JPH1164742A

JPH1164742A - デジタルカメラ付き双眼鏡

Info

Publication number: JPH1164742A
Application number: JP9221824A
Authority: JP
Inventors: Shinji Tsukamoto; 伸治塚本; Ken Hirunuma; 謙蛭沼; Shigeo Enomoto; 茂男榎本
Original assignee: Asahi Kogaku Kogyo Co Ltd
Current assignee: Pentax Corp
Priority date: 1997-08-18
Filing date: 1997-08-18
Publication date: 1999-03-05

Abstract

(57)【要約】【目的】構造が簡単で小型軽量かつ高画質な撮影画像
が得られるデジタルカメラ付き双眼鏡を提供すること。【構成】対物光学系と接眼光学系を各々有する一対の
観察光学系と；一方の観察光学系の光路内を通る光束の
少なくとも一部を該光路外に反射させる反射手段と；こ
の反射手段により上記光路外に反射された反射光束を、
反射光学系を介さず直接受光する撮像素子と；この撮像
素子と上記反射手段の間に配置された絞りと；を有する
デジタルカメラ付き双眼鏡。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【技術分野】本発明は、デジタルカメラを一体に有する
双眼鏡に関する。

【０００２】

【従来技術及びその問題点】銀塩フィルム式カメラが付
設された双眼鏡、所謂カメラ付き双眼鏡が知られてい
る。このカメラ付き双眼鏡によれば、観察中の観察対象
物を容易にかつ素早く撮影することができる。この従来
のカメラ付き双眼鏡では、左右一対の観察光学系の一方
の光学系中にビームスプリッタが配設され、さらにこの
ビームスプリッタから出射する光束を入射させてフィル
ム面へ導くプリズムが配置されている。つまり、上記ビ
ームスプリッタにより一方の観察光学系を通る光束の一
部が該光学系外に導かれ、この外部に導かれた光束が上
記プリズムにより反射された後にフィルム面に導かれる
構造となっている。

【０００３】フィルム面上に結ぶ像は、正立像または倒
立像のいずれかである必要がある。上記ビームスプリッ
タにより観察光学系外へ導かれた光束による像は左右反
転（裏返し）像となるため、上記プリズム等の反射光学
系を用いて正立像または倒立像のいずれかにしている。

【０００４】以上ように、従来のカメラ付き双眼鏡で
は、１つのビームスプリッタと、少なくとも１つ以上の
プリズム等の反射光学系を設ける必要があるので、装置
が大型化してしまう。さらに従来のカメラ付き双眼鏡で
は、これらビームスプリッタやプリズムに加え、フィル
ム室、カートリッジ室、巻上げ機構、シャッター機構等
の機械的要素を設ける必要があるので、装置の大型化は
避けられない。

【０００５】

【発明の目的】本発明は、以上の問題点に鑑みて成され
たもので、構造が簡単で小型軽量かつ高画質な撮影画像
が得られるデジタルカメラ付き双眼鏡を提供することを
目的とする。

【０００６】

【発明の概要】本発明は、対物光学系と接眼光学系を各
々有する一対の観察光学系と；一方の観察光学系の光路
内を通る光束の少なくとも一部を該光路外に反射させる
反射手段と；この反射手段により上記光路外に反射され
た反射光束を、反射光学系を介さず直接受光する撮像素
子と；この撮像素子と上記反射手段の間に配置された絞
りと；を有することを特徴としている。

【０００７】つまり本発明を適用したデジタルカメラ付
き双眼鏡は、反射手段により一方の観察光学系を通る光
束の少なくとも一部を該光学系外に導き、この導き出し
た光束を電子ディバイスである撮像素子上に直接結像さ
せる構成を有している。この構成によると、上記反射手
段により上記光路外に反射された反射光束は撮像素子に
直接入射するので、撮像素子上には左右反転（裏返し）
像が結像される。しかし、この撮像素子上に結像された
像の画像データを一時的に画像メモリー等に書き込み、
その後この一時的に書き込んだ画像データを予め設定し
た所定の読み出し順序で読み出せば、常に正立像として
の画像を得ることができる。つまり、撮像素子の設置向
き及び該撮像素子の撮像面に結像される像の向きがどの
ような向きであっても、その向きに対応した画像データ
の読み出し順序を予め設定しておけば常に正立像として
の画像を得ることができる。よって上記本発明の構成に
よれば、撮像素子や各光学部材の配置の自由度が高く、
また、上記反射手段と撮像素子との間にプリズム等の反
射光学系を設ける必要がないので、装置の小型化及び軽
量化を図ることができる。

