JPH11315049A - 3−アシロキシシクロヘキセンの製造方法 - Google Patents
3−アシロキシシクロヘキセンの製造方法Info
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- JPH11315049A JPH11315049A JP13429898A JP13429898A JPH11315049A JP H11315049 A JPH11315049 A JP H11315049A JP 13429898 A JP13429898 A JP 13429898A JP 13429898 A JP13429898 A JP 13429898A JP H11315049 A JPH11315049 A JP H11315049A
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Abstract
ロキシシクロヘキセンを、長期間安定的に、かつ固体触
媒成分の液中溶出が大幅に抑制でき、触媒成分の分離が
容易となる簡便な方法で製造する。 【解決手段】 パラジウムとテルルを活性成分として担
持する固体触媒の存在下で、シクロヘキセンとカルボン
酸及び分子状酸素とを液相下で反応させて3−アシロキ
シシクロヘキセンを製造する際に、固体触媒におけるテ
ルルの担持量が、パラジウム1グラム原子に対して0.
05〜0.3グラム原子であることを特徴とする。
Description
ルを担持させた固体触媒の存在下、シクロヘキセンとカ
ルボン酸及び分子状酸素とを反応させて3−アシロキシ
シクロヘキセンを製造する方法に関するものである。更
に詳しくは、液相下にテルルの担持量が、パラジウム1
グラム原子に対して0.05〜0.3グラム原子である
固体触媒の存在下、シクロヘキセンとカルボン酸及び分
子状酸素とを反応させて3−アシロキシシクロヘキセン
を製造する方法に関するものである。3−アシロキシシ
クロヘキセンは、香料、医薬、農薬など有機工業化学の
原料として有用な化合物である。さらに通常の方法によ
り加水分解すると3−ヒドロキシシクロヘキセンが得ら
れ、これも有機合成反応の原料として極めて有用な化合
物である。
分子状酸素とを液相下で反応させて3−アシロキシシク
ロヘキセンを製造する方法としては、パラジウム化合
物、塩化リチウム及び硝酸リチウムからなる触媒の存在
下に反応させる方法(特開昭51−8245号公報に記
載の方法)、酢酸パラジウム、p−キノン及びヘテロ
ポリ酸から成る触媒の存在下に反応させる方法(J.Mo
l. Catal.A:Chem.,114,113−1
22(1996))、酢酸パラジウム、p−キノン及
び遷移金属錯体から成る触媒の存在下に反応させる方法
(J.Am.Chem.Soc.,112(13),5
160−66(1990))などが開示されている。
は均一系触媒で反応を行うこと、同時に目的生成物であ
る3−アシロキシシクロヘキセンは、シクロヘキセン及
びカルボン酸に対して高い沸点を有することにより反応
後の触媒成分の分離回収、生成物の分離精製工程が煩雑
になる等の問題があった。さらに、シクロアルケンとカ
ルボン酸及び分子状酸素とを担持型パラジウム成分及び
含窒素酸化物から成る触媒の存在下に反応させて3−ア
シロキシシクロオレフィンを製造する方法(特開平3−
275648号公報に記載の方法)が開示されている。
この方法においては、反応系における触媒の状態は、均
一であっても、不均一であってもよいことが記載されて
いるが、本発明者らの検討によれば、シクロヘキセンと
酢酸を用いた反応系では、パラジウム成分の液中溶出が
著しく、実質上は上記、及びの均一系触媒の方法
と同様に触媒成分の分離回収の為の煩雑な工程が必要と
なることが分かった。
酸の存在下にパラジウム、白金のうちの少なくとも一つ
とテルルまたはビスマスを含有する固体触媒を使用して
酸素により酸化してカルボン酸アルケニルエステルを製
造する方法(特開昭53−90212号公報に記載の方
法)が開示されている。この方法によれば、不均一系触
