JPH11328645A - 磁気記録媒体の再生方法 - Google Patents

磁気記録媒体の再生方法

Info

Publication number
JPH11328645A
JPH11328645A JP12788498A JP12788498A JPH11328645A JP H11328645 A JPH11328645 A JP H11328645A JP 12788498 A JP12788498 A JP 12788498A JP 12788498 A JP12788498 A JP 12788498A JP H11328645 A JPH11328645 A JP H11328645A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic
recording medium
magnetic layer
magnetic recording
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP12788498A
Other languages
English (en)
Inventor
Seiichi Onodera
誠一 小野寺
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
Priority to JP12788498A priority Critical patent/JPH11328645A/ja
Publication of JPH11328645A publication Critical patent/JPH11328645A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Magnetic Record Carriers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 双方向に走行する磁気記録媒体に記録された
磁気信号を確実に再生する。 【解決手段】 複数の磁性層を有してテープ状に形成さ
れてなり、長手方向の双方向に走行する磁気記録媒体1
に対して、磁気抵抗効果素子8を有する磁気抵抗効果型
磁気ヘッド5を用いて再生を行う。上記磁気記録媒体1
は、基板上に形成された第1の磁性層と、この第1の磁
性層上に形成された第2の磁性層とを有し、上記第1の
磁性層の磁化容易軸が上記磁気記録媒体の主面に対して
長手方向の一方向とほぼ一致する方向に傾斜していると
ともに、上記第2の磁性層の磁化容易軸が上記磁気記録
媒体の主面に対して長手方向の他方向とほぼ一致する方
向に傾斜していることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、いわゆる金属磁性
薄膜型の磁気記録媒体の再生方法に関するものであり、
特に、長手方向の双方向に走行する磁気記録媒体の再生
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、磁気記録媒体としては、非磁
性支持体上に酸化物磁性粉末あるいは合金磁性粉末等の
粉末磁性材料を塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ
エステル樹脂、ポリウレタン樹脂等の有機結合剤中に分
散せしめた磁性塗料を塗布、乾燥することにより作製さ
れる、いわゆる塗布型の磁気記録媒体が広く使用されて
いる。
【0003】これに対して、高密度記録への要求の高ま
りとともに、Co−Ni、Co−Cr、Co等の金属磁
性材料をメッキや真空薄膜形成手段(真空蒸着法、スパ
ッタリング法、イオンプレーティング法等)によって非
磁性支持体上に直接被着した、いわゆる金属磁性薄膜型
の磁気記録媒体が提案され、注目を集めている。
【0004】この金属磁性薄膜型の磁気記録媒体は、保
磁力、残留磁化、角形比等に優れ、短波長での電磁変換
特性に優れるばかりでなく、磁性層の厚みを極めて薄く
できるため、記録減磁や再生時の厚み損失が小さいこ
と、磁性層中に非磁性である結合剤を混入する必要がな
いため、磁性材料の充填密度を高め、大きな磁化を得る
ことができる等、数々の利点を有している。
【0005】さらに、この種の磁気記録媒体の電磁変換