【０００８】また、撮像素子と上記反射手段の間に絞り
を配置する構造にしたので、対物光学系の周辺の諸収差
の影響を受けた良像範囲外の光束をこの絞りによってカ
ットし、対物光学系の周辺の諸収差の影響を受けていな
い良像部分のみを撮像素子の撮像面に投影させることが
できので、対物光学系の周辺の諸収差の影響を受けてい
ない高画質の撮影画像を得ることができる。

【０００９】上記反射手段は、上記一方の観察光学系の
光路内を通る光束の一部を該光路外に反射させて撮像素
子へ導き、残りの光束を透過させるビームスプリッタか
ら構成することができる。また上記反射手段は、上記一
方の観察光学系の光路内に進入した撮影位置と、該光路
外に退避した非撮影位置との間で移動可能に支持され、
上記撮影位置にあるとき、上記一方の観察光学系の光路
内を通る光束を該光路外に反射させる可動ミラーから構
成することもできる。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下図示実施形態に基づいて本発
明を説明する。図１は、本発明を適用したデジタルカメ
ラ付き双眼鏡の第１実施形態を示している。このデジタ
ルカメラ付き双眼鏡１０は、ポロプリズム式双眼鏡にデ
ジタルカメラを付設したタイプである。なお同図中で
は、デジタルカメラ付き双眼鏡１０の観察光学系及び本
発明に係る要部のみを示している。

【００１１】デジタルカメラ付き双眼鏡１０は、一般的
なポロプリズム式双眼鏡が有する左右一対の観察光学
系、即ち対物レンズ群１１Ｌ、ポロプリズム１７Ｌ及び
接眼レンズ群１８Ｌからなる左側観察光学系と、対物レ
ンズ群１１Ｒ、ポロプリズム１７Ｒ及び接眼レンズ群１
８Ｒからなる右側観察光学系とを有している。各ポロプ
リズム（正立光学系）１７Ｌ，１７Ｒの出射面と、対応
の接眼レンズ群１８Ｌ，１８Ｒとの間には、視野絞り１
９Ｌ，１９Ｒが固定されている。

【００１２】各対物レンズ群１１Ｌ，１１Ｒは、対応の
対物光軸Ｏ_L ，Ｏ_R に沿って前後方向に一体で移動可能
に案内されており、デジタルカメラ付き双眼鏡１０本体
の略中央に設けた焦点調節環（図示せず）の回転に応じ
て前後移動する。つまり、該焦点調節環を適宜回転させ
ると、対物レンズ群１１Ｌ，１１Ｒが前後に移動して焦
点調節が行われる。

【００１３】対物レンズ群１１Ｒとポロプリズム１７Ｒ
の間の光路Ｐ_R 内には、ビームスプリッタ１２が固定さ
れている。このビームスプリッタ１２は、二つの直角プ
リズム１２ａ，１２ｂの各底面同士を接合してなるもの
で、一方の直角プリズムの接合面上に金属薄膜からなる
ハーフミラー（半透明鏡）１２ｃが形成されている。ビ
ームスプリッタ１２は、外部から対物レンズ群１１Ｒに
入射した光束の一部がハーフミラー１２ｃで反射し、残
りの光束がハーフミラー１２ｃを透過してポロプリズム
１７Ｒに入射するように、ハーフミラー１２ｃの対物光
軸Ｏ_R に対する傾斜角を４５°に設定して光路Ｐ_R 内に
配置されている。このハーフミラー１２ｃの対物光軸Ｏ
_R に対する傾斜角は、本実施形態での４５°のみに限定
されず、任意の角度に設定することができる。

【００１４】対物レンズ群１１Ｌとポロプリズム１７Ｌ
の間の光路Ｐ_L 内には、ＮＤフィルター１６が固定され
ている。ビームスプリッタ１２が設けられた観察光学系
ではその接眼側に向かう光量がハーフミラー１２ｃによ
り減じられるため、このＮＤフィルター１６を設置する
ことで左右の観察光学系での接眼側に向かう光量を均等
にしている。

