5で合成したメルカプトシラン修飾コロイド状シリカ分
散液30.3gを用いた以外は例10と同じにして、こ
のサンプルを用いて各種物性の測定および評価を行っ
た。なお、このメルカプトシラン修飾コロイド状シリカ
分散液を用いた塗工液を用いて充分に硬化させた内層の
100回転後の耐磨耗性は1.4%であった。
【0154】[例16]例10におけるサンプル調整方
法を以下のように変更した。塗工液3を厚さ3mmの透
明な芳香族ポリカーボネート樹脂板(150mm×30
0mm)にバーコータを用いて塗工(ウェット厚み16
μm)して、80℃の熱風循環オーブン中で5分間保持
した。これを空気雰囲気中、高圧水銀灯を用いて150
mJ/cm2 (波長300〜390nm領域の紫外線積
算エネルギー量)の紫外線を照射し、膜厚5μmの部分
硬化物層を形成した。そして、この上に塗工液2をもう
一度バーコータを用いて塗工(ウェット厚み6μm)し
て、80℃の熱風循環オーブン中で5分間保持した後、
これを空気雰囲気中、高圧水銀灯を用いて3000mJ
/cm2 (波長300〜390nm領域の紫外線積算エ
ネルギー量)の紫外線を照射し、引き続いて170℃の
熱風循環オーブン中で5分間保持し、取り出し直後に透
明硬化物層塗工面が凸側になるように、180mmRの
曲率を持つ型に押しつけ、曲げ加工を施した。そして、
室温下で1日養生した物の外観を観察した結果、クラッ
クやしわがない良好な硬化物層を有していた。
【0155】[例17]例10で最終的に得られた充分
硬化した2層の硬化物層を有するサンプルを170℃の
熱風循環オーブン中で5分間保持し、取り出し直後に透
明硬化物層塗工面が凸側になるように、180mmRの
曲率を持つ型に押しつけ、曲げ加工を施した。得られた
サンプルの外観を観察した結果、硬化物層にクラックと
しわが発生していた。
【0156】[例18]塗工液1を厚さ3mmの透明な
芳香族ポリカーボネート樹脂板(150mm×300m
m)にバーコータを用いて塗工(ウェット厚み20μ
m)して、80℃の熱風循環オーブン中で5分間保持し
た。これを空気雰囲気中、高圧水銀灯を用いて3000
mJ/cm2 (波長300〜390nm領域の紫外線積
算エネルギー量)の紫外線を照射し、膜厚6μmの透明
硬化物層を硬化させ、このサンプルを用いて各種物性の
測定および評価を行った。
【0157】[例19]塗工液2を厚さ3mmの透明な
芳香族ポリカーボネート樹脂板(150mm×300m
m)にバーコータを用いて塗工(ウェット厚み30μ
m)して、80℃の熱風循環オーブン中で10分間保持
した。続いて100℃の熱風循環オーブン中で120分
間保持し、膜厚6μmの透明硬化物層を硬化させ、この
サンプルを用いて各種物性の測定および評価を行った。
【0158】[例20]塗工液3を厚さ3mmの透明な
芳香族ポリカーボネート樹脂板(150mm×300m
m)にバーコータを用いて塗工(ウェット厚み20μ
m)して、80℃の熱風循環オーブン中で5分間保持し
た。これを空気雰囲気中、高圧水銀灯を用いて3000
mJ/cm2 (波長300〜390nm領域の紫外線積
算エネルギー量)の紫外線を照射し、膜厚6μmの透明
硬化物層を硬化させ、このサンプルを用いて各種物性の
測定および評価を行った。
【0159】
【表1】
【0160】
【発明の効果】本発明によれば、通常車両窓に用いられ
る無機ガラス板にほぼ匹敵する高い耐摩耗性の表面を有
する表面特性に優れた車両用窓材を得ることができる。
さらに、車両窓に求められる所定の湾曲形状のものであ
っても、充分な耐磨耗性を有する車両用窓材を得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両用窓材の一例を示す概略断面図
【符号の説明】
1:第1のコート層 2:第2のコート層 10:樹脂板 11:外層 12:内層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 博嗣 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社中央研究所内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透明樹脂板と、該透明樹脂板に積層された
    第1のハードコート層とを有し、第1のハードコート層
    が2層以上の透明硬化物層から形成され、該2層以上の
    透明硬化物層のうち、最外層がポリシラザンを含む被覆
    組成物の硬化物であるシリカ層であり、最外層に接する
    内層が耐摩耗性の層である車両用窓材。
  2. 【請求項2】透明樹脂板と、該透明樹脂板に積層された
    第1のハードコート層とを有する車両用窓材において、
    第1のハードコート層は2層以上の透明硬化物層から形
    成されていて、該2層以上の透明硬化物層のうち最外層
    に接する内層が活性エネルギー線硬化性の重合性官能基