特性を向上させ、より大きな出力を得ることができるよ
うにするため、磁気記録媒体の磁性層を形成するに際
し、磁性層を斜方に蒸着する、いわゆる斜方蒸着型の磁
気記録媒体が提案され、高画質VTR用、デジタルVT
R用の磁気テープとして実用化されている。
【0006】そして、従来、上述したような磁気記録媒
体の記録再生システムでは、いわゆるインダクティブヘ
ッドが用いられていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述したよ
うなテープ状の磁気記録媒体では、更なる高密度記録
化、大容量化が図られると、従来の記録再生システムで
は十分に対応することができなかった。すなわち、特
に、磁性層が蒸着により形成されたテープ状の磁気記録
媒体を長手方向の双方向に走行させて記録再生する、い
わゆるリニア記録方式を採用する場合、従来の記録再生
システムでは一方向に走行させたときの再生出力が大き
くなってしまうといった問題がある。
【0008】また、上述のような利点を有する金属磁性
薄膜型の磁気記録媒体(いわゆる蒸着テープ)を上述し
たような記録再生システムで用いた場合、インダクティ
ブヘッドの感度が低いため、高密度記録化及び大容量化
に対応して再生することができなかった。
【0009】そこで本発明は、このような実情に鑑みて
提案されたものであり、双方向に走行する磁気記録媒体
に記録された磁気信号を確実に再生することができる磁
気記録媒体の再生方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上述した目的を達成する
ために本発明者は、磁気抵抗効果型磁気ヘッドを用いて
磁気記録媒体を双方向に再生する場合、磁気記録媒体か
ら生ずる磁界の大きさ及び磁界の方向を最適化すること
が必要であることを見いだした。そして、複数の磁性層
を有する磁気記録媒体に対して、磁気抵抗効果型磁気ヘ
ッドを用いて再生を行うことにより上述した目的を達成
することができることを見いだした。
【0011】すなわち、本発明に係る磁気記録媒体の再
生方法は、複数の磁性層を有してテープ状に形成されて
なり、長手方向の双方向に走行する磁気記録媒体に対し
て、磁気抵抗効果素子を有する磁気抵抗効果型磁気ヘッ
ドを用いて再生を行うものである。
【0012】以上のように構成された本発明に係る磁気
記録媒体の製造方法では、複数の磁性層を有する磁気記
録媒体を用いることによって、磁気抵抗効果型磁気ヘッ
ドにおける磁気抵抗効果を略々線形に発現させる。そし
て、この手法では、磁気記録媒体が双方向のうちいずれ
の方向に走行した場合でも、磁気抵抗効果型磁気ヘッド
が同様に再生を行う。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る磁気記録媒体
の再生方法の実施の形態を、図面を参照にして詳細に説
明する。
【0014】本実施の形態に示す磁気記録媒体の再生方
法は、所定の方向の磁化方向として情報信号が書き込ま
れた磁気記録媒体を、MR素子を有するMRヘッドによ
り再生するものである。
【0015】この磁気記録媒体1は、図1に示すよう
に、非磁性支持体2の一方主面2a上に順次形成された
第1の磁性層3と第2の磁性層4とを有し、テープ状に
形成される。なお、本実施の形態に示す磁気記録媒体の
再生方法において、磁気記録媒体は、上述したような構
成に限定されず、非磁性支持体2の他方主面にバックコ
ート層が形成されていてもよく、また、第2の磁性層4
上に保護層や潤滑層が形成されていてもよく、さらに、
非磁性支持体2と第1の磁性層3との間に非磁性層が形
成されていてもよい。例えば、保護層としては、カーボ
ンや、CrO2、Al23、BN、Co酸化物、Mg
O、SiO2、Si34、SiNx、SiC、SiNx
SiO2、ZrO2、TiO2、TiC等の材料が挙げら
れる。そして、保護層は、これらの単層膜であってもよ
いし、多層膜あるいは複合膜であってもよい。
【0016】この磁気記録媒体1において、第1の磁性
層3及び第2の磁性層4は、それぞれ従来公知の金属磁
性薄膜で構成される。例示するならば、第1の磁性層3
及び第2の磁性層4としては、Coを主体とする金属磁
性薄膜を挙げることができる。Coを主体とする金属磁