【００１５】またデジタルカメラ付き双眼鏡１０には、
該双眼鏡で観察中の観察物体像を電気的な画像データと
して撮像するためのＣＣＤ撮像素子１４が設けられてい
る。このＣＣＤ撮像素子１４は、ビームスプリッタ１２
のハーフミラー１２ｃにより光路Ｐ_R 外に反射された光
束（観察物体像）が直接その撮像面（受光面）１４ａ上
に結像するように、ビームスプリッタ１２から所定長さ
離れた位置に固定されている。ビームスプリッタ１２と
ＣＣＤ撮像素子１４の間には、プリズム等の反射光学系
は設けられていない。

【００１６】ビームスプリッタ１２とＣＣＤ撮像素子１
４の間には、円形の絞り開口１５ａをその略中央に有す
る絞り板１５が設けられている。この絞り板１５は、対
物レンズ群１１Ｒの周辺の諸収差の影響を受けた良像範
囲外の光束をカットし、対物レンズ群１１Ｒの周辺の諸
収差の影響を受けていない良像部分のみを撮像面１４ａ
に投影させもので、絞り開口１５ａの口径は上記良像範
囲外の光束をカットするように所定の口径に設定されて
いる。絞り板１５は、図１中では図示の都合上、撮像面
１４ａから離して図示しているが、実際には撮像面１４
ａ上に固定されている。このように絞り板１５を撮像面
１４ａ上に配置することで、絞り開口１５ａのエッジ部
分によって切り出された像（ＣＣＤ撮像素子１４上に投
影される像）の周縁部でのボケを防止することができ
る。

【００１７】図１中、白抜き矢尻を有する矢印と黒塗矢
尻を有する矢印からなる各像は、ＣＣＤ撮像素子１４に
至るまでの観察物体像の各位置での向きを示している。
これら各矢印の向きから、左右反転（裏返し）画像が撮
像面１４ａ上に結像されることが理解できる。また図１
中、ＣＣＤ撮像素子１４の撮像面１４ａ上に示す矢印Ｄ
は、走査起点及び走査方向を示している。この矢印Ｄの
位置から分かるように、ＣＣＤ撮像素子１４の走査起点
は、正立状態の観察物体像の右上の位置に対応してい
る。

【００１８】またデジタルカメラ付き双眼鏡１０には、
ＣＣＤ撮像素子１４を含む画像記録回路２０が設けられ
ている（図３参照）。画像記録回路２０は、ＣＣＤ撮像
素子１４、アンプ２１、Ａ／Ｄコンバーター２２、画像
メモリー２３、画像処理部２４、及びメインメモリー２
５を有している。さらに画像記録回路２０は、ＣＣＤ撮
像素子１４、Ａ／Ｄコンバーター２２、画像メモリー２
３、画像処理部２４、及びメインメモリー２５の夫々に
電気的に接続されたシステムコントロール部２６と、こ
のシステムコントロール部２６に電気的に接続されたシ
ャッターレリーズスイッチ２７とを有している。

【００１９】シャッターレリーズスイッチ２７は、デジ
タルカメラ付き双眼鏡１０本体に設けられたレリーズ釦
（図示せず）に連動して開閉される。システムコントロ
ール部２６は、シャッターレリーズスイッチ２７の状態
に応じてＣＣＤ撮像素子１４、アンプ２１、Ａ／Ｄコン
バーター２２、画像メモリー２３、画像処理部２４、及
びメインメモリー２５の各々を制御する。

【００２０】レリーズ釦を押下するとシャッターレリー
ズスイッチ２７がオンとなり、このシャッターレリーズ
スイッチ２７のオンによりシステムコントロール部２６
がＣＣＤ撮像素子１４を駆動して撮像を開始する。ＣＣ
Ｄ撮像素子１４の光電変換により得られたアナログ画像
信号は、アンプ２１によって増幅された後Ａ／Ｄコンバ
ーター２２に入力されてデジタル画像信号に変換され
る。続いてこの変換されたデジタル画像信号は、ＲＡＭ
等からなる画像メモリー２３に一旦書き込まれる。この
とき画像メモリー２３に書き込まれるデジタル画像信号
は、１画面分の左右反転画像の画像データとして書き込
まれる。

