JPH11504240A - 内視鏡検査外科用双極鋏の刃およびそれを使用した器具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 内視鏡検査用双極鋏の刃（２６，２８）は外導電層（２６ｑ，２８ｑ）、中間電気絶縁層（２６ｒ，２８ｒ）、および二酸化チタン、二酸化クロム、または二酸化ジルコンの被膜である内面層（２６ｆ，２８ｆ）の積層組立体で形成されている。１形態において、導電層は金属刃であり、また絶縁材料はセラミックであって金属刃へ固定される。第２好適形態において、絶縁層（２２６ｒ，２２８ｒ）と内面層（２２６ｆ，２２８ｆ）は、金属刃にセラミックと二酸化チタン、二酸化クロム、または二酸化ジルコとの混合物を付着することにより同時に形成される。第３形態において、絶縁層は成形セラミック刃（３２６ｒ，３２８ｒ）であり、導電層（３２６ｆ，３２８ｆ）は金属被覆または他の方法によりセラミック刃へ固定される。全形態において、刃先および剪断面は電極から絶縁されるので、電極間短絡は発生しない。

Description

【発明の詳細な説明】 内視鏡検査外科用双極鋏の刃およびそれを使用した器具 発明の背景 １．発明の分野 本発明は概ね内視鏡検査外科器具に関する。更に具体的には、本発明は内視鏡 検査用の先端作働体を製造する方法、その方法により導電性材料と非導電性材料 を組み合わせて形成される先端作働体、および導電性材料と非導電性材料とを組 み合わせて形成された作働体を使用する内視鏡検査外科器具に関する。本発明は 特に内視鏡検査用双極焼灼器に使用される。この目的から、『内視鏡検査器具』 の用語は腹腔鏡検査、関節鏡検査、ならびに神経治療器具、および内視鏡へ挿入 される器具を含む広い意味で使用される。 ２．当技術の状況 内視鏡検査外科は今日世界に広く普及しかつその利用は急進している。一般的 に、内視鏡検査／腹腔鏡検査手術はトロカールにより１以上の切開を含み、トロ カールチューブをその場所に残し、それにより内視鏡検査外科器具をそのチュー ブへ挿入する。カメラ、拡大レンズ、または他の光学器具が、屡、１つのトロカ ールチューブへ挿入され、他方、内部器官を触診かつ／または切断するためにカ ッタ、鋏、または他の外科器具が同一または他のトロカールチューブへ挿入され る。時には、数個の外科器具を受けるために一度に数個のトロカールチューブを 一か所に置くことが望ましい。この方法では、器官または組織は１つの外科器具 により把持され、かつ同時に他の外科器具により切断される。光学機器を介して 外科医の診察下で全外科器具がトロカールチューブ内に設置される。 種々のタイプの内視鏡検査外科器具が当分野で既知である。それらの器具は概 ねハンドルまたはトリガのごとく作動する手段によってトロカールチューブ内で 軸方向へ移動自在のプッシュロッドを含む細いチューブから成る。先端作働体は トロカールチューブの遠位端部に設けられ、かつプッシュロッドの軸方向運動が 先端作働体の回転または枢軸運動に変化するようにＵリンクによりプッシュロッ ドへ結合される。先端作働体は鋏、グリッパ、カッティングジョー、鉗子等の形 態を採る。非常に小さい寸法でありかつ強力かつ／または鋭利を必要とするため に、先端作働体は製造が困難であると同時に鍛造ステンレス鋼により形成される のが典型的である。そのために、先端作働体は内視鏡検査器具の高価部を構成す る。 近代内視鏡検査処置は、屡、手術時の凝固による出血の制御が血液損失を制限 しかつ外科部位の明瞭な診察を可能にする上で臨界的であるので、電子焼灼器の 使用を含む。この場合、焼灼器、電子焼灼器、および凝固は交互に使用される。 内視鏡検査外科において使用される数タイプの電子焼灼装置が従来技術として記 載されている。単極電子外科器具は第２電極として働く患者の下で患者に接触す る大きな電極板を有する器具を電極として使用する。高周波電圧スパイクがその 器具から内視鏡検査器具の電極（即ち、先端作働体）へ通っていて、その器具と 患者の近位組織との間で弧光を発生する。それにより発生する電流は患者からそ の患者の下の大きな電極板へ流れる。単極焼灼器は電流が完全に患者へ流れる欠 点を有する。人体へ流れる電流路の制御は不可能であるために、外科部位の近傍 およびそこからある間隔のところの組織の損傷が生じる。