JPH11322405A - 低カーボン質炭素含有耐火物及びその製造方法 - Google Patents

低カーボン質炭素含有耐火物及びその製造方法

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JPH11322405A
JPH11322405A JP10129122A JP12912298A JPH11322405A JP H11322405 A JPH11322405 A JP H11322405A JP 10129122 A JP10129122 A JP 10129122A JP 12912298 A JP12912298 A JP 12912298A JP H11322405 A JPH11322405 A JP H11322405A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 緻密な組織を有していながら高温下で長時間
使用した場合にも過度の焼結が進行せず、良好な耐スポ
ーリング性を維持できる「高耐スポーリング性,高耐食
性で、かつ溶鋼へのカーボンピックアップを極力防止す
ることのできる低カーボン質の炭素含有耐火物およびそ
の製造方法」を提供すること。 【解決手段】 耐火性原料と炭素を含有する炭素質原料
とを含む原料配合物において、原料配合物の熱間残留分
100重量%に対して炭素質原料の固定炭素分が0.2〜5重
量%であって、炭素質原料の少なくとも一部として、有
機バインダー(固定炭素分25重量%以上のもの、または
更に粘性が200ポイズ以下のもの),ピッチ(β−レジン
含有量が10重量%以上のもの),カーボンブラックの単
独または併用して使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カーボン含有量の
少ない炭素含有耐火物及びその製造方法に関し、特に、
耐スポーリング性,耐酸化損傷抵抗性に優れた低カーボ
ン質の炭素含有耐火物及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】[低カーボン質の炭素含有耐火物が要求
される背景の説明]黒鉛等の炭素原料を含有する耐火物
は、炭素の有する高熱伝導率,溶融スラグに濡れにくい
等の性質により高耐用を示すことから、各種の冶金用耐
火物として広く使用されている。また、近年、鉄鋼製品
の高級化に伴って、高耐用の炭素含有耐火物の使用が広
がってきている。しかし、従来の炭素含有耐火物は、前
記した炭素の特質を十分発揮させるために比較的多くの
カーボンを含有している。
【0003】一方、炭素含有耐火物の使用範囲が拡大す
るにつれて、耐火物中に含有するカーボンの溶鋼中への
溶解(カーボンピックアップ)が問題となってきており、
よりカーボン含有量の少ない耐火物が要求されている。
また、より一層の鋼品質向上を背景に、鋼の低炭素化に
対する要求もますます厳しくなり、カーボンを多く含有
する耐火物は、カーボンピックアップによって溶鋼を汚
染するため、よりカーボン量の少ない耐火物、特にトー
タルカーボン量として“5%以下”のものが望まれてい
る。
【0004】更に、極低炭素鋼の処理に使用される耐火
物の使用条件はより過酷なものとなるため、この使用条
件の過酷化によって耐火物の損傷は増大し、耐火物中か
ら溶鋼中へのカーボン溶解量も多くなる。従って、この
点からも、より一層カーボン量の少ない耐火物が要求さ
れている。
【0005】[低カーボン質の炭素含有耐火物に対する
“先行技術における検討例”の説明その1]従来の炭素
含有耐火物では、カーボン量を低減させると耐スポーリ
ング性が低下するという問題があった[参考文献:耐火
物,44[2](1992),P75〜82]。この問題を解決するため
に、低カーボン組成における耐スポーリング性の向上を
目的とした検討が行われている。
【0006】例えば、耐火物を形成する段階で、充填性
を低下させて気孔率を高くし、弾性率を低減させて耐ス
ポーリング性を高めることが行われる場合がある。しか
し、この場合には、耐火物組織の緻密性が失われ、耐食
性,耐摩耗性,耐酸化性などが顕著に低下するために、
広く行われることはない。
【0007】また、例えば「耐火物,44[11](1992),P6
40」および特開平5−24911号公報には、膨張化黒鉛を使
用することによって、耐スポーリング性を改善した低カ
ーボン質のMgO−C系耐火物が提案されている。しか
し、膨張化黒鉛を多用すると、組織の充填性が低下する
ため、耐酸化性,耐摩耗性,耐食性などが低下するので
好ましくない。そのうえ、黒鉛量が5重量%以下の領域
では、膨張化黒鉛の耐スポーリング性の向上効果が殆ど
得られないことも知られており[J.Ceram.Soc.Japan,10
2[1](1994),P23〜28参照]、低カーボン材質の耐スポー
リング性を改善できる手法とはなっていない。
【0008】一方、耐スポーリング性を維持しつつ低カ
ーボン化する技術として、「品川技報,Vol.38(1995),
P23〜32」には、金属の添加量を低減させ、かつマグネ
シアを粗粒化したカーボン量8重量%あるいは6重量%
の“転炉出鋼口スリーブ用MgO−C質煉瓦”が提案さ
れている。この材質は、転炉出鋼口スリーブに使用した
際に高耐用を示し、有効であることが示されている。し
かし、該転炉出鋼口スリーブ用の低カーボン質MgO−
C煉瓦は、最も少ないものでも6重量%のカーボンを含
有しており、溶鋼へのカーボンピックアップ防止の観点
から極力カーボンの少ないことが望まれる炭素含有耐火
物としては、最適な材料であるとすることができない。
【0009】また、同じく耐スポーリング性を維持しつ
つ低カーボン化する技術として、「材料とプロセス,CA
MP-ISIJ,VoL.4(1991),P1225」には、マグネシアを粗
