JPH11350249A - Vベルト補強用ポリエステル繊維およびその製造方法ならびにvベルト補強用コード - Google Patents

Vベルト補強用ポリエステル繊維およびその製造方法ならびにvベルト補強用コード

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JPH11350249A
JPH11350249A JP15304998A JP15304998A JPH11350249A JP H11350249 A JPH11350249 A JP H11350249A JP 15304998 A JP15304998 A JP 15304998A JP 15304998 A JP15304998 A JP 15304998A JP H11350249 A JPH11350249 A JP H11350249A
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JP
Japan
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belt
polyester fiber
cord
heat shrinkage
yarn
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JP15304998A
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Masataka Aoyama
正孝 青山
Hiroki Sano
太喜 佐野
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Toray Industries Inc
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 強度と寸法安定性とのバランスがすぐれたV
ベルト補強用ポリエステル繊維、このポリエステル繊維
を安定した品位で効率的に製造する方法、および寸法安
定性、耐疲労性、耐久性にすぐれたVベルト用コードを
提供する。 【解決手段】 分子鎖の全繰り返し単位の90モル%以
上がエチレンテレフタレートである重合体からなり、次
の(イ)〜(ホ)の特性 (イ)固有粘度(IV):0.90〜1.05 (ロ)単繊維繊度:1.0〜4.5d (ハ)糸条強度:6.5g/d以上 (ニ)最大熱収縮応力:0.2〜0.5g/d (ホ)150℃で30分間放置後の乾熱収縮率と4.5
g/d時の中間伸度の和:9.7以下を満足することを
特徴とするVベルト補強用ポリエステル繊維およびその
製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、Vベルト補強用ポ
リエステル繊維とその製造方法および該繊維を用いたV
ベルト補強用用コードに関するものである。さらに詳し
くは、強度と寸法安定性とのバランスがすぐれたVベル
ト補強用ポリエステル繊維、このポリエステル繊維を安
定した品位で効率的に製造する方法、および寸法安定
性、耐疲労性、耐久性にすぐれたVベルト補強用コード
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレートで代表され
るポリエステルからなる合成繊維糸条は機械的性質、寸
法安定性および耐久性にすぐれていることから、衣料用
途のみならず産業用途、特にゴム資材の補強用途にも広
く利用されている。
【0003】その中でも、Vベルト補強用ポリエステル
繊維としては、従来低配向の未延伸糸を高倍率延伸した
高強度原糸が用いられていたが、近年では高配向のPO
Yを低倍率で延伸して得られる原糸が用いられるように
なった。これはコードの強度を犠牲にしてもベルトの特
性、特に寸法安定性を向上させようというニーズから生
まれた技術である。なおここでいうベルトの寸法安定性
とは、ベルト走行中または走行後のベルト長さの変化お
よびベルト張力維持率である。
【0004】一方、ポリエステル繊維からなるベルトの
寸法安定性を向上させる製糸技術としては、固有粘度と
口金下雰囲気温度を制御することにより、複屈折率を1
70×10-3〜195×10-3の範囲内に納める方法
(特公平2−46689号公報)、および最大熱収縮率
を0.5〜0.6g/dとして緊張後熱処理することに
よって低収縮性繊維を得る方法(特公平1−44810
号公報)などが提案されているが、いずれの方法におい