加えて、単極焼灼器は 先端作働体と組織との間の弧光により過度の組織損傷に繋がることが観察されて いる。 単極焼灼器に伴う上記問題を解決するために、双極器具が紹介さ れている。双極電子外科器具において、間隔の接近した２つの電極が組織と接触 させるために使用される。典型的には、一方の先端作働体は第１電極として働き 、かつ他方の先端作働体が第２電極として働き、この２つの先端作働体は相互か ら電気的に隔離され、かつ各々がその器具のハンドルとの間を流れる分離の電流 路を有する。従って、双極器具において、電流は一方の先端作働体電極から焼灼 されるべき組織を通って他方の先端作働体電極へ流れる。 焼灼能力を有する種々の内視鏡検査器具が当分野において知られている。例え ば、Guayに対する米国特許第４，４１８，６９２号は、患者の卵管(Fallopian t ubes)を閉塞するための腹腔鏡検査管焼灼法に使用する装置を開示している。こ の装置はばね荷重ピストンを慴動自在に設置した実質的管状体部材から成る。ピ ストンがばねに付勢された第１位置の時に生きた組織を把持しかつボタンが押さ れてピストンから第２位置へ移動するときにその組織を解放するように一対の電 極（双極または単極のいずれか）が設置されている。この装置は、ピストンが第 ２位置のときに電極へ電流が流れるのを遮断する回路ブレーカを含む。しかしな がら、電極が組織を把持するときに、その電極の全面、即ち、その把持面と把持 されていない外面の両面へ電流が供給される。 内視鏡と共に使用する他の電子外科器具が『針切断電極およびスポットコーグ （Spot-Coag）電極を有する電子外科器具』に関するRydellによる米国特許第５ ，００７，９０８号に開示されている。Rydellの装置は複数の孔を有する細長い 可撓性管状部材を含む。管状部材の遠位端部は導電層で被覆された弾丸形セラミ ック尖端を有しかつ第１の孔へ連通する開口部を有する。導電層は第２孔から電 源へ通じるコンダクタへ接続されている。同様に電源へ接続された第２コンダク タは、プランジャにより第１孔へ慴動自在である。２ つの電極は双極対を形成する。第２形態において、セラミック尖端上の導電層は 絶縁ギャップにより分割され、その尖端の両分割体は双極対の電極を形成してい る。上記Guay装置と同様に、Rydellの装置の遠位の全面は印加時に電極として作 用する。 幾つかの双極電子外科用止血鋏が開示されている。Hildebrandtに対する米国 特許第３，６５１，８１１号は、有効電極を形成する対峙切刃を有する電子外科 用双極鋏について記載している。記載された刃は医師による組織内の血管の継続 的凝固、および鋏の刃による組織の機械的剪断を可能にする。特に、記載された 電子外科用双極鋏によって、医師は先ず鋏の刃で組織を掴み、電極を印加して止 血し、次いで電極の印加を止め、鋏の刃を閉じて組織を機械的に剪断する。そこ で、同様にして行われる他の切断のために鋏を移動させる。Hildebrandt の電子 外科用双極鋏の場合、電極が印加時に鋏の刃が相互に接触するときには電力供給 源が短絡しかつ／また刃が損傷するために、医師は電極を連続的印加状態に維持 することができない。 Hildebrandt の電子外科用双極鋏の欠点はEggersに対する米国特許第５，３２ ４，２８９号および第５，３３０，４７１号の開示により解決されている。その 好適形態において、Eggersの電子外科用双極鋏は、刃の剪断面間に介入された電 気絶縁材を有する一対の金属鋏刃から成り、それにより鋏の刃が閉鎖するときに 、一方の刃の金属が他方の刃の金属と接触することなく、即ち、絶縁材が刃先と 剪断面を形成する。Eggersによる装置の場合、焼灼電流は切断動作に先立って下 金属刃の上背後の刃先から切断される組織を経て上金属刃の下背後の刃先へ直接 的に流れる。鋏を徐々に閉じるにつれて、切断点の直前の位置、止血のために加 熱された組織を切断するためにそれ自体絶縁された刃先に沿って遠位へ移動する 位置で優先的 に血流遮断が生じる。この装置によれば、鋏は切断中連続的に印加状態で維持で きる。Eggers特許は種々の他の形態の双極鋏について記載しており、一方の刃の みが切断面上で絶縁された金属刃、および金属被覆された背面を有する絶縁刃を 使用した双極鋏を含む。 