JPH1134622A - フロントサスペンション装置 - Google Patents

フロントサスペンション装置

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Publication number
JPH1134622A
JPH1134622A JP19556497A JP19556497A JPH1134622A JP H1134622 A JPH1134622 A JP H1134622A JP 19556497 A JP19556497 A JP 19556497A JP 19556497 A JP19556497 A JP 19556497A JP H1134622 A JPH1134622 A JP H1134622A
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JP
Japan
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vehicle
upper link
vehicle body
wheel
link
Prior art date
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Pending
Application number
JP19556497A
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English (en)
Inventor
Yoshihiro Kawabe
喜裕 川辺
Takuya Murakami
拓也 村上
Kenji Kawagoe
健次 川越
Tamiyoshi Kasahara
民良 笠原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ダブルウイッシュボーン形式及びストラット形
式の利点を発揮するフロントサスペンション装置では、
アッパリンクと回動連結部材とを一点支持すると、キャ
ンバ剛性、キャスタ剛性等の剛性が低下し、操縦安定性
が低下するという課題がある。 【解決手段】ナックル1の下端にボールジョイント3を
介して車体側に支持されたロアリンク4の車幅方向外方
端を連結し、上端に回動連結部材5を装着する。回動連
結部材5の車幅方向外側の支持部5eを一本のアッパリ
ンク6を介して車体側に支持し、車幅方向内方側の支持
部5fをショックアブソーバ31を介して車体側取付点
SPに支持する。アッパリンク6の車体側取付点となる
弾性体ブッシュ23の位置を回動連結部材側取付点とな
る弾性ブッシュ17の位置より車両前方側に設定するこ
とより、旋回時にネガティブキャンバを増加させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車のフロント
サスペンション装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のフロントサスペンション装置とし
ては例えば特開平5−178041号公報に記載されて
いるものがある。
【0003】この従来例には、車輪を回転自在に支持す
るナックル部材の下端を、2本のロアリンクを介して車
体に上下揺動可能に連結し、ナックル部材の上端に連結
部材を上下軸廻りにのみ回転可能に枢着すると共に、こ
の連結部材をダンパー装置の下端に上下揺動のみ可能と
なるように枢着し、且つ一端(車体内側端)が軸線が車
体前後方向に延びるラバーブッシュを介して車体に枢着
されたアッパリンクの他端をダンパー装置の下端及び連
結部材に上下揺動可能に連結し、さらに、連結部材の軸
線を仮想キングピン軸の車両内側となるように配置した
構成を有し、ストラット式及びダブルウィッシュボーン
式の利点を併せ持つフロントサスペンション装置が記載
されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来のフロントサスペンション装置にあっては、アッパ
リンクの車体側取付点が車輪支持部材と同じ前後位置又
は車両後方に位置しているため、次のような問題点が発
生することが判明した。
【0005】すなわち、車両旋回時には、転舵した前輪
に対する斜め前方からの入力に対して、車輪のキャンバ
角を保持するための剛性、つまり転舵時のキャンバ剛性
を高くすることが、操縦安定性を向上させるために重要
であるが、上記従来例では操縦安定性の向上ために特に
