JPH11314312A - 複合体 - Google Patents

複合体

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JPH11314312A
JPH11314312A JP12626698A JP12626698A JPH11314312A JP H11314312 A JPH11314312 A JP H11314312A JP 12626698 A JP12626698 A JP 12626698A JP 12626698 A JP12626698 A JP 12626698A JP H11314312 A JPH11314312 A JP H11314312A
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JP
Japan
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unsaturated polyester
resin composition
thermosetting resin
metal thin
thin film
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Application number
JP12626698A
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English (en)
Inventor
Fumio Matsui
二三雄 松井
Muneaki Inagaki
宗明 稲垣
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Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Showa Highpolymer Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 実用的にも有用な熱硬化性樹脂組成物の成形
硬化体を基材とし、この表面に、改善された密着性でも
って金属薄膜を設けた複合体を提供する。 【解決手段】 (A)不飽和ポリエステル、(B)フタ
ル酸ジアリル、(C)Tgが160℃以下である熱可塑
性樹脂、(D)無機質充填材および(E)ラジカル重合
開始剤を含有してなる熱硬化性樹脂組成物の成形硬化体
表面に、金属薄膜を設けてなることを特徴とする複合
体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定の熱硬化性樹
脂組成物の成形硬化体表面に、改善された密着性でもっ
て金属薄膜を設けた複合体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】プラスチック材料の表面に金属薄膜層を
設けることで、装飾性、表面導電性、磁気特性、電磁波
遮断性、光学特性、ガスバリアー性、熱遮断性等の性質
を付与した機能性材料が、広くエレクトロニクス産業、
自動車産業等の分野で大量に利用されてきている。ベー
スのプラスチック材料としてはABS樹脂、ナイロン、
ポリアセタール、変成PPE、ポリカーボネートあるい
はそれらのブレンド物が使用されている。
【0003】しかしながら、これらはいずれも熱可塑性
樹脂であって、その耐熱性には一定の限界がある。さら
には熱膨張係数が金属より一桁大きいことから、低温か
ら高温までの広い温度範囲にわたって繰り返して使用す
るには本質的な弱点を有していて、剥離、ふくれ等の弊
害を伴いやすい。また熱膨張係数が大きいことは、成形
加工に際しても精密な形状を実現するには困難さを伴
い、このことからその用途についても自ずから限定され
たものにならざるを得ない状況となっている。
【0004】一方、熱硬化性樹脂は耐熱性の面では一段
優れた材料が多いが、その中でも不飽和ポリエステル樹
脂は成形精度の面で独特の地位を占めている。一般的に
不飽和ポリエステル樹脂は、多価アルコール成分として
プロピレングリコール、飽和多塩基酸として無水フタル
酸、および不飽和多塩基酸成分として無水マレイン酸ま
たはフマル酸を重縮合して得られたプレポリマーを、ス
チレン等のモノマーに溶解し、これらのモノマーと共重
合、共架橋することで三次元硬化体として用いられる。
その際、モノマーにポリメチルメタクリレート、ポリス
チレン、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリ塩化ビニ
ル等の熱可塑性樹脂、あるいはそれらのグラフト共重合
体などを添加溶解しておくと、硬化時にこれらの熱可塑
性樹脂がミクロに分散して硬化の収縮を低減する効果が
あり、高精度の成形体を得るための手法として一般的に
用いられている。
