JPH1160784A - スチレン系発泡性樹脂粒子及びその製造方法 - Google Patents

スチレン系発泡性樹脂粒子及びその製造方法

Info

Publication number
JPH1160784A
JPH1160784A JP23181597A JP23181597A JPH1160784A JP H1160784 A JPH1160784 A JP H1160784A JP 23181597 A JP23181597 A JP 23181597A JP 23181597 A JP23181597 A JP 23181597A JP H1160784 A JPH1160784 A JP H1160784A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
styrene
cell size
monomer
resin particles
expandable resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP23181597A
Other languages
English (en)
Inventor
Masayuki Tanaka
正行 田中
Hiroki Shinozaki
広輝 篠崎
Koji Murata
光司 村田
Tomomichi Itou
智道 伊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical BASF Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Chemical BASF Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical BASF Co Ltd filed Critical Mitsubishi Chemical BASF Co Ltd
Priority to JP23181597A priority Critical patent/JPH1160784A/ja
Publication of JPH1160784A publication Critical patent/JPH1160784A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 比較的高温の条件,即ち工業的に有利な条件
で,水分の乾燥及び粒子表面の過剰な発泡剤の逸散処理
を可能にし, 生産性に優れ,また内部と表面付近のセル
サイズ差が極めて小さく,かつ発泡成形体に熔けを発生
させることもないスチレン系発泡性樹脂粒子及びその製
造方法を提供すること。 【解決手段】 セルサイズ調整剤と発泡剤とを含有して
なるスチレン系発泡性樹脂粒子において,上記セルサイ
ズ調整剤は,ヒドロキシル基またはエポキシ基及び二重
結合を有するモノマーとスチレンとの共重合体であり,
かつ該セルサイズ調整剤は原料であるスチレン系単量体
に対して1重量ppm以上10000ppm未満の範囲
で含有されていること。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は,比較的高温の条件に置かれても
内部のセルサイズが粗大化せず,表面のセルサイズも微
細化しない極めて均一なセルサイズの,予備発泡粒子を
得ることができる発泡性スチレン系樹脂粒子及びその製
造方法に関する。
【0002】
【従来技術】スチレン系樹脂発泡成形体を構成する小気
泡の大きさ(セルサイズ)は, 該成形体の品質特性であ
る表面光沢, 機械的強度特性, 断熱性等を決める重要な
因子である。そして,このような特性は,一般に予備発
泡粒子のセルサイズの良し悪しに左右される。また, 予
備発泡粒子のセルサイズは, 型内成形時の耐熱性及び成
形所要時間,特に冷却時間を決める重要な因子でもあ
る。
【0003】そこで,セルサイズを調整するために,種
々のセルサイズ調整剤が提案されている。例えば,米国
特許第3,389,097号明細書, 特公昭53−29
10号, 特開昭59−168037号, 特開昭59−1
66538号の各公報に記載されているアミド類があ
る。
【0004】また特開昭57−96029号, 特開昭5
7−119934号, 特開昭57−141533号の各
