JPH11329849A - 電流制御可変インダクタンス素子 - Google Patents

電流制御可変インダクタンス素子

Info

Publication number
JPH11329849A
JPH11329849A JP18330098A JP18330098A JPH11329849A JP H11329849 A JPH11329849 A JP H11329849A JP 18330098 A JP18330098 A JP 18330098A JP 18330098 A JP18330098 A JP 18330098A JP H11329849 A JPH11329849 A JP H11329849A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coil
core
magnetic flux
main coil
self
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP18330098A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshio Fujino
好夫 藤野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Individual
Original Assignee
Individual
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Individual filed Critical Individual
Priority to JP18330098A priority Critical patent/JPH11329849A/ja
Publication of JPH11329849A publication Critical patent/JPH11329849A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Coils Or Transformers For Communication (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】自己インダクタンスLを連続的に遠隔制御出来
るようにする。 【解決手段】直流励磁コイルNdcの巻線をコア−Tの
外径部分の外側沿面に添って巻回させ、交流磁束Φac
と直流励磁コイルNdcとの鎖交数を0にすることがで
き、その結果交流磁束Φacによる起電力は誘起され
ず、端子J,Jからの出力はなく回路のQを低下さ
せない利点がある。一方直流励磁コイルNdcによる磁
束ΦdcはS極、N極に分極して現れ、これが交流磁束
Φacと重畳され端子J,J間の自己インダクタン
スLは直流電流Iの大きさにより変化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、一般の電気回路、特に
高周波回路において広く使用されるコイルの自己インダ
クタンスLの調整方法に関するものであり、コイルのQ
を低下させずに、その自己インダクタンスLを広範囲か
つ、無段階に純電子的に遠隔制御出来るという本発明の
特性を利用して、電子工業における新規応用分野を開拓
せんとするものである。
【0002】
【従来の技術】従来、単独素子として成るコイルの自己
インダクタンスLの大きさを調整するには、コイルにタ
ップを設け見掛上の巻数を変えたり、或いは空心ソレノ
イドコイルの軸上中心部に棒状フェライトコアーを挿入
し、ネジ等の機械要素を用いてその位置を変える等の方
式が主に使用されてきた。これ等は何れも半固定式であ
って、自己インダクタンスLの遠隔制御は出来ない構造
である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一般に、コイルはコン
デンサーと組み合わせて共振回路、発振回路、フィルタ
ー回路、インピーダンス整合回路及び位相回路などに使
用されることが多い。最近の半導体技術の進歩により、
電圧制御によって、コンデンサーの静電容量を連続的に
遠隔調整できる素子(例えばバリキャップ等)が商品化
されており、ラジオの同調回路等で利用されている。た
だし、これは電力的には極めて微小なものであるからそ
の使用分野が限定されることはやむを得ない。これは固
定自己インダクタンスと可変コンデンサーとの組み合わ
せに起因するもので、これと逆に発想すれば、固定コン
デンサーと可変自己インダクタンスの組み合わせによれ
ば、静電容量、耐電圧、コイルの大きさ、使用周波数等