ても、Vベルト特性として有用な強度と寸法安定性のバ
ランスがすぐれたポリエステル繊維は得られないばかり
か、紡糸性の劣る製糸方法であるがために、毛羽の少な
い品位的に安定したポリエステル繊維が得られないとい
う問題があった。
【0005】また、特開平8−121541号公報で
は、未処理コードの特性を規制している動力伝動ベルト
を得る方法が提案されているが、処理コードの収縮率が
高く、寸法安定性が悪くなり、得られたVベルトの寸法
安定性、耐疲労性、耐久性等が得られないという問題が
あった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した従
来技術における問題点の解決を課題とする。
【0007】したがって、本発明の目的は、強度と寸法
安定性とのバランスがすぐれたVベルト補強用ポリエス
テル繊維、このポリエステル繊維を安定した品位で効率
的に製造する方法、および寸法安定性、耐疲労性、耐久
性にすぐれたVベルト用コードを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するする
ために、本発明のVベルト補強用ポリエステル繊維は、
主として次の構成を有する。すなわち、分子鎖の全繰り
返し単位の90モル%以上がエチレンテレフタレートで
ある重合体からなり、下記特性(イ)〜(ホ)を満足す
ることを特徴とするVベルト補強用ポリエステル繊維で
ある。
【0009】 (イ)固有粘度(IV):0.90〜1.05 (ロ)単繊維繊度:1.0〜4.5d (ハ)糸条強度:6.5g/d以上 (ニ)最大熱収縮応力:0.2〜0.5g/d (ホ)150℃で30分間放置後の乾熱収縮率と4.5
g/d時の中間伸度の和:9.7以下。
【0010】なお、上記Vベルト補強用ポリエステル繊
維において、ポリエステル繊維の−COOH末端基量が
10当量/106 g以下であることが望ましい。
【0011】また、本発明のVベルト補強用ポリエステ
ル繊維の製造方法は、次の構成を有する。すなわち、分
子鎖の全繰り返し単位の90モル%以上がエチレンテレ
フタレートである重合体を紡糸口金から溶融紡糸し、紡
糸糸条を加熱域内を通過させた後、冷風により冷却固化
することによりポリエステル繊維を製糸する方法におい
て、口金下加熱域の温度を320〜350℃、長さを6
5〜75cmとし、2700〜3300m/sの紡糸速
度で引き取った未延伸糸の複屈折率を△nPOYとし、次
に80〜100℃の温度領域で1.1〜1.5倍に1段
目延伸、245〜265℃の温度領域で1.2〜1.6
倍に2段目延伸して、総合延伸倍率が1.5〜2.0倍
になるように延伸したときの延伸糸の複屈折率を△nDY
としたときの△nDYと△nPOYとの差(△nDY−△
POY)を100×10-3〜120×10-3の範囲にす
ることを特徴とするVベルト補強用ポリエステル繊維の
製造方法である。
【0012】さらに、本発明のVベルト用コードは、次
の構成を有する。すなわち、上記のVベルト補強用ポリ
エステル繊維の製造方法で得られ、上記の特性を有する
ポリエステル繊維に下撚および上撚を施し、さらに接着
剤を付与して緊張下で熱処理して得られたコードであっ
て、下記特性(ヘ)〜(チ)を満足することを特徴とす
るVベルト補強用コードである。
【0013】(ヘ)強度:5.5g/d以上 (ト)コードの150℃で30分間放置後の乾熱収縮率
とコードの2.67g/d時の中間伸度の和SCとポリ
エステル繊維の150℃で30分間放置後の乾熱収縮率
とポリエステル繊維の4.5g/d時の中間伸度の和S
Fとの比(SC/SF):50〜70% (チ)コードの最大熱収縮応力とポリエステル繊維の最
大熱収縮応力との比:70〜125%。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明のVベルト補強用ポリエス
テル繊維は、分子鎖の全繰り返し単位の90モル%以上
がエチレンテレフタレートである重合体、つまりポリエ
チレンテレフタレートからなり、その固有粘度(イ)を
0.9〜1.05、好ましくは0.92〜1.0の範囲
とするものである。固有粘度が0.9未満であると、産
業資材、特にVベルトにしたときの耐久性が不十分とな
り、一方、1.05を越えると、溶融粘度の著しい上昇
によって加工性が悪化し、タフネスの高い繊維が得られ
なくなる。
【0015】また、このポリエステル繊維を構成する単
繊維繊度(ロ)は、1.0〜4.5d、好ましくは2〜
3.5dの範囲にするものである。単繊維繊度糸が1.
