JP3674236B2 - 液晶表示素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示素子、更に詳しくは光硬化性樹脂よりなる透明基板を使用した液晶表示素子に関する。本発明の液晶表示素子は、例えば、電子手帳、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ、タッチパネル等に好適に利用できる。
【0002】
【従来の技術】
従来の液晶表示素子は、液晶表示素子製造工程中に高温での処理工程があるため、それに耐える材料として一般にガラス基板が使用されている。しかしながら、ガラス基板においては、1.0mm以下の薄厚のものを液晶表示素子に用いる場合は、製造工程における取り扱いが難しく、製造中に破損するという問題があり、この傾向は、薄厚で大面積な基板においてはより顕著となる。そのため、大画面用液晶表示素子の場合は、ガラス基板の厚さを厚くすることで、破損を防止しているが、それでは基板自体が重くなり、結果的に液晶表示素子が重くなるという問題があり、基板の軽量化が望まれている。
【0003】
また、近年の技術開発により、液晶表示素子製造工程中での高温処理工程の温度が低い温度でできるようになってきたこと等より、軽量なプラスチックシート基板よりなる液晶表示素子が使用されてきている。このようなプラスチックシート基板としては、リターデーション値等に代表される光学特性に優れていること、表面粗さに代表される表面性に優れていること等が必要であり、例えば、特開昭61ー69028号公報及び特開平4ー208925号公報には、光学異方性がない樹脂としてのポリエーテルスルホン等よりなる基板を使用した液晶表示素子が提案されている。
【0004】
しかしながら、このようなプラスチックシート基板は、フィルムの厚さが0.1mm程度と薄い場合は、フィルムに腰がなく、平坦性が悪いという問題がある。このため、腰を持たせるため、このようなプラスチックシート基板を積層するか、シートを厚くして基板を用いることになるが、この場合、リターデーション値が大きくなり、液晶表示素子用の基板としては不適当となるという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑み従来のガラス基板やプラスチックシート基板に代わる良好な透明基板を使用した液晶表示素子を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本願発明は、対向する一対の光硬化性樹脂よりなる透明基板間に液晶層を介在してなることを特徴とする液晶表示素子に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の光硬化性樹脂よりなる透明基板を構成する光硬化性樹脂とは、紫外線等の照射によって硬化する樹脂である。具体的には、ラジカル反応性不飽和化合物を有するアクリレート化合物よりなる樹脂組成物、このアクリレート化合物とチオール基を有するメルカプト化合物よりなる樹脂組成物、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート等のオリゴマーを多官能アクリレートモノマーに溶融せしめた樹脂組成物等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0008】
このうち、式(1)で示される含イオウビス(メタ)アクリレート及び式(2)で示される脂環骨格ビス(メタ)アクリレートより選ばれる少なくとも1種のビス(メタ)アクリレートよりなる組成物が耐薬品性、剛性等の面で好ましい。なお「(メタ)アクリレート」は、アクリレートないしメタクリレートを総称するものである。
【0009】
【化6】
【0010】
[式(1)中、R1 及びR2 は、互に異っていてもよく、水素原子又はメチル基を示す。R3 は炭素鎖中に酸素原子及び/又は硫黄原子を有していてもよい炭素数1〜6の炭化水素基、好ましくは炭素数2〜4のアルキレン基を示す。R4 は炭素鎖中に酸素原子及び/又は硫黄原子を有していてもよい炭素数1〜6の炭化水素基、好ましくは炭素数1〜3のアルキレン基を示す。Xはハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を示し、aは0〜4の整数を示す。但しaが2以上の整数の場合には、複数のXは互に異っていてもよい。]