重要である旋回外輪側の転舵時キャンバ剛性を高くする
ことが困難であるという問題点があることが判明した。
【0006】そこで、本発明は、上記従来例の問題点に
着目してなされたものであり、アッパリンクの車体側取
付点を車輪側取付点よりも車両前方側に配置することに
より、転舵時のキャンバ剛性を高く保つことで操縦安定
性の低下を防止することができるフロントサスペンショ
ンを提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に係る発明は、車輪を回転可能に支持する
車輪支持部材と、少なくとも上下で対をなすアッパリン
ク及びロアリンクとにより構成され、前記ロアリンクは
一端を前記車輪支持部材の下部に回転可能に支持され、
他端を車体側部材に上下揺動自在に支持され、前記アッ
パリンクは一端を前記車体側部材に、他端を前記車輪支
持部材に共に揺動可能に支持されたフロントサスペンシ
ョンにおいて、前記アッパリンクの車体側取付点が前記
車輪支持部材側取付点よりも車両前方側に選定されてい
ることを特徴としている。
【0008】この請求項1に係る発明においては、アッ
パリンクの車体側取付点が車輪側取付点よりも車両前方
側に配置することで、転舵時のキャンバ剛性を高く保つ
ことができ、操縦安定性の低下を防止することができ
る。
【0009】また、請求項2に係る発明は、車輪を回転
可能に支持する車輪支持部材と、一端を前記車輪支持部
材の下部に回転可能に取付け、他端を車体側部材に上下
揺動可能に支持されたロアリンクと、前記車輪支持部材
の上部に上下方向の軸線回りに回転可能に配設された連
結部材と、上端を前記車体側部材に揺動可能に支持し、
下部を前記連結部材に取付けたショックアブソーバと、
一端を車体側部材に、他端を前記連結部材に揺動可能に
支持されたアッパリンクと、操舵に伴い車両左右方向に
移動して前記車輪支持部材を回動させるタイロッドとを
備えたフロントサスペンション装置において、前記アッ
パリンクの車体側取付点が前記車輪支持部材側取付点よ
りも車両前方側に選定されていることを特徴としてい
る。
【0010】この請求項2に係る発明においても、請求
項1と同様に転舵時のキャンバ剛性を高く保つことがで
き、操縦安定性の低下を防止することができる。さら
に、請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明におい
て、前記連結部材と車輪支持部材との取付部における回
転軸線が、アッパリンクの車体側及び連結部材側の取付
点を結ぶ軸線と交点を持つと同時に、車両前方から見
て、ショックアブソーバと車体との取付点の近傍を通る
ように選定されていることを特徴としている。
【0011】この請求項3に係る発明においては、車輪
支持部材から連結部材に入力される前後方向の入力をト
ルクとしてショックアブソーバに伝達するが、このとき
回転トルクの発生を防止してショックアブソーバの車体
側取付点に対して前後方向の力としてのみ作用させる。
【0012】さらにまた、請求項4に係る発明は、請求
項1乃至3の何れかに係る発明において、前記アッパリ
ンクと連結部材との取付部に弾性体ブッシュを介挿した
ことを特徴としている。
【0013】この請求項4に係る発明においては、弾性
体ブッシュによって製造公差等で、アッパリンク軸線と
連結部材の回転軸線との交点がずれた場合でも、その軸
間距離に応じたモーメントを弾性体ブッシュのこじり剛
性によって受けることができる。
【0014】なおさらに、請求項5に係る発明は、請求
項2又は3に係る発明において、前記アッパリンクと連
結部材との間に介挿した弾性体ブッシュ及びアッパリン
クと車体側部材の取付部との間に介挿した弾性体ブッシ
ュの何れか一方の軸線が、当該アッパリンクの車体側及
び連結部材側の取付点を結んだ軸線と略直角となるよう
に選定されていることを特徴としている。
【0015】この請求項5に係る発明においては、アッ
パリンクに軸力が作用した際の弾性体ブッシュの変位量
を小さくすることができる。また、請求項6に係る発明
は、請求項1乃至5の何れかに係る発明において、前記
ロアリンクは、一端を車輪支持部材の下部に、他端を車
輪側部材に夫々揺動可能に支持された2本のリンクで構
成されていることを特徴としている。
【0016】この請求項6に係る発明においては、転舵
時のキングピンを仮想キングピンとすることができる。
【0017】
【発明の効果】請求項1に係る発明によれば、アッパリ
