JPH11309858A - インクジェット式記録ヘッド及びその駆動方法並びにインクジェット式記録装置 - Google Patents

インクジェット式記録ヘッド及びその駆動方法並びにインクジェット式記録装置

Info

Publication number
JPH11309858A
JPH11309858A JP12076198A JP12076198A JPH11309858A JP H11309858 A JPH11309858 A JP H11309858A JP 12076198 A JP12076198 A JP 12076198A JP 12076198 A JP12076198 A JP 12076198A JP H11309858 A JPH11309858 A JP H11309858A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
piezoelectric
ink jet
recording head
jet recording
ink
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP12076198A
Other languages
English (en)
Inventor
Katsuto Shimada
勝人 島田
Hiroshi Kyu
宏 邱
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP12076198A priority Critical patent/JPH11309858A/ja
Publication of JPH11309858A publication Critical patent/JPH11309858A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/14Structure thereof only for on-demand ink jet heads
    • B41J2002/14491Electrical connection

Landscapes

  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 圧電体層の変位量を増加させ、弾性膜の変位
効率を向上したインクジェット式記録ヘッド及びインク
ジェット式記録装置を提供する。 【解決手段】 ノズル開口に連通する圧力発生室12の
一部を構成する弾性膜と、該弾性膜上に設けられた下電
極60と、この下電極60上に形成された圧電体層70
と、該圧電体層70の表面に形成された上電極80とを
有する圧電振動子300を具備したインクジェット式記
録ヘッドにおいて、前記圧電振動子300を構成する前
記下電極60及び前記上電極80の何れか一方が前記圧
力発生室12に対向する領域にパターニングされ、当該
パターニングされた電極の幅方向両側で且つ当該圧電振
動子300を構成する圧電体層70表面に一対の第2の
電極81,82を設けたことにより、圧電体層の変位量
を増加することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インク滴を吐出す
るノズル開口と連通する圧力発生室の一部を弾性膜で構
成し、この弾性膜の表面に圧電体層を形成して、圧電体
層の変位によりインク滴を吐出させるインクジェット式
記録ヘッド及びその駆動方法並びにインクジェット式記
録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】インク滴を吐出するノズル開口と連通す
る圧力発生室の一部を弾性膜で構成し、この弾性膜を圧
電振動子により変形させて圧力発生室のインクを加圧し
てノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット
式記録ヘッドには、圧電振動子の軸方向に伸長、収縮す
る縦振動モードの圧電振動子を使用したものと、たわみ
振動モードの圧電振動子を使用したものの2種類が実用
化されている。
【0003】前者は圧電振動子の端面を弾性膜に当接さ
せることにより圧力発生室の容積を変化させることがで
きて、高密度印刷に適したヘッドの製作が可能である反
面、圧電振動子をノズル開口の配列ピッチに一致させて
櫛歯状に切り分けるという困難な工程や、切り分けられ
た圧電振動子を圧力発生室に位置決めして固定する作業
が必要となり、製造工程が複雑であるという問題があ
る。
【0004】これに対して後者は、圧電材料のグリーン
シートを圧力発生室の形状に合わせて貼付し、これを焼
成するという比較的簡単な工程で弾性膜に圧電振動子を
作り付けることができるものの、たわみ振動を利用する
関係上、ある程度の面積が必要となり、高密度配列が困
難であるという問題がある。
【0005】一方、後者の記録ヘッドの不都合を解消す
べく、特開平5−286131号公報に見られるよう
に、弾性膜の表面全体に亙って成膜技術により均一な圧
電材料層を形成し、この圧電材料層をリソグラフィ法に
より圧力発生室に対応する形状に切り分けて各圧力発生
室毎に独立するように圧電振動子を形成したものが提案
されている。
【0006】これによれば圧電振動子を弾性膜に貼付け
る作業が不要となって、リソグラフィ法という精密で、
かつ簡便な手法で圧電振動子を作り付けることができる
ばかりでなく、圧電振動子の厚みを薄くできて高速駆動
が可能になるという利点がある。なお、この場合、圧電
材料層は弾性膜の表面全体に設けたままで少なくとも上
電極のみを各圧力発生室毎に設けることにより、各圧力
発生室に対応する圧電振動子を駆動することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た薄膜技術およびリソグラフィ法による製造方法では、
圧電振動子の駆動の際、弾性膜の変形量が小さく、十分
な排除体積が得られないという問題がある。
【0008】本発明はこのような事情に鑑み、圧電体層
の変位量を増加させ、弾性膜の変位効率を向上したイン
クジェット式記録ヘッド及びその駆動方法並びにインク
ジェット式記録装置を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明の第1の態様は、ノズル開口に連通する圧力発生室の
一部を構成する弾性膜と、該弾性膜上に設けられた下電
極と、この下電極上に形成された圧電体層と、該圧電体
層の表面に形成された上電極とを有する圧電振動子を具
備するインクジェット式記録ヘッドにおいて、前記圧電
振動子を構成する前記下電極及び前記上電極の何れか一
方が前記圧力発生室に対向する領域にパターニングさ
れ、当該パターニングされた電極の幅方向両側で且つ当
該圧電振動子を構成する圧電体層表面に一対の第2の電
極を設けたことを特徴とするインクジェット式記録ヘッ
ドにある。
