【発明の詳細な説明】
オフセット印刷における、高いブタジエン含量を有
する紙用塗料の使用
本発明はオフセット印刷による紙の印刷方法に関する。
オフセット印刷は、その印刷形式が印刷する箇所ではインクを吸収することが
でき、かつ疎水性であり、印刷しない箇所では親水性である、平板印刷法である
。
オフセット印刷の場合、その他の印刷法とは対照的に、印刷するべき紙に常に
水が達する。
印刷するべき紙は一般に、紙用塗料で被覆されている。
オフセット印刷法の特異性のために、印刷するべき紙および紙用塗料に対して
もまた特殊な要求が生じる。
絶えず水が供給されるので、水は紙用塗料により吸収され、かつ従って印刷領
域から常に除去される必要がある。
オフセット印刷の場合、塗布した、つまり紙用塗料で被覆した紙にはしばしば
このような印刷方法に特有の、印刷の均一性の問題が生じ、これを専門家の世界
では「モットリング」と呼ぶ。これは今日までこの分
野で解決されなかった問題に属し、かつ同様に製紙業者および印刷業者が取り組
んでいる。この現象は特に多色オフセット印刷の際にいわゆるハーフトーンとな
って現れる効果であり、色刷りの曇りの一種として現れる。印刷の転写の不均一
性は、紙の上で印刷インクがほとんどの箇所では良好に吸収され、その他の箇所
ではあまり良好に吸収されないことにより、明らかになる。
オフセット印刷における、この不均一なインク吸収の原因は今日まではっきり
説明されていない。
紙用塗料中の結合剤の割合を減少させると、確かに明らかに前記の欠点をより
わずかな範囲で有する多孔質の被覆が得られるが、しかしその場合紙用塗料中の
顔料の結合が不十分である。印刷工程の際に、高粘度で、粘着性の印刷インクの
作用下では被覆からはげ落ちが生じる。この現象は紙むけとして、またはより正
確には塗膜の紙むけ(coat PiCking)と称する。
欧州特許出願公開第408099号明細書からブタジエン含量0〜100重量
%を有する結合剤が公知である。その実施例によれば、ブタジエン含量約36重
量%を有する結合剤が紙用塗料中で使用されている。
R.Groves著のStyrene Butadiene Latex Design and its effect in Paper Ap
plocations(Tagungsband Paper Week,13−15,03.1984,Br1stol)から、紙用塗
料のための結合剤中のブタジエン含量は通例30〜4
5重量%であることが公知である。
本発明の課題は上記の、オフセット印刷の際に現れる欠点を除去することであ
った。
従って、結合剤に対してブタジエン含量が少なくとも65重量%の結合剤を含
有する、紙用塗料で紙が被覆されていることを特徴とするオフセット印刷により
紙を印刷するための方法が判明した。
その他の実施は本発明による方法の有利な実施態様に関する。
紙用塗料は、主要な成分としての顔料以外に結合剤を含有している。結合剤は
、ブタジエン含量が少なくとも65重量%、有利には少なくとも74重量%のイ
オン重合、または有利にはラジカル重合したポリマーである。
該ポリマーは特に以下のモノマー組成からなる:
ブタジエン 65〜100重量%
C1〜C10アルキル(C原子20個までを有するメタクリレートまたはビニル
芳香族化合物(略して主モノマーと称する))0〜35重量%
エチレン性不飽和酸、酸無水物またはアミド(略して補助モノマーと称する)
0〜15重量%
その他のモノマー0〜30重量%
有利には該ポリマーは以下のものからなる:
ブタジエン 65〜99.5重量%
主モノマー 0〜34.5重量%
補助モノマー 0.5〜15重量%
その他のモノマー 0〜30重量%
特に有利には該ポリマーは以下のものからなる:
ブタジエン 74〜95重量%
主モノマー 0〜25重量%
補助モノマー 1〜8重量%
その他のモノマー 0〜5重量%
さらに特に有利には該ポリマーは以下のものからなる:
ブタジエン 79〜90重量%
主モノマー 9〜20重量%
