JP3892740B2 - 共重合体ラテックスおよび紙塗工用組成物 - Google Patents

共重合体ラテックスおよび紙塗工用組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙塗工における顔料バインダー、カーペットバッキング剤、接着剤、粘着剤、繊維結合剤および塗料などに用いられる共役ジエン系共重合体ラテックス、および該共重合体ラテックスを含む紙塗工用組成物に関する。更に詳しくは、紙塗工におけるバッキングロール汚れに対する諸特性に関わる、塗工層の耐湿潤ベタツキ性、塗工層の洗浄性、塗工液の機械的安定性、および塗工紙のピック強度と耐ブリスター性のバランスに優れた塗工紙を与える共重合体ラテックス、および該共重合体ラテックスを含む紙塗工用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
塗工紙は、紙の印刷適性の向上および光沢などの光学特性の向上を目的として、抄造された原紙表面に、カオリンクレー、炭酸カルシウム、サチンホワイト、タルク、酸化チタンなどの顔料、それらのバインダーとしての共重合体ラテックスおよび粘度調整剤あるいは補助バインダーとしてのスターチ、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースなどの水溶性高分子を主構成成分とする紙塗工用組成物が塗工されているものである。
【0003】
ここで、バインダーとしての共重合体ラテックスとしては従来からスチレンとブタジエンを主要モノマー成分として乳化重合されたスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックス、いわゆるSB系ラテックスが汎用的に用いられている。
近年、カラー印刷された雑誌類やパンフレット、広告類の需要の拡大に伴って印刷速度の高速化が進められており、塗工紙および顔料バインダーに対する要求水準はますます高度化している。その中でも、特にインクピック抵抗性、いわゆるピック強度と、耐ブリスター性の向上が強く求められている。
【0004】
また、塗工紙の製造そのものも高速化しており、塗工操業性の改良、特に主な障害であるバッキングロール汚れに対する諸特性、すなわち塗工層の耐湿潤ベタツキ性、塗工層の洗浄性、および塗工液の機械的安定性の向上も強く要求されている。
共重合体ラテックスに対しては、前記の性質の改良が求められている。そのため例えば、ピック強度を改良するために共重合体のゲル含有量や共重合体組成を調整するなどの方法が提案されている(特公昭59−3598号、特公昭60−17879号公報)。このような逆バランスを解消すべく、特公平3−42360号公報では、連鎖移動剤の添加方法について検討がなされている。
【0005】
また、重合温度の面からも検討がなされている。特開平6−179772公報および特開平10−1504号公報では、単量体混合物の特定量を比較的低温で重合し、次いで残りの単量体を高温で重合する特定の二段重合法が提案されている。しかしながら、近年における本技術分野においては、より高度な物性バランスの達成が要求されており、いずれの方法も塗工層の耐湿潤ベタツキ性や塗工層の洗浄性、塗工液の機械的安定性、および塗工紙におけるピック強度、耐ブリスター性バランスを向上させる方法として十分とは言い難かった。
このように、従来の技術では印刷と塗工紙製造の一層の高速化に対応することができず、生産性を高め高品質の塗工紙の製造を可能にするバインダーとしての共重合体ラテックスの出現が強く求められているのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記の通り、従来の紙塗工用バインダーは、塗工層の耐湿潤ベタツキ性や塗工層の洗浄性、塗工液の機械的安定性、および塗工紙のピック強度、耐ブリスター性等の塗工紙物性および操業性における要求を同時に満足させることはできなかった。本発明はこのような事情のもとで、塗工紙におけるピック強度、耐ブリスター性等の塗工紙物性に優れ、かつ紙塗工におけるバッキングロール汚れに対する諸特性に優れる高性能の共重合体ラテックスを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記のような従来技術の持つ問題点に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、特定の重合率の範囲において特定の上昇速度で重合温度の昇温を行うことで得られた共重合体ラテックスが目的を達成することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、