粒化し、高軟化点ピッチを添加し、かつ黒鉛を細粒化し
たカーボン量7重量%の“取鍋スラグライン用低黒鉛質
MgO−C煉瓦”も提案されている。この取鍋スラグラ
イン用低黒鉛質MgO−C煉瓦は、取鍋スラグライン部
に使用した際に高耐用を示し、有効であることが示され
ている。しかし、該取鍋スラグライン用の低黒鉛質Mg
O−C煉瓦は、低黒鉛質といっても7重量%の黒鉛を含
有しており、溶鋼へのカーボンピックアップ防止の観点
から極力カーボン量の少ないことが望まれる炭素含有耐
火物としては、前記した“転炉出鋼口スリーブ用MgO
−C質煉瓦”と同様、最適な材料ではない。
【0010】一方、既に開示されている技術の中には、
例えば特開昭56-26766号公報,特開平7-17758号公報な
どに記載されているように、炭素あるいは黒鉛原料の構
成範囲(配合量)を5重量%以上としているものが多く知
られている。しかし、これらは、カーボンを少なくとも
5重量%以上含有することから、溶鋼へのカーボンピッ
クアップ防止の観点から極力カーボンの少ないことが望
まれる炭素含有耐火物を提供できる技術とは言えない。
【0011】さらに、既に開示されている技術の中に
は、例えば特開平4-288469号公報,特開平5-330904号公
報,特開平6-293557号公報などに記載されているよう
に、炭素あるいは黒鉛原料の構成範囲(配合量)を3重量
%以上としているものや、例えば特開平7-118057号公
報,特開平7-126060号公報などに記載されているよう
に、2重量%以上としているものが知られている。しか
し、これらは、いずれも炭素原料が5重量%未満の実施
例が示されておらず、カーボン量の特に少ない領域に関
する具体例が示されていないことから、最適な低カーボ
ン材質を提供できる技術が開示されているとは言えな
い。
【0012】[低カーボン質の炭素含有耐火物に対する
“先行技術における検討例”の説明その2]前述のよう
に、溶鋼へのカーボンピックアップを防止する場合、耐
火物中のカーボン量は5重量%以下であることが必要で
あり、より好ましくは更に低カーボンであることが望ま
しい。
【0013】この場合の“カーボン量”が意味するもの
は、熱間で使用されているときに耐火物中に含まれる
“固定炭素分の量”であり、そこには炭素原料の他に有
機バインダー由来の炭素も含まれることになる。したが
って、有機バインダーを用いる場合、例えば「カーボン
量5重量%の耐火物」においては、当然のことながら、
耐火物の配合組成として固体の炭素原料は5重量未満と
なり、有機バインダー由来の固定炭素が耐火物中のカー
ボンの一部を構成することになる。
【0014】後に詳記する本発明においては、この点を
明確にするために、固体炭素原料と有機バインダー(ま
たはピッチ,カーボンブラック)とを合わせて“炭素質
原料”とし、そのトータルの固定炭素分量をもって、耐
火物のカーボン量を規定するものである。このように考
えた場合、「カーボン量が5重量%以下の耐火物」が要
求される場合には、必然的に固体炭素原料の配合割合は
5重量%未満であることが必要となる。
【0015】前述のように、従来技術の多くは、カーボ
ン量が比較的多い材質に関するものであるが、一方で、
カーボン量が5重量%以下の耐火物に関する検討も行わ
れている。例えば、特開平9-309762号公報には、1〜5
重量%のカーボン原料を含む耐火物において、金属およ
び硼化物の含有量を一定以下に限定することによって、
あるいは、特定のピッチを添加し粗粒MgOを使用する
ことによって、低カーボン質でありながら耐スポーリン
グ性を向上させた“真空脱ガス炉用の炭素含有耐火物”
が開示されている。
【0016】この低カーボン質の炭素含有耐火物は、従
来の低カーボン材質に比較して良好な耐スポーリング性
を有するものの、実機使用における長時間の被熱によっ
て、耐火性原料骨材同士の接触による焼結が過度に進行
して高弾性率化し、逆に耐スポーリング性が低下する場
合があり、長期にわたって安定した耐スポーリング性を
有する低カーボン材質を提供できるものとはなっていな
い。
【0017】また、例えば、特公平7-108805号公報,特
開平5-4861号公報には、メソフェーズ含有ピッチ粉末を
添加することによって耐スポーリング性を改善したマグ
ネシアカーボン煉瓦が開示されている。
【0018】しかし、これらは、その内容からカーボン
量の比較的多い材質を対象として検討し、開発されたも
のであって、特にカーボン量の少ない領域の耐スポーリ
ング性を向上させるに最適な手法が開示されているとは
言いがたい。また、これらの実施例中には、黒鉛の配合
量が“0重量%,1重量%,3重量%,4重量%”など
の例が示されているが、いずれも金属添加物を多く含有
しているため、高温域において高弾性率化が避けられ
ず、耐スポーリング性は低いものとなる。従って、この
点からみても、耐スポーリング性および耐溶損性に優れ
る低カーボン材質を提供できる技術が示されているとは
言いにくい。
【0019】また、例えば、特開平4-367556号公報に
は、ピッチおよび/またはタールと、ピッチ可溶性フェ
ノール樹脂とを使用することによって、耐スポーリング
性を改善する方法が示されている。
【0020】しかし、これも、その内容からカーボン量
の比較的多い材質を対象として検討し、開発されたもの
であって、特にカーボン量の少ない領域の耐スポーリン
グ性を向上させるに最適な手法が開示されているとは言
いがたい。また、この実施例中には、黒鉛の配合量が
“0重量%,3重量%,5重量%”などの例が示されて
いるが、ピッチあるいはタールの添加量が多いため、熱
間での気孔率が増大して緻密性が低下するか、あるい
は、金属を一定量含有しているため、高温域において高