性薄膜としては、Co、Co−Ni、Co−Cr及びこ
れらの酸化物を挙げることができる。
【0017】また、これら第1の磁性層3及び第2の磁
性層4は、真空蒸着法等の薄膜形成手法を用いて、非磁
性支持体2上或いは第1の磁性層3上に金属磁性微粒子
を堆積させることにより形成される。そして、この第1
の磁性層3及び第2の磁性層4は、金属磁性微粒子の堆
積方向を制御することにより、所定の方向に磁化容易軸
を有することになる。
【0018】具体的に、この磁気記録媒体は、第1の磁
性層3の磁化容易軸が磁気記録媒体1の主面に対して長
手方向の一方向に所定の角度傾斜(図1中矢印H1で示
す方向)しているとともに、第2の磁性層4の磁化容易
軸が磁気記録媒体1の主面に対して長手方向の他方向に
所定の角度傾斜(図1中矢印H2で示す方向)するよう
に形成される。このため、第1の磁性層3及び第2の磁
性層4に情報が記録されると、この磁気記録媒体1から
は、当該磁気記録媒体1の主面に対して略垂直な方向に
磁束が発生する。
【0019】ここで、磁化容易軸とは、試料振動型磁気
測定器(Vibrating Sample Magnetometer)を用いて、
試料の保磁力の角度依存性を測定し、保磁力が最小値に
なる角度(磁化困難軸)に直交する角度のこととする。
したがって、この磁化容易軸は、試料の反磁界を含んだ
値となる。
【0020】なお、上述した磁気記録媒体1は、第1の
磁性層3及び第2の磁性層4を有するような構成に限定
されず、更に多くの磁性層を有するような構成であって
もよい。この場合、各磁性層の磁化容易軸方向や、各磁
性層の膜厚及び残留磁化量を制御することにより、磁気
記録媒体から生ずる磁束を所望の量とすることができ
る。
【0021】ところで、上述したような磁気記録媒体1
は、図2に示すように、MRヘッド5により再生され
る。この図2に示すように、磁気記録媒体1は、一対の
テープリール6a,6bに巻回されるとともにこれら一
対のテープリール6a,6b間に掛け渡される。このと
き、磁気記録媒体1は、複数のガイドローラ7により掛
けられ、MRヘッド5に所定のテンションで当接する。
【0022】このMRヘッド5は、基本的には、図3に
示すように、略矩形の板状に形成されたMR素子8と、
このMR素子8の長手方向の両端部に電気的に接続され
た一対の電極9,10とを備えている。なお、このMR
ヘッド5は、図示しないが、磁気記録媒体1から発生す
る再生対象以外の磁界をMR素子8に印加させないため
のシールド層や、MR素子8に所望のバイアス磁界を印
加するバイアス磁性層等を有するような構成であっても
よい。
【0023】このMRヘッド5は、磁気記録媒体1に記
録された信号磁界を再生する。このとき、MRヘッド5
は、MR素子8の長手方向の一辺を磁気記録媒体1と対
向させるように配される。そして、MR素子8には、一
対の電極9,10から所定の方向に電流が供給される。
このセンス電流とは、磁気記録媒体から発生する磁界を
検出するための電流であって一定の電圧値を有する。つ
まり、このMRヘッドにおいて、センス電流は、磁気記
録媒体1の主面と平行に供給される。
【0024】このMRヘッド5では、磁気記録媒体1か
ら生ずる磁界がMR素子8に印加されると、MR素子8
の磁化方向が変化する。言い換えると、MR素子8に磁
界が印加されると、センス電流が所定の方向に供給され
ているため、このセンス電流とMR素子の磁化方向との
相対角度が変化する。MR素子では、磁化方向が変化す
ると、センス電流に対する抵抗値が変化することとな
る。
【0025】このため、MRヘッド5では、一対の電極
9,10から供給されるセンス電流に対する抵抗値変化
を検出することによって、磁気記録媒体1から生ずる磁
界を感知することができる。具体的には、センス電流が
一定の電流値とされているため、このセンス電流の電圧
変化を測定することにより、MR素子8の抵抗変化を検
出することができる。
【0026】そして、この手法では、MRヘッド5が、
図2及び図3における矢印A及び矢印Bで示す方向、す
なわち、長手方向の双方向に走行する磁気記録媒体1を
再生する。このとき、磁気記録媒体1は、上述したよう
に、第1の磁性層3及び第2の磁性層4からなり、主面
