JPH1158641A - ポリプロピレン系樹脂発泡粒子複合成形体及び複合成形用多層シート - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂発泡粒子複合成形体及び複合成形用多層シート

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JPH1158641A
JPH1158641A JP23653397A JP23653397A JPH1158641A JP H1158641 A JPH1158641 A JP H1158641A JP 23653397 A JP23653397 A JP 23653397A JP 23653397 A JP23653397 A JP 23653397A JP H1158641 A JPH1158641 A JP H1158641A
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polypropylene
resin
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JP23653397A
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English (en)
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Hideki Kuwabara
英樹 桑原
Kenichi Oshima
健一 大島
Yoshihiro Sugano
義浩 須加野
Chikafumi Harada
慎史 原田
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JSP Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の発泡粒子成形体は、傷つき易くまた割
れ易く、耐久性に乏しかった。また、汚れが付き易くま
た落ち難く、外観美麗で且つ衛生的な状態で長期間使用
するには洗浄に多大な手間を要するものであった。 【解決手段】 ポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体と
下記A及びBの樹脂層が順に積層されてなる多層シート
とが樹脂層B側を発泡粒子成形体との熱融着面側として
一体に成形されてなるポリプロピレン系樹脂発泡粒子複
合成形体1を提供する。 樹脂層A:ポリプロピレンホモポリマー及び/又はポリ
プロピレンブロックコポリマーからなり、有機結晶核剤
及び/又は無機充填剤を含有する樹脂層。 樹脂層B:ポリプロピレン系ポリマーからなり、融点が
ポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体の融点±10℃の
範囲内である樹脂層。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリプロピレン系樹
脂発泡粒子複合成形体及び複合成形体用多層シートに関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば魚箱等の包装用資材とし
て、樹脂発泡粒子を金型内に多数充填して発泡粒子同士
を融着一体化させることにより、金型キャビティ通りの
形状の成形体とした発泡粒子成形体が用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の発泡粒子成形体は表面強度や耐衝撃性に劣り、少な
い使用回数や小さい衝撃でも破損することがあり耐久性
に乏しく、また表面が傷付き易いものであった。特にス
チレン系樹脂を用いたものは耐候性や耐衝撃性に乏しか
った。また、発泡粒子相互の融着境界が凹溝として成形
体表面に露出しており表面の平滑性に乏しく、外観美麗
とはいえないものであり、しかも、この融着境界の凹溝
に汚れや雑菌が溜まり易いと共に落ち難く、すぐに外観
が悪くなったり、不衛生となるという欠点があった。従
来、通箱などのように繰り返し長期間に亘って使用され
るものや、破損し難い環境で使用されるものなどは、汚
れた場合は洗浄して汚れを落として使用されているが、
従来の発泡成形体は汚れが付き易く落ち難いので、洗浄
頻度を多くしなくてはならず、また一回の洗浄にかかる
手間も多大なもので、経済的に不利であった。
【0004】従って、洗浄の手間を考慮した場合、洗浄
せずに、破損したものと考えて廃棄した方が経済的に有