弾性率化が避けられず、耐スポーリング性は低いものと
なる。従って、この場合も、耐スポーリング性および耐
溶損性に優れる低カーボン材質を提供できる技術が示さ
れているとは言いにくい。
【0021】さらに、例えば、前掲の特開平7-126060号
公報には、比較的軟化温度の低いピッチ粉末を添加する
ことによって、耐スポーリング性,耐摩耗性,耐食性に
優れる炭素含有耐火物を提供する方法が開示されてい
る。
【0022】しかし、これも、その内容からカーボン量
の比較的多い材質を対象として検討し、開発されたもの
であって、特にカーボン量の少ない領域の耐スポーリン
グ性を向上させるのに最適な手法が開示されているとは
言いがたい。また、この実施例中には、黒鉛の配合量が
“5重量%”の例が示されているが、ピッチの添加量が
多いために、ベーキング後および熱間での気孔率が増大
して緻密性が低下する傾向にある。従って、これも、耐
スポーリング性,耐溶損性ともに優れる低カーボン材質
を提供できる技術が示されているとは言いにくい。
【0023】さらにまた、例えば、特開平8-295555号公
報には、弾力性のある人造黒鉛を使用することによっ
て、耐スポーリング性,耐スラグ浸潤性,耐食性に優れ
る低カーボン質の炭素含有耐火物を提供する方法が開示
されている。
【0024】しかし、この手法を用いた場合でも、実機
使用における長時間の被熱によって、耐火性原料骨材同
士の接触による焼結が過度に進行して高弾性率化し、逆
に耐スポーリング性が低下する場合があり、長期にわた
って安定した耐スポーリング性を有する低カーボン材質
が得られ難いという問題がある。また、弾力性のある人
造黒鉛を使用するために、緻密な成形体が得られ難く、
気孔率が高くなる傾向にある。更に、実施例中には、ト
ータルカーボン量として“1〜4重量%”のものが示さ
れているが、その多くが金属添加物を一定量以上含有し
ているため、高温域において高弾性率化が避けられず、
したがって、十分な耐スポーリング性を得られ難い。以
上の理由から、この場合も、耐スポーリング性,耐溶損
性ともに優れる低カーボン材質を提供できる技術が示さ
れているとは言いにくい。
【0025】また、例えば、特開平9-87007号公報に
は、樹脂バインダーと共にアルミニウムを添加して耐火
物組織中にスピネルを生成させることによって、耐スラ
グ浸潤性に優れる“炭素原料無添加のマグネシア質不焼
成煉瓦”を提供する方法が開示されている。しかし、こ
の手法を用いた場合には、添加したアルミニウムが炭化
物を生成し、スピネルヘと変化してゆく反応過程におい
て、耐火物が高弾性率化することは避けられず、耐スポ
ーリング性が低下するという問題がある。
【0026】また、この技術は、マグネシア粒子表面に
スピネルを生成させて骨材同士の過焼結を抑制しようと
するものでもあるが、カーボン量の非常に少ない領域で
は、骨材同士の接触頻度が非常に高いために、その焼結
防止を十分に達成することが本技術のみでは十分とは言
えず、実機使用における長時間の被熱による高弾性率化
し、ひいては耐スポーリング性の低下する場合があり、
また、スピネル生成量を十分得ようとしてアルミニウム
添加量を多くすると、反応過程における高弾性率化が顕
著となって、スポーリングを一層助長するため限界があ
る。したがって、長期にわたって安定した耐スポーリン
グ性を有する低カーボン材質を得るに十分ではない。
【0027】更に、耐火物組織中のカーボンの分散を樹
脂バインダーにのみ依存しているために、樹脂の選定如
何によっては、カーボンの分散が均一とならずに高温で
の骨材同士の過焼結を助長する、あるいは、樹脂バイン
ダーの分散が不十分であれば十分緻密な成形体が得られ
ず、気孔率が高くなるという課題も残されている。
【0028】
【発明が解決しようとする課題】以上示した先行技術に
見られるように、カーボン量が非常に少ない領域では、
高い耐スポーリング性,耐溶損性を得るための検討が十
分なされているとは言えず、低カーボン質の耐火材料に
対する要求に十分応えられるだけの優れた特性を有する
低カーボン質の炭素含有耐火物は、未だ得られていない
状況にある。
【0029】ところで、本発明が意図する“溶鋼へのカ
ーボンピックアップを極力防止できる低カーボン質の炭
素含有耐火物”においては、カーボン量が少ないため
に、耐火性原料からなる骨材同士の接触頻度が非常に高
くなるという本質的な組織的特徴を有する。
【0030】低カーボン材質の耐スポーリング性を考え
る場合に、カーボンが少ないことによる熱伝導率の低下
と熱膨張率の増大が原因となって、耐熱スポーリング性
が低下することが重要な問題である一方で、骨材同士の
接触が多いがために、高温で長時間使用された場合に焼
結が過度に進行して耐火物が高弾性率化し、それが原因
となって、熱的あるいは構造的にスポーリングを起こす
ことが重要な問題となり、むしろ後者を解決する方が低
カーボン材質を開発する上でより必要であることが認め
られるようになってきた。
【0031】カーボン量を低減すれば、骨材同士が接触
しやすくなることはやむを得ないことではあるが、その
直接的な接触をできるだけ少なくすることは、低カーボ
ン材質を高温下で長期にわたって安定的に使用する上で
重要な課題である。骨材同士の接触頻度を低下させるに
は、耐火物の充填密度を若干低下させ、高温下での過焼
結進行を抑制する手法も考えられるが、耐火物の耐用性
を考慮した場合には、その緻密性を犠牲にする方向は好
ましいとは思われない。
【0032】本発明者等は、これらの課題を解決する手
段として、高温下で長期間使用時における“耐スポーリ
ング性と同時に高い緻密性をも有する低カーボン質の炭
素含有耐火物”の開発を意図して鋭意研究を重ねた結
果、本発明を完成した。
【0033】即ち、本発明の目的とするところは、緻密