媒を用いて安定な触媒活性を保持できるとの記載がある
が、安定な触媒活性の保持を証明する記載は無く、さら
に液相系で反応させた際の触媒上の担持金属成分の溶出
挙動に関する例示はなされていない。
ヘキセンとカルボン酸及び分子状酸素とを液相下で反応
させて3−アシロキシシクロヘキセンを製造するに際
し、反応液と触媒成分の分離が容易となる簡便な製造方
法は知られておらず、工業的には担持金属成分の液中溶
出を防止し、かつ3−アシロキシシクロヘキセンを安定
的に製造できる固体触媒を用いた製造方法が望まれると
ころであった。
を解決すべく鋭意、検討を重ねた結果、シクロヘキセン
とカルボン酸及び分子状酸素とを液相下で反応させる際
に、パラジウム及びパラジウムに対して限定された比率
範囲のテルルを担持した固体触媒を用いることで、担持
金属の液中溶出を防止し、3−アシロキシシクロヘキセ
ンを安定的に、かつ簡便に製造できることを見い出し、
本発明を完成するに至った。
性成分として担持する固体触媒の存在下、シクロヘキセ
ンとカルボン酸及び分子状酸素を液相下で反応させて3
−アシロキシシクロヘキセンを製造する方法において、
固体触媒におけるテルルの担持量が、パラジウム1グラ
ム原子に対して0.05〜0.3グラム原子であること
を特徴とする3−アシロキシシクロヘキセンの製造方法
である。本発明によれば、通常60%以上、好適には7
0%以上の高い選択率で3−アシロキシシクロヘキセン
を製造することができる。同時に活性成分として担持さ
れるパラジウム及びテルルの液中溶出を大幅に抑制する
ことができる為、反応後の触媒成分の分離回収操作を必
要とせず、長期間、安定的に3−アシロキシシクロヘキ
センを製造することができる。
適用される触媒はパラジウム及びテルルを必須の活性成
分として担体に担持した固体触媒である。触媒の調製法
は特に限定されるものではなく、担体付き金属触媒調製
のためによく知られている方法を用いることができる。
特に、適当なパラジウム化合物及びテルル化合物を担体
に担持させ、周知の適当な方法により還元して調製する
ことができる。例えば、パラジウム及びテルルの金属、
酸化物、水酸化物、塩酸塩、硝酸塩、カルボン酸塩、錯
塩等から選ばれる化合物を適当な溶媒に溶解して固体担
体を浸漬し、公知の含浸法、吸着法、共沈法等の担持法
により触媒成分を担体に担持させた後、気相下にて水素
気流中もしくは還元性化合物を含む気流中で、または液
相下にて公知の還元剤、例えば、ホルマリン、ヒドラジ
ン等で還元して調製される。触媒調製の為に用いられる
パラジウム化合物としては金属パラジウム、酸化パラジ
ウム、塩化パラジウム、硝酸パラジウム、酢酸パラジウ
ム及びパラジウムアンミン錯体等が挙げられる。また、
テルル化合物としては金属テルル、酸化テルル、塩化テ
ルル、テルル酸、オルソテルル酸等が挙げられる。パラ
ジウム及びテルルは同時にまたは順次に担体上に担持、
還元せしめることができる。つまり、パラジウムを予め
担持、還元せしめた固体触媒を用いて、テルルを後から
担持、還元せしめる調製方法を用いてもよい。触媒調製
のために用いられる担体としては、活性炭、シリカ、ア
ルミナ、シリカ−アルミナ、チタニア、マグネシア、ゼ
オライト、珪藻土等を用いることができるが、中でも安
定性に優れた活性炭をを用いることが好ましい。活性炭
は市販のものをそのまま使用してもよいが、硝酸等の酸
を用いる通常の洗浄処理を施したものを使用することが
できる。
持されるパラジウムとテルルの比率が特定の範囲内に保
持、調製された固体触媒を用いることによりその目的を
達成することができる。つまり、シクロヘキセンとカル
ボン酸及び分子状酸素とを液相下で製造する方法におい
て、テルルの担持量を、パラジウム1グラム原子に対し
て0.05〜0.3グラム原子の間に保持されるように
調製した固体触媒を用いた場合にのみ、高い選択率で3
−アシロキシシクロヘキセンが得られると同時にパラジ
ウム及びテルルの両活性成分の液中溶出を大幅に抑制す
ることができる。該固体触媒におけるテルルの担持量が