(1) 共役ジエン系単量体、およびこれと共重合可能なその他の単量体を乳化重合する際にその単量体組成が、(a)共役ジエン系単量体単位20〜70重量%、および(b)エチレン系不飽和カルボン酸単量体単位0.5〜10重量%、および(c)単量体単位(a)および(b)と共重合可能なその他の単量体単位20〜79.5重量%(ただし、(a)+(b)+(c)=100重量%)から成り、かつ、重合温度の昇温を重合開始時から全単量体に対する重合転化率が20重量%に至るまでの間に開始し、全単量体に対する重合転化率が50重量%以上になるまで昇温を行い、その上昇速度が0.5℃/1hr以上10℃/1hr以下の範囲であることを特徴とする製造方法で得られる共重合体ラテックス。
(2) (1)記載の共重合体ラテックスを含む紙塗工用組成物。
に係わる。
【0008】
本発明について、以下に具体的に説明する。なお以下の説明において、全単量体単位の合計は100重量%とする。
(a)共役ジエン系単量体としては、例えば1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、クロロプレン、2−クロル−1,3−ブタジエン、シクロペンタジエン等を挙げることができるが、好ましくは1,3−ブタジエンである。これらの共役ジエン系単量体は、1種あるいは2種以上を組み合わせて使用される。
共役ジエン系単量体の使用割合は、20〜70重量%、好ましくは25〜60重量%である。この使用量が20重量%未満では得られる重合体が脆すぎ、十分に高いピック強度を得ることが難しく、本発明の目的を十分に達することができない。70重量%を超えるとバッキングロール汚れ適性に劣る。
【0009】
(b)エチレン系不飽和カルボン酸単量体としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸などが挙げられる。これらのエチレン系不飽和カルボン酸単量体は1種あるいは2種以上組み合わせても良い。
その使用割合は0.5〜10重量%、好ましくは1〜7重量%である。この成分が10重量%を超えるとラテックスや塗工液の粘度が高くなり過ぎる。0.5重量%未満では、塗工液およびラテックスの機械的安定性が劣る。
【0010】
(c)単量体単位(a)および(b)と共重合可能なその他の単量体としては、シアン化ビニル系単量体、芳香族ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体、(メタ)アクリルアミド系単量体、酢酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類、塩化ビニルなどのハロゲン化ビニル類、アミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレートなどのアミノ基含有エチレン性単量体類、スチレンスルホン酸ナトリウムなどを挙げることができる。これらの共重合可能な単量体は1種あるいは2種以上を組み合わせて使用される。
その他単量体の使用割合は、20〜79.5重量%になる。これが79.5重量%を超えると共重合体が硬くなりすぎ、ピック強度が劣る。
シアン化ビニル系単量体としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリルニトリルなどを挙げることができるが、特にアクリロニトリルが好ましい。これらのシアン化ビニル系単量体は1種あるいは2種以上組み合わせてもよい。
【0011】
芳香族ビニル系単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、エチルスチレン、ビニルキシレン、ブロモスチレン、ビニルベンジルクロリド、p−t−ブチルスチレン、クロロスチレン、アルキルスチレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼンなどが挙げられるが、特にスチレンが好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチル−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、2−シアノエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0012】