【００２１】この画像メモリー２３へのデジタル画像信
号の書き込みのとき、ＣＣＤ撮像素子１４の撮像面１４
ａに結像される左右反転画像の水平走査による画像デー
タが１対１で画像メモリー２３に記録される。つまり、
画像メモリー２３のメモリーセルアレイ２３ａ（図４）
にも左右反転画像がビットイメージで記録される。

【００２２】続いて画像処理部２４がこの画像メモリー
２３に書き込まれた画像データを読み出してγ補正、色
補正、データ圧縮等の処理を行い、その後この圧縮処理
等を施した画像データをメインメモリー２５に書き込
む。画像処理部２４は、画像メモリー２３からの画像デ
ータを読み出すとき、画像メモリー２３のメモリーセル
アレイ２３ａのアドレス指定を水平方向に書き込み時と
は左右逆の順序で指定していくことで、左右反転画像の
左右逆つまり正画像（非反転画像）として読み出す。メ
インメモリー２５には、この正画像として読み出された
画像が所定のアドレスに記録される。なおメインメモリ
ー２５は、フラッシュメモリー、磁気ディスク、光磁気
ディスク等の記録媒体から構成することができる。

【００２３】図４は、ＣＣＤ撮像素子１４の撮像面１４
ａに結像される左右反転画像の水平走査による画像情報
が、画像メモリー２３のメモリーセルアレイ２３ａに左
右反転画像のビットイメージとして１対１で記録される
様子を示している。図４中の左図は、ＣＣＤ撮像素子１
４の撮像面１４ａをその裏側から視た場合での水平走査
の様子を示しており、図４中の右図は、この水平走査に
より得られた画像データを画像メモリー２３のメモリー
セルアレイ２３ａへ１対１で記録する様子を示してい
る。メモリーセルアレイ２３ａは、ＣＣＤ撮像素子１４
の画素数に対応する記録セル数、即ちｉ（Ｘ方向での総
セル数）×ｊ（Ｙ方向での総セル数）のセル数からなっ
ている。

【００２４】図５及び図６は、メモリーセルアレイ２３
ａへの画像データの書き込み及び読み出しの処理を示す
フローチャートである。メモリーセルアレイ２３ａへの
画像データの書き込み開始時このフローチャートの処理
に入る。先ず、メモリーセルアレイ２３ａの書き込み位
置（Ｘ，Ｙ）を（０，０）に設定（イニシャライズ）
し、続いてＹに１を加え、さらにＸに１を加えてメモリ
書き込み位置を指定する（ステップＳ１〜Ｓ４）。よっ
て、メモリ書き込み開始時における書き込み位置（書き
込み起点）は（１，１）に設定される。

【００２５】ステップＳ４の後、Ｘがｉ（Ｘが最大）で
あるか否かを判断し、Ｘ＝ｉでなければ即ちＸがｉ未満
（Ｘ＜ｉ）であればステップＳ３、Ｓ４の処理を再度実
行し、Ｘ＝ｉであれば続くステップＳ６に進んでＸを０
とする。

【００２６】ステップＳ６の後、Ｙがｊ（Ｙが最大）で
あるか否かを判断し、Ｙ＝ｊでなければ即ちＹがｊ未満
（Ｙ＜ｊ）であればステップＳ２〜Ｓ６の処理を再度実
行し、Ｙ＝ｊであれば続くステップＳ８に進む。以上の
ステップＳ１〜Ｓ７までの処理により、メモリーセルア
レイ２３ａへの画像データの書き込み位置の全ての指定
が行われる。つまり、書き込み起点（１，１）から、
（２，１），（３，１），・・・，（ｉ，１），（１，
２），（２，２），（３，２），・・・，（ｉ，２），
（１，３），（２，３），・・・・・・，（ｉ，ｊ）の
順序でメモリーセルアレイ２３ａへの画像データの書き
込み位置の全ての指定が行われる。Ａ／Ｄコンバーター
２２から出力された画像データは、この書き込み位置の
指定順にメモリーセルアレイ２３ａへ順次書き込まれ
る。