ンクの車体側取付点を車輪側取付点よりも車両前方位置
に配置することにより、転舵時のキャンバ剛性を高く保
つことができ、操縦安定性の低下を防止することができ
るという効果が得られる。
【0018】また、請求項2に係る発明によれば、前提
要件に連結部材、ショックアブソーバ及びタイロッドが
付加されているだけであり、請求項1と同様にアッパリ
ンクの車体側取付点を車輪側取付点よりも車両前方位置
に配置しているので、上記請求項1と同様の効果が得ら
れる。
【0019】さらに、請求項3に係る発明によれば、連
結部材及び車輪支持部材の取付部における回転軸線がア
ッパリンクの軸線と交差し、且つ車両前方から見てショ
ックアブソーバと車体の取付点を通るように配置されて
いるので、キャンバ剛性、横剛性及びキャスタ剛性を高
く保つことができ、操縦安定性の低下を確実に防止する
ことができるという効果が得られる。
【0020】さらにまた、請求項4に係る発明によれ
ば、製造公差等により、連結部材及び車輪支持部材の取
付部における回転軸線が、アッパリンク軸線に対して僅
かにずれている場合や車両前方からみてショックアブソ
ーバと車体との取付点を僅かにそれて近傍領域内を通る
場合にも、その軸間距離に応じたモーメントを弾性体ブ
ッシュのこじり剛性により受けることができるという効
果が得られる。
【0021】なおさらに、請求項5に係る発明によれ
ば、アッパリンクと連結部材又は車体側部材との取付部
における弾性体ブッシュの軸線がアッパリンクの取付点
を結んだ軸線に対して直角に配置されているので、リン
クに軸力が働いた際のブッシュの変位量を小さくし、キ
ャンバ剛性、横剛性をさらに高くすることができるとい
う効果が得られる。
【0022】さらにまた、請求項6に係る発明によれ
ば、ロアリンクが、一端を車輪支持部材の下部に、他端
を車輪側部材に夫々揺動可能に支持された2本のリンク
で構成されているので、転舵時のキングピンをロアリン
クでも仮想キングピンを形成することができ、ブレーキ
ロータ等の他部品との干渉にかかわらず、キングピンを
最適な位置に設定することができるという効果が得られ
る。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態を示
す概略構成を示す斜視図であり、図中、1は前輪2を回
転自在に支持する車輪支持部材としてのナックルであっ
て、中央部に前輪2の車軸を挿通支持する円筒部1aが
形成されていると共に、下端部1bにボールジョイント
3を介してロアリンク4が連結され、上端部1cに回動
連結部材5を介してアッパリンク6及びストラット7が
連結され、中央部後方側に突出延長する支持部1dに図
示しないステアリング装置に接続されたタイロッド8が
連結されている。
【0024】一方、ナックル1の車幅方向内方側に前後
方向に延長するサイドメンバ9が配設され、このサイド
メンバ9の下面に車幅方向に延長するサスペンションメ
ンバ10が弾性体ブッシュ11及び12を介して取付け
られている。
【0025】ここで、サスペンションメンバ10は、車
幅方向外端側が二股状に分岐され、その前下方に分岐し
た分岐部13の外端部が図2に示すように上方に湾曲延
長され、その端部に弾性体ブッシュ11が取付けられて
いると共に、その内側の上面にアッパリンク6を支持す
る支持部14が形成され、さらに分岐部13における支
持部14の内側で且つ下面側にロアリンク4を支持する
支持部15が形成され、他方の分岐部16の外方端に弾
性体ブッシュ12が取付けられている。
【0026】ロアリンク4は、車幅方向に延長して配設
され、その外方端がボールジョイント3を介してナック
ル1の下端部1bに、内方端が二股に分岐されて夫々の
端部が弾性体ブッシュ4a,4bを介してサスペンショ
ンメンバ10の支持部15に連結され、平面からみてA
字状に形成されている。したがって、このロアリンク4
では、ナックル1の上下方向の移動即ちバウンド及びリ
バウンドは許容するが、ナックル1の前後方向の移動に
対してはこれを阻止することになる。
【0027】回動連結部材5は、図2及び図3に示すよ
うに、ナックル1の上端部1cに下端のボールジョイン
ト3の中心を通り且つ後述するショックアブソーバ31
のピストンロッド31a上端の車体側取付点SPを通る
回転軸線(キングピン軸)L K に軸線を一致させるよう
にして設けられた段付支持軸5aにベアリング5b,5
cで回動自在に支持された軸筒5dを有する。この軸筒