補助モノマー 1〜8重量%
その他のモノマー 0〜5重量%
主モノマーとして例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリ
レート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートおよび2
−エチルヘキシル(メタ)アクリレートならびにα−メチルスチレンおよびスチ
レンが挙げられる。
特に有利にはスチレンおよびn−ブチルアクリレートである。
補助モノマーとして例えば不飽和カルボン酸および/またはそのアミドおよび
/または無水物、例えばアクリル酸、アクリルアミド、メタクリル酸、メタクリ
ルアミドまたはイタコン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニルスルホン酸、ビニル
ホスホン酸、またはアクリ
ルアミドプロパンスルホン酸およびその水溶性の塩が考えられる。
その他のモノマーは例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、C原子2
0個までを有するカルボン酸のビニルエステル、特に酢酸ビニルおよびプロピオ
ン酸ビニル、ステアリン酸ビニルおよびラウリン酸ビニル、ラジカル重合が可能
なオレフィン、例えばエチレンおよびビニルハロゲンまたはビニリデンハロゲン
例えば塩化ビニルまたは塩化ビニリデンである。
該ポリマーのガラス転移温度(Tg)は有利には−80〜+25、特に有利に
は−80〜0、およびさらに特に有利には−70〜−6℃である。TgはFox,B
ull.Am.Phys.Soc.(Ser II)1,123(1956)によれば、モノマーのTGから
計算可能である。
有利には該ポリマーを乳化重合により製造する。この場合分散させたポリマー
粒子の水性分散液が得られる。粒度は簡単な手段により、例えば乳化剤の量の変
更または撹拌工程により所望のサイズに調節することが可能である。特に粒度の
より良好な調節のために、ポリマー種、つまり分散しているポリマー粒子が例え
ば20〜50nmの粒度を有するポリマー分散液を装入してもよい。
最終的に得られた分散液は通例、10〜1000nm、特に20〜500nm
、特に有利には50〜200nm、さらに特に有利には100〜160の範囲の
数平均粒度を有する。バイモードおよびマルチモードの粒度分布は有利な場合が
ある。
重合の際に通例のラジカル重合開始剤を使用してもよい。
ラジカル重合開始剤として、水性のラジカル乳化重合を誘発する能力のある、
すべてのものが考えられる。これは過酸化物、例えばアルカリ金属ペルオキシド
スルフェート、ジベンゾイルペルオキシド、χ−ブチルペルピバレート、t−ブ
チルペル−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブ
チルペルオキシ)ヘキサン、クモールヒドロペルオキシド、ならびにアゾ化合物
、例えばアゾビシスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−アミジノプ
ロパン)ジヒドロクロリドである。
少なくとも1種の有機性還元剤と少なくとも1種の過酸化物および/またはヒ
ドロペルオキシド、例えばt−ブチルヒドロペルオキシドとヒドロキシメタンス
ルフィン酸のナトリウム金属塩または過酸化水素とアスコルビン酸からなる組成
の組合わせ系もまた適切である。さらに、このほかに少量の、重合化媒体中に可
溶な、その金属成分が複数の結合価段階で現れることのできる金属化合物、例え
ばアスコルビン酸/硫酸鉄(II)/過酸化水素を含有する組合わせ系が適切で
あり、この場合アスコルビン酸の代わりにしばしばヒドロキシメタンスルフィン
酸のナトリウム金属塩、ナ
トリウムスルフィット、ナトリウムヒドロゲンスルフィットまたはナトリウムメ
タビスルフィットおよび過酸化水素の代わりにt−ブチルヒドロペルオキシドま
たはアルカリ金属ペルオキシドスルフェートおよび/またはアンモニウムペルオ