な組織を有していながら高温下で長時間使用した場合に
も過度の焼結が進行せず、良好な耐スポーリング性を維
持できる「高耐スポーリング性,高耐食性で、かつ溶鋼
へのカーボンピックアップを極力防止することのできる
低カーボン質の炭素含有耐火物およびその製造方法」を
提供することにある。
【0034】
【課題を解決するための手段】本発明に係る低カーボン
質の炭素含有耐火物は、耐火性原料と炭素を含有する炭
素質原料とを含む原料配合物において、 ・原料配合物の熱間残留分100重量%に対して炭素質原
料の固定炭素分が 0.2〜5重量%であって、 (a) 前記炭素質原料の少なくとも一部に有機バインダー
を使用したものであり、該有機バインダーの全部または
一部が固定炭素25重量%以上のものを使用したこと(請
求項1) (b) 同じく前記炭素質原料の少なくとも一部に有機バイ
ンダーを使用したものであり、該有機バインダーの全部
または一部が固定炭素25重量%以上であって、かつその
粘性が200ポイズ以下のものを使用したこと(請求項2) (c) 炭素質原料の少なくとも一部にピッチを使用したこ
と(請求項3)、また、このピッチとして、β−レジン含
有量が10重量%以上であるピッチを使用したこと(請求
項4) (d) 炭素質原料の少なくとも一部にカーボンブラックを
使用したこと(請求項5) (e) 耐火性原料の少なくとも一部にマグネシア,アルミ
ナ,スピネルを使用したこと(請求項6),[例示すれ
ば、マグネシア,マグネシアとアルミナ,スピネル,マ
グネシアとスピネルを使用したこと] (f) 金属添加物の含有量が4重量%以下であること(請
求項7) (g) ベーキング後の見掛け気孔率が4%以下であること
(請求項8) (h) 1400℃で10時間加熱して完全に酸化させた後の圧縮
強さが25MPa以上であること(請求項9) を特徴(発明を特定する事項)とするものであり、これに
より、前記目的を達成したものである。
【0035】また、本発明に係る低カーボン質の炭素含
有耐火物の製造方法は、上記請求項1〜9のいずれかに
記載の低カーボン質の炭素含有耐火物の製造方法であっ
て、・耐火性原料と炭素を含有する炭素質原料とを含む
原料耐火物の熱間残留分 100重量%に対して、炭素質原
料の固定炭素分が0.2〜5重量%を超えない量の炭素質原
料を配合すること(請求項10) を特徴(発明を特定する事項)とする。
【0036】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。まず、本発明で使用する有機バインダー[→前記
(a),(b)参照]、ピッチ[→前記(c)参照]、カーボンブラ
ック[→前記(d)参照]、耐火性原料[→前記(e)参照]、金
属添加物[→前記(f)参照]の各作用効果について説明す
る。
【0037】[本発明で使用する“有機バインダー”の
作用効果の説明] ・有機バインダーの第一の機能について 本発明に使用できる“有機バインダー”としては、ま
ず、第一には、バインダーの基本的な機能として、杯土
に適当な液分を持たせて成形性を確保する点にある。
【0038】成形は、一般に圧力を加えて構成原料を高
密度に充填するが、原料同士の摩擦抵抗を小さくするた
めに液分が必要となり、構成原料の粒子表面に液分を分
散させる操作として混合または混練が行われる。低カー
ボン材質の場合には、成形時に杯土に滑り性を与える黒
鉛などの炭素原料が少なく、原料骨材同士の摩擦が増大
するので、このバインダーの分散性がより重要となる。
【0039】従って、本発明で使用する“有機バインダ
ー”には、耐火性原料や炭素原料に濡れやすく、かつ混
合,混練作業において十分均一に構成原料表面を被覆す
ることが必要である。混合,混練操作において、有機バ
インダーが十分に原料表面を被覆することができれば、
成形時において骨材同士が接触した場合にも十分な潤滑
性が得られ、緻密な成形体を得ることができる。このた
め、本発明で使用する有機バインダーの粘性としては、
一定以下に低いことが望ましく、好ましくは200ポイズ
以下のもの、より好ましくは100ポイズ以下のものが好
適である。
【0040】これら分散性の高い有機バインダーを使用
することによって、本発明の低カーボン質の炭素含有耐
火物は、成形操作によって高い充填性が得られ、不焼成
の耐火物として気孔率の低い緻密なものを得ることがで
きる。その結果、スラグや溶銑,溶鋼のアタックを受け
た場合にも高耐用を示すことができ、また、耐火性原料
が緻密に充填されているために、例えば1400℃といった
高温で酸化損傷を受けて耐火物中のカーボンが完全に消
失した場合にも、ある一定以上の強度を有することがで
き、酸化後にも高耐食性の耐火物として耐用することが
できる。
【0041】・有機バインダーの第一の機能について 本発明に使用できる“有機バインダー”の第一の機能
は、耐火物が高温下に長時間曝された際にも、耐火性原
料同士の過度な焼結を抑制して弾性率の上昇を抑制する
点にある。
【0042】混合,混練操作によって耐火物組織中に均
一に分散された有機バインダーは、耐火物が高温に曝さ
れると、炭化してカーボンとなる。このとき、有機バイ
ンダーがある一定以上の固定炭素量を有することによっ
て、耐火性原料骨材の粒子表面に薄くて均一なカーボン
の被膜が形成される。そして、耐火性原料の粒子表面に
形成されたカーボン被膜は、高温下でも安定に存在する
ことができるので、酸化によって消失しない限りにおい
ては、耐火性原料同士の直接的な接触を長期にわたって
遮断することができる。その結果、耐火物を高温で長期
間使用した場合にも過度の焼結は進行せず、弾性率の異
常な上昇や稼働面近傍における組織ギャップの生成など
スポーリングを助長するような因子の発生を防止するこ
とが可能となる。
【0043】この有機バインダー由来のカーボン被膜の