5dには、図4に示すように、その車幅方向外方側にア
ッパリンク6を支持する後述するアッパリンク6の軸線
U に対して直角な略水平方向に延長した円筒支持部5
eが形成され、且つ車幅方向内方側にストラット7を支
持する略前後方向に延長した円筒支持部5fが形成さ
れ、円筒支持部5eにはアッパリンク6を支持する弾性
体ブッシュ17が介挿され、円筒支持部5fには回動の
みが許容されるストラット7を支持する回動支持軸18
が両端を前後に突出させて介挿されている。
【0028】アッパリンク6は、図2及び図4を参照し
て明らかなように、一本のI型リンクで構成され、一端
が車体側部材としてのサスペンションメンバー10に形
成された支持部14に連結され、他端がその車幅方向外
側端に図4に示すように前記回動連結部材5の弾性体ブ
ッシュ17に挿通される回動軸21が取付けられている
と共に、この回動軸21の回りに弾性体ブッシュ17に
内嵌する円筒状のカラー22が装着され、車幅方向内側
端にも、サスペンションメンバ10の支持部14に嵌挿
された弾性体ブッシュ23に挿通される回動軸24が取
付けられていると共に、この回動軸24の回りに弾性体
ブッシュ23に内嵌する円筒状のカラー25が装着され
ている。
【0029】ここで、アッパリンク6は、図1、図2及
び図4に示すように、その弾性体ブッシュ17及びの軸
方向中心位置即ちブッシュに回転トルクを与えたときに
動かない車体側取付点及び車輪側取付点となる揺動中心
点O1 及びO2 を考えたとき、揺動中心点O1 に対して
揺動中心点O2 が車体前方側位置となるように設定さ
れ、且つ揺動中心点O1 及びO2 間を結ぶ軸線LU が前
記連結部材5の回転軸線LK と交点CPを形成して交差
するように配置されている。
【0030】また、アッパリンク6は、図1及び図4に
示すように、上記軸線LU に対して前方に所定距離オフ
セットされることにより、回動連結部材5の前方側を通
ると共に、図2に示すように後述するストラット7の取
付ブラケット33の円筒支持部39の下側を通り、さら
にサイドメンバ9の下側を通り且つ車体側取付点が車輪
側取付点より前方側となるように車幅方向に対して斜め
に延長して配置されており、その回動連結部材5側の連
結部がホイールの内側に挿入されることにより、リンク
長を長くすることが可能となっている。
【0031】ストラット7は、ショックアブソーバ31
とその回りに配設されたスプリング32とで構成され、
ショックアブソーバ31のシリンダチューブ31aの下
端に取付ブラケット33が取付けられていると共に、シ
リンダチューブ31aから上方に突出するピストンロッ
ド31bの上端がマウントラバー34及び取付板35を
介して車体側部材(図示せず)に取付けられている。
【0032】この取付ブラケット33は、図4及び図5
に示すように、ショックアブソーバ31の下端に装着さ
れる円筒状取付部36と、この円筒状取付部36の前後
位置から車幅方向外方に湾曲延長するアーム部37,3
8と、これらアーム部37,38の先端に形成された円
筒支持部39,40に嵌挿された弾性体ブッシュ41,
42と、これら弾性体ブッシュ41,42に内嵌された
カラー43,44とで構成されている。
【0033】そして、取付ブラケット33をショックア
ブソーバ31の下端に装着した状態で、その弾性体ブッ
シュ41,42の中心開口と回動連結部材5の円筒支持
部5fの中心開口とを一致させた状態で、これら中心開
口内に回転支持軸18を挿通することにより、取付ブラ
ケット33が回動連結部材5に略前後方向の軸回りにの
み回転可能に取付けられている。
【0034】次に、上記実施形態の動作を説明する。上
記構成を有するサスペンションは、車両の前方向から見
ると、図2に示すように、ロアリンク4とアッパリンク
6とでダブルウィッシュボーン形式の構成を有し、車幅
方向から見るとストラット形式の構成を有するので、両
形式の長所を併せ持ち、短所を解消することができる。
【0035】すなわち、ホイールストロークに伴う前輪
2及びナックル1の動きは、前面から見た場合は、ロア
リンク4とアッパリンク6とで規制されて、ダブルウィ
ッシュボーン形式と同じものとなり、横方向から見た場
合はロアリンク4とショックアブソーバ33とによって
規制されて、ストラット形式と同じものとなる。
【0036】前輪2への入力に対しても同様で、前後方
向の入力に対してはロアリンク4とストラット7とでそ