【００２７】ステップＳ８では（Ｘ，Ｙ）を（ｉ＋１，
０）に設定する。続いてＹに１を加え、さらにＸから１
を減じてメモリ読み出し位置を指定する（ステップＳ９
〜Ｓ１１）。よって、メモリ読み出し開始時における読
み出し位置（読み出し起点）は（ｉ，１）に設定され
る。この読み出し起点は、正立状態の観察物体像の左上
の位置に対応している。

【００２８】ステップＳ１１の後、Ｘが１であるか否か
を判断し、Ｘ＝１でなければステップＳ１０、Ｓ１１の
処理を再度実行し、Ｘ＝１であれば続くステップＳ１３
に進んでＸをｉ＋１とする。

【００２９】その後Ｙがｊ（Ｙが最大）であるか否かを
判断し、Ｙ＝ｊでなければ即ちＹがｊ未満（Ｙ＜ｊ）で
あればステップＳ９〜Ｓ１３の処理を再度実行し、Ｙ＝
ｊであれば本フローチャートの処理を終了する。。以上
のステップＳ８〜Ｓ１４までの処理により、メモリーセ
ルアレイ２３ａへの画像データの読み出し位置の全ての
指定が行われる。つまり、読み出し起点（ｉ，１）か
ら、（ｉ−１，１），（ｉ−２，１），・・・，（１，
１），（ｉ，２），（ｉ−１，２），（ｉ−２，２），
・・・，（１，２），（ｉ，３），（ｉ−１，３），・
・・・・・，（１，ｊ）の順序でメモリーセルアレイ２
３ａへの画像データの読み出し位置の全ての指定が行わ
れる。この読み出し順序により、メモリーセルアレイ２
３ａから読み出される画像データは左右が反転していな
い正画像の画像データとなり、この画像データが圧縮処
理等の実施後メインメモリー２５に記録される。

【００３０】以上のように、本発明を適用した第１実施
形態のデジタルカメラ付き双眼鏡１０は、ビームスプリ
ッタ１２とＣＣＤ撮像素子１４の間にプリズム等の反射
光学系を一切必要としない。よって、プリズム等の反射
光学系を必要としない分、装置本体の小型化及び軽量化
が図られている。

【００３１】また、ビームスプリッタ１２とＣＣＤ撮像
素子１４の間に絞り板１５を設けたので、対物レンズ群
１１Ｒの周辺の諸収差の影響を受けた良像範囲外の光束
はカットされ、よって対物レンズ群１１Ｒの周辺の諸収
差の影響を受けることによる画像の画質低下が防止され
る。

【００３２】上記第１実施形態のデジタルカメラ付き双
眼鏡１０は、正立光学系としてポロプリズムを利用する
ポロプリズム式双眼鏡の観察光学系を有するものである
が、各ポロプリズム１７Ｌ，１７Ｒをダハプリズムに代
えてダハプリズム式双眼鏡の観察光学系を有する構成に
しても同様の効果が期待できる。

【００３３】図２は、本発明を適用したデジタルカメラ
付き双眼鏡の第２実施形態を示している。この第２実施
形態のデジタルカメラ付き双眼鏡３０は、正立光学系と
してダハプリズムを利用するダハプリズム式双眼鏡の観
察光学系を有している。

【００３４】デジタルカメラ付き双眼鏡３０は、一般的
なダハプリズム式双眼鏡が有する左右一対の観察光学
系、即ち対物レンズ群３１Ｌ、ダハプリズム３２Ｌ及び
接眼レンズ群３４Ｌからなる左側観察光学系と、対物レ
ンズ群３１Ｒ、ダハプリズム３２Ｒ及び接眼レンズ群３
４Ｒからなる右側観察光学系とを有している。各ダハプ
リズム３２Ｌ，３２Ｒの出射面と、対応の接眼レンズ群
３４Ｌ，３４Ｒとの間には、視野絞り３８Ｌ，３８Ｒが
固定されている。

【００３５】この第２実施形態では、一方のダハプリズ
ムの複数ある反射面の一面をハーフミラー化し、このハ
ーフミラー化した反射面に上記第１実施形態でのハーフ
ミラー１２ｃと同様の機能を持たせている。

