JPH1161574A - 炭素繊維の製造方法 - Google Patents

炭素繊維の製造方法

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JPH1161574A
JPH1161574A JP21082297A JP21082297A JPH1161574A JP H1161574 A JPH1161574 A JP H1161574A JP 21082297 A JP21082297 A JP 21082297A JP 21082297 A JP21082297 A JP 21082297A JP H1161574 A JPH1161574 A JP H1161574A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、対流加熱方式の耐炎化方法を用い
たときに、耐炎化を効率よくかつ安定して行うことがで
きると同時に、機械的特性および品質の優れた炭素繊維
を製造することができる炭素繊維の製造方法を提供する
ことを目的とする。 【解決手段】 1パス炉長15m以上の水平炉中を通過
する炭素繊維前駆体アクリル繊維糸条のラインスピード
V(m/min)がV≦L/kを満足するような製造条
件で生産する。但し、Lは前記水平炉の長さ(m)を表
し、またkは限界1パス滞在時間を表す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は炭素繊維の製造方法
に関し、詳しくは、炭素繊維前駆体アクリル繊維を耐炎
化繊維に転換する工程の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】アクリル繊維を原料とした炭素繊維は、
一般的には炭素繊維前駆体アクリル繊維(以下、前駆体
繊維ともいう。)を空気雰囲気中で加熱するいわゆる耐
炎化工程とこれに引き続く不活性雰囲気中で加熱する炭
素化工程との二つの工程で製造される。
【0003】耐炎化工程は200〜300℃に加熱され
た酸化性気体が循環する耐炎化炉内に多数のローラーを
設け、前駆体繊維を多数回往復させながら処理するのが
一般的である。
【0004】前駆体繊維を所望の物性の耐炎化繊維に転
換するために耐炎化炉を通過させる回数(以下、耐炎化
炉パス数という。)は、ライン速度および耐炎化炉の水
平炉長に依存する。炭素繊維の生産性を向上させる目的
で、ライン速度を上げると耐炎化炉を一回通過する間の
炉内滞在時間(以下、1パス滞在時間という。)は減少
する。しかしながら従来の耐炎化水平炉長は15m未満
であっため、耐炎化工程で所望の処理を施すためには、
耐炎化炉パス数は20〜50回程度にもなる。前駆体繊
維を多数回耐炎化炉内を往復させて耐炎化する方法にお
いては以下の問題点がある。
【0005】まず、耐炎化炉を出入りするたびに前駆体
繊維は冷却、加熱を繰り返すため、往復回数が増えるほ
ど処理効率が低減する。次に耐炎化炉の開口部が増える
と、炉内温度を恒温に保つために必要なエネルギーが増
大する。このような問題点は炭素繊維の生産性を向上さ
せるために耐炎化炉内への糸条供給速度を上げた場合よ
り顕著になる。この耐炎化の効率の低さは炭素繊維製造
工程全体の生産性を低め、最終的に得られる炭素繊維の
価格を引き上げる要因となっていた。
【0006】この欠点を克服するために、例えば特公昭
53−21396号公報には前駆体繊維に冷却するいと
まを与えずに加熱ロールに断続的に接触させ耐炎化反応
を短時間に進行させる方法が開示されている。この方法
は確かに耐炎化時間の短縮には有効である。しかし、繊
維を加熱したロールに直接接触させるために耐炎化処理
中に繊維の融着を生じやすく、また処理面が片側のみと
なるため厚み方向に耐炎化の程度の斑ができやすいとい
う問題点があり、十分な性能をもつ炭素繊維が得られな
かった。このような伝導加熱方式による前駆体繊維の耐
炎化は工業的に適用するのは困難であり、現実的には対
流加熱による耐炎化が工業的手法として用いられてい
る。
【0007】また、前駆体繊維を多数回耐炎化炉内を往
復させて得られた耐炎化繊維を用いた炭素繊維は、強度
がおよび品質が十分でないという問題があった。
【0008】一方、耐炎化水平炉長が長くなると炉内で
の前駆体繊維の撓みが大きくなり、隣接する繊維間でマ
ージングが起きやすくなる問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
問題点に鑑みてなされたものであり、対流加熱方式の耐
炎化方法を用いたときに、耐炎化水平炉長が長くなった
場合に、耐炎化を効率よくかつ安定して行うことができ
ると同時に、機械的特性および品質の優れた炭素繊維を
製造することができる炭素繊維の製造方法を提供するこ
とを目的とする。さらに本発明は、耐炎化水平炉長が長