非導電性の刃先および剪断面を有する鋏の刃の欠点は操作が困難であることで ある。非導電面は相対的に平滑でなく円滑な操作性および金属切断／剪断運動時 の金属性触感がない。 発明の概要 従って、本発明の課題は円滑な操作性と金属切断／剪断運動時の金属性触感を 有する焼灼外科用双極鋏のための一対の鋏の刃を提供することにある。 本発明の他の課題は焼灼面から絶縁される剪断面を有する焼灼外科用双極鋏の ための一対の鋏の刃を提供することにある。 更に、本発明の課題は円滑な操作性と金属切断／剪断運動時の金属性触感を有 する内視鏡検査用双極焼灼鋏を提供することにある。 本発明の課題に沿って、第１形態において、本発明の鋏の刃は導電性電極、電 気絶縁材、および二酸化チタン、二酸化クロム、または二酸化ジルコンの被膜か ら成る。第１形態において、電極層は典型的にはステンレス鋼で形成される金属 刃であり、他方、絶縁層は蒸着、接着、または他の方法で金属刃上に固定された アルミナセラミックであり、かつ二酸化チタン被膜は蒸着、接着、または他の方 法で上記セラミック上へ固定されて刃先および剪断面を提供する。アルミナセラ ミックおよび二酸化チタンは高温かつ標準大気圧で顆粒を熱スプレイ法により金 属鋏の刃上に蒸着されるのが好ましい。二酸化チタンは平滑でありかつ金属刃の 作業触感を鋏の刃に付与する。二酸化チタンは好適被膜であるが、二酸化クロム または二酸化 ジルコンも同様の結果を達成する。 本発明の好適第２形態において、鋏の刃の電子層は金属刃であり、かつ二酸化 チタンはアルミナセラミックと混合し、かつ導電性電極へ直接塗布されている。 この好適形態において、アルミナセラミック対二酸化チタンの重量比は８７対１ ３であるが、この比は７５対５から９５対５の範囲であってよくかつこの範囲で 所望の絶縁と平滑が得られる。 本発明の第３形態において、絶縁層はセラミック支持部であり、電子層および 二酸化チタン剪断面層はセラミック支持部の両側へ蒸着、接着、または他の方法 により固定される。 全形態において、塗布された刃先、および好ましくは剪断面の少なくとも一部 は電極から絶縁されるので、仮に各鋏の刃の刃先および剪断面が他の鋏の刃の刃 先および剪断面と接触しても電極間の短絡は発生しない。 鋏の刃は内視鏡検査器具の一部としての使用が意図されているので、各刃は刃 の回転の中心の軸またはＵリンクピンを受ける第１孔を有するのが好ましい。更 に、各刃は刃の近位または基部から突出するピンまたは突起を有するのが好まし い。これらのピンは刃をアクチュエータ機構へ連結するリンクを受ける。 本発明の刃を利用する内視鏡検査用双極焼灼鋏器具は同時係属中の米国特許出 願第０８／２８４，７９３号、同第０８／３５４，９９２号、および同第０８／ ３７７，１５６号に説明されたものと実質的に同一であり、その全開示がここに 参考として引用され、かつ相互に対して安定しかつ絶縁された２つの導電性プッ シュロッドを備えたプッシュロッド組立体を利用するのが好ましい。プッシュロ ッドの近位端部は鋏器具のハンドルおよびレバーへ延びて標準的双極焼灼器のプ ラグに合致する電気焼灼器のピンを提供する。 本発明の他の課題および利点は添付図面に関連した詳細な説明を参照すること により当業者に明らかになる。 図面の簡単な説明 図１は本発明による内視鏡検査用双極鋏器具の部分断面を含む破断側面図であ る。 図２は本発明による直線鋏の刃の第１形態の拡大上面図である。 図３は操作位置における図２の３−３線に沿った鋏の刃の断面図である。 図４は図３と同様の図であるが、図２および３の鋏の刃の１つを従来鋏の刃と 共に使用した第１形態を示す。 図５は図３と同様の図であるが本発明による直線鋏の刃の第２形態を示す。 図６は図２と同様の図であるが本発明による直線鋏の刃の第３形態を示す。 図７は図６の７−７線に沿った鋏の刃の断面図でありその操作位置を示す。 図８は本発明による曲線鋏の刃の第１形態の図２および６と同様の図である。 図９は図８の９−９線に沿った鋏の刃の断面図でありその操作位置を示す。 図１０は本発明による曲線鋏の刃の第２形態の図８と同様の図である。 図１１は図１０の１１−１１線に沿った鋏の刃の断面図でありその操作位置を 示す。 図１２は本発明による曲線鋏の刃の第３形態の図８および１０と同様の図であ る。 