JPH11322848A - 低複屈折光学部材およびその製造方法 - Google Patents

低複屈折光学部材およびその製造方法

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JPH11322848A
JPH11322848A JP10133168A JP13316898A JPH11322848A JP H11322848 A JPH11322848 A JP H11322848A JP 10133168 A JP10133168 A JP 10133168A JP 13316898 A JP13316898 A JP 13316898A JP H11322848 A JPH11322848 A JP H11322848A
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JP10133168A
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Satoshi Ezaki
聡 江崎
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Mitsubishi Chemical Corp
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐衝撃性に優れ、大面積のシートを成形し得
る液晶表示パネル用板等の低複屈折光学部材の提供。 【解決手段】 下記成分A、成分Bおよび成分Cを含有
する組成物の光重合硬化物からなることを特徴とする低
複屈折光学材料。 成分(A):特定の脂環式炭化水素骨格ビスメタアクリ
レート92〜99.9重量部 成分(B):特定のメルカプト化合物0.1〜8重量部 成分(C):特定の有機過酸化物0.01〜1.0重量

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光学用部材、特に液
晶表示パネルに適した高耐衝撃性低複屈折光学部材に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来使用されている液晶表示用パネルは
ガラス板を基板とするものであるが、このようなパネル
ではガラスの低密度化と機械的強度の向上に関して限界
があるため現在要望されている軽量、薄型化への対応が
難しい。また生産性の向上に関しても成形性、加工性の
観点から問題点が指摘されており、プラスチックを基板
として用いたパネルに注目が集まっている。しかし、プ
ラスチック基板には下記のような問題点が挙げられる。 液晶表示に適した透明性と光学的等方性に欠ける。 耐熱性に劣る。
【0003】特に光学的等方性に関しては、ガラス板の
複屈折Δn・dが1nm以下であるのに対し、プラスチ
ック板では10nmを超えているのが現状である。この
複屈折性の問題は、なんらかの延伸操作あるいは材料の
流動操作が樹脂になされる成形法ではそれを解消するの
は難しく、また比較的厚い基板(たとえば0.4mm以
上)を使用する際には熱可塑性樹脂の押し出し成形やベ
ルト成形では成形が困難である。一方熱硬化性樹脂を用
いた場合には、成形時間が数時間かかるという生産上の
問題がある。
【0004】この問題を解決する手段として、分子内に
2個以上のラジカル反応性不飽和結合を有する(メタ)
アクリレート化合物と分子内に2個以上のチオール基を
有するメルカプト化合物よりなる樹脂組成物を、光ラジ
カル重合開始剤の存在下活性エネルギー線により重合硬
化させることにより低複屈折光学部材を得る方法が提案
されている(特願平9−152510号公報)。この系
はガラス基板と比較して耐衝撃性に優れており、液晶表
示パネルの基板として好ましく用いられるものの、成形
・加工工程においてなお破損するおそれがあるため、生
産性が一定以上向上しない問題があった。特にA3サイ
ズ以上の大面積シートの成形後の脱型工程において、基
板の機械強度不足によるワレやカケは、歩留まりを低下
させる大きな要因であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記の問題点
を解決し、耐衝撃性に優れ、大面積のシートを成形し得
る液晶表示パネル用板等の低複屈折光学部材を提供する
ことにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記問題点
を解決するために鋭意検討を行った結果、分子内に2個
以上のラジカル反応性不飽和結合を有する脂環式炭化水
素骨格(メタ)アクリレート化合物、分子内に2個以上
のチオール基を有するメルカプト化合物および特定の構
造を有する有機過酸化物を重合硬化させることにより目
的とする高耐衝撃性低複屈折光学部材が得られることを
見いだし、本発明に到達した。すなわち、本発明は、次
の低複屈折光学部材およびその製造方法を提供するもの
である。 下記成分A、成分Bおよび成分Cを含有する組成物
の光重合硬化物からなることを特徴とする低複屈折光学
部材。 成分(A):下記一般式[I]で示される脂環式炭化水
素骨格ビス(メタ)アクリレート92〜99.9重量
部。
【0007】
【化9】
【0008】[R1 およびR2 は、同一でも異なっても
よく、それぞれ水素またはCH3 、pは1または2の整