【0011】
上記の式(1)で示される化合物のいくつかを例示すれば、次の通りである。p−ビス(β−メタクリロイルオキシエチルチオメチル)ベンゼン、p−ビス(β−アクリロイルオキシエチルチオメチル)ベンゼン、m−ビス(β−メタクリロイルオキシエチルチオメチル)ベンゼン、m−ビス(β−アクリロイルオキシエチルチオメチル)ベンゼン、p−ビス(β−メタクリロイルオキシエチルオキシエチルチオメチル)ベンゼン、p−ビス(β−メタクリロイルオキシエチルチオエチルチオメチル)ベンゼン、p−ビス(β−メタクリロイルオキシエチルチオメチル)テトラブロムベンゼン、m−ビス(β−メタクリロイルオキシエチルチオメチル)テトラクロロベンゼン。これらの化合物は、例えば、特開昭62−195357号公報に開示されている方法で合成することができる。
【0012】
【化12】
【0013】
[式(2)中、R5 及びR6 は、互に異っていてもよく、水素原子又はメチル基を示す。bは1又は2を示し、cは0又は1を示す。]
【0014】
式(2)で示される化合物のいくつかを例示すれば、次の通りである。ビス(オキシメチル)トリシクロ〔5.2.1.02.6 〕デカン=ジアクリレート、ビス(オキシメチル)トリシクロ〔5.2.1.02.6 〕デカン=ジメタクリレート、ビス(オキシメチル)トリシクロ〔5.2.1.02.6 〕デカン=アクリレートメタクリレート、ビス(オキシメチル)ペンタシクロ〔6.5.1.13.6 02.7 .09.13〕ペンタデカン=ジアクリレート、ビス(オキシメチル)ペンタシクロ〔6.5.1.1.3.6 02.7 .09.13〕ペンタデカン=ジメタクリレート、ビス(オキシメチル)ペンタシクロ〔6.5.1.1.3.6 02.7 .09.13〕ペンタデカン=アクリレートメタクリレート。これらの化合物は、例えば、特開昭62−225508号公報に開示されている方法で合成することができる。
【0015】
以上の式(1)及び式(2)で示される(メタ)アクリレートは、単独もしくは2種以上を併用して用いることができる。式(1)の化合物を単独で用いる場合、本発明により得られる低複屈折板の屈折率は、ナトリウムのD線(589.3mm)において室温で1.54〜1.65となり、高屈折率を有する。また式(2)の化合物を単独で用いる場合は比較的低い屈折率1.47〜1.51となる。したがって式(1)及び式(2)で示される化合物を2種以上併用することにより、1.47〜1.65の間で所望の屈折率を有する低複屈折板を得ることができる。
【0016】
透明基板は、上記ビス(メタ)アクリレートを、単独で重合させて使用することができるが、下記の式(3)、(4)及び(5)で示される分子内に2個以上のチオール基を有するメルカプト化合物より選ばれる少なくとも1種のメルカプト化合物をビス(メタ)アクリレート80〜99.1重量部に対して、0.1〜20重量部、より好ましくは1〜15重量部、更に好ましくは5〜10重量部配合することにより複屈折の低減、適度の靱性を付与することができる。メルカプト化合物が20重量部を超えると硬化樹脂の耐熱性が低くなるので好ましくない。
【0017】
【化8】
【0018】
[式(3)中、複数のR7 は互に異っていてもよく、それぞれメチレン基又はエチレン基を示す。R8 は炭素鎖中に酸素原子及び/又は硫黄原子を含んでいてもよい炭素数2〜15、好ましくは2〜6の炭化水素残基を示す。dは2〜6の整数を示す。]
【0019】
すなわち、式(3)で示される化合物は、チオグリコール酸又はチオプロピオン酸とポリオールとのジエステル〜ヘキサエステルである。そのいくつかを例示すると、ペンタエリスリトールテトラキス(β−チオプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)、トリメチロールプロパントリス(β−チオプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(チオグリコレート)、ジエチレングリコールビス(β−チオプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(チオグリコレート)、トリエチレングリコールビス(β−チオプロピオネート)、トリエチレングリコールビス(チオグリコレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(β−チオプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(チオグリコレート)などが挙げられる。