に特別の制限はないから、桁違いの電力を処理できるよ
うになることは容易に考えられる。本発明はこの様な目
的のために成されたものであって、その解決すべき課題
は、コイルの自己インダクタンスを連続的に、広範囲
に、コイルのQを低下させずに、直流電流変化によって
遠隔制御させる点にある。以下図面を用いてこれ等技術
の詳細に関し説明する。現代の電気磁気学理論によれ
ば、1つの回路の自己インダクタンスとは、その回路に
単位電流が流れた時、その作る磁束と電流との鎖交数で
あると定義されている。(電気学会編電気磁気学)例え
ば、図1において、コアーTとコイルNacのみの組み合
わせ回路があるとすれば、端子J1いはJ2からコイル
Nacに流れ込む交流電流で生じる交流磁束Φacが、コイ
ルNacと鎖交しているため、その結果として端子J1、
J2間に自己インダクタンスLが現れることになるわけ
である。しかし、この様な単純な組み合わせでは自己イ
ンダクタンスLを可変する手段を持たないのでLは一定
のままである。ここで,本発明の要点である自己インダ
クタンスLの可変方法について理論的に考察してみよ
う。前述の自己インダクタンスLの定義を引用すれば、
実際上、コイルNacの巻数は一定であるから、鎖交数の
大小によって、自己インダクタンスLを変化させると言
うことは、コイルNacを貫通する磁束Φacを制御する事
に他ならないと言える。この様な基本的考えに基づき、
本発明では、先ず、図1に示すようにコイルNacとは別
にコイルNdcを追加設置し、これに直流電源Eから、可
変抵抗器VRによって制御された直流励磁電流Iを印加
させることを試みた。即ち、これは既に存在している交
流磁束Φacに、新設の直流励磁コイルNdcと直流励磁電
流Iが鎖交して生じた直流磁束ΦdcとをコアーT内で重
畳せしめ、この直流励磁電流Iを制御することにより端
子J1、J2間の自己インダクタンスLを間接的に連続
可変させようとするものである。この様な方式で自己イ
ンダクタンスLを可変し得るか否かについては図2を用
いて以下に説明する。図2は強磁性体コアーの磁気的性
質を現す常規磁化曲線いわゆるB−H曲線を示したもの
で、この曲線において或る磁化の強さHに対応する磁束
密度がBであったとすれば、 μ=B/H.......(1) ここでμは常規透磁率で、図2で判るごとく、BとHは
直線比例的ではないから、μも単なる定数でなく、B或
いはHの大きさによって変化するものである。一方、
(1) 式のBは磁路の単位断面積当たりの磁束Φであ
るから、磁路の断面積をSとすれば Φ=SB=SμH.....(2) であって、ここでSは定数であるから、磁気回路のμ或
いはHが変わればΦが変化することになるわけである。
前述の如く、コアー内部で交流磁束Φacと直流磁束Φdc
が重畳される場合は、図2のように初期透磁率μの代わ
りにインクレメンタル透磁率μΔが使用される。即ち、
直流磁化力H0 によってB0なる磁束密度がコアーに生
じていて、ここに更に小さな交流磁化力H0+HαSinθ
を重畳したとすると、動作点は常規磁化曲線から外れて
小ヒステレシスループP1,P2に移り、この上を変化す
るようになる。磁束密度は、Bwを中心としてその上下に
ΔBなる振幅の振動を行う。従って、この様に交流磁束
と直流磁束が重畳される系においては、前述の初期透磁
率ではなく(3)式に定義されるインクレメンタル透磁
率μΔを使うのが妥当である。 μΔ=ΔB/ΔH....(3) 図2のB−H曲線上で直流磁化力を変えていくと、それ
に対応するHaの大きさの直流磁化力では、P3、P4
の小ループ上を、同様にしてHbにおいてはP5、P6
の軌道上を動くことになる。これ等小ループの傾斜の大
きさを示すΔB/ΔHはそれぞれの位置で異なる値を採
る事が明らかである。これ等の理由で、図1の交流コイ
ルNacの自己インダクタンスLは、直流励磁コイルNdc
に流す制御電流によって、インクレメンタル透磁率μΔ
を変化でき、究極的に交流コイルNacの自己インダクタ
ンスを制御出来ることが証明された。なお、図2におい
て、H0 を大きくするほどμΔは小さくなる。これは
当然強磁性体コアーの磁気的飽和現象に基づくものであ
る。以上、図1の構成で自己インダクタンスLを可変で
きることが判明したが、実際上、これを可変インダクタ
ンス素子として、そのままの構成で使用すると原理上不
都合な欠陥を生じるのである。以下のこの欠陥の起因に
ついて説明し、理論的解決方法を詳述する。先ず、上記
欠陥について説明すると、再び図1において、直流励磁
コイルNdcを付加したことによって、交流コイルNacの
Qが激減してしまうことである。交流コイルNacと鎖交