【0010】かかる第1の態様では、一対の第2の電極
を介して電界を印加することにより、圧電体層に幅方向
の引張応力を付与することができる。
【0011】本発明の第2の態様は、第1の態様におい
て、前記一対の第2の電極には、前記下電極及び前記上
電極への電圧印加とは別に、電圧を印加できることを特
徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0012】かかる第2の態様では、一対の第2の電極
間に電圧を印加することにより、圧電体層に幅方向の引
張応力を付与してインク吐出のための変形方向とは逆方
向に変形し、その後上電極及び下電極間に電圧を印加す
ることにより、インク吐出の際の圧電体層の変位量が増
加される。
【0013】本発明の第3の態様は、第1又は2の態様
において、前記一対の第2の電極は、前記圧電体層の幅
方向両側の端面に設けられていることを特徴とするイン
クジェット式記録ヘッドにある。
【0014】かかる第3の態様では、一対の第2の電極
同士が相対向するため、圧電体層に面方向の電界を確実
に印加することができる。
【0015】本発明の第4の態様は、第1〜3の何れか
の態様において、前記圧電振動子を構成する圧電体層
は、前記圧力発生室に対向する領域にパターニングさ
れ、且つ厚さ方向の少なくとも一部に、その幅が下から
上方に向かって徐々に狭くなるようにパターニングされ
た傾斜面を有し、前記一対の第2の電極は、前記傾斜面
上に設けられていることを特徴とするインクジェット式
記録ヘッドにある。
【0016】かかる第4の態様では、上電極のパターニ
ングの際に、一対の第2の電極を一緒にパターニングす
ることにより、容易に形成することができる。
【0017】本発明の第5の態様は、第1〜4の何れか
の態様において、前記圧電振動子を構成する少なくとも
前記圧電体層は、前記圧電振動子の長手方向の一端部か
ら前記圧力発生室に対向する領域外まで延設されている
ことを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0018】かかる第5の態様では、圧力発生室の周壁
に対向する領域に、圧電体層と外部配線との接続部を形
成できる。
【0019】本発明の第6の態様は、第5の態様におい
て、前記圧力発生室に対向する領域外まで延設された前
記圧電体層上には前記上電極が延設されていることを特
徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0020】かかる第6の態様では、延設された上電極
を介して外部配線と接続できる。
【0021】本発明の第7の態様は、第1〜6の何れか
の態様において、前記圧電振動子の上面にはリード電極
と前記上電極との接続を行うコンタクト部を有すること
を特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0022】かかる第7の態様では、圧電振動子への電
圧の印加はコンタクト部を介して行われる。
【0023】本発明の第8の態様は、第1〜7の何れか
の態様において、前記圧電振動子の上面には絶縁体層が
形成され、リード電極と前記上電極との接続を行うコン
タクト部は、前記絶縁体層に形成されたコンタクトホー
ル内に形成されていることを特徴とするインクジェット
式記録ヘッドにある。
【0024】かかる第8の態様では、圧電振動子への電
圧の印加は絶縁体層を介して形成されたコンタクト部を
介して行われる。
【0025】本発明の第9の態様は、第1〜8の何れか
の態様において、前記流路形成基板がシリコン単結晶基
板からなり、前記圧力発生室が異方性エッチングにより
形成され、前記圧電振動子の各層が成膜及びリソグラフ
ィ法により形成されたものであることを特徴とするイン
クジェット式記録ヘッドにある。
【0026】かかる第9の態様では、高密度のノズル開
口を有するインクジェット式記録ヘッドを大量に且つ比
較的容易に製造することができる。
【0027】本発明の第10の態様は、第1〜9の何れ
かの態様のインクジェット式記録ヘッドを具備すること
を特徴とするインクジェット式記録装置にある。
【0028】かかる第10の態様では、ヘッドの駆動効
率が向上され、インク吐出を良好に行うことができるイ
ンクジェット式記録装置を実現することができる。
【0029】本発明の第11の態様は、ノズル開口に連
通する圧力発生室の一部を構成する弾性膜上に設けられ
た圧電体層の厚さ方向上下側に設けた一対の電極に電圧
を印加することにより当該圧電体層をたわみ変形させて
前記圧力発生室内のインクに圧力を付与して前記ノズル
開口からインクを吐出するインクジェット式記録ヘッド
の駆動方法において、前記圧電体層の幅方向両側に設け
た一対の第2の電極に電圧を印加する工程と、この後、
前記一対の電極に電圧を印加することにより前記圧力発
生室内のインクに圧力を付与するたわみ変形を前記圧電
体層に生じさせる工程とを具備することを特徴とするイ
ンクジェット式記録ヘッドの駆動方法にある。
【0030】かかる第11の態様では、一対の第2の電
極間に電圧を印加することにより、圧電体層をインクに
圧力を付与するためのたわみ変形とは逆方向に変形させ
ることができ、排除体積を向上することができる。
【0031】本発明の第12の態様は、第11の態様に
おいて、前記一対の第2の電極への電圧印加により、前
記圧電体層に幅方向に引張応力を付与することを特徴と
するインクジェット式記録ヘッドの駆動方法にある。
【0032】かかる第12の態様では、前記圧電体層
は、幅方向の引張応力により、インク吐出のためのたわ
み変形とは逆方向に変形する。
【0033】本発明の第13の態様は、第11又は12
の態様において、前記一対の第2の電極への電圧印加を
解除した後、前記一対の電極に電圧を印加することを特
徴とするインクジェット式記録ヘッドの駆動方法にあ
る。
【0034】かかる第13の態様では、インク吐出のた
めのたわみ変形とは逆方向に変形した圧電体層に電圧を
印加してたわみ変形させるため、圧電体層の変位量が増
加される。
【0035】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を実施形態に基づ
いて詳細に説明する。
【0036】(実施形態1)図1は、本発明の実施形態
1に係るインクジェット式記録ヘッドを示す分解斜視図
であり、図2は、その平面図及び1つの圧力発生室の長
手方向における断面構造を示す図である。
【0037】図示するように、流路形成基板10は、本
実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板か
らなる。流路形成基板10としては、通常、150〜3
00μm程度の厚さのものが用いられ、望ましくは18
0〜280μm程度、より望ましくは220μm程度の
厚さのものが好適である。これは、隣接する圧力発生室