に対して略垂直な方向に磁束を発生している。このた
め、このMRヘッド5では、磁気記録媒体1が矢印A方
向に走行した場合と矢印B方向に走行した場合とにおい
て、それぞれ同一の再生出力を得ることができる。
【0027】これに対して、例えば、単層の磁性層を有
する磁気記録媒体を再生する場合、上述したような双方
向に走行した場合において、それぞれ同一の再生出力を
得ることが困難となる。これは、単層の磁性層の磁化容
易軸が所定の方向に傾斜しているため、磁気記録媒体か
ら生じる磁束が磁化容易軸の傾斜方向と同方向に傾斜し
てしまい、その結果、磁気記録媒体が傾斜方向と同方向
に走行する場合と逆方向に走行する場合とで再生出力・
再生波形が異なるためである。
【0028】上述したように、本手法では、MRヘッド
5と複数の磁性層を有するテープ状の磁気記録媒体1を
組み合わせることにより、これまでにない高密度記録シ
ステムを構築することができる。そして、この高密度記
録システムでは、テープ状に形成された磁気記録媒体1
が双方向に走行した場合においても、同様に再生するこ
とができる。
【0029】このとき、MR素子8は、印加される磁界
の大きさに応じた抵抗変化をすることが望ましい。言い
換えると、MR素子8の抵抗値は、印加される磁界の変
化量に対して線形的に変化することが望ましい。
【0030】しかしながら、このMRヘッド5は、非常
に感度に優れているため、小さな磁界に対しては上述し
たような線形的な抵抗変化を示すが、大きな磁界に対し
てはMR素子8が磁気的に飽和してしまい、その結果、
MR素子8の抵抗変化が線形的ではなくなってしまう。
【0031】このため、上述した磁気記録媒体1は、第
1の磁性層3及び第2の磁性層4の合計の厚さ、第1の
磁性層3及び第2の磁性層4の合計の残留磁化量をこれ
までよりも小さくし、MRヘッド5の特性に合わせて最
適化することが好ましい。
【0032】ここで、第1の磁性層3及び第2の磁性層
4の厚さは、真空蒸着法により金属磁性微粒子を堆積さ
せる際、非磁性支持体2のラインスピードを変化させる
ことにより制御することが可能であり、残留磁化量は蒸
着中の酸素導入量を変化させることにより制御すること
が可能である。これら二つのパラメータを制御すること
により、MR素子8を磁気的に飽和させず、歪みの無い
状態で、最大の出力が得られるようにする。
【0033】具体的に、第1の磁性層3/第2の磁性層
4の値が1.0〜4.0の範囲内であることが好まし
い。第1の磁性層3/第2の磁性層4の値が1.0〜
4.0の範囲内にある場合には、A方向再生出力(A)
及びB方向再生出力(B)を同等のレベル、例えば|A
−B|の値が2dB以内のレベルにすることができると
ともに、エラーレートを揃えることができる。
【0034】また、具体的には、第1の磁性層3及び第
2の磁性層4の残留磁化量Mrと膜厚tの積Mr・tの
値が1〜6memu/cm2 となるようにすることが好
ましい。
【0035】上記積Mr・tの値が1memu/cm2
未満であると、十分な再生出力が得られない。逆に、6
memu/cm2 を越えると、MR素子8が磁気的に飽
和してしまい、MRヘッド5の再生出力に歪みが生ず
る。
【0036】上記範囲であれば膜厚tや残留磁化量Mr
は任意に設定することが可能であるが、膜厚tや残留磁
化量Mrがあまり小さすぎると、上記積Mr・tの値を
1memu/cm2 以上確保することが難しい。逆に、
膜厚tや残留磁化量Mrがあまり大きすぎると、歪みが
問題となる。
【0037】したがって、第1の磁性層3及び第2の磁
性層4の合計の膜厚tは、30〜120nmとすること
が好ましい。また、上述したような理由から、第1の磁
性層3及び第2の磁性層4の合計の残留磁化量Mrは、
200〜400emu/ccとすることが好ましい。
【0038】また、磁気記録媒体1の面内方向での保磁
力は、低ノイズ、高分解能を実現するためには、100
0Oe以上に保つ必要がある。ただし、保磁力が250
0Oeを越えると、十分な記録ができなくなり、再生出
力が低下する。したがって、上記保磁力は、1000〜
2500Oeとすることが好ましい。
【0039】さらに、高分解能、低ノイズを両立するた
めには、磁気記録媒体1の面内方向での角形比は、0.