くなった場合であっても前駆体繊維間のマージングが起
こりにくく、さらに耐炎化を効率よくかつ安定して行う
ことができると同時に、機械的特性および品質の優れた
炭素繊維を製造することができる炭素繊維の製造方法を
提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、対流加熱方式
による1パス炉長15m以上の水平炉中で炭素繊維前駆
体アクリル繊維を耐炎化繊維に転換する耐炎化工程を有
する炭素繊維の製造方法において、前記水平炉中を通過
する炭素繊維前駆体アクリル繊維糸条のラインスピード
V(m/min)が(1)式を満足することを特徴とす
る炭素繊維の製造方法に関する。
【0011】V≦L/k (1) 但し、Lは前記水平炉の長さ(m)で、L≧15であ
る。またkは限界1パス滞在時間を表し、炭素繊維前駆
体アクリル繊維を耐炎化水平炉中を10回通過させたと
きの合計の炉内滞在時間(tt)と、水平炉中に炭素繊
維前駆体アクリル繊維を固定したときに水平炉中を10
回通過させたときと等しい密度が得られる時間(ts
を比較し、耐炎化処理効率ts/tt×100を求め、1
パス滞在時間に対する耐炎化処理効率の変化率が6%/
minとなるときの1パス滞在時間(t1=tt/10
(min))をkとすることで得られる。
【0012】また本発明は、対流加熱方式による1パス
炉長15m以上の水平炉中で炭素繊維前駆体アクリル繊
維を耐炎化繊維に転換する耐炎化工程を有する炭素繊維
の製造方法において、前記炭素繊維前駆体アクリル繊維
の交絡度が7以上であることを特徴とする炭素繊維の製
造方法に関する。
【0013】
【発明の実施の形態】ある1パス炉長の対流加熱方式炉
で耐炎化する場合、生産性を向上させる目的で前駆体繊
維の供給速度を上げると、1パス分の炉長に前駆体繊維
が滞在する時間(L/V)(以下、1パス滞在時間とい
う。)は減少する。一方、冷却状態にある前駆体繊維が
炉内に入った後、実質的に耐炎化反応が進行しない時間
(以下、1パス遅れ時間という。)を考慮すると、実質
1パス耐炎化処理時間は1パス滞在時間から1パス遅れ
時間を引いた時間に相当すると考えられる。
【0014】本発明者の検討によれば、1パス滞在時間
がその条件下で特有の限界1パス滞在時間k値(mi
n)を下回ると耐炎化効率が急激に低下する。k値を下
回る1パス滞在時間で生産を行う場合、耐炎化炉パス数
を増大させる必要があり、炭素繊維の生産性および耐炎
化工程での効率が低くなり焼成コストが押し上げられ
る。さらに単に製造コストだけの問題ではなく、耐炎化
炉パス数を増大させて所定の物性をもつ耐炎化繊維を得
たとしても、これを処理して得られる炭素繊維は機械的
強度や品質が悪く、k値以上の1パス滞在時間で生産を
行うこと、即ち(1)式を満たすように製造条件を設定
することが極めて重要であることがわかった。
【0015】k値は前駆体繊維の伝熱係数、耐炎化
温度によって若干変化し、前駆体繊維の伝熱係数は炉内
風速、熱風循環の方式(平行流、垂直流)、前駆体繊維
糸条の構成(構成フィラメント数)に依存する。
【0016】即ち、k値は、炭素繊維前駆体アクリル繊
維を耐炎化水平炉中を10回通過させたときの合計の炉
内滞在時間(tt)と、水平炉中に炭素繊維前駆体アク
リル繊維を固定したときに水平炉中を10回通過させた
ときと等しい密度が得られる時間(ts)を比較し、耐
炎化処理効率ts/tt×100を求め、1パス滞在時間
に対する耐炎化処理効率の変化率が6%/minとなる
ときの1パス滞在時間(t1=tt/10(min))を
kとすることで得られる。
【0017】具体的には、次のようなステップで実験的
に求められる。 耐炎化炉内に前駆体繊維を種々の時間固定して得た
糸の密度を測定する。 の結果から処理時間に対する密度上昇曲線(マス
ターカーブ)を作成する。 前駆体繊維を耐炎化炉を10回通過させて処理した
糸の密度を測定する。 の10回の炉内滞在時間の合計を算出し、これを
炉内滞在時間(tt)を求める。 の密度を得るために必要な耐炎化処理時間をマス
ターカーブから読み取り、これにより炉内に固定したと
きに等しい密度が得られる時間(ts)を求める。
次式により耐炎化処理効率を求める。 (耐炎化処理効率)=ts/tt×100[%] 1パス滞在時間(t1)を変えて実験を行い、耐炎
化処理効率を種々の1パス滞在時間について求め、1パ
ス滞在時間に対する耐炎化処理効率の変化率が6%/m
inとなる1パス滞在時間をk値とする。
【0018】次に具体的に、垂直流熱風循環方式、水平
炉長16mの耐炎化炉を用い、種々の耐炎化温度におい
て炉内風速、構成フィラメント数を変化させてk値を求
めた例を示す。
【0019】まず、図1に示すような水平炉長16mの
耐炎化炉において、耐炎化温度240℃、炉内風速0.