図１３は図１２の１３−１３線に沿った鋏の刃の断面図でありその操作位置を 示す。 図１４は本発明による鋏の刃の図８、１０および１２と同様の図であり、刃の １つは同一域を共有しない層を有する。 図１５は図１４の層状刃の側面図である。 図１６ａは図１５の１６−１６線に沿った本発明の第１形態による刃の断面図 である。 図１６ｂは図１５の１６−１６線に沿った本発明の第２形態による刃の断面図 である。 図１６ｃは図１５の１６−１６線に沿った本発明の第３形態による刃の断面図 である。 好適形態の詳細な説明 図１を参照すると、内視鏡検査用双極鋏器具１０は軸ピン１５によりハンドル １２へ枢軸回転自在に連結された手動レバーアクチュエータ１４を有する。中空 ステンレス鋼チューブ１６はハンドル１２に回転自在に連結され、かつ同時係属 出願第０８／２８４，７９３号に詳細に記載されたようなフェルール１８の使用 により近位ハンドル１２に対して長軸を中心に回転自在であるのが好ましい。プ ッシュロッド組立体２０は中空チューブ１６へ延びかつ同時係属出願第０８／２ ８４，７９３号に更に詳細に記載されたように手動レバーアクチュエータ１４へ 連結されている。チューブ１６の遠位端部は複合的Ｕリンク２４を有し、その中 に一対の鋏の刃２６，２８が軸ねじ３０上に取付けられている。プッシュロッド 組立体２０の遠位端部２３は鋏の刃２６，２８へ連結されて、チューブ１６に対 するプッシュロッド組立体２０の往復運動が鋏の刃２６，２８を開閉する。チュ ーブ１６に対するプッシュロッド組立体２０，２８の 往復運動はハンドル１２に対する手動レバーアクチュエータ１４の運動により行 われる。 プッシュロッド組立体２０の好適形態は近位カラー３６中に形成されて遠位カ ラー４６内に捕獲される一対のステンレス鋼ロッド３２，３４を含む。近位カラ ーは遠位部に半径方向の溝４０、およびロッド３２，３４へ電気的に接続される 一対の電気接続ピン３９を担持する拡大直径の近位部３７を有する。図示された ように、ピン３９は標準焼灼器コネクタを収容するためにロッド３２，３４より も相互から間隔をおいている。ロッド３２，３４は絶縁高密度ポリエチレン（HD PE）チューブにより近位カラーと遠位カラー３６，４６との間で実質的全長に沿 って被覆されている。複数の間隔をおいたポリプロピレンシリンダ５０が近位カ ラー３６と遠位カラー４６との間で両ロッドのまわりに形成されている。これら のシリンダは、チューブ１６が回転するときに螺旋状捩じれに対してそのロッド を安定化し、かつ不連続であることによりプッシュロッド組立体の歪曲を防止す る。１形態によれば、遠位カラー４６はスナップ係止して相互に結合される２つ のセラミック片から形成される。導電性ロッド３２，３４は実質的直角に遠位カ ラー４６から両側へ出る。ロッド３２，３４の遠位端部はそれぞれ導電性リンク ９９によりそれぞれの刃２６，２８へ機械的かつ電気的に接続される。 図２および３に示された本発明による直線鋏の刃の第１形態を参照すると、第 １鋏の刃２６は遠位部２６ａ、下近位中子２６ｃ、およびその間の取付け孔２６ ｄを有する。連結ラグ２６ｅは中子２６ｃの表面から直角に第１方向へ延在する 。遠位部２６ａは下の刃先２６ｂおよび内面２６ｆ（または剪断面と呼ぶ）を含 む。第１鋏の刃の内面２６ｆの下に絶縁層２６ｒおよび導電性電極層２６ｑがあ る。反対側の第２鋏の刃２８は第１鋏の刃と同様の形態であり、か つ遠位部２８ａ、上近位中子２８ｃ、およびその間の取付け孔２８ｄを有する。 連結ラグ２８ｅは中子２８ｃの表面から上記第１方向と反対の第２方向へ直角に 延在する。遠位部２８ａは上の刃先２８ｂおよび内面２８ｆを含む。第２鋏の刃 ２８の内面２８ｆの下には絶縁層２８ｒおよび導電性電極層２８ｑがある。 図２および３に示された第１形態によれば、両鋏の刃２６と２８は金属支持部 （同様に、金属刃支持部または外導電層と呼ぶ）２６ｑ，２８ｑ、中間電気絶縁 層２６ｒ，２８ｒ、および剪断面を形成する被膜面２６ｆ，２８ｆを含む積層組 立体である。図面はいずれかの寸法による層の相対的厚みを示すものではなく、 かつ層の厚みは解説目的から誇張されている。金属刃支持部はステンレス鋼であ るのが好ましいが、いずれかの強力な導電性金属が使用できる。絶縁層はアルミ ナ(Al₂O₃)であるのが好ましいが、いずれの適宜セラミックも使用できる。