JPH116056A - 金属間化合物含有ターゲット、およびこれを用いた硬質被覆部材の製造方法 - Google Patents

金属間化合物含有ターゲット、およびこれを用いた硬質被覆部材の製造方法

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JPH116056A
JPH116056A JP17113497A JP17113497A JPH116056A JP H116056 A JPH116056 A JP H116056A JP 17113497 A JP17113497 A JP 17113497A JP 17113497 A JP17113497 A JP 17113497A JP H116056 A JPH116056 A JP H116056A
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titanium
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JP17113497A
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Mamoru Kobata
護 木幡
Toshiyuki Watanabe
敏行 渡辺
Katsuhiko Seki
克彦 関
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Toshiba Tungaloy Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 (Ti,Al)化合物の被膜を被覆するため
に従来のターゲットを蒸発源として用いた場合に、被膜
にマイクロパーティクルを発生しやすく、被膜の不均一
性,低硬度性および易剥離性の傾向を示し、短寿命にな
るという問題がある。 【解決手段】 チタンとアルミニウムとの金属間化合物
が30原子%以上と、残部がチタン元素とアルミニウム
元素と不可避不純物とからなることを特徴とする金属間
化合物含有ターゲット。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属、合金または
セラミックス焼結体の基材上に、物理蒸着法によりチタ
ンとアルミニウムとの窒化物,炭窒化物,窒酸化物,炭
酸化物,炭窒酸化物でなる(Ti,Al)化合物の被膜
を被覆するための蒸発源として最適な金属間化合物含有
ターゲットおよびこのターゲットを用いた硬質被覆部材
の製造方法に関し、具体的には、マイクロパーティクル
の発生を抑制し、被膜の均一性,耐剥離性,高硬度性,
および高靭性にすぐれる(Ti,Al)化合物の被膜を
被覆することが可能な金属間化合物含有ターゲット、お
よびこのターゲットを用いて、旋削工具,フライス工
具,ドリル,エンドミルに代表される切削用工具、スリ
ッタ−などの切断刃,裁断刃とダイス,パンチなどの型
工具やノズルなどの耐腐食耐摩耗部材に代表される耐摩
耗用工具、トンネル掘削用ビット,建築用工具に代表さ
れる土木建設用工具として最適な硬質被覆部材を作製す
るための金属間化合物含有ターゲットおよびこのターゲ
ットを用いた硬質被覆部材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】金属、合金およびセラミックスの基材上
に厚さが20μm以下のセラミックスの被膜を被覆し、
基材と被膜とのそれぞれの特性を有効に引き出して、長
寿命を達成しようとした被覆部材が多数提案されてい
る。この被覆部材における被膜方法は、大別すると化学
蒸着法(CVD法)とスパッタリング法,イオンプレー
チング法に代表される物理蒸着法(PVD法)とがあ
る。これらのうち、PVD法による被膜の1種として、
1980年代中頃から提案された(Ti,Al)化合物
の被膜に代表される被覆部材に関するものがある。この
(Ti,Al)化合物の被膜は、一般には、Ti元素と
Al元素とを含有したターゲットを蒸発源とするスパッ
タリング法により被覆される。このようなTi元素とA
l元素を含有したターゲットについて開示されているも
のの代表的なものとして、特開昭62−56565号公
報,特開平6−210502号公報,特開平6−210
511号公報および特開平7−197235号公報があ
る。また、金属間化合物の分散したターゲットについて
開示されている代表的なものとして、特開平8−100
255号公報がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】Ti元素とAl元素と
を含有したターゲットについて開示されている先行技術
のうち、特開昭62−56565号公報,特開平6−2
10502号公報および特開平6−210511号公報
には、Ti−Al合金(Al:20%含有)のターゲッ
トについて開示されている。これらの先行技術に開示の
