JPH1161275A - オーステナイト系ステンレス鋼の溶接部 - Google Patents

オーステナイト系ステンレス鋼の溶接部

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JPH1161275A
JPH1161275A JP9225692A JP22569297A JPH1161275A JP H1161275 A JPH1161275 A JP H1161275A JP 9225692 A JP9225692 A JP 9225692A JP 22569297 A JP22569297 A JP 22569297A JP H1161275 A JPH1161275 A JP H1161275A
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JP
Japan
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temperature
cooling
stainless steel
ferrite
fatigue
Prior art date
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Withdrawn
Application number
JP9225692A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Kanezaki
宏 金崎
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温水を含む高温流体中で疲労特性が母材に
劣る溶接部の疲労強度を向上させたオーステナイト系ス
テンレス鋼の溶接部を提供する事。 【解決手段】 高温流体に接する側の溶接金属表面部
を、再結晶化可能な温度以上に加熱した後、常温下での
自然放冷以上の冷却速度で冷却して、該溶接部表面近傍
のフェライト量を低減させて疲労強度を向上させたこと
を特徴とする。この場合前記加熱温度を低下させるには
高温流体に接する側の溶接金属表面部に前もって加工層
を生成するのがよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はオーステナイト系ス
テンレス鋼の溶接部に係り、特に高温流体中に接する部
分に使用されるオーステナイト系ステンレス鋼の溶接部
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より原子力発電設備や火力発電設備
等のボイラや配管等の高温に加熱された高温水や高温流
体と接する部分には、耐食性の観点からオーステナイト
系ステンレス鋼が広く用いられており、これらの部材の
多くは溶接により接合されている。この溶接部の金属組
織はほとんどがオーステナイトであるが、数%のフェラ
イト相が溶接時の凝固過程で発生し、オーステナイトと
フェライトの混合組織となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そして前記混合組織と
なっている溶接部は、溶接止端部等の形状不連続部を有
するために、オーステナイト系ステンレス鋼で形成され
たボイラや配管等内の流体の急激な温度変化、圧力変化
等により繰返し応力が作用する場合には前記形状不連続
部である溶接部で応力が集中し疲労亀裂が発生、部材の
破壊に至る懸念があり、溶接部の疲労強度が問題とな
る。
【0004】そこで前記混合組織中に包含されるフェラ
イト量に応じた高温水中の溶接金属部の疲労特性の状態
を検討するために、SUS316系ステンレス鋼につい
て、(1)SUS316母材(2)SUS316溶接金
属(3)316系鋳造部材の高温水中疲労試験を実施し
た。尚、鋼中のフェライト量は、(1)のSUS316
母材では0%、(2)のSUS316溶接金属では8
%、(3)の316系鋳造材では20%夫々含有されて
いる。疲労試験は軸ひずみ制御の完全両振り応力で、ひ
ずみ振幅0.6%、ひずみ速度0.0001%/se
c、325℃の脱気水中で実施した。
【0005】得られた結果を図2に示す。図2の横軸は
鋼中のフェライト量、縦軸はSUS316母材(1)の
疲労寿命を1とした時の疲労寿命比である。図2から明
瞭なように、疲労寿命はフェライト量の増加に従って、
低下する傾向が認められ、溶接金属を有する溶接部の疲
労強度は母材に比べて低く、材料的に溶接部で疲労亀裂
が生じやすい傾向を示している。
【0006】本発明はかかる技術的課題を解決するため
に、高温水を含む高温流体中で疲労特性が母材に劣る溶
接部の疲労強度を向上させたオーステナイト系ステンレ
ス鋼の溶接部を提供する事にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】高温水中のステンレス鋼
の疲労損傷がどのように生じるかを検討するために、供
試材としてSUS304母材を用い、温度250℃の脱
気高温水中で、軸ひずみ制御の疲労試験を表面に生じた
亀裂を計測しながら実施した。その結果を図3に示す。
図3の横軸は繰返し数、縦軸は表面に認められた最大の
亀裂の全長である。図3から、高温水中では、微小な亀
裂が繰返しの早期に発生する事、その亀裂が約0.5m
mまで成長するまでの亀裂伝播寿命が全疲労寿命の大半
を占める事がわかった。すなわち、図2に示したフェラ
イト量差による疲労寿命差は亀裂が発生し、約0.5m
mまで成長する間の亀裂伝播速度差に起因するものであ
ると判断される。
【0008】そこで、溶接部の疲労強度を向上する方法
としては、腐食の影響で亀裂が発生する溶接金属表面近
傍のフェライト量を大幅に低減する事が有効である。フ
ェライト量を低減する深さとしては、図3の結果で表面
長0.5mmまで成長する間の寿命が大半を占める事及
び前記試験で亀裂深さと長さの比は約0.5mmである