金属 操作時の金属触感を刃に付与するために、被膜面は二酸化チタンセラミック（Ti O₂）であるのが好ましいが、二酸化ジルコン(ZiO₂)または二酸化クロム(CrO₂)セ ラミックが使用できる。被膜は非常に薄くかつ接着、科学的蒸着、熱スプレイ、 プラズマスプレイ、または他の方法により付着されてよい。ただし、被膜面２６ ｆ，２８ｆは対向する鋭利な刃先２６ｂ，２８ｂを有し、これは絶縁層２６ｒ， ２８ｒ、刃支持部２６ｑ，２８ｑのいずれかまたはその両者を二酸化チタンによ る面被膜を形成する前または後に鋭利にすることにより形成されてよい。金属刃 支持部２６q，28qは焼灼電流を供給する鋏の刃の導電性部（即ち、電極）を形成 する。この関係で、刃支持部２６ｑ，２８ｑは導電性であり、図１を参照して説 明したように、リンク９９を介してそれぞれのロッド３２，３４との電気的接続 を可能にする近位ラグ２６ｅを含む。図３に見られるように、電流『Ｅ』の優先 流路は、刃の刃先２６ｂ， ２８ｂおよび剪断面２６ｆ，２８ｆから絶縁されている鋏の刃の金属刃支持部２ ６ｑ，２８ｑへ通じる。この構成により、焼灼および凝固のための電流は、その 刃の刃先と剪断面との接触が装置を短絡させないので切断／剪断処置時に連続的 に供給される。セラミック絶縁層上の二酸化チタン被膜は金属剪断面上で金属が 有する操作触感を刃に付与する。 絶縁層および被膜面層はセラミック顆粒を刃の上へ熱スプレイすることにより 付着されるのが好ましい。熱スプレイにおいて、高速酸素燃料（HBOF）装置等に より、ミクロンサイズのセラミックの粉末または顆粒をロケットタイプのエンジ ンの燃焼室へ噴射し、燃焼室から所望基板へ吹付ける。 上述から、刃先および剪断面を装置の短絡から防止する目的を達成するために 、鋏の刃の１つを上記のごとく構成することのみが必要であることは理解される であろう。図４は本発明の第１形態の変形体を示し、この第１形態の刃26の１つ は全体が導電性である従来鋏の刃１２８との関係で使用される。この形態および 後述の形態において、類似要素には類似番号が付されている。図４に示されたよ うに、電流『Ｅ』の優先流路は刃２６の金属刃支持部２６ｑから鋏の刃１２８の 剪断面１２８ｆおよび／または刃先１２８ｂへ通じる。 図５に示された本発明の第２の好適形態によれば、鋏の刃２２６，２２８は金 属刃支持部２２６ｑ，２２８ｑにより形成され、これは上述の金属刃支持部２６ ，２８と実質的に同一である。ただし、この形態において、絶縁層２２６ｒ，２ ２８ｒおよび被膜面層２２６ｆ，２２８ｆがアルミおよび二酸化チタンの混合物 を含む単一層として同時に刃支持部２６ｑ，２８ｑへ付着される。アルミナおよ び二酸化チタンの混合物はアルミナおよび二酸化チタン顆粒を混合 し、かつ上述のごとくその顆粒を熱スプレイすることにより金属刃刃支持部へ付 与するのが好ましい。混合物におけるアルミナと二酸化チタンの重量比は７５／ ２５から９５／５の範囲であってよく、絶縁機能および平滑機能を同時に得るた めに好適に使用できる。アルミナ／チタン混合物が好適があるが、アルミナ／ク ロム、およびアルミナ／ジルコン等の他の混合物が使用できる。 図６および７は直線鋏の刃３２６，３２８の第３形態を示す。この形態によれ ば、鋏の刃３２６および３２８の両者が刃支持部３２６ｑ’，３２８ｑ’を含む 積層組立体であり、それ自体は非導電性コア刃支持部３２６ｒ，３２８ｒと他の 金属層刃支持部３２６ｑ，３２８ｑとの積層小組立体である。剪断面を形成する 二酸化チタン層または二酸化チタン面３２６ｆ，３２８ｆは非導電性コア３２６ ｒ，３２８ｒの内面上に塗布される。刃３２６，３２８は対向鋭利刃先３２６ｂ ，３２８ｂを有するのが好ましい。刃支持部３２６ｑ’，３２８ｑ’の外金属層 ３２６ｑ，３２８ｑは焼灼電流を供給するその刃の電子部を形成する。図６に最 良に示されたように、外金属層部３２６ｑ，３２８ｑは刃の実質的全長に沿って （非導電性コア３２６ｒ，３２８ｒにわたって）延在し、その刃の近位接続ラグ ３２６ｅ，３２８ｅで焼灼器の電源と電気的接続する。図７に示されたように、 優先電流『Ｅ』はその刃の刃先および剪断面から絶縁された刃の電極部３２６ｑ ，３２８ｑに流れる。この構成により、焼灼器の電流は刃の剪断面の接触がその 装置を短絡しないので切断手術時に連続的に供給される。 