6〜0.9の範囲にあることが望ましい。
【0040】ところで、本実施の形態において、MRヘ
ッドとしては、図3に示したような基本的な構成を有す
るものを例示したが、このような構成のMRヘッドを用
いた場合に限定されるものではない。
【0041】すなわち、MRヘッドとしては、センス電
流の供給方向が磁気記録媒体の主面に対して垂直方向で
あるような構成であっても良い。また、MRヘッドとし
ては、ヨーク部材を有し、このヨーク部材にMR素子が
配設されるような、いわゆるヨーク型MRヘッドであっ
ても良い。
【0042】
【実施例】以下、本発明を適用した具体的な実験例につ
いて詳細に説明する。
【0043】先ず、厚さ10μm、幅150mmのポリ
エチレンテレフタレートフィルムを用意し、この表面に
アクリルエステルを主成分とする水溶性ラテックスを1
000万個/mm2 なる密度となるように塗布して下塗
層を形成した。
【0044】続いて、この上にCo−O系の金属磁性薄
膜を成膜した。成膜条件を以下に示す。
【0045】成膜条件 インゴット:Co 入射角度:45°〜90° テープライン速度:0.17m/秒 酸素導入量:3.3×10-63/秒 蒸着時真空度:7×10-2Pa 用いた連続巻き取り式蒸着機は、図4に示すように、真
空室101内に配置された冷却キャン102に沿って非
磁性支持体103を走行させながら、金属磁性薄膜を蒸
着形成するものであり、冷却キャン102に対向する位
置に蒸発源104が設置されている。非磁性支持体10
3は、供給ロール105から繰り出され、冷却キャン1
02上で金属磁性薄膜が第1の磁性層として形成された
後、巻き取りロール106に巻き取られる。
【0046】蒸発源104は、電子ビーム発生源107
からの電子ビームB照射により加熱され、加熱金属材料
からなる蒸気流を発生する。蒸気流は、シャッタ108
により非磁性支持体103に対する入射角度が規制され
るとともに、このシャッタ108近傍に配される酸素導
入管109により微量の酸素が混入される。
【0047】これにより得られた磁気記録媒体におい
て、反磁界を考慮しない磁化容易軸は、第1の磁性層で
ある金属磁性薄膜の主面に対して約25度傾斜してい
た。
【0048】その後、上述のようにして形成された第1
の磁性層上に、図4に示した連続巻き取り式蒸着機を再
び用いて第2の磁性層を形成した。このとき、第1の磁
性層が形成された非磁性支持体101を供給ロール10
5から繰り出させ、冷却キャン102上で金属磁性薄膜
が第2の磁性層として形成された。このとき、酸素導入
間109及びシャッタ108の位置を調節することによ
って、第2の磁性層である金属磁性薄膜の磁化容易軸方
向を制御した。具体的には、第2の磁性層は、反磁界を
考慮しない磁化容易軸が金属磁性薄膜の主面に対して約
−25度傾斜していた。
【0049】その後、上述のようにして形成された磁性
層上にスパッタあるいはCVD法によりカーボン膜を厚
さ約10nm形成した。
【0050】そして、非磁性支持体における磁性層が形
成された面とは反対側の面に、カーボンとウレタン樹脂
からなるバックコート層を0.6μmなる厚さに形成す
るとともに、カーボン膜表面にパーフルオロポリエーテ
ルよりなる潤滑剤を塗布し、その後、8mm幅に裁断し
てサンプルテープを完成した。
【0051】そして、上述したように作製されたサンプ
ルテープに対して、電磁変換特性の測定を行った。具体
的には、固定ヘッド上をサンプルテープが摺動しながら
走行するものを用い、各サンプルテープに記録波長0.