数、qは0または1] 成分(B):下式[II]および[III ]より選ばれる少
なくとも1種以上のメルカプト化合物0.1〜8重量
部。
【0009】
【化10】
【0010】[R3 は−CH2 −または−CH2 CH2
−を示し、R4 はC2-15炭化水素残基またはアルキルエ
ーテル残基、aは2〜6の整数]
【0011】
【化11】
【0012】[XはHS−(CH2 −)b (CO)−
(OCH2 CH2 d −(CH2 c −(b、dは1〜
8の整数、cは0〜2)] 成分(C):下記一般式[IV]で示される有機過酸化
物、全モノマー成分100重量部に対して0.01〜
1.0重量部。
【0013】
【化12】
【0014】[R5 およびR6 は同一でも異なってもよ
く、それぞれ酸素および/または芳香環を含んでもよい
炭化水素基、eは0または1]
【0015】
【発明の実施の形態】本発明は、特定の脂環式炭化水素
骨格ビス(メタ)アクリレート単量体と特定のメルカプ
ト化合物および特定の有機過酸化物とを含有する重合性
組成物の光重合硬化物からなる低複屈折光学部材および
その製造法に関する。ここで「含有する」ということ
は、本発明の趣旨を損なわない限り少量の補助成分を含
んでもよいことを意味するものである。すなわち、本発
明で特定する成分と共重合可能な他の単量体を、具体的
にはたとえばこの特定の3成分の100重量部につき3
0重量部程度までの量で、併用してもよいことを意味す
る。また各成分は、成分間および/または成分内におい
てその複数を併用してもよい。なお「(メタ)アクリ
ル」および「(メタ)アクリレート」は、アクリルない
しメタクリルおよびアクリレートないしメタクリレート
を総称するものである。 <成分(A):ビス(メタ)アクリレート>成分(A)
は、式[I]で示される脂環式炭化水素骨格ビス(メ
タ)アクリレートである。
【0016】
【化13】
【0017】式中の記号は、下記の意味を持つ。 R1 およびR2 :水素原子またはメチル基。R1 、R2
は同一でも異なってもよい。 p:1または2の整数。q:0または1。
【0018】式[I]に示される脂環式炭化水素骨格ビ
ス(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、ビス
(オキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6 ]デ
カン=ジアクリレート、ビス(オキシメチル)トリシク
ロ[5.2.1.02,6 ]デカン=ジメタクリレート、
ビス(オキシメチル)トリシクロ[2.2.1.
2, 6 ]デカン=アクリレートメタクリレートおよびこ
れらの混合物、ビス(オキシメチル)ペンタシクロ
[6.5.1.13,6 .02,7 .09,13]ペンタデカン
=ジアクリレート、ビス(オキシメチル)ペンタシクロ
[6.5.1.13,6 .0 2,7 ,09,13]ペンタデカン
=ジメタクリレート、ビス(オキシメチル)ペンタシク
ロ[6.5.1.13,6 .02,7 ,09,13]ペンタデカ
ン=アクリレートメタクリレートおよびこれらの混合物
等が挙げられる。これらのトリシクロデカン化合物およ
びペンタシクロデカン化合物は、群内および/または群
間で2種以上併用してもよい。これらの化合物は、たと
えば特開昭62−225508号公報に示されている手
法で合成することができる。
【0019】<成分(B):メルカプト化合物>成分
(B)は式[II]および[III ]で示される分子内に2
個以上のチオール基を有するメルカプト化合物より選ば
れる少なくとも1種以上のメルカプト化合物である。
【0020】
【化14】
【0021】式中の記号は、下記の意味を持つ。 R3 :メチレン基またはエチレン基。 R4 :エーテル酸素、チオエーテル硫黄を含んでもよい
炭素数2〜15の炭化水素残基。好ましくは炭素数2〜
6の炭化水素残基。 a:2〜6の整数。 X:HS−(CH2 −)b (CO)−(OCH2
2 d −(CH2 c −(b、dは1〜8の整数、c
は0〜2)
【0022】式[II]に示されるメルカプト化合物は、
例えば2〜6価のチオグリコール酸エステルまたは2〜
6価のチオプロピオン酸エステルを挙げることができ、
これ等が好ましい化合物である。式[II]の化合物の具
体例としては、たとえばペンタエリスリトールテトラキ
ス(β−チオプロピオネート)、ペンタエリスリトール
テトラキス(チオグリコレート)、トリメチロールプロ
パントリス(β−チオプロピオネート)、トリメチロー
ルプロパントリス(チオグリコレート)、ジエチレング
リコールビス(β−チオプロピオネート)、ジエチレン
グリコールビス(チオグリコレート)、トリエチレング
リコールビス(β−チオプロピオネート)、トリエチレ
ングリコール(チオグリコレート)、ジペンタエリスリ
トールヘキサキス(β−チオプロピオネート)、ジペン
タエリスリトールヘキサキス(チオグリコレート)等が
挙げられる。
【0023】式[III ]の化合物は、例えば、ω−SH
基含有イソシアヌレートを挙げることができ、これらが
好ましい化合物である。式[III ]の化合物の具体例と
しては、たとえば、トリス[2−(β−チオプロピオニ
ルオキシ)エチル]イソシアヌレート、トリス(2−チ
オグリコニルオキシエチル)イソシアヌレート、トリス