公報に記載される界面活性剤がある。また, 特開昭59
−207941号公報, 特開平3−192134号公報
がある。また, 特開平6−122781号公報に記載さ
れるポリマーがある。
【0005】
【解決しようとする課題】しかしながらこれらのセルサ
イズ調整剤を使用しても, スチレン系発泡性樹脂粒子を
工業的に製造する上では必ずしも十分なセル調整効果を
発揮するものはなかった。一般に,スチレン系発泡樹脂
粒子は,懸濁重合によって製造される為, 水分を分離す
るための乾燥工程,及びスチレン系発泡樹脂粒子表面の
過剰な発泡剤を逸散させるための処理が温風によって実
施される。そして,この温風の温度は通常20℃から5
0℃の範囲にあるが,温風の温度が高いとスチレン系発
泡樹脂粒子の温度も上昇する。
【0006】そのため,従来提案されているセルサイズ
調整剤を使用しても, スチレン系発泡性樹脂粒子におい
ては予備発泡粒子の内部のセルサイズが大きくなってし
まう現象が起こる。そして,このような内部セルが粗大
化した予備発泡粒子を用いて成形体を製造すると, 十分
な強度が得られないという欠点がある。
【0007】また, この現象を防止するために従来のセ
ルサイズ調整剤を大量に使用すると,表面付近のセルサ
イズのみ細かくなってしまう現象が起こる。このような
予備発泡粒子を用いて成形すると,いわゆる“熔け”と
いう表面溶融現象を生じ,得られた発泡成形体に部分的
な陥没を生じる欠点がある。従って,スチレン系発泡性
樹脂粒子の上記の乾燥工程,及び粒子表面の過剰な発泡
剤を逸散させる工程は,できるだけ低温の条件で時間を
かけて実施する必要があった。
【0008】このため, 乾燥, 発泡剤逸散設備は,滞留
時間を長くとるために大がかりなものとならざるを得な
かった。そのため,生産性が低く,コスト高であった。
【0009】本発明は,かかる従来の問題点に鑑み,比
較的高温の条件,即ち工業的に有利な条件で,水分の乾
燥及び粒子表面の過剰な発泡剤の逸散処理を可能にし,
生産性に優れ,また内部と表面付近のセルサイズ差が極
めて小さく,かつ発泡成形体に熔けを発生させることも
ないスチレン系発泡性樹脂粒子及びその製造方法を提供
しようとするものである。
【0010】
【課題の解決手段】請求項1に記載の発明は,セルサイ
ズ調整剤と発泡剤とを含有してなるスチレン系発泡性樹
脂粒子において,上記セルサイズ調整剤は,ヒドロキシ
ル基またはエポキシ基及び二重結合を有するモノマーと
スチレンとの共重合体であり,かつ該セルサイズ調整剤
は原料であるスチレン系単量体に対して1重量ppm以
上10000ppm未満の範囲で添加されていることを
特徴とするスチレン系発泡性樹脂粒子である。
【0011】本発明において最も注目すべき点は,上記
セルサイズ調整剤として,上記特定の共重合体を用い,
これを上記スチレン系発泡性樹脂粒子の原料であるスチ
レン系単量体に対して上記特定範囲において添加してい
る,予備発泡粒子としてのスチレン系発泡性樹脂粒子で
ある。
【0012】本発明のスチレン系発泡性樹脂粒子は, 水
蒸気や熱風等の加熱手段で加熱されると, 粒子内に多数
の小気泡が生成して, 予備発泡粒子となる。そして, こ
の予備発泡粒子を金型内に充填して再び加熱すると, 上
記予備発泡粒子が二次発泡し, 互いに融着し合って, 金
型に忠実な発泡成形体を成形することができる。
【0013】本発明のスチレン系発泡性樹脂粒子は,4
0℃〜50℃の比較的高温の条件において,懸濁重合時
に付着した水分の乾燥,粒子表面の過剰の発泡剤の逸散
処理を行なうことができる。そして,かかる乾燥,逸散
処理においても,セルサイズの粗大化は生ぜず,機械的
強度も高い。
【0014】それ故,本発明によれば,比較的高温の条
件,即ち工業的に有利な条件で,水分の乾燥及び粒子表
面の過剰な発泡剤の逸散処理を可能にし, 生産性に優
れ,また内部と表面付近のセルサイズ差が極めて小さ
く,かつ発泡成形体に熔けを発生させることもないスチ
レン系発泡性樹脂粒子を提供することができる。
【0015】このようにして造られたスチレン系樹脂発
泡成形体は, 食品容器, 緩衝材, 断熱材等として利用す
ることができる。
【0016】次に,上記スチレン系発泡性樹脂粒子の製
造方法としては,請求項5に記載した発明のように,ス