利となる場合もあった。しかし、焼却すると旧タイプの
低温焼却炉を用いた場合は炉が傷むことや、スチレン系
樹脂からなるものは有害ガスが発生することから安易に
焼却できず、環境保護の観点からゴミ処理の問題が生じ
ている。また、資源の有効利用の観点からは、廃棄せず
に洗浄して繰り返し使用した方が好ましく、少なくとも
マテリアルリサイクルして原料再利用すべきであるとの
社会的要求が高まっている。
【0005】尚、スチームによる洗浄は比較的手間のか
からない方法であるが、発泡粒子成形体がスチームの熱
により収縮して原形を維持できないので、従来の発泡粒
子成形体に対してこの方法を利用することはできなかっ
た。
【0006】本発明は上記の点に鑑みなされたものであ
り、上記従来の欠点を解消し、耐久性に優れ、特別の手
間を要することなく外観美麗で且つ衛生的な状態で長期
間に亘り破損することなく使用できる、発泡粒子を用い
た成形体を提供することを目的とする。また本発明の別
の目的は、上記の成形体を容易に得ることのできるシー
ト材を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、(1)ポリプ
ロピレン系樹脂発泡粒子成形体と下記A及びBの樹脂層
が順に積層されてなる多層シートとが樹脂層B側を発泡
粒子成形体との熱融着面側として一体に成形されてなる
ことを特徴とするポリプロピレン系樹脂発泡粒子複合成
形体。 樹脂層A:ポリプロピレンホモポリマー及び/又はポリ
プロピレンブロックコポリマーからなり、有機結晶核剤
及び/又は無機充填剤を含有する樹脂層。 樹脂層B:ポリプロピレン系ポリマーからなり、融点が
ポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体の融点±10℃の
範囲内である樹脂層。 (2)ポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体と下記C〜
Eの樹脂層が順に積層されてなる多層シートとが樹脂層
E側を発泡粒子成形体との熱融着面側として一体に成形
されてなることを特徴とするポリプロピレン系樹脂発泡
粒子複合成形体。 樹脂層C:ポリプロピレンホモポリマー及び/又はポリ
プロピレンブロックコポリマーからなる樹脂層。 樹脂層D:ポリプロピレン系ポリマーからなり、有機結
晶核剤及び/又は無機充填剤を含有する樹脂層。 樹脂層E:ポリプロピレン系ポリマーからなり、融点が
ポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体の融点±10℃の
範囲内である樹脂層。 (3)樹脂層Cに着色剤及び/又は抗菌剤が含有されて
いる上記(2)記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子複
合成形体、(4)ポリプロピレン系樹脂発泡体と熱融着
により積層一体化するための多層シートであって、下記
F〜Hの樹脂層が順に積層されてなることを特徴とする
複合成形用多層シート。 樹脂層F:ポリプロピレンホモポリマー及び/又はポリ
プロピレンブロックコポリマーからなり、着色剤及び/
又は抗菌剤を含有する樹脂層。 樹脂層G:ポリプロピレン系ポリマーからなり、有機結
晶核剤及び/又は無機充填剤を含有する樹脂層。 樹脂層H:ポリプロピレン系ポリマーからなり、融点が
ポリプロピレン系樹脂発泡体の融点±10℃の範囲内で
ある樹脂層。を要旨とする。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に基づき詳細
に説明する。図1、図2は本発明のポリプロピレン系樹
脂発泡粒子複合成形体(以下、単に複合成形体という)
の一例を示す縦断面図である。まず最初に、図1に示す
態様から説明する。図1に示す複合成形体1は、ポリプ
ロピレン系樹脂発泡粒子成形体(以下、単に発泡粒子成
形体という)2と下記A及びBの樹脂層が順に積層され
てなる多層シート3とが樹脂層B側を発泡粒子成形体と
の熱融着面側として一体に成形されている。 樹脂層A:ポリプロピレンホモポリマー及び/又はポリ
プロピレンブロックコポリマーからなり、有機結晶核剤
及び/又は無機充填剤を含有する樹脂層。 樹脂層B:ポリプロピレン系ポリマーからなり、融点が
発泡粒子成形体の融点±10℃の範囲内である樹脂層。
【0009】複合成形体1における発泡粒子成形体2の
部分は、ポリプロピレン系ポリマーからなる発泡粒子が
相互に熱融着されて一体化されている。上記ポリプロピ