【0020】
【化9】
【0021】
[式(4)中、Yは互に異っていてもよく、HS−(CH2 )e −(CO)(OCH2 −CH2 )f −(CH2 )g −を示す。但しeは1〜4の整数、fは1〜4の整数、gは0〜2の整数をそれぞれ示す。]
【0022】
すなわち、式(4)の化合物はω−SH基含有トリイソシアヌレートである。そのいくつかを例示すると、トリス〔2−(β−チオプロピオニルオキシ)エチル〕イソシアヌレート、トリス(2−チオグリコニルオキシエチル)イソシアヌレート、トリス〔2−(β−チオプロピオニルオキシエトキシ)エチル〕イソシアヌレート、トリス(2−チオグリコニルオキシエトキシエチル)イソシアヌレート、トリス〔3−(β−チオプロピオニルオキシ)プロピル〕イソシアヌレート、トリス(3−チオグリコニルオキシプロピル)イソシアヌレートなどが挙げられる。
【0023】
【化10】
【0024】
[式(5)中、R9 及びR10は、互に異っていてもよく、炭素数1〜3の炭化水素基を示す。m及びnはそれぞれ0又は1を示す。pは1又は2を示す。]
【0025】
すなわち、式(5)の化合物はα,ω−SH基含有化合物である。そのいくつかを例示すると、ベンゼンジメルカプタン、キシリレンジメルカプタン、4,4′−ジメルカプトジフェニルスルフィドなどが挙げられる。
【0026】
また、以上の光硬化性樹脂の重合の際用いる他の単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、メタクリロイルオキシメチルテトラシクロドデカン、メタクリロイルオキシメチルテトラシクロドデセン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−(β−メタクリロイルオキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2′−ビス[4−(β−メタクリロイルオキシエトキシ)シクロヘキシル]プロパン、1,4−ビス(メタクリロイルオキシメチル)シクロヘキサン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート化合物、スチレン、クロルスチレン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレン等の核及び(又は)側鎖置換及び非置換スチレンなどが挙げられる。これらの他の単量体の中でもメタクリロイルオキシメチルシクロドデカン、2,2−ビス[4−(β−メタクリロイルオキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(β−メタクリロイルオキシエトキシ)シクロヘキシル]プロパン、1,4−ビス(メタクリロイルオキシメチル)シクロヘキサン、及びこれらの混合物が特に好ましい。更に、これらには少量の酸化防止剤、紫外線吸収剤、染顔料、充填剤等を含んでいてもよい。
【0027】
以上のようなビス(メタ)アクリレート又はビス(メタ)アクリレートとメルカプト化合物との混合物は、紫外線等の活性エネルギー線によりラジカルを発生する光重合開始剤を添加する公知のラジカル重合により硬化させる。その際に用いる光重合開始剤としては、例えばベンゾフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド等が挙げられる。好ましい光開始剤としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ベンゾフェノンである。これら光重合開始剤は2種以上を併用してもよい。
【0028】
光重合開始剤の添加量は、モノマー100重量部に対し0.01〜1重量部、好ましくは0.02〜0.3重量部である。光重合開始剤の添加量が多すぎると、重合が急激に進行し複屈折の増大をもたらすだけでなく色相も悪化する。また少なすぎると組成物を充分に硬化させることができなくなる。
【0029】