キシドスルフェートを使用してもよい。通例使用したラジカル重合開始剤系の量
は、重合するべきモノマーの総量に対して0.1〜3重量%である。特に有利に
はアンモニウムペルオキシドスルフェートおよび/またはアルカリ金属ペルオキ
シドスルフェートをそれ自体で、または組合わせ系の成分として、開始剤として
使用する。特に有利にはナトリウムペルオキシドスルフェートを使用する。
ラジカル重合開始剤系を本発明による、水性のラジカル乳化重合の過程におい
て重合容器に添加する方法は平均的な当業者には公知である。完全に重合容器に
装入しても、また水性のラジカル乳化重合の経過の程度に従って連続的に、また
は段階的に使用してもよい。その詳細自体は平均的な当業者に公知の方法で、開
始剤系の化学的性質、ならびに重合温度次第である。有利には一部を装入し、か
つ残りを重合帯域の消費程度に応じて供給する。
乳化重合の場合、通例、公知のイオン性および/または非イオン性乳化剤およ
び/または保護コロイドもしくは安定剤を使用してもよい。
この種の界面活性物質として原則として、分散剤と
して通例使用される保護コロイドおよび乳化剤が考えられる。適切な保護コロイ
ドの詳細な記載はHouben−Weyl,Methoden der organischen Chemie,Band XIV/1
,Makromolekukare Stoffe,Georg−Thieme−Verlag,Stuttgart,1961年、411
−420頁に記載されている。付加的な乳化剤として陰イオン性、陽イオン性なら
びに非イオン性乳化剤が考えられる。有利には付加的な界面活性剤としてもっぱ
ら、相対分子量が保護コロイドと異なり通例2000より少ない乳化剤を使用す
る。もちろん界面活性剤の混合物を使用する場合、個々の成分は互いに相容性で
なくてはならず、このことが疑わしい場合にはわずかな前実験に基づき証明する
ことができる。有利には陰イオン性および非イオン性乳化剤を付加的な界面活性
物質として使用する。通例の付加的な乳化剤は例えばエトキシル化した脂肪アル
コール(E0度:3〜50、アルキル基;C8〜C36)、エトキシル化したモノア
ルキルフェノール、ジアルキルフェノールおよびトリアルキルフェノール(E0度
:3〜50、アルキル基:C4〜C9)、スルホコハク酸のジアルキルエステルの
アルカリ金属塩ならびにアルキルスルフェートのアルカリ金属塩およびアンモニ
ウム塩(アルキル基:C8〜C12)エトキシル化アルカノールのアルカリ金属塩
およびアンモニウム塩(E0度:4〜30、アルキル基C12〜C18)、エトキシル
化アルキルフェノールのアルカリ金属塩およびアンモ
ニウム塩(E0度:3〜50、アルキル基C4〜C9)、アルキルスルホン酸のアル
カリ金属塩およびアンモニウム塩(アルキル基:C12〜C18)およびアルキルア
リールスルホン酸のアルカリ金属塩およびアンモニウム塩(アルキル基:C9〜
C18)である。
その他の適切な分散剤は一般式II:
[式中、R5およびR6は水素またはC4〜C14アルキルを表し、かつ同時に水素
であることはなく、かつXおよびYはアルカリ金属イオンおよび/またはアンモ
ニウムイオンであってもよい]の化合物である。有利にはR5、R6はC原子6〜
18個、および特にC原子6、12および16個を有する線状または分枝状のア
ルキル基または水素を表し、この場合R5およびR6は両方同時に水素を表すこと
はない。XおよびYは有利にはナトリウム、カリウムまたはアンモニウムイオン
であり、この場合ナトリウムが特に有利である。特に有利にはXおよびYがナト
リウム、R5がC原子12個を有する分枝状のアルキル基およびR6が水素または
R5である化合物IIである。しばしばモノアルキル化した生成物50〜90重
量%の割合を有する工業
用混合物、例えばドウファクス(Dowfax(R))2A1(Dow Chemical Companyの商
標)が使用される。
