JP2000229383A - 透明被覆成形品 - Google Patents

透明被覆成形品

Info

Publication number
JP2000229383A
JP2000229383A JP11031382A JP3138299A JP2000229383A JP 2000229383 A JP2000229383 A JP 2000229383A JP 11031382 A JP11031382 A JP 11031382A JP 3138299 A JP3138299 A JP 3138299A JP 2000229383 A JP2000229383 A JP 2000229383A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
coating composition
transparent
compound
cured
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP11031382A
Other languages
English (en)
Inventor
Takashi Shibuya
崇 澁谷
Toshihiko Higuchi
俊彦 樋口
Satoshi Kondo
聡 近藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Glass Co Ltd filed Critical Asahi Glass Co Ltd
Priority to JP11031382A priority Critical patent/JP2000229383A/ja
Publication of JP2000229383A publication Critical patent/JP2000229383A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Paints Or Removers (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 透明合成樹脂基材上に非常に高度な耐摩耗性
を発現する硬化物層を形成した透明被覆成形品を提供す
る。 【解決手段】 透明合成樹脂基材上に、加水分解性シリ
ル基含有化合物を含む紫外線硬化性被覆組成物から形成
された硬化物からなる内層とその内層に直接接したポリ
シラザンに由来するシリカの層からなる最外層の少なく
とも2層が形成されてなる透明被覆成形品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透明合成樹脂基材
上に、耐磨耗性、透明性、耐候性などに優れた透明硬化
物層を有する透明被覆成形品に関し、特に、上記透明硬
化物層の最外層に接する内層が活性エネルギー線(特に
紫外線)硬化性被覆組成物に由来する硬化物の層であ
り、最外層がシリカを形成する被覆組成物に由来するシ
リカの層である透明被覆成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ガラスに代わる透明材料として、
透明合成樹脂材料が使用されてきている。とりわけ芳香
族ポリカーボネート系樹脂は耐破砕性、透明性、軽量
性、易加工性などに優れ、その特徴を生かして、外壁、
アーケード等の大面積の透明部材として各方面で使用さ
れている。また、自動車等の車両用にも一部ガラス(無
機ガラスをいう、以下同様)の代わりに、こうした透明
合成樹脂材料が使われる例がみられる。
【0003】しかしながら、透明合成樹脂材料は、ガラ
スの代替として使用するには表面の硬度が充分ではな
く、傷付いたり、磨耗しやすいため、透明性が損なわれ
やすいという欠点があった。
【0004】そのため、これまでに芳香族ポリカーボネ
ート系樹脂の耐擦傷性や耐磨耗性を改善するために、以
下のような試みが多くなされてきた。
【0005】.分子中にアクリロイル基等の重合性官
能基を2個以上有する重合硬化性化合物を基材に塗布
し、熱又は紫外線等の活性エネルギー線により上記重合
硬化性化合物を硬化させ、表面の耐擦傷性や耐磨耗性を
改善する方法(最も一般的な方法の一つ)。
【0006】.より高い表面硬度を基材に付与させる
ために、ケイ素系の化合物等の金属アルコキシド化合物
を基材に塗布し、熱により硬化させる方法。
【0007】.アクリロイル基を有する化合物とコロ
イド状シリカの混合物を基材に塗布し、紫外線等の活性
エネルギー線により硬化させ、耐擦傷性に優れた透明硬
化物層を形成する方法(特開昭61−181809号公
報)。
【0008】.上記ケイ素系金属アルコキシド化合物
の代わりにポリシラザンを用いる方法、即ち、ポリシラ
ザンを基材に塗布し熱等により硬化させる方法(特開平
8−143689号公報)。
【0009】.プラスチックフィルム上に保護被膜を
形成し、その表面にポリシラザン溶液を塗工してシリカ
の表面層を形成する方法(特開平9−39161号公
報)。
【0010】.紫外線硬化型化合物の未硬化物及び部
分硬化物上にシリコーン系熱重合硬化物を塗工し、紫外
線を照射し、更に加熱重合させる方法(特開平6−21
2004号公報)。
【0011】.アクリル系光重合硬化塗料とシラノー
ル基を有するポリシロキサン組成物を含有する下地層
と、シリコン系熱重合硬化塗料からなる上層を形成し、
紫外線照射により下地層を硬化させ、加熱処理により上
層を硬化させる方法(特開平7−118425号公
報)。
【0012】の方法では、被覆用の組成物が比較的安
定であり、特に紫外線硬化が可能であるため生産性に優
れている。また、成形品に曲げ加工を施した場合でも硬
化被膜にクラックが発生することがない。
【0013】の方法では、耐磨耗性に極めて優れた硬
化被膜を形成できる。の方法では、コロイド状シリカ
を重合硬化性化合物と併用することにより、かなり高い
表面硬度と生産性を両立させることができる。
【0014】〜の方法では、ポリシラザンが酸素の
存在下で縮合反応や酸化反応を起こし、二酸化ケイ素の
高次架橋体に変化して、シリカの被膜が形成される。
【0015】の方法では、紫外線硬化型化合物の硬化
物層上に、シリコーン系熱重合硬化物層が形成される。
【0016】の方法では、上層(シリコン系熱重合硬
化塗料)の重合時に、上層のシラノール基と下地層(ポ
リシロキサン組成物)のシラノール基とが脱水結合反応
によりシロキサン結合され、上層と下地層とが強固に結
合する。
【0017】上記ポリシラザンや熱硬化性シリコーン樹
脂等から形成される硬化層の表面は耐磨耗性を有するこ
とが知られており、特にポリシラザンに由来するシリカ
の被膜はガラスと同様な高い表面硬度を有している。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
の方法は、硬化被膜が有機物のみからなることから表面
の耐擦傷性の発現レベルには限界があった。、〜
の方法は、硬化被膜と基材との密着性に乏しいため、硬
化被膜の剥離やクラックを生じやすい等の欠点があっ
た。また、の方法は、その表面耐擦傷性の発現レベル
において先の金属アルコキシド化合物を基材に塗布し熱
により硬化させる方法には劣っていた。そして、の方
法は、最外層がポリシラザンによる硬化層と比べると耐
擦傷性が劣るという問題があった。
【0019】従って、本発明の目的は、ほぼ無機ガラス
に匹敵する高い耐磨耗性の表面を有する表面特性に優れ
た透明被覆成形品を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明者らは、最外層であるシリカ層の耐磨耗性や
耐擦傷性などの表面特性は、シリカ層とその内層との密
着性に影響されると考え、より高い表面特性のシリカ層
を与える内層の材質について検討した。その結果、シリ
カ層と高い密着性を有すると共に、基材とも充分な密着
性を有する内層の材料を見出し、本発明を完成するに至
った。
【0021】すなわち、本発明は、透明合成樹脂基材及
び透明合成樹脂基材表面の少なくとも一部に設けられ
た、少なくとも最外層と内層の2層からなる透明硬化物
層(A)を有する透明被覆成形品において、上記透明硬
化物層(A)のうち、最外層に接する内層が、活性エネ
ルギー線硬化性の重合性官能基を2個以上有する多官能
性化合物(a)と加水分解性シリル基含有化合物(b)
を含有する活性エネルギー線硬化性被覆組成物(B)の
硬化物の層であり、最外層がポリシラザン(c)を含む
被覆組成物(C)の硬化物であるシリカ層であることを
特徴とする透明被覆成形品を提供するものである。
【0022】本発明では、シリカ層との親和性が高い加
水分解性シリル基含有化合物(b)を内層のネットワー
クの中に取り入れて、内層とシリカ層の密着性を向上さ
せることにより、シリカ層の耐磨耗性や耐擦傷性などの
表面特性を改善している。
【0023】また、本発明における透明硬化物層(A)
は、少なくとも最外層及び内層の2層の構成からなり、
最外層のシリカの被膜が、相対的に柔らかい透明合成樹
脂基材上に直接積層されているのではなく、耐磨耗性の
高い硬い透明硬化物内層上に積層されている。従って、
透明被覆成型品に対して傷を付けようとして加えられた
外力による最外層の変位が小さくなるため、通常の無機
質被膜が与える表面特性以上の表面特性を得ることがで
きると考えられる。
【0024】即ち、本発明によれば、最外層は無機物を
中心とした被膜であるにもかかわらず、内層及び結果的
に透明合成樹脂基材(以下、単に基材という)に対して
充分密着し、ガラスと同等、もしくはそれに近い表面耐
磨耗性を有した透明硬化物層を有する透明合成樹脂成形
品を提供することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明において、透明硬化物層
(A)は、最外層を形成する透明硬化物層(以下、透明
硬化物最外層という)と、上記透明硬化物最外層に直接
接する透明硬化物層(以下、透明硬化物内層という)の
少なくとも2層の構成からなる。
【0026】そして、上記透明硬化物内層は、活性エネ
ルギー線硬化性の重合性官能基を2個以上有する多官能
性化合物(a)(以下、多官能性化合物(a)という)
と加水分解性シリル基含有化合物(b)(以下、シリル
基含有化合物(b)という)からなる活性エネルギー線
硬化性被覆組成物(B)(以下、被覆組成物(B)とい
う)の硬化物の層である。
【0027】また、本発明においては、基材と上記透明
硬化物内層との間に、更に熱可塑性アクリル樹脂等の熱
可塑性樹脂や接着剤等の他の合成樹脂からなる第2の内
層が存在していてもよい。その場合、上記第2の内層
は、両者(基材と上記透明硬化物内層)に対し充分な密
着性を有する組成物からなることが好ましい。
【0028】本発明において、上記透明硬化物内層は、
基材又は基材上の第2の内層と最外層との密着性を高
め、また外力による最外層の変位を小さくすることによ
り最外層の表面特性を改善する作用がある。
【0029】即ち、被覆組成物(B)は、基材又は第2