0dより小さくなると、Vベルトの走行においてコード
を構成している単繊維間の耐摩耗性が低下して、ベルト
の屈曲疲労性が低下する原因になる。一方単繊維繊度が
4.5dを越えると、Vベルトの柔軟性が損なわれ、屈
曲疲労性が著しく低下する原因となる。
【0016】本発明のVベルト補強用ポリエステル繊維
の糸条強度(ハ)は、6.5g/d以上、好ましくは
6.6g/d以上とするものである。6.5g/dを下
回ると、Vベルトの強力絶対値が低くなり、ひいてはV
ベルトの寿命低下につながる。
【0017】本発明のVベルト補強用ポリエステル繊維
の最大熱収縮応力(ニ)は、0.2〜0.5g/d、好
ましくは0.25〜0.4g/dの範囲にするものであ
る。最大熱収縮応力(ニ)が0.2g/dよりも小さい
と、ベルトとした時の収縮が小さくなりベルトによるプ
ーリーの締め付け力が低下し、一方、0.5g/dを越
えると逆にプーリーへ締め付け力が大きくなり、ひいて
は発熱量が大きくなりベルトの損傷が大きくなる。
【0018】さらに、本発明のVベルト補強用ポリエス
テル繊維において、寸法安定性の目安である、150℃
で30分間放置後の乾熱収縮率と4.5g/d時の中間
伸度の和(ホ)は、9.7以下、好ましくは9.5以下
とするものである。上記の和(ホ)が9.7を越える
と、Vベルトの応力緩和率が高く、つまりVベルト張力
維持率が小さくなるため、Vベルトの弛みの原因とな
り、Vベルト寿命低下につながる。
【0019】このように、本発明のVベルト補強用ポリ
エステル繊維は、高強度で、かつ寸法安定性にすぐれる
という従来にない効果を具備していることを特徴とす
る。なお、本発明のVベルト補強用ポリエステル繊維
は、−COOH末端基が10当量/106 g以下、さら
には6当量/106 g以下とすることが好ましい。末端
カルボキシル基含有量をこの範囲とすることにより、V
ベルトの加硫工程において水による強力低下を防ぎ、V
ベルトの耐久性(疲労寿命)を向上できる。
【0020】ここで、低カルボキシル(−COOH)末
端基のポリエステル繊維を得る具体的な方法としては、
重合工程において−COOH末端基と反応し、これを封
鎖する化合物を添加する方法(封鎖重合法)がある。こ
の−COOH封鎖剤としては例えば、モノエポキシ化合
物、ジエポキシ化合物、カーボネート化合物、モノカル
ボジイミド化合物およびジカルボジイミド化合物などが
挙げられる。
【0021】上記のすぐれた特性を具備する本発明のV
ベルト補強用ポリエステル繊維は、次に説明する製造方
法により効率的に製造することができる。
【0022】まず、ポリエステルチップをエクストルー
ダ型押出機に供給して溶融チップとなし、続いて紡糸口
金から紡糸する。紡糸された糸条は徐冷域を通った後、
チムニー冷風により冷却固化される。ここにおける冷却
方法は、環状式の冷却方式が好ましい。
【0023】ここで、口金下加熱域の温度は320〜3
50℃、好ましくは325〜345℃の範囲とするもの
である。口金下加熱域の温度が320℃を下回ると、製
糸性が低下して毛羽の多い糸条となるばかりか、強度低
下につながる。また、350℃を越えると、目的とする
寸法安定性が得られない。
【0024】口金下加熱域の長さは65〜75cm、好
ましくは68〜73cmの範囲とするものである。口金
下加熱域の長さが65cmを下回ると、製糸性が悪化し
て強度低下につながり、75cmを越えると、目的とす
る寸法安定性が得られない。
【0025】そして、より安定した品位のポリエステル
繊維を得るために、上記加熱域に続く無加熱域、つまり
保温領域を長さ5〜15cmの範囲で設けることが好ま
しい。
【0026】ため好ましくない。
【0027】溶融紡糸時の引取り速度(紡糸速度)は2
700〜3300m/分、好ましくは2800〜320
0m/分とするものである。2700/分を下回ると、
目的とする糸の寸法安定性が得られず、一方、3300
m/分を越えると、目的とする強力が得られない。
【0028】本発明で目的とする強力および寸法安定性
のバランスがすぐれたポリエステル繊維を得るために
は、上記した口金下の加熱域の条件と紡糸速度条件の組
み合わせが重要な要素である。
【0029】次に、引取られた半延伸糸(未延伸糸)
は、通常、一旦巻きとられることなく延伸される。具体
的には上記半延伸(未延伸糸)糸は引き続いて延伸域に
移送され、1段目延伸で80〜100℃、好ましくは8
5〜95℃の温度で、1.1〜1.5倍、好ましくは
1.1〜1.3倍に延伸される。ここで、1段目延伸の
延伸温度が80℃未満では、毛羽発生の原因になり、1
00℃を越えると、強力低下につながる。また、1段目
延伸倍率が1.1倍未満では強力低下につながり、1.