その他の適切な乳化剤はHouben−WeylのMethoden der organischen Chemie,B
and XIV/1,Makromolekulare Stoffe,Georg Thieme Verlag,Stuttgart,1961
年、192〜208頁に記載されている。
該分散液は現存の乳化剤に加えて保護コロイドの使用下でも、または乳化剤を
使用しなくても製造可能であり、この場合保護コロイドの量は、使用したモノマ
ーの量に対して100重量%まで、有利には0.5〜30重量%であってもよい
。
方法技術的に該保護コロイドは完全にまたは部分的に、同時にまたは時間をず
らして、モノマーと一緒にまたは別々に添加してもよく、その場合、モノマーに
対して30重量%まで、有利には10重量%までの保護コロイドを水溶液にして
装入することは有利な場合がある。
天然の保護コロイドとしてデンプン、カゼイン、ゼラチンおよびアルギン酸塩
が、変性した天然生成物としてヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース
およびカルボキシメチルセルロースならびに陽イオン性に変性したデンプンが挙
げられる。適切な合成保護コロイドはポリアクリル酸およびその塩、ポリアクリ
ルアミド、水溶性アクリル酸コポリマー、水溶性アクリルアミドコポリマー、ポ
リビニルピロリドン、ポリ
ビニルアルコールおよび部分的に鹸化したポリビニルアルコールを含む。
この場合保護コロイドの一部をポリマーにグラフトする事が有利な場合もある
。
乳化重合は通例30〜95℃、有利には75〜90℃で行う。重合化媒体は水
のみからなっていても、水および水と混合可能な液体例えばメタノールとの混合
物からなっていてもよい。有利には水のみを使用する。乳化重合はバッチ工程と
してでも、段階法または傾斜法を含む供給法の形としてでも実施できる。有利に
は供給法であり、この場合重合化バッチの一部を装入し、重合化温度に加熱し、
重合させ、かつ引き続き重合化バッチの残りを、通常はそのうちの1つまたはい
くつかはモノマーを純粋な、または乳化した形で含有する、物理的にいくつかに
分割した供給を介して、連続的に、バッチ式にまたは濃度勾配を重ねながら、重
合帯域の重合の維持下で供給する。
もちろん本発明による水性ラジカル乳化重合は加圧下または減圧下で行っても
よい。
乳化重合の場合、分子量を調節する物質(略して調節剤と称する)例えばt−
ドデシルメルカプタン、テトラクロロメタン、テトラブロムメタン、トリクロロ
ブロムメタン、ブチルメルカプタン、アリルアルコール、ポリ−THF−ビス−
チオール、メルカプトエタノール、アセチルアセトン、チオグリコール酸または
チオグリコール酸エステルを使用してもよい。有利にはこのような物質を重合す
るべきモノマーと混合して反応混合物に添加する。分子量を調節する物質の割合
はポリマーに対して、有利には0〜2、特に有利には0〜1重量%、さらに特に
有利には0〜0.5重量%である。
ポリマーの水性ポリマー分散液は通例固体含量15〜75重量%、有利には4
0〜60重量%で製造する。
該分散液は通例の助剤例えば苛性カリ、アンモニアまたはエタノールアミンを
中和剤として、シリコーン化合物を消泡剤として、殺生物剤ならびにシリコーン
油またはワックスを粘着性の低下のために含有していてもよい。
紙用塗料はポリマーを結合剤として、紙用塗料の顔料の含量に対して、有利に
は1〜50、特に5〜20重量%の量で含有している(記載はポリマー自体に対
してであって、分散液に対してではない)。
通例顔料は紙用塗料の主成分である。しばしば使用される顔料は例えば硫酸バ
リウム、炭酸カルシウム、スルホアルミン酸カルシウム、カオリン、タルク、二
酸化チタン、酸化亜鉛、白亜またはペイント粘土である。
さらに該紙用塗料は通例の分散剤を含有していてもよい。適切な分散剤はポリ
アニオン、例えばポリリン
酸またはポリアクリル酸のポリアニオン(ポリ塩)であり、これを通例顔料の量
