JPH115676A - エレベータの停電時自動着床装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 商用交流電源の停電時の動作を確認する際、
乗かごの停止ショックを軽減できるエレベータの停電時
自動着床装置の提供。 【解決手段】 商用交流電源１の停電を検出する停電検
出器１１に、動作確認スイッチ１８の操作に応じて制御
指令を出力する指令出力部１９を備え、乗かご１６を駆
動する電動機７の制御装置１０に、前記の制御指令に応
じて商用交流電源１の駆動により乗かご１６を停止させ
た後、商用交流電源１からバッテリー１４へ切替える指
令を出力する切替制御部２０を備え、高速運転中の乗か
ご１６がドア開閉ゾーン外に位置するとき、保守員が動
作確認スイッチ１８を操作し、乗かご１６を商用交流電
源１を用いて滑らかに階床間で一時停止させた後、バッ
テリー１４の駆動により乗かご１６を最寄り階まで運転
する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、商用交流電源の停
電時にバッテリの駆動により乗かごを最寄り階まで運転
するエレベータの停電時自動着床装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般にエレベータにおいて、商用交流電
源の駆動により乗かごを運転中、前記の商用交流電源の
停電により乗かごが階床間に停止した場合、この乗かご
内に乗客が閉込められた状態になるので、このような事
故を防止するため、商用交流電源の停電時にバッテリの
駆動により乗かごを最寄り階まで運転するエレベータの
停電時自動着床装置が設けられている。この停電時自動
着床装置では、前述した乗客の閉込め事故を防止するた
め、商用交流電源の停電時に確実に作動することが重要
であるため、エレベータの保守点検時に、バッテリーの
駆動により実際に乗かごを運転して、その際の動作を確
認するようになっている。

【０００３】図３はこの種の従来の停電時自動着床装置
を示す説明図、図４は図３の停電時自動着床装置の処理
手順を示すフローチャートである。

【０００４】図３に示すエレベータは、三相交流電力を
供給する商用交流電源１と、この商用交流電源１の供給
路を開閉する開閉器（いわゆるＦＦＢ）１ａと、この開
閉器１ａに接続され、交流電力を直流電力に変換する主
コンバータ２と、この主コンバータ２の出力側に接続さ
れ、前記の直流電力を平滑化する平滑コンデンサ３と、
この平滑コンデンサ３に接続され、平滑化した直流電力
を可変電圧で、かつ可変周波数の交流電力に変換する主
インバータ４と、この主インバータ４の出力電圧を制御
する制御装置１０とを備えている。

【０００５】主インバータ４の出力側には、巻上シーブ
６を駆動する電動機７が連結され、この電動機７の回転
軸７ａに、電動機７を制動するマグネットブレーキ装置
５と、電動機７の回転数を検出する速度検出器８とが装
着されており、前記のマグネットブレーキ装置５および
制御装置１０には、制御電源装置９を介して商用交流電
源１から電力が供給される。

【０００６】このエレベータに備えられる停電時自動着
床装置は、同図３に示すように、商用交流電源１の停電
時に直流電力を供給するバッテリ１４と、このバッテリ
１４を充電する充電器１５と、前記の直流電力を三相交
流電力に変換するインバータ１２と、このインバータ１
２から出力される三相交流電力の電圧を商用交流電源１
の電圧に相当するまで昇圧する昇圧トランス１３と、前
記の開閉器１ａの二次側に接続され、商用交流電源１の
停電を検出する停電検出器１１と、この停電検出器１１
の動作を確認する動作確認信号を入力する動作確認スイ
ッチ１８とを備えている。

【０００７】停電検出器１１は、開閉器１ａおよび主コ
ンバータ２間に介設される第１の接点Ｒｙａ１と、開閉
器１ａおよび制御電源装置９間に介設される第２の接点
Ｒｙａ２と、バッテリ１４および主コンバータ２間に介
設される第３の接点Ｒｙｂ１と、昇圧トランス１３およ
び制御電源装置９間に介設される第４の接点Ｒｙｂ２と
を有し、これらの停電検出器１１、および接点Ｒｙａ
１、Ｒｙａ２、Ｒｙｂ１、Ｒｙｂ２により、商用交流電
源１からバッテリ１４に切替える電源切替手段が構成さ
れている。この電源切替手段にあっては、通常時に第１
の接点Ｒｙａ１および第２の接点Ｒｙａ２がそれぞれ閉
じるとともに、第３の接点Ｒｙｂ１および第４の接点Ｒ
ｙｂ２がそれぞれ開いた状態に保たれる。一方、商用交
流電源１の停電を検出した場合、もしくは動作確認スイ
ッチ１８を操作した場合、第１の接点Ｒｙａ１および第
２の接点Ｒｙａ２がそれぞれ開き、第３の接点Ｒｙｂ１
および第４の接点Ｒｙｂ２がそれぞれ閉じるとともに、
停電検出器１１から制御装置１０に対して停電発生信号
が出力され、インバータ１２に対して起動指令が出力さ
れる。