間の隔壁の剛性を保ちつつ、配列密度を高くできるから
である。
【0038】流路形成基板10の一方の面は開口面とな
り、他方の面には予め熱酸化により形成した二酸化シリ
コンからなる、厚さ1〜2μmの弾性膜50が形成され
ている。
【0039】一方、流路形成基板10の開口面には、シ
リコン単結晶基板を異方性エッチングすることにより、
ノズル開口11、圧力発生室12が形成されている。
【0040】ここで、異方性エッチングは、シリコン単
結晶基板をKOH等のアルカリ溶液に浸漬すると、徐々
に侵食されて(110)面に垂直な第1の(111)面
と、この第1の(111)面と約70度の角度をなし且
つ上記(110)面と約35度の角度をなす第2の(1
11)面とが出現し、(110)面のエッチングレート
と比較して(111)面のエッチングレートが約1/1
80であるという性質を利用して行われるものである。
かかる異方性エッチングにより、二つの第1の(11
1)面と斜めの二つの第2の(111)面とで形成され
る平行四辺形状の深さ加工を基本として精密加工を行う
ことができ、圧力発生室12を高密度に配列することが
できる。
【0041】本実施形態では、各圧力発生室12の長辺
を第1の(111)面で、短辺を第2の(111)面で
形成している。この圧力発生室12は、流路形成基板1
0をほぼ貫通して弾性膜50に達するまでエッチングす
ることにより形成されている。なお、弾性膜50は、シ
リコン単結晶基板をエッチングするアルカリ溶液に侵さ
れる量がきわめて小さい。
【0042】一方、各圧力発生室12の一端に連通する
各ノズル開口11は、圧力発生室12より幅狭で且つ浅
く形成されている。すなわち、ノズル開口11は、シリ
コン単結晶基板を厚さ方向に途中までエッチング(ハー
フエッチング)することにより形成されている。なお、
ハーフエッチングは、エッチング時間の調整により行わ
れる。
【0043】ここで、インク滴吐出圧力をインクに与え
る圧力発生室12の大きさと、インク滴を吐出するノズ
ル開口11の大きさとは、吐出するインク滴の量、吐出
スピード、吐出周波数に応じて最適化される。例えば、
1インチ当たり360個のインク滴を記録する場合、ノ
ズル開口11は数十μmの溝幅で精度よく形成する必要
がある。
【0044】また、各圧力発生室12と後述する共通イ
ンク室31とは、後述する封止板20の各圧力発生室1
2の一端部に対応する位置にそれぞれ形成されたインク
供給連通口21を介して連通されており、インクはこの
インク供給連通口21を介して共通インク室31から供
給され、各圧力発生室12に分配される。
【0045】封止板20は、前述の各圧力発生室12に
対応したインク供給連通口21が穿設された、厚さが例
えば、0.1〜1mmで、線膨張係数が300℃以下
で、例えば2.5〜4.5[×10-6/℃]であるガラ
スセラミックスからなる。なお、インク供給連通口21
は、図3(a),(b)に示すように、各圧力発生室1
2のインク供給側端部の近傍を横断する一のスリット孔
21Aでも、あるいは複数のスリット孔21Bであって
もよい。封止板20は、一方の面で流路形成基板10の
一面を全面的に覆い、シリコン単結晶基板を衝撃や外力
から保護する補強板の役目も果たす。また、封止板20
は、他面で共通インク室31の一壁面を構成する。
【0046】共通インク室形成基板30は、共通インク
室31の周壁を形成するものであり、ノズル開口数、イ
ンク滴吐出周波数に応じた適正な厚みのステンレス板を
打ち抜いて作製されたものである。本実施形態では、共
通インク室形成基板30の厚さは、0.2mmとしてい
る。
【0047】インク室側板40は、ステンレス基板から
なり、一方の面で共通インク室31の一壁面を構成する
ものである。また、インク室側板40には、他方の面の
一部にハーフエッチングにより凹部40aを形成するこ
とにより薄肉壁41が形成され、さらに、外部からのイ
ンク供給を受けるインク導入口42が打抜き形成されて
いる。なお、薄肉壁41は、インク滴吐出の際に発生す
るノズル開口11と反対側へ向かう圧力を吸収するため
のもので、他の圧力発生室12に、共通インク室31を
経由して不要な正又は負の圧力が加わるのを防止する。
本実施形態では、インク導入口42と外部のインク供給
手段との接続時等に必要な剛性を考慮して、インク室側
板40を0.2mmとし、その一部を厚さ0.02mm
の薄肉壁41としているが、ハーフエッチングによる薄
肉壁41の形成を省略するために、インク室側板40の
厚さを初めから0.02mmとしてもよい。
【0048】一方、流路形成基板10の開口面とは反対
側の弾性膜50の上には、厚さが例えば、約0.5μm
の下電極膜60と、厚さが例えば、約1μmの圧電体膜
70と、厚さが例えば、約0.1μmの上電極膜80と
が、後述するプロセスで積層形成されて、圧電振動子
(圧電素子)300を構成している。ここで、圧電振動
子300は、下電極膜60、圧電体膜70、上電極膜8
0を含む部分をいう。一般的には、圧電振動子300の
何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電
体膜70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成
する。そして、ここではパターニングされた何れか一方
の電極及び圧電体膜70から構成され、両電極への電圧
の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部32
0という。本実施形態では、下電極膜60は圧電振動子
300の共通電極とし、上電極膜80を圧電振動子30
0の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこ
れを逆にしても支障はない。何れの場合においても、各
圧力発生室毎に圧電体能動部が形成されていることにな
る。なお、上述した例では、弾性膜50及び下電極膜6
0が振動板として作用するが、下電極膜が弾性膜を兼ね
るようにしてもよい。
【0049】また、詳しくは後述するが、本実施形態で
は、各圧電体能動部320に対応する領域の上電極膜8
0の両側には、上電極膜80と同様の層から形成される
が、それぞれ独立した一対の第2の電極膜81,82が
並設されている。
【0050】ここで、シリコン単結晶基板からなる流路
形成基板10上に、圧電体膜70等を形成するプロセス
を図4を参照しながら説明する。
【0051】図4(a)に示すように、まず、流路形成
基板10となるシリコン単結晶基板のウェハを約110
0℃の拡散炉で熱酸化して二酸化シリコンからなる弾性
膜50を形成する。
【0052】次に、図4(b)に示すように、スパッタ
リングによって、下電極膜60を弾性膜50の表面形状
に沿って一様に形成する。下電極膜60の材料として