照射する活性エネルギー線の量は、光重合開始剤がラジカルを発生する範囲であれば任意であるが、極端に少ない場合は重合が不完全なため硬化物の耐熱性、機械特性が十分に発現されず、逆に極端に過剰な場合には硬化物の黄変等の光による劣化を生じるので、モノマーの組成及び光重合開始剤の種類、量に合わせて200〜400nmの紫外線を好ましくは0.1〜200Jの範囲で照射する。使用するランプの具体例としては、メタルハライドランプ、高圧水銀灯ランプ等を挙げることができる。
【0030】
硬化をすみやかに完了させる目的で、熱重合を併用してもよい。すなわち、光照射と同時に組成物並びに型全体を通常30〜300℃の範囲で加熱する。この場合は重合をよりよく完結するためにラジカル重合開始剤を添加してもよいが、過剰な使用は複屈折の増大と色相の悪化をもたらす。熱重合開始剤の具体例としてはベンゾイルパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)等が挙げられ、使用量はモノマー100重量部に対して1重量部以下が好ましい。
【0031】
更に、光照射によるラジカル重合を行った後、硬化物を加熱することにより重合反応の完結及び重合時に発生する内部歪を低減することも可能である。加熱温度は、硬化物の組成やガラス転移温度に合わせて適宜選択されるが、過剰な加熱は硬化物の色相悪化をもたらすため、ガラス転移温度付近かそれ以下の温度が好ましい。
【0032】
光硬化性樹脂よりなる透明基板の成形方法は、少なくとも一面が活性エネルギー線を透過可能な2枚の相対する平板(以下「成形型」という。)を用い、スペーサー等によりキャビティを形成させ周辺部をシールしてなる注入型に光硬化性樹脂を注入し、活性エネルギー線を照射して光硬化性樹脂を硬化させる。
成形型の材質は、硬化後のシートの表面から、好ましくは研磨ガラスを用い、光硬化性樹脂を硬化させるに充分な活性エネルギー線の透過性を持ち、熱等により容易にその形状を変形させないものであればよい。また、研磨ガラスと同等な表面性を得られるアクリル板等のプラスチック等が挙げられる。
【0033】
また、必要により成形型上に剥離剤等の塗布、又は剥離層を設け硬化後の光硬化性樹脂シートを成形型より除去し易くする処理を行うこともできる。用いる剥離剤、剥離層、その塗布については特に限定するものではないが、光硬化樹脂を硬化させるに充分な活性エネルギー線の透過性を持つ物質であり、更に、光硬化性樹脂を硬化させるための活性エネルギー線や、硬化時に発生する熱等により容易にその形成状態を変形しない物質であり、ガラス表面並の平面性が得られる物質であればよい。
【0034】
活性エネルギー線は光硬化性樹脂を硬化させるものであり、例えば、紫外線等が挙げられる。活性エネルギー線の照射量は用いる光硬化性樹脂を硬化させる量であればよい。キャビティを形成させるスペーサー等については、特に限定しないが、所望のシート厚さが得られるものであればよい。例えば、シリコンゴム等のゴム製、金属製の板もしくは棒状、テフロン等の樹脂製の板もしくは棒状が挙げられる。また、光硬化性樹脂よりなる透明基板の背向する表面上に、例えば傷防止のためのハードコート層としてアクリル系樹脂等で膜付けしてもよい。
【0035】
本発明の透明基板のリターデーション値(R値)は、好ましくは20nm以下、特に好ましくは10nm以下である。20nmを超えると液晶表示装置に組み込んで、文字又は色等を表示させた場合、表示斑を生じる傾向がある。
【0036】
透明基板の厚さは100〜2000μmが好ましい。100μm未満ではシートが自重によりたわみ易く、平坦性に劣る傾向があり、2000μmを超えると1.5〜0.7mm厚さのガラス基板と同じ重量となり、軽量化の目的からはずれてしまう傾向がある。
また、透明基板の表面粗度Raは0.05μm以下であることが好ましい。0.05μmを超えると透明基板に導電性薄膜を形成する等の処理を行った場合、処理面の表面性が乱れて表示品質が低下する傾向がある。特に微細な表面性の均一さを要求するSTN液晶表示素子においては、この表面性の斑が液晶の均一な配向を阻害し、著しく表示品質を低下させる傾向がある。
【0037】