5μmにて情報信号を記録した後、シールド型MRヘッ
ドにより再生出力、ノイズレベル、エラーレートの測定
を行った。
【0052】再生に用いたMRヘッドのMR素子は、F
eNi−AMR(異方性磁気抵抗効果素子)であり、飽
和磁化は800emu/cc、膜厚は40nm、シール
ド材はNiZn、シールド間距離は0.17μmであ
る。また、トラック幅は18μm、アジマス角は25°
である。
【0053】実験例1 この実験例1では、第1の磁性層及び第2の磁性層の合
計の残留磁化Mrと膜厚tの積Mr・tの値を変化させ
たときの再生出力(記録波長0.5μm)、ノイズレベ
ル(キャリア信号から1MHz下がった周波数での値)
を測定した。この結果を表1に示す。
【0054】なお、比較例1はMr・tが0.5mem
u/cm2 の場合、実施例1はMr・tが1.0mem
u/cm2 の場合、実施例2はMr・tが2.0mem
u/cm2 の場合、実施例3はMr・tが3.0mem
u/cm2 の場合、実施例4はMr・tが4.0mem
u/cm2 の場合、実施例5はMr・tが5.0mem
u/cm2 の場合、実施例6はMr・tが6.0mem
u/cm2 の場合、比較例2はMr・tが7.0mem
u/cm2 の場合である。また、再生出力、ノイズレベ
ルは、実施例1の値を基準としている。エラーレート
は、シンボルエラーレート(Symbol Error Rate) を示
す。
【0055】
【表1】
【0056】この表1からも明らかなように、Mr・t
の値が1memu/cm2 未満(比較例1)であると、
十分な再生出力が得られず、また、6memu/cm2
を越える(比較例2)と、MR素子が飽和して再生波形
が歪み、エラーレートが劣化する。そのため、Mr・t
の値としては、1〜6memu/cm2 が望ましいと言
える。
【0057】この実験例1はMr・tの規定に関するも
のであるが、同じMr・tでも数字的には無数の組合せ
が存在する。そこで、より具体的に、第1の磁性層及び
第2の磁性層の合計の膜厚及び残留磁化量について検討
を加えた。
【0058】実験例2 この実験例2では、特に、第1の磁性層及び第2の磁性
層の合計の膜厚tを変化させたときの再生出力、ノイズ
レベル、エラーレートを測定した。その結果を表2に示
す。ここで、再生出力、ノイズレベルは、実施例7を基
準とした値である。また、このとき、第1の磁性層及び
第2の磁性層の合計の残留磁化は360emu/ccに
統一している。
【0059】
【表2】
【0060】比較例4のように、膜厚tが150nm以
上の場合には、MR素子が飽和してしまい、波形に歪み
を生じてしまう。また、比較例3のように、膜厚tが2
0nmの場合には、十分な再生出力が得られず、また保
磁力も劣化するため、分解能が低下する傾向にある。こ
れらの結果から、第1の磁性層及び第2の磁性層の合計
の膜厚tは、30〜120nmが最適である。
【0061】実験例3 この実験例3では、特に、第1の磁性層及び第2の磁性
層の合計の合計の残留磁化を変化させたときの再生出
力、ノイズレベル、エラーレートを測定した。その結果
を表3に示す。ここで、再生出力、ノイズレベルは、実
施例13を基準とした値である。また、このとき、第1
の磁性層及び第2の磁性層の合計の膜厚tは、120n
mに統一している。
【0062】
【表3】
【0063】比較例5のように残留磁化量Mrが小さい
と、実施例に比較して十分な再生出力が得られず、ま
た、比較例6のように残留磁化量Mrが大きすぎると、
結果として保磁力が低下してノイズが高くなり、分解能
が低下する。この結果から、第1の磁性層及び第2の磁
性層の合計の残留磁化量Mrは、200〜400mem
u/ccが最適である。
【0064】実験例4 この実験例4では、第1の磁性層及び第2の磁性層の膜
厚比(第1の磁性層/第2の磁性層)を変化させたとき
の双方向の再生出力を測定した。その結果を表4に示
す。ここで、双方向の再生出力としては、図2及び図3
中矢印Aで示す方向の再生出力(表4において「A方向
再生出力」と表記する。)と図2及び図3中矢印Bで示
す方向の再生出力(表4において「B方向再生出力」と
表記する。)とを測定した。また、これら、A方向再生
出力及びB方向再生出力の差の絶対値(表4において
「|A−B|」と表記する。)を算出した。ここで、A
方向再生出力及びB方向再生出力は、実施例21におけ
るA方向再生出力を基準とした値である。このとき、第
1の磁性層及び第2の磁性層の合計の膜厚は120n
m、第1の磁性層及び第2の磁性層の合計の残留磁化は
360memu/ccに統一している。
【0065】
【表4】
【0066】この表4から明らかなように、第1の磁性
層/第2の磁性層の値が1.0〜4.0の範囲内にある
場合には、|A−B|の値が2dB以内となり、且つ、
エラーレートも双方向においてほぼ同一の値となる。言
い換えると、A方向再生出力及びB方向再生出力を同等
のレベルにし、エラーレートを揃えるには、第1の磁性
層/第2の磁性層の値を2.0に近づけることがより好
ましい。
【0067】実験例5 この実験例5では、サンプルテープの面内方向における
保磁力を変化させたときの再生出力、ノイズレベル、エ
ラーレートを測定した。その結果を表5に示す。ここ
で、再生出力、ノイズレベルは、実施例24を基準とし
た値である。また、このとき、第1の磁性層及び第2の
磁性層の合計の膜厚tは、120nmに統一している。
【0068】
【表5】
【0069】比較例9では、保磁力が小さく、ノイズレ
ベルが高い。比較例10では、保磁力が大きくなりすぎ
て記録が困難になり、再生出力の低下が認められる。し
たがって、保磁力は、1000Oeから2500Oeの
範囲が望ましい。
【0070】なお、表5には、保磁力を変化させたとき
の面内方向で測定した角形比を示すが、再生出力とノイ
ズレベルの観点から、0.6〜0.9の範囲が望まし
い。
【0071】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明においては、複数の磁性層を有する磁気記録媒体を磁
気抵抗効果型磁気ヘッドの特性に合わせて最適化してい
るので、磁気抵抗効果素子の飽和を防ぎ、高出力、低ノ
イズを実現可能である。
【0072】特に、磁気抵抗効果型磁気ヘッドを、テー
プ状磁気記録媒体の双方向記録システムに用いること
で、これまでにない高密度記録システムを構築すること
が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る磁気記録媒体の再生方法に適用さ