パラジウム1グラム原子に対して0.05グラム原子未
満では、3−アシロキシシクロヘキセンへの選択率は低
下し、酸化脱水素反応によるベンゼンの生成比が増大す
ると同時にパラジウムの液中溶出を抑制することができ
なくなる。また、テルルの担持量がパラジウム1グラム
原子に対して0.3グラム原子を越えるとシクロヘキセ
ンの転化率が大幅に低下すると同時にテルルの液中溶出
が抑制できなくなる。テルルの担持量がパラジウム1グ
ラム原子に対して0.05〜0.3グラム原子の間に保
持されない場合、パラジウム及びテルルのいずれかの活
性成分の液中溶出を抑制できず、触媒活性及び性能低下
の原因につながる。
触媒調製時において通常の還元処理によりパラジウムと
比較的容易に固溶組成、あるいは金属間化合物組成を形
成し、パラジウム原子に対して特定の比率の範囲にある
テルル原子が、シクロヘキセンを反応基質として用いる
際の酸化的アシロキシ化反応に対して、パラジウム原子
の最適な電子密度を発現するように作用していることが
考えられる。従って、触媒を調製する際には、還元後の
固体触媒上にテルルの担持量がパラジウム1グラム原子
に対して0.05〜0.3グラム原子となるように、実
施する担持方法に合わせて、原料として用いるパラジウ
ム化合物及びテルル化合物の使用量を考慮する必要があ
る。担体へのパラジウム及びテルルの担持量は、特に限
定されず、広い範囲で変化し得るが、パラジウムとテル
ルの合計量が0.1〜20重量%の範囲が適当であり、
より好ましくは0.5〜10重量%の範囲である。
せるカルボン酸としては、脂肪族、脂環族、芳香族など
任意のものを用いることができるが、工業的には酢酸、
プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸等の低級脂肪族カルボン
酸を用いることが好ましく、特に好ましいのは酢酸であ
る。本発明の方法で用いられるシクロヘキセンの純度に
は特に制限は無く、例えば若干のシクロヘキサン、ベン
ゼンを含んでいても、また微量の水を含んでいても特に
さしつかえない。
反応は、溶媒中あるいは無溶媒下で実施することができ
る。ここで溶媒としては飽和炭化水素、エーテル、エス
テル等の不活性溶剤を使用することができるが、通常は
低級脂肪族カルボン酸、好ましくは原料として用いるカ
ルボン酸を原料兼溶媒として用いる。この際の溶媒を兼
ねる原料カルボン酸とシクロヘキセンの割合は、固体触
媒が存在する反応場に供給される初期濃度の比率とし
て、シクロヘキセン1モル当たり原料カルボン酸が5〜
500モルの範囲が適当であり、より好ましくは6〜3
00モルの範囲である。シクロヘキセンに対してカルボ
ン酸の量が少なくなると、反応速度が低下すると同時
に、酸化脱水素反応によるベンゼンの生成比が増加し3
−アシロキシシクロヘキセンの選択率が低下するので好
ましくない。また、シクロヘキセンに対してカルボン酸
の量が過剰になると単位反応器容量当たりの3−アシロ
キシシクロヘキセンの生産性が低下し工業的製法として
は実用的でない。
素を含有する気体を用いて、液相下で固体触媒と接触さ
せる。ここで分子状酸素を含有する気体とは、純酸素あ
るいは酸素と不活性気体の混合気体を指す。この不活性
気体とは、窒素、アルゴン、ヘリウム等であり、混合気
体としては空気も含まれる。分子状酸素は不活性気体と
任意の混合比率にて、大気圧〜加圧状態として反応系に
供給することができるが、酸素濃度は反応系内で気体が
爆発組成とならない範囲が好ましい。また、加圧状態と
して反応系に供給する際には、反応系内の酸素分圧が好
ましくは1〜20kg/cm2 の範囲、より好ましくは
2〜8kg/cm2 の範囲に保持されるように供給気体
の圧力及び酸素濃度を調整するとよい。
0℃、好ましくは30〜130℃、より好ましくは40
〜120℃の範囲で行われる。150℃を越えて高温に
なると酸化脱水素反応によるベンゼンの生成比率及び高
沸点副生物の生成比率が増加し、3−アシロキシシクロ
ヘキセンへの反応選択性を低下せしめるので好ましくな