チレン系単量体をセルサイズ調整剤の存在下に懸濁重合
すると共に該懸濁重合の際又はその後に発泡剤を含有さ
せてスチレン系発泡性樹脂粒子を製造する方法におい
て,上記セルサイズ調整剤は,ヒドロキシル基またはエ
ポキシ基及び二重結合を有するモノマーとスチレンとの
共重合体であり,かつ該セルサイズ調整剤は上記スチレ
ン系単量体に対して1重量ppm以上10000ppm
未満の範囲で添加してなることを特徴とするスチレン系
発泡性樹脂粒子の製造方法がある。
【0017】この製造方法によれば,上記のごとき優れ
たスチレン系発泡性樹脂粒子を容易に製造することがで
きる。
【0018】次に,上記スチレン系発泡性樹脂粒子及び
その製造方法に共通する原料成分等に関して,以下に説
明する。
【0019】(1)原料成分 スチレン系単量体 本発明のスチレン系発泡性樹脂粒子は,スチレン系単量
体を懸濁重合し,この重合中に発泡剤を添加するか, 或
いは重合工程終了後に発泡剤を重合体粒子に含浸させて
製造する。上記スチレン系単量体としては, スチレン,
α- メチルスチレン, ビニルトルエン等のスチレン系単
量体を主成分とするものであり, スチレン系単量体の一
部(50重量%以下)をそれ以外のビニル単量体, 例え
ばアクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体, ブチル
アクリレート等のアクリレート系単量体, メチルメタク
リレート等のメタクリレート系単量体などのスチレン系
単量体と共重合可能な単量体と置き換えることもでき
る。
【0020】(2)配合剤 スチレン系発泡性樹脂粒子の製造の為に使用する配合剤
としては, セルサイズ調整剤,発泡剤懸濁剤, 重合開始
剤, また必要により分散助剤, 可塑剤等が使用できる。
また, 乾燥及び粒子表面の過剰な発泡剤の逸散処理の際
には,帯電防止剤, ブロッキング防止剤, 融着改良剤等
を,懸濁重合後のスチレン系発泡性樹脂粒子に対して配
合しても良い。
【0021】セルサイズ調整剤;本発明においては,セ
ルサイズ調整剤として,ヒドロキシル基またはエポキシ
基及び二重結合を有するモノマーとスチレンとの共重合
体を用い,これをスチレン系発泡性樹脂粒子中に含有さ
せる。上記のヒドロキシル基またはエポキシ基の少なく
も一方と二重結合とを有する上記モノマーは,スチレン
と共重合可能であれば本発明に用いることができる。
【0022】ヒドロキシル基と二重結合を有するモノマ
ーの例としては多価アルコールのアクリル酸またはメタ
クリル酸のモノエステルを挙げることができる。多価ア
ルコールの例としては, エチレングリコール, ポリエチ
レングリコール, プロピレングリコール, ポリプロピレ
ングリコール, ブタンジオールを挙げることができる。
【0023】また,エポキシ基と二重結合を有するモノ
マーの例としてはグリシジルアルコールとアクリル酸ま
たはメタクリル酸のエステルが挙げられる。これらのモ
ノマーとスチレンとの共重合方法については,いかなる
方法を用いることもできる。
【0024】次に,請求項2,請求項6に記載の発明の
ように,上記ヒドロキシル基またはエポキシ基及び二重
結合を有するモノマーは,多価アルコールと,アクリル
酸またはメタクリル酸のモノエステルであることが好ま
しい。
【0025】この場合には,ラジカル重合によって比較
的簡便,温和な条件でセル調整剤を製造できるので好ま
しい。また,上記組合せの共重合体の製法例としては,
懸濁重合を用いることができる。後述の懸濁剤及び重合
開始剤がこの共重合体の製造の為に用いることができ
る。
【0026】次に,請求項3,請求項7に記載の発明の
ように,上記多価アルコールは,ブタンジオール, プロ
ピレングリコール又はエチレングリコールの中のいずれ
か1種以上の2価のアルコールであることが好ましい。
この場合には,上記2価のアルコールと,アクリル酸ま
たはメタクリル酸のモノエステルとはスチレンとの懸濁
重合による共重合が容易であり,また共重合体がスチレ
ン系単量体に可溶性となるので好ましい。
【0027】次に,請求項4,請求項8に記載の発明の
ように,上記2価のアルコールと,アクリル酸またはメ
タクリル酸のモノエステルと,スチレンとの共重合体に
おけるスチレン単位の組成比は,50重量%以上99重