れる磁気記録媒体の要部断面図である。
【図2】本発明に係る磁気記録媒体の再生方法における
MRヘッドと磁気記録媒体との関係を示す概略構成図で
ある。
【図3】本発明に係る磁気記録媒体の再生方法における
MRヘッドの基本的な構成を示す概略構成図である。
【図4】連続巻き取り式蒸着機の構成を示す概略構成図
である。
【符号の説明】
1 磁気記録媒体、2 非磁性支持体、3 第1の磁性
層、4 第2の磁性層、5 MRヘッド、6 テープリ
ール、7 ガイドローラ、8 MR素子

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の磁性層を有してテープ状に形成さ
    れてなり、長手方向の双方向に走行する磁気記録媒体に
    対して、 磁気抵抗効果素子を有する磁気抵抗効果型磁気ヘッドを
    用いて再生を行うことを特徴とする磁気記録媒体の再生
    方法。
  2. 【請求項2】 上記磁気記録媒体は、基板上に形成され
    た第1の磁性層と、この第1の磁性層上に形成された第
    2の磁性層とを有し、 上記第1の磁性層の磁化容易軸が上記磁気記録媒体の主
    面に対して長手方向の一方向とほぼ一致する方向に傾斜
    しているとともに、上記第2の磁性層の磁化容易軸が上
    記磁気記録媒体の主面に対して長手方向の他方向とほぼ
    一致する方向に傾斜しているを特徴とする請求項1記載
    の磁気記録媒体の再生方法。
  3. 【請求項3】 上記第1の磁性層の膜厚をt1とし、上
    記第2の磁性層の膜厚をt2ととしたときに、t1/t2
    が1.0〜4.0であることを特徴とする請求項2記載
    の磁気記録媒体の再生方法。
  4. 【請求項4】 上記磁性層の残留磁化量Mr及び磁性層
    の膜厚tとの積が1〜6memu/cm2であることを
    特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体の再生方法。
  5. 【請求項5】 上記磁性層の膜厚tが30〜120nm
    であることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体の
    再生方法。
  6. 【請求項6】 上記磁性層の残留磁化量Mrが200〜
    400memu/ccであることを特徴とする請求項1
    記載の磁気記録媒体の再生方法。
  7. 【請求項7】 面内方向での保磁力が1000〜250
    0Oeであることを特徴とする請求項1記載の磁気記録
    媒体の再生方法。
  8. 【請求項8】 面内方向での角形比が0.6〜0.9で
    あることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体の再
    生方法。
JP12788498A 1998-05-11 1998-05-11 磁気記録媒体の再生方法 Pending JPH11328645A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12788498A JPH11328645A (ja) 1998-05-11 1998-05-11 磁気記録媒体の再生方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12788498A JPH11328645A (ja) 1998-05-11 1998-05-11 磁気記録媒体の再生方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11328645A true JPH11328645A (ja) 1999-11-30

Family

ID=14971043

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP12788498A Pending JPH11328645A (ja) 1998-05-11 1998-05-11 磁気記録媒体の再生方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11328645A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002157798A (ja) * 2000-11-16 2002-05-31 Tdk Corp 磁気テープ検査装置
US7297421B2 (en) 2003-08-29 2007-11-20 Sony Corporation Evaporation type magnetic recording medium and magnetic recording and reproducing device
US7911739B2 (en) * 2008-09-25 2011-03-22 International Business Machines Corporation Writing and reading multi-level patterned magnetic recording media
US8031425B2 (en) 2009-11-10 2011-10-04 International Business Machines Corporation Writing and reading multi-layer continuous magnetic recording media, with more than two recording layers
US8085502B2 (en) 2009-11-10 2011-12-27 International Business Machines Corporation Writing and reading multi-level patterned magnetic recording media, with more than two recording levels
US8107194B2 (en) * 2008-09-24 2012-01-31 International Business Machines Corporation Writing and reading multi-layer continuous magnetic recording media