い。また20℃未満の低温では、反応速度が低下して好
ましくない。
ボン酸及び分子状酸素とを液相下にテルルの担持量が、
パラジウム1グラム原子に対して0.05〜0.3グラ
ム原子である固体触媒の存在下で反応させることによ
り、担持金属の液中溶出を大幅に抑制させ3−アシロキ
シシクロヘキセンを安定的に、かつ簡便に製造できる。
この場合、反応系における触媒の状態は不均一であっ
て、反応系の状態は液相であるが、反応を行うにあたっ
ては、上述した如く分子状酸素を含有する気体を用いて
反応系に酸素を供給する必要があり、反応系は分子状酸
素含有気体雰囲気下にあることが必要である。また、反
応方式は特に制限はなく回分式、半回分式、連続式など
のいずれでもよい。分子状酸素含有気体の供給方法とし
ては、例えば回分式の混合撹拌槽型反応器を用いる場合
には、反応系内に形成される液相部に直接吹き込んでも
よいし、液相部と接触して存在する気相部に導入しても
よい。この時、液相部に存在する固体触媒が分子状酸素
含有気体と一部接触することは何ら問題がない。
実施する反応形態、例えば固定床方式、流動床方式、懸
濁触媒方式等に応じて粉末状担体、破砕状担体、粒子状
担体及び柱状担体等にパラジウム及びテルルを担持した
ものを使用することができる。この際、担体の大きさに
ついて特に制限はない。また、該固体触媒の使用量は、
実施する反応形態、用いる担体の形状、固体触媒中のパ
ラジウム及びテルルの担持量等によって任意に選ぶこと
ができ特に制限はないが、例えば回分式反応の場合、シ
クロヘキセン1モルに対して、固体触媒に担持されたパ
ラジウムが0.1グラム原子以下となる量の固体触媒が
用いられる。
適には70%以上の高い選択率で3−アシロキシシクロ
ヘキセンを製造することができる。同時に活性成分とし
て担持されるパラジウム及びテルルの液中溶出を大幅に
抑制することができる為、反応後の触媒成分の分離回収
操作を必要とせず、長期間、安定的に3−アシロキシシ
クロヘキセンを製造することができる。
る。 (実施例1) 1)固体触媒の調製 市販の5%−パラジウム担持カーボン(和光純薬製)を
40℃にて12時間、真空乾燥処理した。乾燥処理後の
パラジウム担持カーボン5.0gを二酸化テルルの塩酸
溶液(0.0188gの二酸化テルルを20mlの6N
−塩酸溶液に溶解したもの)と共にガラスフラスコに入
れ、ロータリーエバポレーターに設定、ゆっくり撹拌混
合しながら、常圧下に温度90℃のオイルバスに浸し濃
縮乾固した。ガラスフラスコを取り出した後、氷にて冷
却された水浴に浸し、37%ホルムアルデヒド溶液15
mlを約1時間かけて滴下した。続いて、30%水酸化
カリウム水溶液10mlを約1時間かけて滴下した。さ
らに約12時間静置した後に減圧吸引濾過し、濾液が中
性となるまで熱水で繰り返し洗浄した。含水触媒ケーク
を磁性皿に移した後、横置きパイレックスガラス中に保
持し、N2 を100Nml/分で供給しながら、ゆっく
り昇温し、200℃にて2時間乾燥、さらに昇温し40
0℃にて1時間保持した後、N2 を引き続き供給しなが
ら一夜放冷し、室温下で触媒を回収した。この触媒はパ
ラジウムを4.98重量%、テルルを0.30重量%含
有しており、パラジウム1グラム原子に対して0.05
グラム原子のテルルを含有する固体触媒を得た。
反応 ガス自給式撹拌翼及び原料導入ポットを取り付けたSU
S316材質の総容量200mlのオートクレーブに、
酢酸40gを仕込み、1)で得られた固体触媒0.86
gを懸濁させる。さらに原料導入ポットにシクロヘキセ
ン0.82g及び酢酸10gを仕込んだ後、系内を7%
の酸素を含有する窒素の混合ガスを用いて置換し、撹拌
しながら90℃まで昇温した。この後原料ポットより酢
酸に溶解させたシクロヘキセンをオートクレーブ内に瞬
時に供給すると同時に、7%の酸素を含有する窒素の混
合ガスを気相部に導入し、系内圧力を60kg/cm2
Gまで昇圧した後、2時間反応を行った。
をガスクロマトグラフィーによって分析したところ、シ
クロヘキセンの転化率は68.4%であり、3−アセト