の内層との密着性を高め、かつ外力による最外層の変位
を小さくする目的から多官能性化合物(a)と、最外層
との密着性を高める目的からシリル基含有化合物(b)
を含有する組成物である。
【0030】また、本発明において、より高い耐磨耗性
の透明硬化物内層を得るために、上記被覆組成物(B)
に平均粒径200nm以下のコロイド状シリカを配合し
てコロイド状シリカを含む硬化物を形成してもよい。
【0031】即ち、本発明において、透明硬化物内層
は、JIS−R3212における耐磨耗性試験(試験回
数100回)後の曇価(磨耗試験後の曇価と磨耗試験前
の曇価との差)が、15%以下であることが好ましく、
より好ましくは、上記曇価が10%以下、特に5%以下
のものである。
【0032】・多官能性化合物(a)についての説明 以下、本願明細書では、アクリロイル基及びメタクリロ
イル基を総称して(メタ)アクリロイル基という。(メ
タ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリル酸、(メ
タ)アクリレート等の表現も同様とする。
【0033】本発明において、多官能性化合物(a)
は、1種又は複数種類の多官能性化合物の混合物であ
る。
【0034】複数種類の多官能性化合物を用いる場合、
同一範疇の異なる化合物、又は範疇の異なる化合物であ
ってもよい。例えば、それぞれがアクリルウレタンであ
る異なる化合物の組み合わせや、一方がアクリルウレタ
ンで他方がウレタン結合を有しないアクリル酸エステル
化合物である組み合わせであってもよい。
【0035】また、多官能性化合物と共に、活性エネル
ギー線によって重合しうる重合性官能基を1個有する単
官能性化合物(以下、単官能化合物という)が含まれて
いてもよい。
【0036】被覆組成物(B)において、上記単官能性
化合物を使用する場合、多官能性化合物(a)と単官能
性化合物との合計に対する単官能性化合物の割合は、特
に限定されないが、0〜60重量%であることが好まし
く、より好ましくは0〜30重量%である。
【0037】単官能性化合物の割合が多すぎると、硬化
塗膜の硬さが低下し、耐磨耗性が不充分となるおそれが
ある。
【0038】上記単官能性化合物としては、(メタ)ア
クリロイル基を有する化合物が好ましく、特にアクリロ
イル基を有する化合物が好ましい。また、上記単官能性
化合物は、水酸基、エポキシ基などの官能基を有してい
てもよい。好ましい単官能性化合物は(メタ)アクリル
酸エステル、即ち(メタ)アクリレートである。
【0039】具体的には、メチル(メタ)アクリレー
ト、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アク
リレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチ
ル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)
アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロ
ヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレー
ト等が挙げられる。
【0040】多官能性化合物(a)の活性エネルギー線
硬化性の重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル
基、ビニル基、アリル基などのα,β−不飽和基やそれ
を有する基が挙げられるが、(メタ)アクリロイル基で
あることが好ましく、上記の基や化合物の中でもより好
ましいものは、アクリロイル基を有するもの、例えばア
クリロイルオキシ基、アクリル酸、アクリレート等であ
る。
【0041】なお、多官能性とは上記重合性官能基を2
個以上有することを意味し、本発明においては1分子中
に含まれる上記重合性官能基の数の上限は特に限定され
ないが、通常は2〜50個、特に3〜30個であること
が好ましい。
【0042】また、1分子中に含まれる上記重合性官能
基の種類は特に限定されず、1種又は2種以上であって
もよい。
【0043】即ち、上記多官能性化合物(a)は、(メ
タ)アクリロイル基から選ばれる1種以上の重合性官能
基、その中でも紫外線によってより重合しやすいアクリ
ロイル基を2個以上有する化合物から選ばれることが好
ましく、特に(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上
有する化合物、即ち、多価アルコール等の2個以上の水
酸基を有する化合物と(メタ)アクリル酸とのポリエス
テルが好ましい。
【0044】更に、多官能性化合物(a)には、被覆組
成物(B)の硬化物が充分な耐磨耗性を発揮し得るため
に、3官能以上の多官能性化合物が少なくともその一部
に(好ましくは30重量%以上、特に好ましくは、50
重量%以上)含まれることが好ましい。
【0045】また、上記重合性官能基以外に、例えば、
水酸基、カルボキシル基、ハロゲン原子、ウレタン結
合、エーテル結合、エステル結合、チオエーテル結合、
アミド結合、ジオルガノシロキサン結合など種々の官能
基や結合を有していてもよいが、その場合は、特にウレ
タン結合を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物
(いわゆるアクリルウレタン)とウレタン結合を有しな
い(メタ)アクリル酸エステル化合物が好ましい。
【0046】上記ウレタン結合を有する(メタ)アクリ
ロイル基含有化合物(以下、アクリルウレタンという)
としては、例えば、 ・(メタ)アクリロイル基と水酸基を有する化合物(X
1)と2個以上のイソシアネート基を有する化合物(以
下、ポリイソシアネートとする)との反応生成物 ・上記化合物(X1)と2個以上の水酸基を有する化合
物(X2)とポリイソシアネートとの反応生成物 ・(メタ)アクリロイル基とイソシアネート基とを有す
る化合物(X3)と上記化合物(X2)との反応生成物 等がある。
【0047】上記各反応生成物においては、水酸基は存
在してもよいが、イソシアネート基は、存在しないこと
が好ましい。
【0048】従って、上記反応生成物の製造において
は、全反応原料の水酸基の合計モル数は、イソシアネー
ト基の合計モル数と等しいか、それより多いことが好ま
しい。
【0049】即ち、上記化合物(X1)としては、以下
のものが挙げられる。 ・(メタ)アクリロイル基と水酸基をそれぞれ1個ずつ
有する化合物、(メタ)アクリロイル基2個以上と水酸
基1個を有する化合物、(メタ)アクリロイル基1個と
水酸基2個以上を有する化合物、(メタ)アクリロイル
基と水酸基をそれぞれ2個以上有する化合物。
【0050】具体的には、上記順に、2−ヒドロキシエ
チル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ
(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ
(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メ
タ)アクリレートなどが挙げられる。これらは2個以上
の水酸基を有する化合物と(メタ)アクリル酸とのモノ
エステル、又は1個以上の水酸基を残したポリエステル
である。
【0051】・エポキシ基を1個以上有する化合物と
(メタ)アクリル酸との開環反応生成物。 この場合、エポキシ基と(メタ)アクリル酸との反応に
より、エポキシ基が開環してエステル結合が生じるとと
もに水酸基が生じ、(メタ)アクリロイル基と水酸基を
有する化合物となる。また、エポキシ基を1個以上有す
る化合物のエポキシ基を開環させて水酸基含有化合物と
し、それを(メタ)アクリル酸エステルに変換すること
もできる。
【0052】即ち、いわゆるエポキシ樹脂と呼ばれてい
るポリエポキシドが好ましく、例えば、多価フェノール
類−ポリグリシジルエーテル(具体的には、ビスフェノ
ールA−ジグリシジルエーテル)などのグリシジル基を
2個以上有する化合物や脂環族エポキシ化合物が好まし
い。
【0053】・エポキシ基を有する(メタ)アクリレー
トと水酸基やカルボキシル基を有する化合物との反応生
成物。 エポキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、例
えば、グリシジル(メタ)アクリレートがある。
【0054】また、ポリイソシアネートとしては、以下
のものが挙げられる。 ・通常の単量体状のポリイソシアネート。 例えば、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−
トリレンジイソシアネート、メチレンビス(4−フェニ
ルイソシアネート)[MDI]、ヘキサメチレンジイソ
シアネート、イソホロンジイソシアネート、トランスシ
クロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレン
ジイソシアネート[XDI]、水添XDI、水添MDI
等([ ]内は略称)が挙げられるが、無黄変性ポリイ
ソシアネート(芳香核に直接結合したイソシアネート基
を有しないポリイソシアネート)が好ましく、具体的に
は、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイ
ソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環族
ポリイソシアネート、又はキシリレンジイソシアネート
等の芳香族ポリイソシアネートが挙げられる。
【0055】また、後述するようにこれらの多量体や変
性体等も好ましい。 ・ポリイソシアネートの多量体、変性体又はイソシアネ
ート基含有ウレタンプレポリマー等のプレポリマー状の
化合物。 上記多量体としては、3量体(イソシアヌレート変性
体)、2量体、カルボジイミド変性体等があり、変性体
としては、トリメチロールプロパン等の多価アルコール
で変性して得られるウレタン変性体、ビュレット変性
体、アロハネート変性体、ウレア変性体等がある。
【0056】また、上記プレポリマー状の化合物として
は、例えば、後述のポリエーテルポリオール、ポリエス
テルポリオール等のポリオールとポリイソシアネートと
の反応により得られるイソシアネート基含有ウレタンプ
レポリマー等が挙げられるが、これらポリイソシアネー
トは2種以上併用しても良い。
【0057】次に、上記化合物(X2)としては、以下
のものが挙げられる。 ・多価アルコール 脂肪族の多価アルコール、又は脂環族多価アルコールや
芳香核を有する多価アルコールであってもよいが、2〜
20個の水酸基を有する多価アルコールが好ましく、特
に2〜15個の水酸基を有する多価アルコールが好まし
い。
【0058】芳香核を有する多価アルコールとしては、
例えば、多価フェノール類のアルキレンオキシド付加物
や多価フェノール類−ポリグリシジルエーテルなどの芳
香核を有するポリエポキシドの開環物などが挙げられ