US8159776B2 (en) 2007-04-20 2012-04-17 Hitachi Maxell, Ltd. Magnetic tape driving apparatus comprising a tape separation portion that separates a magnetic tape from a magnetoresistive head unit

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002157798A (ja) * 2000-11-16 2002-05-31 Tdk Corp 磁気テープ検査装置
US7297421B2 (en) 2003-08-29 2007-11-20 Sony Corporation Evaporation type magnetic recording medium and magnetic recording and reproducing device
US8159776B2 (en) 2007-04-20 2012-04-17 Hitachi Maxell, Ltd. Magnetic tape driving apparatus comprising a tape separation portion that separates a magnetic tape from a magnetoresistive head unit
US8107194B2 (en) * 2008-09-24 2012-01-31 International Business Machines Corporation Writing and reading multi-layer continuous magnetic recording media
US8243390B2 (en) 2008-09-24 2012-08-14 International Business Machines Corporation Reading multi-layer continuous magnetic recording media
US7911739B2 (en) * 2008-09-25 2011-03-22 International Business Machines Corporation Writing and reading multi-level patterned magnetic recording media
US8213119B2 (en) 2008-09-25 2012-07-03 International Business Machines Corporation Writing and reading multi-level patterned magnetic recording media
US8031425B2 (en) 2009-11-10 2011-10-04 International Business Machines Corporation Writing and reading multi-layer continuous magnetic recording media, with more than two recording layers
US8085502B2 (en) 2009-11-10 2011-12-27 International Business Machines Corporation Writing and reading multi-level patterned magnetic recording media, with more than two recording levels

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8208217B2 (en) Magnetic recording medium and magnetic recording/reproducing system
JPH11328645A (ja) 磁気記録媒体の再生方法
US20050266273A1 (en) Magnetic recording medium
JPH11203631A (ja) 磁気抵抗効果型磁気ヘッド及びこれを用いた記録再生装置
US7483244B2 (en) Helical scan tape system with particular distance between MR element and shield layers
US6071608A (en) Tape-type magnetic recording medium and method of reproducing signal by using the tape magnetic recording medium
US7258935B2 (en) Magnetic recording medium
JP2988188B2 (ja) 磁気記録媒体およびその製造方法
US5981055A (en) Tape-type magnetic recording medium and signal reproducing method using the same
JP2004046928A (ja) 磁気記録媒体
JP4423483B2 (ja) 磁気記録媒体
JP3206322B2 (ja) 磁気ヘッドおよび磁気記録再生装置
JP2001143236A (ja) 磁気記録媒体及びその製造方法
JPS61187122A (ja) 磁気記録媒体
JP3203943B2 (ja) 磁気記録再生装置
JP2970219B2 (ja) 磁気記録媒体とその製造方法
JP2004039195A (ja) 磁気記録媒体
US20040214045A1 (en) Magnetic recording medium
JP2006134396A (ja) リニアテープシステム
JP2004220707A (ja) 磁気記録媒体
JP2004355784A (ja) 磁気記録媒体
JPH10275301A (ja) 磁気記録方法
JP2001023143A (ja) 磁気記録媒体及びその記録再生方法
JP2003338026A (ja) 磁気記録媒体
JPH04353621A (ja) 磁気記録媒体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050217

A977 Report on retrieval

Effective date: 20061012

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20061017

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20070227