して交流磁束Φacを生じるが、これが同時に、直流励磁
コイルNdcとも鎖交しており、この結果、直流励磁コイ
ルNdcに交流電圧が誘起されてしまうためである。この
現象は丁度一般の変圧器における2次側短絡の場合と同
様に、直流励磁用電源の低いインピーダンスで短絡され
ているから端子J1、J2から見た負荷は非常に重くな
り、交流コイルNacからの電気エネルギーが吸収されて
しまう結果、交流コイルNacのQが極度に低下してしま
うことになる。この現象は特に高周波回路において著し
く、高周波回路ではQの低下が致命的欠陥となりうるも
のである。本発明は以上の欠陥を解決するために成され
たもので、それぞれ解決方法の異なる3つの方式につい
て請求項1,請求項2,及び請求項3の如く3件に分割
して特許請求を行った。
【0004】
【課題を解決するための手段】先ず、請求項1に係わる
解決法は次の通りである。図1でQが低下してしまう最
大原因は、交流コイルNacと鎖交して発生する交流磁束
Φacと直流励磁コイルNdcが更に鎖交している点であ
る。Nac、Φac、及びNdcが互いに鎖交していれば、磁
気誘導現象によって一般の変圧器回路と同様に、互いの
巻線間に誘起起電力が誘起されるのは当然のことであ
る。この技術上の問題点を解消する手段として次に示す
対策が考えられた。即ち、このポイントは前記交流コイ
ルNac、交流磁束Φac及び直流励磁コイルNdc三者の結
合連鎖を何れか1ヶ所で断ち切れれば良いということで
ある。この場合、直流励磁コイルNdcを流れる直流電流
Iによる直流磁束Φdcは、時間的に変化せず、従って交
流コイルNacには原理的に何の起電力も誘起されないか
ら、等価的にその鎖交数は0と見なせる。一方、交流コ
イルNacと交流磁束Φacは原理上分離する事は出来ない
から、最終的には、直流励磁コイルNdcと交流磁束Φac
とを鎖交させなければ本発明の目的を達成できるという
ことである。それ等の関係を図3を用いて説明する。図
3は図1を改良した本発明の原理説明図であって、その
構成上の特徴は直流励磁コイルNdcの巻線をコアーTの
外径部分の外側沿面に添って巻回させるように設置し、
その内径部分にはコイルの線材を通していない点であ
る。この様な巻線方式によると、交流磁束Φacと直流励
磁コイルNdcとの鎖交数を0にすることができる結果、
直流励磁コイルNdcには交流磁束Φacによる起電力は誘
起されず、端子J1,J2からの電気エネルギーの流出
が無くなるので交流コイルNacを含む回路のQを低下さ
せない利点が生ずる。 一方、直流励磁コイルNdcの作
る磁束Φdcは図3に示す如く、S極、N極に分極して現
れ、これが交流磁束Φacと重畳される結果、前述と同様
の原理により交流コイルNacの端子J1,J2間の自己
インダクタンスLは直流電流Iの大きさによって自由に
変化させられることになる。本発明の要旨は交流磁束に
直流磁気バイアスを重畳して自己インダクタンスを変え
ようとするもので、この直流磁気バイアスを与える方法
としては単なる磁気的結合で充分であり、実用上、直流
磁化の方向性で本発明の効果が左右されることはない。
その理由は、次の通りである。この様に直流磁気バイア
スを与えることは、コアー内部に立体的、かつランダム
に存在する磁区の回転力を制御拘束する事であるから、
どの様な方向から磁化しても磁区はそれに対応する方向
に回転でき、磁化の方向性に無関係に、飽和状態にまで
直流磁化できるからである。図4は図3の発展形であっ
て、交流コイルNacを直流励磁コイルNdcの左右に振り
分けて巻いたもので、原理的には全く同様であるが、コ
イルの空間占有率を向上できる利点がある。以上が本発
明請求項1に関する説明であり、次に請求項2について
説明する。図5は請求項2に関する説明図でコアーTに
直流磁束Φdcを発生させるために、電磁石Mgを別に設
け、継鉄F1及びF2によってコアーTに連結させた方
式で原理的に請求項1の場合と全く同様に電磁石の直流
励磁コイルNdcの電流Iを変化させ、端子J1,J2間
の自己インダクタンスを制御しようとするものである。
これは、大型コアーを使用する上で特に有効な方式であ
って、独立した電磁石Mgと直流閉磁気回路を有するた
め、効率が良く、自己インダクタンスLの変化に要する
励磁アンペアターンが少なくて済む特徴がある。しか
し、ここで一つ問題となるのは請求項1の場合と同様に
交流磁束Φacによって直流励磁コイルNdcに交流起電力
を誘起し、この理由で交流コイルNacのQが低下しない
かという点である。図5から分かる通り、直流励磁コイ
ルNdcに直流電流Iを流した場合、電磁石Mgに励起さ