効果は、例えば黒鉛原料の粒度を微細化して均一に分散
することによる過焼結抑制効果に比較して格段に有効で
あり、特に本発明が意図するところの“低カーボン質の
炭素含有耐火物”においては重要な構成要素となる。従
って、この効果を十分に得るためには、バインダーの固
定炭素は一定以上に高いことが望ましく、好ましくは2
5重量%以上のもの、より好ましくは35重量%以上の
ものが好適である。
【0044】[本発明で使用する“ピッチ”の作用効果
の説明]前述の有機バインダーは、固定炭素が高いこと
が必要であることから、分子量の大きな有機高分子を主
成分としたものか、あるいは、重合反応を利用して高分
子化するものが一般的であり、タールや熱硬化性樹脂な
どはその代表的なものである。
【0045】ピッチも、広い意味では有機バインダーに
含まれるとも考えられるが、本発明においては、その作
用効果が前述の有機バインダーと同一でないため、異な
る構成要素として考えている。ピッチの作用として最も
重要であるのは、耐火物の被熱過程において、組織中に
分散されたピッチが溶融軟化して周辺組織中に拡大し、
微細な空隙に侵入する効果である。
【0046】耐火性原料骨材の粒子表面の全てに有機バ
インダーが十分に被覆されている場合には、高温下で骨
材粒子表面がカーボン被膜で遮断され、過焼結を防止す
ることができるが、適当な粘性を有する有機バインダー
を用いても、混合,混練条件の不具合によっては、十分
な分散,被覆が達成されない場合も起こりうる。そのよ
うな場合でも、組織中にピッチを分散させておくことに
より、耐火物の被熱過程においてピッチが溶融軟化し、
有機バインダーが十分被覆されていない骨材粒子表面お
よび骨材粒子間に拡散,侵入してピッチ被膜を形成す
る。
【0047】骨材粒子表面および骨材粒子間に拡散,侵
入したピッチは、耐火物が更に高温に曝されることによ
って炭化し、高温下においても、長期にわたって骨材粒
子同士の直接接触を遮断する安定したカーボン被膜を形
成する。従って、本発明で使用するピッチの使用目的
は、耐火性原料の粒子表面および粒子間にカーボン被膜
を形成させて高温での過焼結を抑制することにあり、従
来の高カーボン材質にピッチを使用する場合に目的とさ
れていた“カーボンボンドの強化による組織強度の増
強”とは、その使用目的を異にしている。
【0048】また、一方で、一概にピッチといっても、
その内容には様々なものがある。通常、ピッチはベンゼ
ン環を含む有機高分子からなっており、その分子量は、
比較的低分子量のものから極めて高分子量のものまで広
範囲にわたっており、“ピッチ”と呼ばれる原料中に
は、これら分子量の異なる様々な有機高分子が含まれて
いる。
【0049】本発明者等は、種々のピッチについて検討
を行い、これら広い分子量分布を有するピッチの中で
も、特に“β−レジン(QI−TI)”と呼ばれる中間的
な分子量のものを多く含有するピッチが特に好適である
ことを見いだした。β−レジンを多く含有することで、
ピッチは、溶融軟化時に十分な拡散性を有し、かつ固定
炭素が高くなるので、緻密なカーボン被膜を耐火物組織
中に有効に形成することができる。
【0050】β−レジンは、ピッチ全体の分子量が小さ
い場合に少なくなり、また、ピッチ全体の分子量が非常
に大きい場合にも少なくなる。ピッチ全体の分子量が小
さくβ−レジン分が少ない場合、拡散性は得られるもの
の固定炭素が低くなり、有効なカーボン被膜が形成され
にくい。また、ピッチ全体の分子量が大きくβ−レジン
分が少ない場合には、固定炭素は高いものの十分な拡散
性が得られないため、有効なカーボン被膜が形成され難
い。
【0051】従って、ピッチによるカーボン被膜形成効
果を十分得るためには、ピッチのβ−レジンの含有量
は、一定以上に高いことが望ましく、好ましくは10重
量%のもの、より好ましくは20重量%以上のものが好
適である。
【0052】[本発明で使用する“カーボンブラック”
の作用効果の説明]本発明においでは、耐火物原料骨材
同士の過焼結を抑制する手段として、カーボンブラック
を使用することもできる。前述したように、少ないカー
ボン量で骨材粒子同士の接触を有効に遮断するには、固
定炭素分が高く、かつ分散性に優れる有機物を使用する
ことが最も有効であるが、カーボンブラックもまたその
粒子径が非常に微細であることによって、耐火物組織中
に均一に分散することができるために、有効な過焼結抑
制効果を発揮することができる。
【0053】通常、カーボンブラックは、0.1μm前後
といった非常に小さい粒子径を有しているため、黒鉛や
コークスといった他の炭素原料に比べて耐火物組織中へ
の分散度が顕著に高くなる特徴を有している。即ち、カ
ーボンブラックを添加することによって、骨材粒子表面
に非常に微細なカーボン粒子が被覆されることになる。
また、カーボンブラックは、高い固定炭素を有するの
で、高温においても長期にわたって骨材粒子同士の接触
が遮断されて過焼結の抑制効果が得られる。
【0054】[本発明で使用する“耐火性原料(マグネ
シア,アルミナ,スピネル)”の作用効果の説明]本発
明において、耐火物原料骨材同士の過焼結を抑制する手
段として、“マグネシア,アルミナ,スピネル”を使用
することができる。これを例示すれば、マグネシア,マ
グネシアとアルミナ,スピネル,マグネシアとスピネ
ル,を使用することができる。
【0055】前述のように、カーボン量の少ない領域に
おいて、骨材同士の過焼結を防止するには、固定炭素分
が高く、かつ分散性に優れる炭素質原料を使用すること
が有効であるが、耐火性原料骨材として特定のものを使
用して過焼結を抑制することも効果的である。
【0056】一般に、製鉄用あるいは製鋼用に使用され
る耐火物は、スラグの存在する条件下で高温で使用され
るため、その主要構成原料としては、高い耐食性を有す