は、Pt等が好適である。これは、スパッタリングやゾ
ル−ゲル法で成膜する後述の圧電体膜70は、成膜後に
大気雰囲気下又は酸素雰囲気下で600〜1000℃程
度の温度で焼成して結晶化させる必要があるからであ
る。すなわち、下電極膜60の材料は、このような高
温、酸化雰囲気下で導電性を保持できなければならず、
殊に、圧電体膜70としてPZTを用いた場合には、P
bOの拡散による導電性の変化が少ないことが望まし
く、これらの理由からPtが好適である。
【0053】次に、図4(c)に示すように、圧電体膜
70を成膜する。この圧電体膜70の成膜にはスパッタ
リングを用いることもできるが、本実施形態では、金属
有機物を溶媒に溶解・分散したいわゆるゾルを塗布乾燥
してゲル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化物
からなる圧電体膜70を得る、いわゆるゾル−ゲル法を
用いている。圧電体膜70の材料としては、チタン酸ジ
ルコン酸鉛(PZT)系の材料がインクジェット式記録
ヘッドに使用する場合には好適である。
【0054】次に、図4(d)に示すように、上電極膜
80を成膜する。上電極膜80は、導電性の高い材料で
あればよく、Al、Au、Ni、Pt等の多くの金属
や、導電性酸化物等を使用できる。本実施形態では、P
tをスパッタリングにより成膜している。
【0055】次に、図5に示すように、下電極膜60、
圧電体膜70及び上電極膜80等をパターニングする。
【0056】まず、図5(a)に示すように、下電極膜
60、圧電体膜70及び上電極膜80を一緒にエッチン
グして下電極膜60の全体パターンをパターニングす
る。次いで、図5(b)に示すように、圧電体膜70及
び上電極膜80のみをエッチングして、圧力発生室12
に対向する領域のみに圧電体能動部320のパターニン
グを行う。
【0057】次いで、図5(c)に示すように、各圧電
体能動部320に対する部分の上電極膜80のみをパタ
ーニングして、長手方向に亘って上電極膜80を除去し
た二本の溝部83を形成することにより、上電極膜80
の幅方向両側に第2の電極膜81,82を形成する。
【0058】以上のように、下電極膜60等をパターニ
ングした後には、好ましくは、各上電極膜80及び第2
の電極膜81,82の上面の少なくとも周縁、及び圧電
体膜70および下電極膜60の側面を覆うように電気絶
縁性を備えた絶縁体層90を形成する(図1参照)。絶
縁体層90は、成膜法による形成やまたエッチングによ
る整形が可能な材料、例えば酸化シリコン、窒化シリコ
ン、有機材料、好ましくは剛性が低く、且つ電気絶縁性
に優れた感光性ポリイミドで形成するのが好ましい。
【0059】そして、絶縁体層90の各上電極膜80の
それぞれ一端部に対応する部分の上面を覆う部分の一部
には、後述するリード電極100と接続するために上電
極膜80の一部を露出させるコンタクトホール90aが
形成されている。そして、このコンタクトホール90a
を介して各上電極膜80に一端が接続し、また他端が接
続端子部に延びるリード電極100が形成されている。
リード電極100は、駆動信号を上電極膜80に確実に
供給できる程度に可及的に狭い幅となるように形成され
ている。
【0060】また、第2の電極膜81及び82も、上電
極膜80の場合と同様に、それぞれの一端部に対応する
部分の絶縁体層90にコンタクトホール90b及び90
cが形成されている。そして、このコンタクトホール9
0b及び90cを介して、別々にリード電極100A及
び100Bが形成されている。
【0061】このような絶縁体層の形成プロセスを図6
に示す。
【0062】まず、図6(a)に示すように、上電極膜
80、第2の電極膜81,82の周縁部、圧電体膜70
および下電極膜60の側面を覆うように絶縁体層90を
形成する。この絶縁体層90の好適な材料は上述した通
りであるが、本実施形態ではネガ型の感光性ポリイミド
を用いている。
【0063】次に、図6(b)に示すように、絶縁体層
90をパターニングすることにより、各上電極膜80及
び第2の電極膜81,82の圧力発生室12のインク供
給側の端部近傍に対応する部分にコンタクトホール90
a,90b,90cを形成する。
【0064】なお、コンタクトホール90a,90b,
90cは、圧力発生室12の圧電体能動部320に対応
する部分に設ければよく、例えば、中央部やノズル側端
部に設けてもよい。また、本実施形態では、圧電振動子
を圧力発生室12に対向する領域に設けたが、これに限
定されず、例えば、圧電体膜及び上電極膜を圧力発生室
12の周壁に対向する領域まで延設してもよい。
【0065】次に、例えば、Cr−Auなどの導電体を
全面に成膜した後、パターニングすることにより、リー
ド電極100等を形成する。
【0066】以上が膜形成プロセスである。このように
して膜形成を行った後、図6(c)に示すように、前述
したアルカリ溶液によるシリコン単結晶基板の異方性エ
ッチングを行い、圧力発生室12等を形成する。なお、
以上説明した一連の膜形成及び異方性エッチングは、一
枚のウェハ上に多数のチップを同時に形成し、プロセス
終了後、図1に示すような一つのチップサイズの流路形
成基板10毎に分割する。また、分割した流路形成基板
10を、封止板20、共通インク室形成基板30、及び
インク室側板40と順次接着して一体化し、インクジェ
ット式記録ヘッドとする。
【0067】このように形成されたインクジェット式記
録ヘッドの要部平面及び断面を図7に示す。
【0068】本実施形態では、図7に示すように、圧電
体膜70および上電極膜80等を有する圧電振動子30
0は、基本的に圧力発生室12に対向する領域内に設け
られ、圧電体能動部320を形成している。また、各圧
電体能動部320に対応する部分の圧電体膜70上に、
上電極膜80とその幅方向両側に溝部83を介して第2
の電極膜81、82とが並設されている。
【0069】また、上述のように、各上電極膜80及び
第2の電極膜81,82の長手方向一端部近傍の絶縁体
層90には、それぞれコンタクトホール90a、90
b,90cが形成されて、別々のリード電極100,1
00A,100Bと接続されている。また、本実施形態
では、下電極膜60上の絶縁体層90にもコンタクトホ
ール90dが設けられており、上電極膜80同様、コン
タクトホール90d内でリード電極100Cと接続され
ている。
【0070】ここで、本発明のインクジェット式記録ヘ
ッドの駆動方法について説明する。
【0071】図8は、本発明の実施形態1に係る圧電体
能動部に印加する時間と電圧との関係の一例を示したグ
ラフである。
【0072】まず、リード電極100A,100Bを介
して上電極膜80の両側の第2の電極膜81、82の間
に、所定電圧、例えば、図8に示すように、インク吐出
のための電圧V2の略半分程度の電圧V1で、圧電体膜7