れる磁化力(アンペアターン)によって直流磁束Φdcを
生じる。直流磁束Φdcの経路をたどると、継鉄F1のf
点、N極、次いで、b点に到り、ここで、ba、bcの
2路に分かれ、またd点で一つに集合された後、d点、
S極、継鉄F2のe点を通って閉じた磁気回路を作る。
一方、交流コイルNacと鎖交して生じる交流磁束Φacの
経路は、コアーTを点a−b−c−d−aと一周する閉
磁路を作る。しかし、問題はb点でN極に接し、これが
継鉄F1のf点、継鉄F2のe点、S極を経由してd点
に到る閉磁路も併せて存在することである。即ちこれ
は、上記二つの閉磁路がb、d点で並列接続された構成
であって、交流コイルNacと鎖交して生じる交流磁束Φ
acは、a−b−c−d−a点を通り、 同時に直流励磁
コイルNdcにもa−b−N−f−e−S−d−aの経路
が存在するから、直流励磁コイルNdcは交流磁束Φacと
鎖交する事になり、これを解決しないと請求項1で述べ
たような理由で交流コイルNacのQを低下させる原因と
なる。この問題解決手段を結論づければ、上記二つの閉
磁路のそれぞれの磁気抵抗の大きさに差をつけることに
よって、直流励磁コイルNdcにコアーから漏洩流出され
る点b−N−f−e−S−c経由の交流磁束Φacを極力
低減させればよいということになる。特に交流磁束Φac
が高周波の場合、コアーTにはフェライトの如き焼結体
が通常使用され、透磁率μが大きく、いわゆる鉄損も少
なく、その磁気抵抗は小さく、Φacは非常に流れやすい
性質を有している。しかし、一方、継鉄F1、F2を経
由し電磁石Mgに到る直流磁路用材料としては、通常い
わゆる純鉄が使用される。純鉄は直流磁路に於いては良
好な磁気特性を持つが、高周波領域の交流磁束に於いて
は特に渦流損が極めて大きく不適当な材料であって、見
掛け上、磁気抵抗が大きい。この様な性質上の相違と共
に、その磁路の長さ、及び断面積の大小を併せて考慮す
れば、交流磁束ΦacはコアーTの点b−c−dの短い経
路を容易に流れ、反面、点b−N−f−e−S−dの長
い経路には殆ど流れないことが判明された。この性質は
それぞれ並列接続された磁気回路の磁気抵抗に意識的に
大きな差をつける方法で生じたものである。この差は継
鉄F1、F2の断面積、或いはコアーTの接触面積を本
発明の動作可能範囲でなるべく小さくすることによって
更に大きくする事が出来る。以上、請求項2について説
明した。次に請求項3について説明する。請求項3は請
求項1記載に関する性能向上対策の結果生じた構成であ
る。請求項1で図3の電流制御方式を採ると、前述のよ
うにコアーTには直流励磁によってN極及びS極の2極
が現れるが、閉磁路を有していないので、このとき生じ
る直流磁束ΦdcはN極から空中を経由してS極に到る開
磁路を通らざるを得ない。この為請求項1記載では比較
的大きな励磁アンペアターンを要する特徴を有してい
る。目的とする自己インダクタンスLの可変範囲を、満
足させるべく無理に励磁電流Iを増加させると、励磁コ
イルNdcがそのジュール熱によって発熱することがあ
る。請求項3はこの直流励磁アンペアターンを可能な限
り小さくして、同一の効果が期待出来るよう構成された
ものである。その方法して、図7に示す如く、トロイダ
ルコアーTの端部に現れたN極、S極を継鉄Fで磁気的
に短絡させたものである。この様にすると、直流励磁コ
イルNdcで発生した磁束Φdc2は図の如く継鉄Fによる
閉磁路を通り、空気間隙を磁化するに要する励磁アンペ
アターンが不必要になるため請求項1の場合に較べ小さ
な電流で自己インダクタンスLの変化範囲を拡大するこ
とが出来る。尚、継鉄Fが交流コイルNacの動作上不具
合を生じる危惧については請求項2で説明したように、
直流磁路と交流磁路との磁気抵抗の差を積極的に利用す
る事によって、実用上特に問題は生じない。
【0005】
【作用】請求項1記載及び請求項2、或いは請求項3を
実施すると画期的な自己インダクタンスL可変素子を構
成できる。この可変インダクタンス素子を採用したこと
で生じる作用及び特徴を以下箇条書きに示す。 (イ) コンパクトな回路素子として構成できる。(プ
リント基板搭載用) (ロ)機械要素を使用せず、純電子的にLを可変でき
る。 (ハ) Lの制御は無段階的である。 (ニ)Lの遠隔制御が可能である。 (ホ) Lの可変範囲が非常に広い。 (ヘ)Lの調整に対する応答速度は従来技術の半固定式
のものに較べれば比較にならないほど早い (ト) コアーの適当な選択により高周波帯で使用で
き、使用可能周波数帯域幅が広い。 (チ)Lの電子制御を行っても、コイルのQは低下しな