る。
【0059】即ち、上記多価アルコールとしては、例え
ば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコー
ル、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオー
ル、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、
ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジオール、ジ
メチロールシクロヘキサン、トリメチロールプロパン、
グリセリン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロール
プロパン、ジペンタエリスリトール、トリス(2−ヒド
ロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−ヒドロ
キシプロピル)イソシアヌレート、ビスフェノールA−
ジグリシジルエーテルの開環物、ビニルシクロヘキセン
ジオキシドの開環物がある。
【0060】・多価アルコールに比較して高分子量のポ
リオール ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポ
リエーテルエステルポリオール、ポリカーボネートポリ
オール等が挙げられる。また、ポリオールとして水酸基
含有ビニルポリマーも使用できる。
【0061】上記水酸基含有ビニルポリマーとしては、
例えばアリルアルコール、ビニルアルコール、ヒドロキ
シアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキル(メ
タ)アクリレートなどの水酸基含有単量体とオレフィン
などの水酸基不含単量体との共重合体がある。
【0062】即ち、上記ポリオールの具体例としては、
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、
ビスフェノールA−アルキレンオキシド付加物、ポリテ
トラメチレングリコール等のポリエーテルポリオール、
ポリε−カプロラクトンポリオール等の環状エステルを
開環重合して得られるポリエステルポリオール、アジピ
ン酸、セバシン酸、フタル酸、マレイン酸、フマル酸、
アゼライン酸、グルタル酸等の多塩基酸と上記多価アル
コールとの反応で得られるポリエステルポリオール、
1,6−ヘキサンジオールとホスゲンの反応で得られる
ポリカーボネートジオール等が挙げられる。
【0063】また、上記の多価アルコールやポリオール
は、2種以上併用しても良い。そして、上記化合物(X
3)としては、2−イソシアネートエチル(メタ)アク
リレート、メタクリロイルイソシアネートが挙げられ
る。
【0064】上記ウレタン結合を有しない(メタ)アク
リル酸エステル化合物としては、上記化合物(X2)と
同様の2個以上の水酸基を有する化合物と(メタ)アク
リル酸とのポリエステルが好ましい。
【0065】2個以上の水酸基を有する化合物として
は、上記多価アルコールやポリオールが好ましい。
【0066】また、2個以上のエポキシ基を有する化合
物と(メタ)アクリル酸との反応生成物である(メタ)
アクリル酸エステル化合物も好ましい。
【0067】2個以上のエポキシ基を有する化合物とし
ては、エポキシ樹脂と呼ばれているポリエポキシドがあ
る。例えば、グリシジルエーテル型ポリエポキシド、脂
環型ポリエポキシドなどのエポキシ樹脂として市販され
ているものを使用できる。
【0068】ウレタン結合を含まない多官能性化合物の
具体例としては、例えば以下のような化合物がある。
【0069】・以下の脂肪族多価アルコールの(メタ)
アクリレート。 1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオ
ペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−
ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレン
グリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ
(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリ
レート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレ
ート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリ
レート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレー
ト、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレー
ト、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレー
ト、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレー
ト。
【0070】・以下の芳香核、又はトリアジン環を有す
る多価アルコールや多価フェノールの(メタ)アクリレ
ート。 トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソ
シアヌレート、ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシ
エチル)−2−ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ト
リス(2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)イソ
シアヌレート、ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシ
エチル)ビスフェノールA、ビス(2−(メタ)アクリ
ロイルオキシエチル)ビスフェノールS、ビス(2−
(メタ)アクリロイルオキシエチル)ビスフェノール
F、ビスフェノールAジメタクリレート。
【0071】・以下の水酸基含有化合物−アルキレンオ
キシド付加物の(メタ)アクリレート、水酸基含有化合
物−カプロラクトン付加物の(メタ)アクリレート、ポ
リオキシアルキレンポリオールの(メタ)アクリレー
ト。ただし、EOはエチレンオキシド、POはプロピレ
ンオキシドを表す。
【0072】トリメチロールプロパン−EO付加物のト
リ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン−P
O付加物のトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリス
リトール−カプロラクトン付加物のヘキサ(メタ)アク
リレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌ
レート−カプロラクトン付加物のトリ(メタ)アクリレ
ート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレー
ト−カプロラクトン付加物のトリ(メタ)アクリレー
ト。
【0073】よって、具体的な好ましい多官能性化合物
(a)は、下記のアクリルウレタンとウレタン結合を有
しない多官能性化合物である。
【0074】アクリルウレタンとしては、ペンタエリス
リトールやその多量体であるポリペンタエリスリトール
とポリイソシアネートとヒドロキシアルキル(メタ)ア
クリレート)の反応生成物であるアクリルウレタン、又
はペンタエリスリトールやポリペンタエリスリトールの
水酸基含有ポリ(メタ)アクリレートとポリイソシアネ
ートとの反応生成物であるアクリルウレタンであって3
官能以上(好ましくは4〜20官能)の化合物。
【0075】ウレタン結合を有しない多官能性化合物と
しては、ペンタエリスリトール系ポリ(メタ)アクリレ
ートとイソシアヌレート系ポリ(メタ)アクリレート。
【0076】上記ペンタエリスリトール系ポリ(メタ)
アクリレートとは、ペンタエリスリトールやポリペンタ
エリスリトールと(メタ)アクリル酸とのポリエステル
(好ましくは4〜20官能のもの)をいう。
【0077】上記イソシアヌレート系ポリ(メタ)アク
リレートとは、トリス(ヒドロキシアルキル)イソシア
ヌレート、又はその1モルに1〜6モルのカプロラクト
ンやアルキレンオキシドを付加して得られる付加物と
(メタ)アクリル酸とのポリエステル(2〜3官能のも
の)をいう。
【0078】これら好ましい多官能性化合物と他の2官
能以上の多官能性化合物(特に多価アルコールのポリ
(メタ)アクリレート)とを併用することも好ましい。
これら好ましい多官能性化合物は全多官能性化合物
(a)に対して30重量%以上、特に50重量%以上が
好ましい。
【0079】・加水分解性シリル基含有化合物(b)の
説明 本発明においては、被覆組成物(B)と被覆組成物
(C)との密着力を高めるため、被覆組成物(B)に
は、加水分解性シリル基含有化合物(b)が添加されて
いる。加水分解性シリル基含有化合物(b)としては、
下記の化1で表されるシランカップリング剤やシラザン
等がある。
【0080】
【化1】
【0081】上記化1において、Xの例としては、アル
コキシ基、アシル基、アミノ基、イソシアネート基等が
挙げられるが、最も好ましいのは、炭素数1〜4のアル
コキシ基である。また、R1としては、炭素数2〜8の
炭化水素基、最も好ましいのは、アルキレン基である。
2としては、炭素数1〜4のアルキル基、Zとして
は、(メタ)アクロイル基、メルカプト基、アミノ基、
エポキシ基、ビニル基、イソシアネート基が挙げられ
る。
【0082】本発明においては、上記シランカップリン
グ剤を添加することにより、Zで表される官能基と内層
中の多官能性化合物(a)の官能基が重合あるいは反応
し、また、Xで表される官能基と最外層中のポリシラザ
ンが脱水反応により結合することにより内層と最外層が
より密着すると考えられる。一方、シラザンの場合、シ
ラザンと最外層中のポリシラザンとが脱水反応により結
合し、同様に密着性が向上すると考えられる。
【0083】即ち、上記シリル基含有化合物(b)は、
具体的にはシラザンやシランカップリング剤などの化合
物が好ましく、例えば、シラザンとシランカップリング
剤を併用するといったように、その中から選ばれる1種
類又は複数の種類の化合物を用いてもよい。
【0084】シラザンとしては、1,1,3,3−テト
ラメチルジシラザン、ヘキサメチルジシラザン、1,3
−ビス(クロロメチル)−1,1,3,3−テトラメチ
ルジシラザン、ヘプタメチルジシラザン、1,3−ジビ
ニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、ヘキ
サフェニルシクロジシラザン、1,1,3,3,5,5