【００３６】即ち、図２に示すように、右側観察光学系
のダハプリズム３２Ｒの複数ある反射面の一つが、ハー
フミラー３２ａとして形成されている。このハーフミラ
ー３２ａは、対物レンズ群３１Ｒ側から入射した光束の
一部を反射し、残りの光束を透過させて観察光路外に導
く。そしてこの光路外に導かれた光束（観察物体光束）
は、ダハプリズム３２Ｒから所定長さ離れた位置に固定
されたＣＣＤ撮像素子１４の撮像面１４ａ上に結像す
る。

【００３７】ハーフミラー３２ａとＣＣＤ撮像素子１４
の間には、上記第１実施形態のデジタルカメラ付き双眼
鏡１０と同様に、円形の絞り開口１５ａをその略中央に
有する絞り板１５が撮像面１４ａ上に固定されている。

【００３８】左側観察光学系の対物レンズ群３１Ｌとダ
ハプリズム３２Ｌの間には、第１実施形態のカメラ付双
眼鏡１０と同様に、左右の観察光学系での接眼側に向か
う光量を均等にするためのＮＤフィルター１６が固定さ
れている。

【００３９】またデジタルカメラ付き双眼鏡３０には、
デジタルカメラ付き双眼鏡１０と同様に、ＣＣＤ撮像素
子１４を含む画像記録回路２０（図３）が設けられてい
る。この画像記録回路２０による制御態様は、上述した
デジタルカメラ付き双眼鏡１０と同様に行われる。

【００４０】以上のように、本発明を適用した第２実施
形態のデジタルカメラ付き双眼鏡３０では、ダハプリズ
ム３２Ｒにハーフミラー３２ａを設ける構成にしたの
で、該ハーフミラー３２ａを設けるための専用の光学部
材や、この光学部材とＣＣＤ撮像素子１４の間にプリズ
ム等の反射光学系を必要としない。よって、第１実施形
態のデジタルカメラ付き双眼鏡１０よりも更に装置本体
の小型化及び軽量化を図ることができ、またコストダウ
ンを図ることができる。

【００４１】また第１実施形態のデジタルカメラ付き双
眼鏡１０と同様に、ＣＣＤ撮像素子１４上に絞り板１５
を設けたので、対物レンズ群１１Ｒの周辺の諸収差の影
響を受けた良像範囲外の光束はカットされ、よって対物
レンズ群１１Ｒの周辺の諸収差の影響を受けることによ
る画像の画質低下が防止される。

【００４２】以上の各実施形態では、メモリーセルアレ
イ２３ａの読み出し起点を（ｉ，１）に設定し、この起
点から（ｉ−１，１），（ｉ−２，１），・・・，
（１，１），（ｉ，２），（ｉ−１，２），（ｉ−２，
２），・・・，（１，２），（ｉ，３），（ｉ−１，
３），・・・・・・，（１，ｊ）の順序でメモリーセル
アレイ２３ａへの画像データの読み出し位置の指定を行
う構成にしたが、本発明はこの読み出し位置指定の順序
に限定されない。ＣＣＤ撮像素子１４の設置向き及び撮
像面１４ａに結像される像の向きの違いにより、メモリ
ーセルアレイ２３ａの読み出し起点と、この読み出し起
点からの読み出し方向とを、読み出し後の画像データが
正立像の画像データになるように適宜設定すればよい。

【００４３】例えば、撮像面１４ａに結像される像が左
右反転の倒立像の場合には、メモリーセルアレイ２３ａ
の読み出し起点を（１，ｊ）とし、この起点から（２，
ｊ），（３，ｊ），・・・，（ｉ，ｊ），（１，ｊ−
１），（２，ｊ−１），（３，ｊ−１），・・・，
（ｉ，ｊ−１），（１，ｊ−２），・・・・・・，
（ｉ，１）の順序でメモリーセルアレイ２３ａへの画像
データの読み出し位置の指定を行う構成にすれば、読み
出し後の画像データは正立像の画像データとなる。

【００４４】また上記各実施形態では、左右の観察光学
系の間にデジタルカメラ部の構成部品（アンプ２１、Ａ
／Ｄコンバーター２２、画像メモリー２３、画像処理部
２４、メインメモリー２５、ステムコントロール部２６
等）を配置することで、装置全体を偏平な形状に構成し
て小型化を図ることができる。