るアルミナまたはマグネシアなどが用いられている。炭
素含有耐火物においても同様であり、マグネシアを骨材
の主体とした“マグネシア-カーボン質煉瓦”や、アル
ミナを骨材の主体とした“アルミナ-カーボン質煉瓦”
が広く使用されている。
【0057】しかし、本発明が意図する“低カーボン質
の炭素含有耐火物”においては、これまで述べてきたよ
うに、耐火性原料骨材同士の過焼結が問題となり、その
防止が課題となる。ここにおいて、耐火性原料骨材が
“マグネシアのみ”または“アルミナのみ”から構成さ
れている場合には、骨材同士の接触による焼結が比較的
容易に進行しやすく、結果として高温で長時間使用した
場合に過焼結を起こしやすい傾向にある。
【0058】本発明では、これを抑制するために、耐火
牲原料骨材としてスピネル(マグネシア−アルミナスピ
ネル)を使用することができ、あるいは、マグネシアと
アルミナとを組み合わせて使用することもできる。スピ
ネルは、マグネシアあるいはアルミナに比較して高温に
おける焼結性が緩やかであり、少なくとも耐火性骨材の
一部として使用することによって、低カーボン材質の過
焼結抑制と高弾性率化抑制に対して特に有効な効果を発
揮する。また、耐火性骨材の少なくとも一部にマグネシ
アとアルミナとを組み合わせて使用することによって
も、高温において耐火物組織中にスピネルを生成して過
焼結を抑制する作用効果が生じる。
【0059】[本発明における“金属添加物の含有量の
制限”に関する説明]本発明においては、高温被熱時の
高弾性率化を防止するために、金属の添加量を一定以下
に制限するものである。
【0060】炭素含有耐火物に金属添加物を加えると、
高温でカーボンなどと反応して強度および弾性率が増大
することが知られている。この傾向、特に弾性率の上昇
は、低カーボン材質の熱間における耐スポーリング性に
大きな影響を与え、金属の添加量が多すぎると、弾性率
の上昇が顕著となって耐スポーリング性が大きく低下す
る。
【0061】また、金属は、熱間において耐火物中のカ
ーボンと反応して炭化物を生成するため、組織中に均−
に分散されたカーボンを消費,消失させることになり、
その後の高温下での長時間使用時における過焼結抑制効
果を減じる問題が生じる。従って、金属の添加量は、一
定以下であることが望ましく、好ましくは4重量%未
満、より好ましくは2重量%未満であることが好適であ
る。
【0062】[前記各作用効果のまとめ]これまで述べ
てきた過焼結抑制及び高弾性率防止手段は、当然のこと
ながら各々組み合わせて使用することによってその効果
が一層倍増し、相乗効果によってより安定した優れた
“低カーボン質の炭素含有耐火物”を得ることができ
る。
【0063】以上詳述したように、本発明は、 ・特に、低カーボン材質の耐火性原料同士の接触頻度が
非常に高くなるという組織的な特徴に注目(着目)し、そ
の組織的な特徴が起因となって発生する“高温下での過
焼結進行および高弾性率化”という課題に対して、それ
を解決するのに有効な手段を提供するものであって、 ・従来の高カーボン材質において蓄積された従来技術と
はその根本を異にし、つまり、技術的思想を異にし、 ・特に、低カーボン領域の材質に対して新たな組織制御
の技術を提供するものであり、 ・そして、本発明を特定する事項として、炭素質原料の
少なくとも一部として、有機バインダー(固定炭素分25
重量%以上のもの、または更に粘性が200ポイズ以下の
もの、但し、この限定範囲外の有機バインダーの併用も
本発明に包含されるものである),ピッチ(β−レジン含
有量が10重量%以上のもの),カーボンブラックの単独
または併用して使用する点を特徴とする。
【0064】[本発明で使用できる原料の説明]次に、
本発明で使用できる耐火性原料,炭素質原料(有機バイ
ンダー,ピッチ,カーボンブラックを含む)および金属
について、具体的に説明する。
【0065】本発明に使用できる耐火性原料としては、
前述のマグネシア,アルミナ,スピネルの他に、カルシ
ア,ドロマイト,シリカ,クロミア,ジルコニア,チタ
ニア等の酸化物やそれらの複合酸化物、または、それら
の共存原料あるいは電融原料、炭化珪素,窒化珪素,酸
窒化珪素,窒化硼素,炭化硼素,硼化ジルコニウム,な
どの一般に使用される耐火性原料を任意に使用すること
ができ、いずれも本発明に包含されるものである。
【0066】また、本発明に使用される炭素質原料とし
ては、前述のように“炭素原料”と“有機質原料(有機
バインダー,ピッチ,カーボンブラック)”とが含まれ
る。
【0067】本発明に使用できる炭素原料は、特に限定
されないが、高温組織の維持、即ち耐食性確保のために
固定炭素分の高いものが好ましく、一般に使用されるも
のとして鱗状黒鉛,土状黒鉛などの天然黒鉛や、コーク
スなどの人造黒鉛,電極屑,炭素繊維,熱分解炭素など
を挙げることができる。
【0068】この炭素原料の配合割合は、本発明の意図
する溶鋼へのカーボンピックアップ防止の観点から、こ
の“炭素原料の固定炭素分”と“有機質原料の固定炭素
分”との合計が、耐火性原料と炭素質原料との合量の赤
熱以上の熱間における残留分100重量%(耐火性原料成分
と固定炭素の合計量を意味する)に対して“0.2〜5重量
%”であることが必要である。0.2重量%未満の場合、
高温における耐火性原料同士の過焼結抑制効果やスラグ
浸潤の抑制効果が十分に得られず、一方、5重量%を超
えると、溶鋼へのカーボンピックアップが問題となるの
で好ましくない。
【0069】本発明で使用する有機バインダーには、室
温で液体のものが用いられる。バインダー成分となる有
機物としては、従来から知られているフェノール樹脂,
フラン樹脂などの樹脂類を使用することができる。ま
た、タールなどの芳香族系有機高分子化合物を使用する