図６および７に示された形態はセラミックコア３２６ｒ，３２８ｒを成形し、 かつセラミックコアへ接着、スパッタリング、メタライジング、熱スプレイ、メ ッキ等により金属層を積層することにより外導電面３２６ｑ，３２８ｑに製造で きる。二酸化チタン３２６ ｆの内面は上述のごとく形成される。この場合、二酸化チタンセラミックが非常 に良好な絶縁体とは言えないので外金属積層体が二酸化チタン内面に接近しすぎ ないようにセラミック材は３２６ｒ’，３２８ｒ’で示したようにフランジタイ プの断面を有するように形成されるのが好ましい（必ずしも形成されないが）。 本発明の好適形態によれば、この外部層は銅、金、ステンレス鋼、超合金、また は他の導電性材料等の金属から形成されてよい。セラミックコア３２６ｒ，３２ ８ｒはアルミナ、ジルコン、または他の適宜セラミックで形成されてよい。 図６および７の刃３２６，３２８のいずれか一方は図２，３および５の反対側 の刃２６，２８，２２６，２２８、あるいは図４を参照して上述したように図４ の従来刃１２８と共に使用されてよい。 上述のごとく、本発明は直線鋏の刃または曲線鋏の刃に関して使用できる。図 ８から１３は上述の本発明による３つの形態を示すが、曲線鋏の刃の観点から、 図８から１３の第１鋏の刃４２６，５２６，６２６の各々は曲線遠位部４２６ａ ，５２６ａ，６２６ａ、下近位中子４２６ｃ，５２６ｃ，６２６ｃ、およびその 間の取付け孔４２６ｄ，５２６ｄ，６２６ｄを有する。接続ラグ４２６ｅ，５２ ６ｅ，６２６ｅは第１方向において中子４２６ｃ，５２６ｃ，６２６ｃの表面か ら直角に外方へ延在する。図９，１１および１３に示されたように、遠位部４２ ６ａ，５２６ａ，６２６ａは下刃先４２６ｂ，５２６ｂ，６２６ｂおよび内面ま たは剪断面４２６ｆ，５２６ｆ，６２６ｆを含む。第１鋏の刃の内面４２６ｆ， ５２８ｆ，６２６ｆの下には、絶縁層４２６ｒ，５２６ｒ，６２６ｒ、および導 電性電極層４２６ｑ，５２８ｑ，６２６ｑがある。反対側の第２鋏の刃４２８， ５２８，６２８は第１鋏の刃と同様の形態でありかつ湾曲遠位部４２８ａ，５２ ８ａ，６２８ａ、上近位中子４２８ｃ， ５２８ｃ，６２８ｃ、およびその間の取付け孔４２８ｄ，５２８ｄ，６２８ｄを 有する。接続ラグ４２８ｅ，５２８ｅ，６２８ｅは第１鋏の刃４２６，５２６， ６２６に関する上述の第１方向と反対の第２方向において中子４２８ｃ，５２８ ｃ，６２８ｃから直角に延在する。遠位部４２８ａ，５２８ａ，６２８ａは上刃 先４２８ｂ，５２８ｂ，６２８ｂおよび内面４２８ｆ，５２８ｆ，６２８ｆを含 む。第２鋏の刃４２８，５２８，６２８の内面４２８ｆ，５２８ｆ，６２８ｆの 下には、絶縁層４２８ｒ，５２８ｒ，６２８ｒおよび導電性電極層４２８ｑ，５ ２８ｑ，６２８ｑがある。 図８および９の形態は、刃４２６，４２８の曲率を除き、図２および３の形態 と実質的に同一である。図１０および１１の形態は、刃５２６，５２８の曲率を 除き、図５の形態と実質的に同一である。図１２および１３の形態は、刃６２６ ，６２８の曲率を除き、図６および７の形態と実質的に同一である。 図１４，１５、および１６ａ−１６ｃを参照すると、本発明による層状鋏の刃 は異なる表面領域を有する層を含んでよい。例えば、図１４，１５、および１６ ａに見られる刃７２８は絶縁層７２８ｒおよび表面層７２８ｆを有する導電層７ ２８ｑとして形成されてよく、絶縁層および表面層は導電層７２８ｑの全面を被 覆しない。従って、図１６ａに示された刃７２８は、導電層７２８ｑが金属刃支 持部および絶縁層７２８ｒおよび表面層７２８ｆが分離形成されている本発明の 第１形態により製造される。ただし、図１６ａに示されたように、絶縁層７２８ ｒおよび表面層７２８ｆは導電層７２８ｑと水平方向または垂直方向のいずれに も同一域を共有しない。図１６ｂはこのタイプの刃７２８’の構成を示し、本発 明の第２好適形態に関して説明したように絶縁層と表面層の混合層７２８’ｆ， ｒを使用する。図１６ｃは上述の本発明の第３形態により製造され る刃７２８”を示し、ここでは導電層７２８”ｑおよび表面層７２８”ｆは絶縁 層７２８”ｒと同一域を共有しない。この同一域を共有しない層を有する層状鋏 の刃に関する更なる情報は同時係属の米国出願第０８／３７７，１５６号に知見 でき、その情報はここに引用される。 