ターゲットは、Ti:Alが4:1の比率の合金である
ことから、合金的にターゲットの作製が困難であるこ
と、ターゲットを作製したとしても、これを蒸発源とし
て用いて被膜を被覆した場合に、被膜にマイクロパーテ
ィクルを発生しやすく、被膜の不均一性,低硬度性およ
び易剥離性の傾向を示し、短寿命になるという問題があ
る。また、特開平7−197235号公報には、AlX
Ti1-X具体的にはAl0.7Ti0.3ターゲットについて
開示されている。同公報に開示のターゲットは、Al元
素とTi元素との混合である場合には、ターゲットの作
製を除いて、上述と同様の問題を包含しており、さらに
AlとTiとの合金である場合には、ターゲットの作製
およびそのターゲットを用いた成膜時において、上述と
同様の問題を包含している。
【0004】一方、金属間化合物の含有したターゲット
として開示されている特開平8−100255号公報に
は、Nb,V,Ti,Zr,Ni,PtおよびWからな
る合金成分の1種以上1〜20wt%と、残りAlと不
可避不純物からなる組成であって、平均粒径30μm以
下のAlと前記合金成分との金属間化合物が素地に分散
している薄膜トランジスタの薄膜形成用スパッタリング
ターゲット材について開示されている。同公報に開示の
ターゲットは、Alを主成分とする2種以上の金属元素
からなる合金であり、薄膜トランジスタ用薄膜を成膜す
るときにはすぐれた薄膜となるのに対し、非金属元素を
含有する化合物薄膜を成膜するときには、上述の先行技
術と同様に被膜にマイクロパーティクルを発生しやす
く、被膜の不均一性,低硬度性および易剥離性の傾向を
示し、短寿命になるという問題がある。
【0005】本発明は、上述のような従来のターゲット
およびそのターゲットを用いた成膜方法における問題点
を解決したものであって、具体的には、チタンとアルミ
ニウムとの金属間化合物を30原子%以上均一分散含有
させたターゲットとし、このターゲットを用いて(T
i,Al)化合物の被膜を被覆する場合に、成膜時にお
けるターゲット組成成分の経時変化が生じ難く,被膜表
面のマイクロパーティクルを抑制できること,被膜硬さ
を高め得ること,被膜の結晶成長方向の調整が容易とな
ること,被膜の材質および厚さを均一化しやすいこと、
その結果、長寿命の被覆部材にすることが可能であるタ
ーゲットおよびそれを用いた硬質被覆部材の製造方法の
提供を目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、(Ti,
Al)化合物の被膜を作製するために用いられてきた従
来のターゲットは、Ti−Al合金、特にAl含有量の
少ない合金でなること、このターゲットを用いて作製さ
れた被膜は、マイクロパーティクルが発生しやすいこ
と、不均一な被膜になりやすいこと、低硬度の被膜にな
るという問題があることから、長年に亘り検討していた
ところ、詳細な理由は明確ではないが、チタンとアルミ
ニウルとの金属間化合物を30原子%以上含有させたタ
ーゲットを用いて作製された被膜は、上述のような問題
点の解決が可能であるという知見を得て、本発明を完成
するに至ったものである。
【0007】本発明のターゲットは、チタンとアルミニ
ウムとの金属間化合物が30原子%以上と、残部がチタ
ン元素とアルミニウム元素と不可避不純物とからなるこ
とを特徴とするものである。
【0008】この本発明のターゲットにおける金属間化
合物は、具体的には、例えばチタンとアルミニウムとの
金属間化合物であるといわれているTi:Alの原子比
が1:1(TiAl金属間化合物)、3:1(Ti3
l金属間化合物)、1:3(TiA3金属間化合物)の
中の少なくとも1種からなる場合を挙げることができ
る。これらの金属間化合物のうち、Ti:Alの原子比
が1:1に近似したTiAl金属間化合物でなることが
安定したターゲットを作製でき得ること、このターゲッ
トを用いた成膜にはマイクロパーティクルの発生が抑制
されて被膜の特性がすぐれることから好ましく、特にT
i:Alの原子比率が50〜55:50〜45でなる金
属間化合物を多く含有させることが好ましいことであ
る。この金属間化合物は、ターゲット中に均一に分散し
ていることが好ましいことである。
【0009】この本発明のターゲットの組成的な構成
は、上述の金属間化合物の他にTi金属とAl金属、T
i−Al合金またはTi−Al合金にTiおよび/また
はAlが混在した状態でなる場合、具体的には、例えば
TiAl金属間化合物+Ti金属および/またはAl金
属からなる第1構成の場合、TiAl金属間化合物+
(Ti−Al)合金からなる第2構成の場合、TiAl
金属間化合物+(Ti−Al)合金+Ti金属および/
またはAl金属からなる第3構成の場合を挙げることが
できる。このターゲットの組成において重要なことは、
ターゲット中に含有する金属間化合物の含有量、ターゲ