本発明の液晶表示素子の構成は、通常公知の液晶表示素子の構成でよく、例えば一対の光硬化性樹脂よりなる透明基板の対向する表面上にガスバリア層、インジウムスズオキサイド(ITO)の透明導電膜、配向膜、アンダーコート層等を順次形成して、次に液晶材料を注入し、シール部材で封止し、更に外方向側表面に偏光板を積層することにより液晶表示素子を形成することができる。
【0038】
【実施例】
以下、本発明の内容および効果を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り以下の例に限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例で得られた透明基板は、以下の方法により測定評価した。
【0039】
〈表面粗度(Ra)〉
表面粗さ測定器((株)東京精密製、サーフコーム575A)を用い、ダイヤモンド針(1μmR、90゜円錐)、測定長さ0.5mm、カットオフ値0.16mm、測定速度0.06mm/sec及び直線補正の条件で測定した。
【0040】
〈リターデーション値(R値)〉
自動複屈折測定装置((株)オーク製作所製、ADRー150N)を用い、632.8nmの波長での垂直入射によりリターデーション値(R値)を測定した。
〈重量〉
精密上皿天秤を用いて、透明基板の重量を測定した。
〈シートの厚さ〉
シックネスゲージを使用して、透明基板の厚さを測定した。
【0041】
実施例1
光学研磨ガラス平板(縦310mm×横410mm×厚さ5mm)を用いて、スペーサーとして幅5mm、厚さ1mmのシリコン板を用いてキャビティを形成させ、周辺部をテープでシールして注入型を形成した。
光硬化性樹脂としてpービス(βーメタクリロイルオキシエチルチオ)キシレン99重量部、ペンタエリスリトールテトラキス(βーチオプロオピオネート)1重量部、光開始剤として2,4,6ートリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(BASF社製「ルシリンTPO」)0.05重量部、ベンゾフェノン0.02重量部を均一に攪拌混合した後、脱泡して組成物を得た。この組成物を注入型に注入し、ガラス面より距離400mmで上下にある出力80W/cmのメタルハライドランプの間にて、30分間紫外線を照射して硬化させた。注入型を除去し光硬化性樹脂よりなる透明基板を得た。
【0042】
得られた光硬化性樹脂よりなる透明基板は、縦300mm×横400mm×厚さ1.0mm、表面粗度(Ra)0.004μm、リターデーション値(R値)8nm及び重量150gであった。
この光硬化性樹脂よりなる透明基板の重量は、同形状、同厚さの市販の液晶表示素子用光学ガラス基板(密度:約2.5g/cm3)より約150g軽量で、かつ、この基板は厚さ1.0mmでも充分な腰を持ち、また平坦性も良好であった。
【0043】
次に、得られた光硬化性樹脂よりなる透明基板にアンダーコート層としてSiOを蒸着材料として約300Åの膜厚で蒸着し、この上にITOを膜厚約1000Åにスパッタ蒸着して透明導電膜を形成した。このITO透明導電膜上にトップコート層及びポリイミドを約500Åにスピンコートした配向膜を形成した。次に液晶材料を注入し、シール部材で封止し、更に外方向側表面に偏光板を積層し、液晶表示素子を得た。製造工程において、なんら問題は発生しなかった。この様にして得られた液晶表示素子は、ガラス基板を用いた液晶表示素子と同等の性能を有していた。
【0044】
実施例2
光学研磨ガラス平板(縦310mm×横410mm×厚さ5mm)を用いて、スペーサーとして幅5mm、厚さ0.5mmのテフロン板を用いてキャビティを形成させ、周辺部テープでシールして注入型を形成した。
光硬化性樹脂としてビス(オキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジメタクリレート94重量部、ペンタエリスリトールテトラキス(βーチオプロオピオネート)6重量部、光開始剤として2,4,6ートリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド(BASF社製「ルシリンTPO」)0.06重量部、ベンゾフェノン0.04重量部を均一に攪拌混合した後、脱泡して組成物を得た。
【0045】
この組成物を注入型に注入し、ガラス面より距離400mmで上下にある出力80W/cmのメタルハライドランプの間にて、30分間紫外線を照射して硬化させた。注入型を除去し光硬化性樹脂よりなる透明基板を得た。