キシシクロヘキセンの選択率は転化したシクロヘキセン
基準で62.8%であることが確認された。一方、IC
P発光分光分析により反応液中のパラジウム及びテルル
の溶出濃度を測定した。パラジウムの溶出濃度は0.2
ppm、テルルの溶出濃度は0.1ppm以下であっ
た。これらの結果を表1に示す。60%以上の高い選択
率で3−アセトキシシクロヘキセンを得ると同時に活性
成分として担持されるパラジウム及びテルルの液中溶出
を抑制することができた。
て、0.0375gの二酸化テルルを20mlの6N−
塩酸溶液に溶解したものを用いる他は、実施例1と同様
の方法にて、固体触媒を調製した。この触媒はパラジウ
ムを4.97重量%、テルルを0.60重量%含有して
おり、パラジウム1グラム原子に対して0.10グラム
原子のテルルを含有する固体触媒を得た。この触媒を
0.86g用いて実施例1と同様の方法にて反応を行っ
た。結果を表1に示す。実施例1と同様、高い選択率で
3−アセトキシシクロヘキセンを得ると同時に活性成分
として担持されるパラジウム及びテルルの液中溶出を抑
制することができた。
て、0.0535gの二酸化テルルを20mlの6N−
塩酸溶液に溶解したものを用いる他は、実施例1と同様
の方法にて、固体触媒を調製した。この触媒はパラジウ
ムを4.96重量%、テルルを0.85重量%含有して
おり、パラジウム1グラム原子に対して0.14グラム
原子のテルルを含有する固体触媒を得た。この触媒を
0.86g用いて実施例1と同様の方法にて反応を行っ
た。結果を表1に示す。実施例1及び2と同様、高い選
択率で3−アセトキシシクロヘキセンを得ると同時に活
性成分として担持されるパラジウム及びテルルの液中溶
出を抑制することができた。
て、0.0937gの二酸化テルルを20mlの6N−
塩酸溶液に溶解したものを用いる他は、実施例1と同様
の方法にて、固体触媒を調製した。この触媒はパラジウ
ムを4.93重量%、テルルを1.48重量%含有して
おり、パラジウム1グラム原子に対して0.25グラム
原子のテルルを含有する固体触媒を得た。この触媒を
0.86g用いて実施例1と同様の方法にて反応を行っ
た。結果を表1に示す。実施例1、2及び3と同様、高
い選択率で3−アセトキシシクロヘキセンを得ると同時
に活性成分として担持されるパラジウム及びテルルの液
中溶出を抑制することができた。
て、0.008gの二酸化テルルを20mlの6N−塩
酸溶液に溶解したものを用いる他は、実施例1と同様の
方法にて、固体触媒を調製した。この触媒はパラジウム
を4.99重量%、テルルを0.13重量%含有してお
り、パラジウム1グラム原子に対して0.02グラム原
子のテルルを含有する固体触媒を得た。この触媒を0.
86g用いて実施例1と同様の方法にて反応を行った。
結果を表1に示す。3−アセトキシシクロヘキセンの選
択率は低く、また、活性成分として担持されるパラジウ
ムの液中溶出を抑制することができなかった。
て、0.150gの二酸化テルルを20mlの6N−塩
酸溶液に溶解したものを用いる他は、実施例1と同様の
方法にて、固体触媒を調製した。この触媒はパラジウム
を4.88重量%、テルルを2.34重量%含有してお
り、パラジウム1グラム原子に対して0.40グラム原
子のテルルを含有する固体触媒を得た。この触媒を0.
86g用いて実施例1と同様の方法にて反応を行った。
結果を表1に示す。シクロヘキセンの転化率は低く、ま
た、活性成分として担持されるテルルの液中溶出を抑制
することができなかった。
報に記載の方法を参考に固体触媒を調製した。16〜3
2メッシュのヤシガラ破砕炭(ツルミコール社製HC−
30Sを分級したもの)20gに15重量%の硝酸水溶
液300mlを加えて、5時間加熱還流を行った後、デ
カンテーションにより硝酸水溶液を除去した。次にイオ
ン交換水を300mlを加えて加熱還流を繰り返し、デ
カンテーションによる水洗操作を液が中性となるまで繰
り返した。その後減圧乾燥を行い、硝酸処理した活性炭
を調製した。
を、パラジウムを22.3重量%含有する硝酸溶液1.