レン系ポリマーとしては、通常、融点が135〜165
℃、好ましくは135〜150℃のポリプロピレンラン
ダムコポリマーが用いられる。ポリプロピレン系ポリマ
ーを用いると、不要となったものを焼却する場合でも、
有害物質を出さないので環境保護に有効である。
【0010】多層シート3を構成する樹脂層Bとしては
融点が、発泡成形体2の融点±10℃の範囲内、好まし
くは発泡成形体2の融点±5℃の範囲内のものが用いら
れる。融点が上記範囲よりも低いと、多層シート3を用
いて発泡粒子成形体2の部分と一体化してなる複合成形
体を得る際の加熱で樹脂層B側の熱変形が起こり易くな
り、多層シート3の表面(樹脂層A表面)が平滑な複合
成形体が得られなくなる虞れがある。また融点が上記範
囲よりも高いと、発泡粒子成形体2の部分との一体化が
困難となり、一体化できたとしても複合成形体を得る際
の加熱で発泡粒子成形体2が熱変形又は収縮を起こした
ものとなってしまう。樹脂層Bの融点が発泡成形体2の
融点に近いほど熱融着による両者の接着性が向上する。
また、熱融着の際の融着加工時間を短縮できる。また、
樹脂層Bを、発泡粒子成形体2に用いられているポリマ
ーと同種、同質のポリマー(例えば両者をプロピレンラ
ンダムコポリマーとした場合等)からなる樹脂層として
構成すると、発泡粒子成形体2表面との接着性を更に向
上できる。樹脂層Bはポリプロピレン系ポリマーからな
るので、発泡粒子成形体2と同質の樹脂であることから
マテリアルリサイクルが容易である。樹脂層Bの厚みは
通常、0.03〜0.4mmとされるが、これに限定さ
れない。多層シート3の総厚に対する樹脂層Bの厚みの
比率は0%超、20%以下とするのが好ましい。
【0011】樹脂層Aはポリプロピレンホモポリマー及
び/又はポリプロピレンブロックコポリマーからなるの
で、発泡粒子成形体2と同質の樹脂であることからマテ
リアルリサイクルが容易である。また、ランダムコポリ
マーと比較して剛性が高いので表面に位置させると外傷
等に強く外観維持のために好適である。更に、樹脂層A
は有機結晶核剤及び/又は無機充填剤を含有するので、
複合成形体成形後の寸法安定性に優れ、成形体強度も高
くなるという利点がある。有機結晶核剤を含有させたも
のは、結晶化速度が速くなり成形温度範囲が広く採れる
ようになるので成形性が良好となるという利点がある。
樹脂層Aの融点は好ましくは樹脂層Bの融点+8〜樹脂
層Bの融点+25℃である。樹脂層Aの厚みは任意であ
るが、通常、0.15〜2.0mmとされる。多層シー
ト3の総厚に対する樹脂層Aの厚みの比率は80%以
上、100%未満とするのが好ましい。
【0012】上記有機結晶核剤としては、ジベンジリデ
ンソルビトール、ジトリリデンソルビトール、ジ安息香
酸アルミニウム、ヒドロキシ−ジ(t−ブチル安息香
酸)アルミニウム、リン酸ビス(4−t−ブチルフェニ
ル)ナトリウム、安息香酸ナトリウム、アルミニウムヒ
ドロキシ−p−t−ブチルベンゾエート等が挙げられ
る。樹脂層Aに有機結晶核剤を含有させる場合の含有率
としては、通常0.05〜1重量%、好ましくは0.1
〜0.5重量%である。有機結晶核剤の含有率が0.0
5重量%未満であると上記効果が少なく含有させた意味
がなくなる。また1.0重量%を超えても上記効果はさ
ほど向上することはない。
【0013】また、上記無機充填剤としては、タルク、
炭酸カルシウム、カオリン、マイカ、アルミナ、炭酸マ
グネシウム、水酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム等
が挙げられる。樹脂層Aに無機充填剤を含有させる場合
の含有率としては、通常5〜30重量%、好ましくは7
〜25重量%である。無機充填剤の含有率が低すぎると
その効果が少なく、含有させた意味がなくなる。また無
機充填剤の含有率が高すぎると成形性に支障をきたす虞
れがある。
【0014】更に、有機結晶核剤と無機充填剤とを併せ
て含有せしめることもでき、その他、着色剤、抗菌剤等
を本発明の目的とする効果が達成できる範囲内で含有さ
せることもできる。
【0015】本発明においては、多層シート3の樹脂層
Aを、有機結晶核剤及び/又は無機充填剤を含有するポ
リプロピレンホモポリマー及び/又はポリプロピレンブ
ロックコポリマーからなる樹脂層として構成したので、
樹脂層Bとの接着性を維持でき、しかもこの多層シート
3を用いて成形した後に得られる複合成形体に、優れた
表面平滑性、表面剛性及び寸法安定性を付与することが
できる。