0に電界を印加する。これにより、圧電体膜70には引
張応力が生じ、この引張応力によりインク吐出のための
たわみ変形とは逆方向に多少変形する。
【0073】次いで、インク吐出のタイミングで、引張
応力を与えている電圧V1を切り、それとほぼ同時に上
電極膜80と下電極膜60との間にインク吐出のための
所定電圧V2で、圧電体膜70に電界を印加する(図中
1)。これにより、圧電体膜70は下に凸にたわみ変
形が生じ、この変形と共に振動板が変形されてインクが
吐出される。
【0074】このように、第2の電極膜81及び82の
間に所定電圧を印加した後、上電極膜80と下電極膜6
0との間に電圧を印加することによって、圧電体膜70
の変形量を増加することができる。
【0075】ここで、圧電体膜の変形量が増加する原理
について説明する。
【0076】図9は、P−Vヒステリシスループの一例
を示すグラフである。
【0077】圧電体膜70として用いられるPZTは、
厚さ方向(縦方向)に電圧を印加すると分極が縦を向
く、すなわち圧縮応力となり、一方、面方向(横方向)
に電圧を印加すると分極が横を向く、すなわち引張応力
となるという性質を有する。
【0078】また、図9に示すように、引張応力の分極
の方が圧縮応力の分極よりも小さい値であることが分か
る。
【0079】さらに、圧電体膜70の変形量は、電圧
(V)0Vから所定電圧まで印加したときの分極(P)
変化量に正の相関がある。例えば、図9の引張応力のヒ
ステリシスループでは、電圧(V)0Vから所定電圧V
3まで印加したときの分極(P)変化量は、P3−P0
ある。
【0080】これらの特性を利用し、インク吐出のため
の電圧が0Vの時には、第2の電極膜81及び82の間
に電圧を印加して圧電体膜70に引張応力を与えること
により、圧縮応力の場合の分極量P1よりも小さい分極
量P0に抑えておく。そして、インク吐出のために上電
極膜80と下電極膜60との間に電圧V3を印加するこ
とにより、圧電体膜70に圧縮応力を与えて、引張応力
の場合の分極量P3よりも大きい分極量P4とすることに
より分極変化量はP4−P0となる。すなわち、圧電体膜
70に引張応力を与えていない場合の分極変化量P3
0よりも大きい値となる。したがって、分極変位量に
正の相関にある圧電体膜70の変位量も増加する。
【0081】このように、圧電振動子300に対応する
領域の圧電体膜70上に幅方向にそれぞれ独立した上電
極膜80及びその両側に第2の電極膜81,82を設
け、第2の電極膜81及び82の間に電圧を印加して、
圧電体膜70に引張応力を与えた後、上電極膜80と下
電極膜60との間に電圧を印加することにより、圧電体
膜70の変形量を大きくすることができ、振動板の変位
量が増加、すなわち変位効率を向上することができる。
【0082】また、駆動方法は上述したものに限定され
ない。例えば、第2の電極膜81及び82に電圧を印加
することにより圧電体膜70を吐出方向とは反対方向に
変形させた後、電圧を解除することにより圧電体膜70
を吐出方向に変形させ、これによりインク滴を吐出する
こともできる。この場合のインク滴は、上電極膜80及
び下電極膜60に電圧を印加することにより吐出させる
インク滴より相対的に小さい。したがって、第2の電極
膜81及び82間に電圧を印加する場合と、上電極膜8
0及び下電極膜60間に電圧を印加することのみでイン
クを吐出する場合と、さらには、第2の電極膜81及び
82間と上電極膜80及び下電極膜60間との両方を上
述したように連係して電圧を印加する場合とで、大きさ
の異なるインク滴を打ち分けることができる。なお、こ
の場合のインク滴の大きさは、上電極膜80及び第2の
電極膜81,82の大きさ、あるいは駆動波形の変更等
によって変化させることができる。
【0083】(実施形態2)図10には、本発明の実施
形態2に係るインクジェット式記録ヘッドの圧電体能動
部および圧力発生室の形状を示す。
【0084】本実施形態は、図10に示すように、圧電
体能動部320の一部を構成する圧電体膜70の両側面
を下から上方に向かって徐々に狭くなるようにパターニ
ングして、圧電体膜70の幅方向両側面を傾斜面70a
とし、圧電体膜70の上面及び両傾斜面上にそれぞれ上
電極膜80及び第2の電極膜81,82を設けるように
した以外は実施形態1と同様である。
【0085】このような圧電体能動部320の製造方法
は、特に限定されないが、例えば、以下の方法で製造す
ることができる。
【0086】図11は、実施形態2に係る薄膜製造工程
を示す図である。
【0087】実施形態1で示したように、下電極膜60
上に圧電体膜70を積層した後(図4(c))、次い
で、図11(a)に示すように、圧電体膜70をパター
ニングして、圧力発生室12に対向する領域以外の圧電
体膜70を除去する。この際、圧電体膜70の幅方向両
側面が下から上に向かって徐々に狭くなるようにパター
ニングして、傾斜面70aとする。
【0088】次に、図11(b)に示すように、上電極
膜80を一様に積層し、次いで、図11(c)に示すよ
うに、上電極膜80をパターニングして、圧力発生室1
2に対向する領域に圧電体能動部320を形成する。こ
の際、実施形態1と同様に、圧電体能動部320に対応
する領域の圧電体膜70の上面に上電極膜80が位置
し、また、その幅方向両側の傾斜面70aに対応する部
分に第2の電極膜81,82が位置するように上電極膜
80をパターニングする。
【0089】その後は、実施形態1と同様に、絶縁体層
及びリード電極等を順次形成して本実施形態のインクジ
ェット式記録ヘッドを形成する。
【0090】このような構成においても、実施形態1と
同様に、圧電体膜70の変形量が増加され、振動板の変
位効率を向上することができる。さらに、本実施形態で
は、第2の電極膜81及び82が設けられた圧電体膜7
0の傾斜面70aは、第2の電極膜81及び82が相対
向する方向に傾斜しているため、両者間に確実に電圧を
印加することができ、圧電体膜70により確実に引張応
力を与えることができる。
【0091】なお、本実施形態では、圧電体膜70の両
側面を傾斜面70aとし、その傾斜面70a上に第2の
電極膜81及び82を設けるようにしたが、例えば、圧
電体膜70の幅方向両側面を下電極膜60の面に対して
垂直に設け、その垂直な両側面上に第2の電極膜をそれ
ぞれ設けるようにしてもよい。
【0092】また、本実施形態では、圧電体膜70の両
側面全体を傾斜面70aとしたが、これに限定されず、
例えば、厚さ方向の一部に傾斜面を設けるようにしても
よい。
【0093】さらに、上電極膜80と、第2の電極膜8
1,82とを同一の膜からパターニングしたが、それぞ
れ別々に積層した膜から形成してもよい。
【0094】(他の実施形態)以上、本発明の各実施形
態を説明したが、インクジェット式記録ヘッドの基本的
構成は上述したものに限定されるものではない。