の入力を受けるストラット形式と同じになり、横方向へ
の入力に対してはロアリンク4とアッパリンク6とで入
力を受けるダブルウィッシュボーン形式と同じになる。
【0037】車両旋回時には、転舵した車輪に横力が入
力され、すなわち車両の斜め方向からの入力があり、操
縦安定性を良好に保つためには特に旋回外輪における斜
め方向からの入力に対する転舵した車輪のキャンバ剛性
を高く保つことが重要である。
【0038】そこで、本実施形態のサスペンションにお
いては、前述したように車両横方向からの入力に対して
はロアリンク4とアッパリンク6で反力を発生し、車両
前後方向からの入力に対してはストラット7及びロアリ
ンク6で反力を発生し、サスペンション剛性を保つ構成
となっている。
【0039】ここで、図6に示すように、車両斜め方向
からの入力Fを車両横方向の入力FSと車両前後方向の
入力FAとに分けて考えると、車両横方向からの入力F
Sについては、ロアリンク4及びアッパリンク6に働く
入力は図7に示すように夫々FU及びFLとなり、互い
に逆方向の力となる。
【0040】アッパリンク6は、車体側及び連結部材5
側の両側の取付点が共に一点で支持されているため、そ
の軸方向にしか力を発生せず、したがって車両横方向の
力FUを発生するためにアッパリンク6で発生させる軸
力は図8に示すようにFU1となる。このため、前後方
向の分力FU2を発生することになり、この分力FU2
が車輪支持部材としてのナックル1に入力されることに
なる。
【0041】これに対して、ナックル1の変位を抑える
ためにロアリンク4とナックル1との取付点となるボー
ルジョイント3には車両後方から前方へ向かう力FL1
が入力される。このため、ロアリンク4は入力FL1に
より車体側取付点となる弾性体ブッシュ4a,4bのう
ち後方側の弾性体ブッシュ4bが図9で破線図示のよう
に符号4b′で示すように車幅方向外側に変位し、ナッ
クル1との取付点となるボールジョイント3は符号3′
で示すように車両前方側に移動する。
【0042】このとき、転舵した車輪を前方の図9にお
ける矢示Tで表される方向から見たとき、図10に示す
ようにロアリンク4とナックル1の取付点となるボール
ジョイント3の中心点は符号3′で示すように前輪2の
外方向に移動することとなって、ネガティブキャンバが
増す方向になり、車両の旋回性能、操縦安定性が向上す
ることになる。
【0043】また、回動連結部材5とナックル1の取付
軸LK がストラット7と車体との取付点SPを通ると共
に、アッパリンク6の軸線LU と交わるように配置され
ていることにより、車輪2への入力時に回動連結部材5
の回転を防止し、サスペンション剛性が低下することを
防いでいる。
【0044】すなわち、アッパリンク6は、車体側及び
回動連結部材5側で夫々一点で取付けられたI型リンク
であり、且つ弾性体ブッシュ17及び23の揺動中心を
結ぶリンク軸線LU がキングピン軸LK と交点Pをもっ
て交差しているので、弾性体ブッシュ17及び23の捩
じれ、こじれによる微小な力を除くと、リンク軸線L U
上に圧縮又は引っ張りの軸力が働くのみであり、回動連
結部材5の回転軸線L K 回りに回動連結部材5を回動さ
せる回転モーメントは発生せず、リンク軸線L U が車幅
方向に対して傾斜していることによる前後方向の力FY
のみが回動連結部材5に作用する。この前後方向の力F
Y は、前輪2に前後力が働いた際と同様に回動連結部材
に前後軸回りに回転可能に支持されたストラット7によ
って受けられる。この結果、アッパリンク6と回動連結
部材5との連結点を一点としてもキャンバ剛性、横剛性
の低下を生じることは全くない。
【0045】一方、制動時や前輪駆動車のエンジンブレ
ーキ、路面の不整などにより、前輪2に路面から前後方
向の入力があったときには、図11に示すように、車輪
支持部材即ちナックル1は、路面からの前後方向入力を
下部側ではボールジョイント3を介してロアリンク4
に、上部側では回動連結部材5に伝達する。
【0046】このとき、ロアリンク4は、車体側が略車
両前後方向の2点で支持されているために、前後方向の
力に対して反力FL を発生する。一方、回動連結部材5
には、アッパリンク6とショックアブソーバ31とが取
付けられているが、アッパリンク6は、回動連結部材5
側及び車体側が共に弾性体ブッシュ17及び23の各1
点で連結されているため、車輪支持部材即ちナックル1
から回動連結部材5に入力された前後方向の入力FU