い。 (リ) 許容電力が大きく大型装置に適用できる。 (ヌ)コアーを積層し、許容電力を増大できる。 原理上、本発明の可変インダクタンス素子は、コアーの
大小に無関係に上述の特徴を有しているものであり、全
ての電気回路は抵抗R、静電容量C、自己インダクタン
スLの3要素から成立していること、及び、現在、電気
回路に使用されているLに殆ど対応できる構成であるこ
とを考え併せれば、その応用面は、列記した各特徴の組
み合わせにより、極めて広範囲に及ぶであろう事は容易
に類推できるものである。この意味で従来技術或いは既
製のLでは適用不可能な新用途の開発も当然可能であ
り、その中のほんの数例を以下にまとめて示す。 (a)多段フィルタ等、数多くのLを同時にかつ、瞬時
に遠隔制御して、その遮断周波数を無段階に調整するこ
とが出来る。 (b)高周波インピーダンス整合器に使用すれば、整合
に要する時間を桁違いに短縮できる。 (c)LC共振回路に用いれば、大型の可変コンデンサ
ーを小型の固定コンデンサに代替でき、その空間占有率
を小さくできる。 (d)直流励磁コイルを温度検出ループの中に入れ、L
の温度補償が行える。 等々、本発明は、その有する数多くの作用によって従来
技術で得られなかった新しい装置及び回路を多数開拓で
きる可能性を有しているものである。
【0006】
【実施例】本発明の実施例として以下示す4種類の基本
的素子を構成し、その電気的特性をそれぞれ測定した。
使用測定器は何れも横河ヒューレットパッカード社製4
342A型Qメーターである。素子を構成する要素とし
ては次に列挙するものを使用した。 資料1 トロイダルフェライトコアーT、外径21φ、
内径14φ、高さ6.5、μ=125 試料2 トロイダルフェライトコアーT、外径63φ、
内径37φ、高さ20、μ=25 試料3 電磁石Mg、鉄心に一般構造用炭素鋼SS34を使
用、寸法φ25X21L巻枠として48φX26φX19L使用、コイ
ルは0.4φポリエステル線600回巻 試料4 継鉄F1およびF2、一般構造用炭素鋼SS34を
使用、50WX12tX3.2H2個 試料5 継鉄F、一般構造用炭素鋼SS34、10WX3.2t磁路
長40 実施例について説明する前に、参考データを得る目的で
従来技術で構成された図1の回路でインダクタンスL
(μH)、及びQの制御特性を測定した。この場合、試料
1のトロイダルコアーに交流コイルNacに0.6φポリエ
ステル線20回、直流励磁コイルNdcとして0.4φポリ
エステル線50回をそれぞれ巻いて構成した。その結
果、直流電流0アンペアの時でもQメーターの共振点が
充分に得られないほどQが低下し実測不可能であった。
従って、本方式は本発明の目的には全く不適当であるこ
とが判明した。
【実施例1】試料1のコアーに図3の如く、交流コイル
Nacとして0.6φポリエステル線20回、直流励磁コイ
ルNdcとして0.3φポリエステル線200回巻いて素子
を構成し、直流磁励電流Iを変化させた時の交流コイル
Nac、自己インダクタンスL(μH)及びQを測定した。但
し、測定周波数は2.54MHzで一定である。尚、データ相
互の整合性を図るため、変数として電流に巻数を乗じて
得られる起磁力H、即ちアンペアターン(AT)を用い
た(以下同様) 測定結果を図8に示した。これによると、自己インダク
タンスL(μH)はATの変化に伴って、およそ42〜20
(μH)に制御出来ることが判明した。この最大、最小の
比は約2であった。一方、コイルのQは測定の全範囲に
亘って高い値を保ち、少なくとも本方式を採用したこと
が原因でQの低下或いは変動に影響を及ぼしたと見れれ
る挙動は全く見られなかった。
【実施例2】実施例2は比較的大型のコアーを使用した
例で、図5の構成で測定した。電磁石Mg及び継鉄F
1、F2は前掲試料3及び試料4を用い、コアーTは試
料2を使用し、1.2φポリエステル線22回巻とした。
このコアーを前記F1,F2の継鉄上面に置き、周波数
7.96MHz一定で測定した。その結果を図9に示す。交流
コイルNacの自己インダクタンスLは約52〜16μHに変
化し、その比は約3.2倍であった。Qは制御電流の増加
と共に大きくなる傾向が見られ、可変インダクタンス素
子としての性能を低下させる挙動は皆無であった。
【実施例3】実施例3は実施例2の電磁石Mg継鉄F
1,F2をそのまま使用し、トロイダルコイルTを実施
例1記載と同一のものを使用した。これは0.6φポリエ
ステル線20回巻いたものである。このコアーを継鉄F
1,F2で挟んで使用した。この結果を図10に示す。
交流コイルNacの自己インダクタンスLはおよそ40〜10
μHの範囲で変化し、最大と最小の比は4であった。Q
の挙動は大型コアーを用いた実施例2の挙動とほぼ同一