【００４５】上記第１実施形態のビームスプリッタ１２
に代えて、ハーフミラー１２ｃと同機能を有するペリク
ルミラーを設ける構成にしてもよい。

【００４６】また上記第１実施形態のビームスプリッタ
１２に代えて、光路Ｐ_R 内に進出した撮影位置と光路Ｐ
_R 外に退避した非撮影位置との間で移動可能に支持さ
れ、撮影位置にあるとき、対物レンズ群１１Ｒから光路
Ｐ_R 内に進入した光束を撮像面１４ａに向けて反射させ
る可動ミラーを用いる構成にしてもよい。図７は、この
構成（第３実施形態）を示している。

【００４７】この図７に示すデジタルカメラ付き双眼鏡
１０’は、第１実施形態のデジタルカメラ付き双眼鏡１
０のビームスプリッタ１２を、可動ミラー１に置き換え
たものであり、他の構成は第１実施形態と略同様であ
る。可動ミラー１は、一方の観察光学系の光路Ｐ_R の上
方に位置しかつ対物光軸Ｏ_L ，Ｏ_R の各々に対して略直
交する方向に延びる回動支軸２にその一端部が固定され
ており、対物レンズ群１１Ｒとポロプリズム１７Ｒの間
の光路Ｐ_R 内に進出した撮影位置（図７中に実線で示す
位置）と、該光路Ｐ_R 外に退避した非撮影位置（図７中
に一点鎖線で示す位置）との間で回動可能に設けられて
いる。

【００４８】デジタルカメラ付き双眼鏡１０’の光路Ｐ
_L と光路Ｐ_R の間には、ミラー駆動モーター３が固定さ
れており、回動支軸２は、この駆動モーター３の回転軸
として備わっている。したがって、可動ミラー１は、駆
動モーター３の正逆の回転によって撮影位置または非撮
影位置いずれかの位置に移動される。システムコントロ
ール部２６は、シャッターレリーズスイッチ２７のオン
によりミラー駆動モーター３を起動して可動ミラー１を
非撮影位置から撮影位置に移動させ、この移動完了直
後、ＣＤ撮像素子１４を駆動して撮像（露光）を開始す
る。この撮像完了後、システムコントロール部２６は、
再びミラー駆動モーター３を起動して可動ミラー１を撮
影位置から非撮影位置へ退避させる。このような構成を
有する第３実施形態のデジタルカメラ付き双眼鏡１０’
によっても、第１実施形態のデジタルカメラ付き双眼鏡
１０と同様の効果を得ることができる。

【００４９】なお、このデジタルカメラ付き双眼鏡１
０’では、非撮影時は可動ミラー１が光路Ｐ_R 外に退避
するので、光路Ｐ_L はＮＤフィルター１６は設けられて
いない。また、可動ミラー１を駆動するためにミラー駆
動モーター３を用いているが、ソレノイドと可動鉄芯か
らなる電気式駆動手段等を用いて可動ミラー１を駆動す
る構成でもよい。

【００５０】上記各実施形態での絞り板１５の絞り開口
１５ａの形状は円形であるが、本発明はこの形状には限
定されず、撮像面１４ａに結像させるべき画像の形状ま
たは範囲に応じた形状（例えば矩形）であればよい。

【００５１】

【発明の効果】以上にように、本発明を適用したデジタ
ルカメラ付き双眼鏡によれば、一方の観察光学系におけ
る対物光学系と接眼光学系の間の光路内にビームスプリ
ッタを配置し、このビームスプリッタにより上記光路外
に反射された反射光束を、反射光学系を介さず直接受光
する撮像素子を設ける構成にしたので、従来の銀塩フィ
ルムを用いるカメラ付き双眼鏡にようにビームスプリッ
タと撮像素子の間にプリズム等の反射光学系を設ける必
要が無く、また銀塩フィルムを用いる場合に必要であっ
たフィルム室、カートリッジ室、巻上げ機構、シャッタ
ー機構等の機械的要素を設ける必要が無いので、装置の
小型化、軽量化、コストダウン等を図ることができる。

【００５２】さらに、撮像素子の設置向き及び該撮像素
子の撮像面に結像される像の向きがどのような向きであ
っても、その向きに対応した画像データの読み出し順序
を予め設定しておけば常に正立像としての画像を得るこ
とができるので、撮像素子や各光学部材の配置の自由度
が高い。