ことができ、さらに、本発明の作用効果を発揮するに十
分なものであれば、特に限定されるものではなく、その
他の天然あるいは合成の有機物を使用することもでき
る。
【0070】本発明における有機バインダーの使用量
は、耐火物原料の種類,炭素原料の種類やその量,本発
明の炭素含有耐火物の使用目的などによっても異なるた
め、特に限定されないが、耐火物全体としての固定炭素
分“0.2〜5重量%”を超えない範囲内であって、構成原
料への被覆性と熱間組織の緻密性の観点から、一般には
固体原料配合物100重量%に対して“1〜7重量%”が適
当である。
【0071】本発明に使用するピッチとしては、その種
類を特に限定するものではなく、例えばコールタールピ
ッチ,石油ピッチ,木炭ピッチ,合成ピッチなどを使用
することができる。本発明におけるピッチの使用量は、
耐火物原料の種類,炭素原料の種類や量,本発明の炭素
含有耐火物の使用目的によっても異なるため、特に限定
されないが、耐火物全体としての固定炭素分“0.2〜5重
量%”を超えない範囲内であって、構成原料への拡散性
と熱間組織の緻密性の観点から、一般には固体原料配合
物100重量%に対して“0.1〜7重量%”が適当である。
【0072】本発明に使用するカーボンブラックとして
は、特に限定するものではなく、例えばファーネスブラ
ック,チャンネルブラック,ランプブラック,サーマル
ブラック,アセチレンブラックなど任意のものを用いる
ことができる。本発明におけるカーボンブラックの使用
量は、耐火物原料の種類,炭素原料の種類や量,本発明
の炭素含有耐火物の使用目的によっても異なるため、特
に限定されないが、耐火物全体としての固定炭素分“0.
2〜5重量%”を超えない範囲内であって、構成原料への
拡散性と成形時の充填性の観点から、一般には固体原料
配合物100重量%に対して“0.1〜5重量%”が適当であ
る。
【0073】本発明に使用する金属としては、シリコ
ン,アルミニウム,マグネシウム,チタン,クロム,カ
ルシウム,ジルコニウムなど、あるいは、それらの合金
や混合物を挙げることができる。その金属の添加量とし
ては、前記したとおり、4重量%以下であることが望ま
しく、好ましくは4重量%未満、より好ましくは2重量
%未満であることが好適である。
【0074】[本発明の低カーボン質炭素含有耐火物の
製造方法についての説明]次に、本発明に係る“低カー
ボン質の炭素含有耐火物の製造方法”について説明す
る。
【0075】本発明では、まず、前記耐火性原料および
前記炭素質原料(室温で固体の炭素質原料を含む)よりな
る原料配合物に、液体バインダーと更に必要に応じて金
属などを添加し、混練して杯土を得る。この際、耐火性
原料と炭素質原料とを含む原料耐火物の熱間残留分100
重量%に対して、炭素質原料の固定炭素分が0.2〜5重量
%を超えない量の炭素質原料を配合する必要がある。
【0076】次に、得られた杯土を成形した後、120〜4
00℃でベーキングし“不焼成の炭素含有耐火物”を製造
する。また、必要に応じ、これらの操作の間に造粒,コ
ーティング,仮成形,破砕などの二次原料調整のための
操作を行うこともできる。なお、上記のようにして得ら
れた低カ一ボン質の炭素含有耐火物を500〜1500℃程度
の還元雰囲気あるいは無酸化雰囲気で焼成して“焼成
品”を製造することもでき、これも本発明に包含される
ものである。
【0077】
【実施例】次に、本発明の実施例を比較例と共に挙げ、
本発明の低カーボン質の炭素含有耐火物およびその製造
方法をより詳細に説明する。
【0078】以下の実施例1〜12および比較例1〜6
において、マグネシア,アルミナ,スピネル(→後記表
2参照)は、いずれも「電融原料と焼結原料との混合
品」を使用した(粒度は“5mm以下”のものを使用し
た)。また、鱗状黒鉛(→後記表2参照)は“純度95%で
粒度0.1mm以下”のものを使用した。一方、以下の実
施例1〜12および比較例1〜6で使用した「有機バイ
ンダー,ピッチ」を表1に示す。
【0079】
【表1】
【0080】(実施例1〜12,比較例1〜6)次の表
2に示す“原料の配合比率(重量%)”にしたがって各種
原料を混合し混練した後、150MPaの圧力で230×114×65
mmの寸法に加圧成形した。次に、この成形体を200℃
でベーキングしてれんが試料を作成した。
【0081】得られた試料の“気孔率(べ−キング後の
見掛け気孔率)”を表2に示す。また、得られた試料に
対し、1500℃で20時間という長時間にわたる還元焼成を
施した後の“弾性率(打撃法による動弾性率)”を測定
し、その結果を表2に示した。さらに、1400℃で10時間
加熱して完全に酸化させた後の“圧縮強さ(MPa)”およ
び“耐スポーリング性指数”を同じく表2に示す。
【0082】表2に示す“耐スポーリング性指数”は、
試料を1600℃の溶銑に浸漬した時に発生する亀裂の本数
(熱衝撃テスト後の発生亀裂数)と損傷度合いを一定の規
則にしたがって数値化する方法で評価(→耐火物,44[2]
(1992),P75〜82参照)した後に指数化したものであり、
この数値が大きいほど“耐スポーリング性に優れてい
る”ことを意味している。
【0083】なお、表2を参照して、比較例1〜6につ
いて説明すると、比較例1は、請求項1に係る発明に対
する比較のための例であって、実施例1に対応する比較
例である。比較例2は、請求項2に係る発明に対する比
較のための例である。また、比較例3は、主として請求
項4に係る発明に対する例であって、実施例3に対応す
る比較例である。比較例4は、請求項4に係る発明に対
する例であって、同じく実施例3に対応する比較のため
の例である。
【0084】さらに、比較例5は、請求項7に係る発明
に対する例であって、実施例6に対応する比較のための