【０００８】この従来の停電時自動着床装置にあって
は、図４に示す処理手順にしたがって商用交流電源１の
停電時の動作を確認するようになっている。すなわち、
手順Ｓ２１として保守員が乗かご１６およびつり合いお
もり１７を高速運転するとともに、手順Ｓ２２として乗
かご１６の位置がドア開閉ゾーンにあるかどうかを判定
する。例えば、乗かご１６の位置がドア開閉ゾーンにあ
る場合、手順Ｓ２３として保守員が動作確認スイッチ１
８を操作すると、手順Ｓ２４として第１の接点Ｒｙａ１
および第２の接点Ｒｙａ２がそれぞれ開き、エレベータ
は商用交流電源１から切り離されて擬似的な停電状態と
なり、制御電源装置９からの出力電圧は消失する。これ
により、電動機７への電力供給が絶たれ、手順Ｓ２５と
してマグネットブレーキ装置５も制御電源装置９からの
電力供給が絶たれることで釈放するので、手順Ｓ２６と
して乗かご１６およびつり合いおもり１７は高速運転状
態から急停止する。

【０００９】上述した停電状態の発生と同時に、停電検
出器１１は制御装置１０に対して停電発生信号を出力
し、マグネットブレーキ装置５の釈放状態を保持すると
ともに、手順Ｓ２７としてインバータ１２に対して起動
指令を出力し、このインバータ１２はバッテリ１４の直
流電力を三相交流電力に変換する。次いで、手順Ｓ２８
として停電検出器１１は第３の接点Ｒｙｂ１および第４
の接点Ｒｙｂ２をそれぞれ閉じることにより、バッテリ
１４を電源とする回路を形成し、これによって、制御電
源装置９にはインバータ１２で変換した三相交流電力が
供給され、エレベータ主回路の電動機７には第３の接点
Ｒｙｂ１を介してバッテリ１４の直流電力が供給され
る。

【００１０】次いで、インバータ１２で変換した三相交
流電力の供給に伴い、手順Ｓ２９として制御装置１０が
再起動し、手順Ｓ３０として、停電検出器１１より出力
された停電発生信号に応じてバッテリ１４を電源として
運転を開始する。その後、手順Ｓ３１として乗かご１６
が最寄り階に到着すると、手順Ｓ３２としてインバータ
１２を停止し、手順Ｓ３３として接点Ｒｙａ１、Ｒａｙ
２をそれぞれ開くとともに他の接点Ｒｙｂ１、Ｒｙｂ２
を閉じて商用交流電源１による通常運転に復帰する。こ
のとき、手順Ｓ３４として保守員はバッテリ１４を電源
とした一連の運転が正常に行われたかどうかを判定し、
その結果、バッテリ１４を電源とした一連の運転が正常
である場合、当該停電時自動着床装置の動作確認を終了
し、一方、前記の一連の運転が異常である場合、手順Ｓ
３５としてその原因を究明して必要な対策を施してから
動作確認を終了する。

【００１１】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来の停電時自動着床装置では、保守員が動作確認スイッ
チ１８を操作することにより、エレベータ高速運転中に
商用交流電源１が切離され、電動機７、マグネットブレ
ーキ装置５および制御電源装置１０の電力供給が絶たれ
るので、マグネットブレーキ装置５の作動により乗かご
１６が急制動され、これにより、エレベータ機器はもと
より建物に対してもかなり大きな停止ショックを与える
という問題があった。

【００１２】本発明はこのような従来技術における実情
に鑑みてなされたもので、その目的は、商用交流電源の
停電時の動作を確認する際、乗かごの停止ショックを軽
減することのできるエレベータの停電時自動着床装置を
提供することにある。