【0016】上記で説明した複合成形体1は、例えば、
以下のようにして得ることができる。以下、本発明の複
合成形体の製造方法の例について、図4に基づき説明す
る。多層シート3は、予め、樹脂層A、樹脂層Bからな
る各シートを連続押出成形により製造しておき、これら
シートを連続的に熱融着して多層シート3の原反とし、
この原反を通常、ロール状に巻いた状態としておく。
尚、多層シート3の原反は、共押出によるインフレーシ
ョン等の他の方法によって得ることもできる。そして、
上記多層シート3の原反をロールから帯状に引き出しな
がら、まず、最初の図のように雌雄1対の金型11,1
2を用いて連続熱プレス成形により、得ようとする複合
成形体の表面形状に合わせた形に賦形していく。次い
で、賦形後の原反から賦形形状の部分を切り出して、次
の一体成形に供する多層シート3の賦形体6(第2番目
の図)を得る。そして、第3〜5番目の図のように上記
多層シート3の賦形体6を、一体成形用金型のコア側内
面に載置し、インサート成形の要領で金型のキャビティ
内に発泡粒子を充填して複合成形体を得る。詳しくは、
まず、多層シート3の賦形体6をコア側金型21内面に
載置し、コア側金型21に設けた、キャビティに連通す
る通気孔aから吸引を行なって賦形体6をコア側金型2
1内面に吸着して固定させる(第3番目の図)。次い
で、通常、キャビティ側の金型22を移動させてコア側
金型21に近づけていき、金型を閉じて行く。金型は完
全には閉じず、発泡粒子が出入りできない程度の隙間を
開けておき、充填フィーダー23から一体成形のために
発泡粒子7を矢印のように充填する(第4番目の図)。
この発泡粒子7は、一体成形により得ようとしている複
合成形体1の発泡粒子成形体2の部分を構成することと
なる発泡粒子である。発泡粒子の金型内への充填が終わ
ったら、第5番目の図のように金型を閉じ、次いで加熱
成形する。加熱成形は、最初、コア側金型21に設けた
通気孔aから賦形体6に対して矢印のようにスチームを
供給して賦形体6側から加熱を行ない(第一加熱)、次
いでキャビティ側金型22に設けた通気孔bから発泡粒
子7に対して矢印のようにスチームを供給して発泡粒子
7側から加熱を行ない(第二加熱)、次いで上記両側か
らスチームを供給して両側から加熱を行なう(第三加
熱)。この加熱成形操作によって、発泡粒子が相互に熱
融着して発泡成形体2が形成されると共に、該発泡成形
体2の表面に多層シート3の賦形体6が熱融着して両者
が一体化した形となった複合成形体1が得られる。その
後、所定時間冷却し、金型を開いて最後の図に示すよう
な複合成形体1を取り出す。
【0017】次に、本発明複合成形体の別の態様につい
て、図2に基づき説明する。本発明の別の態様として、
複合成形体1を、発泡粒子成形体2と下記C〜Eの樹脂
層が順に積層されてなる多層シート4とが樹脂層E側を
発泡粒子成形体2との熱融着面側として一体に成形され
てなるものとすることもできる。 樹脂層C:ポリプロピレンホモポリマー及び/又はポリ
プロピレンブロックコポリマーからなる樹脂層。 樹脂層D:ポリプロピレン系ポリマーからなり、有機結
晶核剤及び/又は無機充填剤を含有する樹脂層。 樹脂層E:ポリプロピレン系ポリマーからなり、融点が
発泡粒子成形体2の融点±10℃である樹脂層。
【0018】多層シート4の樹脂層Cとしては、前記し
た多層シート3の樹脂層Aの基材樹脂と同じものを用い
ることができる。樹脂層Cには有機結晶核剤や無機充填
剤は含有されていない。樹脂層Cの厚みは任意である
が、通常、0.07〜0.9mmとされる。多層シート
4の総厚に対する樹脂層Cの厚みの比率は0%超、45
%以下が好ましい。樹脂層Cには着色剤及び/又は抗菌
剤を含有せしめることができる。特に、樹脂層Cに着色
剤を含有させる場合には、着色剤コスト低減の面から、
着色剤の含有量を少なくしても充分に着色効果(着色の
色が充分且つ明瞭に見える効果、下層の表面の隠蔽効
果)が得られる濃度となるように、ある程度厚みを薄く
するのが好ましい。尚、後述の樹脂層DやEに着色剤を
含有させることもできるが、より少ない着色剤でより多
くの着色効果を得るためには、最表層となる樹脂層Cに
含有させるのが最も好ましい。
【0019】樹脂層Dの基材樹脂としては、前記した多
層シート3の樹脂層Aと同じものを用いることができる
他、樹脂層Bと同じものを用いることができ、該基材樹
脂に有機結晶核剤や無機充填剤を含有させたものを用い
る。樹脂層Dの厚みは任意であり、通常、0.08〜