5倍を越えると、毛羽発生の原因になる。
【0030】次いで、2段目延伸では245〜265
℃、好ましくは250〜260℃の温度で、1.2〜
1.6倍、好ましくは1.3・〜1.5倍に延伸され
る。
【0031】2段目延伸での温度が245℃未満では、
繊維に毛羽が多くなって製糸操業性が著しく低下するば
かりか、強力低下の原因となり、265℃を越えると、
糸切れが多発し、操業性が著しく悪くなる。また、2段
目延伸倍率が1.2倍未満では強力低下をおこし、1.
6倍を越えると毛羽発生の原因になり、原糸の収縮率が
高くなる。
【0032】また、総合延伸倍率を1.5〜2.0倍、
好ましくは1.6〜1.9倍の範囲とするものである。
総合延伸倍率が1.5倍未満では、強力低下につなが
り、2.0倍を越えると延伸性が悪くなり毛羽発生の原
因になる。
【0033】次いで、通常、非加熱ローラに捲回されて
2〜4%程度の弛緩処理が施され、5000〜6500
m/分程度の速度で巻取機によって巻取られる。
【0034】したがって上記した製糸条件の範囲が、製
糸操業性および得られる繊維の強力の点で好ましい。
【0035】そして、上記の紡糸−延伸においては、紡
糸引取り時のポリエステル繊維未延伸糸の複屈折率を△
POYとし、延伸後のポリエステル繊維延伸糸の複屈折
率を△nDYとしたとき、これら複屈折率の差△nDY−△
POY を100×10-3〜120×10-3、好ましくは
105×10-3〜115×10-3の範囲とするものであ
る。
【0036】上記複屈折率の差が100×10-3より小
さいと、得られる繊維の強力が大きく低下し、120×
10-3を越えると、得られる繊維の寸法安定性が悪くな
り、ベルトの張力維持率が低下する傾向となる。
【0037】このような紡糸・延伸条件を採用すること
で、強力低下を最小限に止め、寸法安定性のすぐれたV
ベルト補強用ポリエステル原糸を得ることができる。な
お、上記複屈折率を得るための具体的手段として、固有
粘度、口金下加熱域の温度、紡糸速度、延伸倍率および
弛緩処理のそれぞれの条件を上記した範囲にする必要が
ある。
【0038】すなわち、このようにして製糸されたポリ
エステル延伸糸は、コードの強力利用率にすぐれている
ため、Vベルト用として十分な強力を発揮し、またVベ
ルトとしたときに最も重要な特性であるすぐれた寸法安
定性を発揮する。
【0039】したがって、上記した本発明のVベルト補
強用ポリエステル繊維の製造方法によれば、糸条の品質
を安定させるとともに、強力と寸法安定性をバランスよ
く満足したポリエステル繊維を効率的に得ることができ
る。
【0040】次に、本発明のVベルト用コードについて
説明する。
【0041】本発明のVベルト用コードは、上記の方法
で得られ、かつ前記の特性(イ)〜(ホ)を同時に満足
するポリエステル繊維に下撚および上撚を施し、さらに
接着剤を付与して緊張下で熱処理して得られたコードで
あり、かつコードの強度(ヘ)が5.5g/d以上、好
ましくは5.6g/d以上とするものである。
【0042】ここで、コードの強度(ヘ)が5.5g/
dを下回ると、Vベルトの強力絶対値が低くなり、ひい
てはVベルトの寿命および耐久性の低下につながる。
【0043】また、(ト)コードの150℃で30分間
放置後の乾熱収縮率とコードの2.67g/d時の中間
伸度の和SCとポリエステル繊維の150℃で30分間
放置後の乾熱収縮率とポリエステル繊維の4.5g/d
時の中間伸度の和SFとの比(SC/SF)が50〜70
%、好ましくは55〜65%の範囲にするものである。