【００１３】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するた
め、本発明は、商用交流電源の停電時に直流電力を供給
するバッテリと、このバッテリを充電する充電器と、前
記直流電力を三相交流電力に変換するインバータと、こ
のインバータから出力される三相交流電力の電圧を前記
商用交流電源の電圧に相当するまで昇圧する昇圧トラン
スと、前記商用交流電源の停電を検出する停電検出器
と、この停電検出器の動作を確認する動作確認信号を入
力する動作確認スイッチと、前記商用交流電源から前記
バッテリに切替える電源切替手段とを備え、前記商用交
流電源の停電時に前記バッテリの駆動により乗かごを最
寄り階まで運転するエレベータの停電時自動着床装置に
おいて、前記動作確認スイッチの操作に応じて制御指令
を出力する指令出力部と、前記制御指令の出力に応じ
て、前記商用交流電源の駆動により前記乗かごを停止さ
せた後、前記電源切替手段を作動させる切替制御部とを
備え、前記商用交流電源の駆動で前記乗かごの高速運転
中に、この乗かごがドア開閉ゾーン外に位置するとき、
保守員が前記動作確認スイッチを操作して、前記商用交
流電源の駆動により前記乗かごを階床間に一時停止させ
た後、前記電源切替手段を作動させて前記バッテリーの
駆動により前記乗かごを最寄り階まで運転する構成にし
てある。

【００１４】上記のように構成した本発明では、高速運
転中の乗かごを商用交流電源を用いて通常時と同様の状
態で滑らかに制動して階床間に一時停止させた後、電源
切替手段を作動させてバッテリーの駆動により乗かごを
最寄り階まで運転する。これにより、商用交流電源の停
電時の動作を確認する際、乗かごの停止ショックを軽減
することができる。

【００１５】

【発明の実施の形態】以下、本発明のエレベータの停電
時自動着床装置の実施の形態を図に基づいて説明する。
図１は本発明の一実施形態に係るエレベータの停電時自
動着床装置を示す説明図、図２は図１の停電時自動着床
装置の処理手順を示すフローチャートである。なお、図
１において前述した図３に示すものと同等のものには同
一符号を付してある。

【００１６】図１に示す本実施形態の停電時自動着床装
置では、前述した図３に示すものと比べて、停電検出器
１１に、動作確認スイッチ１８の操作に応じて制御指令
を出力する指令出力部１９を備え、制御装置１０に、前
記の制御指令に応じて商用交流電源１により乗かご１６
を図示しない階床間に着床させた後、切り離し指令を出
力する切替制御部２０を備えた点が主として異なってお
り、その他の構成は基本的に同様である。

【００１７】この実施形態にあっては、図２に示す処理
手順にしたがって商用交流電源１の停電時の動作を確認
するようになっている。すなわち、手順Ｓ１として保守
員が乗かご１６およびつり合いおもり１７を高速運転す
るとともに、手順Ｓ２として乗かご１６の位置がドア開
閉ゾーンにあるかどうかを判定する。例えば、乗かご１
６の位置がドア開閉ゾーン外にある場合、手順Ｓ３とし
て動作確認スイッチ１８を操作すると、手順Ｓ４として
停電検出器１１の指令出力部１９が制御指令を制御装置
１０の切替制御部２０へ出力し、手順Ｓ５としてこの切
替制御部２０が前記の制御指令に応じて作動を開始し
て、速度検出器８で検出した電動機７の回転数に基づい
て主インバータ４の出力電圧および出力周波数を制御す
ることにより、商用交流電源１を用いて乗かご１６を階
床間に通常時と同様の制動状態、すなわち滑らかに制動
して一時停止させた後、手順Ｓ６として切替制御部２０
から停電検出器１１へ切り離し指令を出力する。

【００１８】次いで、手順Ｓ７として停電検出器１１
は、前記の切り離し指令に応じて第１の接点Ｒｙａ１お
よび第２の接点Ｒｙａ２をそれぞれ開いて商用交流電源
１から切り離すことにより、エレベータは擬似的な停電
状態となって制御電源装置９からの出力電圧は消失し、
その結果、制御装置１０は停止する。このとき、停電検
出器１１は制御装置１０に対して停電発生信号を出力
し、これを保持する。上述した接点Ｒｙａ１、Ｒｙａ２
の開路に伴い、手順Ｓ８として停電検出器１１はインバ
ータ１２に対し起動指令を出力し、このインバータ１２
はバッテリ１４の直流電力を三相交流電力に変換する。
次いで、手順Ｓ９として停電検出器１１は第３の接点Ｒ
ｙｂ１および第４の接点Ｒｙｂ２をそれぞれ閉じること
により、バッテリ１４を電源とする回路を形成し、これ
によって、制御電源装置９にはインバータ１２で変換し
た三相交流電力が供給されるとともに、電動機７には第
３の接点Ｒｙｂ１を介してバッテリ１４の直流電力が供
給される。