【0005】不飽和ポリエステル樹脂のメッキ化はまだ
実用化されていない。これは樹脂自体が金属薄膜との密
着性を確保するための下地処理が難しいという面だけで
なく、樹脂組成物に増粘等の目的で必須成分として含有
される炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム等の充填材
が、湿式メッキ浴を汚染し、さらに、加熱時にスチレン
等のガス発生量が多く、金属層との界面にふくれ、剥離
等を生ずることが指摘されているためである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、実用
的にも有用な熱硬化性樹脂組成物の成形硬化体を基材と
し、この表面に、改善された密着性でもって金属薄膜を
設けた複合体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の従
来の課題を解決すべく広範な諸材料の複合に関して鋭意
検討行った結果、所期の目的に適う複合体を見い出し本
発明を完成するに至った。すなわち本発明は、(A)不
飽和ポリエステル、(B)フタル酸ジアリル、(C)T
gが160℃以下である熱可塑性樹脂、(D)無機質充
填材および(E)ラジカル重合開始剤を含有してなる熱
硬化性樹脂組成物の成形硬化体表面に、金属薄膜を設け
てなることを特徴とする複合体を提供するものである。
また本発明は、(A)成分の不飽和ポリエステルとし
て、融点が120〜180℃の高融点不飽和ポリエステ
ルを用い、且つ熱硬化性樹脂組成物の硬化後のTgが実
質的に200℃以上であることを特徴とする前記の複合
体を提供するものである。さらに本発明は、(D)成分
である無機質充填材がシリカ充填材であり、前記シリカ
充填材のうち少なくとも50重量%以上が球状シリカで
あり、且つ前記球状シリカは1〜100ミクロンにわた
る広い粒径分布を有することを特徴とする、前記の複合
体を提供するものである。さらにまた本発明は、成形硬
化体の常温ないし180℃の熱膨張係数が、0.7〜
1.6×10-5/℃の範囲にあることを特徴とする前記
の複合体を提供するものである。また本発明は、金属薄
膜の材質が、アルミニウム、クロム、ニッケル、チタ
ン、金、銀、銅、亜鉛、錫、パラジウム、白金、コバル
ト、ITO膜、Co−NiおよびCo−Crからなる群
から選択されることを特徴とする前記の複合体を提供す
るものである。さらに本発明は、(A)不飽和ポリエス
テル、(B)フタル酸ジアリル、(C)Tgが160℃
以下である熱可塑性樹脂、(D)無機質充填材および
(E)ラジカル重合開始剤から構成される熱硬化性樹脂
組成物の成形硬化体表面に、電解メッキ、無電解メッ
キ、化学蒸着、真空蒸着、スパッタ、イオンプレーティ
ング法のいずれか、あるいはそれらの複数の組み合わせ
によって金属薄膜を設けてなることを特徴とする複合体
の製造方法を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明において熱硬化性樹脂組成
物の(A)成分の不飽和ポリエステルとしては、多価ア
ルコール成分としてプロピレングリコールやビスフェノ
ールA、飽和多塩基酸として無水フタル酸やイソフタル
酸および不飽和多塩基酸成分として無水マレイン酸また
はフマル酸を重縮合して得られる一般的な不飽和ポリエ
ステルを使用することも勿論可能であるが、融点が12
0〜180℃の高融点不飽和ポリエステルを用い、かつ
熱硬化性樹脂組成物の硬化後のTgが実質的に200℃
以上となるような不飽和ポリエステルを用いるのが本発
明の目的に対してはより好ましい。
【0009】融点が120〜180℃であって、かつ樹
脂組成物の硬化後のTgが実質的に200℃以上となる
ような不飽和ポリエステルとしては以下のような成分か
ら構成されるものが好ましい。多価アルコール成分とし
ては、エチレングリコール、ブチレングリコール、シク
ロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA、ビ
スフェノールA−エチレンオキサイド付加物、ビスフェ
ノールA−プロピレンオキサイド付加物のいずれかまた
はこれらの2種以上の混合物。また飽和多塩基酸成分と
しては、テレフタル酸およびイソフタル酸またはそれら
のエステル、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカ
ルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸およびこれらの
エステルからなる群から選ばれた一種、または数種の混
合物。不飽和多塩基酸としてはフマル酸または無水マレ
イン酸。
【0010】(A)成分の不飽和ポリエステルにおい
て、融点が120℃未満の分子骨格では硬化後のTgも