【0095】例えば、上述した封止板20の他、共通イ
ンク室形成板30をガラスセラミックス製としてもよ
く、さらには、薄肉膜41を別部材としてガラスセラミ
ックス製としてもよく、材料、構造等の変更は自由であ
る。
【0096】さらに、上述した実施形態では、ノズル開
口を流路形成基板10の端面に形成しているが、面に垂
直な方向に突出するノズル開口を形成してもよい。
【0097】このように構成した実施形態の分解斜視図
を図12、その流路の断面を図13にぞれぞれ示す。こ
の実施形態では、ノズル開口11が圧電振動子とは反対
のノズル基板120に穿設され、これらノズル開口11
と圧力発生室12とを連通するノズル連通口22が、封
止板20,共通インク室形成板30及び薄肉板41A及
びインク室側板40Aを貫通するように配されている。
【0098】なお、本実施形態は、その他、薄肉板41
Aとインク室側板40Aとを別部材とし、インク室側板
40に開口40bを形成した以外は、基本的に上述した
実施形態と同様であり、同一部材には同一符号を付して
重複する説明は省略する。
【0099】ここで、この実施形態においても、上述の
実施形態と同様に、圧電体膜上に上電極膜及び第2の電
極膜を設け、上述の駆動方法によって振動板を変形させ
ることにより、振動板の変位効率を向上することができ
る。
【0100】勿論、以上説明した各実施形態は、適宜組
み合わせて実施することにより、より一層の効果を奏す
るものであることは言うまでもない。
【0101】また、以上説明した各実施形態は、成膜及
びリソグラフィプロセスを応用することにより製造でき
る薄膜型のインクジェット式記録ヘッドを例にしたが、
勿論これに限定されるものではなく、例えば、基板を積
層して圧力発生室を形成するもの、あるいはグリーンシ
ートを貼付もしくはスクリーン印刷等により圧電体膜を
形成するもの、又はバルクセラミックス貼付により圧電
体膜を形成するもの等、各種の構造のインクジェット式
記録ヘッドに本発明を採用することができる。
【0102】また、圧電振動子とリード電極との間に絶
縁体層を設けた例を説明したが、これに限定されず、例
えば、絶縁体層を設けないで、各上電極に異方性導電膜
を熱溶着し、この異方性導電膜をリード電極と接続した
り、その他、ワイヤボンディング等の各種ボンディング
技術を用いて接続したりする構成としてもよい。
【0103】このように、本発明は、その趣旨に反しな
い限り、種々の構造のインクジェット式記録ヘッドに応
用することができる。
【0104】また、これら各実施形態のインクジェット
式記録ヘッドは、インクカートリッジ等と連通するイン
ク流路を具備する記録ヘッドユニットの一部を構成し
て、インクジェット式記録装置に搭載される。図14
は、そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図
である。
【0105】図14に示すように、インクジェット式記
録ヘッドを有する記録ヘッドユニット1A及び1Bは、
インク供給手段を構成するカートリッジ2A及び2Bが
着脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1A及び
1Bを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付け
られたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられてい
る。この記録ヘッドユニット1A及び1Bは、例えば、
それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物
を吐出するものとしている。
【0106】そして、駆動モータ6の駆動力が図示しな
い複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリ
ッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1A及
び1Bを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿っ
て移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ軸5に
沿ってプラテン8が設けられており、図示しない給紙ロ
ーラなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シ
ートSがプラテン8に巻き掛けられて搬送されるように
なっている。
【0107】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、圧
電体振動子に対応する領域の圧電体膜上の上電極膜の両
側に第2の電極膜を並設し、第2の電極膜間に電圧を印
加して圧電体膜に引張応力を与え、インク吐出のための
変形とは逆方向に変形させる。その後、上電極膜と下電
極膜との間に電圧を印加によって圧電体膜を変形させて
インクを吐出することにより、圧電体膜の変形量を増加
することができる。したがって、圧電体膜の変形に伴う
弾性膜の変位量も増加し、変位効率を向上することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るインクジェット式記
録ヘッドの分解斜視図である。
【図2】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記
録ヘッドを示す図であり、図1の平面図及び断面図であ
る。
【図3】図1の封止板の変形例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態1の薄膜製造工程を示す図で
ある。
【図5】本発明の実施形態1の薄膜製造工程を示す図で
ある。
【図6】本発明の実施形態1の薄膜製造工程を示す図で
ある。
【図7】本発明の実施形態1を説明する平面図及び断面
図である。
【図8】圧電振動子に印加する電圧の一例を示すグラフ
である。
【図9】圧電体層のP−Vヒステリシスループの一例を
示すグラフである。
【図10】本発明の実施形態2を説明する断面図であ
る。
【図11】本発明の実施形態2の薄膜製造工程を示す図
である。
【図12】本発明の他の実施形態に係るインクジェット
式記録ヘッドの分解斜視図である。
【図13】本発明の他の実施形態に係るインクジェット
式記録ヘッドを示す断面図である。
【図14】本発明の一実施形態に係るインクジェット式
記録装置の概略図である。
【符号の説明】
10 流路形成基板 11 ノズル開口 12 圧力発生室 50 弾性膜 60 下電極膜 70 圧電体膜 70a 傾斜面 80 上電極膜 81,82 第2の電極膜 83 溝部 90 絶縁体層 90a,90b,90c,90d コンタクトホール 100,100A,100B,100C リード電極 300 圧電振動子 320 圧電体能動部