得られた光硬化性樹脂よりなる透明基板は、縦300mm×横400mm×厚さ0.5mm、表面粗度(Ra)0.004μm、リターデーション値(R値)5nm及び重量75gであった。
【0046】
光硬化性樹脂よりなる透明基板の重量は、同形状、同厚さの市販の液晶表示素子用光学ガラス基板(密度:約2.5g/cm3)より約75g軽量で、かつ、この基板は厚さ0.5mmでも充分な腰を持ち、また平坦性も良好であった。
次いで、得られた光硬化性樹脂よりなる透明基板にアンダーコート層としてSiOを蒸着材料として約300Åの膜厚で蒸着し、この上にITOを膜厚約1000Åにスパッタ蒸着して透明導電膜を形成した。この、ITO透明導電膜上にトップコート層及びポリイミドを約500Åにスピンコートした配向膜を形成した。次に液晶材料を注入し、シール部材で封止し、更に外方向側表面に偏光板を積層し、プラスチックシート液晶表示素子を得た。製造工程において、なんら問題は発生しなかった。この様にして得られた液晶表示素子は、ガラス基板を用いた液晶表示素子と同等の性能を有していた。
【0047】
【発明の効果】
本発明の液晶表示素子は光硬化性樹脂を用いた透明基板を用いる。これにより、本発明の液晶表示素子では、同形状、同厚さのガラス基板に比較して軽量で強度的にも優れている他、リタデーション値等の光学特性も良好であり、液晶表示素子又は液晶表示装置自体の軽量化が実現できる。また、本発明の液晶表示素子の製造は簡易で製造時の歩留まりも良好であり、産業上の利用価値は極めて大である。
Claims (8)
- 対向する一対の光硬化性樹脂よりなる透明基板間に液晶層を介在してなる液晶表示素子であって、該透明基板が式(1)及び式(2)より成る群から選ばれたビス(メタ)アクリレートと、式(3)、式(4)及び式(5)より成る群から選ばれたメルカプト化合物とを含む光硬化性組成物を活性エネルギー線により硬化させて得られたものであって、厚さが100〜2000μm、リターデーション値が20nm以下であり、かつ表面粗度(Ra)が0.05μm以下であることを特徴とする液晶表示素子。
- 光硬化性組成物が、ビス(メタ)アクリレートとメルカプト化合物の合計100重量部に対して、前者が80〜99.9重量部、後者が0.1〜20重量部を占めるものであることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示素子。
- 樹脂基板のリターデーション値が10nm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶表示素子。
- 対向する一対の光硬化性樹脂よりなる透明基板間に液晶層を介在してなる液晶表示素子であって、該透明基板が式(2)のビス(メタ)アクリレートと、式(3)、式(4)及び式(5)より成る群から選ばれたメルカプト化合物とを含む光硬化性組成物を活性エネルギー線により硬化させて得られたものであって、厚さが100〜2000μm、リターデーション値が20nm以下であり、かつ表面粗度(Ra)が0.05μm以下であることを特徴とする液晶表示素子。
- 光硬化性組成物が、ビス(メタ)アクリレートとメルカプト化合物の合計100重量部に対して、前者が80〜99.9重量部、後者が0.1〜20重量部を占めるものであることを特徴とする請求項4に記載の液晶表示素子。
- 対向する一対の電極付き透明樹脂基板間に液晶層を介在させてなる液晶表示素子であって、該樹脂が式(2)のビス(メタ)アクリレートと式(3)のメルカプト化合物とを含む光硬化性樹脂組成物を活性エネルギー線照射により硬化させて得られたものであって、厚さが100〜2000μm、リターデーション値が20nm以下であり、かつ表面粗度が0.05μm以下であることを特徴とする液晶表示素子。
- 光硬化性組成物が、ビス(メタ)アクリレートとメルカプト化合物の合計100重量部に対して、前者が80〜99.9重量部、後者が0.1〜20重量部を占めるものであることを特徴とする請求項6に記載の液晶表示素子。
- 樹脂基板のリターデーション値が10nm以下であることを特徴とする請求項4ないし7のいずれかに記載の液晶表示素子。
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