低く、熱硬化性樹脂組成物の硬化後の熱膨張係数を高温
領域まで一定範囲内に抑制するのが難しいだけでなく、
成形前のコンパウンドが常温ではブロック状とること
で、取り扱いが面倒な不利益もある。また融点が180
℃を超える分子構造は、合成に際してフマル酸の不飽和
結合が反応してゲル化に至る危険性があり、実用的には
製造不可能といえる。
【0011】熱硬化性樹脂組成物の硬化後のTg測定
は、DMA、TMA、DSC等の機器を用いる公知の手
法で実施することができる。こうして測定されるTgに
は分子の側鎖や微小なセグメントの動きも反映して測定
されるが、本発明におけるTgは実質的かつトータルな
分子運動の動きで判定したデータをいう。本発明の熱硬
化性樹脂組成物の硬化後のTgは、実質的に200℃以
上あるのが好ましく、これ未満の分子骨格構造では、熱
膨張係数を高温領域まで一定範囲内に抑制するのが難し
い。
【0012】本発明において熱硬化性樹脂組成物の
(B)成分のフタル酸ジアリルにはオルソ、イソ、テレ
の各タイプがあるが、このうちテレのタイプが特に本発
明の原料として好適である。本発明の樹脂成形体が好ま
しい耐熱性を発揮するためには、テレフタル酸ジアリル
を少なくとも40重量%以上含有していることが望まし
い。また本発明においては、フタル酸ジアリルの一部を
マレイン酸ジアリル、イタコン酸ジアリル、フマル酸ジ
アリルのような不飽和結合を含む他のアリルエステルモ
ノマーに替えて更にその性能改良を図ることもできる
が、その場合もフタル酸ジアリルの占める割合は80重
量%以上が好ましい。
【0013】本発明において熱硬化性樹脂組成物の
(B)成分としてフタル酸ジアリルを用いる結果、スチ
レンを使用する通常の不飽和ポリエステル、例えばSM
Cにおいて観察される未反応ガスの問題は大きく軽減さ
れる。これは本発明に使用される不飽和ポリエステルと
フタル酸ジアリルとの共重合性が良好であることに起因
し、このことはDSC曲線等の測定でも単一発熱ピーク
となって実証される。ちなみにスチレンでは高融点不飽
和ポリエステルと別個の発熱ピークが観察され、この共
重合性の悪さが未反応モノマーが多くなる原因と理解さ
れる。
【0014】(B)成分としてフタル酸ジアリルを用い
る結果、金属薄膜との密着性も改善される。スチレンと
異なり極性が高くなるためと本発明者らは考えている。
【0015】本発明において、(A)成分と(B)成分
との総和における(B)フタル酸ジアリルの重量比率は
10重量%以上、70重量%未満であることがよく、好
ましくは20重量%以上、60重量%未満である。
(B)フタル酸ジアリルの重量比率が10重量%未満で
は成形加工時の流動性が不十分となり、成形加工性が難
しくなる。一方、70重量%以上では熱硬化性樹脂組成
物を硬化せしめる際に硬化速度が遅くなるだけでなく、
硬化体の機械的強度、耐熱性ともに本発明の目的に対し
て不満足なものとなる。
【0016】本発明において熱硬化性樹脂組成物の
(C)成分として用いられるTgが160℃以下である
熱可塑性樹脂としては、ポリメチルメタクリレート、ポ
リスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリ塩化
ビニル等の熱可塑性樹脂及びそれらのグラフト共重合体
から選ばれる一種または二種以上を用いることがのぞま
しい。上記のようなる熱可塑性樹脂をスチレンモノマー
のマトリックスに溶解しておき、硬化時にこれらの熱可
塑性樹脂がミクロに分散せしめて硬化の収縮を低減する
手法は、不飽和ポリエステルにおいては一般的に用いら
れているが、フタル酸ジアリルのマトリックスでは未だ
知られていない。(C)成分は、(A)成分と(B)成
分との和に対して5〜30重量%の割合で配合すること
ができる。
【0017】本発明において、フタル酸ジアリルのマト
リックスでは(D)成分の無機質充填材が重要な役割を
果たすことが本発明者らの取り組みの結果明らかとなっ
た。すなわち、フタル酸ジアリルのマトリックスでは多
量に充填された無機質充填材の存在下で初めて熱硬化性
樹脂のミクロ分散が安定的に実現し、この結果として熱
硬化性樹脂組成物の硬化時収縮が低減されるものと本発
明者らは推定している。収縮が大幅に低減される結果、
樹脂成形体と表面の金属薄膜との密着性に対する悪影響
も最小限に止められる。(D)成分の無機質充填材はま
た樹脂成形体の熱膨張係数を下げて金属薄膜のそれと一
致させる効果も有する。
【0018】本発明において熱硬化性樹脂組成物の
(D)成分として用いられる無機質充填材は下記に例示
するようなものを用いることができる。シリカ、アスベ
スト、アルミナ、アタパルジャイト、カオリンクレー、
火山灰、カーボンブラック、グラファイト、微粉珪酸、
珪酸カルシウム、珪藻土、酸化マグネシウム、酸化チタ