(メタ)アクリルアミド系単量体としては、例えば(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミドなどのN−モノアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドなどのN、N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、グリシジルメタアクリルアミド、N−アルコキシ(メタ)アクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などが挙げられる。
【0013】
本発明では、重合中に重合温度の昇温を行う。ここでいう昇温とは、単調に重合温度が増加し、かつ任意の20分間において重合温度が0.1℃以上上昇していることをいう。その上昇速度が0.5℃/1hr以上10℃/1hr以下の範囲である。好ましくは1℃/1hr以上8℃/1hr以下の範囲である。上昇速度が0.5℃/1hr未満であると、塗工液の機械的安定性が劣り、10℃/1hrを超えるとバッキングロール汚れに対する諸特性に劣る。
【0014】
その開始時における単量体混合物の重合転化率は20重量%以下であり、終了時における単量体混合物の重合転化率は50重量%以上である。この昇温期間の重合転化率が上記の範囲を外れると、バッキングロール汚れに対する諸特性とピック強度のバランスが低下する。
本発明における乳化重合の方法については、水性媒体中で界面活性剤の存在下、ラジカル開始剤により重合を行うなど公知の方法を用いることができる。
【0015】
使用する乳化剤については、従来公知のアニオン、カチオン、両性および非イオン性の界面活性剤を用いることができる。好ましい界面活性剤の例としては、脂肪族セッケン、ロジン酸セッケン、アルキルスルホン酸塩、ジアルキルアリルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリル硫酸塩などのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマーなどのノニオン性界面活性剤があげられ、これらは単独または2種以上を組み合わせて用いられる。
【0016】
ラジカル開始剤は、熱または還元剤の存在下でラジカル分解して単量体の付加重合を開始させるものであり、無機系開始剤、有機系開始剤のいずれも使用することが可能である。好ましい例としてはペルオキソニ硫酸塩、過酸化物、アゾビス化合物などがあり、具体的にはペルオキソニ硫酸カリウム、ペルオキソニ硫酸ナトリウム、ペルオキソニ硫酸アンモニウム、過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ベンゾイル、2,2−アゾビスブチロニトリル、クメンハイドロパーオキサイドなどがあげられ、これらは単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。また酸性亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸やその塩、エリソルビン酸やその塩、ロンガリットなどの還元剤を重合開始剤と組み合わせて用いるいわゆるレドックス重合法を用いることもできる。
【0017】
本発明では、ラジカル重合において通常用いられる公知の連鎖移動剤を用いることが可能である。連鎖移動剤の好ましい例としては核置換α−メチルスチレンの二量体のひとつであるα−メチルスチレンダイマー、n−ブチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタンなどのメルカプタン類、テトラメチルチウラジウムジスルフィド、テトラエチルチウラジウムジスルフィドなどのジスルフィド類、四塩化炭素、四臭化炭素などのハロゲン化誘導体、2−エチルヘキシルチオグリコレートなどがあげられ、これらは単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0018】