−ヘキサメチルシクロトリシラザン、1,1,3,3,
5,5,7,7−オクタメチルシクロテトラシラザン、
パーヒドロポリシラザン、メチル基含有ポリシラザンな
どを用いることができる。
【0085】シランカップリング剤としては、例えば、
以下のようなものを使用できる。 ・(メタ)アクリロイルオキシ基含有シラン類:3−
(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラ
ン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエト
キシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル
メチルジメトキシシランなど。
【0086】・アミノ基含有シラン類:3−アミノプロ
ピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエト
キシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラ
ン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルト
リメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−ア
ミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミ
ノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、
3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−(N−
ビニルベンジル−2−アミノエチル)−3−アミノプロ
ピルトリメトキシシラン、3−アニリノプロピルトリメ
トキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリ
メトキシシランなど。
【0087】・メルカプト基含有シラン類:3−メルカ
プトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロ
ピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチ
ルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジ
エトキシシランなど。
【0088】・エポキシ基含有シラン類:3−グリシド
キシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプ
ロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロ
ピルトリエトキシシランなど。
【0089】・イソシアネート基含有シラン類:3−イ
ソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシ
アネートプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネ
ートプロピルメチルジメトキシシラン、3−イソシアネ
ートプロピルメチルジエトキシシランなど。
【0090】被覆組成物(B)における上記シリル基含
有化合物(b)の量は、硬化性成分(多官能性化合物
(a)と単官能性化合物の合計)100重量部に対して
0.01〜200重量部、特に0.1〜100重量部が
好ましい。
【0091】本発明において、多官能性化合物(a)を
硬化させるために、通常、被覆組成物(B)は、光重合
開始剤を含む。
【0092】光重合開始剤としては、公知のものを使用
でき、透明硬化物層において複数の光重合開始剤を使用
してもよいが、特に入手容易な市販のものが好ましい。
【0093】光重合開始剤としては、アリールケトン系
光重合開始剤(例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェ
ノン類、アルキルアミノベンゾフェノン類、ベンジル
類、ベンゾイン類、ベンゾインエーテル類、ベンジルジ
メチルケタール類、ベンゾイルベンゾエート類、α−ア
シロキシムエステル類など)、含イオウ系光重合開始剤
(例えば、スルフィド類、チオキサントン類など)、ア
シルホスフィンオキシド系光重合開始剤、ジアシルホス
フィンオキシド系光重合開始剤、その他の光重合開始剤
等が挙げられるが、特に、アシルホスフィンオキシド系
光重合開始剤及びジアシルホスフィンオキシド系光重合
開始剤が好ましく使用される。また、光重合開始剤は、
アミン類などの光増感剤と組み合わせて使用しても良
い。
【0094】即ち、具体的な光重合開始剤としては、例
えば以下のような化合物が挙げられる。
【0095】4−フェノキシジクロロアセトフェノン、
4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、4−t−ブ
チル−トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフ
ェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプ
ロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)
−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1
−(4−ドデシルフェニル)−2−メチルプロパン−1
−オン、1−{4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニ
ル}−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オ
ン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2
−メチル−1−{4−(メチルチオ)フェニル}−2−
モルホリノプロパン−1−オン。
【0096】ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチル
エーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソ
プロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベ
ンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン、ベンゾイル
安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベ
ンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化
ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベ
ンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラキス(t−
ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、9,1
0−フェナントレンキノン、カンファーキノン、ジベン
ゾスベロン、2−エチルアントラキノン、4,4’−ジ
エチルイソフタロフェノン、α−アシロキシムエステ
ル、メチルフェニルグリオキシレート。
【0097】4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニル
スルフィド、チオキサントン、2−クロルチオキサント
ン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオ
キサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジ
クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサント
ン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン。
【0098】2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェ
ニルホスフィンオキシド、ベンゾイルジフェニルホスフ
ィンオキシド、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニル
ホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾ
イル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオ
キシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フ
ェニルホスフィンオキシド。
【0099】そして、被覆組成物(B)における上記光
重合開始剤の量は、硬化性成分(多官能性化合物(a)
と単官能性化合物の合計)100重量部に対して0.0
1〜20重量部、特に0.1〜10重量部が好ましい。
【0100】また、被覆組成物(B)は、上記基本的成
分以外に,必要に応じて種々の配合剤(例えば、光安定
剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱重合防止剤などの安
定剤、レベリング剤、消泡剤、増粘剤、沈降防止剤、顔
料、分散剤、帯電防止剤、防曇剤などの界面活性剤類、
酸、アルカリ及び塩類などから選ばれる硬化触媒等)を
含んでいても良い。
【0101】また、被覆組成物(B)の層を形成するた
めの被覆組成物(B)含有塗工液においては、溶剤は通
常必須の成分であり、多官能性化合物(a)が特に低粘
度の液体でない限り溶剤が使用される。
【0102】上記溶剤としては、多官能性化合物(a)
を硬化成分とする被覆用組成物(B)に通常使用される
溶剤を使用することができる。また後述する原料コロイ
ド状シリカの分散媒を、そのまま溶剤としても使用でき
るが、基材の種類により適切な溶剤を選択して用いるこ
とが好ましい。
【0103】即ち、例えば、後述するコロイド状シリカ
の修飾するための加水分解に用いる溶媒として挙げた、
低級アルコール類、ケトン類、エーテル類、セロソルブ
類などの溶剤、酢酸n−ブチル、ジエチレングリコール
モノアセテートなどのエステル類、ハロゲン化炭化水素
類、炭化水素類などが挙げられるが、耐溶剤性の低い芳
香族ポリカーボネート樹脂の被覆には、低級アルコール
類、セロソルブ類、エステル類、それらの混合物などが
適当である。
【0104】溶剤の量は、必要とする組成物の粘度、目
的とする硬化被膜の厚さ、乾燥温度条件などにより適宜
変更することができるが、通常は、組成物中の硬化性成
分に対して100倍重量以下、好ましくは0.1〜50
倍重量用いる。
【0105】被覆組成物(B)を硬化させる活性エネル