[2−(β−チオグリコニルオキシエトキシ)エチル]
イソシアヌレート、トリス(2−チオグリコニルオキシ
エトキシエチル)イソシアヌレート、トリス[3−(β
−チオプロピオニルオキシ)プロピル]イソシアヌレー
ト、トリス(3−チオグリコニルオキシプロピル)イソ
シアヌレート等が挙げられる。
【0024】前記成分(A)の脂環式炭化水素骨格ビス
(メタ)アクリレートは、それ単独でも重合させること
ができるが、得られる硬化樹脂は複屈折が大きく、ま
た耐衝撃性などの機械強度に劣る欠点がある。前記一
般式[II]ないし[III ]で表される成分(B)のメル
カプト化合物を配合することにより、メルカプト化合物
中のチオール基が連鎖移動剤として作用し、重合硬化を
おだやかに均一に進行させ、硬化樹脂の複屈折を大幅に
軽減することができる。また前記[I]の脂環式炭化水
素骨格ビス(メタ)アクリレート化合物により形成され
る3次元網目構造に入り込み、適度な靱性を付与するこ
とが可能である。本発明では分子内に2個以上のチオー
ル基を有する、すなわち多官能性のメルカプト化合物を
用いているため、得られる硬化物の耐熱性を大きく損な
うことなく、上記の複屈折の問題をまず解決すること
ができる。
【0025】本発明におけるメルカプト化合物の組成割
合は、全モノマー成分100重量部に対し0.1〜8重
量部、好ましくは1〜8重量部になるようにする。メル
カプト化合物の割合が少なすぎると硬化樹脂の複屈折改
良効果が得られなくなるし、逆に多すぎると硬化樹脂の
耐熱性が低くなる。
【0026】<成分(C):有機過酸化物>成分(C)
は、式[IV]で示される有機過酸化物である。
【0027】
【化15】
【0028】式中の記号は、下記の意味を持つ。 R5 、R6 :酸素および/または芳香環を含んでもよい
炭化水素基。R5 、R 6 は同一でも異なってもよい。 e:0または1。 式[IV]で示される有機過酸化物の具体例としては、ジ
−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキ
シド、ジクルミルペルオキシド、2,5−ジメチル−
2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、ビス
(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、t−
ブチルペルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシイ
ソブチレート、t−ブチルペルオキシネオデカノエー
ト、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエー
ト、t−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘ
キサノエート、t−ブチルペルオキシラウレート、t−
ブチルペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルオキシ
マレイン酸、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボ
ネート、t−ブチルペルオキシネオヘキサノエート、ジ
−t−ブチルペルオキシイソフタレート、2,5−ジメ
チル−2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、
t−ヘキシルペルオキシネオヘキサノエート、t−ヘキ
シルペルオキシネオデカノエート、クミルペルオキシネ
オデカノエート、クミルペルオキシオクトエート、クミ
ルペルオキシネオヘキサノエート、およびその混合物等
が挙げられる。
【0029】これらの化合物のうち、50℃における半
減期が100時間以上であり、かつ100℃における半
減期が1時間以上20時間以下の化合物がより好ましく
用いられ、その具体例としては、t−ブチルペルオキシ
アセテート、t−ブチルペルオキシイソブチレート、t
−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−
ブチルペルオキシベゾエート、ジ−t−ブチルペルオキ
シイソフタレート、t−ブチルペルオキシマレイン酸、
t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネートおよび
その混合物等が挙げられる。
【0030】本発明は成分(C)の有機過酸化物を配合
することを特徴とする。成分(C)の有機過酸化物を配
合することにより、硬化物の耐衝撃性等の機械強度を大
幅に向上させることができる。その耐衝撃性等の機械強
度が向上するメカニズムは必ずしも明らかではないが、
活性エネルギー線硬化過程において生じる反応熱により
成分(C)が分解してラジカルを発生させて成分(A)
および成分(B)の硬化を促進させ、しかもその成分
(C)によって生成する硬化網目分子鎖には、その長さ
が、活性エネルギー線によって生成する硬化網目分子鎖
の長さよりも大きいものが混在するために、結果として
硬化物中に弾性率の異なる部分が適度に分散することに
より、硬化物の機械強度が向上するものと推定される。
【0031】本発明における有機過酸化物の組成割合
は、全モノマー成分100重量部に対し0.01〜1.