ここで、上記比(ト)が50%未満では、Vベルトの応
力緩和率が高く、つまりVベルト張力維持率が小さくな
って、Vベルトの弛みの原因となるばかりか、Vベルト
寿命低下につながる。また、上記の比(ト)が70%を
越えると、Vベルトの張力維持率が高って、ベルトによ
るプーリーの締め付けが大きくなり、ベルトの損傷が大
きくなる。
【0044】さらに、(チ)コードの最大熱収縮応力と
ポリエステル繊維の最大熱収縮応力との比が70〜12
5%、好ましくは80〜120%の範囲にするものであ
る、70%未満では、ベルト走行におけるVベルトの弛
みの原因となり、125%を越えるとVベルトによるプ
ーリへの締め付け力が大きくなり、ひいてはベルト損傷
の原因となる。
【0045】次に、コードの接着剤処理について述べ
る。
【0046】通常、コードは、まずイソシアネート系ま
たはエポキシ系の接着剤で処理され(第1処理)、次い
でRFL(レゾルシン、ホルムアルデヒド、ラテック
ス)で処理(第2処理)されるのが望ましい。
【0047】そして、ゴムとの接着性またはベルトにし
たときのベルト端面のホツレなどを考えると、第1処理
は水系よりも溶剤系で処理した方がより好ましい。ま
た、第2処理でのRFL処理剤のラテックス成分は、V
ベルトのゴムと接着し易いラテックスが選択され、一般
にはVベルトのゴムと同種のラテックスが使用される。
例えばCR系のゴムにはCR系のラテックス、H−NB
R系のゴムにはH−NBR系のラテックスがより好まし
い。
【0048】Vベルトに埋め込まれたコードはベルト走
行において発熱または圧縮、伸長、屈曲などの負荷を受
けて、時間経過に伴ない強力が低下することになるが、
本発明の方法で製糸された糸条は疲労後の強力、つまり
残存強力が優れ、ベルトの寿命が長くなるという好まし
い性能を示すようになる。
【0049】さらに、このようにして得られたコード
は、Vベルトとした場合の屈曲疲労性や耐化学劣化性に
すぐれている。
【0050】したがって、本発明のVベルト用コード
は、寸法安定性、耐疲労性および耐久性がすぐれ、理想
的な性能を備えたVベルトを与えることができる。
【0051】
【実施例】以下に、本発明を実施例により具体的に説明
する。
【0052】なお、実施例における各測定値は、次の方
法にしたがって測定したものである。 [固有粘度(I
V)]オストワルト粘度計を用いて、オルソクロロフェ
ノール100mlに対し、試料3gを溶解した溶液の相
対粘度ηrpを25℃で測定し、次の近似式によりIVを
算出した。 IV=0.0242ηrp+0.2634 ただし、ηrp=(t×d)/(t0 ×d0 ) t :溶液の落下時間(秒) t0 :オルソクロロフェノールの落下時間(秒) d :溶液の密度(g/cc) d0 :オルソクロロフェノールの密度(g/cc)。
【0053】[−COOH末端基の含有量]試料フィラ
メント0.1g/dを秤り、試験管内にてベンジルアル
コール5mlを加え、215℃で3分間加熱して溶解さ
せた。この後20〜30℃の数秒で急冷し、クロロフォ
ルム10ml中に加えた。次に加熱したベンジルアルコ
ール5mlで上記試験管を洗浄し、これを急冷後、上記
クロロフォルムを加えた。このクロロフォルム溶液をフ
ェノールレッドの0.1%アルコール溶液を指示薬とし
て0.1N苛性ソーダベンジルアルコール溶液で滴定
し、−COOH末端基を測定した。
【0054】[強度、伸度、中間伸度]オリエンテック
社製テンシロン引張試験機を用い、糸長25cm、引張
り速度30cm/分で測定を行って得られる強伸度曲線