    を2個以上有する多官能性化合物(a)を含む被覆組成
    物(A)の硬化物である耐摩耗性の層であり、最外層が
    実質的に有機基を含まないシリカを形成しうる被覆組成
    物(B)の硬化物であるシリカ層であることを特徴とす
    る車両用窓材。
  3. 【請求項3】被覆組成物(A)が、さらに平均粒径20
    0nm以下のコロイド状シリカを含む、請求項2記載の
    車両用窓材。
  4. 【請求項4】被覆組成物(B)が、ポリシラザンを含む
    被覆組成物である、請求項2または3記載の車両用窓
    材。
  5. 【請求項5】内層の耐摩耗性が、JIS−R3212で
    定める耐摩耗試験の供試体回転回数を100回とした場
    合における、内層が形成された透明樹脂板の内層側の面
    の摩耗後の曇価(%)と摩耗前の曇価(%)との差が1
    5(%)以下である、請求項1、2、3または4記載の
    車両用窓材。
  6. 【請求項6】第1のハードコート層は車外側に配される
    ものであって、車両用窓材における第1のハードコート
    層側の面の耐磨耗性が、JIS−R3212に定める耐
    磨耗試験による摩耗後の曇価(%)と摩耗前の曇価
    (%)との差が10(%)以下である、請求項1、2、
    3、4または5記載の車両用窓材。
  7. 【請求項7】透明樹脂板の第1のハードコート層側と反
    対側の面には第2のハードコート層が積層されており、
    第1のハードコート層側が車外側に配されるものであ
    る、請求項1、2、3、4、5または6記載の車両用窓
    材。
  8. 【請求項8】透明樹脂板と、該透明樹脂板の両面にそれ
    ぞれ積層された第1および第2のハードコート層とを有
    する車両用窓材において、第1のハードコート層は2層
    以上の透明硬化物層から形成され、該2層以上の透明硬
    化物層のうち、最外層に接する内層が、JIS−R32
    12で定める耐摩耗試験の供試体回転回数を100回と
    した場合における、内層を形成した透明樹脂板の内層側
    の面の摩耗後の曇価(%)と摩耗前の曇価(%)との差
    が15(%)以下である耐摩耗性を有し、車両用窓材に
    おける第1のハードコート層側の面がJIS−R321
    2に定める耐磨耗試験による摩耗後の曇価(%)と摩耗
    前の曇価(%)との差が10(%)以下の耐磨耗性を有
    することを特徴とする車両用窓材。
  9. 【請求項9】最外層が、ポリシラザンを含む被覆組成物
    の硬化物であるシリカ層である、請求項8記載の車両用
    窓材。
  10. 【請求項10】活性エネルギー線硬化性の重合性官能基
    を2個以上有する多官能性化合物(a)を含む被覆組成
    物(A)の未硬化物、部分硬化物ないし硬化物の層を透
    明樹脂板に形成し、その層の表面に実質的に有機基を含
    まないシリカを形成しうる被覆組成物(B)の未硬化物
    ないし部分硬化物の層を形成した後、これらの層が形成
    された透明樹脂板を加熱して曲げ加工し、次いで被覆組
    成物(B)の未硬化物ないし部分硬化物を、および被覆
    組成物(A)の未硬化物や部分硬化物が存在する場合は
    それを、硬化させ、最外層に被覆組成物(B)の硬化物
    を、最外層に接する内層に被覆組成物(A)の硬化物で
    ある耐摩耗性の層を、形成して、2層以上の透明硬化物
    層から形成されたハードコート層を透明樹脂板に積層す
    る、湾曲形状を呈する車両用窓材の製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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DE112011100885T5 (de) 2010-03-12 2013-01-03 Kabushiki Kaisha Toyota Jidoshokki Aktinische-licht-härtbare zusammensetzung, geformtes polycarbonatharzobjekt mit einem gehärteten film und herstellungsverfahren davon
US8742011B2 (en) 2010-03-12 2014-06-03 Kabushiki Kaisha Toyota Jidoshokki Vehicle member and manufacturing method therefor
WO2021112116A1 (ja) * 2019-12-05 2021-06-10 株式会社小糸製作所 樹脂成形品、車窓用樹脂成形品、および、樹脂成形品の製造方法

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