432g、及び二酸化テルル0.72gを溶解した30
重量%の硝酸水溶液20mlに浸漬後、ロータリーエバ
ポレーターで蒸発乾固させた。担持処理後の触媒を窒素
気流中150℃において2時間乾燥し、続いてこれに
0.5L/分の速度でメタノールを室温で飽和した窒素
気流を通じながら200℃で2時間還元し、次いで40
0℃で1時間還元した。窒素気流下で放冷し、室温下に
て触媒を回収した。この触媒はパラジウムを2.47重
量%、テルルを4.47重量%含有しており、パラジウ
ム1グラム原子に対して1.51グラム原子のテルルを
含有する固体触媒を得た。この触媒を1.723g用い
て実施例1と同様の方法にて反応を行った。結果を表1
に示す。シクロヘキセンの転化率は極めて低く、また、
活性成分として担持されるテルルの液中溶出を抑制する
ことができなかった。
報に記載の方法を参考に反応を行った。実施例1と同様
の総容量200mlのオートクレーブに、酢酸40gを
仕込み、市販の5%−パラジウム担持カーボン(和光純
薬製)を0.425g及び硝酸リチウム0.348gを
添加する。さらに原料導入ポットにシクロヘキセン0.
82g及び酢酸10gを仕込んだ後、系内を7%の酸素
を含有する窒素の混合ガスを用いて置換し、撹拌しなが
ら60℃まで昇温した。この後原料ポットより酢酸に溶
解させたシクロヘキセンをオートクレーブ内に瞬時に供
給すると同時に、7%の酸素を含有する窒素の混合ガス
を気相部に導入し、系内圧力を50kg/cm2 Gまで
昇圧した後、2時間反応を行った。
を濾別した後に、反応液の一部に水を加え、n−ヘキサ
ンにて抽出後、ガスクロマトグラフィーによって分析し
たところ、シクロヘキセンの転化率は86.8%であ
り、3−アセトキシシクロヘキセンの選択率は転化した
シクロヘキセン基準で79.1%であることが確認され
た。一方、ICP発光分光分析により濾過後の反応液中
のパラジウムの溶出濃度を測定した。パラジウムの溶出
濃度は173ppmであった。これらの結果を表1に示
す。高い選択率で3−アセトキシシクロヘキセンが得ら
れたが、活性成分として担持されるパラジウムは大量に
液中に溶出していた。
製HC−30Sを分級したもの)100gに15重量%
の硝酸水溶液500mlを加えて、5時間加熱還流を行
った後、デカンテーション及び吸引濾過により硝酸水溶
液を除去した。次にイオン交換水を500mlを加えて
1時間加熱還流を行った後、デカンテーション及び吸引
濾過により洗浄水を除去した。同様の洗浄操作を4回繰
り返した後、80℃の温度下で真空乾燥を行い、硝酸前
処理をした活性炭を調製した。
を、パラジウムを22.3重量%含有する硝酸溶液2.
152gと二酸化テルル0.360gを溶解させた30
重量%の硝酸水溶液40gに浸漬した。次いで、3時間
加熱還流を行った後に約15時間室温まで放冷し、吸着
担持処理を実施した。デカンテーション及び吸引濾過を
行った後、次いで150℃の温度下で3時間真空乾燥を
実施した。担持処理後の触媒を縦型石英ガラス管に全量
充填し、窒素気流中200℃において2時間さらに乾燥
させ、次いでメタノールを室温で飽和した窒素気流中2
00℃において2時間、さらにゆっくり昇温し400℃
において2時間還元処理を実施した。次いで窒素気流中
に400℃において2時間保持した後に、窒素気流下で
放冷し、室温下にて触媒を回収した。この触媒はパラジ
ウムを2.63重量%、テルルを0.31重量%含有し
ており、パラジウム1グラム原子に対して0.098グ
ラム原子のテルルを含有する固体触媒を得た。
流通反応 SUS316材質の内容積1000mlのオートクレー
ブを反応器とした槽型流通反応装置を用いた。ガス自給
式撹拌翼の下部に設置されたSUS316材質のワイヤ
ー編み目状ホルダー内に1)で得られた固体触媒7.9
gを封入固定し、シクロヘキセンを2重量%含有する酢
酸溶液250gを仕込み、7%の酸素を含有する窒素の
混合ガスを用いて、系内圧力60kg/cm2 Gを保持
し、撹拌下に90℃にて1.5時間回分反応を行った。
この後、シクロヘキセンを2重量%含有する酢酸溶液を
50g/時で供給すると同時に気相部ガスを12L/時
で系外に排気しながら、排気容量分に相当する7%の酸
素を含有する窒素の混合ガスを供給して連続的に反応を
実施した。反応液は、液面制御抜き出し弁より連続的に
取り出した。流通反応開始から4〜5時間、及び49〜
50時間の反応液を、固体触媒を濾別した後に、ガスク
ロマトグラフィーにより反応液組成を、及び、ICP発
光分光分析により反応液中のパラジウム及びテルルの溶
出濃度を測定した。これらの結果を表2に示す。70%
以上の高い選択率にて、かつ安定的に3−アセトキシシ
クロヘキセンが得られた。同時に活性成分として担持さ
れるパラジウム及びテルルの液中溶出を抑制することが
できた。
として、二酸化テルルの使用量を0.072gとした他
は、実施例5と同様の方法にて、固体触媒を調製した。
この触媒はパラジウムを2.66重量%、テルルを0.