ン、酸化鉄、水酸化マグネシウム、スレート粉、セリサ
イト、炭酸カルシウム、タルク、長石粉、バライト、蛭
石、ホワイティング、マイカ、ロウ石クレー、石膏、各
種水硬性セメント類。
【0019】本発明においては、(D)成分である無機
質充填材がシリカ充填材であり、前記シリカ充填材のう
ち少なくとも50重量%以上が球状シリカであり、且つ
1〜100ミクロンにわたる広い粒径分布を有するもの
を用いるのが細密充填を可能にし、熱膨張係数を低減す
る上で特に好ましい。シリカ充填材は、金属薄膜との密
着性を測る上でも好ましく、(A)成分と(B)成分と
(C)成分との総和に対して70重量%以上の使用が理
想的である。(D)成分は、全体に対して50〜98重
量%の割合で配合することができる。
【0020】(E)成分であるラジカル開始剤には、従
来不飽和ポリエステルの製造で用いられているものを採
用しうるが、中でも有機過酸化物を用いて加熱硬化する
のが簡便である。有機過酸化物としては、ジアルキルパ
ーオキサイド、アシルパーオキサイド、ハイドロパーオ
キサイド、ケトンパーオキサイド、パーオキシエステル
など公知のものを用いることができ、具体的には以下の
ようなものが例示しうる。ベンゾイルパーオキサイド、
t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、2,
5−ジメチル−2,5ジ(2−エチルヘキサノイル)パ
ーオキシヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエー
ト、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイド
ロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−
ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5ジブ
チルパーオキシヘキサン。有機過酸化物の使用量は、熱
硬化性樹脂組成物に対して0.5〜4重量%程度の範囲
が好ましい。
【0021】本発明において、熱硬化性樹脂組成物を得
るには、各成分をロール、ニーダー、ブラベンダー、バ
ンバリーミキサー等の一般的に知られている混合用機器
を使用し、なるべく均一に混合させるのが望ましい。組
成物はペレット、タブレット等の形状にして次の成形工
程に供することができる。
【0022】こうして得られた熱硬化性樹脂組成物の成
形方法としては、インジェクション成形、トランスファ
ー成形、プレス成形など一般的に知られている成形方法
を用いて所望の形状に成形すると共に、加熱して有機過
酸化物が生成するラジカルにより、三次元硬化せしめる
ことができる。
【0023】硬化温度としては、有機過酸化物の種類に
応じて最適温度を選定する。一例を挙げてみると、有機
過酸化物として、ジクミルパーオキサイドを使用すると
き、150℃で5分間キュアーして脱型し、170℃で
1時間アフターキュアーすることで完全な硬化が実施し
うる。これはアリル樹脂の硬化条件と比較したとき、は
るかにマイルドな条件であり、且つ短時間で完結する。
【0024】なお本発明において、熱硬化性樹脂組成物
には、硬度、耐久性、耐水性、耐磨耗性等を改良するた
めに前述のフィラー以外に、増粘剤、滑剤、着色顔料、
紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、消泡剤、離型
剤、イオン捕捉剤等の添加剤を加えて一層の性能改善を
図ることもできる。
【0025】本発明において、熱硬化性樹脂組成物の硬
化体の常温〜180℃の熱膨張係数は、0.7〜1.6
×10-5/℃の範囲にあることが金属薄膜との密着の耐
久性を高める上で好ましい。熱膨張係数がこの範囲以下
でも以上でも特に低温から高温にわたる繰り替えし使用
時に金属薄膜との密着性は低下する。
【0026】本発明において、熱硬化性樹脂組成物の成
形硬化体表面に密着複合される金属薄膜の材質として
は、アルミニウム、クロム、ニッケル、チタン、金、
銀、銅、亜鉛、錫、パラジウム、白金、コバルト、IT
O膜、CoNi、CoCrのいずれかあるいはそれらの
金属から構成される複数の層が用いられる。またこれら
の金属薄膜を設ける方法としては、電解メッキまたは無
電解メッキの湿式メッキ、化学蒸着、真空蒸着、スパッ
タ、イオンプレーティングのいずれかあるいはそれらの
複数の組み合わせで多層として実施することがもきる。
【0027】本発明において、これらの金属薄膜の合計
の厚みとしては数十Åから数十ミクロンまでが好まし
い。また前処理として清浄面を出したり、プラズマ処理
による活性化、エッチング剤による表面粗化などの工程
を必要に応じて行うこともできる。
【0028】