0重量部、好ましくは0.1〜0.5重量部、更に好ま
しくは0.2〜0.3重量部である。有機過酸化物の割
合が少なすぎると硬化樹脂の耐衝撃性等の機械強度を向
上させる効果が得られなくなるし、逆に多すぎると硬化
樹脂の色相が悪化し、また機械強度が逆に低下し好まし
くない。
【0032】本発明における有機過酸化物の50℃にお
ける半減期は、100時間以上である場合がより好まし
い。100時間未満であると室温における保存安定性が
低下しやすくなる。また本発明における有機過酸化物の
100℃における半減期は、1時間以上20時間以下で
あるとより好ましい。100℃における半減期がこれよ
り短いと、硬化促進の速度が大きくなりすぎることがあ
り、硬化樹脂成形品にヒケやゆがみを生じやすくなる。
逆に長いと硬化樹脂の耐衝撃性等の機械強度を向上させ
る効果が小さくなりやすくなる。
【0033】<補助成分>本発明による低複屈折材料は
成分(A)、(B)および(C)を含有する組成物を重
合硬化させてなるものであり、この組成物が少量の補助
成分を含んでもよいことは前記したところである。従っ
て本発明の低複屈折部材用樹脂組成物は、その硬化前の
組成物100重量部に対し30重量部程度までの量でラ
ジカル重合可能な他の単量体を混合して共重合させて製
造することも可能である。その際に用いる他の単量体と
しては、たとえばメチル(メタ)アクリレート、フェニ
ル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、メタクリロイルオキシメチルテトラ
シクロデカン、メタクリロイルオキシメチルテトラシク
ロドデセン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
1,6−ヘキセンジオールジ(メタ)アクリレート、
2,2−ビス[4−(β−メタクリロイルオキシエトキ
シ)フェニル]プロパン、2,2′−ビス[4−(β−
メタクリロイルオキシエトキシ)シクロヘキシル]プロ
パン、1,4−ビス(メタクリロイルオキシメチル)シ
クロヘキサン、トリメチロールプロパントリ(メタ)ア
クリレート等の(メタ)アクリレート化合物、スチレ
ン、クロルスチレン、ジビニルベンゼン、α−メチルス
チレン等の核および(または)側鎖置換および非置換ス
チレン等が挙げられる。これらの他の単量体の中でもメ
タクリロイルオキシメチルシクロドデカン、2,2−ビ
ス[4−(β−メタクリロイルオキシエトキシ)フェニ
ル]プロパン、2,2−ビス[4−(β−メタクリロイ
ルオキシエトキシ)シクロヘキシル]プロパン、1,4
−ビス(メタクリロイルオキシメチル)シクロヘキサ
ン、およびこれらの混合物が特に好ましい。補助成分と
しては、その他にも、酸化防止剤、紫外線吸収剤、染顔
料、可塑剤、充填剤、チクソトロピー性付与剤、離型
剤、消泡剤、レベリング剤などがある。
【0034】<重合硬化>本発明における成分A、Bお
よびCからなる組成物は成形されて硬化される。その硬
化は、紫外線等の活性エネルギー線によりラジカルを発
生する光重合開始剤を添加するラジカル重合法が望まし
い。その際に用いる光重合開始剤としては、たとえばベ
ンゾフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾイン
イソプロピルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、1
−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,6−
ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、
2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィ
ンオキシド等が挙げられる。好ましい光重合開始剤とし
ては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホ
スフィンオキシドM、ベンゾフェノンである。
【0035】光重合開始剤は2種以上を併用してもよ
い。これらの光重合開始剤の添加量は、モノマー100
重量部に対し0.01〜1重量部、好ましくは0.02