より求めた。なお、原糸の中間伸度は4.5g/d時、
コードは2.67g/d時の伸度を示す。
【0055】[乾熱収縮率:△Sd ]試料をかせ条に取
り20℃、65RHの温調室に24時間以上放置した
後、試料の0.1g/dに相当する荷重をかけて測定し
た長さL0 の試料を、無張力状態で150℃のオーブン
中に30分放置した後、オーブンから取り出し上記温調
室で4時間放置し、再び上記加重をかけて測定した長さ
L1 から次式により算出した。 △Sd =(L0 −L1 )/L0 ×100(%)。
【0056】[最大熱収縮応力]試長25cmで、20
℃以上150℃未満の時、昇温速度10℃/分、150
℃以上の時、昇温速度3℃/分で収縮応力を求めた。
【0057】[複屈折率]ニコン(株)製POH型偏光
顕微鏡を使いD線を光源として、通常のベレックコンペ
ンセーター法により求めた。なお、未延伸糸の複屈折率
を△nPOY 、延伸糸の複屈折率を△nDYとした。
【0058】[ベルト張力維持率] ベルトに45.9
kgの張力をかけ、100φのプーリーを1.5時間、
70℃の温度で3600rpmで回転させた後、22.
5時間放冷し、ベルトの張力の比より計算した。
【0059】[実施例1〜3,比較例1〜3]固有粘度
が1.23のポリエチレンテレフタレートチップを、エ
クストルーダ型溶融紡糸装置に供給し、吐出口径が0.
6φの紡糸口金を用いて紡糸し、紡出繊維糸条を表1に
示した雰囲気温度および長さの加熱域(加熱筒)を通し
た後、環状の冷却筒により冷却風を30m/分の速さで
吹き付けて冷却しオイリングローラで紡糸油剤を付与し
た後、70℃に加熱制御された引取ローラで表1に示し
た速度で引き取り、得られた未延伸糸条を一旦巻取るこ
となく連続して2段で延伸し、巻取り、延伸繊維糸条を
得た。
【0060】ただし実施例1と2は重合時に−COOH
末端基封鎖剤として2,6−ジイソプロピルフェニルー
カルボジイミドをチップ重量に対して1.8wt%重合
添加した。
【0061】なお、1段目と2段目の延伸倍率、温度、
総合延伸倍率、および△nDY−△nPOY は、表1に示し
た条件とした。
【0062】このようにして得られたポリエステル繊維
の各特性評価結果を表2に示す。
【0063】
【表1】
【表2】 また、上記によって得られた繊度1000d、単繊維数
240本の各ポリエステル繊維を2本引き揃えて下撚り
し、次いで下撚り3本を合撚して総繊度6000デニー
ル(1000d//2/3、上撚9.6t/10cm×
下撚17.0t//10cm)のコードとなし、このコ
ードにイソシアネート溶剤系の接着剤を4%付与後、2
20℃の温度下で約60秒熱処理し、次にRFL(レゾ
ルシン、ホルムアルデヒド、ラテックス)による接着剤
を4%付与した後、220℃の温度下で約60秒熱処理
を行なった。
【0064】この時、コードの中間伸度がいずれもほぼ
一定(2.67g/d時伸度が3%)になるように張力
を与えて芯体コードを作製した。次にこの芯体コードを
用いた標準ベルトA−35(埋め込みコード本数6本)
を製作した。
【0065】このようにして得られたコードおよびVベ
ルトの各種特性評価結果を表3に示す。
【0066】
【表3】 表1〜3の結果から明らかなように、本発明で得られた
実施例1、2のポリエステル繊維は、低収縮性にすぐれ
たものであり、Vベルト性能の目安である張力維持率も
高い値を示しており、さらにVベルト耐久性にもすぐれ
ており、Vベルト用繊維として最適である。
【0067】一方、比較例1は延伸糸の中間伸度(4.