の結果が得られ、特に異常は認められなかった。
【実施例4】実施例4は図3の実施例1の改良型に関す
るものであり、図7にその構成を示す。請求項3で説明
した如く実施例1では直流磁化力(アンペアターン)が
構造上大きくならざるを得ないため、図7に示す如くト
ロイダルコアーT上のN、Sの2極を試料5の継鉄Fで
短絡し磁気的閉回路を設けたものである。使用したトロ
イダルコアーは実施例1、実施例3と同様に試料1のも
のを使用し、交流コイルNacとして0.6φポリエステル
線を20回巻き、直流励磁コイルNdcには実施例1と同
様に0.3φポリエステル線を200回施工した。この測
定結果を図11に示す。交流コイルNacの自己インダク
タンスLの変化は最大45μHから最低8μHに及びその比
率は5.6倍に達した。ここで特筆すべきは、この様に大
きな自己インダクタンス比が実施例1の場合の約1/2
のアンペアターンで得られることで、継鉄の使用効果の
大きさが判明された訳である。これは直流励磁コイルN
dcの発熱防止用に極めて有効な方法である。Qの挙動に
関したは、実施例1と同様の挙動で特に問題はなかっ
た。
【0007】
【発明の効果】上記請求項1、請求項2,及び請求項3
に関する実施の結果、その何れの方法によっても、交流
コイルNacのQを低下させずに自己インダクタンスLを
直流電流の設定のみで無段階かつ遠隔制御出来るという
本発明の目的が達成された。また、本発明は原理的にコ
アーTの寸法形状に無関係であるので、例えばプリント
基板上で汎用されている小型トロイダルコイルの自己イ
ンダクタンスLを機械要素を用いずに可変でき、電子回
路の構成上、Lを最適値に合せ込み、機器の性能向上を
図る事が可能となった。固定素子に分類されるトロイダ
ルコアーの自己インダクタンスLを可変させることは、
従来技術では成し得なかったものであったが、本発明に
よれば、機械要素を使用しないのでこれを非常にコンパ
クトな構成で行う事が出来る反面、本発明では極めて大
型のコアー、或いは積層して体積を増加させたコアーに
ついても、原理的に使用を拘束されることはないから、
大電力の高周波応用装置への活用が可能であり、この意
味で従来技術では成しえなかった分野に於いても画期的
な効果を期待できるものである。一例を挙げると、交流
コイルNacと並列に共振用コンデンサーCを接続して発
振回路で発振させる系を作り、直流励磁電流の代わりに
交流の変調信号を加えてやると発振器出力にはFM変調
波を生じる等々の応用が新しく考えられる。尚、本発明
の明細書では、都合上トロイダルコイルを用いて原理説
明を行ったが、例えば、CIコアー、EIコアー、或い
はポット型コアーでも原理上使用可能であり、従って、
コアーの形状については本発明の効果に何の制限を与え
るものではないことを附記しておく。
【0008】
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来技術の説明
【図2】 交流信号に対するB−H曲線説明図
【図3】 請求項1による動作説明図
【図4】 コイルの空間占有率を向上せしめた構造説
明図
【図5】 請求項2に係わる動作説明図
【図6】 コアーを積層した場合の構造説明図
【図7】 請求項3に関する動作説明図
【図8】 図3の電気的特性
【図9】 図5の電気的特性(コアー大の場合)
【図10】 図5の電気的特性(コアー小の場合)
【図11】 図7の電気的特性
【符号の説明】
Tはトロイダルコアー Nacは交流コイル(または主コイル) J1,J2は交流コイルの端子 Φdcは直流磁束 J3,J4は直流励磁コイルお端子 Iは直流制御電流 Eは直流電源 VRは可変抵抗器 Hは起磁力(または励磁アンペアターン) Bは磁束密度 Mgは電磁石 F1は継鉄 F2は継鉄 Fは継鉄、 Φdc2は閉磁路を流れる直流磁束

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄、フェライト等の強磁性体コアーに主
    コイルを巻き、主コイルと鎖交する交流磁束をコアーに
    発生させる自己インダクタンス素子を構成する一方、上
    記交流磁束とは鎖交せず、単にコアーに磁気的結合され
    た構造の直流励磁コイルを主コイルとは別に設け、この
    直流励磁電流を調整することにより主コイルの自己イン
    ダクタンスを無段階かつ広範囲に遠隔制御できる方式の
    可変インダクタンス素子について、主コイルで発生する
    交流磁束と直流励磁コイルとが電磁気的に鎖交していな
    い理由により、主コイルに印加された交流信号は直流励
    磁コイルには誘起されないことを特徴とする電流制御可