〜0.3重量部である。光重合開始剤の添加量が多すぎ
ると、重合が急激に進行し複屈折の増大をもたらすだけ
でなく色相も悪化する。また少なすぎると組成物を十分
に硬化させることができなくなる。照射する活性エネル
ギー線の量は、光重合開始剤がラジカルを発生させる範
囲であれば任意であるが、極端に少ない場合は重合が不
完全なため硬化物の耐熱性、機械特性が十分に発現され
ず、逆に極端に過剰な場合は硬化物の黄変等の光による
劣化を生じるので、モノマーの組成および光重合開始剤
の種類、量に合わせて200〜400nmの紫外線を好
ましくは0.1〜200jの範囲で照射する。活性エネ
ルギー線を複数回に分割して照射すると、より好まし
い。すなわち1回目に全照射量の1/20〜1/3程度
を照射し、2回目以降に必要残量を照射すると、複屈折
のより小さな硬化物が得られる。使用するランプの具体
例としては、メタルハライドランプ、高圧水銀灯ランプ
等を挙げることができる。
【0036】硬化を速やかに完了させる目的で、熱重合
を併用してもよい。すなわち光照射と同時に組成物並び
に型全体を30〜300℃の範囲で加熱する。この場合
は重合をよりよく完結するためにラジカル重合開始剤を
添加してもよいが、過剰な使用は複屈折の増大と色相の
悪化をもたらす。熱重合開始剤の具体例としてはベンゾ
イルペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネ
ート等が挙げられ、使用量はモノマー100重量部に対
して1重量部以下が好ましい。
【0037】更に本発明において光照射によるラジカル
重合を行った後、硬化物を加熱することにより重合反応
の完結および重合時に発生する内部歪を低減することも
可能である。加熱温度は、硬化物の組成やガラス転移温
度に合わせて適宜選択されるが、過剰な加熱は硬化物の
色相悪化をもたらすため、ガラス転移温度付近かそれ以
下の温度が好ましい。
【0038】本発明によって得られる硬化物の表面に
は、種々の方法により、ガスバリア膜を形成することが
でき、ガスバリア付き光学部材として利用することがで
きる。ガスバリア膜としては公知のものが使用できる。
例えば、SiOxなどのケイ素酸化物あるいはPVAや
アクリル樹脂などを単層あるいは積層することが可能で
ある。
【0039】本発明によって得られる硬化物の表面には
種々の手法により各種透明導電膜を形成することがで
き、透明電極付光学部材として利用することができる。
硬化物の表面に形成できる透明導電膜には特に制限はな
いが、例えばAu、Ag、Cu、Pd、Al、Cr、R
h等の金属導電膜、In2 3 、SnO2 、Cd2 Sn
4 、CdO等の酸化物半導電体膜が挙げられる。これ
らのうちIn23 、SnO2 およびCd2 SnO4
導電性、透明性および膜強度等の面で好ましく、さらに
In2 3 にSnをドープしたいわゆるITOが最も好
ましい。透明導電膜を形成する手法としては特に制限は
ないが、例えばスプレー法、気相反応法(CVD法)、
塗布法等の化学的成膜法、真空蒸着法、スパッタリング
法等の物理的成膜法が挙げられる。
【0040】本発明によって得られる光学部材は、複屈
折が小さく耐衝撃性が良好で、かつ透明性に優れる。従
って、ディスプレイパネル板、液晶パネル板、各種レン
ズ、プリズム光ファイバー、光学フィルタ、光ディスク
等多くの光学部材に用いることができる。また本発明に
よって得られる透明電極付光学部材は、透明導電膜の硬
化物表面に対する密着性に優れ、また透明性も良好であ
るので、ディスプレイパネル板や液晶パネル板等に有利
に利用できる。
【0041】
【実施例】以下の実施例は本発明をより具体的に説明す
るためのものである。なお例中の部は重量部を示す。ま
た実施例に記載の硬化物の諸物性は下記の試験法により
測定された。 (1)光線透過率 500nmにおける光線硬化率を測
定した。 (2)複屈折 複屈折測定装置(オーク社製)を用いて
25℃で測定した。 (3)耐熱性 ビカット軟化試験において120℃以下
で圧子が0.3mm以上進入したものを×、しなかった
ものを○とした。圧子断面積1.0mm2 、荷重5k