例である。また、比較例6は、本発明の低カーボン質炭
素含有耐火物(固定炭素分:0.2〜5重量%)に対応する比
較のための例である。
【0085】
【表2】
【0086】表2から明らかなように、比較例に対して
本発明の低カーボン質炭素含有耐火物(実施例1〜12)
は、ベーキング後の気孔率が低く緻密なものが得られて
おり、かつ高温下で長時間還元焼成した後においても強
度が低く保持されて耐スポーリング性に優れており、し
かも1400℃で完全に酸化させた後の強度が高く、酸化後
にも高耐用の耐火物として耐用することのできる優れた
特性を有していることが理解できる。
【0087】即ち、本発明の低カーボン質炭素含有耐火
物(実施例1〜12)は、従来のものに比べて長時間加熱さ
れた場合の耐スポーリング性が大幅に向上しており、か
つ緻密質であって酸化後の強度も高いことから、カーボ
ン量の少ないことが求められる用途、例えば製鉄用容器
の内張り材等として使用した場合、溶鋼へのカーボンピ
ックアップが少なく、かつ高耐用が得られることは明ら
かである。
【0088】
【発明の効果】本発明は、以上詳記したとおり、耐火性
原料と炭素を含有する炭素質原料とを含む原料配合物に
おいて、原料配合物の熱間残留分100重量%に対して炭
素質原料の固定炭素分が0.2〜5重量%であって、しかも
前記(a)〜(f)を特徴とし、これにより、緻密な組織を
有していながら高温下で長時間使用した場合にも過度の
焼結が進行せず、良好な耐スポーリング性を維持できる
“高耐スポーリング性,高耐食性で、かつ溶鋼へのカー
ボンピックアップを極力防止することのできる低カーボ
ン質の炭素含有耐火物”を提供することができる。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐火性原料と炭素を含有する炭素質原料
    とを含む原料配合物において、該原料配合物の熱間残留
    分100重量%に対して前記炭素質原料の固定炭素分が0.2
    〜5重量%であって、前記炭素質原料の少なくとも一部
    に有機バインダーを使用し、かつ、該有機バインダーの
    全部または一部が固定炭素25重量%以上のものを使用し
    たことを特徴とする低カーボン質の炭素含有耐火物。
  2. 【請求項2】 耐火性原料と炭素を含有する炭素質原料
    とを含む原料配合物において、該原料配合物の熱間残留
    分100重量%に対して前記炭素質原料の固定炭素分が0.2
    〜5重量%であって、前記炭素質原料の少なくとも一部
    に有機バインダーを使用し、該有機バインダーの全部ま
    たは一部が固定炭素25重量%以上であり、かつ粘性が20
    0ポイズ以下のものを使用したことを特徴とする低カー
    ボン質の炭素含有耐火物。
  3. 【請求項3】 耐火性原料と炭素を含有する炭素質原料
    とを含む原料配合物において、該原料配合物の熱間残留
    分100重量%に対して前記炭素質原料の固定炭素分が0.2
    〜5重量%であって、前記炭素質原料の少なくとも一部
    にピッチを使用したことを特徴とする低カーボン質の炭
    素含有耐火物。
  4. 【請求項4】 前記ピッチとして、β−レジン含有量が
    10重量%以上であるピッチを使用したことを特徴とする
    請求項3に記載の低カーボン質の炭素含有耐火物。
  5. 【請求項5】 耐火性原料と炭素を含有する炭素質原料
    とを含む原料配合物において、該原料配合物の熱間残留
    分100重量%に対して前記炭素質原料の固定炭素分が0.2
    〜5重量%であって、前記炭素質原料の少なくとも一部
    にカーボンブラックを使用したことを特徴とする低カー
    ボン質の炭素含有耐火物。
  6. 【請求項6】 耐火性原料と炭素を含有する炭素質原料
    とを含む原料配合物において、該原料配合物の熱間残留
    分100重量%に対して前記炭素質原料の固定炭素分が0.2
    〜5重量%であって、かつ前記耐火性原料の少なくとも
    一部にマグネシア,アルミナ,スピネルを使用したこと
    を特徴とする低カーボン質の炭素含有耐火物。
  7. 【請求項7】 耐火性原料と炭素を含有する炭素質原料
    とを含む原料配合物において、該原料配合物の熱間残留
    分100重量%に対して前記炭素質原料の固定炭素分が0.2
    〜5重量%であって、かつ金属添加物の含有量が4重量
    %以下であることを特徴とする低カーボン質の炭素含有
    耐火物。
  8. 【請求項8】 耐火性原料と炭素を含有する炭素質原料
    とを含む原料耐火物において、該原料配合物の熱間残留
    分100重量%に対して前記炭素質原料の固定炭素分が0.2
    〜5重量%であって、ベーキング後の見掛け気孔率が4
    %以下であることを特徴とする低カーボン質の炭素含有
    耐火物。
  9. 【請求項9】 耐火性原料と炭素を含有する炭素質原料
    とを含む原料耐火物において、該原料配合物の熱間残留
    分100重量%に対して前記炭素質原料の固定炭素分が0.2
    〜5重量%であって、1400℃で10時間加熱して完全に酸
    化させた後の圧縮強さが25MPa以上であることを特
    徴とする低カーボン質の炭素含有耐火物。
  10. 【請求項10】 耐火性原料と炭素を含有する炭素質原
    料とを含む原料耐火物の熱間残留分100重量%に対し
    て、炭素質原料の固定炭素分が0.2〜5重量%を超えない
    量の炭素質原料を配合することを特徴とする請求項1〜
    9のいずれかに記載の低カーボン質の炭素含有耐火物の
    製造方法。
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