ット中に存在するTi元素とAl元素の比率、および上
述した金属間化合物中のTi元素とAl元素の比率であ
る。これらのうち、ターゲット中に存在するTi元素と
Al元素の原子比率は、Ti:Al=48〜75:52
〜25であると膜の特性を向上させることができること
から好ましいことである。
【0010】この本発明のターゲットは、従来から合金
の製造方法として知られている粉末冶金法における焼結
法、溶解鋳造法などにより作製することが可能である。
これらのうち、焼結法、特に反応焼結法,高温焼結法に
より作製すると緻密で均一な上述の条件を満たすような
ターゲットを作製することが容易となることから好まし
いことである。
【0011】このターゲットは、ターゲットを作製する
ための出発原料に含有している不可避不純物とターゲッ
トを作製するときに混在してくる不純物がある。これら
の不純物としては、例えばC(炭素),Si,Mn,
V,Fe,Ni,N(窒素),Cr,O(酸素),B
(硼素)を挙げることができる。これらのうち、Si,
Fe,Bの中の1種以上がターゲット全体に対し、1原
子%以下に制限されていることが好ましいことである。
【0012】この本発明のターゲットを用いて、各種の
物理蒸着法(PVD法)によりチタンとアルミニウムと
の窒化物,炭窒化物,窒酸化物,炭酸化物,炭窒酸化物
の中の1種の単層または2種以上の多層でなる硬質膜
を、金属材料,焼結合金,セラミックスの基材上に被覆
することができる。
【0013】この物理蒸着法のうち、本発明の硬質被覆
部材の製造方法は、基材の表面をボンバード処理する第
1工程と、ターゲットから蒸発させた被膜形成材料を該
基材の表面に導いて、チタンとアルミニウムとの窒化
物,炭窒化物,窒酸化物,炭酸化物,炭窒酸化物の中の
1種の単層または2種以上の多層からなる被膜を形成す
る第2工程とを含む物理蒸着法による被膜形成方法であ
って、該第2工程で用いる該ターゲットがチタンとアル
ミニウムとの金属間化合物を30原子%以上含有した金
属間化合物含有ターゲットであることを特徴とする方法
である。
【0014】本発明の硬質被覆部材の製造方法において
用いる基材は、材質的には、特に制限されることがな
く、被膜を被覆するときに加熱する温度に耐えることが
できる材質、例えば金属部材,焼結合金またはセラミッ
クス焼結体ならば問題がなく、具体的には、例えばステ
ンレス鋼,耐熱合金,高速度鋼,ダイス鋼,Ti合金,
Al合金に代表される金属部材、超硬合金,サ−メッ
ト,粉末ハイスに代表される焼結合金、Al23系焼結
体,Si34系焼結体,サイアロン系焼結体,ZrO2
系焼結体に代表されるセラミックス焼結体を挙げること
ができる。これらのうち、切削用工具または耐摩耗用工
具として用いるときには、超硬合金,窒素含有TiC系
サ−メットもしくはセラミックス焼結体の基材が好まし
い。
【0015】これらの基材表面を洗浄および乾燥した
後、真空およびガス雰囲気調整が可能な物理蒸着装置用
の反応容器内に設置し、従来から行われているようなボ
ンバード処理を行うことができる。特に、このボンバー
ド処理は、10-3Torr以下の圧力の真空中で773
〜1273Kに昇温し、基材に負のバイアス電流を印加
して処理すると、上述のターゲットの有する効果をより
容易に引出し得ることから好ましいことである。
【0016】ボンバード処理後、反応容器内に設置され
た基材表面に、上述のターゲットを蒸発源としてチタン
とアルミニウムとの窒化物,炭窒化物,窒酸化物,炭酸
化物,炭窒酸化物の中の1種の単層または2種以上の多
層からなる被膜を被覆させる第2工程を含む方法であ
る。特に、この第2工程における反応容器内の条件は、
減圧し、773〜1273Kの温度で、窒素ガスおよび
/または窒素供給のための窒素源ガスの流量を300S
CCM以上とし、基材に負のバイアス電流を印加して行
うことが好ましいことである。このときの窒素源ガスと
しては、反応または分解して窒素ガスとなるガスであれ
ばよく、具体的には、例えばアンモニア,アミン系物
質,シアン系物質を挙げることができる。また、第2工
程中における窒素源ガスの流量は、アークイオンプレー
ティング装置で用いる場合について具体的に例示する
と、アーク電流の1アンペア(A)当りに対する窒素源
ガス流量として調整することがより好ましく、その値が
2〜4SCCM/Aであることが好ましいことである
【0017】この本発明の硬質被覆部材の製造方法にお
ける物理蒸着法は、イオンプレーティング法,スパッタ
リング法またはレーザ蒸着法として用いることも可能で
あるが、特にイオンプレーティング法が好ましく、イオ
ンプレーティング法の中でもアークイオンプレーティン
グ法で行うことが被膜の結晶面を配向することが容易で
あること、被膜の特性をより向上させ得ることから好ま
しいことである。
【0018】
【作用】本発明のターゲットは、ターゲット中に均一に