【００５３】さらに、撮像素子と反射手段の間に絞りを
配置する構造にしたので、対物光学系の周辺の諸収差の
影響を受けた良像範囲外の光束はこの絞りによってカッ
トされ、対物光学系の周辺の諸収差の影響を受けていな
い良像部分のみが撮像素子の撮像面に投影させるため、
対物光学系の周辺の諸収差の影響を受けていない高画質
の撮影画像が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を適用したデジタルカメラ付き双眼鏡の
第１実施形態の観察光学系及び本発明に係る要部のみを
示す斜視図である。

【図２】本発明を適用したデジタルカメラ付き双眼鏡の
第２実施形態の観察光学系及び本発明に係る要部のみを
示す上面図である。

【図３】第１実施形態及び第２実施形態の各デジタルカ
メラ付き双眼鏡に設けられた画像記録回路を示すブロッ
ク回路図である。

【図４】ＣＣＤ撮像素子の撮像面に結像される左右反転
画像の水平走査による画像情報が、画像メモリーのメモ
リーセルアレイに左右反転画像のビットイメージとして
１対１に記録される様子を示す説明図である。

【図５】メモリーセルアレイへの画像データの書き込み
及び読み出しの処理を示すフローチャート図である。

【図６】メモリーセルアレイへの画像データの書き込み
及び読み出しの処理を示すフローチャート図である。

【図７】本発明を適用したデジタルカメラ付き双眼鏡の
第３実施形態の観察光学系及び本発明に係る要部のみを
示す斜視図である。

【符号の説明】

１０３０デジタルカメラ付き双眼鏡１１Ｌ１１Ｒ対物レンズ群１２ビームスプリッタ１２ｃハーフミラー１４ＣＣＤ撮像素子１４ａ撮像面１５絞り板（絞り）１５ａ絞り開口１６ＮＤフィルター１７Ｌ１７Ｒポロプリズム（正立光学系）１８Ｌ１８Ｒ接眼レンズ群１９Ｌ１９Ｒ視野絞り３１Ｌ３１Ｒ対物レンズ群３２Ｌ３２Ｒダハプリズム３２ａハーフミラー（半透明鏡）３４Ｌ３４Ｒ接眼レンズ群３８Ｌ３８Ｒ視野絞り

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】対物光学系と接眼光学系を各々有する一
対の観察光学系と；一方の観察光学系の光路内を通る光
束の少なくとも一部を該光路外に反射させる反射手段
と；この反射手段により上記光路外に反射された反射光
束を、反射光学系を介さず直接受光する撮像素子と；こ
の撮像素子と上記反射手段の間に配置された絞りと；を
有することを特徴とするデジタルカメラ付き双眼鏡。
【請求項２】請求項１に記載のデジタルカメラ付き双
眼鏡において、絞りは、撮像素子の受光面上に配置され
ているデジタルカメラ付き双眼鏡。
【請求項３】請求項１または２に記載のデジタルカメ
ラ付き双眼鏡において、さらに、他方の観察光学系の光
路内に固定されたＮＤフィルタを有するデジタルカメラ
付き双眼鏡。
【請求項４】請求項１ないし３のいずれか一項に記載
のデジタルカメラ付き双眼鏡において、反射手段は、上
記一方の観察光学系の光路内を通る光束の一部を該光路
外に反射させて撮像素子へ導き、残りの光束を透過させ
るビームスプリッタであるデジタルカメラ付き双眼鏡。
【請求項５】請求項１または２に記載のデジタルカメ
ラ付き双眼鏡において、反射手段は、上記一方の観察光
学系の光路内に進入した撮影位置と、該光路外に退避し
た非撮影位置との間で移動可能に支持され、上記撮影位
置にあるとき、上記一方の観察光学系の光路内を通る光
束を該光路外に反射させて撮像素子へ導く可動ミラーで
あるデジタルカメラ付き双眼鏡。
【請求項６】請求項１ないし５のいずれか一項に記載
のデジタルカメラ付き双眼鏡において、撮像素子はＣＣ
Ｄ撮像素子であるデジタルカメラ付き双眼鏡。