量%未満であることが好ましい。
【0028】スチレン単位が50重量%未満であると,
スチレン系単量体への上記2価アルコール,上記モノエ
ステルの溶解性が悪化するおそれがある。またスチレン
系発泡性樹脂粒子の製造時における懸濁安定性が低下し
塊化しやすくなる。一方,99重量%以上になると,セ
ルサイズ調整効果が弱くなるため,スチレン系発泡性樹
脂粒子の製造時にセルサイズ調整剤を大量に使用しなけ
ればならなくなる。
【0029】また必要に応じ,この共重合体にスチレン
と共重合可能な第三成分として,その他のビニル単量
体,例えばα- メチルスチレン, アクリロニトリル等の
シアン化ビニル単量体, ブチルアクリレート等のアクリ
レート系単量体, メチルメタクリレート等のメタクリレ
ート系単量体を共重合させることもできる。
【0030】この共重合体の分子量については特に限定
はないが,分子量が低くスチレン単位の組成比も低くな
ると,スチレン系発泡性樹脂粒子製造の為の懸濁重合時
に,この共重合体が粒子表面にブリードアウトしやすく
なるため,懸濁安定性が低下し塊化しやすくなる。また
予備発泡粒子とした場合, 表面付近のセルサイズのみ細
かくなる現象が起こりやすい。
【0031】一方,分子量が高いとスチレン系単量体へ
の溶解に時間を要すこととなるので好ましくない。これ
らを考慮すると,GPC法(ゲルパーミエーションクロ
マトグラフ)によるポリスチレン相当分子量で,上記共
重合体の分子量は1万から50万の範囲とすることが好
ましい。
【0032】セルサイズ調整剤の使用量が,スチレン系
発泡性樹脂粒子の主原料であるスチレン系単量体に対し
て1重量ppm未満の場合には,十分なセルサイズ調整
効果が得られない。一方,10000重量ppmを越え
て含有させても,セルサイズを細かくする効果が少な
い。
【0033】また,セルサイズ調整剤をスチレン系発泡
性樹脂粒子へ含有させる方法については,懸濁重合を開
始する前にスチレン系単量体へ溶解しておくことが好ま
しい。懸濁重合中に該共重合体を添加することも可能で
あるが,該共重合体がスチレン系発泡性樹脂粒子に不均
一に存在する場合があり,セルむら等の要因となりやす
い。尚,セルサイズ調整剤は必要に応じ,従来公知のセ
ルサイズ調整剤と併用することも何ら差し支えない。
【0034】発泡剤;発泡剤としては,プロパン, ブタ
ン, ペンタン, ヘキサン等の脂肪族炭化水素及びシクロ
ペンタン, シクロヘキサン等の脂環族炭化水素等,沸点
が100℃以下の揮発性発泡剤が使用できる。
【0035】懸濁剤;スチレン系発泡性樹脂粒子を製造
する懸濁重合に用いる懸濁剤としては, ポリビニルアル
コール, ポリビニルピロリドン, ポリアクリルアミド等
の高分子分散剤(保護コロイド剤)及び水に難溶な無機
塩, 例えば燐酸カルシウム, ハイドロキシアバタイト,
ピロ燐酸マグネシウム等と,界面活性剤, 例えばドデシ
ルベンゼンスルフォン酸ナトリウムの組み合わせを挙げ
ることができる。
【0036】また, 必要に応じ重合開始時点または重合
中に電解質, 例えば塩化リチウム,塩化カリウム, 塩化
ナトリウム, 塩化マグネシウム, 塩化カルシウム, 硫酸
ナトリウム, 硝酸ナトリウム, 炭酸ナトリウム, 重炭酸
ナトリウム等の無機塩類, 酢酸ナトリウム, 琥珀酸二ナ
トリウム, ベヘミン酸ナトリウム, 安息香酸ナトリウム
等の有機酸塩等を加えることもできる。
【0037】重合開始剤;重合開始剤としては, 一般に
スチレン系単量体のラジカル重合に用いられている重合
開始剤, 例えば過酸化ベンゾイル, 過安息香酸ブチル,
ターシャリーブチルパーオキシ2エチルヘキサノエー
ト, ターシャリブチルパーオキシ2エチルヘキシルカー
ボネート, ターシャリブチルパーオキシイソプロピルカ
ーボネート,アゾビスイソブチロニトリル等の油溶性の
重合開始剤が使用できる。また,必要に応じ過硫酸のア
ルカリ金属塩, 重亜硫酸のアルカリ金属塩等の水溶性の
重合開始剤及び還元剤を併用しても良い。
【0038】可塑剤;可塑剤としてはトルエン, キシレ
ン, エチルベンゼン, ジオクチルアジペート, ジオクチ
ルフタレート等を挙げることができる。
【0039】(3)重合及び後処理 本発明における懸濁重合, 該懸濁重合により得られたス