内視鏡検査外科用双極鋏の刃およびその器具のいくつかの形態について以上解 説した。本発明の特定形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものでな く、技術が許容する範囲の広さを有しかつ本明細書はそのように理解されるべき である。従って、特定導電性および非導電性材料が記載されているが、他の材料 が利用できると解されるべきである。同様に、特定形状および寸法を有する刃が 示されたが、異なる形状および寸法の刃が同様結果を伴って使用できる。刃を枢 枢軸回転自在に結合する手段は軸ねじおよびナットとして示されたが、他の枢軸 回転する結合手段が使用できる。例えば、複合軸ピンを有するＵリンク、または スナップ係止軸ピン、または鋲止め軸ピンの全てが使用できる。各刃に電圧を供 給する手段として双極プッシュロッドが示されているが、双極Ｕリンクおよび双 極中空チューブ等の他の手段が使用できる。中空チューブ内に遮蔽された種々電 気コンダクタがこの目的から使用できる。更に、各刃の導電性部の電気接続とし てリンクへ接続される近位接続ラグが示されているが、２片から成る双極Ｕリン ク軸へ電気接続されてよい。同様に、鋏のような運動を刃に付与する手段として プッシュロッドが示されているが、引っ張り線または他の往復運動装置が首尾よ く使用できる。更に、鋏の刃をプッシュロッドへ連結する手段として直交ラグが 示されているが、実質的に同様の結果を達成する連結孔等の他の手段が使用でき る。更に、特定方法が導電層と非導電層の積層方法として開示されているが、他 の方法が同様に使用できる。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．次の構成要素から成る切断および凝固のための双極電子外科器具： ａ）各々が外導電層と、二酸化チタン、二酸化クロム、二酸化ジルコンから成 る群から選択された要素から成る内面層との積層組立体から成る第１および第２ 刃部材、前記内面層は前記刃部材の剪断面を形成している、 ｂ）前記第１刃部材と第２刃部材とを相互に対面するそれぞれの剪断面と共に 枢軸回転自在に連結する手段、 ｃ）前記第１および第２刃部材の少なくとも一方へ、前記第１および第２刃部 材の他方に対して鋏のごとき運動を付与するために、連結された手段、および ｄ）前記第１および第２刃部材の外導電層間に電圧を供給する手段。 ２．第１および第２刃部材の各々が前記外導電層と前記内面層との間に中間電 気絶縁層を更に含む、請求項１の双極電子外科器具。 ３．前記中間電気絶縁層はセラミックである、請求項２の双極電子外科器具。 ４．前記中間電気絶縁層はアルミナである、請求項３の双極電子外科器具。 ５．前記内面層はセラミックと二酸化チタン、二酸化クロム、二酸化ジルコン から成る群から選択された前記要素との混合物から成る、請求項１の双極電子外 科器具。 ６．前記セラミックはアルミナである、請求項５の双極電子外科器具。 ７．前記内面層はアルミナと二酸化チタンとのアルミナ対二酸化 チタンの重量比が７５／２５から９５／５の範囲の混合物から成る、請求項６の 双極電子外科器具。 ８．前記重量比はアルミナ対二酸化チタンが略８７／１３である、請求項７の 双極電子外科器具。 ９．前記内面層は二酸化チタンから成る、請求項２の双極電子外科器具。 １０．前記セラミックはアルミナである、請求項９の双極電子外科器具。 １１．前記第１および第２刃部材の前記剪断面は湾曲している、請求項１の双 極電子外科器具。 １２．前記外導電層はステンレス鋼である、請求項１の双極電子外科器具。 １３．前記外導電層は接着、スパッタリング、メタライジング、熱スプレイ、 およびメッキのいずれか１方法により前記中間電気絶縁層へ付着されている、請 求項２の双極電子外科器具。 １４．前記外導電層および前記内面層は同一域を共有していない、請求項１の 双極電子外科器具。 １５．前記外導電層および前記中間電気絶縁層は同一域を共有していない、請 求項２の双極電子外科器具。 １６．