    変インダクタンス素子。
  2. 【請求項2】 鉄、フェライト等の強磁性体コアーに主
    コイルを巻き、主コイルと鎖交する交流磁束をコアーに
    発生させる方式の自己インダクタンス素子を構成する一
    方、インダクタンス制御用直流電磁石並びにこれとコア
    ーとを磁気的に結合させるべき継鉄を含む磁気回路を主
    コイルとは別に設け、この時、コアーの磁気抵抗と電磁
    石及び継鉄の系の磁気抵抗の相違を利用して、主コイル
    に印加された交流信号が極力電磁石巻線に誘起されない
    よう留意されたことを特徴とする、無段階かつ広範囲に
    遠隔制御可能な電流制御可変インダクタンス素子
  3. 【請求項3】 鉄、フェライト等の強磁性体コアーに主
    コイルを巻き、主コイルと鎖交する交流磁束をコアー内
    に閉磁路的に発生させる自己インダクタンス素子に於い
    て、上記交流磁束とは鎖交せず、単に磁気的に結合され
    た構造の直流励磁コイルを主コイルとは別に設け、この
    直流励磁電流を調整して主コイルの自己インダクタンス
    Lを無段階に制御せしめる方式の可変インダクタンス素
    子に於いて、直流励磁電流で必然的に発生したコアー上
    のN極、S極を継鉄を用いて磁気的に短絡し、直流閉磁
    路を形成させ直流励磁アンペアターンを減少せしめると
    共に、コアー材と継鉄材との磁気抵抗の差を積極的に活
    用して、主コイルの交流成分を直流励磁コイルに誘起さ
    せないことを特徴とする電流制御可変インダクタンス素
JP18330098A 1998-05-18 1998-05-18 電流制御可変インダクタンス素子 Pending JPH11329849A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18330098A JPH11329849A (ja) 1998-05-18 1998-05-18 電流制御可変インダクタンス素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18330098A JPH11329849A (ja) 1998-05-18 1998-05-18 電流制御可変インダクタンス素子

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11329849A true JPH11329849A (ja) 1999-11-30

Family

ID=16133266

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP18330098A Pending JPH11329849A (ja) 1998-05-18 1998-05-18 電流制御可変インダクタンス素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11329849A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001075914A1 (en) * 2000-04-03 2001-10-11 Abb Ab High voltage induction device
WO2002027793A2 (en) * 2000-09-28 2002-04-04 Sun Microsystems, Inc. Method and apparatus for providing a variable inductor on a semiconductor chip
JP2006105443A (ja) * 2004-10-01 2006-04-20 Takeshi Hayashi 燃料石油の磁気処理装置
DE102006022438A1 (de) * 2006-05-13 2007-11-15 Robert Bosch Gmbh Luftspule als Koppelinduktivität
JP2011510489A (ja) * 2008-01-08 2011-03-31 ハリス コーポレイション 電気的可変誘導子、関連する同調フィルター及び方法
CN104616871A (zh) * 2015-01-14 2015-05-13 东南大学 一种卷绕式铁心磁饱和可控电抗器
CN106816965A (zh) * 2017-01-18 2017-06-09 同济大学 一种谐振式无线充电***中线圈自感的辨识方法