に対して0.1〜3重量%の量で含有する。
さらに該紙用塗料はいわゆる「補助結合剤」を含有していてもよい。天然の補
助結合剤として、デンプン、カゼイン、ゼラチンおよびアルギン酸塩が、変性し
た天然生成物としてヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロースおよびカル
ボキシメチルセルロースならびに陽イオン性に変性したデンプンが挙げられる。
しかしまた例えば酢酸ビニルベースの、またはアクリル酸塩ベースの通例の合成
補助結合剤を使用してもよい。
これらは顔料の量に対して0.1〜10重量%の量で含有されていてもよい。
該紙用塗料を製造するために成分を公知の方法で混合し、この場合ポリマーを
一般には水性分散液の形で使用する。
紙用塗料中の水の含量は紙用塗料に対して通例40〜75重量%に調整する。
該紙用塗料は通例の方法により被覆するべき紙に塗布することができる(Ullm
ann's Encyclopaedie der Technischen Chemie、第4版、第17巻、603頁以降を
参照のこと)。
被覆するべき紙としては様々な厚さの紙、および段ボールなども考えられる。
有利には紙用塗料2g(m2)〜50g(m2)(乾燥)で紙を被覆する。
被覆した紙を公知のオフセット印刷法で印刷する。
印刷した紙はせいぜいほんのわずかな「モットリング」を示すのみである。印刷
画は均一である。
実施例
スチレン−ブタジエンをベースにする分散液の製造
分散液1(D1)
開始混合物:
完全脱イオン水 17.0kg
ポリスチレン種分散液(固体含量35%、粒度:38nm、アクリルスルホネー
ト(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩)10%で安定化) 2.14k
g
供給物1の5%
供給物2の25%
供給物1:
完全脱イオン水 18.6kg
ブタジエン 42.5kg
スチレン 5.0kg
アクリル酸 1.75kg
アクリルアミド、水中50% 1.5kg
t−ドデシルメルカプタン 0.3kg
ラウリル硫酸ナトリウム、水中15% 2.50kg
供給物2:
硫酸ナトリウム 0.4kg
完全脱イオン水 7.0kg
開始混合物を85℃に加熱し、かつ15分重合させた。引き続き残りの供給物
1を7時間で、かつ供給物1と同時に開始して供給物2を7.5時間で添加した
。引き続き85℃で2時間後重合した。粒度(Malvern Autosizer)146nm
および固体含量50%を有する分散液が得られた。ガラス転移温度は−65℃で
あった。
分散液2(D2)
開始混合物:
完全脱イオン水 17.0kg
ポリスチレン種分散液(固体含量35%、粒度:38nm、アリールスルホネー
ト(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩)10%で安定化) 2.14k
g
供給物1の5%
供給物2の25%
供給物1:
完全脱イオン水 18.6kg
ブタジエン 35.0kg
スチレン 12.5kg
アクリル酸 1.75kg
アクリルアミド 水中50% 1.5kg
t−ドデシルメルカプタン 0.3kg
ラウリル硫酸ナトリウム、水中15% 2.50kg
供給物2:
ナトリウムペルスルフェート 0.4kg
完全脱イオン水 7.0kg
開始混合物を85℃に加熱し、かつ15分重合させた。引き続き残りの供給物
1を7時間で、かつ供給物1と同時に開始しながら供給物2を7.5時間で添加
した。引き続き85℃で2時間、後重合させた。粒度(Malvern Autosizer)1
53nmおよび固体含量50%を有する分散液が得られた。ガラス転移温度は−
49℃であった。
分散液3(D3)
開始混合物
完全脱イオン水 17.0kg
ポリスチレン種分散液(固体含量35%、粒度:38nm、アリールスルホネー
ト(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩)10%で安定化 2.14kg