5m/sとし、単繊維デニール1.1、フィラメント数
12000本の前駆体繊維を用い、ラインスピードVを
変化させて、耐炎化処理効率を求めた。その結果を表1
に示す。
【0020】
【表1】 この表から、1パス滞在時間1.6〜1.8minの間
で1パス滞在時間に対する耐炎化処理効率の変化率が6
%/minを越えていることがわかる。従ってk値は
1.7minと求めることができる。
【0021】同様にしてフィラメント数24000、4
8000の前駆体繊維について炉内風速を0.5、0.
7および1.0m/sと変化させてk値を求めた結果を
まとめて表2に示す。
【0022】
【表2】 さらに同様の手法で耐炎化温度230℃および250℃
についてもk値を求めたが、240℃の場合とほぼ同じ
値が得られた。
【0023】また、Lが変化した場合も同様にしてk値
を求めることができる。Lが大きい場合には、(1)式
を満足する範囲でVを大きくとることができので、本発
明のようにLが15m以上と大きい場合には特に生産性
良く耐炎化を行うことができる。つまり、(1)式は従
来用いられていなかったLが15m以上というような大
きい水平炉を用いた場合に、最も効率よく安定に品質の
良い炭素繊維を得るための製造条件を明らかにしたもの
である。
【0024】図2は、表1のときと同じ前駆体繊維を、
水平炉長24mの耐炎化炉を用いて、耐炎化温度240
℃、炉内風速0.7m/sの条件で処理するときの耐炎
化処理効率と1パス滞在時間の関係を示した図である。
この場合も同様にk=1.7minが得られる。即ち、
このようにLが大きい場合には、Vを大きくとることが
できるので、さらに生産性良く耐炎化を行うことができ
る。
【0025】一方Lが大きくなると、図3に示すように
炉内での前駆体繊維の撓み量が大きくなる。炉内中央部
での撓み量(以下最大撓み量という)は(2)式で与え
られる。
【0026】 dmax=L’2 /(7.2×107 ×T) (2) ここでdmaxは最大撓み量(mm)、Tは張力(g/
d)、L’は1パスロール間距離長(mm)である。通
常L’≒Lと考えることができる。
【0027】工業的には耐炎化は同時に複数本の前駆体
繊維を並行に5〜10mm程度の間隔で並べて行う。最
大撓み量が大きくなると隣接する前駆体繊維の間でのマ
ージングが起こりやすくなる。本発明者らの検討では最
大撓み量30mm未満では前駆体繊維に特別の交絡処理
を施さなくても隣接トウ間のマージングは起こらない
が、最大撓み量が30mm以上となるとマージングが発
生しやすくなることがわかった。
【0028】そこで、前駆体繊維に交絡処理を施し、隣
接する前駆体繊維間でのマージング低減効果を調べる
と、交絡度7回/m未満では交絡処理を施さないものと
マージング発生度合いは変わらなかったが、交絡度7回
/m以上ではマージング発生度合いが急減し、最大撓み
量が増加してもマージング発生度合いは変化しなかっ
た。
【0029】即ち、前駆体繊維の交絡度を7回/m以上
とすることで、耐炎化炉長が長くなり、例えば15mを
越える場合でもマージングを効果的に防止し、生産性良
く炭素繊維を製造することができる。
【0030】交絡処理の方法としては特に限定なく、加
撚方式や、圧縮空気を糸条に吹き付けるいわゆる流体噴
射方式(インターレース)あるいはそれに準じた方法な
ど種々の方法を用いることができる。
【0031】交絡度は次のようにして求めることができ
る。 前駆体繊維を約1メートルボビンから巻きだし、一
端をクリップで固定する。 他端に錘(約100g)をつるす。 つるした前駆体繊維がよじれないよう修正して、固
定点から約10cmのところに約2gの錘をつけたフッ
クを差し込む。 フックを差し込んだ手を離し、差し込んだところか
ら落下停止したところまでの距離(交絡間距離)を測定