1.1mmとされる。多層シート4の総厚に対する樹脂
層Dの厚みの比率は35%以上、100%未満が好まし
い。樹脂層Cを薄く形成した場合には機械的物性の低下
を補うために樹脂層Dを厚くするのが好ましい。
【0020】樹脂層Eとしては、前記した多層シート3
の樹脂層Bと同じものを用いることができる。樹脂層E
の厚みは前記樹脂層Bと同様任意であり、通常、0.0
3〜0.4mmとされる。多層シート4の総厚に対する
樹脂層Eの厚みの比率は0%超、20%以下が好まし
い。
【0021】本発明においては、複合成形体1を、上記
のように構成しても、本発明の本質的な効果を得ること
ができる。
【0022】複合成形体1を上記のように構成すれば、
多層シート4を構成する樹脂層Cに着色剤及び/又は抗
菌剤を含有せしめることにより、他の層を構成する樹脂
層にも着色剤、抗菌剤を含有させる場合と比較してより
少量の添加量で目的の濃度以上とすることが可能であ
り、高価な添加剤を添加する上でコスト的に優位であ
る。また、多層シート4の剛性、寸法安定性への影響を
特に考慮せずに、多層シート4を着色及び/又は抗菌効
果の付与ができ、複合成形体1を着色及び/又は抗菌処
理されたものとして得ることができる。また、着色の効
果としては下層である発泡粒子成形体2表面の発泡ビー
ズ輪郭模様の隠蔽効果も得られる。
【0023】樹脂層Cに含有される着色剤としては、チ
タンホワイト(酸化チタン)、キナクリドン系赤、縮合
アゾ系有機顔料赤、ペリデン系橙、縮合アゾ系有機顔料
黄、フタロシアニン系有機顔料緑及び青、カーボンブラ
ック黒等を用いることができる。樹脂層Cに着色剤を含
有させる場合の着色剤の量としては、着色剤の種類にも
よるが、樹脂層Cにおける着色剤の含有率として通常、
0.05〜10重量%であり、好ましくは1〜7重量%
である。
【0024】樹脂層Cに含有される抗菌剤としては、シ
リカゲル銀、銀ゼオライト、リン酸カルシウム銀等の銀
系抗菌剤、ビス(ピリジン−2−チオール−1−オキシ
ド)亜鉛塩等のピリチオン系のもの、2,4,5,6−
テトラクロロイソフタロニトリル等のニトリル系のも
の、有機ヨード系のもの、ベンツイミダゾール系のも
の、トリアジン系のもの等が使用される。樹脂層Cに抗
菌剤を含有させる場合の抗菌剤の量としては抗菌剤の種
類にもよるが、通常、0.1〜5重量%であり、好まし
くは0.5〜2.5重量%である。
【0025】複合成形体1における発泡成形体2部分を
構成するために用いられる発泡粒子としては通常、発泡
倍率5〜60倍のものであり、中でも15〜45倍のも
のが好ましい。
【0026】次に、本発明の複合成形用多層シート(以
下、単に多層シートという)について説明する。図3は
本発明の多層シートの例を示す縦断面図であり、5は多
層シートを表す。多層シート5は、図示しないポリプロ
ピレン系樹脂発泡体と熱融着により積層一体化するため
に用いられるものであり、下記F〜Hの樹脂層が順に積
層されてなるものである。 樹脂層F:ポリプロピレンホモポリマー及び/又はポリ
プロピレンブロックコポリマーからなり、着色剤及び/
又は抗菌剤を含有する樹脂層。 樹脂層G:ポリプロピレン系ポリマーからなり、有機結
晶核剤及び/又は無機充填剤を含有する樹脂層。 樹脂層H:ポリプロピレン系ポリマーからなり、融点
が、積層一体化しようとする発泡体の融点±10℃の範
囲内である樹脂層。 そして、この多層シート5は、例えば前記した複合成形
体を得るために用いられるものである。尚、熱融着によ
りポリプロピレン系樹脂発泡体と積層一体化する方法の
例、及びそれによって得られる複合成形体の例は前記し
たが、これに限られるものではない。
【0027】多層シート5を構成する樹脂層Fとして
は、前記した多層シート4における樹脂層Cに着色剤及
び/又は抗菌剤を含有させたものと同じものを用いるこ
とができる。着色剤及び抗菌剤の含有量、着色剤及び抗
菌剤の種類としては、樹脂層Cの場合と同様である。多
層シート総厚に対する厚みの比率も同様である。
【0028】また、樹脂層G、Hとしては、それぞれ前
記した樹脂層D、Eと同様のものを用いることができ
る。多層シート総厚に対する厚みの比率もそれぞれ同様
である。
【0029】本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子複
合成形体は、輸送用コンテナ、包装用資材、建築用資
材、蓄熱槽の蓋、コンクリート養生室の内壁材等の種々
の用途に使用できる。特に、通箱などとして繰り返し長