対して、弾性体ブッシュ17及び23のこじれ剛性など
僅かな反力しか発生することはない。
【0047】ここで、ショックアブソーバ31は図4に
示すように回動連結部材5と略前後方向の軸18の回り
に回転可能に支持されているため、回動連結部材5は、
ナックル1から入力された前後方向の入力FU をトルク
S としてショックアブソーバ31に伝達する。
【0048】そして、ショックアブソーバ31と回動連
結部材5とは、回動連結部材5とナックル1の取付軸5
a即ち回転軸線LK の回りに回転可能であり、回動連結
部材5からの入力FU はこの回転軸線LK に対して略車
両前後方向に作用する。
【0049】ここで、回転軸線LK は、図2に示すよう
に、車両前方からみてショックアブソーバ31と車体側
部材との取付点SPを通っているので、回転トルクが発
生することなく、回動連結部材5からの入力FU はショ
ックアブソーバ31を介して車体取付点SPに対して前
後方向の力FS としてのみ働くことになる。
【0050】これにより、ナックル1の上部はショック
アブソーバ31と車体の連結部のマウントラバー34な
どが撓むことで発生する反力FS により支持され、回動
連結部材5とショックアブソーバ31とが回転すること
によるキャンバ剛性等の剛性低下が起こることを確実に
防止することができる。
【0051】因みに、回動連結部材5の回転軸線L
K が、図12及び図13に示すように、車両前方より見
てショックアブソーバ31の車体側部材との取付点SP
を通らない場合には、回動連結部材5への車両前後方向
の入力FU は、ショックアブソーバ31と車体側部材と
の取付点SPと回動連結部材5の回転軸線LK との車両
前方より見たオフセット量xに応じて回動連結部材5と
ショックアブソーバ31とを回転させるトルクTX とし
て働くことになり、この回転トルクTX に対してアッパ
リンク6の弾性体ブッシュ17のこじれ剛性など僅かな
反力した発生しないため、回動連結部材5とショックア
ブソーバ31とが回転して、ナックル1の上部が移動す
ることとなり、キャスタ剛性などの剛性が低下すること
になるが、上記実施形態ではこの点を解決することがで
きる。
【0052】このように、上記実施形態によると、車両
前方から見た回動連結部材5の回転軸線LK がショック
アブソーバ31の車体側取付点SPを通るように配置し
たため、車輪1に入力される前後方向の入力によって、
剛性が低下することを防止することができるので、操縦
安定性の低下を招くことなく、アッパリンク6と回動連
結部材5との取付を一点支持とすることができ、重量を
軽減することができると共に、製造コストを低減させる
ことができる。
【0053】ここで、アッパリンク6は、その車幅方向
外方端が回動連結部材5の車幅方向外側の円筒支持部5
eに連結されているので、アッパリンク6の長さを長く
とることができ、ブッシュの耐久性向上やキャンバ変化
の直線化などを図ることができる。
【0054】また、アッパリンク6を回動連結部材5に
取付ける円筒支持部5eがリンク軸線LU に直交して配
設されているので、アッパリンクに軸力が作用した際の
弾性体ブッシュ17の変位量を小さくし、キャンバ剛性
及び横剛性のバランスをより好適に維持することができ
る。
【0055】さらに、前輪2にバウンド・リバウンド力
が入力されてナックル1に上下方向の入力が作用したと
きには、アッパリンク6とサイドメンバ9とが干渉しな
い範囲では、ストラット7からの反力により釣合いを保
つ。このときに、キングピン軸LK とストラット7とが
オフセットしていることによる回転トルクは、回動連結
部材5とナックル1とが略上下方向の支持軸5a回りに
連結されていることにより釣り合うと共に、回動連結部
材5をキングピン軸LK 回りに回転させる微小な回転ト
ルクに対しては上述したようにアッパリンク6の反力に
よって釣合いを保つ。
【0056】さらにまた、回動連結部材5の回転軸線L
K を、ロアリンク4とナックル1とを連結するボールジ
ョイント3を通るように設定したので、キングピン軸と
一致させることができ、転舵時にナックル1が回動連結
部材5の取付軸5aとボールジョイント3の中心を回転
軸として、ロアリンク、アッパリンク及びストラットに
変位を起こし、ブッシュ等に余分な入力や変位を起こさ
せることを防止することができる。
【0057】なお、上記実施形態においては、回動連結
部材5の回転軸線LK をアッパリンク6の軸線LU に対