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ノズル開口に連通する圧力発生室の一部
    を構成する弾性膜と、該弾性膜上に設けられた下電極
    と、この下電極上に形成された圧電体層と、該圧電体層
    の表面に形成された上電極とを有する圧電振動子を具備
    したインクジェット式記録ヘッドにおいて、 前記圧電振動子を構成する前記下電極及び前記上電極の
    何れか一方が前記圧力発生室に対向する領域にパターニ
    ングされ、当該パターニングされた電極の幅方向両側で
    且つ当該圧電振動子を構成する圧電体層表面に一対の第
    2の電極を設けたことを特徴とするインクジェット式記
    録ヘッド。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記一対の第2の電
    極には、前記下電極及び前記上電極への電圧印加とは別
    に、電圧を印加できることを特徴とするインクジェット
    式記録ヘッド。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2において、前記一対の第
    2の電極は、前記圧電体層の幅方向両側の端面に設けら
    れていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッ
    ド。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3の何れかにおいて、前記圧
    電振動子を構成する圧電体層は、前記圧力発生室に対向
    する領域にパターニングされ、且つ厚さ方向の少なくと
    も一部に、その幅が下から上方に向かって徐々に狭くな
    るようにパターニングされた傾斜面を有し、前記一対の
    第2の電極は、前記傾斜面上に設けられていることを特
    徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4の何れかにおいて、前記圧
    電振動子を構成する少なくとも前記圧電体層は、前記圧
    電振動子の長手方向の一端部から前記圧力発生室に対向
    する領域外まで延設されていることを特徴とするインク
    ジェット式記録ヘッド。
  6. 【請求項6】 請求項5において、前記圧力発生室に対
    向する領域外まで延設された前記圧電体層上には前記上
    電極が延設されていることを特徴とするインクジェット
    式記録ヘッド。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6の何れかにおいて、前記圧
    電振動子の上面にはリード電極と前記上電極との接続を
    行うコンタクト部を有することを特徴とするインクジェ
    ット式記録ヘッド。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7の何れかにおいて、前記圧
    電振動子の上面には絶縁体層が形成され、リード電極と
    前記上電極との接続を行うコンタクト部は、前記絶縁体
    層に形成されたコンタクトホール内に形成されているこ
    とを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8の何れかにおいて、前記流
    路形成基板がシリコン単結晶基板からなり、前記圧力発
    生室が異方性エッチングにより形成され、前記圧電振動
    子の各層が成膜及びリソグラフィ法により形成されたも
    のであることを特徴とするインクジェット式記録ヘッ
    ド。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9の何れかのインクジェッ
    ト式記録ヘッドを具備することを特徴とするインクジェ
    ット式記録装置。
  11. 【請求項11】 ノズル開口に連通する圧力発生室の一
    部を構成する弾性膜上に設けられた圧電体層の厚さ方向
    上下側に設けた一対の電極に電圧を印加することにより
    当該圧電体層をたわみ変形させて前記圧力発生室内のイ
    ンクに圧力を付与して前記ノズル開口からインクを吐出
    するインクジェット式記録ヘッドの駆動方法において、 前記圧電体層の幅方向両側に設けた一対の第2の電極に
    電圧を印加する工程と、この後、前記一対の電極に電圧
    を印加することにより前記圧力発生室内のインクに圧力
    を付与するたわみ変形を前記圧電体層に生じさせる工程
    とを具備することを特徴とするインクジェット式記録ヘ
    ッドの駆動方法。
  12. 【請求項12】 請求項11において、前記一対の第2
    の電極への電圧印加により、前記圧電体層に幅方向に引
    張応力を付与することを特徴とするインクジェット式記
    録ヘッドの駆動方法。
  13. 【請求項13】 請求項11又は12において、前記一
    対の第2の電極への電圧印加を解除した後、前記一対の
    電極に電圧を印加することを特徴とするインクジェット
    式記録ヘッドの駆動方法。
JP12076198A 1998-04-30 1998-04-30 インクジェット式記録ヘッド及びその駆動方法並びにインクジェット式記録装置 Pending JPH11309858A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12076198A JPH11309858A (ja) 1998-04-30 1998-04-30 インクジェット式記録ヘッド及びその駆動方法並びにインクジェット式記録装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12076198A JPH11309858A (ja) 1998-04-30 1998-04-30 インクジェット式記録ヘッド及びその駆動方法並びにインクジェット式記録装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11309858A true JPH11309858A (ja) 1999-11-09

Family

ID=14794347

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP12076198A Pending JPH11309858A (ja) 1998-04-30 1998-04-30 インクジェット式記録ヘッド及びその駆動方法並びにインクジェット式記録装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11309858A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6450626B2 (en) 1999-12-24 2002-09-17 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Ink jet head, method for producing the same, and ink jet type recording apparatus