期間使用される性質のものであって比較的、衛生面や外
観などに留意が必要な資材に適用すると、汚れの洗浄に
手間を要することもなく美麗で衛生的な状態で、損傷・
破損もなく長期間使用できるので極めて経済的である。
また、マテリアルリサイクルができる点でも経済的であ
る。また、本発明の多層シートを用いると、上記複合成
形体を容易に製造できる。
【0030】
【実施例】次に、具体的実施例を挙げて本発明を更に詳
細に説明する。 実施例及び比較例 表1に示すシート100枚を、炉内温度180℃の炉内
に30秒間入れて加熱し、その後、真空成形を行ない、
図4の符号6で示す如き形状の、縦230mm×横23
0mm、深さ110mm、上端開口部全周に幅10mm
のフランジ部を有する略箱形状の熱成形体(賦形体)を
100個得た。表1中、実施例の樹脂層A、B、C、D
及びEは、前記説明中の樹脂層A、B、C、D及びEに
それぞれ相当する。シートの物性を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】次に、上記で得られたシートの熱成形体を
成形用の金型にインサートし、前記した手順で金型キャ
ビティ内に発泡粒子を充填した後、金型内にスチーム圧
3.2kg/cm2 (G)のスチームを供給して複合成
形を行ない、上記シートと発泡粒子成形体とが融着積層
一体化された形の複合成形体を得た。得られた複合成形
体の物性を表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】尚、表1、表2に示した融点の測定方法、
シート物性及び複合成形体の評価基準は以下の通りであ
る。 〔シート及び発泡粒子成形体の融点の測定〕樹脂層B、
E、単層シート、発泡粒子成形体から5〜10mgの測
定用サンプルを切り出し、該サンプルを10℃/分の昇
温速度で200℃まで昇温する際に得られるDSC曲線
の吸熱ピークの頂点の温度を融点とする。但し、吸熱ピ
ークが2つ以上現れる場合は最も低温側の吸熱ピークの
頂点温度を融点とする。 〔シート物性〕 (1)シート成形性 ○:特に問題なし。 △:ドローダウン及び/又は熱成形体のしわの発生有
り。 (2)寸法安定性 ◎:熱成形体のフランジ部の変形なし。熱成形体毎のバ
ラツキなし。 ○:熱成形体のフランジ部の変形やや有り。熱成形体毎
のバラツキなし。 ○〜△:熱成形体のフランジ部の変形ややあり。熱成形
体毎のバラツキも少し有り。 △:熱成形体のフランジ部の変形が多い。 (3)成形サイクル ◎:30秒以下である。 ○:30秒超〜40秒未満である。 △:40秒以上である。 〔複合成形体物性〕 (1)融着性 ○:熱成形体と発泡粒子成形体との融着性良好である。 ×:熱成形体と発泡粒子成形体との融着性不良である。 (2)熱成形体側表面の平滑性(表2ではシート熱成形
体側表面の平滑性と表記してある) ○:熱成形体側表面に凹凸が見られない。 ×:熱成形体側表面に凹凸が見られる。 (3)総合評価 ○:融着性、熱成形体側表面平滑性共に優れる。 ×:上記以外。
【0035】
【発明の効果】本発明の複合成形体は以上のように構成
されているので、外観美麗であり且つ表面平滑で汚れが
付き難いと共に汚れが落ち易く、汚れた場合でも洗浄が
容易でで洗浄に手間がかからない。また、表面の剛性が
高く損傷し難いと共に傷が付き難く、またそのために汚
れが付き難い。従って、格別な洗浄の手間を要せず美麗
で且つ衛生的な状態で長期に亘り使用できる。また、本
発明の第二の複合成形体は、上記の効果に加えて、最表
層に着色剤を含有させることによりより一層外観美麗な
ものとすることができる。着色剤を含有させたものは発
泡粒子が透けて見えることもなく、しかも意匠性にも優
れた外観美麗なものである。また、最表層に抗菌剤を含
有させることにより衛生上好ましいものとすることがで
きる。尚、多層の構成の最表層に着色剤及び/又は抗菌
剤を含有させることは、より少ない使用量で目的の濃度
とすることができるため(全体の層に目的濃度分の着色
剤、抗菌剤を含有させても効果は変わらず、高価な着色
剤等の使用量だけが増大してしまう)、コスト的に有利
であり、更に着色剤等の添加による他の層のシート成形
性等の性質変化を考慮する手間も省くことができる。ま
た、本発明の多層シートは、上記した如き複合成形体を
容易に製造可能とするものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合成形体の例を示す縦断面略図であ
る。
【図2】本発明の別の複合成形体の例を示す縦断面略図