g、昇温速度50℃/Hr。 (4)曲げ弾性率 幅1cmの板について支点間距離3
cmにてオートグラフ試験装置を用いて25℃で測定し
た。 (5)耐衝撃性 40mm角の板をサンプルとし、落球
試験機(東京精密社製)を用いて8gの鋼球を高さ10
cmの位置から落下させてサンプルに衝撃を与える。鋼
球を落下させる位置を10cmずつ高くし、破壊するま
で落球を繰り返す。落球衝撃強度=(サンプルが破壊し
たときの落球高さ)−10cmとする。 (6)脱型性 脱型する際に硬化物にクラックが入った
ものを×とした。 (7)酸素透過率 ASTN D3985に準じてモダ
ンコントロール社OX−TRAN100を用いて、23
℃−80%RH条件下で測定した。 (8)抵抗値 三菱化学製ロレスタを用いて測定した。
【0042】[実施例1]ビス(オキシメチル)トリシ
クロ[5.2.1.02,6 ]デカン=ジメタクリレート
95部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−チオプ
ロピオネート)5部、t−ブチルペルオキシイソブチレ
ート0.2部、光開始剤として2,4,6−トリメチル
ベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(BASF社
製「ルシリンTPO」)0.05部、ベンゾフェノン
0.02部を均一に攪拌混合した後、脱泡して組成物を
得た。この組成物を2枚の光学研磨ガラス板および厚さ
1mmのシリコンスペーサーで構成された型に注液し、
ガラス面より距離40cmで上下にある出力40W/c
mのメタルハライドランプの間にて1分間紫外線を照射
し、引き続き同様に出力80W/cmのメタルハライド
ランプの間で5分間照射した。紫外線照射後脱型し、1
20℃で1時間加熱して硬化物を得た。硬化物の諸特性
は表1に示すとおりであった。
【0043】[実施例2]ペンタエリスリトールテトラ
キス(β−チオプロピオネート)5部の代わりにトリス
[2−(β−チオプロピオニルオキシ)エチル]イソシ
アヌレート5部を用いた以外は実施例1と同様にして硬
化物を得た。硬化物の諸特性は表1に示すとおりであっ
た。
【0044】[実施例3]実施例1で得られた1mm厚
の硬化物上に、スパッタリング装置(徳田製作所;形式
CFS−4ES)にてSiO2 を200オングストロー
ム成膜した。得られたシートの諸特性は表1に示すとお
りであった。また得られたシートの酸素透過率は1cc
/m2 ・24h・atmであった。
【0045】[実施例4]実施例1で得られた1mm厚
の硬化物上に、スパッタリング装置(徳田製作所;形式
CFS−4ES)にてITOを1500オングストロー
ム成膜した。得られたシートの諸特性は表1に示すとお
りであった。また得られたシートの表面抵抗値は30Ω
/□であった。
【0046】[実施例5]実施例1で得られた1mm厚
の硬化物上に、スパッタリング装置(徳田製作所;形式
CFS−4ES)にてSiO2 を200オングストロー
ム成膜し、さらにその上に同じ装置を用いてITOを1
500オングストローム成膜した。得られたシートの諸
特性は表1に示すとおりであった。また得られたシート
の酸素透過率は1cc/m2 ・24h・atmであり、
表面抵抗値は30Ω/□であった。
【0047】[比較例1]ビス(オキシメチル)トリシ
クロ[5.2.1.02,6 ]デカン=ジメタクリレート
100部を用いて、メルカプト化合物および有機過酸化
物を配合せず、実施例1と同様にして硬化物を得た。硬
化物の諸特性は表1に示すとおりであった。
【0048】[比較例2]ビス(オキシメチル)トリシ
クロ[5.2.1.02,6 ]デカン=ジメタクリレート
95部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−チオプ
ロピオネート)5部を用いて、有機過酸化物を配合せ
ず、実施例1と同様にして硬化物を得た。硬化物の諸特
性は表1に示すとおりであった。
【0049】[比較例3]ビス(オキシメチル)トリシ
クロ[5.2.1.02,6 ]デカン=ジメタクリレート
80部、ペンタエリスリトールテトラキス(β−チオプ
ロピオネート)20部、t−ブチルペルオキシイソブチ