して交点CPを生じ、且つショックアブソーバ31の車
体側取付点SPを通るように設定した場合について説明
したが、これらに限定されるものではなく、製造交差等
でアッパリンク軸線LU と回動連結部材5の回転軸線L
K とが多少ずれて交点を生じない状態で交差する場合や
回動連結部材5の回転軸線LK が平面から見てショック
アブソーバと車体側部材との取付点SPを中心としてブ
ッシュ剛性やナックル1の剛性を考慮した例えば半径3
0〜40mm程度の円形の近傍領域内を通る場合でも、
アッパリンク6と回動連結部材5の支持部5eとの間に
弾性体ブッシュ17を介挿することにより、その軸間距
離に応じ生じるモーメントを弾性体ブッシュ17のこじ
り剛性によって受けることができ、キャンバ剛性や横剛
性が多少下がるものの上記実施形態と同様の作用効果を
得ることができる。このとき、弾性体ブッシュ17はそ
の軸線がアッパリンク軸線LU と直交するように配設さ
れているので、アッパリンク6に軸力が作用した際の弾
性体ブッシュ17の変位量を小さくし、キャンバ剛性及
び横剛性のバランスをより好適に維持することができ、
この場合も弾性体ブッシュ17の軸線とアッパリンク軸
線LU とは厳密に直交させる必要はなく、略直交する場
合も含むものである。
【0058】また、上記実施形態においては、回動連結
部材5の回転軸線LK がロアリンク4とナックル1との
連結点となるボールジョイント3の中心を通る場合につ
いて説明したが、これに限定されるものではなく、上記
と同様にボールジョイント3の中心を含む近傍領域内を
通るようにすればよいものである。
【0059】さらに、上記実施形態においては、アッパ
リンク6をストラット7の支持部39の下側を通過させ
る場合について説明したが、これに限定されるものでは
なく、支持部39の上方を通過させるようにしてもよ
い。
【0060】さらにまた、上記実施形態においては、ア
ッパリンク6を軸線LU より車体前方側にオフセットし
た位置に配設した場合について説明したが、これに限定
されるものではなく、車体後方側にオフセットした位置
に配設するようにしてもよい。
【0061】なおさらに、上記実施形態においては、ア
ッパリンク6の回動連結部材5及びサスペンションメン
バ10に対する連結を弾性体ブッシュ17及び23を介
して行う場合について説明したが、これに限らず弾性体
ブッシュ17及び23に代えてボールジョイントを適用
するようにしてもよく、この場合にはボールジョイント
のボールの中心が揺動中心となり、アッパリンク6の内
外端の取付け部の揺動中心を結ぶ線がリンク軸線LU
なる。
【0062】また、上記実施形態においては、ロアリン
ク4を略A型に構成した場合について説明したが、これ
に限定されるものではなく、図13に示すように、ナッ
クル1の下端に2本のI型ロアリンク4A,4Bを夫々
ボールジョイント3A,3Bを介して連結し、これらの
他端を車体側部材に支持するようにしてもよく、この場
合には転舵時のキングピン軸は、各ロアリンク4A,4
Bの車体側取付点4a,4b及びナックル側取付点(ボ
ールジョイント3A,3Bの中心点)と、ショックアブ
ソーバ31の車体側取付点SPを含む2つの平面PS1
及びPS2の交わる線となり、ロアリンク4A,4Bの
高さではボールジョイント3A,3Bを通らない、仮想
のキングピン軸LK ′とすることができ、ブレーキロー
タ等の他部品との干渉にかかわらず、キングピン軸を最
適な位置に設定できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るフロントサスペンション装置の実
施形態を示す斜視図である。
【図2】図1の車体前方より見た概略的な正面図であ
る。
【図3】図1に適用し得る回動連結部材の一例を示す断
面図である。
【図4】アッパリンクと回動連結部材及びサスペンショ
ンメンバとの接続関係を示す平面図である。
【図5】ショックアブソーバの取付ブラケットの一例を
示す斜視図である。
【図6】車輪に路面から横方向入力があったときの動作
を説明するための模式的な平面図である。
【図7】車輪に路面から横方向に入力があったときの動
作を説明するための模式的な正面図である。
【図8】車輪に路面から横方向入力があったときのアッ
パリンクの動作を説明するための模式的な平面図であ
る。
【図9】図8の力関係によるロアリンクの動きを示す模
式的な平面図である。
【図10】図9の矢示Tからみた模式的な正面図であ
る。