含有している金属間化合物が成膜時における組成成分の
経時変化を抑制する作用をすること、異物であるマイク
ロパーティクルの発生を抑制させる作用をすること、被
膜の結晶面を配向させることを容易にするという作用を
しているものである。また、本発明の硬質被覆部材の製
造方法は、このターゲットの特徴を発揮しやすくしてい
ること、被膜中へのマイクロパーティクルの抑制、およ
び被膜の結晶面の配向を容易にしていること、その結果
得られる硬質被覆部材における(Ti,Al)化合物の
被膜が被膜硬さを高め、膜全体の破壊靭性値および耐摩
耗性を向上させる作用をし、かつ基材と被膜との界面近
傍に残留する応力を緩和する作用をし、特に超硬合金で
なる基材の場合には、被膜中への残留圧縮応力を高め
て、基材との密着性を高める作用をしているものであ
る。
【0019】
【実施試験1】市販されているスポンジチタンと粒状ア
ルミニウムを原料として鋳造炉を用いて、アルゴン雰囲
気中、1473〜1573Kで溶解および鋳込んだ後、
研磨成形して本発明品1のターゲットを作製した。ま
た、市販されている平均粒径5μmのTi粉末と平均粒
径2μmのAl粉末を用いて、TiAl金属間化合物の
塊状物を作製した後、この塊状物を粉砕してから再度従
来の粉末冶金の工程である混合,成形,焼結(このとき
の焼結温度は、1373K)を経て本発明品2のターゲ
ットを作製した。
【0020】比較として、TiAl金属間化合物の塊状
物の作製工程を省略し、直接1173Kで焼結した以外
は、本発明品2と同様に行って比較品1のターゲットを
作製した。また、市販のTi板とAl板とのクラッド材
により作製したターゲットを比較品2とした。
【0021】こうして作製した本発明品1,2および比
較品1,2の硬さ(0.05kgf荷重でのビッカース
硬さ)およびターゲット中に含有している金属間化合物
を求めて表1に示した。金属間化合物は、X線回折によ
る回折線の強度比および格子定数から換算したものであ
る。
【0022】本発明品1,2および比較品1,2のター
ゲットをそれぞれ蒸発源として、市販されている形状S
NGA120408の超硬合金(JIS規格B4053
のK10相当材質)を基材とし、基材表面を有機溶剤で
洗浄した後、アーク放電プラズマPVD装置のチャンバ
ー内に設置した。このチャンバー内の初期条件を、温
度:600℃,圧力:1×10-4Torrの真空とし、
60分間保持した。次いで、圧力:1×10-3 Torr
の真空とし,アーク電流:60A,基材バイアス:−6
00Vとし、10分の保持時間によりボンバード処理を
施した。その後、圧力:20×10-3Torr,窒素流
量:380SCCM,アーク電流:100A,基材バイ
アス(V):−40(15分間保持)〜−100(1分
間保持)〜−200(1分間保持)〜−300(1分間
保持)〜−40(4分間保持)の条件で、それぞれのタ
ーゲット蒸発源を用いて、基材の表面に被膜を約4μm
厚さに被覆した。こうして得た被覆超硬合金の被膜の硬
さ,スクラッチ強度およびマイクロパーティクルを調べ
て、その結果を表1に併記した。
【0023】被膜の硬さ,スクラッチ強度およびマイク
ロパーティクルは、ビッカース硬度測定機,引っ掻き摩
耗試験機に相当する被膜剥離試験機および走査型電子顕
微鏡を用いて測定した。硬度は0.05kgfの荷重、
スクラッチ強度は被膜の耐剥離性として、被膜が剥離さ
れるまでの臨界剥離荷重を求め、マイクロパーティクル
は800倍の走査型電子顕微鏡における1視野当りの個
数を求めて、単位面積当りに換算した。このときのマイ
クロパーティクルは、800倍で確認可能な1μm以上
の大きさのものを対象とした。
【0024】
【表1】
【0025】
【実施試験2】実施試験1の本発明品2のターゲットと
ほぼ同様に作製して、ターゲット中の金属間化合物含有
量を調整した本発明品3〜11および比較品3,4の各
ターゲットを得た。こうして得た本発明品3〜11およ
び比較品3,4の各ターゲットの組成成分を、蛍光X線
分析装置,X線回折装置により測定して、その結果を表
2に示した。
【0026】表2に示した本発明品3〜11および比較
品3,4の各ターゲットを用いて、実施試験1とほぼ同
様にして、基材表面に被膜を被覆した被覆超硬合金を得
た。こうして得た被覆超硬合金の被膜の硬さ,スクラッ
チ強度およびマイクロパーティクルを、実施試験1と同
様にして測定し、その結果を表3に示した。
【0027】次に、本発明品3〜11および比較品3,
4を用いて得た被覆超硬合金について、以下の旋削試験
を行い、そのときの寿命までの切削時間を求めて表3に
併記した。旋削試験条件は、被削材:S48C(HB2
05〜223)、切削速度150m/min、送り:
0.3mm/rev、切込み:1.5mm、チップ形
状:SNGA120408,乾式切削試験により行い、
被膜の剥離,チッピングまたは平均逃げ面摩耗幅が0.