チレン系発泡性樹脂粒子の脱水処理, 水分の乾燥及び過
剰な発泡剤の逸散処理については,周知のスチレン系発
泡性樹脂粒子の製造技術が適用できる。
【0040】
【発明の実施の形態】以下, 本発明にかかる実施形態例
及び比較例を挙げる。 実施形態例1 1.〔セルサイズ調整剤の製造〕 3L(リットル)の回転攪拌機付きオートクレーブ内
に, 蒸留水1000g,懸濁剤としての第三燐酸カルシ
ウム4g及び懸濁助剤としてのドデシルベンゼンスルホ
ン酸ナトリウム0.03gを仕込んだ。
【0041】次いで,ヒドロキシル基と二重結合とを有
するモノマーとしての2−ヒドロキシプロピルメタクリ
レート80g及びスチレン720g,開始剤としてター
シャリーブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート
2.4g及びターシャリブチルパーオキシイソプロピル
カーボネート0.8gを投入した。次いで,90℃まで
昇温し,同温度で7時間保持した。その後110℃まで
昇温して同温度で6時間保持し40℃まで冷却した。
【0042】得られたスラリーにpHが2になるまで塩
酸を加えて,重合体粒子表面の第三燐酸カルシウム成分
を除去した。その後遠心分離器にて水洗しつつ大部分の
水分を除去した。このようにして得られた,セルサイズ
調整剤としての共重合体は,60℃の温風で10分間処
理し完全に乾燥した。
【0043】2.〔スチレン系発泡性樹脂粒子の製造〕 50Lの回転攪拌機付きオートクレーブ内に, 蒸留水1
6kg,懸濁剤としての第三燐酸カルシウム40g及び
懸濁助剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウ
ム0.64gを仕込んだ。
【0044】次いで,スチレン系単量体としてのスチレ
ン17kgに,セルサイズ調整剤としての上記共重合体
1.7g, 開始剤としてのターシャリーブチルパーオキ
シ2−エチルヘキサノエート50g及びターシャリブチ
ルパーオキシイソプロピルカーボネート15g, 発泡剤
としてのシクロヘキサン300gを溶解した溶液を投入
した。次いで90℃まで昇温し100℃まで連続的に5
時間かけて昇温した。
【0045】次いで,発泡剤としての混合ブタン120
0gを,上記溶液中に圧入し110℃まで1時間かけて
昇温し同温度で1時間保持した後, 4時間かけて30℃
まで冷却した。得られたスラリーにpHが2になるまで
塩酸を加えて,スチレン系発泡性樹脂粒子表面の第三燐
酸カルシウム成分を除去した。
【0046】その後,遠心分離器にて水洗しつつ大部分
の水分を除去した。次いで,帯電防止剤としてジエタノ
ールアルキルアミンを,上記スチレン系発泡性樹脂粒子
に対し0.01重量%の割合で噴霧した後,50℃の温
風で10分間処理し完全に乾燥した。
【0047】次いで,粒子径が0.8mmから1.2m
mのスチレン系発泡性樹脂粒子を篩い出し,該スチレン
系発泡性樹脂粒子100重量%に対して,ブロッキング
防止剤としてのステアリン酸亜鉛0.1重量%, 融着改
良剤としてのグリセリンモノステアレート0.05重量
%を,その表面にコーティングした。更に,スチレン系
発泡性樹脂粒子の表面付近に付着している過剰な発泡剤
を逸散させる目的で,50℃の温風で2時間処理した。
【0048】3.〔予備発泡粒子の製造〕 上記のようにして得られた,温風処理スチレン系発泡性
樹脂粒子を,直ちにバッチ式発泡機で嵩倍率60倍まで
予備発泡した。この予備発泡粒子のセルは,ほぼ均一
で,表面近傍の平均セルサイズ(直径)は90μmであ
り,内部の平均セルサイズは80μmであった。
【0049】4.〔予備発泡粒子の性状測定〕 即ち,上記予備発泡粒子のセル数及びセル均一度は,下
記の方法で評価した。 セルサイズ;嵩倍率を60倍とした予備発泡粒子をカミ
ソリで真半分に切り,光学顕微鏡で予備発泡粒子のセル
数(樹脂部の壁と壁の間で区切られた部分を1単位とし
た)を任意の3ケ所で計測して平均した。
【0050】(1)表面セルサイズ;図1,図2に示す
ごとく,表面Aから中心部に向かって0.2mmの範囲
中にある,セル壁A1〜An+1までの距離L1(μ
m)にあるセル数nで,距離L1を割った値を,小数点
以下第1位を四捨五入して,セルサイズを求めた。な