ギー線としては、特に限定されないが、紫外線が好まし
い。紫外線源としてはキセノンランプ、パルスキセノン
ランプ、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタ
ルハライドランプ、カーボンアーク灯、タングステンラ
ンプ等が使用できる。
【0106】被覆組成物(B)を用いて形成される硬化
物の層の厚さは、1〜50μmであることが好ましく、
より好ましくは2〜30μmである。
【0107】この層厚が50μm超では、活性エネルギ
ー線による硬化が不充分になり基材との密着性が損なわ
れやすく、1μm未満では、この層の耐磨耗性が不充分
となるおそれがあり、またこの層の上に形成される最外
層の耐磨耗性や耐擦傷性が充分発現できないおそれがあ
る。
【0108】本発明において、最外層に直接接する透明
硬化物内層の耐磨耗性や硬度を高めるため、被覆組成物
(B)に、平均粒径200nm以下のコロイド状シリカ
を添加してもよい。
【0109】上記コロイド状シリカの平均粒径は、1〜
100nmであることが好ましく、特に1〜50nmが
好ましい。
【0110】また、上記コロイド状シリカの添加量は、
透明硬化物層の硬化性成分(多官能性化合物(a)と単
多官能性化合物の合計)100重量部に対して5重量部
以上、より好ましくは、10重量部以上であることが好
ましい。
【0111】上記添加量が少ない場合には、充分な耐磨
耗性が得られ難く、多すぎると被膜に曇り(ヘーズ)が
発生しやすくなり、また得られた透明被覆成形品を熱曲
げ加工などの2次加工を行う場合にはクラックが生じ易
くなる等の問題を生じる。
【0112】従って、透明硬化物層の硬化性成分におけ
るコロイド状シリカ量の上限は、硬化性成分100重量
部に対して300重量部であることが好ましい。
【0113】即ち、最も好ましいコロイド状シリカの量
は、硬化性成分100重量部に対して50〜250重量
部である。
【0114】コロイド状シリカとしては、表面未修飾の
コロイド状シリカを使用できるが、好ましくは表面修飾
されたコロイド状シリカ(以下、修飾コロイド状シリカ
とする)を使用する。
【0115】表面修飾されたコロイド状シリカを使用す
ることにより、被覆組成物(B)中のコロイド状シリカ
の分散安定性が向上し、コロイド状シリカと多官能性化
合物(a)との密着性が向上する。
【0116】修飾によってコロイド状シリカ微粒子の平
均粒径は、実質的に変化しないか多少大きくなると考え
られるが、得られる修飾コロイド状シリカの平均粒径は
上記範囲のものであると考えられる。
【0117】以下、修飾コロイド状シリカについて説明
する。コロイド状シリカの分散媒としては、種々の分散
媒が知られており、原料コロイド状シリカの分散媒は特
に限定されず、必要により分散媒を変えて修飾を行うこ
とができる。また修飾後に分散媒を変えることもできる
が、製造の容易さなどの理由により、原料コロイド状シ
リカの分散媒、修飾コロイド状シリカの分散媒、及び透
明硬化物層の硬化組成物の媒体は、すべて同一の媒体
(溶媒)であることが好ましい。
【0118】このような媒体としては、乾燥性などの面
から比較的低沸点の溶媒である通常の塗料用溶媒が好ま
しく、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロ
パノール、n−ブタノール、2−メチルプロパノール、
4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチレ
ングリコールのような低級アルコール類。
【0119】メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブ
チルセロソルブ等のセロソルブ類。ジメチルアセトアミ
ド、トルエン、キシレン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢
酸ブチル、アセトン等が挙げられるが、有機溶媒が好ま
しく、上記有機溶媒の中ではさらにアルコール類及びセ
ロソルブ類が好ましい。
【0120】なお、コロイド状シリカとそれを分散させ
ている分散媒との一体物を以下、コロイド状シリカ分散
液という。
【0121】コロイド状シリカの修飾は、加水分解性ケ
イ素基又は水酸基が結合したケイ素基を有する化合物
(以下、修飾剤とする)を用いて行うことが好ましい。
【0122】即ち、加水分解性ケイ素基の加水分解によ
ってシラノール基が生じ、これらシラノール基が、コロ
イド状シリカ表面に存在すると考えられるシラノール基
と反応して結合し、修飾剤がコロイド状シリカ表面に結
合すると考えられる。
【0123】上記修飾剤は、2種以上を併用してもよ
く、また後述するように、互いに反応性の反応性官能基
を有する修飾剤2種をあらかじめ反応させて得られる反
応生成物を修飾剤として用いることもできる。
【0124】即ち、修飾剤は、2個以上の加水分解性ケ
イ素基や、シラノール基を有していている物、加水分解
性ケイ素基を有する化合物の部分加水分解縮合物や、シ
ラノール基を有する化合物の部分縮合物等が使用でき
る。好ましくは、1個の加水分解性ケイ素基を有する化
合物が用いられる(修飾処理過程で部分加水分解縮合物
が生じてもよい)。更に好ましくは、ケイ素原子に結合
した有機基を有し、かつその有機基の1個以上が、反応
性官能基を有する有機基である化合物が用いられる。
【0125】上記反応性官能基としては、例えば、アミ
ノ基、メルカプト基、エポキシ基及び(メタ)アクリロ
イルオキシ基が挙げられる。
【0126】また、上記反応性官能基が結合する有機基
としては、反応性官能基を除いて炭素数8以下のアルキ
レン基やフェニレン基が好ましく、特に炭素数2〜4の
アルキレン基(特にポリメチレン基)が好ましい。
【0127】従って、具体的な修飾剤としては、反応性
官能基の種類によって分けると、前記したシランカップ
リング剤、例えば、(メタ)アクリロイルオキシ基含有
シラン類、アミノ基含有シラン類、メルカプト基含有シ
ラン類、エポキシ基含有シラン類、イソシアネート基含
有シラン類のような化合物が挙げられる。
【0128】また、互いに反応性の反応性官能基を有す
る修飾剤2種をあらかじめ反応させて得られる反応生成
物としては、例えば、 ・アミノ基含有シラン類とエポキシ基含有シラン類との
反応生成物 ・アミノ基含有シラン類と(メタ)アクリロイルオキシ
基含有シラン類との反応生成物 ・エポキシ基含有シラン類とメルカプト基含有シラン類
との反応生成物 ・メルカプト基含有シラン類同士2分子の反応生成物 等が挙げられる。
【0129】コロイド状シリカの修飾において、上記修
飾剤の使用量は、特に限定されないが、コロイド状シリ
カ(分散液中の固形分)100重量部に対し、修飾剤1
〜100重量部が適当である。
【0130】修飾剤の量が、1重量部未満では表面修飾
の効果が得られにくく、100重量部超では、未反応の
修飾剤やコロイド状シリカ表面に担持されていない修飾
剤の加水分解物−縮合物が多量に生じ、透明被覆層(硬
化組成物)の硬化の際、それらが連鎖移動剤として働い
たり、硬化後の被膜の可塑剤として働き、硬化被膜の硬
度を低下させるおそれが生じる。
【0131】コロイド状シリカの修飾は、通常、上述し
たような修飾剤を触媒存在下にコロイド状シリカに接触
させて加水分解することにより行われる。
【0132】上記触媒としては、酸やアルカリが挙げら
れるが、好ましくは無機酸及び有機酸から選ばれる酸を
使用する。
【0133】上記無機酸としては、例えば塩酸、フッ化
水素酸、臭化水素酸等のハロゲン化水素酸や硫酸、硝
酸、リン酸等、有機酸としては、ギ酸、酢酸、シュウ
酸、アクリル酸、メタクリル酸等を使用することができ
る。
【0134】また反応温度は、室温〜用いる溶媒の沸点
までの間が好ましく、反応時間は温度にもよるが0.5
〜24時間の範囲で行うことが好ましい。
【0135】・被覆組成物(C)の説明 被覆組成物(C)は、ポリシラザン(c)を含む。ポリ
シラザン(c)は、鎖状、環状もしくは架橋構造を有す
る重合体、又は分子内に上記複数の構造の混合物からな
り、より緻密な構造のシリカを形成するため、表面特性
の優れた最外層を得ることができる。
【0136】上記ポリシラザン(c)としては、実質的
に有機基を含まないポリシラザン(ペルヒドロポリシラ
ザン)、アルコキシ基などの加水分解性基がケイ素原子
に結合したポリシラザン、ケイ素原子にアルキル基など
の有機基が結合しているポリシラザンなどが挙げられる
が、特にペルヒドロポリシラザンは、その焼成温度の低
さ及び焼成後の硬化被膜の緻密さの点で好ましい。な
お、ポリシラザンが充分に硬化した硬化物は、窒素原子
をほとんど含まないシリカとなる。
【0137】また、上記ポリシラザン(c)の分子量と
しては、数平均分子量で200〜5万であるものが好ま
しい。数平均分子量が200未満では、焼成しても均一
な硬化被膜が得られにくく、数平均分子量が、5万超で
は溶剤に溶解しにくくなり、また被覆組成物(C)が粘
稠になるおそれがあるため好ましくない。
【0138】被覆組成物(C)の層を形成するための塗
工液は、通常、ポリシラザンを溶解する用材を含む。
【0139】ポリシラザンを溶解する溶剤としては、脂
肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等の炭
化水素溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒、脂肪族エーテ
ル、脂環式エーテル等のエーテル類が使用することがで
きる。
【0140】具体的には、ペンタン、ヘキサン、イソヘ
キサン、メチルペンタン、ヘプタン、イソヘプタン、オ
クタン、イソオクタン、シクロペンタン、メチルシクロ
ペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベ
ンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の炭化
水素、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ブロ
モホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1−ジクロロ
エタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン等のハ
ロゲン化炭化水素、エチルエーテル、イソプロピルエー
テル、エチルブチルエーテル、ブチルエーテル、ジオキ
サン、ジメチルジオキサン、テトラヒドロフラン、テト
ラヒドロピラン等のエーテル類などが挙げられる。
【0141】上記溶剤を使用する場合、ポリシラザンの
溶解度や溶剤の蒸発速度を調節するために複数の種類の
溶剤を混合して用いても良い。
【0142】また、上記溶剤の使用量は、採用される塗
工方法及びポリシラザンの構造や平均分子量などにより
適宜選択できるが、固形分濃度で0.5〜80重量%の
範囲で調製することが好ましい。