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001075914A1 (en) * 2000-04-03 2001-10-11 Abb Ab High voltage induction device
WO2002027793A2 (en) * 2000-09-28 2002-04-04 Sun Microsystems, Inc. Method and apparatus for providing a variable inductor on a semiconductor chip
WO2002027793A3 (en) * 2000-09-28 2003-08-28 Sun Microsystems Inc Method and apparatus for providing a variable inductor on a semiconductor chip
JP2006105443A (ja) * 2004-10-01 2006-04-20 Takeshi Hayashi 燃料石油の磁気処理装置
DE102006022438A1 (de) * 2006-05-13 2007-11-15 Robert Bosch Gmbh Luftspule als Koppelinduktivität
JP2011510489A (ja) * 2008-01-08 2011-03-31 ハリス コーポレイション 電気的可変誘導子、関連する同調フィルター及び方法
CN104616871A (zh) * 2015-01-14 2015-05-13 东南大学 一种卷绕式铁心磁饱和可控电抗器
CN106816965A (zh) * 2017-01-18 2017-06-09 同济大学 一种谐振式无线充电***中线圈自感的辨识方法
CN106816965B (zh) * 2017-01-18 2019-08-02 同济大学 一种谐振式无线充电***中线圈自感的辨识方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR960015614A (ko) 조절가능한 인덕턴스 소자를 사용하는 전자 동조 매칭 네트워크
CN107919434B (zh) 频率可变磁电阻效应元件以及使用该元件的振荡器、检波器及滤波器
KR20070074059A (ko) 자기 코어 및 이를 포함하는 인덕터, 변압기
US7915993B2 (en) Inductor
US7242275B2 (en) Variable inductor
Wu et al. Improved high frequency response and quality factor of on-chip ferromagnetic thin film inductors by laminating and patterning Co-Zr-Ta-B films
US10804870B2 (en) Magnetoresistance effect device and high frequency device
JP2019033159A (ja) 磁気抵抗効果デバイス及び高周波デバイス
JPH0720033B2 (ja) 磁気前置増幅器
JPH11329849A (ja) 電流制御可変インダクタンス素子
US2462423A (en) Ferromagnetic variable highfrequency inductor
RU2328051C2 (ru) Трансформатор
JP6182346B2 (ja) 発振器、整流器および送受信装置
JP2004014549A (ja) 磁心型積層インダクタ
JP6135269B2 (ja) 発振器、整流器および送受信装置
JP6717137B2 (ja) 共振素子、共振器および磁気抵抗効果デバイス
JP6597766B2 (ja) 整流器および送受信装置
JP2007251819A (ja) アンテナ
US9225287B2 (en) Oscillator, rectifier, and transceiver device
Fetisov et al. Circular magnetoelectric heterostructure based inductor tuned with magnetic and electric fields
JP6471779B2 (ja) 送受信装置
JP6267871B2 (ja) 発振器、整流器および送受信装置
JP6323525B2 (ja) 整流器、整流装置、受信器および受信装置
JP6394685B2 (ja) 整流器および送受信装置
JP6056630B2 (ja) 発振器、送信装置、整流器、整流装置、受信器、受信装置および送受信装置