【図11】車輪に路面から前後方向入力があったときの
動作を説明するための側面図である。
【図12】回動連結部材の回転軸線がショックアブソー
バの車体側取付点を通らない場合の動作を説明するため
の概略正面図である。
【図13】図12を回動連結部材の回転軸線に沿って見
たときの平面図である。
【図14】本発明のロアリンクを2本とした場合の他の
実施形態を示す図1と同様の斜視図である。
【符号の説明】
1 ナックル 2 前輪 3 ボールジョイント 4 ロアリンク 4a,4b 弾性体ブッシュ 5 回動連結部材 5e 支持部 6 アッパリンク 7 ストラット 8 タイロッド 10 サスペンションメンバ 14 支持部 17 弾性体ブッシュ(車輪部材側) 21 回転軸 23 弾性体ブッシュ(車体部材側) 24 回転軸 31 ショックアブソーバ 32 スプリング SP ショックアブソーバの車体側取付点 LU リンク軸線 LK 回転軸線 CP リンク軸線と回転軸線との交点 3A,3B ボールジョイント 4A,4B ロアリンク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 笠原 民良 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車輪を回転可能に支持する車輪支持部材
    と、少なくとも上下で対をなすアッパリンク及びロアリ
    ンクとにより構成され、前記ロアリンクは一端を前記車
    輪支持部材の下部に回転可能に支持され、他端を車体側
    部材に上下揺動自在に支持され、前記アッパリンクは一
    端を前記車体側部材に、他端を前記車輪支持部材に共に
    揺動可能に支持されたフロントサスペンションにおい
    て、前記アッパリンクの車体側取付点が前記車輪支持部
    材側取付点よりも車両前方側に選定されていることを特
    徴とするフロントサスペンション装置。
  2. 【請求項2】 車輪を回転可能に支持する車輪支持部材
    と、一端を前記車輪支持部材の下部に回転可能に取付
    け、他端を車体側部材に上下揺動可能に支持されたロア
    リンクと、前記車輪支持部材の上部に上下方向の軸線回
    りに回転可能に配設された連結部材と、上端を前記車体
    側部材に揺動可能に支持し、下部を前記連結部材に取付
    けたショックアブソーバと、一端を車体側部材に、他端
    を前記連結部材に揺動可能に支持されたアッパリンク
    と、操舵に伴い車両左右方向に移動して前記車輪支持部
    材を回動させるタイロッドとを備えたフロントサスペン
    ション装置において、前記アッパリンクの車体側取付点
    が前記車輪支持部材側取付点よりも車両前方側に選定さ
    れていることを特徴とするフロントサスペンション装
    置。
  3. 【請求項3】 前記連結部材と車輪支持部材との取付部
    における回転軸線が、アッパリンクの車体側及び連結部
    材側の取付点を結ぶ軸線と交点を持つと同時に、車両前
    方から見て、ショックアブソーバと車体との取付点の近
    傍を通るように選定されていることを特徴とする請求項
    2記載のフロントサスペンション装置。
  4. 【請求項4】 前記アッパリンクと連結部材との取付部
    に弾性体ブッシュを介挿したことを特徴とする請求項1
    乃至3の何れかに記載のフロントサスペンション装置。
  5. 【請求項5】 前記アッパリンクと連結部材との間に介
    挿した弾性体ブッシュ及びアッパリンクと車体側部材の
    取付部との間に介挿した弾性体ブッシュの何れか一方の
    軸線が、当該アッパリンクの車体側及び連結部材側の取
    付点を結んだ軸線と略直角となるように選定されている
    ことを特徴とする請求項2又は3に記載のフロントサス
    ペンション装置。
  6. 【請求項6】 前記ロアリンクは、一端を車輪支持部材
    の下部に、他端を車輪側部材に夫々揺動可能に支持され
    た2本のリンクで構成されていることを特徴とする請求
    項1乃至5の何れかに記載のフロントサスペンション装
    置。
JP19556497A 1997-07-22 1997-07-22 フロントサスペンション装置 Pending JPH1134622A (ja)

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