【0143】ポリシラザンを硬化させてシリカとするた
めには、通常、焼成と呼ばれる加熱が必要であるが、本
発明においては、基材が合成樹脂であるため、その焼成
温度は制限される。
【0144】本発明においては、一般的に被覆組成物
(B)の硬化物の耐熱性は、基材のそれよりも高い。し
かし、場合によっては被覆組成物(B)の硬化物の耐熱
性が、基材の耐熱性よりも低い場合があり、その場合は
上記硬化物の耐熱温度よりも低い温度で焼成する必要が
ある。
【0145】従って、本発明においてポリシラザンの焼
成生温度は、芳香族ポリカーボネート樹脂などの通常の
合成樹脂を基材とする場合は180℃以下とすることが
好ましい。
【0146】本発明において、ポリシラザンを低温で硬
化させる際には、触媒を使用することが好ましく、その
触媒の種類や量により室温での硬化が可能となる。ま
た、硬化を行う雰囲気としては空気中などの酸素の存在
する雰囲気であることが好ましい。
【0147】触媒としては、より低温でポリシラザンを
硬化させることのできる触媒を用いることが好ましい。
そのような触媒としては、公知の物が使用でき、例え
ば、特開平7−196986号公報に記載されている
金、銀、パラジウム、白金、ニッケル等の金属の微粒
子、及び特開平5−93275号公報に記載されている
それらのカルボン酸錯体等が挙げられる。
【0148】また、触媒を使用する際には、触媒をポリ
シラザン溶液に添加しておくのではなく、特開平9−3
1333号公報に記載されているように、触媒溶液、具
体的にはアミン水溶液等に直接被覆成型物を接触させ
る、もしくはその蒸気に一定時間曝すといった方法が挙
げられる。
【0149】また、被覆組成物(C)には、必要に応じ
て紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤などの安定剤、
レベリング剤、消泡剤、増粘剤、沈降防止剤、顔料、分
散剤、帯電防止剤、防曇剤などの界面活性剤類を適宜配
合して用いても良い。
【0150】本発明において、被覆組成物(C)を用い
て形成される硬化物の層の厚さは、0.05〜10μm
であることが好ましく、より好ましくは0.1〜3μm
である。
【0151】この最外層の層厚が、10μm超では、耐
擦傷性などの表面特性の向上がそれ以上の期待できない
上、層が脆くなり被覆成形品のわずかな変形によっても
最外層にクラック等が生じやすくなり、0.05μm未
満では、この最外層の耐磨耗性や耐擦傷性が充分発現で
きないおそれがある。
【0152】そして、上述した2種類の被覆組成物
(B)、(C)を用いて形成される2層の透明な硬化物
の層(透明硬化物層(A))を形成する方法としては、
例えば、基材上にまず被覆組成物(B)を塗工して硬化
させ、次にその硬化物の表面に被覆組成物(C)を塗工
して硬化させる等の通常の被覆手法を採用することがで
きる。
【0153】また、第2の内層を有する場合は、塗工
後、乾燥して溶剤を除き(第2の内層の組成物が溶剤を
含んでいる場合)、次いで、被覆組成物(B)を用いた
層を、紫外線等を照射して硬化させ、被覆組成物(C)
を用いた層は、加熱又は室温に放置もしくは被覆組成物
(C)の硬化触媒溶液の蒸気に曝すことで硬化させる。
【0154】上記被覆組成物を塗工する手段は、特に制
限されず、例えば、ディップ法、フローコート法、スプ
レー法、バーコート法、グラビアコート法、ロールコー
ト法、ブレードコート法、エアーナイフコート法、スピ
ンコート法、スリットコート法、マイクログラビアコー
ト法等の公知の方法を採用することができる。
【0155】また、被覆組成物(B)の硬化と被覆組成
物(C)の塗工〜硬化の組み合わせ(タイミング)とし
ては、以下の方法が挙げられる。
【0156】1)被覆組成物(B)を塗工した後に充分
な量の活性エネルギー線を照射して充分に硬化を終了さ
せた後、組成物(C)をその上に塗工する方法(上記し
た方法)。
【0157】2)被覆組成物(B)を塗工して被覆組成
物(B)の未硬化物の層を形成した後、その未硬化物層
の上に被覆組成物(C)塗工して被覆組成物(C)の未
硬化物の層を形成し、その後に充分な量の活性エネルギ
ー線を照射して被覆組成物(B)の未硬化物の硬化を終
了させる方法。この場合、被覆組成物(C)の未硬化物
は、被覆組成物(B)の未硬化物の硬化後、室温放置も
しくは触媒溶液の蒸気中に曝されることにより硬化され
る。
【0158】3)被覆組成物(B)を塗工した後に、指
触乾燥状態になる最低限の活性エネルギー線(通常、約
300mJ/cm2までの照射量)を一旦照射して被覆
組成物(B)の部分硬化物の層を形成した後、その部分
硬化物層の上に被覆組成物(C)塗工して被覆組成物
(C)の未硬化物の層を形成し、その後に充分な量の活
性エネルギー線を照射して被覆組成物(B)の未硬化物
の硬化を終了させる方法。なお、被覆組成物(C)の未
硬化物の硬化方法は、上記2)の場合と同様である。
【0159】本発明においては、2つの硬化物層の層間
密着力を上げるためには、上記2)又は3)の方法が好
ましい。
【0160】ただし、2)の方法の場合は、被覆組成物
(C)塗工する方法としてディップ法を用いると、被覆
組成物(B)の未硬化物の成分が、被覆組成物(C)の
ディップ液を汚染するおそれがあるため、このようなデ
ィップ法による塗工は適さないなどの制約がある。
【0161】本発明においては、上述した方法により、
基材の両面又は片面に上記した少なくとも2層からなる
透明硬化物層(A)を形成する。
【0162】本発明の透明被覆成形品の特徴として、そ
の耐磨耗性や耐擦傷性などの表面特性が、ガラスとほぼ
同等のレベルを有することから、従来ガラスが用いられ
ていた車両用窓材としての用途など各種用途に使用でき
る。
【0163】本発明において、曲げ加工した成形品(車
両用窓材用途等)を製造する場合、予め曲げ加工された
基材を用いて透明硬化物層(A)を形成することもでき
るが、被覆組成物(B)の部分硬化物層の上に、被覆組
成物(C)の未硬化物や部分硬化物の層を形成した状態
で曲げ加工することが好ましい。
【0164】即ち、予め曲げ加工された基材を用いた場
合、塗工〜硬化による各層の形成が困難となることがあ
り、また、被覆組成物(B)の硬化物の層が形成された
基材は、熱曲げ加工等により曲げ加工することができる
が、被覆組成物(C)の硬化物の層が形成された場合
は、その硬化物が硬いため、曲げ加工することが困難に
なるからである。
【0165】曲げ加工した後、ないし曲げ加工とほぼ同
時に被覆組成物(C)の未硬化物や部分硬化物を硬化さ
せることにより、目的とする曲げ加工された被覆成形品
を得ることができる。
【0166】曲げ加工は、加熱状態で加工を行うため、
曲げ加工時の加熱によって被覆組成物(C)の未硬化物
や部分硬化物は硬化するが、通常は、曲げ加工に要する
時間に比較して、被覆組成物(C)の未硬化物や部分硬
化物の硬化に要する時間が長いため、被覆組成物(C)
の硬化によって曲げ加工が困難になるおそれは少ない。
【0167】従って、本発明の曲げ加工された被覆成形
品は、基材上に被覆組成物(B)の部分硬化物の層、及
びその層の表面に被覆組成物(C)の未硬化物ないし部
分硬化物の層を形成した後、これらの層を有する基材を
曲げ加工し、次いで被覆組成物(C)の未硬化物ないし
部分硬化物を、及び被覆組成物(B)の部分硬化物を硬
化させることにより製造することができる。
【0168】具体的には、例えば、被覆組成物(C)の
未硬化物や部分硬化物の層を形成した後、基材の熱軟化
温度に5分間程度加熱し、続いて曲げ加工を施す。その
後被覆組成物(C)の未硬化物や部分硬化物が硬化しう
る温度に保持又は室温に放置、もしくは被覆組成物
(C)の硬化触媒溶液の蒸気に曝して硬化させることに
より、本発明の曲げ加工された被覆成形品を得ることが
できる。
【0169】上述したような方法をとることにより、被
覆組成物(C)が充分に硬化する前に基材が変形し、そ
の後、硬いシリカの層が形成されるため、シリカ層にク
ラック等の不具合が生じることがない。
【0170】本発明における透明合成樹脂基材の材料と
しては、特に制限はなく、各種透明合成樹脂を使用する
ことができる。例えば、芳香族ポリカーボネート樹脂、
ポリメチルメタクリレート樹脂(アクリル樹脂)、ポリ
スチレン樹脂等の透明合成樹脂が挙げられるが、特に芳
香族ポリカーボネート樹脂からなる基材が好ましく用い
られる。
【0171】また、透明合成樹脂基材は成形されたもの
であればよく、例えば、平板や波板などのシート状基
材、フィルム状基材、各種形状に成形された基材、又は
少なくとも表面層が各種透明合成樹脂からなる積層体等
が挙げられるが、特に(曲げ加工されていない)平板状
の基材が好ましく用いられる。
【0172】また、基材の厚さはその用途により適宜選
択できるが、例えば、窓材などの用途に使用する場合、
シートの厚さは1〜100mmであることが好ましい。
【0173】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説
明する。合成例(例1〜2)、実施例(例3〜16)、
比較例(例17〜20)に基づき説明するが、本発明は
これらに限定されない。例3〜20については、基材と
して厚さ3mmの透明な芳香族ポリカーボネート樹脂板
(150mm×300mm)を用い、各種物性の測定及
び評価は、以下に示す方法で行い、その結果を表1に示
した。
【0174】(初期曇価、耐磨耗性)JIS−R321
2における耐磨耗試験法により、2つのCS−10F磨
耗輪に、それぞれ500gの重りを組み合わせ500回
転させたときの曇価(ヘーズ)をヘーズメータにて測定
した。曇価の測定は、磨耗サイクル軌道の4カ所で行
い、平均値を算出した。初期曇価は、耐磨耗試験前の曇
価の値(%)を、耐磨耗性は(磨耗試験後曇価)−(磨
耗試験前曇価)の値(%)を示す。
【0175】(密着性)剃刀の刃でサンプルを、縦横そ
れぞれ1mm間隔で11本の切れ目を付け、100個の
碁盤目を作る。そして、市販のセロハンテープをよく密
着させた後、90度手前方向に急激にはがした際の、被
膜が剥離せずに残存した碁盤目の数(m)をm/100
で表す。
【0176】(耐湿試験後耐磨耗性)サンプルを60
℃、相対湿度95%の条件で2週間保持した後に、上述
したJIS−R3212における耐磨耗試験法により、
同様にして曇価の測定を行った。
【0177】(耐候性)サンシャインウェザーメータを
用いてブラックパネル温度63℃で、降雨12分、乾燥
48分のサイクルで3000時間暴露後、外観の評価を
行った。
【0178】(曲げ加工)サンプルを170℃の熱風循
環オーブン中で5分間保持し、取り出した直後に透明硬
化物層塗工面が凸側になるように、180mmRの曲率
を持つ型に押しつけ、曲げ加工を施した。
【0179】例1 エチルセロソルブ分散型コロイド状シリカ(シリカ含量
30重量%、平均粒径11nm)100重量部に、3−
メルカプトプロピルトリメトキシシラン5重量部と0.