JP2006304588A (ja) * 2005-03-22 2006-11-02 Brother Ind Ltd 圧電アクチュエータ、液体移送装置、及び、圧電アクチュエータの製造方法
US7922302B2 (en) 2007-07-31 2011-04-12 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Piezoelectric actuation mechanism
US8038265B2 (en) 2006-01-31 2011-10-18 Brother Kogyo Kabushiki Kaisha Liquid-droplet jetting apparatus and liquid-droplet jetting method
JP2012257458A (ja) * 2005-03-22 2012-12-27 Brother Ind Ltd 圧電アクチュエータ、液体移送装置、及び、圧電アクチュエータの製造方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6450626B2 (en) 1999-12-24 2002-09-17 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Ink jet head, method for producing the same, and ink jet type recording apparatus
JP2006304588A (ja) * 2005-03-22 2006-11-02 Brother Ind Ltd 圧電アクチュエータ、液体移送装置、及び、圧電アクチュエータの製造方法
JP2012257458A (ja) * 2005-03-22 2012-12-27 Brother Ind Ltd 圧電アクチュエータ、液体移送装置、及び、圧電アクチュエータの製造方法
US8038265B2 (en) 2006-01-31 2011-10-18 Brother Kogyo Kabushiki Kaisha Liquid-droplet jetting apparatus and liquid-droplet jetting method
US7922302B2 (en) 2007-07-31 2011-04-12 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Piezoelectric actuation mechanism

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2002316417A (ja) インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置
JP3725390B2 (ja) インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置
JP2000246888A (ja) インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置
JP3543933B2 (ja) インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置
JP4202467B2 (ja) アクチュエータ装置及びインクジェット式記録ヘッド並びにインクジェット式記録装置
JP2001260357A (ja) インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置
JP3603931B2 (ja) インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置
JPH11300971A (ja) インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置
JP3610811B2 (ja) インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置
JP2000141644A (ja) インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置
JP2000263785A (ja) アクチュエータ装置及びその製造方法並びにインクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置
JPH11309858A (ja) インクジェット式記録ヘッド及びその駆動方法並びにインクジェット式記録装置
JP2000006398A (ja) インクジェット式記録ヘッド及びその製造方法並びにインクジェット式記録装置
JPH11314365A (ja) インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置
JPH11151815A (ja) インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置
JP3750709B2 (ja) インクジェット式記録ヘッド
JP3603933B2 (ja) インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置
JPH11291495A (ja) インクジェット式記録ヘッド及びその製造方法
JPH11129468A (ja) アクチュエータ及びインクジェット式記録ヘッド
JP2000062173A (ja) インクジェット式記録ヘッド及びその製造方法並びにインクジェット式記録装置
JP2000006399A (ja) インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置
JP2000052554A (ja) 素子構造及びインクジェット式記録ヘッド並びにインクジェット式記録装置
JP2000006395A (ja) インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置
JPH11105281A (ja) アクチュエータ及びインクジェット式記録ヘッド
JP2000127391A (ja) アクチュエータ装置及びインクジェット式記録ヘッド並びにインクジェット式記録装置