1mmに達したときを寿命とし、寿命までの切削時間を
求めた。
【0028】
【表2】
【0029】
【表3】
【0030】
【発明の効果】本発明のターゲットは、(Ti,Al)
化合物の被膜を被覆するために用いられてきた従来のタ
ーゲットに対比して、成膜時における組成成分の経時変
化を抑制する効果が高いこと、被膜に発生するマイクロ
パーティクルを抑制する効果が高いこと、被覆された被
膜が高硬度,高靭性,耐摩耗性を有しているというすぐ
れた効果を有している。また、本発明の硬質被覆部材の
製造方法は、被膜の結晶面の配向性が容易であること、
被膜厚さおよび被膜材質のバラツキが少なく均一になる
ことと上述のターゲットの効果が相乗されて、得られる
硬質被覆部材を切削工具として用いた場合に低速切削領
域から高速切削領域に至るまで広い領域で長寿命を達成
できるという優れた効果があること、従来の製造方法に
対比して、特にフライス用切削工具,エンドミルおよび
ドリルとしての回転切削工具として長寿命が期待される
ものである。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チタンとアルミニウムとの金属間化合物
    が30原子%以上と、残部がチタン元素とアルミニウム
    元素と不可避不純物とからなることを特徴とする金属間
    化合物含有ターゲット。
  2. 【請求項2】 上記金属間化合物は、Ti元素対Al元
    素の原子比率が、50〜55:50〜45であることを
    特徴とする請求項1記載の金属間化合物含有ターゲッ
    ト。
  3. 【請求項3】 上記ターゲットは、該ターゲット全体に
    含有するTi元素対Al元素の原子比率が、48〜7
    5:52〜25であることを特徴とする請求項1または
    2記載の金属間化合物含有ターゲット。
  4. 【請求項4】 上記不可避不純物は、Si,Fe,Bの
    中の1種以上が上記金属間化合物ターゲット全体に対し
    て1原子%以下に制限されていることを特徴とする請求
    項1,2または3記載の金属間化合物含有ターゲット。
  5. 【請求項5】 上記ターゲットは、粉末冶金法により焼
    結された焼結合金であることを特徴とする請求項1,
    2,3または4記載の金属間化合物含有ターゲット。
  6. 【請求項6】 基材の表面をボンバード処理する第1工
    程と、ターゲットから蒸発させた被膜形成材料を該基材
    の表面に導いて、チタンとアルミニウムとの窒化物,炭
    窒化物,窒酸化物,炭酸化物,炭窒酸化物の中の1種の
    単層または2種以上の多層からなる被膜を形成する第2
    工程とを含む物理蒸着法による被膜形成方法において、
    該第2工程で用いる該ターゲットは、チタンとアルミニ
    ウムとの金属間化合物を30原子%以上含有した金属間
    化合物含有ターゲットであることを特徴とする硬質被覆
    部材の製造方法。
  7. 【請求項7】 上記ボンバード処理は、10-3Torr
    以下の圧力でなる真空中、773〜1273Kの温度、
    基材に負のバイアス電流を印加して処理されることを特
    徴とする請求項5記載の硬質被覆部材の製造方法。
  8. 【請求項8】 上記金属間化合物は、Ti元素対Al元
    素の原子比率が、50〜55:50〜45であることを
    特徴とする請求項5または6記載の硬質被覆部材の製造
    方法。
  9. 【請求項9】 上記ターゲットは、該ターゲット全体に
    対するTi元素対Al元素の原子比率が、48〜75:
    52〜25であることを特徴とする請求項5,6または
    7記載の硬質被覆部材の製造方法。
  10. 【請求項10】 上記第2工程は、減圧中、773〜1
    273Kの温度、窒素ガスおよび/または窒素供給のた
    めの窒素源ガスの流量を300SCCM以上とし、基材
    に負のバイアス電流を印加して行われることを特徴とす
    る請求項5,6,7または8記載の硬質被覆部材の製造
    方法。
  11. 【請求項11】 上記物理蒸着法は、アークイオンプレ
    ーティング法であることを特徴とする5,6,7,8ま
    たは9記載の硬質被覆部材の製造方法。
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