07重量%含有しており、パラジウム1グラム原子に対
して0.02グラム原子のテルルを含有する固体触媒を
得た。この触媒を7.8g用いて実施例5と同様の方法
にて反応を行った。結果を表2に示す。3−アセトキシ
シクロヘキセンの選択率及びシクロヘキセンの転化率は
経時的に低下し、安定的に3−アセトキシシクロヘキセ
ンを得ることはできなかった。また、活性成分として担
持されるパラジウムの液中溶出を抑制することができな
かった。
として、二酸化テルルの使用量を1.50gとした他
は、実施例5と同様の方法にて、固体触媒を調製した。
この触媒はパラジウムを2.55重量%、テルルを1.
19重量%含有しており、パラジウム1グラム原子に対
して0.39グラム原子のテルルを含有する固体触媒を
得た。この触媒を8.1g用いて実施例5と同様の方法
にて反応を行った。結果を表2に示す。3−アセトキシ
シクロヘキセンの選択率及びシクロヘキセンの転化率は
経時低下し、安定的に3−アセトキシシクロヘキセンを
得ることはできなかった。また、活性成分として担持さ
れるテルルの液中溶出を抑制することができなかった。
ン酸及び分子状酸素とを液相下で反応させて3−アシロ
キシシクロヘキセンを製造するに際し、触媒成分の液中
溶出を防止し、3−アシロキシシクロヘキセンを安定的
に、かつ簡便に製造することができる。これらの実現は
3−アシロキシシクロヘキセンの製造を工業的に実施す
る上で極めて有用となる。
Claims (4)
- 【請求項1】 パラジウム及びテルルを活性成分として
担持する固体触媒の存在下、シクロヘキセンとカルボン
酸及び分子状酸素とを液相下で反応させて3−アシロキ
シシクロヘキセンを製造する方法において、固体触媒に
おけるテルルの担持量が、パラジウム1グラム原子に対
して0.05〜0.3グラム原子であることを特徴とす
る3−アシロキシシクロヘキセンの製造方法。 - 【請求項2】 カルボン酸が酢酸であることを特徴とす
る特許請求の範囲第1項に記載の製造方法。 - 【請求項3】 固体触媒の担体として、活性炭を用いる
ことを特徴とする特許請求の範囲第1項、または第2項
に記載の製造方法。 - 【請求項4】 反応温度20〜150℃の条件で反応を
行うことを特徴とする特許請求の範囲第1〜3項のいず
れか1項に記載の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13429898A JP4014287B2 (ja) | 1998-04-30 | 1998-04-30 | 3−アシロキシシクロヘキセンの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
JP13429898A JP4014287B2 (ja) | 1998-04-30 | 1998-04-30 | 3−アシロキシシクロヘキセンの製造方法 |
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---|---|
JPH11315049A true JPH11315049A (ja) | 1999-11-16 |
JP4014287B2 JP4014287B2 (ja) | 2007-11-28 |
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JP (1) | JP4014287B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005013800A (ja) * | 2003-06-24 | 2005-01-20 | Mitsubishi Chemicals Corp | 固体触媒及びこれを用いた酸化的付加生成物の製造方法 |
-
1998
- 1998-04-30 JP JP13429898A patent/JP4014287B2/ja not_active Expired - Fee Related
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