ラジカル開始剤および連鎖移動剤の添加方法には、一括添加、回分添加、連続添加など公知の添加方法が用いられる。
本発明では、必要に応じて公知の各種重合調整剤を用いることができる。これらはたとえばpH調整剤、キレート剤などであり、pH調整剤の好ましい例としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムなどがあげられ、キレート剤の好ましい例としてはエチレンジアミン四酢酸ナトリウムなどがあげられる。
【0019】
本発明の共重合体ラテックスの固形分、粒子径は、通常固形分は30〜60重量%、粒子径は0.04〜0.4μm、好ましくは0.05〜0.2μmの範囲に調製される。粒子径の調整のため公知のシード重合法を用いることも可能であり、シードを作製後同一反応系内で共重合体ラテックスの重合を行うインターナルシード法、別途作製したシードを用いるエクスターナルシード法などの方法を適宜選択して用いることができる。
本発明の製造方法による共重合体ラテックスには、必要に応じて各種添加剤を添加することあるいは他のラテックスを混合して用いることが可能であり、例えば分散剤、消泡剤、老化防止剤、耐水化剤などを添加すること、アルカリ感応型ラテックス、プラスチック顔料などを混合して用いることもできる。
【0020】
本発明の紙塗工用組成物は、分散剤を溶解させた水中に、カオリンクレー、炭酸カルシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、サチンホワイト、タルク等の無機顔料、澱粉、カゼイン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等の水溶性高分子、共重合体ラテックス、その他必要に応じて、各種添加剤と有機顔料を添加して混合した均一な分散液である。これらの使用割合は、無機顔料100重量部に対して分散剤は0.05〜5量部、水溶性高分子は0.5〜10重量部、共重合体ラテックスは3〜30重量部、好ましくは5〜20重量部ある。またその固形分は45重量%〜75重量%、好ましくは55重量部〜70重量%である。
【0021】
各種添加剤としては、増粘剤、染料、消泡剤、防腐剤、耐水化剤、滑剤、印刷適性向上剤、保水剤等がある。そしてこの紙塗工用組成物は、各種ブレードコーター、ロールコーター、エアーナイフコーター、バーコーターなどを用いる通常の方法によって原紙に塗工することができる。塗工形態も原紙に対し片面、又は表裏の両面に塗工されうるものであり、また片面当たりの塗工回数についても1回であるシングル塗工の他、2回の塗工工程を行ういわゆるダブル塗工に供する事もできる。この場合、本発明の共重合体ラテックスはその下塗り用顔料組成物、及び上塗り用顔料組成物のいずれにも用いる事ができる。
【0022】
本発明の共重合体ラテックスを使用した紙塗工用組成物は、オフセット枚葉式印刷用紙、オフセット輪転式印刷用紙、グラビア式印刷用紙、凸版式印刷用紙等の各種印刷用紙及び板紙、ダンボール用紙、包装紙等に好的に用いられる。
更に本発明の共重合体ラテックスは紙のコーティング剤、カーペットバッキング剤、その他接着剤、ランバーメイト、各種塗料にも用いる事ができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、共重合体ラテックスの各特性は次のように求めた。
(a)粒径
光散乱法粒度分析計(シーエヌウッド社製モデル6000)により共重合体ラテックス粒子の平均直径を測定した。
(b)重合率の測定方法
重合中にサンプリングしたラテックスを2g秤量後、130℃で30分乾燥後、固形分を以下の方法算出する。
固形分(%)=(乾燥後重量/乾燥前重量)×100
また、仕込み固形分を以下の方法で算出する。
仕込み固形分(%)=〔(仕込み総重量−水分量)/仕込み総重量〕×100
これから、重合転化率を以下の式にて算出する。
重合転化率(%)=(固形分/仕込み固形分)×100
【0024】
(c)ラテックスのゲル含有率
pH8に調整したラテックスをガラス板上に厚さ約0.5mmで塗布し、130℃で30分間乾燥して性膜した。得られたラテックスフィルム0.5gをトルエン30mlに浸責、3時間振とうした後、金属メッシュ(325メッシュ)でろ過。金属メッシュ上に残ったラテックスフィルムの乾燥重量を求め、その重量の仕込み重量に対する値をゲル含有率とした。