5g/d時伸度)と乾熱収縮率の和が高いため、寸法安
定性が悪くなり、Vベルトの張力維持率も悪くなってい
ることから、Vベルト補強用としては好ましくない。
【0068】また、比較例2は原糸の△nDY−△nPOY
が高く、ベルトの張力維持率が低くなっており、耐久性
も劣っている。
【0069】さらに、比較例3は原糸の最大熱収縮応力
が高く、中間伸度と乾熱収縮率の比が小さくなってお
り、Vベルトの張力維持率および耐久性は本発明の目的
を満たすものではない。
【0070】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のVベルト
補強用ポリエステル繊維は、強度と寸法安定性とのバラ
ンスがすぐれており、Vベルト補強用としての理想的な
性能を有するものである。
【0071】さらに、本発明によれば、毛羽などが少な
く安定した品位のVベルト補強用ポリエステル繊維を効
率的に製造することができる。
【0072】さらに、本発明のVベルト用コードは、寸
法安定性、耐疲労性、耐久性にすぐれており、このコー
ドを使用することによって、耐久性(耐疲労性)と張力
維持性にすぐれ、寸法安定性の良好なVベルトを提供す
ることができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子鎖の全繰り返し単位の90モル%
    以上がエチレンテレフタレートである重合体からなり、
    下記特性(イ)〜(ホ)を満足することを特徴とするV
    ベルト補強用ポリエステル繊維。 (イ)固有粘度(IV):0.90〜1.05 (ロ)単繊維繊度:1.0〜4.5d (ハ)糸条強度:6.5g/d以上 (ニ)最大熱収縮応力:0.2〜0.5g/d (ホ)150℃で30分間放置後の乾熱収縮率と4.5
    g/d時の中間伸度の和:9.7以下
  2. 【請求項2】 ポリエステル繊維の−COOH末端基量
    が10当量/106g以下であることを特徴とする請求
    項1記載のVベルト補強用ポリエステル繊維。
  3. 【請求項3】 分子鎖の全繰り返し単位の90モル%
    以上がエチレンテレフタレートである重合体を紡糸口金
    から溶融紡糸し、紡糸糸条を加熱域内を通過させた後、
    冷風により冷却固化することによりポリエステル繊維を
    製糸する方法において、口金下加熱域の温度を320〜
    350℃、長さを65〜75cmとし、2700〜33
    00m/sの紡糸速度で引き取った未延伸糸の複屈折率
    を△nPOYとし、次に80〜100℃の温度領域で1.
    1〜1.5倍に1段目延伸、245〜265℃の温度領
    域で1.2〜1.6倍に2段目延伸して、総合延伸倍率
    が1.5〜2.0倍になるように延伸したときの延伸糸
    の複屈折率を△nDYとしたときの△nDYと△nPOYとの
    差(△nDY−△nPOY)を100×10-3〜120×1
    -3の範囲にすることを特徴とするVベルト補強用ポリ
    エステル繊維の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の製造方法で得られ、請
    求項1または2に記載の特性を有するポリエステル繊維
    に下撚および上撚を施し、さらに接着剤を付与して緊張
    下で熱処理して得られたコードであって、下記特性
    (ヘ)〜(チ)を満足することを特徴とするVベルト補
    強用コード。 (ヘ)強度:5.5g/d以上 (ト)コードの150℃で30分間放置後の乾熱収縮率
    とコードの2.67g/d時の中間伸度の和SCとポリ
    エステル繊維の150℃で30分間放置後の乾熱収縮率
    とポリエステル繊維の4.5g/d時の中間伸度の和S
    Fとの比(SC/SF):50〜70% (チ)コードの最大熱収縮応力とポリエステル繊維の最
    大熱収縮応力との比:70〜125%。
JP15304998A 1998-06-02 1998-06-02 Vベルト補強用ポリエステル繊維およびその製造方法ならびにvベルト補強用コード Pending JPH11350249A (ja)

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