お,図1に示した例では,L1=120μm,この間の
セル数nは2個である。それ故,平均のセルサイズは1
20μm/2(個)=60μmとなる。
【0051】(2)内部セルサイズ;表面から中心部に
向かって1.0mmの点A’から予備発泡粒子中心部O
までの範囲中にある,セル壁A’1〜A’n’+1まで
の距離L2(μm)にあるセル数n’で,距離L2を割
った値の小数点以下第1位を四捨五入して,セルサイズ
を求めた。図1の例では,900(μm)/9(個)=
100μmとなる。なお,図2のA−a,B−b,C−
cは,任意3カ所の計測位置を示す。上記(1),
(2)の方法で,A−a,B−b,C−cの各軸に沿っ
て計測した表面サイズ,内部セルサイズの値をそれぞれ
平均して測定値とした。
【0052】5.〔発泡成形体の製造〕 次に, この予備発泡粒子を室温で1日熟成した後, 内寸
が300mm×75mm×25mmの金型のキャビティ
内に充填し, 80kPaの水蒸気で20秒間加熱して発
泡成形体を得た。得られた発泡成形体の表面には,いわ
ゆる“熔け”は認められなかった。また,室温1日後に
JIS−A9511に準じた曲げ試験を実施したとこ
ろ, 最大強度は282kPaであった。上記実施形態例
1におけるセルサイズ調整剤の条件,予備発泡粒子,発
泡成形体の測定結果を表1に示す。
【0053】実施形態例2〜9, 比較例1〜2 セルサイズ調整剤として用いる共重合体の種類, 組成及
び添加量を表1に示すように変化させた以外は上記実施
形態例1と同様の操作,測定を実施した。なお,表1に
おいて,セルサイズ調整剤となる「共重合体」における
「ヒドロキシル基又はエポキシ基及び二重結合を有する
モノマーとスチレン」の量は,合計「100重量%」で
ある。
【0054】表1より,本発明にかかるスチレン系発泡
性樹脂粒子により得られた予備発泡粒子は.表面近傍と
内部のセルサイズにその差が少なく,またこれにより得
られた発泡成形体は表面の“熔け”が無く,強度も優れ
ていることがわかる。
【0055】
【表1】
【0056】
【発明の効果】比較的高温の条件,即ち工業的に有利な
条件で,水分の乾燥及び粒子表面の過剰な発泡剤の逸散
処理を可能にし, 生産性に優れ,また内部と表面付近の
セルサイズ差が極めて小さく,かつ発泡成形体に熔けを
発生させることもないスチレン系発泡性樹脂粒子及びそ
の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】予備発泡粒子の性状測定の説明図。
【図2】図1の全体説明図。
フロントページの続き (72)発明者 伊藤 智道 三重県四日市市川尻町1000番地 三菱化学 ビーエーエスエフ株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セルサイズ調整剤と発泡剤とを含有して
    なるスチレン系発泡性樹脂粒子において,上記セルサイ
    ズ調整剤は,ヒドロキシル基またはエポキシ基及び二重
    結合を有するモノマーとスチレンとの共重合体であり,
    かつ該セルサイズ調整剤は原料であるスチレン系単量体
    に対して1重量ppm以上10000ppm未満の範囲
    で添加されていることを特徴とするスチレン系発泡性樹
    脂粒子。
  2. 【請求項2】 請求項1において,上記ヒドロキシル基
    またはエポキシ基及び二重結合を有するモノマーは,多
    価アルコールと,アクリル酸またはメタクリル酸のモノ
    エステルであることを特徴とするスチレン系発泡性樹脂
    粒子。
  3. 【請求項3】 請求項2において,上記多価アルコール
    は,ブタンジオール,プロピレングリコール又はエチレ
    ングリコールの中のいずれか1種以上の2価のアルコー
    ルであることを特徴とするスチレン系発泡性樹脂粒子。
  4. 【請求項4】 請求項3において,上記2価のアルコー
    ルと,アクリル酸またはメタクリル酸のモノエステル
    と,スチレンとの共重合体におけるスチレン単位の組成
    比は,50重量%以上99重量%未満であることを特徴
    とするスチレン系発泡性樹脂粒子。
  5. 【請求項5】 スチレン系単量体をセルサイズ調整剤の
    存在下に懸濁重合すると共に該懸濁重合の際又はその後