次の構成要素から成る組織を切断および凝固するための双極電子外科器 具： ａ）各々が内剪断面および導電性部を有する第１および第２刃部材、前記刃部 材の少なくとも一方は外導電層と、二酸化チタン、二酸化クロム、二酸化ジルコ ンから成る群から選択された要素から成りかつ前記内剪断面を形成している内面 層との積層組立体から成る、 ｂ）前記第１刃部材と第２刃部材とを相互に対面するそれぞれの 内剪断面で枢軸回転自在に連結する手段、 ｃ）前記第１および第２刃部材の少なくとも一方へ、前記第１および第２刃部 材の他方に対して鋏のごとき運動を付与するために、連結された手段、および ｄ）前記第１および第２刃部材の前記外導電性部間に電圧を供給する手段。 １７．前記刃部材の少なくとも一方は前記外導電層と前記内面層との間に中間 電気絶縁層を更に含む、請求項１６の双極電子外科器具。 １８．前記中間電気絶縁層はセラミックである、請求項１７の双極電子外科器 具。 １９．前記中間電気絶縁層はアルミナである、請求項１８の双極電子外科器具 。 ２０．前記内面層はセラミックと二酸化チタン、二酸化クロム、二酸化ジルコ ンから成る群から選択された前記要素との混合物から成る、請求項１６の双極電 子外科器具。 ２１．前記セラミックはアルミナである、請求項２０の双極電子外科器具。 ２２．前記内面層はアルミナと二酸化チタンとのアルミナ対二酸化チタンの重 量比が７５／２５から９５／５の範囲の混合物から成る、請求項２０の双極電子 外科器具。 ２３．前記重量比はアルミナ対二酸化チタンが略８７／１３である、請求項２ ２の双極電子外科器具。 ２４．前記内面層は二酸化チタンから成る、請求項１７の双極電子外科器具。 ２５．前記セラミックはアルミナである、請求項２２の双極電子外科器具。 ２６．前記第１および第２刃部材の前記剪断面は湾曲している、請求項１６の 双極電子外科器具。 ２７．前記外導電層はステンレス鋼である、請求項１６の双極電子外科器具。 ２８．前記外導電層は接着、スパッタリング、メタライジング、熱スプレイ、 およびメッキのいずれか１方法により前記中間電気絶縁層へ付着されている、請 求項１７の双極電子外科器具。 ２９．前記外導電層および前記内面層は同一域を共有していない、請求項１６ の双極電子外科器具。 ３０．前記外導電層および前記中間電気絶縁層は同一域を共有していない、請 求項１７の双極電子外科器具。 ３１．次の構成要素から成る内視鏡検査用双極器具に使用する内視鏡検査鋏の 刃： ａ）二酸化チタン、二酸化クロム、二酸化ジルコンから成る群から選択された 要素から成りかつ内剪断面を形成している内面層、 ｂ）前記内剪断面から電気的に絶縁されている外導電層、および ｃ）前記外導電層へ電圧源を接続するための手段。 ３２．ｄ）前記鋏の刃を枢軸回転自在に取付ける手段、および ｅ）前記鋏の刃をその鋏の刃に枢軸運動を付与するための手段へ連結する手段 を更に含む、請求項３１の内視鏡検査鋏の刃。 ３３．ｆ）前記外導電層と前記内面層との間に中間電気絶縁層を更に含む、請 求項３１の内視鏡検査鋏の刃。 ３４．前記中間電気絶縁層はセラミックである、請求項３３の内視鏡検査鋏の 刃。 ３５．前記中間電気絶縁層はアルミナである、請求項３４の内視鏡検査鋏の刃 。 ３６．前記内面層はセラミックと二酸化チタン、二酸化クロム、 二酸化ジルコンから成る群から選択された前記要素との混合物から成る、請求項 ３１の内視鏡検査鋏の刃。 ３７．前記セラミックはアルミナである、請求項３６の内視鏡検査鋏の刃。 ３８．前記内面層はアルミナと二酸化チタンとのアルミナ対二酸化チタンの重 量比が７５／２５から９５／５の範囲の混合物から成る、請求項３６の内視鏡検 査鋏の刃。 ３９．前記重量比はアルミナ対二酸化チタンが略８７／１３である、請求項３ ８の内視鏡検査鋏の刃。 ４０．前記内面層は二酸化チタンから成る、請求項３３の内視鏡検査鋏の刃。 ４１．前記セラミックはアルミナである、請求項４０の内視鏡検査鋏の刃。 ４２．前記内剪断面は湾曲している、請求項３１の内視鏡検査鋏の刃。 ４３．前記外導電層はステンレス鋼である、請求項３１の内視鏡検査鋏の刃。 ４４．前記外導電層は接着、スパッタリング、メタライジング、熱スプレイ、 およびメッキのいずれか１方法により前記中間電気絶縁層へ付着されている、請 求項３３の内視鏡検査鋏の刃。 ４５．前記外導電層および前記内面層は同一域を共有していない、請求項３１ の内視鏡検査鋏の刃。 ４６．前記外導電層および前記中間電気絶縁層は同一域を共有していない、請 求項３３の内視鏡検査鋏の刃。