供給物1の5%
供給物2の25%
供給物1:
完全脱イオン水 18.6kg
ブタジエン 42.5kg
n−ブチルアクリレート 5.0kg
アクリル酸 1.75kg
アクリルアミド 水中50% 1.5kg
t−ドデシルメルカプタン 0.3kg
ラウリル硫酸ナトリウム、水中15% 2.50kg
供給物2:
ナトリウムペルスルフェート 0.4kg
完全脱イオン水 7.0kg
開始混合物を85℃に加熱し、かつ15分重合させた。引き続き残りの供給物
1を7時間で、かつ供給物1と同時に開始しながら供給物2を7.5時間で添加
した。引き続き85℃で2時間、後重合させた。粒度(Malvern Autosizer)14
7nmおよび固体含量50%を有する分散液が得られた。ガラス転移温度は−7
7℃であった。
分散液4(D4、比較例)
開始混合物:
完全脱イオン水 17.0kg
ポリスチレン種分散液(固体含量35%、粒度:38nm、アリールスルホネー
ト(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩)10%で安定化) 2.14k
g
供給物1の5%
供給物2の25%
供給物1:
完全脱イオン水 18.6kg
ブタジエン 20.0kg
スチレン 27.5kg
アクリル酸 1.75kg
アクリルアミド 水中50% 1.5kg
t−ドデシルメルカプタン 0.3kg
ラウリル硫酸ナトリウム、水中15% 2.50kg
供給物2:
ナトリウムペルスルフェート 0.4kg
完全脱イオン水 7.0kg
開始混合物を85℃に加熱し、かつ15分重合させた。引き続き残りの供給物
1を5時間で、かつ供給物1と同時に開始しながら供給物2を5.5時間で添加
した。引き続き85℃で2時間、後重合させた。粒度(Malvern Autosizer)14
3nmおよび固体含量50%を有する分散液が得られた。ガラス転移温度は11
℃であった。
分散液5(D5、比較例)
開始混合物:
完全脱イオン水 17.0kg
ポリスチレン種分散液(固体含量35%、粒度:38nm、アリールスルホネー
ト(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩)10%で安定化) 2.14k
g
供給物1の5%
供給物2の25%
供給物1:
完全脱イオン水 18.6kg
ブタジエン 20.0kg
スチレン 27.5kg
アクリル酸 1.75kg
アクリルアミド 水中50% 1.5kg
t−ドデシルメルカプタン 0.6kg
ラウリル硫酸ナトリウム、水中15% 2.50kg
供給物2:
ナトリウムペルスルフェート 0.4kg
完全脱イオン水 7.0kg
開始混合物を85℃に加熱し、かつ15分重合させた。引き続き残りの供給物
1を5時間で、かつ供給物1と同時に開始しながら供給物2を5.5時間で添加
した。引き続き85℃で2時間、後重合させた。粒度(Malvern Autosizer)14
3nmおよび固体含量50%を有する分散液が得られた。ガラス転移温度は6℃
であった。
該ポリマーの組成は重量%で以下の表1に記載されている。
該分散液を結合剤として、以下の組成の2つの異な
った紙用塗料に使用した(部は重量部)。
A)
微粒子状白亜 80部
微粒子状粘土 20部
カルボキシメチルセルロース 0.7部
分子量4000を有するポリアクリル酸のナトリウム塩(BASF社のポリ塩)
0.5部
結合剤分散液(D1〜D5) 13部
固体含量:70%
pH値:8.5〜9(NaOHで調整)
B)
微粒子状粘土 80部
微粒子状白亜 20部
塗料用デンプン 2.0部
分子量4000を有するポリアクリル酸のナトリウム塩(BASF社のポリ塩)
0.2部
結合剤分散液(D1〜D5) 12部
固体含量:64%
pH値:8.5(NaOHで調整)
これらの紙用塗料を以下の方法でさらに加工した:
被覆I
原紙として、面積重量70g/m2を有する木質不含の塗布用原紙を使用した