    に発泡剤を含有させてスチレン系発泡性樹脂粒子を製造
    する方法において,上記セルサイズ調整剤は,ヒドロキ
    シル基またはエポキシ基及び二重結合を有するモノマー
    とスチレンとの共重合体であり,かつ該セルサイズ調整
    剤は上記スチレン系単量体に対して1重量ppm以上1
    0000ppm未満の範囲で添加してなることを特徴と
    するスチレン系発泡性樹脂粒子の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項5において,上記ヒドロキシル基
    またはエポキシ基及び二重結合を有するモノマーは,多
    価アルコールと,アクリル酸またはメタクリル酸のモノ
    エステルであることを特徴とするスチレン系発泡性樹脂
    粒子の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項6において,上記多価アルコール
    は,ブタンジオール,プロピレングリコール又はエチレ
    ングリコールの中のいずれか1種以上の2価のアルコー
    ルであることを特徴とするスチレン系発泡性樹脂粒子の
    製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項7において,上記2価のアルコー
    ルと,アクリル酸またはメタクリル酸のモノエステル
    と,スチレンとの共重合体におけるスチレン単位の組成
    比は,50重量%以上99重量%未満であることを特徴
    とするスチレン系発泡性樹脂粒子の製造方法。
JP23181597A 1997-08-12 1997-08-12 スチレン系発泡性樹脂粒子及びその製造方法 Pending JPH1160784A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP23181597A JPH1160784A (ja) 1997-08-12 1997-08-12 スチレン系発泡性樹脂粒子及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP23181597A JPH1160784A (ja) 1997-08-12 1997-08-12 スチレン系発泡性樹脂粒子及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1160784A true JPH1160784A (ja) 1999-03-05

Family

ID=16929465

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP23181597A Pending JPH1160784A (ja) 1997-08-12 1997-08-12 スチレン系発泡性樹脂粒子及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1160784A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014105275A (ja) * 2012-11-27 2014-06-09 Teijin Ltd 金型腐食性に優れる超臨界発泡成形用熱可塑性樹脂組成物
JP2018135407A (ja) * 2017-02-20 2018-08-30 株式会社カネカ メタクリル酸メチル系発泡粒子
JP2018158981A (ja) * 2017-03-22 2018-10-11 株式会社カネカ 発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法
JP2021102750A (ja) * 2019-12-25 2021-07-15 積水化成品工業株式会社 スチレン系樹脂発泡粒子、スチレン系樹脂発泡成形体および発泡性スチレン系樹脂粒子

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014105275A (ja) * 2012-11-27 2014-06-09 Teijin Ltd 金型腐食性に優れる超臨界発泡成形用熱可塑性樹脂組成物