レート0.1部を用いた以外は実施例1と同様にして硬
化物を得た。硬化物の諸特性は表1に示すとおりであっ
た。
【0050】[比較例4]t−ブチルペルオキシイソブ
チレート0.2部の代わりにベンゾイルペルオキシド
0.2部を用いた以外は実施例1と同様にして硬化物を
得た。硬化物の諸特性は表1に示すとおりであった。
【0051】
【表1】
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G02F 1/1333 500 G02B 1/10 Z

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記成分A、成分Bおよび成分Cを含有
    する組成物の光重合硬化物からなることを特徴とする低
    複屈折光学部材。 成分(A):下記一般式[I]で示される脂環式炭化水
    素骨格ビス(メタ)アクリレート92〜99.9重量
    部。 【化1】 [R1 およびR2 は、同一でも異なってもよく、それぞ
    れ水素またはCH3 、pは1または2の整数、qは0ま
    たは1] 成分(B):下式[II]および[III ]より選ばれる少
    なくとも1種以上のメルカプト化合物0.1〜8重量
    部。 【化2】 [R3 は−CH2 −または−CH2 CH2 −を示し、R
    4 はC2-15炭化水素残基またはアルキルエーテル残基、
    aは2〜6の整数] 【化3】 [XはHS−(CH2 −)b (CO)−(OCH2 CH
    2 d −(CH2 c −(b、dは1〜8の整数、cは
    0〜2)] 成分(C):下記一般式[IV]で示される有機過酸化
    物、全モノマー成分100重量部に対して0.01〜
    1.0重量部 【化4】 [R5 およびR6 は同一でも異なってもよく、それぞれ
    酸素および/または芳香環を含んでもよい炭化水素基、
    eは0または1]
  2. 【請求項2】 有機過酸化物が、温度50℃における半
    減期が100時間以上であり、かつ温度100℃におけ
    る半減期が1時間以上20時間以下である有機過酸化物
    である請求項1に記載の低複屈折光学部材。
  3. 【請求項3】 低複屈折光学部材が液晶表示パネル用板
    である請求項1記載の低複屈折光学部材。
  4. 【請求項4】 光重合硬化物表面にガスバリア膜が成膜
    されてなる請求項1記載の低複屈折光学部材。
  5. 【請求項5】 光重合硬化物表面に透明電極が成膜され
    てなる請求項1記載の低複屈折光学部材。
  6. 【請求項6】 光重合硬化物表面にガスバリア膜と透明
    電極膜が積層されてなる請求項1記載の低複屈折光学部
    材。
  7. 【請求項7】 下記成分A、成分Bおよび成分Cを含有
    する組成物に活性エネルギー線を照射して光重合硬化さ
    せることを特徴とする低複屈折光学部材の製造方法。 成分(A):下記一般式[I]で示される脂環式炭化水
    素骨格ビス(メタ)アクリレート92〜99.9重量
    部。 【化5】 [R1 およびR2 は、同一でも異なってもよく、それぞ
    れ水素またはCH3 、pは1または2の整数、qは0ま
    たは1] 成分(B):下式[II]および[III ]より選ばれる少
    なくとも1種以上のメルカプト化合物0.1〜8重量
    部。 【化6】 [R3 は−CH2 −または−CH2 CH2 −を示し、R
    4 はC2-15炭化水素残基またはアルキルエーテル残基、
    aは2〜6の整数] 【化7】 [XはHS−(CH2 −)b (CO)−(OCH2 CH
    2 d −(CH2 c −(b、dは1〜8の整数、cは
    0〜2)] 成分(C):下記一般式[IV]で示される有機過酸化
    物、全モノマー成分100重量部に対して0.01〜
    1.0重量部 【化8】 [R5 およびR6 は同一でも異なってもよく、それぞれ
    酸素および/または芳香環を含んでもよい炭化水素基、
    eは0または1]
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