【作用】本発明の複合体において、熱硬化性樹脂組成物
の成形硬化体表面、と表面層の金属薄膜との密着性が改
良された理由について本発明者らは次のように考えてい
る。すなわち熱硬化性樹脂組成物の成形硬化体の硬化収
縮が低減され、かつ熱膨張係数が金属のそれと近似域に
あるものを選定したことから、金属薄膜と樹脂成形体と
の密着性を損じる物理的要因が除去できたこと、充填し
たシリカおよびフタル酸ジアリルは化学的にも金属薄膜
との密着性に寄与すること、以上の二点である。
【0029】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明は下記の例になんら限定されるもの
ではない。実施例 1 [不飽和ポリエステル(A−1)の合成]本実施例に用
いる不飽和ポリエステル(A−1)は以下の様に合成さ
れたものである。温度計、攪拌装置、分溜コンデンサ
ー、ガス導入管を取付けた3リットルのフラスコに、
1,4ブタンジオール 470g(5.20モル)、テ
レフタル酸ジメチル 583g(3.0モル)、オクチ
ル酸亜鉛 3.0gを加え140〜180℃でエステル
交換反応を行なった。次に温度を170℃まで下げ、フ
マル酸232g(2.0モル)、ハイドロキノン0.5
gを追加し、更に温度170〜200℃でエステル化を
続け酸価22となった段階で、テトライソプロピルチタ
ネート1.3g、亜リン酸0.2gを加え、190〜2
00℃で当初7〜10Torr、最終的には5Torr
迄減圧した。4時間の反応後フラスコ内樹脂を金属製バ
ットに注入し、冷却固化させた。得られた不飽和ポリエ
ステルは淡黄色であり、GPCによる測定では、数平均
分子量5300、重量平均分子量11200、またDS
C測定による融点は145℃であった。この樹脂を(A
−1)とする。
【0030】[熱硬化性樹脂組成物の作成] (A−1)樹脂63重量部をフラスコ中に秤取し、
(B)テレフタル酸ジアリル27重量部を加えて150
℃に加熱し、よく撹拌混合した後60℃まで冷却し、次
いで(C)Tgが30℃であるポリ酢酸ビニルをグラフ
ト共重合せしめたポリスチレンの30%スチレン溶液1
0重量部を加えて内容物を金属製バットに注入し、更に
冷却固化させた。次に90℃に加熱したロールを用いて
上記の樹脂組成物に下記に示す(D)成分及びその他の
添加剤、最後に(E)成分の所定量を複合化し、冷却後
細粒状に粉砕した。
【0031】(D)成分及びその他の添加剤 熔融シリカ粉末A:粒度分布の中心径 2μ 200重
量部 破砕シリカ粉末B:粒度分布の中心径 10μ 400
重量部 熔融シリカ粉末C:粒度分布の中心径 40μ 400
重量部 ワックス 1重量部 カーボンブラック 1重量部 マイクロカプセル化赤リン 10重量部 γ−メタクリロキシトリエトキシシラン 1重量部 (E)成分 ジクミルパーオキサイド 2重量部
【0032】このようにして得られた熱硬化性樹脂組成
物を用いてJIS K−6911に準拠して曲げ試験用
試験体を160℃で5分間プレス成形して作成した。試
験体は更に170℃で1時間アフターキュアを行った
後、強度測定を実施した。またJIS K−6911に
準拠して硬化収縮率を測定した。またTMAを用いてT
g及び熱膨張係数の測定を行なった。結果は表1にまと
めて示す。
【0033】
【表1】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 曲げ強度 12.5kg/mm2 Tg 285℃ 熱膨張係数 1.2×10-5/℃ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0034】[樹脂成形体の製作]次に上記の熱硬化性
樹脂組成物を用いてLED注入成形用の樹脂型をこのた
めに設計された金型(10個連結)を用いてインジェク
ション成形により成形した。金型温度は165℃とし、
3分間で脱型可能であった。その後アフターキュアとし
て170℃で0.5時間の処理を行った後、つぎのメッ
キ工程に供した。
【0035】[メッキ工程]上記樹脂成形体をクロム酸
+硫酸各400g/リットル含有するエッチング液に6
0℃で15分間浸漬し、次いで十分に水洗し、中和、水
洗した。錫イオンとパラジウムイオンとを混合したコロ
イド溶液で常温で5分間処理し、ホウフッ酸溶液で活性
化処理を行った。次に下記の無電解メッキ液に5分浸漬
し、約0.3ミクロンのメッキ層を設けた。
【0036】硫酸銅 10g/リットル ロッシェル塩 50g/リットル ホルマリン 10ml/リットル 水酸化ナトリウム 10g/リットル
【0037】次に電気メッキの工程により、まず銅を5
ミクロン、続いてニッケルを2ミクロンメッキした。こ
うして製作されたLED注入成形用の樹脂型を−20℃
に2時間、100℃に2時間の処理を1サイクルとし、