事を確認しているので、約0.25mmとわずかであっ
ても充分有効であると思料される。又オーステナイト系
のステンレス鋼は約1000℃以上に加熱すると、再結
晶が生じ、この時冷却速度が速い場合にはフェライトは
ほとんど生成されないことも確認されている。
【0009】そこで、本発明は、高温流体に接する側の
溶接金属表面部を、再結晶化可能な温度以上に加熱した
後、常温下での自然放冷以上の冷却速度で冷却して、該
溶接部表面近傍のフェライト量を低減させて疲労強度を
向上させたことを第1の特徴とする。この場合、常温下
での自然放冷以上の冷却速度とは、例えば常温エア噴射
等で強制空冷若しくは冷却水噴射等で強制水冷を行なう
冷却条件が好ましい。
【0010】かかる発明によれば、溶接部で高温水に接
する箇所を表面のみ局所的に加熱し、再結晶する事によ
り、表面近傍のみフェライト量が低減され、図2に示す
如く、疲労強度の向上が計れる。
【0011】請求項2記載の発明は、高温流体に接する
側の溶接金属表面部に加工層を生成した後、該表面部を
再結晶化可能な温度以上に加熱し、該加熱後、常温下で
の自然放冷以上の冷却速度で冷却して、溶接部表面近傍
のフェライト量を低減させて疲労強度を向上させたこと
を特徴とする。かかる発明によれば、溶接部の表面にロ
ール加工等の強加工、若しくはショットピーニング等の
表面加工により表面加工層を生じさせた後、加熱する事
により再結晶温度は低くなり、フェライトの消失度が大
きくなる。尚、この加工層の生成は、表面層加熱前の常
温下で行なうのがよい。又再結晶温度は低くなる、とは
加工層の生成状態にもよるが、例えばショットピーニン
グで加工層を生成した場合は約850℃以上の加熱温度
で足りる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の好
適な実施形態を例示的に詳しく説明する。但しこの実施
形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、そ
の相対的配置等は特に特定的な記載がないかぎりは、こ
の発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説
明例にすぎない。図1に本発明の実施例にかかる突合せ
溶接部の加熱処理例を示す。1は、下面の初層側が接液
面としたV字状の突合せ溶接部であり、該溶接部下部の
初層側をガスバーナ2を用いて約1000℃以上の加熱
温度で約10分間加熱した後、常温エア噴射等で強制空
冷して常温まで冷却する。次にこの効果を確認するため
に、SUS316配管(外径約100mm、板厚約13
mm)溶接継手部を供試材として、そこから図4に示す
寸法形状の試験片を採取し、325℃の脱気中水で疲労
試験を荷重制御両振り応力、母材部での公称応力振幅2
50MPa、周波数0.001Hzで実施した。
【0013】試験結果を図5に示す。図5は、図1に示
す処理を施さない場合の疲労亀裂発生寿命を1にして、
処理がある等の疲労亀裂発生寿命比を示している。前記
加熱/冷却処理により、疲労寿命は約2倍長寿命とな
り、効果が認められた。
【0014】次に本発明の他の実施例として、前記溶接
部の下面の初層側にショットピーニング処理を施した
後、該強制加工処理した初層側をガスバーナ2の炎を絞
って約850℃以上の加熱温度で約10分間加熱した
後、常温エア噴射等で強制空冷して常温まで冷却して前
記と同様な試験を行なったところ、前記強制加工/加熱
/冷却処理により、疲労寿命は約2倍長寿命となり、同
様な効果が認められた。
【0015】
【発明の効果】以上記載のごとく本発明によれば、溶接
部の表面層を約1000℃以上の再結晶温度まで局所的
に加熱/冷却することにより、表面層のフェライト量が
低減される。この結果、高温水中の疲労発生に対する抵
抗が増し、結果として溶接部の疲労寿命は向上する。
又、請求項2記載のように前もって表面層をショットピ
ーニングや強制加工を行なうことにより加熱温度を低減
する事が出来、一層安全且つ効果的な処理が可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る表面加熱方法を示す概略
図である。
【図2】疲労寿命に及ぼすフェライト量の影響を示すグ
ラフ図である。
【図3】応力の繰返し数と亀裂長さを示すグラフ図であ
る。
【図4】効果確認のために用いた試験片形状の寸法を示
す図である。
【図5】加熱/冷却処理を施さない従来技術と本発明と
の疲労亀裂発生寿命を効果確認結果を示すグラフ図であ
る。
【符号の説明】
1 突合せ溶接部 2 ガスバーナ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C22C 38/00 302 C22C 38/00 302Z // B23K 103:04

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高温流体に接する側の溶接金属表面部
    を、再結晶化可能な温度以上に加熱した後、常温下での
    自然放冷以上の冷却速度で冷却して、該溶接部表面近傍
    のフェライト量を低減させて疲労強度を向上させたこと
    を特徴とするオーステナイト系ステンレス鋼の溶接部。
  2. 【請求項2】 高温流体に接する側の溶接金属表面部に
    加工層を生成した後、該表面部を再結晶化可能な温度以
    上に加熱し、該加熱後、常温下での自然放冷以上の冷却
    速度で冷却して、溶接部表面近傍のフェライト量を低減
    させて疲労強度を向上させたことを特徴とするオーステ
    ナイト系ステンレス鋼の溶接部。
JP9225692A 1997-08-07 1997-08-07 オーステナイト系ステンレス鋼の溶接部 Withdrawn JPH1161275A (ja)

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