する。 上記〜の手順で交絡間距離を30回測定する。 測定した30点のうち上下5点を除き、残った20
点の平均値(M(cm)を求める。 交絡度(回/m)=100/M から交絡度を求め
る。
【0032】また、耐炎化工程で前駆体繊維にかける張
力は、通常前駆体繊維デニール当たり70〜200g/
dである。70g/d未満では得られる炭素繊維の強
度、弾性率を低下することがあり、また、200g/d
を越えると耐炎化工程での糸切れ、巻き付きが発生しや
すくなる。
【0033】
【実施例】以下に実施例を示して、本発明をさらに具体
的に説明する。
【0034】[前駆体繊維の製造]アクリロニトリルを
96モル%含有し、共重合成分としてメタクリル酸2モ
ル%、アクリル酸メチル2モル%を含有する単糸繊度
1.2デニール、構成フィラメント数12000本の前
駆体繊維を用意した。前駆体繊維糸条の密度は1.18
g/cm3であった。
【0035】[耐炎化炉と耐炎化方法]耐炎化を行う炉
として水平炉長Lが8m、16mおよび24mの垂直流
熱風循環式炉を用意した。風速は0.7m/sとした。
炉内温度は240℃とした。耐炎化処理を施した後、炉
の反対側から炉外に取り出し、フリーロールで方向転換
し、再び炉内に供給した、炉内通過回数を種々変化さ
せ、耐炎化糸密度が1.34g/cm3となるまで通過
を繰り返した。
【0036】[k値]先に定義した方法によりこの製造
系についてあらかじめ測定したk値は1.7であった。
【0037】[耐炎化繊維の密度測定]耐炎化繊維の密
度はJIS R7601に準拠して測定した。
【0038】[前駆体繊維の交絡処理および交絡度]前
駆体繊維を流体噴射方式により交絡処理し、所定の交絡
度の前駆体繊維を得た。交絡度は先に述べた方法により
求めた。
【0039】[炭素化炉と炭素化方法]一旦巻き取った
耐炎化をオフラインで炭素化を行う炉として有効長1.
2mのマッフル型加熱炉を用意した。この炉中で窒素雰
囲気下300〜800℃の温度範囲で加熱処理した後、
別に用意した有効長1.2mのマッフル型加熱炉中で窒
素雰囲気下1000〜1400℃の温度範囲で加熱処理
した後巻き取った。処理時間はそれぞれ1.2分で行っ
た。
【0040】[炭素繊維の評価]炭素繊維の強度および
弾性率はJIS R7601に従って評価し、炭素繊維
の毛羽立ちは目視によって評価した。
【0041】[実施例1]水平炉長Lが24mの耐炎化
炉を用いて、あらかじめ測定した交絡度が5回/m、フ
ィラメント数12000本の前駆体繊維を用い、ライン
スピード10m/minで耐炎化繊維に転換した。すな
わち、1パス滞在時間は2.4minである。式(2)
を用いて推定した最大撓み量は100mmであった。
【0042】耐炎化糸密度1.34g/cm3とするの
に必要な炉内通過回数は26回であった。滞在時間の合
計は62分であった。耐炎化工程において隣接する前駆
体繊維との間にマージングが散見された。
【0043】この耐炎化糸をオフラインで炭素化し、強
度、弾性率を測定したところ、それぞれ410kgf/
mm2、28tf/mm2であった。
【0044】[比較例1]水平炉長Lが16mの耐炎化
炉を用いたこと以外は実施例1と同様に実験を行った。
1パス滞在時間1.6minであった。耐炎化糸密度
1.34g/cm3とするのに必要な炉内通過回数を求
めたところ、55回の通過回数を要した。滞在時間の合
計は88分であった。
【0045】この耐炎化糸をオフラインで炭素化し、強
度、弾性率を測定したところ、それぞれ380kgf/
mm2、28tf/mm2であった。炭素化糸の表面に毛
羽立ちが認められた。
【0046】[比較例2]水平炉長Lが8mの耐炎化炉
を用いたこと以外は実施例1と同様に実験を行った。1
パス滞在時間0.8minであった。耐炎化糸密度1.