1N塩酸3.0重量部を加え、100℃にて6時間加熱
撹拌した後、12時間室温下で熟成することにより、メ
ルカプトシラン修飾コロイド状シリカ分散液を得た。
【0180】例2 エチルセロソルブ分散型コロイド状シリカ(シリカ含量
30重量%、平均粒径11nm)100重量部に、3−
アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン5重量
部と0.1N塩酸3.0重量部を加え、100℃にて6
時間加熱撹拌した後、12時間室温下で熟成することに
より、アクリルシラン修飾コロイド状シリカ分散液を得
た。
【0181】例3 撹拌機及び冷却管を装着した100mlの4つ口フラス
コに、イソプロパノール15g、酢酸ブチル15g、エ
チルセロソルブ7.5g、2,4,6−トリメチルベン
ゾイルジフェニルホスフィンオキシド150mg、2−
(3,5−ジ−t−ペンチル−2−ヒドロキシフェニ
ル)ベンゾトリアゾール1000mg、3−アクリロイ
ルオキシプロピルトリメトキシシラン300mg、及び
N−メチル−4−メタクリロイロキシ−2,2,6,6
−テトラメチルピペリジン200mgを加え溶解させ、
続いてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート1
0.0gを加え、常温で1時間撹拌して被覆用組成物
(以下、塗工液1とする)を得た。
【0182】基材にバーコータを用いて、この塗工液1
を塗工(ウエット厚み30μm)して、80℃の熱風循
環オーブン中で5分間保持した。これを空気雰囲気中、
高圧水銀灯を用いて2000mJ/cm2(波長300
〜390nm領域の紫外線積算エネルギー量、以下同
じ)の紫外線を照射し、膜厚7μmの透明被覆層の硬化
物を形成した。
【0183】次に、この上にさらに低温硬化性のペルヒ
ドロポリシラザンのキシレン溶液(固形20重量%、東
燃株式会社製 商品名「L110」)(以下、塗工液2
とする)をもう一度バーコータを用いて塗工(ウエット
厚み3μm)して、80℃の熱風循環オーブン中で10
分間保持し溶剤を除去した後、再度空気雰囲気中、高圧
水銀灯を用いて2000mJ/cm2の紫外線を照射し
た。続いて100℃の熱風循環オーブン中で120分間
保持することで最外層を充分に硬化させた。
【0184】そして、IR分析により最外層が、ほぼ完
全なシリカ被膜になっていることを確認した。こうして
芳香族ポリカーボネート樹脂板上に総膜厚7.6μmの
透明硬化物層を形成した。このサンプルを用いて上記測
定を行った。
【0185】一方、上記塗工液1を用いて、充分硬化さ
せた透明硬化物層を形成した芳香族ポリカーボネート樹
脂板の別のサンプルについて、その透明硬化物層表面の
耐磨耗性を評価した。100回転後の耐磨耗性は2.7
%であった。
【0186】例4 サンプル調整方法を、以下のように変更した以外は、例
3と同様にした。塗工液1を塗工して、80℃の熱風循
環オーブン中で5分間保持した。これを空気雰囲気中、
高圧水銀灯を用いて150mJ/cm2の紫外線を照射
し、膜厚7μmの透明被覆層の硬化物を形成した。この
サンプルを用いて上記測定を行った。
【0187】例5 サンプル調整方法を、以下のように変更した以外は、例
4と同様にした。最後に100℃の熱風循環オーブン中
で120分間保持する代わりに、23℃、相対湿度55
%の環境下で1日養生した。このサンプルを用いて上記
測定を行った。
【0188】例6 サンプル調整方法を、以下のように変更した以外は、例
3と同様にした。塗工液2を、触媒未添加のペルヒドロ
ポリシラザンのキシレン溶液(固形20重量%、東燃株
式会社製 商品名「V110」)(以下、塗工液3とす
る)に変更した。このサンプルを用いて上記測定を行っ
た。
【0189】例7 サンプル調整方法を、以下のように変更した以外は、例
6と同様にした。塗工液1を塗工して、80℃の熱風循
環オーブン中で5分間保持した。これを空気雰囲気中、
高圧水銀灯を用いて150mJ/cm2の紫外線を照射
し、膜厚7μmの透明被覆層の硬化物を形成した。この
サンプルを用いて上記測定を行った。
【0190】例8 サンプル調整方法を、以下のように変更した以外は、例
7と同様にした。最後に100℃の熱風循環オーブン中
で120分間保持する代わりに、23℃、相対湿度55
%の環境下で1日養生した。このサンプルを用いて上記
測定を行った。
【0191】例9 サンプル調整方法を、以下のように変更した以外は、例
8と同様にした。最後に23℃、相対湿度55%の環境
下で1日養生する代わりに、25℃に保たれた3%トリ
エチルアミン水溶液の浴の上に3分保持することで硬化
させた。このサンプルを用いて上記測定を行った。
【0192】例10 撹拌機及び冷却管を装着した100mlの4つ口フラス
コに、イソプロパノール15g、酢酸ブチル15g、エ
チルセロソルブ7.5g、2,4,6−トリメチルベン
ゾイルジフェニルホスフィンオキシド150mg、2−
(3,5−ジ−t−ペンチル2−ヒドロキシフェニル)
ベンゾトリアゾール1000mg、ヘキサメチルジシラ
ザン300mg、およびN−メチル−4−メタクリロイ
ロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン20
0mgを加え溶解させ、続いてジペンタエリスリトール
ヘキサアクリレート10.0gを加え,常温で1時間撹
拌して被覆用組成物(以下、塗工液4とする)を得た。
【0193】塗工液1の代わりに塗工液4を用いて、例
3と同様にサンプルを作成した。このサンプルを用いて
上記測定を行った。
【0194】一方、上記塗工液4を用いて充分硬化させ
た透明硬化物層を形成した芳香族ポリカーボネート樹脂
板の別のサンプルについて、その透明硬化物層表面の耐
磨耗性を評価した。100回転後の耐磨耗性は3.1%
であった。
【0195】例11 サンプル調整方法を、以下のように変更した以外は、例
10と同様にした。塗工液4を塗工して、80℃の熱風
循環オーブン中で5分間保持した。これを空気雰囲気
中、高圧水銀灯を用いて150mJ/cm2の紫外線を
照射し、膜厚7μmの透明被覆層の硬化物を形成した。
このサンプルを用いて上記測定を行った。
【0196】例12 サンプル調整方法を、以下のように変更した以外は、例
11と同様にした。最後に100℃の熱風循環オーブン
中で120分間保持する代わりに、23℃、相対湿度5
5%の環境下で1日養生した。このサンプルを用いて上
記測定を行った。
【0197】例13 撹拌機及び冷却管を装着した100mlの4つ口フラス
コに、イソプロパノール15g、酢酸ブチル15g、エ
チルセロソルブ7.5g、2,4,6−トリメチルベン
ゾイルジフェニルホスフィンオキシド150mg、2−
(3,5−ジ−t−ペンチル2−ヒドロキシフェニル)
ベンゾトリアゾール1000mg、3−アクリロイルオ
キシプロピルトリメトキシシラン300mg、およびN
−メチル−4−メタクリロイロキシ−2,2,6,6−
テトラメチルピペリジン200mgを加え溶解させ、続
いてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート10.
0gを加え常温で1時間撹拌して被覆用組成物を得た。
続いて、例1で合成したメルカプトシラン修飾コロイド
状シリカ分散液を30.3g加え、さらに室温で15分
撹拌して被覆用組成物(以下、塗工液5とする)を得
た。
【0198】塗工液1の代わりに塗工液5を用い、例5
と同様にしてサンプルを作成した。このサンプルを用い
て上記測定を行った。
【0199】一方、上記塗工液5を用いて充分硬化させ
た透明硬化物層を形成した芳香族ポリカーボネート樹脂
板の別のサンプルについて、その透明硬化物層表面の耐
磨耗性を評価した。100回転後の耐磨耗性は1.1%
であった。
【0200】例14 撹拌機及び冷却管を装着した100mlの4つ口フラス
コに、イソプロパノール15g、酢酸ブチル15g、エ
チルセロソルブ7.5g、2,4,6−トリメチルベン
ゾイルジフェニルホスフィンオキシド150mg、2−
(3,5−ジ−t−ペンチル2−ヒドロキシフェニル)
ベンゾトリアゾール1000mg、3−アクリロイルオ
キシプロピルトリメトキシシラン300mg、およびN
−メチル−4−メタクリロイロキシ−2,2,6,6−
テトラメチルピペリジン200mgを加え溶解させ、続
いてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート10.