【００１９】次いで、インバータ１２で変換した三相交
流電力の供給に伴い、手順Ｓ１０として制御装置１０が
再起動し、手順Ｓ１１として、停電検出器１１より出力
された停電発生信号に応じて、バッテリ１４を電源とし
て運転を開始する。その後、手順Ｓ１２として乗かご１
６が最寄り階に到着すると、手順Ｓ１３としてインバー
タ１２を停止し、手順Ｓ１４として接点Ｒｙａ１、Ｒａ
ｙ２をそれぞれ開くとともに他の接点Ｒｙｂ１、Ｒｙｂ
２を閉じて商用交流電源１による通常運転に復帰する。
このとき、手順Ｓ１５として保守員はバッテリ１４を電
源とした一連の運転が正常に行われたかどうかを判定
し、その結果、バッテリ１４を電源とした一連の運転が
正常である場合、商用交流電源１の停電時の動作確認を
終了し、一方、前記の一連の運転が異常である場合、手
順Ｓ１６としてその原因を究明して必要な対策を施して
から動作確認を終了する。

【００２０】このように構成した実施形態では、商用交
流電源１の停電時の動作を確認する際に、高速運転中の
乗かご１６を商用交流電源１を用いて通常時と同様の状
態で滑らかに制動することにより、乗かご１６を階床間
に一時停止させた後、バッテリー１４の駆動により乗か
ご１６を最寄り階まで運転するので、エレベータ機器お
よび建物に及ぶ停止ショックを軽減できる。

【００２１】

【発明の効果】本発明は以上のように構成したので、高
速運転中の乗かごを商用交流電源を用いて滑らかに階床
間で一時停止させた後、バッテリーの駆動により乗かご
を最寄り階まで運転する。したがって、商用交流電源の
停電時の動作を確認する際にエレベータ機器および建物
に及ぶ停止ショックを軽減できるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態に係るエレベータの停電時
自動着床装置を示す説明図である。

【図２】図１の停電時自動着床装置の処理手順を示すフ
ローチャートである。

【図３】エレベータの停電時自動着床装置の従来例を示
す説明図である。

【図４】図３の停電時自動着床装置の処理手順を示すフ
ローチャートである。

【符号の説明】

１ 商用交流電源 ７ 電動機 ９ 制御電源装置 １０ 制御装置 １１ 停電検出器 １２ インバータ １３ 昇圧トランス １４ バッテリ １５ 充電器 １６ 乗かご １８ 動作確認スイッチ １９ 指令出力部 ２０ 切替制御部 Ｒｙａ１、Ｒｙａ２ 接点 Ｒｙｂ１、Ｒｙｂ２ 接点

フロントページの続き (72)発明者 石田 礼 東京都千代田区神田錦町１丁目６番地 株 式会社日立ビルシステム内 (72)発明者 天野 慶次郎 茨城県ひたちなか市高場2477番地 株式会 社日立カーエンジニアリング内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 商用交流電源の停電時に直流電力を供給
   するバッテリと、このバッテリを充電する充電器と、前
   記直流電力を三相交流電力に変換するインバータと、こ
   のインバータから出力される三相交流電力の電圧を前記
   商用交流電源の電圧に相当するまで昇圧する昇圧トラン
   スと、前記商用交流電源の停電を検出する停電検出器
   と、この停電検出器の動作を確認する動作確認信号を入
   力する動作確認スイッチと、前記商用交流電源から前記
   バッテリに切替える電源切替手段とを備え、前記商用交
   流電源の停電時に前記バッテリの駆動により乗かごを最
   寄り階まで運転するエレベータの停電時自動着床装置に
   おいて、 前記動作確認スイッチの操作に応じて制御指令を出力す
   る指令出力部と、前記制御指令の出力に応じて、前記商
   用交流電源の駆動により前記乗かごを停止させた後、前
   記電源切替手段を作動させる切替制御部とを備え、 前記商用交流電源の駆動で前記乗かごの高速運転中に、
   この乗かごがドア開閉ゾーン外に位置するとき、保守員
   が前記動作確認スイッチを操作して、前記商用交流電源
   の駆動により前記乗かごを階床間に一時停止させた後、
   前記電源切替手段を作動させて前記バッテリーの駆動に
   より前記乗かごを最寄り階まで運転するようにしたこと
   を特徴とするエレベータの停電時自動着床装置。
2. 【請求項２】 前記停電検出器に、前記指令出力部を備
   えるとともに、前記乗かごを駆動する電動機の制御装置
   に、前記切替制御部を備えたことを特徴とする請求項１
   記載のエレベータの停電時自動着床装置。