【0025】
【実施例1】
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5重量部、ジアルキルアリールエーテルジスルホン酸ソーダ(花王株式会社製、ペレックスSS−L)0.3重量部、粒子径0.02μmのスチレン系シードラテックス0.5重量部、イオン交換水130重量部、表1に示した単量体および連鎖移動剤の10%を撹拌装置と温度調節用ジャケットを取り付けた耐圧反応容器に入れ、反応容器内を窒素で置換し内温を40℃に調節。過硫酸ナトリウム1重量部を添加し、同時に重合温度すなわち反応器の内温の昇温を上昇速度3℃/1hrで開始した。残りの単量体および連鎖移動剤はその後6時間かけて反応器に添加した。昇温開始から10時間後に昇温を完了。その時点の単量体の重合転化率は83重量%であった。さらに重合温度(70℃)を一定に保って反応を2時間継続した。生成したラテックスは、200メッシュ金網で濾過した。次に、水酸化ナトウムを添加し、pH7に調整後、未反応単量体を除去し、さらに濃縮後、ポリアクリル酸ナトリウム0.5重量部、水酸化カリウムを加え、このジエン系共重合体ラテックスを最終的に固形分濃度50重量%、pH8に調整した。得られた共重合体ラテックスを共重合体ラテックスaとする。
【0026】
【実施例2、3、4】
表1に示すように重合温度、昇温速度、昇温開始時間、単量体、連鎖移動剤を変更した以外は実施例1と同様に重合し、共重合体ラテックスb、c、dを得た。
【0027】
【実施例5,6,7、8】
重合温度制御を表1に示すように実施した。また、表1に示す単量体および連鎖移動剤を使用した以外は実施例1と同様に重合し、共重合体ラテックスe、f、g、hを得た。
【0028】
【比較例1〜4】
実施例1と同様な方法により、表1に示す重合温度制御パターン、単量体、連鎖移動剤を用いて共重合体ラテックスi、j、k、lを得た。
比較例1および2は、昇温開始時間が本発明の範囲外であり、比較例3は昇温開始時間および昇温速度が本発明の範囲外である。また比較例4は昇温速度が本発明の範囲外である。
実施例1−8、比較例1−4の結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
Figure 0003892740
【0030】
【比較例5、6】
重合温度制御方法が本発明と異なり、表2に示すように重合温度を一定時間、一定に制御し、かつ重合温度を階段状に変化させる重合温度制御方法を用いて、共重合体ラテックスm、nを得た。
【0031】
【比較例7、8】
重合温度制御方法が本発明と異なり、表2に示すように一定の重合温度で重合を行い、共重合体ラテックスo、pを得た。
比較例5−8の結果を表2に示す。
【0032】
【表2】
Figure 0003892740
【0033】
【実施例9〜16】
共重合体ラテックスa〜dを用いて下記の配合で紙塗工用の塗工液を調製した。
(塗工液配合処方)
カオリンクレー 70 重量部
重質炭酸カルシウム 30 重量部
ポリアクリル酸ナトリウム 0.2重量部
水酸化ナトリウム 0.1重量部
リン酸エステル化でんぷん 2.5重量部
共重合体ラテックス 12 重量部
水(塗工液の全固形分が64重量%となるように添加)
なお、カオリンクレーとしてはウルトラホワイト90(ENGELHARD社製)、炭酸カルシウムとしてはカービタル90(ECC社製)、ポリアクリル酸ナトリウムとしてはアロンT−40(東亞合成社製)およびリン酸エステル化でんぷんとしてはMS−4600(日本食品加工社製)をそれぞれ使用した。
【0034】
(塗工層洗浄性)
得られた塗工液をゴム板上にワイヤーバーNo.5で塗布し、50℃、3秒間乾燥させ後、塗工層を水で濡らしブレードで掻き落とした。ゴム板上に残った塗工層の量を目視で評価した。ゴム板上に残った量が少ないものほど高得点とした。
(塗工液の機械的安定性)
塗工液の機械的安定性をマロン式試験機により測定した。
試験方法は塗料100gを荷重30kgw、時間20分の条件でマロン式試験機にかけ、発生した凝集物を#325メッシュの金網にて採取し、凝集物の乾燥重量の試料固形分量に対する重量百分率(残さ発生率)で求めた。
残さ発生率0.05%未満 :○
残さ発生率0.05〜0.2%未満:△
残さ発生率0.2%以上 :×
【0035】