34g/cm3とするのに必要な炉内通過回数を求めた
ところ、170回の通過回数を要した。滞在時間の合計
は136分であった。
【0047】この耐炎化糸をオフラインで炭素化し、強
度、弾性率を測定したところ、それぞれ365kgf/
mm2、27tf/mm2であった。炭素化糸の表面には
毛羽立ちが多く見られた。
【0048】[実施例2]ラインスピード8m/min
とすること以外は比較例1と同様に実験を行った。1パ
ス滞在時間は2minであった。耐炎化糸密度1.34
g/cm3とするのに必要な炉内通過回数は34回であ
った。滞在時間の合計は68分であった。
【0049】この耐炎化糸をオフラインで炭素化し、強
度、弾性率を測定したところ、それぞれ420kgf/
mm2、28tf/mm2であった。炭素化糸の表面には
毛羽立ちは認められなかった。
【0050】[実施例3]あらかじめ測定された交絡度
が10回/mの前駆体繊維を用いること以外は実施例1
と同様に耐炎化を行った。耐炎化糸密度1.34g/c
3とするのに必要な炉内通過回数を求めたところ、実
施例1と同じ結果が得られた。耐炎化工程中での隣接す
る前駆体繊維間のマージングは実施例1に比べ大幅に減
少した。
【0051】この耐炎化糸をオフラインで炭素化し、強
度、弾性率を測定したところ、それぞれ440kgf/
mm2、29tf/mm2であった。炭素化糸の表面には
毛羽立ちは認められなかった。
【0052】
【発明の効果】本発明によれば、対流加熱方式の耐炎化
方法を用いたときに、耐炎化を効率よくかつ安定して行
うことができると同時に、機械的特性および品質の優れ
た炭素繊維を製造することができる炭素繊維の製造方法
を提供することができる。
【0053】さらに本発明によれば、耐炎化水平炉長が
長くなった場合であっても前駆体繊維間のマージングが
起こりにくくすることで、さらに耐炎化を効率よくかつ
安定して行うことができると同時に、機械的特性および
品質の優れた炭素繊維を製造することができる炭素繊維
の製造方法を提供するができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実験で用いた耐炎化炉の概略を示した図であ
る。
【図2】水平炉長24mの耐炎化炉を用いて、耐炎化温
度240℃、炉内風速0.7m/sの条件で処理すると
きの耐炎化処理効率と1パス滞在時間の関係を示した図
である。
【図3】耐炎化炉内で前駆体繊維が撓む様子を示した図
である。
【符号の説明】
1 耐炎化炉 2 前駆体繊維 3 ロール L 水平炉長

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対流加熱方式による1パス炉長15m以
    上の水平炉中で炭素繊維前駆体アクリル繊維を耐炎化繊
    維に転換する耐炎化工程を有する炭素繊維の製造方法に
    おいて、 前記水平炉中を通過する炭素繊維前駆体アクリル繊維糸
    条のラインスピードV(m/min)が(1)式を満足
    することを特徴とする炭素繊維の製造方法。 V≦L/k (1) (但し、Lは前記水平炉の長さ(m)で、L≧15であ
    る。またkは限界1パス滞在時間を表し、炭素繊維前駆
    体アクリル繊維を耐炎化水平炉中を10回通過させたと
    きの合計の炉内滞在時間(tt)と、水平炉中に炭素繊
    維前駆体アクリル繊維を固定したときに水平炉中を10
    回通過させたときと等しい密度が得られる時間(ts
    を比較し、耐炎化処理効率ts/tt×100を求め、1
    パス滞在時間に対する耐炎化処理効率の変化率が6%/
    minとなるときの1パス滞在時間(t1=tt/10
    (min))をkとする。)
  2. 【請求項2】 対流加熱方式による1パス炉長15m以
    上の水平炉中で炭素繊維前駆体アクリル繊維を耐炎化繊
    維に転換する耐炎化工程を有する炭素繊維の製造方法に
    おいて、 前記炭素繊維前駆体アクリル繊維の交絡度が7以上であ
    ることを特徴とする炭素繊維の製造方法。
  3. 【請求項3】 対流加熱方式による水平炉中で炭素繊維
    前駆体アクリル繊維を耐炎化繊維に転換する耐炎化工程
    を有する炭素繊維の製造方法において、 前記水平炉中の炭素繊維前駆体アクリル繊維のラインス
    ピードV(m/min)が前記(1)式を満足し、前記
    炭素繊維前駆体アクリル繊維の交絡度が7以上であるこ
    とを特徴とする炭素繊維の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記耐炎化工程の後に、さらに炭素化工
    程を有する請求項1〜3のいずれかに記載の炭素繊維の
    製造方法。
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