JP2018135407A (ja) * 2017-02-20 2018-08-30 株式会社カネカ メタクリル酸メチル系発泡粒子
JP2018158981A (ja) * 2017-03-22 2018-10-11 株式会社カネカ 発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法
JP2021102750A (ja) * 2019-12-25 2021-07-15 積水化成品工業株式会社 スチレン系樹脂発泡粒子、スチレン系樹脂発泡成形体および発泡性スチレン系樹脂粒子

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR20130103493A (ko) 기계적 특성이 개선된, 특히 인열 신도가 증가된 폴리메타크릴이미드 발포체
EP0488025B1 (en) Method for manufacturing expandable polystyrene particles
JP2019019295A (ja) スチレン系樹脂
JP6672166B2 (ja) 固体粒子状ビニル芳香族ポリマー組成物の調製用製造方法
JP2002284917A (ja) 発泡性スチレン系樹脂粒子
JPH1160784A (ja) スチレン系発泡性樹脂粒子及びその製造方法
JP5576678B2 (ja) スチレン系重合体粒子、その製造方法、発泡性スチレン系重合体粒子及び発泡成形体
US5837740A (en) Expandable ABS resin beads and process for producing the same
JP3054017B2 (ja) 発泡性スチレン系重合体粒子
JP2011068821A (ja) 発泡性複合樹脂粒子、予備発泡粒子、それらの製造方法及び発泡成形体
JPH1160785A (ja) スチレン系発泡性樹脂粒子及びその製造方法
JP3955782B2 (ja) スチレン系樹脂予備発泡粒子とその製造方法及び発泡樹脂成形品
JP2001181433A (ja) 発泡性熱可塑性共重合体粒子
US4423160A (en) Process for forming anti-lumping and fast-cool vinyl aromatic expandable polymer particles
EP3149074B1 (en) Water expandable polymer beads
JP3805209B2 (ja) 発泡性スチレン系樹脂粒子、スチレン系樹脂発泡成形体およびそれらの製造方法
JP5913990B2 (ja) 予備発泡粒子の製造方法及び発泡成形体の製造方法
JPH11152364A (ja) 発泡性スチレン系重合体粒子の製造方法
US4407979A (en) Process for forming fast-cool vinyl aromatic expandable polymers
JPH0513174B2 (ja)
US4439547A (en) Anti-lumping and fast-cool vinyl aromatic expandable polymer particles
JP5666796B2 (ja) スチレン系重合体粒子の製造方法
US4430449A (en) Fast-cool vinyl aromatic expandable polymers
JPH101561A (ja) 発泡性スチレン系樹脂粒子
JP3265246B2 (ja) スチレン系樹脂粒子の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20040223

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20040428

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20051109

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20051115

A02 Decision of refusal

Effective date: 20060314

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02