0gを加え常温で1時間撹拌して被覆用組成物を得た。
続いて、例2で合成したアクリルシラン修飾コロイド状
シリカ分散液を30.3g加えさらに室温で15分撹拌
して被覆用組成物(以下、塗工液6という)を得た。
【0201】塗工液1の代わりに塗工液6を用い、例5
と同様にしてサンプルを作成した。このサンプルを用い
て上記測定を行った。
【0202】一方、上記塗工液6を用いて、充分硬化さ
せた透明硬化物層を形成した芳香族ポリカーボネート樹
脂板の別のサンプルについて、その透明硬化物層表面の
耐磨耗性を評価した。100回転後の耐磨耗性は1.2
%であった。
【0203】例15 例4におけるサンプル調整方法を、以下のように変更し
た。塗工液2をケイ素原子上の水素の一部がメチル基で
置換されたポリシラザンのキシレン溶液(固形20重量
%、東燃株式会社製 商品名「NL710」)(以下、
塗工液7とする)に変更した。このサンプルを用いて上
記測定を行った。
【0204】例16 例5におけるサンプル調整方法を、以下のように変更し
た。バーコータを用いて塗工液1を塗工(ウエット厚み
30μm)して、80℃の熱風循環オーブン中で5分間
保持した。これを空気雰囲気中、高圧水銀灯を用いて1
50mJ/cm2の紫外線を照射し、膜厚7μmの部分
硬化物層を形成した。そして、この上に塗工液2をもう
一度バーコータを用いて塗工(ウエット厚み6μm)し
て、80℃の熱風循環オーブン中で5分間保持し溶媒を
除去した後、これを空気雰囲気中、高圧水銀灯を用いて
2000mJ/cm2の紫外線を照射し、引き続いて1
70℃の熱風循環オーブン中で5分間保持し、取り出し
直後に透明硬化物層塗工面が凸側になるように、64m
mRの曲率を持つ型に押しつけ、曲げ加工を施した。そ
して、室温下で1日養生した物の外観を観察した結果、
クラックや皺のない良好な硬化物層を有していた。
【0205】一方、例5で最終的に得られた充分硬化し
た2層の硬化物層を有するサンプルを170℃の熱風循
環オーブン中で5分間保持し、取り出し直後に透明硬化
物層塗工面が凸側になるように、64mmRの曲率を持
つ型に押しつけ、曲げ加工を施した。得られたサンプル
の外観を観察した結果、硬化物層にクラックと皺が発生
していた。
【0206】例17 撹拌機及び冷却管を装着した100mlの4つ口フラス
コに、イソプロパノール15g、酢酸ブチル15g、エ
チルセロソルブ7.5g、2,4,6−トリメチルベン
ゾイルジフェニルホスフィンオキシド150mg、2−
(3,5−ジ−t−ペンチル2−ヒドロキシフェニル)
ベンゾトリアゾール1000mg、及びN−メチル−4
−メタクリロイロキシ−2,2,6,6−テトラメチル
ピペリジン200mgを加え溶解させ、続いてジペンタ
エリスリトールヘキサアクリレート10.0gを加え常
温で1時間撹拌して被覆用組成物(以下、塗工液8とす
る)を得た。
【0207】塗工液1の代わりに塗工液8を用いて、例
3と同様にサンプルを作成した。このサンプルを用いて
上記測定を行った。
【0208】一方、上記塗工液4を用いて、充分硬化さ
せた透明硬化物層を形成した芳香族ポリカーボネート樹
脂板の別のサンプルについて、その透明硬化物層表面の
耐磨耗性を評価した。100回転後の耐磨耗性は2.6
%であった。
【0209】例18 塗工液1を、バーコータを用いて塗工(ウエット厚み2
0μm)して、80℃の熱風循環オーブン中で5分間保
持した。これを空気雰囲気中、高圧水銀灯を用いて20
00mJ/cm2の紫外線を照射し、膜厚5μmの透明
硬化物層を硬化した。このサンプルを用いて上記測定を
行った。
【0210】例19 塗工液4を、バーコータを用いて塗工(ウエット厚み2
0μm)して、80℃の熱風循環オーブン中で5分間保
持した。これを空気雰囲気中、高圧水銀灯を用いて20
00mJ/cm2の紫外線を照射し、膜厚5μmの透明
硬化物層を硬化した。このサンプルを用いて上記測定を
行った。
【0211】例20 低温硬化性のペルヒドロポリシラザンのジブチルエーテ
ル溶液(固形20重量%、東燃株式会社製 商品名「L
120」)を、バーコータを用いて塗工(ウエット厚み
3μm)して、80℃の熱風循環オーブン中で10分間
保持し溶剤を除去した後、再度空気雰囲気中、高圧水銀
灯を用いて2000mJ/cm2の紫外線を照射した。
続いて100℃の熱風循環オーブン中で120分間保持
することで最外層を充分に硬化させた。このサンプルを
用いて上記測定を行った。
【0212】
【表1】
【0213】表1から、例3〜15の本発明に係る透明
硬化物層を有する各サンプルは、加水分解性シリル基含
有化合物(b)を含まないサンプル(例17)に比べ、
耐湿試験後耐磨耗性が、多官能性化合物(a)のみの被
覆層を有するサンプル(例18、19)に比べ、耐磨耗
性、耐湿試験後耐磨耗性及び耐候性が、ポリシラザン
(c)を含む組成物(C)のみの被覆層を有するサンプ
ル(例20)に比べ、耐磨耗性、耐湿試験後耐磨耗性、
密着性及び耐候性において優れていることが分かった。
そして、例17の結果は、被覆組成物(B)の中に、加
水分解性シリル基含有化合物(b)を含まないため、耐
湿試験において、最外層と内層との密着力が低下したこ
とに起因すると思われる。
【0214】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
透明硬化物層(A)が、少なくとも最外層及び内層の2
層の構成からなり、最外層のシリカの被膜が、相対的に
柔らかい透明合成樹脂基材上に直接積層されているので
はなく、耐磨耗性の高い硬い透明硬化物内層上に積層さ
れているため、透明被覆成型品に対して傷を付けようと
して加えられた外力による最外層の変位が小さくなり、
通常の無機質被膜が与える表面特性以上の表面特性を得
ることができる。また、最外層のシリカ層との親和性が
高い加水分解性シリル基含有化合物(b)を内層のネッ
トワークの中に取り入れて、内層とシリカ層の密着性を
向上させることにより、シリカ層の耐磨耗性や耐擦傷性
などの表面特性を改善している。
【0215】以上の構成により、本発明によれば、ほぼ
無機ガラスに匹敵する高い耐摩耗性の表面を有する表面
特性に優れた透明被覆成形品を得ることができる。
フロントページの続き (72)発明者 近藤 聡 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社内 Fターム(参考) 4F100 AA20B AH03C AH06B AH06C AH06H AK01A AK25 AK45 AK79C AL05B AL05C BA03 BA07 BA32 DC21 EJ54 GB90 JB12C JB14B JK09 JK12 JN01 JN01A JN01B JN01C JN30B YY00B 4J038 DL031 DL032 DL081 FA111 FA112 FA131 FA132 FA151 FA152 FA161 FA162 FA171 FA172 FA251 FA252 FA281 FA282 HA446 JC30 JC35 KA03 KA06 KA14 NA01 NA03 NA11 PA17 PB08 PC08

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明合成樹脂基材及び透明合成樹脂基材
    表面の少なくとも一部に設けられた、少なくとも最外層
    と内層の2層からなる透明硬化物層(A)を有する透明
    被覆成形品において、上記透明硬化物層(A)のうち、
    最外層に接する内層が、活性エネルギー線硬化性の重合
    性官能基を2個以上有する多官能性化合物(a)と加水
    分解性シリル基含有化合物(b)を含有する活性エネル
    ギー線硬化性被覆組成物(B)の硬化物の層であり、最
    外層がポリシラザン(c)を含む被覆組成物(C)の硬
    化物であるシリカ層であることを特徴とする透明被覆成
    形品。
  2. 【請求項2】 上記被覆組成物(B)が、平均粒径20
    0nm以下のコロイド状シリカを含む請求項1記載の透
    明被覆成形品。
  3. 【請求項3】 上記被覆組成物(B)の硬化物が、JI
    S−R3212における耐磨耗性試験による試験回数1
    00回後の曇価が10%以下の耐磨耗性を有する硬化物
    である請求項1又は2記載の透明被覆成形品。
  4. 【請求項4】 上記ポリシラザン(c)が、少なくとも
    一部ペルヒドロポリシラザンからなる被覆組成物(C)
    である請求項1〜3記載の透明被覆成形品。
JP11031382A 1999-02-09 1999-02-09 透明被覆成形品 Withdrawn JP2000229383A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11031382A JP2000229383A (ja) 1999-02-09 1999-02-09 透明被覆成形品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11031382A JP2000229383A (ja) 1999-02-09 1999-02-09 透明被覆成形品

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000229383A true JP2000229383A (ja) 2000-08-22

Family

ID=12329714

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11031382A Withdrawn JP2000229383A (ja) 1999-02-09 1999-02-09 透明被覆成形品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000229383A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011128501A (ja) * 2009-12-21 2011-06-30 Konica Minolta Opto Inc フィルムミラー、フィルムミラーの製造方法及び太陽光集光用ミラー
JP2012007119A (ja) * 2010-06-28 2012-01-12 Oike Ind Co Ltd ハードコート層形成用組成物およびハードコートフィルム
WO2014125877A1 (ja) * 2013-02-18 2014-08-21 コニカミノルタ株式会社 ガスバリア性フィルム
WO2016088441A1 (ja) * 2014-12-05 2016-06-09 リケンテクノス株式会社 ハードコート積層フィルム

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011128501A (ja) * 2009-12-21 2011-06-30 Konica Minolta Opto Inc フィルムミラー、フィルムミラーの製造方法及び太陽光集光用ミラー
JP2012007119A (ja) * 2010-06-28 2012-01-12 Oike Ind Co Ltd ハードコート層形成用組成物およびハードコートフィルム
WO2014125877A1 (ja) * 2013-02-18 2014-08-21 コニカミノルタ株式会社 ガスバリア性フィルム
WO2016088441A1 (ja) * 2014-12-05 2016-06-09 リケンテクノス株式会社 ハードコート積層フィルム

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3837811B2 (ja) 紫外線硬化性の被覆用組成物
JPH1177878A (ja) 透明被覆成形品
JPH1176928A (ja) 透明被覆成形品の製造方法
JP3952586B2 (ja) 透明被覆成形品およびその製造方法
JP3921829B2 (ja) 透明被覆成形品
JP4542210B2 (ja) プラスチック成形品
JP3838242B2 (ja) 紫外線硬化性被覆用組成物
JPH1110767A (ja) 透明被覆成形品およびその製造方法
JP2000229383A (ja) 透明被覆成形品
JP2000229384A (ja) 透明被覆成形品
JP2000071380A (ja) 樹脂部材付き透明窓体
JP3687230B2 (ja) 透明被覆成形品およびその製造方法
JP3921830B2 (ja) 透明被覆成形品の製造方法
JPH10287824A (ja) 被覆用組成物およびその用途
JP3769924B2 (ja) 透明被覆成形品
JPH1178515A (ja) 車両用窓材およびその製造方法
JP3951424B2 (ja) 透明被覆成形品の製造方法
JPH11268196A (ja) 透明被覆成形品およびその製造方法
JP3921785B2 (ja) 透明被覆成形品およびその製造方法
JPH11227109A (ja) 透明被覆成形品
JP2013177503A (ja) 被覆用組成物、透明被覆成形品及びその製造方法
JP2000296579A (ja) 被覆成形品およびその製造方法
JP2000033672A (ja) 透明被覆成形品およびその製造方法
JPH11254599A (ja) 透明被覆成形品
JPH11333987A (ja) 透明被覆成形品およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060123

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080424

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080507

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20080514