である。
【図3】本発明の多層シートの例を示す縦断面略図であ
る。
【図4】複合成形体の製造方法の例を示す工程図であ
る。
【符号の説明】
1 複合成形体 2 発泡粒子成形体 3 多層シート A 樹脂層A B 樹脂層B 4 多層シート C 樹脂層C D 樹脂層D E 樹脂層E 5 多層シート F 樹脂層F G 樹脂層G H 樹脂層H
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 原田 慎史 神奈川県藤沢市円行2−26−19 ウエスト ヒル湘南弐番館301

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体と
    下記A及びBの樹脂層が順に積層されてなる多層シート
    とが樹脂層B側を発泡粒子成形体との熱融着面側として
    一体に成形されてなることを特徴とするポリプロピレン
    系樹脂発泡粒子複合成形体。 樹脂層A:ポリプロピレンホモポリマー及び/又はポリ
    プロピレンブロックコポリマーからなり、有機結晶核剤
    及び/又は無機充填剤を含有する樹脂層。 樹脂層B:ポリプロピレン系ポリマーからなり、融点が
    ポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体の融点±10℃の
    範囲内である樹脂層。
  2. 【請求項2】 ポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体と
    下記C〜Eの樹脂層が順に積層されてなる多層シートと
    が樹脂層E側を発泡粒子成形体との熱融着面側として一
    体に成形されてなることを特徴とするポリプロピレン系
    樹脂発泡粒子複合成形体。 樹脂層C:ポリプロピレンホモポリマー及び/又はポリ
    プロピレンブロックコポリマーからなる樹脂層。 樹脂層D:ポリプロピレン系ポリマーからなり、有機結
    晶核剤及び/又は無機充填剤を含有する樹脂層。 樹脂層E:ポリプロピレン系ポリマーからなり、融点が
    ポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体の融点±10℃の
    範囲内である樹脂層。
  3. 【請求項3】 樹脂層Cに着色剤及び/又は抗菌剤が含
    有されている請求項2記載のポリプロピレン系樹脂発泡
    粒子複合成形体。
  4. 【請求項4】 ポリプロピレン系樹脂発泡体と熱融着に
    より積層一体化するための多層シートであって、下記F
    〜Hの樹脂層が順に積層されてなることを特徴とする複
    合成形用多層シート。 樹脂層F:ポリプロピレンホモポリマー及び/又はポリ
    プロピレンブロックコポリマーからなり、着色剤及び/
    又は抗菌剤を含有する樹脂層。 樹脂層G:ポリプロピレン系ポリマーからなり、有機結
    晶核剤及び/又は無機充填剤を含有する樹脂層。 樹脂層H:ポリプロピレン系ポリマーからなり、融点が
    ポリプロピレン系樹脂発泡体の融点±10℃の範囲内で
    ある樹脂層。
JP23653397A 1997-08-18 1997-08-18 ポリプロピレン系樹脂発泡粒子複合成形体及び複合成形用多層シート Pending JPH1158641A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007050904A (ja) * 2005-08-17 2007-03-01 Kawakami Sangyo Co Ltd 交換の時期がわかる通い箱
JP2009051155A (ja) * 2007-08-29 2009-03-12 Toray Pef Products Inc 防カビ機能を付与したポリオレフィン系樹脂積層発泡体、およびそれからなる円筒体または成型体
JP2016168830A (ja) * 2014-11-11 2016-09-23 凸版印刷株式会社 化粧シート

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JP2009051155A (ja) * 2007-08-29 2009-03-12 Toray Pef Products Inc 防カビ機能を付与したポリオレフィン系樹脂積層発泡体、およびそれからなる円筒体または成型体
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