(塗工紙の作成)
得られた塗工液を坪量75g/m2の上質塗工原紙に塗工量が片面12g/m2となるように両面ブレード塗工し、23℃、65%RHの恒温恒湿室にて12時間調湿した。これをスーパーカレンダー装置により、ロール温度50℃、線圧147000N/mの条件で片面2回づつ通紙し、塗工紙のサンプルを得た。共重合体ラテックスおよびこの塗工紙のサンプルについて下記の方法により物性を評価した結果を表3に示す。
(塗工層の耐湿潤ベタツキ性)
得られた塗工紙サンプルに、片側表面を水に浸漬させた黒ラシャ紙とはり合わせ、カレンダーを用いて温度80℃の条件で圧着させる。両者を引き剥がして、黒ラシャ紙の塗工紙サンプルへの転写の程度を目視で10点評価法で行った。転写の少ないものほど高得点とした。
【0036】
(ピック強度)
RI印刷試験機(明製作所)を用い、中央部に塗工紙(1.5cm×20cm)を並べて貼った台紙(30cm×25.5cm)に、印刷インク(東華色素社製、商品名:SDスーパーデラックス50紅B(タック18)0.5mlを25cm×21cmの印刷面積で台紙ごと塗工紙に重ね刷りした。ゴムロールに現れたピックの発生状態を別の台紙に転写して目視評価した。評価は10点法で行ないピックの発生が少ないものほど高得点とした。
(耐ブリスター性)
塗工紙を適当な大きさに裁断し、その試験片を所定の温度に調節したシリコンオイルバスに浸漬し、ブリスターが発生するか否かを観察した。オイルバスの温度を変化させながら同様に試験を行ない、各塗工紙についてブリスターの発生する温度を測定した。発生温度が高いものほど耐ブリスター性に優れる。
【0037】
【表3】
Figure 0003892740
【0038】
【比較例9〜16】
共重合体ラテックスi〜pについても実施例9〜16と同様な方法により塗工紙のサンプルを調製し、塗工液、塗工紙の物性評価を行なった。その結果を表4に示す。
表3,4から明らかなように、本発明の共重合耐ラテックスa〜hはバッキングロール汚れに関する諸特性である塗工層の洗浄性、耐湿潤ベタツキ性、塗工液機械的安定性、さらにピック強度と耐ブリスター性のバランスに優れている。
【0039】
これに比較して、昇温開始時の重合率が本発明の範囲外である共重合体ラテックスiは塗工液の機械的安定性が低く、同じ方法で得られた共重合体ラテックスjはピック強度に劣る。昇温開始時の重合率および、昇温速度が本発明の範囲外である共重合体ラテックスkはピック強度、塗工層湿潤ベタツキ性、塗工層洗浄性に劣る。昇温速度が本発明の範囲外である共重合体ラテックスlは機械的安定性、塗工層湿潤ベタツキ性に劣る。重合温度制御方法が本発明と異なり、重合温度を一定時間、一定に制御し、かつ重合温度を階段状に変化させる重合温度制御方法で得られた共重合体ラテックスm、nはいずれも機械的安定性に劣る。重合温度制御方法が本発明と異なり、一定の重合温度で重合して得られた共重合体ラテックスoは耐ブリスター性に劣り、同じ方法で得られた共重合体ラテックスpは、ピック強度、塗工層湿潤ベタツキ性に劣る。
【0040】
【表4】
Figure 0003892740
【0041】
【発明の効果】
本発明の共重合体ラテックスは、塗工紙のピック強度や耐ブリスター性において非常に高いバランスを有し、しかも塗工紙の製造工程におけるバッキングロール汚れに対する諸特性である塗工層の耐湿潤ベタツキ性、塗工層洗浄性、塗工液機械的安定性においてもきわめて優れた効果を有する。

Claims (2)

  1. 共役ジエン系単量体、およびこれと共重合可能なその他の単量体を乳化重合する際にその単量体組成が、(a)共役ジエン系単量体単位20〜70重量%、および(b)エチレン系不飽和カルボン酸単量体単位0.5〜10重量%、および(c)単量体単位(a)および(b)と共重合可能なその他の単量体単位20〜79.5重量%から成り、かつ、重合温度の昇温を重合開始時から全単量体に対する重合転化率が20重量%に至るまでの間に開始し、全単量体に対する重合転化率が50重量%以上になるまで昇温を行い、その上昇速度が0.5℃/1hr以上10℃/1hr以下の範囲であることを特徴とする製造方法で得られる共重合体ラテックス。
  2. 請求項1記載の共重合体ラテックスを含む紙塗工用組成物。
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