20サイクルの繰り返し加熱冷却試験を実施したが、何
らの異常は認められず、金属薄膜と樹脂成形体との密着
性は良好であった。このLED注入成形用の樹脂型を用
いてLEDを成形したところ、脱型に要する力は約1/
3に軽減され、また表面の平滑性も改善されることが分
かった。
【0038】実施例 2 実施例1の熱硬化性樹脂組成物を用い、トランスファー
成形により、外径100mm、厚さ1mmの円盤を成形
した。トルエンを用いて十分に表面の脱脂を行い120
℃で乾燥した後、スパッタリング法によりニッケルと金
とを各約20Åコーティングした。この円盤について、
実施例1と同じ加熱冷却試験を行ったが密着性は良好で
あった。
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、実用的にも有用な熱硬
化性樹脂組成物の成形硬化体を基材とし、この表面に、
改善された密着性でもって金属薄膜を設けた複合体が提
供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 67/02 C08L 67/02 67/06 67/06

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)不飽和ポリエステル、(B)フタ
    ル酸ジアリル、(C)Tgが160℃以下である熱可塑
    性樹脂、(D)無機質充填材および(E)ラジカル重合
    開始剤を含有してなる熱硬化性樹脂組成物の成形硬化体
    表面に、金属薄膜を設けてなることを特徴とする複合
    体。
  2. 【請求項2】 (A)成分の不飽和ポリエステルとし
    て、融点が120〜180℃の高融点不飽和ポリエステ
    ルを用い、且つ熱硬化性樹脂組成物の硬化後のTgが実
    質的に200℃以上であることを特徴とする請求項1に
    記載の複合体。
  3. 【請求項3】 (D)成分である無機質充填材がシリカ
    充填材であり、前記シリカ充填材のうち少なくとも50
    重量%以上が球状シリカであり、且つ前記球状シリカは
    1〜100ミクロンにわたる広い粒径分布を有すること
    を特徴とする、請求項1に記載の複合体。
  4. 【請求項4】 成形硬化体の常温ないし180℃の熱膨
    張係数が、0.7〜1.6×10-5/℃の範囲にあるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の複合体。
  5. 【請求項5】 金属薄膜の材質が、アルミニウム、クロ
    ム、ニッケル、チタン、金、銀、銅、亜鉛、錫、パラジ
    ウム、白金、コバルト、ITO膜、Co−NiおよびC
    o−Crからなる群から選択されることを特徴とする請
    求項1に記載の複合体。
  6. 【請求項6】 (A)不飽和ポリエステル、(B)フタ
    ル酸ジアリル、(C)Tgが160℃以下である熱可塑
    性樹脂、(D)無機質充填材および(E)ラジカル重合
    開始剤から構成される熱硬化性樹脂組成物の成形硬化体
    表面に、電解メッキ、無電解メッキ、化学蒸着、真空蒸
    着、スパッタ、イオンプレーティング法のいずれか、あ
    るいはそれらの複数の組み合わせによって金属薄膜を設
    けてなることを特徴とする複合体の製造方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1400345A1 (de) * 2002-09-23 2004-03-24 Götz Heine Verfahren zur Herstellung eines Kunststoffproduktes
JP2009113274A (ja) * 2007-11-05 2009-05-28 Toppan Printing Co Ltd 化粧シート
JP2010202812A (ja) * 2009-03-05 2010-09-16 Daiso Co Ltd ジアリルフタレート架橋低収縮性不飽和ポリエステル樹脂成形材料組成物及びその成形品
EP1857505A4 (en) * 2005-03-08 2015-02-18 Showa Denko Kk UNSATURATED POLYESTER RESIN COMPOSITION FOR LAMINATED REFLECTORS AND MOLDED ARTICLES FORMED THEREFROM
WO2021131440A1 (ja) * 2019-12-24 2021-07-01 住友ベークライト株式会社 ガスバリア性構造体、エアコン部品、ガスメータ装置及び自動車部品

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