。塗料の塗布は両面に試験塗布機(pilot coating mashine)で(塗布法:ローラ
ー、配量法:ブレード)、速度100m/分で、それ
ぞれ12g/m2で行った。ペーパーウェブをIR−乾燥ユニットおよび空気乾
燥で紙湿度5.0%に調整した。
ペーパーウェブをスーパーカレンダーに1回循環させて光沢を出した。その際
線圧力は250kN/m、ウェブ速度は300m/分、および温度80℃であっ
た。
被覆II
別の塗布実験を面積重量250g/m2を有する段ボール原紙に行った。塗料
の塗布は片面に12g/m2で試験塗布機で(塗布法:ローラー、配量法:ブレ
ード)、速度600m/分で行った。段ボールウェブはIR乾燥ユニットおよび
空気乾燥で湿度6.0%に調整した。
A)インクの吸収
インク吸収で印刷するべき紙の上での印刷インクの吸収と乾燥を特徴付ける。
可能な限り高い印刷速度を達成するためには、迅速なインク吸収が望まれる。
テストはテスト印刷機で印刷速度1m/秒で、線圧力200N/cmで行った
。
印刷したテストストリップを印刷の15秒後に、いわゆるカウンターストリッ
プ(counter strip)で覆った。カウンターストリップの着色、つまりインク移り
を評価した:多くのインク移り=緩慢なインク吸収、わずかなインク移り=迅速
なインク吸収。
B)
a)IGTテスト印刷機での乾燥剥離耐性の測定
速度を増大しながらテストストリップを印刷した。最大印刷速度は200cm
/秒であった。インク塗布は線圧力35kp/cmで行った。
いわゆる紙むけの分析の際に第一の紙むけ点(つまり紙用塗料の第一の剥離点
)から出発し、10個めの紙むけ点を数えた。
乾燥剥離耐性はcm/秒で、つまり10個めの剥離点での印刷速度を記載する
。
b)多重印刷の際の剥離耐性
テストストリップの印刷を一定の速度(1m/秒)および線圧力200N/c
mで実施した。
印刷工程を30秒後に反復する。紙むけ耐性として
紙むけが現れるまでの通過の回数を記載する。
C)ミューレンによる接着テスト
このテストは段ボール被覆IIの場合のみ実施した。段ボールから切り取った
テストストリップ(8×15cm)を市販の酢酸ビニル分散液で20mm重なり
合うように接着し、かつ60分後接着部分の引裂のための力をKpで測定する。
該試験の目的は、水性接着剤が被覆した段ボールを良好にぬらし、かつ強固な
接着が得られるかを確認することである。
D)印刷性
印刷性の評価のために4色オフセット印刷機(ハイデルベルグ)で印刷した全
紙を5人が評価した。均一な印刷結果がフルトーンならびにハーフトーンで評価
された。
E)接触角
上に落とした水滴の方法で接触角を測定した。測定は様々な時間で行い、かつ
t=0の時点で推定した。
表示は角度である。
この試験の目的は被覆の親水性を測定することである。小さい値は良好な濡れ
および水の吸収を意味する。
結果の表からわかるように、有利な特性の組み合わせ、良好な表面強さおよび
迅速なインク吸収および良好な水の吸収、つまり親水性の被覆は、本発明によら
ない通例の結合剤からは達成されない。
本発明による塗布インクは、良好な水の浸透を可能にする、比較的オープンな
被覆となる。このことにより均一なインク膜が紙の上に生じる。良好なインク吸
収挙動は特に多重被覆の際に特に有利である。というのはここではしばしば極め
て緻密な被覆が生じるからである。通例の紙用塗料では、インクの吸収に時間が
かかるため、重ねたときに印刷インクが剥離する。
特に段ボールの場合表面の親水性特性は特に有利である。というのは水性ベー
スの結合剤は良好に濡らし
、かつ迅速で耐久性の接着となるからである。被覆した紙は高い表面強さを有し
、これはオフセットにおける問題のない印刷を可能にする。
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(72)発明者 エルマー シュヴァルツェンバッハ
ドイツ連邦共和国 D−67354 レーマー
ベルク リンブルクシュトラーセ 7